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ときめきラグナロク Episode4.0

[190:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/05/08(日) 14:13 ID:9Ff24zr.)]
 何時までも、変わらない日常がある。
 きっと、それは世界が終わるまで続いて行くのだろう。

 けれど、日常は変わらなくても、その中身は変わっていく。
 俺が、それに気づくのは、ずっと先の事。
 今は、そんな事を知る由も無かった。


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 闇。闇だ。俺の目の前には、闇が在る。

 ああ、でもどうした事だろう。
 それは、とても気持ちが良い闇だ。
 ぼんやりとしたぬるま湯に浸かっている様な気分と言えばいいか。

 …あと、あと少しだけ。近づいてくる光に背を向ける。

「…ぐー」

 意識が闇に、沈んでいく。後、十分…

「コラーっ!! PC!! 起きろ!!起きやがれ!!起きなさいてば!!」

 どんどんと、叫ぶ声と木を叩く音。…煩い。
 やーらかい布団を被って、丸くなる。
 音が小さくなって、意識がまた沈む。

 ガチャッ。

「さっさと起きなさい!!つーか、また二度寝っ!?あー…もう、信じられないわ。
担任の♂ナイト先生他先生達から、遅刻王襲名したの昨日の今日じゃないのよ!!」

 喧しい。大体、俺は何時だって起きようとしてはいる。

「意思が弱くて、欲望に勝てないだけだ」

「尚悪い!!」

 声が険悪に濁る。だが、敢えて無視。

「ぐー…」

「寝るなっ!!起きろっ!!そして布団から出ろっ!!」

「のわぁっ!!」

 安穏とした膜を、無理矢理引っぺがされる感覚。
 突如、世界に光が溢れ、そして俺はベッドの上で回転していた。
 そして、俺の視界には、その元凶が大写しになっていた。

「………」

 長いスカートに、長い髪。ジト目で睨んでいる、帯剣した少女。
 その子が、俺の目には逆様になって見える。

「お早う、いい朝だ。でも、逆立ちは無いんじゃないかな」

 しかし、スカートは、捲れては居ない。針金でも入れてあるのか。

「♀剣士」

 そして、そいつの名前を呼んだ。

「逆さになってるのはPCでしょうが…何言ってるのよ、全くっ…
いいから早く着替えなさい!!準備しなさい!!後5分以内にっ!!
私の全権限を持って貴君に命令します、三等兵!!」

「うぇーい」

「返事は『はい』!!」

「…はい」

 剣を抜きかけてる♀剣士に生返事をして、何時もの朝は始まったのだった。


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 俺達の朝は、大体、寮から、通っている学校までランニングで開始する。
 要するに、遅刻寸前になって、大慌てで走ってるだけなんだけど。
 毎日これじゃあ、基礎体力が必要以上についてしまう。

「あーっ、もう!! 牛乳売りの子、もう仕事してるじゃないのっ!!」
 ♀剣士が走りながら、俺達の学校の生徒が時計代わりにしているまーちゃんを指差す。

「むぅ…早起きだなぁ」

「PCが遅すぎるだけ!!」
 事実だけに反論の仕様が無い。
 黙って、後ろに続く。

「…」

 俺は、改めて腰に提げた剣が、上下に揺れている少女を見つめた。
 ♀剣士。俺の幼馴染で、同じ学校に通っている。
 まぁ、こう言うと聞こえはいいかも知れないが実態は違う。

 毎々朝々、俺を叩き起こしに来る脅威の惰眠バスターだ。
 腐れ縁で、同じ学校に入学した当時は、それでもまだ可愛げもあった。
 寝てる俺を揺さぶって起こしてくれたりとかしたし。

 しかし、今じゃあ命令違反は一秒バッシュの鬼畜米○だ。
 そして、そうなったが最後、その日の出席点はゼロになる。

 全く。生来、真面目でクラス委員なんかもしてる奴なんだけど、
 その性格のせいで、俺は毎朝恐怖に怯えている。

「急いで!」

「へーい…判ってるって」

 そして、もう一人。腐れ縁、となると外せない奴がいる。
 俺が、遅刻王、と呼ばれるきっかけになった男だ。
 そいつは、何時もこの辺りに生息していて…

「へーい、お二人さん!!今日も仲が宜しいで…」

 出た。奴だ。

「バッシュ!!」

 しかし、俺達の前に立ちふさがったそいつは、台詞の途中でぶっ倒れた。
 ♀剣士が鞘に入ったままの剣で強打したからだ。アーメン・ハレルヤ。
 まぁ、言われたからって訳じゃないが、流石にこれ以上遅刻はできない。

 俺と、♀剣士はそいつをジャンプで飛び越えて、更に走る。

「待てぇっ!!PC!!貴様、盟友を見捨てるのかっ!!」

「すまん!!我が身可愛さに敵前逃亡する俺を許してくれ!!」

「こ、この裏切り者がぁぁぁぁぁ〜〜〜…(フェードアウト)」

 流れ去っていく風景のなかで、そいつはあっと言う間に視界の外に消えた。

 ああ、因みに遅刻王、ってのは俺が実は二代目。
 んで、さっきの男は…

「遅れるよ!!急いで…ってぇ!?どうしてもう復活してるの!?Lv10なのにっ!!」

 殺す気かよ。まぁ、アクラウス宜しく後ろから追って来るそいつもそいつだが。

「まぁぁぁぁてぇぇぇぇっ!!幼馴染と一緒に登校等と言う美味しい目を貴様だけ味合う気かぁぁぁっ!!」

「流石は遅刻皇帝。並みの漢とは一味違う。我が盟友だけの事はある…」

 そう。そいつは、♂シーフ。先代遅刻王であり、現遅刻皇帝だ。
 余りに遅刻が多い生徒が遅刻王、なんて呼ばれる伝統を造った張本人。
 俺は、この男が時間通り登校してるのを見た事が無い。

 因みに、俺達の学年唯一の二回生だったりもする。
 緑色の逆毛がちょっぴりキュートでラブリーチャーミーなニクイ奴だ。
 だが、当然ながら♀剣士とはエラく仲が悪い。

「というか、むしろナイス漫才コンビ?」
 勿論、役割分担は言うまでも無い。

「そんなこと言ってる場合!?追いつかれるからペース上げるよ!!」

「…あいさ。判ったから、こっち睨むな」


 結局、その追いかけっこは俺達が学校に到着するまで続いた。


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