【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】
[337:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2009/08/16(日) 23:02:22 ID:wPQoQhUI)]
「やはり…気にかかりますね。―明らかに塔全体の出力が増している」
錬金術師がつぶやいた。
跳ね上がる計器、コンソールを通じて手から感じる手ごたえ。
その手ごたえは力強く、状況を考えれば、それは心強さのように思えた。
だが、その高まりが一向にやむ気配もなく異様なまで高まり続けていた。
―増殖炉への魔力の供給が予想以上に健闘してるから?
――この塔のポテンシャルが自分の想像以上のものだったから?
状況が万事うまくいく中、些細な疑問が錬金術師の心の奥に突き刺さっていた。
錬金術師としての熟練された知識が、それを危険ななにかと予知させていた。
「―いったい、なにが…」
だか、その熟練した知識を総動員してもなお、その危険の本質を掴めずにいた。
それにわずかな苛立ちを覚えながら、流れる計器とコンソールのモニタ情報を追い、
ただの杞憂であることを願いながら、全ての情報を洗いなおすように辿る。
高く響く胸の鼓動が焦りを覚えさせた。
そのせつな劈くような警報音が響き、錬金術師をおどろさせた。
ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「ケイホウ、ケイホウ――――侵入者アリ」
スフィアのいくつかから小さな窓が表示され、入り口周辺の映像を映す。
そこには剣を槍を切り結ぶ騎士たちの姿が映されていた。
「――なっ…なにをやってるんです!こんな時に!!」
懸念していたものとは違ったが、そこには作戦上ありえない光景が写っていた。
―それは味方同士の戦闘―。
わずかに見えた個々の綻びは、少しずつ互いに絡まりあい、
大きな非常事態へとなろうとしていた。
唖然と、その光景に見入った刹那、時を動かすように今一度警報音がなった。
ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「ケイホウ、ケイホウ――――――魔導炉エリア ニテ イジョウハッセイ―」
先の警報とおなじく、スフィアから小さな窓が多数展開し、魔導炉エリアの
様子を映した。それと同時に緊急の通信回線連絡が開かれた。
「―こ・・こちら魔導炉っ!ねぇ!そこにいるんでしょ!?返事をして!!」
慌てる様なウィザードの声が、警報音に入り混じるように飛び込んできた。
「な・・・なにごとですっ! 状況を説明してください」
錬金術師が即応が、その声もまたず、弱るような声が続いた。
その声は背景に叫び声のようなうめき声のような音がノイズのように入り混じる。
「・・・さっきまで! 手伝ってくれていた!
オークの人たちが・・・・・オークの人たちが、突然・・・・・」
息を荒げ、切れ切れした声が続き、一呼吸おいた後、叫ぶような声が響いた。
「―――襲ってきたのっ!!!!」
通信にあわせ、魔導炉エリアを移す様子が手早く切り替わっていた。
そこには、武器を手に襲い掛かるオークと、他のウィザード達の無残に襲われる姿と、
傷を負いながらもわずかにそれに応戦する修羅の光景が映されていた。
「―助け・・・」
言葉がおわるよりも早く、それを映すモニタが切り替わる。
「―どうしました!?返事をしてくださいっ!!」
モニタに喰らいつくがのように錬金術師ががなった。
その声を無視するように無作為にアングルを変えながら、魔導炉の様子が流れ続ける。
機器が故障したのか、その中をかいくぐり、舞い踊るように、その惨状が流され続けた。
<続く>
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