【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】
[323:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/12/23(土) 00:27:03 ID:lzPX/yPg)]
>>322
頂きました。
クリスマスの夜。
ゆっくりと静寂が歩み寄る町並みをアラームは時計塔から眺めていた。
いつもはとうに就寝の時間であったが、今日ばかりはーいつも変わることなく優しいがー周りの大人たちも寛容になって、その夜更かしを見守るようだった。
「くしゅっ・・・・」
アラームがくしゃみをした。
思いのほか夜も更けて、ぐっと気温も下がっていた。
外を眺めるアラームの陰から、そっと手が延びて窓がゆっくりと閉められた。
「・・・もう寝る時間よ?」
窓を閉めるライドワードが優しく微笑みかけて言った。
窓と部屋を何度も名残惜しそうに目配せすると、「はぁい」とだけ答えた。
アラームはなおを待ちわびるように窓の外を眺めてた。
「夜更かしする子には、サンタさんも来ないゾw」
ライドワードがたしなめるように言う。
自身も少し恥ずかしいことを口走ったように思えてを自嘲気味に。
「いいもん、サンタさんが来なくたって。」
アラームが背伸びをしてやっと届く窓の硝子の隅には、アラームの顔がちょこんと乗っかるように映っていた。その顔は少し憮然として頬が膨らんでいた。
「・・・こほん・・・時間なので、よい子も悪い子もベットに移動ぉー」
実力行使とばかりにライドワードがアラームを抱き上げた。
アラームはいやいやをして、手足をばたつかせてライドワードを困らせた。
――コツン。
窓ガラスが小さい音がなり、その音で二人は止まった。
二人目を丸くして合わせると、まるでひとつの意思で動いたかのように二人は窓の外を眺めた。
塔の下、やや暗い街角。や、もうちょっと右。
二人が目を凝らすと、こちらに気付いたのか、手を振る人影のが見えた。
きっと、さっきの音はそこから小石でも投げたのだろう、そしてその窓の場所を知っているということは時計塔の家族でもある証だった。
「あちゃすけさんだっ!」
乗り出すようにその姿を確認したアラームが、ライドワードのほうへ振り向き嬉しそうな声で待ち人の名前を呼んだ。
あまりに嬉しそうなアラームの顔に観念したか、ライドワードも「はいはい」とだけ答え、アラームを地面に下ろした。
「一緒に向かえにいこうね」
ライドワードをアラームの手をとって言い、アラームは満面の笑みをもって答えた。
二人は仲良く、ほんの少しだけ急ぎ足で時計塔を下っていった。
少しでもはやく会いたい、待ち人を向かえに。
聖なる夜だが、とくに奇跡も起こらない、いつもと変わらない日だった。
家族が家へ帰り、また家族がそれを迎える、そんな当たり前の幸せがそこにあっただけ。だけど、どんな奇跡より、プレゼントより、それが輝いていた日だった。
[END]
read.cgi ver4.20 by GlobalNoteScript (2006/03/17)