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アコたんvsメカアコたん Part6
- 137 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/24(日) 21:14 ID:kyJ/XoOw
- ジュノー戦役直前にトリスがグラストヘイムでバフォメットと戦ったらしいんだけど
彼がボスモンスターに勝つところなぞ想像できないし、でも鎌持ってるしでこんな妄想
騎士団ゲフェン支部で一人の騎士に出撃命令が下った
「GHのバフォメットを討伐…ですか?」
「そうだ、ジュノーの動きが活発化している。今の時期、魔族に後背を脅かされる訳にはいかないのでな。行ってくれるな?」
「了解です。討伐隊の編成はどのように?」
「君一人だ」
「ははは、やだなぁ司令。相手は魔族の王ですよ、なんの冗談……」
騎士は上官の顔を見て口をつぐんだ。冗談をいってるようには見えない
「ゲフェンの騎士団員はプロンテラの騎士団本部に一足先に移動させる。大隊は移動に時間を喰うからな、君は任務を終えてから来てくれ」
「いや、ちょっと待ってくださ…」
「最悪の場合相打ちでも構わん。もしくは戦争の間時間を稼ぐだけでもよいのだ、君なら出来る」
「それは捨て駒と言うのでは…」
「ペコペコと装備と二階級特進の手続きは出来ている。グダグダ言わずにさっさと行かんか!」
騎士見習いの剣士に具足を整えてもらいながらも、騎士は不平をこぼしていた
「相手は一撃で人間10人を殺す悪魔の王だぜ。魔王とやるときゃドラクエだってパーティーを組むだろう?それなのに司令ときたら」
「でも騎士様だって戦場ではいつも手柄を立ててるじゃないですか」
剣士達は憧憬の眼差しでこの腕利きの騎士を見るが、この騎士は恥ずかしそうに手をひらひら振った
「あれはペコで突進したら敵が勝手に倒れてるって感じでな、それに俺は様なんて呼ばれる柄じゃないって」
「でも騎士様は僕達の憧れだから。だから今度もきっとやって下さるってみんな信じてます!」
「そ、そうなのか?それじゃ格好悪いトコは見せられねぇしな…よーし、任せときな!やるだけやってやるぜ!」
その騎士はわりと単純だった
それが二時間前
そして今、騎士グラストヘイム城の玉座まで辿り着き、目の前に姿を見せた悪魔の王に対し騎士は…いきなり後悔していた
巨大な体躯、禍々しくそそり立つ角、不吉な輝きを放つ大鎌、クレセントサイダー…
「やっぱり止めときゃよかったかも…」
- 138 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/24(日) 21:14 ID:kyJ/XoOw
- 「何をしに来た、人間?」
いつでも殺せるという余裕からか、玉座から立つことなく問うてきたバフォメットに騎士は正直に答えた
「いやね、人間も忙しいから魔族に邪魔されたくないんだってさ。それで俺があんたを倒しに来たってわけだよ」
「大きな戦があるからか。矮小な人間共の考えそうな事だ。同族で討ち合うとはなんと愚かな生き物か」
「たまに俺もそう思うよ、だからさ少しだけ魔界に戻っててくれないかな。戦わずにすむならそれが一番だろ、なっ?」
騎士のナイスな提案はバフォメットに一蹴された
「魔族の王が人に、一介の騎士ごときに遠慮する必要なし。この機に街を焼き払ってくれようぞ!」
「交渉決裂、かな。いや〜、俺もちょっとムシがいいかなって思ったもんな。だけどよ…」
騎士がファイアランスを構えるのと、バフォメットがクレセントサイダーを振りかぶるのはほぼ同時だった
「さすがに街を焼かせるわけには行かないな……還ってもらうぞ。魔族の王よ!」
「人間が儂に勝てると思っているのか、最初にお前を喰らってやる、無謀な騎士めが!」
互いの武器が幾度となくぶつかり火花を散らす。ペコペコの突進力を借りた騎士とバフォメットの力が真っ向からぶつかりあう
体についた無数の傷から血を流しながらも、巧みにペコを操り旋回させながら騎士が叫ぶ
「へへっ、大した事ないなぁ!魔族の王ってのはこんなもんかよ?」
「無駄な強がりを…人間にしてはやる方だが、もう限界であろう?」
確かに騎士は想像以上に頑強でバフォメットも手傷を負ってはいたが、力の差は歴然、騎士の出血からして決着は時間の問題だった
騎士は刺し違える覚悟で、バフォメットは飽きてきたこの戦いを終わらせるべく、お互いに距離を取り、間合いを伺う
騎士がペコに拍車をかけ直進し、バフォメットも真っ向から跳躍する
その時二人の間に割って入る無数の影、バフォメットの子供達がわらわらと現れる
「やめろ、父上をいじめるなー」「お前なんか僕達が殺してやるー」
慌てたのはバフォメットだった。このままでは子供が騎士の攻撃に巻き込まれてしまう。バフォメットは咄嗟に子供達の前に身を投げ出す
「お前達、危ない!下がっておれ!」
「くっ…!」
激突の直前で騎士はペコを急旋回させる。バランスを崩した騎士はそのままペコから落下し、受身を取ることすらできずそのまま肩から落ちた
「ぐぁ!?…どじった…かな…?」
薄れていく意識の中最後に騎士が見たものは、乗り手を失いあらぬ方向に駆けて行くペコと、近寄ってくる巨大な山羊の足だった
「…バフォメット様、お怪我が」
「儂が人間ごときに傷などもらうものか。それよりこの者に手当てをしてやれい」
「分かりました・・・・・・・・・もう、大丈夫です」
「ご苦労。下がってよいぞ、アリス」
「はい、バフォメット様…」
- 139 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/24(日) 21:21 ID:kyJ/XoOw
- 「ん…」
おぼろげに聞こえる声で騎士は目を覚ました。そこはさっきまで自分が魔族の王と戦っていた場所と何も変わっていなかった
愛用のファイアランス、ペコペコ、バフォメット…
「バフォメット!?」
立ち上がろうとするが、重鎧を着て簡単に動けるはずもない。わたわたと這いずって逃げようとする騎士と簡単にその襟首を掴み持ち上げるバフォメット
「お、俺を食べる気か!?だがこの懐に忍ばせた三ヶ月前の生卵と聖水を見てもそんな気になるかな!・・・・・・うわっ、全部割れてる!?」
「こんな人間を認めるべきではないかも知れぬが…いいだろう、お前に免じてしばし儂は人間界を襲うまい」
そう言ってバフォメットは騎士をペコの上に乗せた
「なんで助けてくれるんだ、あんたが勝ってたはずだろ?」
今更だが体中の傷が癒えている事に気づき、騎士はペコに乗ったまま、きつねにつままれたような表情をした
「儂の子供を避けたが故に勝負に水をさされた。改めてお前とは決着をつけたいと思ってな」
「ただ驚いてコケただけなんだけど。しかし子供を守ろうとするとはねぇ…魔族もなかなか情が深いんだな」
「人間と同じ、親子で殺しあうモノもいれば、そうでないモノもいる。だが勘違いするな、魔族にとってお前ら人間は所詮食い物にすぎん」
「俺達も他の生き物食べてるからどうこう言う気はないよ。でも、人間だって黙って喰われるままじゃないと思うぜ」
少し笑って騎士はぼろぼろになったマントを翻した。早く戻らねば戦争が始まってしまうかもしれない
去り際にバフォメットは騎士に尋ねた
「お前も戦に行くのか?」
「ああ、貧乏暇無しだからね」
バファメットはさめざめと蒼い輝きを放つ一本の大きな鎌を取り出し、騎士に手渡した
「これを貸しておいてやる」
「いやー、丁度よかった。俺火ランスしかもってないし、ありがたく貰っとくかな」
「儂に傷をつけた人間にゴミ共の戦などで死なれるわけにはいかんのでな。貸すだけだぞ、いつか返しに来い。そして儂に喰われろ」
「今度は負けないぜ・・・じゃ、俺は行くよ。ありがとな」
そして騎士の乗ったペコペコはGHを後にした。バフォメット一家は城のバルコニーからプティット平原を駆けていくその姿を見送っていた
「父上、なんで人間なんかに大事な武器をあげちゃったんだよ、あれ本物だろ!」「絶対あいつ分かってないって、貧乏そうだから売っちゃうかも」
「よいのだ、すぐに取り返してくれるわ」
この騎士より強い人間なら何人もいた。しかし死んで欲しくないと思った人間に会ったのは初めてだった
「人間よ、名は?」
「んー、魔族に覚えといてもらう程たいした名前じゃないんだけどな…、ーーーだ」
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