【自己犠牲】クルセ娘を愛でる会 その2【神々の守護】
[646:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/04/29(土) 23:31:59 ID:Rl5wMgfE)]
こんなに連投しちゃって板的にはどうなんだろうって考えた事もあるさ。だけど僕の思いは止まらない!この想い、届け!
「ろ、六子!六子ー!たいへんだー!……うわっ」 びたーん!
厳粛なプロンテラ王城内に一際激しく、それに不釣合いなほどの、妙な激突音が響き渡る。
予想通り、微妙な角度で顔面から廊下に突っ伏しているのは六子の親友。いや、悪友とでも言おうか、とにかく、ロナ子だった。
「相変わらず騒がしい奴だな、ここをどこだと思っている」
「う、うるさいわね!それよりこれを見てよ、今週の『運命のタロットカード占い』!私ってば、今週は最強のラブ運に恵まれています、恋も仕事も何もかも!」
「その最後の何もかもっていう部分が理解できん。占いなどという下らぬものに左右されるとはお前も随分」
「ってかね!あ・ん・た・も、私と同じ生まれじゃないの!つまり、六子も恋と仕事も何もかもなのよ!」
「だから、その何もかもの意味がわからん。愛だの恋だのイケメンだのチョコパフェだの、私の知った事か。まぁ、その、なんだ。仕事に関してはそうなるという自信もあるし、当然の事だとは思うがな」
「わっかってないわねぇ〜、これだから色気の無いロボ女は嫌なのよ。女はね、いつでも可憐な少女のときめきを忘れちゃだめなのよ!」
「ロボに無駄な感情は必要ない。更に言えば、神に仕えし者に、ときめきなど要らん」
「そんな事言ってるけど、じゃあ、ここのスレはどうなのよ。ここはどういう意味があって」
「ロナ子。お前はそれで、何を言いに来たのだ。そんな下らぬ占いを見せに来ただけか、それがお前にとって、大変な事だったか」
「え?あ、うーんと……そうそう、大事な事を忘れてた」
「まったくお前という奴は、そういう事は最初から言え!」
「だって、もう知ってると思ってたしー」
ふたりはそれぞれペコに騎乗して、猛スピードでプロンテラを南下していた。目指すは、イズルード総合病院。
スピード超過で違反切符を切られそうなほどのペコの爆走により、昼前にはイズへ着く予定だ。
疾風怒濤の勢いの中、六子はいつもの平静を保てないほどに動揺している。
「お前の力はそんなものか!もっと速く走れるだろう!行け、走れ!」
「ペコはそんなに速度あがんないっつーの!六子、焦りすぎだって、いつもの冷静さはどうしたのよ」
ロナ子に諭されるまでもなく、冷静であるつもりだった。だが、表面では制御出来ているはずの感情が、実際、まるで機能していない。
疾走するペコの上で、すぐ隣で走っているロナ子の声も遠くに感じるほど。六子は揺らいでいた。手綱を握る手にじんわりと汗が滲む。
ペコたちの懸命な走りにより、ふたりは正午前にはイズ総合病院の門をくぐり抜ける事が出来た。
はやる気持ちを抑えつけ、だが六子は自然と早口で受け付けカウンター嬢に投げかける。
「先ほどここにアコライトが運び込まれたと聞いてきたのだが……あ、あぁ、そうか。名前はレイ。レイニーという。……むむ?いない?いや、そんなハズは。確かにこの病院に運び込まれたと!大怪我をして、運ばれてきたと聞いている!」
「おや?六子さんにロナ子さん。どうしたんですか、ここは病院ですよ。大声を出す場所ではありません」
「だがな!私はあいつを……」
「あいつ?どなたですか」
「だから、アコライトのレイニーのことだ……っと……ん?」
「僕がどうかしたんですか」
「うわ!何でお前がここに!?」
「聞きたいのはこっちですよ。そんなに息を切らせて、本当、どうしちゃったんですか?」
「お前、ほ、本当に……」
何事も無かったかの様に、変わらずの優しげな笑顔で迎える少年を、ふたりは唖然とした表情で見合う。
「ど、どういう事だ?お前、大怪我をしてこの病院に運ばれてきたのではなかったのか」
「確かに大怪我をしたノービスの男の子を病院に運んできましたけど。ああ、あの子なら大丈夫ですよ。発見してすぐに僕が治癒の奇跡を分けた後に病院に連れてきましたし、今は元気になっています」
「……ロナ子……」
「えーっと;……えーっと……;あ、あれぇ〜?;」
「まて!今度こそ決着をつけてやる!」
「ごめんって言ってるでしょー!私のせいじゃないよー!」
「うるさーい!バカものーっ!」
六子の後ろにはしっかりと彼女をホールドする細腕が回っている。
ペコ同士の追いかけっこはまだ続いているが、三人の表情は以前よりもぐっと明るい表情になっていた。
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