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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】
- 254 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/22(水) 00:34:10 ID:c4yQnhXM
- >253
なるほど。
それはそれでここの面白みのアイデアやSSなどのネタとして使えそうですね。
SSでよければ、私では力不足ですがそのネタ頂戴して書いてみたい・・・。
あと、ちょっとそういうのとは違いますが、
以前からあったほのぼのするSSや絵の系統を意識して駄文書いてみました。
お時間ある方は読んでいただければ幸い。
<ライドワードねえさんメインのSS>
バレンタインもホワイトデーも過ぎ去った、なんでもない日。
ジョーカーはライドワードの部屋へと呼び出されていた、それも秘密裏に。
それはイベントというにはむなしい、2人にとってこの時期の恒例行事の為だった。
「時期的に気付いてるかもしれないけどね、また今年も、よろしくッ!」
ライドワードが合掌しながらジョーカーに懇願する。
テーブルに肘をつき、頬杖をついていたジョーカーがあきれた声で答える。
「毎度毎度、渡さないくせによく作りますわね」
目線の先はテーブルの上、みかん箱大の箱と溢れたチョコレートの山。
それはバレンタインデーの敗戦の証。
渡せなかったチョコレートとその試作品の山だ。
依頼内容は例年と同じく、これの廃棄処分。つまり完食。
嗜好としてはむしろ好きなのだが、食べるにしては度を過ぎた量だった。
2人で手分けするにせよ、見ているだけで満腹になりそうで気持ち悪い。
「…まぁ、それはそうなんだけど…だってさぁ…」
ライドワードはそういうと、しょげて見せた。
反論の余地もなく、恒例行事になっているだけに言い訳も思いつかない。
ライドワードは普段の凛とした様子のかけらも無く、小さくなっていじける。
「義理だって言って、てきとぉ〜〜に配ればいいんですわ〜」
試作品らしき形の崩れたチョコレートを頬張りながら、ジョーカーが言った。
「うん、それもわかっているんだけど…」
ライドワードはジョーカーの言うそれを想像でシミュレートする。
小動物のようにチョコレートをつまむライドワードの顔が、みるみる赤くなった。
「…けっ、妄想の中で乙女ちっく全開してもしかたありませんわ〜〜」
あきれたようにジョーカーが言うと、我に返ったライドワードは恥ずかしさにさらに赤く、小さくなった。
「あ、これ、もしや本命チョコですの?」
ジョーカーは箱の奥深く、切り崩した山の隙間から小箱をみつけると、それを取り出すさま、ライドワードの目の前へ突きつけた。
「・・・ほぇふわぁっ!!」
ライドワードが口にチョコを含んだまま、動揺する。
答えになっていなかったが、赤らんだ顔とその動揺がそれを物語っていた。
小箱を奪い取ろうと手を伸ばしたが、すかさずジョーカーがその手を避けてかわした。
「いや〜ん、渡すに渡せず、捨てるに捨てられない未練がここにぃぃw」
ジョーカーは高笑いながら、その身をくねらせる。
「かわいーですわー、乙女ちっくですわ〜w」
奪い取ろうとするライドワードの手を避ける、避ける、避ける。
幾度目か、テクニカルにフェイントを織り交ぜ、ライドワードはそれを奪い取ると
息を切らせながらそれを抱きかかえた。
「あ、の、ああ、アレよね、もう食べあきたよね、ホットチョコにでもして、食べ方変えてみよっかっw あはははははッw」
あからさまに照れ隠しとわかるそれをしながら、ライドワードが調理場へと消えた。
「味のほうは、思い出の効いたビター味で〜♪」
遠くから自分の言葉に笑うジョーカーの声が響いていた。
ライドワードはちぃっっと舌打ちすると、小箱から取り出したチョコレートを溶けやすいように小さく砕いた。
なべにかけた牛乳が人数分よりやや多かったが、あまり見たくはないチョコレートを溶かして消してしまうには充分な量だった。
「……はぁ……」
思い出は解けて消えると、ホットチョコレートがそこに出来ていた。
ライドワードはそれを2つのカップに移し変え、ジョーカーの居る部屋へ戻る。
ふと見たジョーカーのよこにアラームがいつのまにか座ってた。
「もが・・・んが・・・おじゃましてまーすっ!」
ライドワードに気付いたアラームが口いっぱいにほおばったチョコレートを一飲みにして言った。
「いい加減、食べ飽きたので、強力な助っ人を呼びましたわ〜。」
少し食べ飽きてげんなりした様子のジョーカーが答えた。
その間もアラームは忙しそうにチョコレートをほおばっていた。
「ライドお姉ちゃん、チョコレート美味しいねぇw」
幸せそうな表情をしたアラームの顔ががライドワードに向けてられた。
ライドワードはアラームの口の周りについたチョコレートを優しく拭い、その横の席へとついた。
「ほらほら、急いで食べるから口の周りにチョコがついてるっ。ゆっくり食べれるの。
あと、これ、飲む?」
そういって、ライドワードはホットチョコレートをアラームとジョーカーの元へ差し出した。
「わーいw」
「うぇ、やっぱりもう胸やけしそうなのでチョコは結構ですわー」
差し出されたホットチョコレートに対象的な反応を見せた。
何も知らないアラームは無邪気にホットチョコレートを飲んでいた。
その様子に、ライドワードから微笑みがこぼれる。
「お姉ちゃん。どうかしたの???」
「ホットチョコにひそかに込められた大人の苦味に気付かない、そんなおこちゃまぶりを笑ったんですわー」
これまでの経緯を暗に隠しながら、ジョーカーが悪戯っぽく言う。
「なにそれー、アラームおこちゃまじゃないもんっ!それにこれ苦くなんかないよー?」アラームが見せるようにカップを差し出した。
「その空気の読めなさが、おこちゃまなんですわ〜w」
ジョーカーがさらに笑う。
ライドワードはそれを見ると、もう一度、小さく笑った。
カップにはすでにホットチョコも、チョコレートの片鱗もない。
チョコもチョコを渡すことも、所詮、消えて無くなってしまうようなことで、
本当に大切なことはそんなことではない、そう思うとチョコレートやその思い入れに固執していた自分に軽く自嘲した。
―トントン。
不意を付くようなノックの音が部屋に響く。
「はい、どなたです?」
ライドワードが問いながらドアを開けた。
「すまん、アラームのやつ来てるか?あいつ、MAの掃除当番をサボっ…あ、居たっ」
荒武の声がすると、他の人より頭ひとつ分程度、大きい彼の視界がアラームを捉えた。
「こら、アラーム、お前、MAの掃除当番だろっ!」
ライドワード越しに荒武が言った。
「レディのお茶会を野郎が覗くものではないですわ〜」
「あ、ごめんなさい。私達がアラームを呼んだの」
ジョーカーが顔も向けずに言い、ライドワードが言葉を付け足す。
「えへへ、ごめんなさい、忘れてたw
でも、チョコレート美味しいよっ! 隊長もどうですかぁ?」
チョコレートで幸せを充填しきったアラームがホットチョコレートの入ったカップ、
―ちょうど、ジョーカー用のカップだ―を持って隊長に駆け寄った。
「いや、俺は甘いものは…」
苦手だ、という表情をするが、アラームは無理に薦めた。
自分が好きなものはみんなも好き。少しそういった勘違いもあった。
「…あ、その、疲労回復とかにもいいから…」
ライドワードもおずおずと上目使いで、そして目線が合うと、すぐさま目線を
はずしながら付け加える。
わかった、わかったと言いながら、カップを手に取り一口だけ荒武はホットチョコレートを飲んだ。
押しの強いアラーム薦めと、珍しいライドワードの薦めに負ける形だった。
「・・・すまん、気遣いはありがたいが、やはり甘いのは苦手だ・・・」
荒武はライドワードに飲みかけのカップを渡した。
ライドワードは赤くなった顔をうつむいて隠し、カップを受け取ると、こくこくと首だけで頷いて返事をした。
「アラーム、すぐ掃除当番に戻るようにッ、いいなッ!」
アラームに向き直し、連絡だけを告げると荒武は、邪魔したとだけ告げて部屋を去った。
「じゃあ、お姉ちゃん、私、当番だから行ってくるね、チョコレートご馳走様〜w」
カップを両手でもったまま、赤面・硬直するライドワードの横を通り、アラームが荒武のあとを追うように部屋を出て行った。
「友人として、『遅くなったけど、チョコ渡せたね♪』とか、こそばゆい言葉もありましょうが、どっちかというと、この後にそのカップに口つけて、間接チス(キス)とか乙女全開シーンをやってもらって、それを激写したい…ところなのですが、まぁ、今日のところは前者でカンベンしときますわ〜、よかったね〜っと。」
と、ジョーカーは言いたいことだけ行って部屋を去った。
ライドワードは一人静かになった部屋で、後片付けを始めた。
渡せなかったチョコレートが、意外な形で渡った動揺が自分でも新鮮で、
片付けの間、度々思い出しては、うれしくも恥ずかしくなり、そして、小さく笑った。
ライドワードは以前読んだ物語の一文を思い出していた。
曰く、"チョコレートは人を幸せな気持ちにしてくれる。"
今日はそんな幸せの魔力を少しだけ感じた、そんな日だった。
「来年こそは」
―大切なことをなにかを遂げたい―そう思うのは例年と同じだったが、
少しだけチョコレートの魔力に背を押され、少し前へ踏み出せた感じがした。
<end>
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