【自己犠牲】クルセ娘を愛でる会 その2【神々の守護】
[605:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/04/23(日) 15:10:38 ID:RC/pTlVE)]
「おーっほっほっほっほっほっほっほー!」
遠くの方から、甲高い笑い声が響いてきた。徐々にその声は大きくなっていき、最大音量になったかと思えばドップラー効果により、今度は徐々に遠のいていった。
どうやら勢いよすぎて通り過ぎてしまったようだ。
六子はその笑い声を聞いた途端、解りやすいぐらいに渋い表情をしてみせる。いつもの無表情とは明らかに違う。
「あ、戻って来た」
「あーら、そこにいるのはポンコツの出来損ないさんじゃありませんこと!聞いたわよ、あんた、反省室送りにされたんだって?ぷぷぷ、そんなだからいつまでたってもパラディンになれないのよ!」
武装したペコペコに騎乗し、高飛車ちっくな口調で六子たちを見下ろして笑っているのは戦闘職の花形とも言えるナイトの転生職、ロードナイトの女性騎士だった。
「挨拶も無しで嫌味か。相変わらずだな」
「ふん!あんたがいつまでたってもオーラ噴かないのが悪いんじゃないの!ふん、睨みつけたって事実なんだから無駄よ」
「その笑い方、その高飛車&高圧的な見事なツンデレっぷり。このひとが噂のロードナイト娘、略してロナ子さんですか」
「ロナ子っていうな!っと。……っととと……うわ!」
ペコペコから降りようとした瞬間、ロナ子は足を滑らせて地面に叩き付けられた。見事なまでに顔から着地の姿勢である。
「痛!痛!まじで顔、顔!うううぅ……鼻がぁ〜」
「こいつはな、すぐ転ぶんだ。何でも無いところでも、よく転ぶ。ペコから降りようとしてもすっ転ぶ訳だ」
「ははぁ。なるほど、ツンデレドジっ子タイプという訳ですか。六子さんとは対照的ですね」
「ツンデレでもなけりゃあ、ドジっ子でもないわよ!って、キミが超優等生のくせにエタアコっていう噂のアコきゅんか。うーん、顔も、体型も、まあまあ合格点ね」
「一体何を基準に合格なのかわかりませんけど; それよりもロナ子さん、ペコペコが勝手にプロンテラ騎士団の方に走っていってしまいましたけど?いいんですか?」
「え?あ、え?ええええぇ?なにーっっ!ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!待ちなさいってば、こらー!とろんべー!うわっ、へぶ!!」
「あ。コケた」
「私を置いていくんじゃなーい!まてー、とろんべー!んがっ!」
「あ。またコケた」
結局ロナ子が視界から完全に遠のくまで、彼女は計、七回は派手にぶっ転んでいったという。
「あの人、結局何を言いに来たんでしょうかねぇ」
「知らん。あいつの事は放っておいた方がいい;」
「え、でも六子さん。あのロナ子さんって、六子さんの子供のころからのお友達なんでしょう?いいんですか放っておいて」
「お前が気に病むことなど何も無い……それよりもお前、本当にプリーストになるつもりか?」
「六子さんは僕がアコライトの方がいいと思っているんですか?」
「いや、そういう訳では。それに、その、お前の道はお前が決めるべきだしな」
嘆息しながら立ち上がると、六子は少年に手を差し伸べる。
少年はその重厚なしつらえの篭手と聖堂騎士の鋭い眼差しとを交互に見やりながら。
「僕が決める道はひとつしかありませんよ」
差し伸べられた優しいその手に、真っ直ぐな笑顔で答えるのだった。
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