ときめきラグナロク Episode4.0
[259:1/2(2006/02/01(水) 16:57:10 ID:KzoFilBc)]
陽が沈んで少し経つ頃。
空に闇が映え、プロンテラの街並みには明かりが灯る。
そんな中で俺は一人、アイリスの家に向かって歩いていた。
肩に担いだ袋は僅かに湿っており、少々生臭い。
サラ、アイリス、俺の三人でイズルードの海底ダンジョンで狩りをした戦利品だ。
袋の中身はかにニッパ、貝、肉(ヒドラ産)などの海産物。
そして俺がウケ狙いでこっそり入れた触手が数本。
なぜそんな物を担いでアイリスの家に向かっているのかと言うと。
サラ「今日も冷えるわね」
狩りの途中、小休止を入れているときにサラが呟く。
時期も時期だし、場所も場所だ。
さすがに動きのある海水が凍ることは無いが、干潮による潮溜まりには薄っすらと氷が張っていた。
ケイオス「こう寒い日には、暖かいものが食べたいよな」
湿った洞窟の地面に座るのが嫌なのか、俺以外は壁面に寄りかかるようにして休息している。
……かくいう俺も、尻が冷たくなってきたが。
尻に不快感を覚えた俺は、立ち上がってアイリスを間に挟み、サラの反対側の壁に寄りかかる。
アイリス「あ、そうだ。今日はうちに来て、みんなでお鍋にしない?」
そう言うアイリスの視線は、のそのそカパカパと平和そうに歩いているバドン。
ケイオス「アイリスって、可愛い顔して結構エグいこと考えるよな」
アイリス「え……やだ、ケイオス君ったら、可愛いだなんてっ♪」
赤らめた頬に両手を当ててイヤイヤするアイリス。
どうやらセリフの後半は脳内で削除されたようだ。
サラ「そうねぇ。私たち三人でご飯食べるのも、たまには良いかもね」
言われてみれば。
幼馴染の俺たちは揃って学園に入ったのだが、それからはいつも新しい仲間たちと一緒だった。
ケイオス「俺も賛成」
アイリス「じゃあ決まりっ♪」
ポータルを開いてプロンテラに帰還した俺たち。
アイリス「じゃあ、わたしは先に帰って準備してるね」
サラ「私も手伝うわ。ケイオスは荷物と食べれる物の選別をお願い」
ケイオス「了解」
サクサクと役割を分担され、二人から戦利品を預かる。
先に帰る二人を見送り、俺は荷物袋を漁り始めた。
ケイオス「まずかにニッパは外せないだろう。あとはこの貝もいけそうだ」
『食べれる物』と『食べれない物』の袋にそれぞれ分類していく。
ケイオス「オボンヌのエラとか心臓は……食いたくないな」
人魚の肉を食べると不老不死になる、とかいう伝説は聞いたことがあるようなきがするけど。
もしそれが本当だったら、人口が増えすぎてあっという間に食糧難だ。
ケイオス「っと、くだらないこと考えてる場合じゃないな。つぎつぎ……」
鍋のためと思えば、俄然やる気が沸いてくるというもの。
十分足らずで作業を終え、俺もアイリスの家に向かうことにした。
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