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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】
- 91 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/11(月) 10:04 ID:DbbnxvdA
- 少女は、楽園がやって来ることを信じていた。
けれど…
「あのね」
「皆が幸せになれる楽園なんて、最初からなかったの」
ほんの僅かな齟齬。しかし、たちまち壊れた精密な時計の針は、逆さ巡りに動き始める。
誰もいない楽園めがけて、堕ちる様に針は進み始める。
嗚呼。けれども。
「だったら。それが最初からないなら。わたしは誰もいない楽園が欲しい」
真っ白い顔と黒い髪。虚無が、細長い切れ込みを笑みの形に刻み込む。
少女は、真逆となってさえ、楽園を目指していた。
「誰も、誰一人いない。穏やかで、優しい楽園がほしいの」
神も人も。魔も。誰も彼もがいなくなった、楽園を。
『畜生…っ!!たった一匹に騎士団一師団が容易に壊滅とは…っ』
『化け物め!!化け物め!!化け物…ッ!!』
『プリースト!! プリーストは何処だ!?俺の…俺の脚がっ!!』
『神様…神様…っ!! クソッタレ…一度ぐらい、頼みを聞いてくれ!!』
背には、機械を継ぎ接いだ翼。空っぽになった心には、真っ黒い液体をたっぷりと注ぐ。
そして、手には剣。時計針の形の大きくて歪な剣。
『どうして、あの娘がこうなるのを止められなかったのだ、管理者!!』
『……言い訳はしません。ですが、今は目の前の脅威に対応すべきです。ダークロード閣下』
『トリスタン、それに神軍に至急連絡をつけるとしよう。非常事態だ…文句はないな、ダークロード』
『早すぎるユミルの復活。そして人と魔、更には神まで巻き込むか…バフォメット、まるで、1000年前の再現だな』
振り下ろされる剣は、誰も彼もの首を刎ね。誰も彼をも分け隔てなく殺していく。
『進めーっ!!グラストヘイムの意地にかけても奴をジュノーに到達させるな!!』
『こうなってしまったのは残念だけど…絶対に、止めてみせるわ。アラームちゃん』
『…僕が相手だ。僕の子供達を、これ以上手にはかけさせない』
嗚呼。けれども。進んでいく時計の針は、全てを等しくひき潰していく。
『…彼らには、犠牲になってもらうつもりでした。
後の世、我々がエゴだの、悪魔だのと言われようと知ったことではありません。
それでも私は絶対に、取り戻したい。私達は…』
『あの娘の家族、だ。 解ってる』
こちこちと。真逆の楽園目指して時計の針は滑り落ちていく。
『貴様等は、これから最大の試練に直面する。
成功の二文字だけを脳に叩き込め!!いいか!!いかなる蛮勇も無謀も許さん!!
必ず、成功させるのだ!!荒武隊総員、最大最後の大仕事と思え!!』
『アイ・アイ・サー!!』
『征くぞ!!』
誰も彼も。少女自身さえ死に絶えた楽園で。
『…荒武達や剣、皆が稼いだ時間を無駄にはできんぞい。梟の。オババ。クロック殿、準備はできたか?』
『最後まで、貴方は私を梟と呼ぶか…まぁ、今ぐらいはいいでしょう。準備はできてますよ』
『アタシら以外は誰も、あの娘を許さないじゃろうが…四の五のいってられんわい。アタシ等にとっちゃハナから取り戻す為の戦いじゃ』
『みなまで言うな、バースリー殿…さて、時計塔一世一代の大仕掛け…起動するぞ!!』
その平らな地平を楽園と呼ぶ存在は何なのであろうか?
…けれども、戦の轟音に、天をつんざく砲声に、疑問の言葉は掻き消され。
「あのね。アチャスケさん」
楽園を、一途に少女は目指す。
無数の矢と魔法を身に。無数の死体で、その道を固め
「やっとね、楽園、できたんだよ」
人と魔と、神さえも死に絶えた大地。
望みと引き換えに翼をもがれ、剣を折られて少女は、漸く、微笑んだ。
「あれ…おかしいよ。よくアチャスケさんの顔が見えない…
でも、きっと笑ってるよね。アチャスケさん、笑ってるよね」
何もない。何処までも静かで穏やかな世界は続く。
『馬鹿だよ…お嬢は、馬鹿だ… 聞く奴のいない詩歌いに…何の意味があるってんだよ』
ただ一人。詩歌いだけが。やっと微笑みを取り戻した少女を看取る髑髏の、死者の詩歌いだけが其処に。
「あのね…あちゃすけさん。こもりうた、歌って。すごく、眠いの」
『なっ…』
「それにね…きねんにききたい…やっと…」
『ああ。ああ。解った…解ったよ。だから、静かにな。
とっておきを歌ってやる。歌ってやるから…』
だからせめて、俺が歌い終わるまでは、眠らないでくれ、アラーム。
……楽園。それは一体なんなのだろう?
そこに、相争う存在など必要なのだろうか?
白と黒は混じりあい、永久に続く灰色を作り出す。
劇場版『時計塔物語_Bad-end』
/主演:黒アラーム アチャスケ(バドスケ)
/出演:時計塔の面々と、台詞から連想される何かな人々
/監督:七誌乃伍ン之兵衛
2006/4/1上映未定
…少女は願う。ただひたすらに、楽園を。
髑髏は嘆く。誰も彼もが居なくなった楽園で、たった一人。
…モチロン、ゼンブジョウダンデス ホンキニ シナイデ クダサイ
アト、イロイロゴメンナサイ・・・アタマノナカニ ヘンナコビトサンガ スンデルンデス・・・
サイシュウヘイキカノジョ オモイダシテタラ、ヘンナコエガ キコエタンデス・・・orz
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