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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

1 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/13(月) 23:26:42 ID:YGD3peeM
このスレは、♂萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない、
萌えな自作小説の発表の場です。
・ リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ エロ小説は『◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第1巻◆』におながいします。

▼リレールール
--------------------------------------------------------------------------------------------
・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
・ 主人公は命の危機に遭遇しても良いですが、殺すのはダメでつ
--------------------------------------------------------------------------------------------
※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。

2 名前:勝手に追加 投稿日:2005/06/13(月) 23:35:35 ID:YGD3peeM
板内共通ルール:
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/2n

前スレ:◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え1冊目◆
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1036625306/

18禁はこっちで:◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第1巻◆
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1036625184/

♀萌え中心ですがたまに♂萌えも:【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第9巻【燃え】
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1108197722/

[萌え板外の♂萌え小説投稿所]
RO的♂萌集会所(コンテンツあぷろだ関連)
http://members.at.infoseek.co.jp/Cyber_surfrideR/

RO♂萌えSS投稿所
http://www3.realint.com/cgi-bin/tbbs.cgi?rosss

3 名前:勝手に追加 投稿日:2005/06/13(月) 23:37:01 ID:YGD3peeM
てことでスレ立てしますた。
>2に関して意見なり文句なりあったら次スレでは適当に直してくだちい。

4 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/14(火) 03:51:01 ID:fYaAoc8g
立替えお疲れ様です。
前スレで投稿したいと騒いでいた者です。
新スレが立ち、早速投稿させていただこうと思ったのですが、文に起こしてみたらかなりな量になったので、アプロダの方へ投稿させていただきました。
♂萌SSは初投稿ですので、どうか生暖かい目で見てやってください。(礼

ttp://cyber-surfrider.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/up2/updir/csk.txt.txt

5 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/20(月) 02:43:57 ID:U4r/Agns
 スレ立てお疲れ様です。
 僭越ながら、さっそく投稿させて頂きます。

-----------------------------------
 ……この頃、恋人のハンターがつれないんです。
 俺が高熱出して一緒に狩りに行けない間、彼は俺を置いてどこかに行ってます。
 そりゃ、「移る病気かもしれないから近づくな」と言ったのは俺自身ですが。
 でもやっぱり一人は寂しかったんです。
 と、こんな事をプリーストの姉に話したら「騎士のくせにこのヘタレ」と一笑されました。
「ただいま〜。ベルク、起きてる?」
 扉がトンと開いて、赤毛の頭がひょっこり覗きました――俺の相方のルイスです。ちなみに彼の鷹
の名前はピーチと言います。アレな名前ですが、一応雄らしいです。
 ピーチを止まり木の上に止まらせながら、ルイスは俺に背を向けたまま話し出します。
「今日はおみやげがあるよ〜。ベルクの熱がまだ下がらないって言ったら、リカルドさんがローヤル
ゼリーをくれたんだ」
「そう……。ありがとう」
 リカルド、というのは、彼が最近知り合ったブラックスミスの名前です。他にも二、三人分の、ブ
ラックスミスの名前が彼の口から飛び出します。どの名前も俺には覚えがありません。
 ルイスの口から知らない名前を聞く度に、胸奥がうずきます。
 確かに俺たちは男同士です。それでも恋人同士なんです。一応、恋人同士なんですから。少なくと
も俺は恋人同士だと思っています。……これ以上考えると鬱になるので止めます。熱で頭はぼんやり
しているし、体のふしぶしは痛むしで、ただでさえ思考は悪い方向へと行ってばかりですから。
 ぼうっとしていると、ルイスが固く絞った濡れタオルで俺の顔を拭いてくれました。濡れタオルは
ひんやりとして心地よく、汗もひいてさっぱりしました。
 ありがとう、と掠れた声でお礼を言うと、ルイスはにっこりと笑ってくれました。それだけで、俺
は嬉しいです。
 次の言葉で、気分はまたどん底に逆戻りでしたが。
「ベルク、明日はリカルドさんたちと泊まりがけで出かけてくるから」
 ――泊まりがけ、という言葉が気になりますが、今の俺にどうこう言う資格なんてありません。
「うん、わかった。俺の事は気にしないで。しっかり狩ってきなよ」
 ブラックスミスならカートがあるから罠も矢もたくさん持っていけるでしょう。収集品だってたく
さん拾って来られるでしょう。俺なんかと一緒に行くよりもたっぷりと狩場に籠もれるね。
「あ、いや……狩りじゃなくて」
 そこまで言って、ルイスはしまった、という風な顔をして口をつぐみました。
 彼の顔が赤くなっていることには、気付かなかったことにします。
「えっと、ごめん。詳しくは言えないんだ」
 ばつが悪そうな彼に、俺は首をゆっくりと横に振りました。
「いいよ。大丈夫」
 ――「君のこと、信じてるから」なんて言葉は、心の底から思っていても、言えませんでした。あ
まりにも白々しくて。

6 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/20(月) 02:45:50 ID:U4r/Agns
 次の日の朝、沈んだ気分とは裏腹に俺の熱は少し下がっていました。とりあえず、起きて動き回れ
るぐらいには。
 隣室からルイスが出かける準備をしている音が聞こえます。
 俺は部屋の隅に置いている自分の剣と鎧に目をやります。さすがに、それらを身につけて出歩ける
ほど体力は回復していません。第一、いきなり俺がついていくと言っても、ルイスはよしとしないで
しょう。
 最良の選択は、たぶん、何もかも忘れて再びベッドに潜り込むこと。
 でも、俺は我慢できませんでした。


 群衆の上を飛んでいるピーチを目印に、俺はルイスのルイスの後を追って、プロンテラの大通りを
歩いています。
 結局、悩んだ末に、俺は私服に着替えて、ルイスを尾行することにしました。ある意味、これが恋
人に対する裏切りだとはわかっていても。それでも、あのままベッドに潜り込むことはできませんで
した。
 さすが首都の大通り。露店やそれを見て回る人、冷やかす人、臨時へと向かう人やらでごった返し
ています。一度にたくさんのものが視界に入ってくるせいか、少し頭がふらふらしてきました。
 くらり、と立ちくらみに襲われて俺は思わずたたらを踏みました。はっとして、慌てて頭を上げて
も、見慣れたピーチの姿はどこにもありません。もちろん、ルイスの姿も見えません。
 見失いました。
 呆然と立ちすくむ――なんてことができません。そんなことしたら、すぐに後ろから罵声が飛びま
す。とりあえず人の流れに乗って、俺は大通りから横道にそれました。
 ルイスを見失って、一気に気が抜けたのか、頭ががんがん痛みだしました。おとなしく帰ろうと思
っても、足になかなか力が入りません。
 道端にへたり込みそう……。
「あの、顔色悪いけど大丈夫?」
 そう言って、誰かが俺の肩を支えてくれました。
「あ、どうも。すみません」
 声のしたほうに顔を巡らすと、心配そうな表情の男性が見えました――白いシャツにジーンズ――
ブラックスミスです。ふんわりとした耳当てが、銀の髪によく似合っています。背こそ俺と対して変
わらないほどの高さですが、なんというか一言で言えば「可愛い」に尽きる顔つきをしていました。
世の中、ほんとにこんな可愛い男もいるものなんだと、場違いに思ってしまいました。
「顔が真っ青通り越して、蒼白だよ。ちょっと休んだほうがいいよ」
「え、あの」
 気がつけば、俺はそのブラックスミスのカートの中でした。今、この可愛いブラックスミスさん、
俺の体をひょいと抱え上げませんでしたか? 俺、筋肉質なのもあって結構体重あるんですが……?
 軽々と彼はカートごと俺を運んでいきます。いったいどこに行くかはわかりません。
 ほんの少し行くと、並木が見えてきました。その木の下に、ブラックスミスが幾人かいるのが熱で
霞み始めた視界に映りました。どうやら、そこに俺たちは向かっているようです。
 ごとん、とカートが止まります。到着したようです。

7 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/20(月) 02:46:44 ID:U4r/Agns
「こんにちは〜」
 銀髪の可愛いブラックスミスの挨拶に、スイートジェントルを被ったブラックスミスと、狐面のブ
ラックスミスが応えました。
「よぉ」
と、スイートジェントル。
「こんちゃ〜」
と、へらへら笑いながら狐面。
 俺の存在に気付いたのは狐面のブラックスミスが先でした。
「ディック、今日は変わった売り物を持ってきてるんやね」
「商品じゃないよ。気分悪そうだったから、ここで休ませてあげようと思って」
 得意げな銀髪ブラックスミス――ディック――に対して、スイートジェントルのブラックスミスが
溜息をつきました。
「……人間を犬猫のように拾って来るなと言っているだろ」
 彼はわざわざ俺に向かって迷惑をかけた、と頭を下げてきました。
「いえ、助かりましたから。たぶん、ディックさんが来なかったら俺は道端で倒れてましたし」
 ディックさんに助けられながら、俺はカートの中から木陰に移動しました。クッションが差し出さ
れましたが、丁重に断りました。さすがに、初対面の人にそこまでして貰うのは心苦しいです。
「これでも飲んでおきいや」
 差し出されたリンゴジュースはありがたくいただくことにします。
「わての名前は、シコン。向こうで斧磨いとるのは、リカルドや。これも何かの縁や。どうぞよろし
く」
 シコンさんの言葉に合わせて、スイートジェントルを目深に被っているリカルドさんが軽く会釈し
ました。ディックさんはにこにこと笑っています――やっぱり男とは思えない可愛らしさです。一見、
アンバランスで変わった人たちですが、この三人は皆悪い人ではなさそうです。
 ――はて、リカルド、ディック、シコン……どこかで聞いた覚えがあります。けれど、熱が再び上
がってきた頭では、うまく思い出せません。
「無理をするな。休め」
 リカルドさんが、何かひんやりとした物を俺の頭の上に乗せてくれました。冷たくて気持ちいいん
ですが、何なのか気になります。
「風呂敷の中に砕いた氷片を入れただけだ。安心しろ」
 リカルドさんは、俺の不安の意味をすぐに察してくれました。凄く大人で格好いい人だと思ってし
まいました――俺も、もう少しこんな風だったら、ルイスも……。
「リカルドの風呂敷は防水加工だから安心だね」
 露店にいろんな種類のぬいぐるみを並べているのはディックさん。
「氷片……亀島に行くなんて正気の沙汰やない」
 あんな所には怖くて行けへん、とぼやいているのはシコンさん。
「シコン、何を言うかと思えば」
 呆れたように溜息をついたリカルドさんに、シコンさんは言います。
「わては銭を儲けるのが好きなんや。戦うなんて怖くてでけへん」
 その言葉に対して、リカルドさんは無言で肩を竦め、ディックさんはあははと笑っています。
 どうやらシコンさんは戦うのがあまり好きでないようです。
 俺としてはそれもありだと思います。ブラックスミスは商売もできますし。
 しばらくの間、俺は三人が露店している様子を眺めながらうつらうつらしていました。
 物凄い音が聞こえるまでは。

8 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/20(月) 02:48:00 ID:U4r/Agns
 まず最初に甲高い悲鳴。
 そしてガシャガシャという鎧の音。
 その後は、馬のいななきや、蝙蝠の鳴き声、ぼこぼこという得体の知れない音などが一斉に聞こえ
てきました。
 ――テロだ。
 条件反射的に剣をとろうと腰に手をやって、今日は一切武装していないことを思い出しました。
「相変わらずだな」
 リカルドさんは落ち着き払って斧を手に取ります。
「嫌やぁ、逃げんと」
 シコンさんは慌てた様子で露店に並べていたものをカートに仕舞っています。
 やかましい音を立てながら、俺たちのところにレイドリックが走り込んで来ました。  ガッ
 耳障りな音と共にレイドリックが振り上げた剣が、リカルドさんのツーハンドアックスに弾かれま
した。リカルドさんが一歩前に出ます。
「……アドレナリンラッシュ!」
 彼が叫ぶのとほぼ同時に、斧が大きく横に薙がれました。速い。レイドリックはもろに斧の攻撃を
胴に受けています。
 両手斧というのは、威力はあります。けれど、盾がもてないので防御面では不安が残ります。
 そんなハンデをリカルドさんは感じさせませんでした。彼は攻撃をかわし、そして敵の攻撃よりも
速く、斧を叩き込んでいます――強い。
 リカルドさんの背後に、カーリッツバーグがふわりと現れました。その大きな腕がゆっくりと振り
上げられて、そして振り下ろされます。
 「危ない」と俺が叫ぼうとした直前、カーリッツバーグの腕が根元から吹っ飛びました。文字通り
吹っ飛びました。
「助かった」
 レイドリックを屠り、ウインドゴーストの相手をし始めたリカルドさんは、ぴたりとディックさん
と背中を合わせます。
「うまくクリティカルが入って良かった〜」
 と、ふわふわの耳当てをつけたままのディックさんが笑います。そしてディックさんは、手にして
いたツーハンドアックスをカーリッツバーグに叩きつけます。
「ラウドボイス! オーバートラスト!」
 斧がカリツの胴体を大きく穿ちました――俺は騎士で力もそこそこつけていますが、このような芸
当はできません。ディックさんの攻撃はスピードこそありませんが、一撃一撃がとても重いです。痛
そうです。正直、俺はこの身に受けたいとは思いません。
 リカルドさんとディックさん、二人は白ポットを使いながら、戦っています。
 俺は、うまく体を動かせないでいます。
 そういえばシコンさんは……、彼はちょうど露店の商品をカートに仕舞い終えたところでした。
「シコン、お前も加われ」
「え〜?」
 リカルドさんに睨まれて、シコンさんは嫌そうに顔を歪めています。シコンさん、テロですよ?
非常事態ですよ? なんというか、ここまでくると男としてちょっと情けないですよ?
「わては戦うのは嫌やのにっ……」
 ――俺に向かって涙ぐまれても困ります。
「戦わないと死んじゃうよ〜」
 ディックさんの言葉に、シコンさんは嫌々ながらも自分のカートから斧を取り出しました――この
人も斧使いのようです。
 折しも、シコンさんに向かってミノタウロスが突進してきました。
 シコンさんの斧が弧を描き、ミノの体を薙ぎました。
「わての前に立つなんてええ度胸や!」
 傾いだミノの体を踏み台にして、シコンさんはその向こうにいたアサルトタートルに続けざまに攻
撃を加えます。
 ミノとアサルトを瞬く間に屠った後、彼は衝撃でずれてしまったミニグラスをくいと人差し指で直
し、吸っていた煙草を落としました――ポイ捨てはダメですよ、シコンさん。
 大きく息を吸い、シコンさんは叫びます。
「ウェポンパーフェクション! マキシマイズパワァァ!」
 そして敵の大群の中に身を踊らすと、周囲の敵を斧でなぎ払い、時に足を使って蹴り倒し、カート
を振り回してはり倒し……目に入った物はとりあえず殴っています。
「カートレボリューション! メマーナイト! 死にさらせぇ!」
と、叫ぶ姿は数分前とはまるっきり別人です。バーサクポーションを一気に飲み干し、白ポ・青ポと
メマーを湯水のように使っています。武器を持つと人格変わる人って本当にいるんですねぇ。
 シコンさんの豹変ぶりに、ディックさんとリカルドさんは慣れているようです。ディックさんはけ
らけらと笑っているし、リカルドさんは呆れ気味の表情をしています。
「さすがオーラ一歩手前だけあるよね〜」
「ディック、笑っている暇があればお前も狂気を飲んでおけ」
 二人ともバーサクポーションが飲めるぐらい修練を積んでいたんですね。木のカートだったので気
付きませんでした――「ベルクは外見だけで物を判断しすぎだよ」というルイスのアドバイスが思い
出されます。

9 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/20(月) 02:53:24 ID:U4r/Agns
 三人のブラックスミスの活躍と、他の冒険者たちの活躍もあってテロは沈静化しつつあります。俺
は木の下で座り込んで何もやっていませんが。
 ぶっちゃけ、今まで俺のところにモンスターが来なかった事のほうが不思議でした。
 だから、最後の最後で彷徨う者が俺の目の前に立ったことも、ある意味自然なことです。
 彷徨う者が腰の剣を引き抜き、俺に向けたのが、スローモーションのようにゆっくりと見えました。
 ――やっぱり、ルイスの事をちゃんと信じていなかった天罰かなぁ。
 彷徨う者に気付いた通りすがりの騎士さんが、タゲをとろうとしてくれましたが、俺からタゲは移
っていません。
 禿に攻撃は当たりにくいですからね。星入り武器じゃないと。
 禿の剣が体に食い込むところを想像して、俺は少し身震いしました。そして目蓋を閉じます。あん
まり痛くありませんようにっ。
「俺の弟の恋人に手を出すな!」
 そんな声と同時に、耳元でひゅんと風のうなりを聞きました。
 慌てて目を開けると、チェインを振るっているブラックスミスの姿が見えました。炎のように赤い
髪は、きっちりと逆立てられています。赤い髪に、白いヘッドホンがよく映えています。そして彼の
足元には凛とした青い光。
「製造BSを舐めるなよ」
と、その逆毛ブラックスミスはチェインを彷徨う者に振るいます。凄い、攻撃が全部当たっている。
その代わりに彷徨う者の攻撃を全部受けていますが、それは周囲のプリーストさんたちがカバーして
います。
「ダブルストレイフィング!」
 聞き慣れた声と共に、土矢が禿の額に突き刺さりました。
 そして、ストームガストの氷の嵐が禿も含めて周囲を包ます。氷の嵐が消えたときには、もう、モ
ンスターは一匹もいませんでした。テロの殲滅完了です。
「ベルク! だいじょうぶ? どうしてここにいるのさ」
 ルイスが驚いた様子でこちらに駆けてきました。ピーチもいます。
 さっきのDSはやっぱりルイスが撃ったようです。
 ブラックスミスの三人組もこちらにやってきました。
「え〜! この人がルイス君の彼氏だったの?」
 目をまん丸にしたディックさんに対して、リカルドさんは呆れ顔、シコンさんは苦笑いです。
「気付いてなかったのか……」
「ルイスの惚気とそっくりやない」
 ルイスのほうを向いてみれば、顔を真っ赤にしていました。
「こ、こんな所でそんな事を言わなくても!」
 なんだか、うまくまとめて考えられません。とりあえず、ルイスとこの三人のブラックスミスは顔
見知り……今、思い出しました。リカルド、ディック、シコンって、この頃ルイスからよく聞いてい
たブラックスミスの名前です。
 じゃあ、この人は? と俺は赤逆毛のブラックスミスを見上げました。
「俺の弟が世話になってる」
と、その人はルイスの頭をぽんぽんと叩きながら俺に言いました。
 ということは、この人はルイスのお兄さ……いやいや俺のお義兄さん?!

 そこで俺の頭の処理能力は限界に来ました。
 熱でオーバーヒート。
 お義兄さんの前で失神するという失態をやらかしたのです……。

「全快しないのに歩き回ったりするからだよ!」
 ぷりぷりと怒りながら、愛しい恋人は、俺の枕元でリンゴなぞ剥いてくれています。夢のようなシ
チュエーションで、俺の顔が少々歪んでいるのは許してください。
 無理をして外出してから既に三日経っています。これまで三日間、俺はずっと寝込んでいました。
特製の苦い薬を三日間飲み続けて、やっとベッドの上で体を起こせるぐらいになりました。
 体調はまだまだ悪いけど、俺はとっても上機嫌です。
 ルイスが尽きっきりで看病してくれたから。
 そして、彼が俺のために、武器製造を依頼していたことを知ったから。
 俺が寝込んでいたときに出かけていたのは、鉱石を集めるためだったそうです。
 今朝、彼のお兄さんが直接持ってきたくれました。
 ファイア、アイス、ウィンド、アース、四属性全部のクレイモアを。
 しかも、どれも星の欠片が混入されており精錬までされていました。

 何より嬉しいのは……!
 俺にクレイモアを渡すときに、お義兄さんはこう言ってくれたんです。
「弟のこと、頼むな」
 予想外の嬉しい言葉でした。
 その時のルイスの照れた顔の可愛さと言ったら、今思い出しただけで、熱がまた上がってきました。
「ほら、これを食べたらもう一度寝ること」
 リンゴを口に入れてもらいながら、俺はしみじみ思うのです。
 ――なんて幸せなんだろう。

-----------------------------------

♂萌えスレの
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1085424497/43-47
の書き込みにある格好いいBS'sを書こう、というのが目標でした。
が、気がつけば乙女な男騎士の話になっていましたorz
ここまで読んでくださってありがとうございました。

10 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/20(月) 22:40:59 ID:cKqJ3RJM
萌えキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
BSさん達がものすごく壺でかっこよくて鼻血の海でのたうち回りました!!
主役のお二人もほのぼので甘甘で良かったです〜(*´д`)

11 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/28(火) 19:06:56 ID:awctdwSU
コッソリ。
♂萌え板初参入なのですが、質問。

やっぱりカップリングじゃないと萌えには入りませんでしょうか。ただのキャラ愛SSはスレ違い?(・ω・`)

♂wizzzzzVS♂アサスィンのSSを書いてみましたよと
カップリング要素欠片も無い場合だめぽですかね_| ̄|○


と誤爆した俺が来ましたよorzOTZ○| ̄|_

12 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/28(火) 19:42:38 ID:UdZsqc32
>11
まずは書け。話はそれからだ。

13 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/28(火) 20:06:57 ID:awctdwSU
>12
もう書いて有るんですがNE!
バトルシーンオンリー、妄想150%ブーストにて

壁|<アアアアアア

14 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/29(水) 00:12:36 ID:FcA1itgA
>11
カプじゃなくてもイイジャマイカ。
バトルは燃える。

燃え転じて萌えともなる。

てなわけで、投下希望!

15 名前:11 投稿日:2005/06/29(水) 01:49:21 ID:wlu9kp6k
スレ違いでない事を祈りながら。
wizVSアサ、戦闘オンリーもんです。ネタバレながら「アサは最強、負けるなんていや!」な方は読み飛ばしお願いします。
ゲーム本中じゃ有得ない事も御座居ますので、どうか御考慮を。

-----------------------------------------------------

 月が奇麗に輝く夜に。
 撒き散らされる殺気、迸る閃光。木々の充ちる森の中、闘う蔭が二つ。

 ひとつは呪紋を縫い取る法衣を着重ね、淡く輝く杖を携え、その眸にモノクルを嵌めた魔術師。ひとつは、夜色の衣を纏い、漆黒に塗られた刃を手に闇に紛れる暗殺者。

 咥内で小さく言葉を紡ぎながら、辺りに意思を這わせる。流石に呪文を詠唱中に飛び込んで来る程相手も無能では無く、木々の蔭から暗殺者は様子を伺っている。詠唱が深まるにつれ魔術師の廻りの氣が闇の中うねり、肉眼にも観て取れる魔導力の昂ぶりが収束して、高熱度の光球が、その手にした杖の切っ先で瞬いた。
「ファイヤーボルト!」
 杖に示された宝珠が眩い光を放ち、幾つかの紅の珠が生まれる。呪と共に虚空に出でた焔の珠は闇を甞め夜を呑み、火の粉を迸らせながら冷たい夜気を焦がしていった。その直線上に在るのは、夜よりも昏い法衣を纏う闇に生きるものの姿。装束の端を焼き切って、その煙を巻いて暗殺者は闇に再び紛れた。木々を渡り、闇と同化し、姿を隠して息を殺す。
 爆発的に――否。言葉通り一辺の空気中の酸素を吸い上げて焔の爆発を巻き起こしたその衝動は、瞬間的に酸素を暗殺者に欠乏させた。その一瞬の目眩が暗殺者を襲い、しかしバランスを崩す事無く闇へとその身を躍らせた。
 辺りに茂る木々はその生命を火へと消してゆき、あるものは炭化し、あるものは崩れ灰になる。魔術師はそれを気にも留めずに次なる詠唱を始め、周囲への殺気は逃さない。

 互いに闘いに慣れていた。魔術師の立ち回りは常に生と死を行き来するもののそれで、暗殺者は言う迄も無く。しかしながら魔術師のその巧みに、暗殺者は懐に近寄る事も出来なかった。
 ――魔術師相手には、咽喉を掻くのが最も良い。魔術の網を掻い潜り、近接戦の苦手な魔術師の懐に飛び込めば、後は簡単だ。詠唱を中断させるべく咽喉を潰し、後はただ死を贈る。要は詠唱さえ途切れさせれば勝機は在る。……だが、魔術師は、いつものそれと勝手が違った。俊敏な動きで敵を翻弄する事も識っていて、魔術師特有の隙が無く、暗殺者を恐れている様子だって無い。
 彼は闇を恐れるどころか、どこか楽しんでいるようにも観得た。
「どうした、暗殺者。私を殺すのだろう」
 ぱちぱちと、木屑の燃える音のみの残る森の中。
 あからさまな挑発を、魔術師が浅い笑みと共に溢した。まるで遊んでいるかのように、その指先で、小さな灯の珠がくるくると廻っている。瞬時暗殺者の殺気が膨れ上がるが、けれども即座に飛び出す様な真似はしない。
 暗殺者は魔術への耐性等皆無だった。何せ木々を灼き尽くす程のそれだ。相手の攻撃を一撃でも喰らえば即死に近いダメージになるだろう。しかしそれは、魔術師にとっても同じ事。要は、互いに一撃与えれば終わり。そういう闘いだった。

 ぱちり。又、燃え滓となった大樹から、火の粉が上がる。
 揺れる紅を眸の向こうへと見据えながら、暗殺者は口唇を咬む。
 接戦を得手とし、人を殺すことを生業とする暗殺者が、標的を斃せずにいる。それも、遠距離攻撃の使い手とはいえ、机上に建てられた’呪文’を使役する魔術師に、敵わずにいる。挙句、挑発迄掛けられる始末。暗殺者にとって、それは屈辱以外の何者でもなかった。相手が魔術師だから、だとか、その様な御託は何ひとつ関係無く。唯純粋に、闘いの最中に挑発を相手が掛ける程の余裕がある、ということが、何より暗殺者の気を苛立たせた。
「来ないのならば此方から。……好いかい?」
 暗殺者が動かないことを見て取ると、魔術師は眸を眇めて、まるでお茶に誘うかのように言った。あからさまに馬鹿にしている。明らかな挑発、けれども事実。
 彼は杖上で揺れる光球を投げ抛るように杖を振り被り、暗殺者の潜む茂みへと無造作に杖を突き出す。スピードは上々、大きさは、見た目ではそう攻撃力は高くは見えない。けれど瞬時、何かを察知したのか光球が届く前に暗殺者はそれらを叩き落すように飛礫を投げ放ち、同時に砂利を握り樹上に跳んだ。
 途端、響く爆音、飛び散る燈の飛沫。投げられた飛礫に弾かれた光球は、矢張り高熱度の焔を撒き散らしながら霧散する。生い茂る葉は焼け焦げ、水分を蒸発させてばらばらと崩れ、燃えてゆく。その攻防の間にも間合いの離れた位置で詠唱を続ける魔術師を横目に、暗殺者は高温度の空気の渦巻く中、息を止めて地に降り立った。下手に呼吸をすれば肺が灼かれてしまうような迄の熱気を浴びながら、爆炎を背に暗殺者は魔術師へ距離を詰め、肉迫する。
 煙に紛れ詠唱完成の隙を与えないスピードで相手に張り付いて、懐に潜めた小刀を一閃。――の、筈が。
「――速いな」
 小刀を魔術師の咽喉を狙って突き出し、けれど飛び散るものは紅でなくキン、と金属物が弾き合う鋭い音。鋼の刃が材質不明――けれども極めて硬質な杖の柄に受け止められ、魔術師の咽喉許で交錯する。暗殺者は驚愕故に眉根を寄せて怪訝に魔術師を睨み付けるが、されど魔術師は関しないといった様子で杖に力を籠める。
 ほう、と感嘆の息を籠めた声は魔術師のもの。
 馬鹿にしている訳でもなく、唯事実を彼は述べている心算なのだろう。だが、それは暗殺者にとって嘲りにしかならない。接戦を得とする暗殺者の攻撃を、容易く魔術師は防いで見せたのだから。
「流石はアサシン、速さは一流だ」
「貴様は何者だ」
 ギチ、と力が篭り合い、厭な音をたてて杖と刃が咬み合う。それまで沈黙を護っていた暗殺者は殺気を帯びさせながら、魔術師を観た。
「唯の魔術師だよ、暗殺者君」
 くつ、と肩を小刻みに揺らして可笑しそうに笑う様子は余りにも状況に相応しくない。モノクルが月明かりを照り返して鈍く輝き、不敵な笑みは好く映えた。
 揶揄うような言葉に暗殺者は顔を顰めながら、空いた片手を懐に忍ばせてナイフを取り出そうとする。――が、それは叶わなかった。それが、拙かった。暗殺者の小刀への力が緩められた瞬間、魔術師は確信の笑みを深く刻み、梃子の原理で杖を滑らせナイフを弾き飛ばす。
 ――ガキン!
 痛烈な打撃音と共に捻じ伏せられる暗殺者の小刀と、その腕。杖で捻じ倒し、身を起こそうと跳ねるそのてのひらを踏み付ける事で地に縫いとめる。その一連の動きは一後衛のそれではなく、まるで前衛、それ並の俊敏さと的確さだった。撥ねられた二刀を足で小突いて散らしながら、予想外の力に面喰らう暗殺者を見下ろした。
 煌々と照る月を背に、魔術師は法衣を翻して口角を愉しそうに吊り上げた。それは獲物を捕らえた獣と同じで、嬉々として、そうして静かに杖の切っ先を暗殺者の咽喉へと向けた。ツ、と宝珠の嵌るその先を向ければ暗殺者は動かない。呪文の詠唱など無くとも、この距離、体制では咽喉を潰すだけで終わる。容易く命を消せる位置に、魔術師は立っていた。
 暗殺者は小さく舌打ちして、抵抗を収めて息を吐いた。無駄な足掻きは意味を為さない、その事を好く知っていた。
「油断したな、」
 瞠目して暗殺者は魔術師を見上げた。眸を眇め、その眸は探るような色をしている。
 弱きを探る訳でない。活路を見出す訳でもない。唯、暗殺者は自身の敗因と、相手の力量を推し測るように見詰めていた。それに気付いたか、魔術師はク、と笑いを殺して。
「ウィザードが総て接近戦が不得手とは限らない、という事さ」
 子供を諭すかのように返す男の言葉。
 そうして紡がれる呪文は息の根を止める為のものだろう。手を封じられ、動けば咽喉を潰される。活路などとうに無いその闘いに、暗殺者は自身の末路を嘲るように、月を背に笑う魔術師を唯見上げた。
 マナが夜気を揺らし、燐光を放ちながら詠唱が連なる。ちらちらと舞う光の粉は、空気中の魔力が境目を渡る色だろう。その輝きに伴い、杖先の宝珠が光を放つ。
「――有難う、楽しめた。名も無き暗殺者君」
 詠唱の継ぎ目、魔術師は実に恭しくこうべを垂れ、暗殺者への賛辞、そうして礼の言葉を。力在る言葉は夜気を焦がし、瞬間、灼熱の焔の珠が魔術師の廻りにうまれる。逃れる事など不可能だ。真紅の焔が空気を甞め、熱量を増大してゆくビジュアル。尽力に拠るその魔力の奔流は、美しいほどに恐ろしかった。

 ――そうして、暗殺者は、その眸に紅が踊る様を観映して、――閃光が、森を灼いた。



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長かった(⊃Д`)
簡潔に言い訳、AGIwiz! 前衛と渡り合う♂wiz様が書きたかったんですごめんなさい、ごめんなさい
ココまで読んで下さって有難う御座いました。乱文失礼。

異空間|.......λ

16 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/29(水) 04:54:25 ID:FcA1itgA
>11=15
激しく燃え、そして萌えた!
AgiWiz持ち&スキーにはたまらんごちそうであったですよ。
優雅にして華麗。そんな雰囲気のWiz氏が激しくツボでした。

投下を促して正解だったよママン…

17 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/02(土) 20:46:31 ID:VZTQNtMU
>11=15
ありがとう ありがとう。
agi wizをこんなに格好良く書いてくれてありがとう。
agi wiz持ちとしてこれほど嬉しいことはない。

agi WIZはどうしてもお調子者でネタ好きなイメージが強かったので
こういうカッコイイWIZを見るとシビレル アコガレルゥ
良い物見させていただいてありがとう。

その後、暗殺者を美味しく頂いてしまった…なんてことは無いですよね…

>16
同士よ…こんな所で出会えるとは…(スレ違い)

18 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/02(土) 22:38:30 ID:p.oTA.rY
恐れおののき11です。
バトルオンリーだったのでどうかとも思ったけれど、とにかくありがたう御座居ます。このまま喰う方向でも良かったかも知れませんネ、スレ的に!
今度パラレル的に喰われた方も書いてみます。

今はちみちみWIZアサ練ってますよー(´ー`)
頑張って来ます。

19 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/08(金) 21:31:06 ID:IsB7h8sc
需要があるのかどうかわかりませんが♂萌え小説の保管庫を作ってみました。
私の自己満足のために発作的に作ったもので、まだエロ小説1スレの
途中までしか保管できていませんが、いちおURLだしておきます。
ttp://romoe.on.pc1.jp/pukiwiki.php?FrontPage

20 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/30(土) 16:27:07 ID:Axk4AfLI
>19
乙。しかし重くてちっとも見れないのはうちだけか?

21 名前:19 投稿日:2005/07/31(日) 02:08:32 ID:qRPPH7LE
>>20
当方ISDN回線で、問題なく編集等もできているのですが
見れないとは、時間がかかるけどなんとかページの表示はできるのでしょうか?
それとも、まったく開かないのでしょうか?
そういう方が多いようでしたら、他のレンタル鯖を探すべきかな…。

22 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/31(日) 05:52:57 ID:BrEU8jKk
>>21
自分はADSL8Mですが、問題なく開けて読めてますよー。
ありがたく楽しませていただいてます。

23 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/31(日) 22:46:57 ID:fA2smszg
wikiは基本的に重めだから、そのことではないでしょうか。
正直に言うと自分も重いですけど他のwikiと同程度の重さなんで、
まぁこんなもんだと思ってます。

24 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/02(火) 22:47:05 ID:8HecqgCI
こんばんは。
小説書いたので投下に来ました。アフォみたいに長いのでサイトで公開してます。
♂プリと♂WIZメイン。おにゃのこもいて♂x♂カプはないですが、萌えはある…はず。
一応男同士の友情を展開したつもり……粘着質な友情だけど。
長いので読むのも大変ですが、よろしければ読んで下さい。
あ、ヘタレWIZが苦手な方はスルーしたほうがよいです。でも私はWIZ萌え。

ttp://ragnarokonline.netgamers.jp/

中入って「NOVEL」のところにあります。
ちなみに、↑のアドレスが公式と似ているのは偶然。

25 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/03(水) 13:47:19 ID:sGq4wY6A
>>24
画像読み込み切っててもちゃんと辿り着ける良心的ナビゲーションかと思ったら
惜しくもキャラ紹介ページが……
img要素にはalt属性をつけてあげてください。
#いや、無理にとは言いませんが、惜しかったなと。

内容については後ほど。

26 名前:25 投稿日:2005/08/03(水) 17:38:44 ID:o4v9YKck
>>24
連投で失礼。残念ながら88ページがおかしいようです。
内容が87ページと同じモノになってしまってます。
先から逆に辿れば89ページには辿り着けますが。

で、取り敢えず64ページの酒場の下りが今の処最高です。泣けました。

27 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/03(水) 17:40:37 ID:1yvIAleg
>25
キャラ紹介は当初、キャライメージ絵を見せるようなものだったから
絵が見られないなら進む意味はないかなーと思ってaltつけなかったんだと思う。
でもその先のキャラ絵にはaltつけてたんだよね……
ということで直しておきました。
ついでに本文の前後ページへ進むリンクも画像にはっていてaltがなかったので、
付け足しておきました。
こっちはファイル名が連番だからそんなに問題はないと思うけど一応。
altは音声読み上げソフト対応用に入れるようにしているんですが、読み上げソフト
持ってないからどうなるのかよくわからないんですよね^^;

小説読んでくれてありがとう。長くてごめんよ……(つд`)

28 名前:25 投稿日:2005/08/03(水) 18:05:29 ID:ajO5s.Rw
つーか、会社からだと画像は切ってるしスタイルシートも単色のものを強制しているからってだけなんですがね。
ってことで、修正乙。

29 名前:25 投稿日:2005/08/03(水) 19:01:48 ID:BGyPzF.s
更に連投失礼。
98-99,101-102が被っていて、101の前が抜けているっぽい。

いやぁ、7章まで読み終わった。感動した。

30 名前:24 投稿日:2005/08/03(水) 19:46:59 ID:1yvIAleg
すみません。>26の指摘を受けて修正したときに、87と88がかぶっていたので
全部1ページずらしたんです。
たぶん読んでいる途中で更新されてしまい、ページがおかしくなってしまったんですね。

申し訳ないです。
でも終盤まで読んでくれてありがとう。嬉しいです。

31 名前:25 投稿日:2005/08/04(木) 00:37:10 ID:K/bbODfg
なるほど、そういうことでしたか。却ってお騒がせを。
先程帰宅して、抜けてたところとラストまでを読みました。
いやぁ、楽しめましたよ。詳しい感想は後日改めてあちらでメールででも。
そういうわけで、イラストも今頃やっと見たのですが違和感なくて楽しめました。

32 名前:24 投稿日:2005/08/04(木) 16:59:25 ID:q3xR/4.Y
こちらこそご迷惑をおかけいたしました。
最後まで楽しんでいただけたとのことで、書き手としては本望です。
ありがとうございましたー。

33 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/24(水) 19:35:46 ID:Axt2EEwM
まだ少女の面影を残している女剣士は、その可愛らしい眼を吊り上げると、苛立った声を発した。
「大体、あそこの書庫の本は貸し出し可能だったでしょ?」
「うー……」
剣士の目の前には一つの寝台があり、
その上にうつ伏せに横たわった男プリーストが、情けない呻き声をあげていた。
「それなのに、面倒だからって本棚の前に座り込んでずっと読んでたの?」
「ううー……」
「しかも立った途端、腰痛と立ちくらみ起こすような姿勢で!」
「うううー……」
うつ伏せになっていたプリーストは、だってさあ、と情けない表情の顔だけを動かして剣士を見た。
「貸し出し手続きするときに色々書くの面倒だったからさあ……」
「だからって倒れる程酷くなるまで読んでる事無いでしょ!」
全くもう、と剣士は呟いて、自分の腰に手を当てた。
「お兄ちゃんが面倒臭がりなの知ってたけど、まさかここまで酷かったなんて」
呆れたように妹である剣士が呟けば、兄であるプリーストはあははーと困ったような顔で笑う。
「笑い事じゃないでしょ! この間だって……」
「まーまー、いい加減懲りただろうし、このぐらいにしといてあげようよ」
更に文句をぶつけようとした剣士を止めたのは、窓際の壁に寄りかかっていたハンターの青年だった。

34 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/24(水) 19:36:51 ID:Axt2EEwM
不満気な顔のまま振り向いた剣士に、ハンターは言葉を掛ける。
「流石に歩けないほど腰痛めたら、いくら面倒臭がりのお兄さんでもちょっとは行動改めるでしょ」
ね、とハンターは笑ってみせるが、剣士は首を横に振る。
「駄目ですよ。お兄ちゃんこの間も聖堂で本読んで、そのまま寝ちゃってたんですよ」
朝の掃除に向かった新米のアコライトが、
倒れているプリーストを見つけ、死体かと思って悲鳴を上げたそうだ。
その悲鳴に目を覚ましたプリーストが呑気におはようなんて声をかけたものだから、
哀れなアコライトはそのまま卒倒したという。
後でプリーストに問えば、「宿直室に戻るのが面倒だったから」なんて答えていれば、
剣士が怒るのも当然であろう。
「……あー、うん、そりゃ駄目だね」
幾分げんなりした顔でハンターが呟いた。
「でも夏だったし、聖堂でそのまま寝ても風邪ひかなかったし……」
「そういう問題じゃないでしょ!」
弁解しようとした兄を、妹は一言で切り捨てた。
「一緒にお昼食べようと思って図書館行ったらこれだもん。
 お陰で剣士ギルドのお勤め、遅刻じゃない」
「行かなくていいの?」
「行くに決まってるでしょ!」
そう言うと、剣士は寝台の脇に立てかけておいた剣を腰に提げ直し、
ハンターに向かい直ってぺこりとお辞儀した。
「こんな事で呼び出しちゃってすみませんでした」
「いや、大丈夫だよ。早く行っておいで、後はちゃんと見ておくから」
苦笑して答えたハンターにもう一度礼を言うと、剣士はプリーストを見た。
「それじゃあ、今日一日は大人しくしててよ」
「してるから、そこの棚にある本……」
プリーストはそう言いかけたが、
剣士とハンターの両方に睨みつけられ、やっぱりいいですと呟いた。

35 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/24(水) 19:37:34 ID:Axt2EEwM
小走りに出て行った剣士の足音が消えると、
やれやれといった表情で、ハンターはプリーストの横たわる寝台の傍に屈みこんだ。
寝台に肘を突くと、うつ伏せのままだったプリーストが、
痛めた腰を押さえながらゆっくりと仰向けになり、ハンターに顔を向けた。
「俺もギルドで狩りの予定あったんだけどなあ」
「行って良いよ」
プリーストがそう言うが、ハンターは首を横に振る。
「一人にしたら這ってでも本読みに行くでしょ」
「ああ、ばれてる」
笑って呟いたプリーストに、ハンターは軽く肩を竦めた。
「あのねー、俺も妹さんもマジ焦ったんだよ?」
ハンターがギルドの溜まり場で、どこに狩りに行くか話し合っていた時だった。
プリーストの妹である剣士が青白い顔をして駆け込んできたのだ。
「兄が、倒れました」
彼女がそう呟いた時のショックは、しばらくは忘れられそうになかった。
その場にいたギルドメンバーに狩りの不参加を詫びて、
剣士と二人、プリーストが運ばれた診療所に向かえば、
言いづらそうな顔をする医者と、
寝台の上に横たわり、困ったような顔で笑う当の本人に出迎えられてしまった。
「それが変な姿勢で本読んでたせいで腰痛めて、
 オマケに長い間しゃがみっぱなしだったから立ちくらみ、だなんてさあ」
ハンターは寝台に力なく突っ伏した。

36 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/24(水) 19:38:04 ID:Axt2EEwM
白いシーツの上で手をぱたぱたとさせながら、ハンターは呟いた。
「第一、君が倒れたってとこで何かヤバイ状態だ、って思い込んじゃったのが間違いだよね」
「何で?」
プリーストに問われ、ハンターは顔を上げた。
「毎日のようにじゃりん子とあっちこっち駆け回ってる人が、
 そんないきなりヤバイ病気とか、想像つかないじゃん?」
「うーん、でも急性なんたらかんたら、ってのもあるじゃない」
「そういうのなりそうには見えないんだよ。あーもう、心配して損したよ!」
すると、横たわったままのプリーストが、口元に笑みを浮かべて、僅かに首を傾げた。
「心配してたの?」
「当たり前じゃん」
むすっとした顔のまま呟くと、ハンターは寝台に顔を埋めた。
けれどその頭を優しく撫でられて、彼は微かに顔を上げた。
プリーストと目が合うと、相手は嬉しそうな顔で笑った。
「ありがとう」
あまりにも嬉しそうな顔なものだから、ハンターは一瞬、何に腹を立てていたのかを忘れていた。

37 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/24(水) 19:40:29 ID:Axt2EEwM
ハンターはしばらくの間、無言でプリーストに見惚れていたが、
やがてうわー、と苦々しげな声を上げた。
「面倒臭がりで笑顔が無邪気とかって、めっちゃ母性本能刺激して女の子引っ掛けてそう」
「……引っ掛けてないよ」
「自覚なく引っ掛けてそう」
「あのねえ……」
渋い顔をしたプリーストに、だってさ、とハンターは告げる。
「少なくとも俺は引っかかっちゃったわけだし?」
すると、プリーストは軽く目を見開いた後、笑いながらハンターの頭を撫でた。
「母性本能刺激された?」
「流石にそれはないかな」
でもちょっと嫉妬はした、と付け加え、
ハンターは自らの頭を撫でるプリーストの手をそっと掴んだ。
「てことで、今度暇な日には、思う存分独り占めさせてください」
ハンターの誘いに、プリーストは良いよ、と答える。
「今日狩りいけなかった分、僕と行くかい?」
それ良いねえ、とハンターは頷く。
「行けなかった分の二倍は稼ぎたいから支援ヨロシク」
「支援苦手なんだけど」
「……そういや読書家なのに殴りなんだっけ」
だから君の本ボロボロなのか、と呟いたハンターに、プリーストは笑って肩を竦めた。
「その分殴るから見逃してよ」
ある意味立派過ぎる本の虫に、ハンターは見逃すけどさあ、と呟いた。
「デートの時は、くれぐれも腰痛や立ちくらみなんてコトにはならないでよね」
ハンターの言葉に、プリーストは苦笑いを浮かべ、努力はするよとだけ答えた。

38 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/25(木) 11:07:09 ID:3re7t21g
いつものハンタプリシリーズの方でしょうか。
静かな雰囲気の中に愛が溢れてて萌えました(*´д`*)

39 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/29(月) 11:10:20 ID:dNHJnn4w
保管庫消えてるっぽ?

40 名前:♂萌え小説保管庫の人 投稿日:2005/09/01(木) 21:30:31 ID:DAK3V6fw
>>39
すみません、借りてた無料サーバが突然の閉鎖のため、あぼんしてしまいました。

新URLは ttp://www.usamimi.info/~romoe/ です。

ただ、これを機にPukiWikiのバージョンもアップ〜とか色気を出したためか
バックアップが思うようにいかず・・・orz
少しずつ復旧していきます、すみません。

41 名前:どこかの何かの管理っぽい人 投稿日:2005/09/02(金) 00:11:14 ID:bZgpU5/o
……リンク修正完了。お互い頑張りましょう(私は場所提供以外何もしてないけど

42 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 20:45:13 ID:Z49IO7IQ
美人アルケミスト×乙女回路内蔵セージ。

43 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 20:45:46 ID:Z49IO7IQ
宿の廊下を、一つの部屋を目指してセージが歩いている。
柔らかな衣擦れの音こそするが、常の習慣故か足音はほとんどしない。
口元に微かな笑みを浮かべて歩く彼の、頭の後ろで子馬の尻尾に似た形で結われた髪が右に左に揺れる。
目当ての部屋の前まで来て、彼はひたりと足を止めた。
閉め忘れたと思われる扉の隙間から、人の声が聞こえてきたので。
「今日は駄目だって言ったろ」
柔らかな声は彼にとって聞き慣れた声だ。この部屋に泊まっている、少々マッドなアルケミストだったりする。
多少咎めるような響きが混ざった声はあまり聞いたことがないもので、セージの口元から笑みが消えた。
「邪魔はしねーよ」
低音の声には明らかに聞き覚えがあるとは言えなかったが、部屋の主に横柄な口を叩く男には覚えがあった。
真っ赤な服のそこかしこに赤黒い染みをつけてそのままにしているローグなのだが、セージは彼ぐらいしか
あのアルケミストを見下す姿勢を持った男を知らない。
それはともかく、果たして自分はどうしようかとセージは悩んだ。
このまま立ち聞きをするのは明らかにマナーに反しているし、そのような行為をアルケミストが好むとも思えない。
かといって最初に約束をしていたのは多分自分であるし、やっと用事を済ませて会いに来たのにあっさり
引き下がるのも何か釈然としないものがある。しかし取り込み中の所を邪魔するのも気が引ける、と
彼が堂々巡りの思考の渦に入り込みそうになった、まさにその瞬間だった。
「好きなのは君だけだ」
すっと、何の前触れもなくアルケミストの台詞が脳髄に叩き込まれた。
考え事を始めると多少まわりの情報をシャットダウンしてしまう自分の性質を知ってはいるが自覚には
至っていないセージは、突如として飛び込んできた台詞に固まってしまった。
アルケミストとは、もうずっと他人には大仰に言いふらせない関係である。
それはセージの一方的な考えではなくアルケミストもそういう風に、つまりまあ世間一般で言う恋人のような
関係であると彼のことをとらえていた――はず、であった。
しかし先程の台詞は淡い吐息混じりで、若干熱が篭もっていたようにセージには感じられた。
アルケミストの目の前にいたのはセージではなく別の人間で、しかしあの台詞を言ったのは間違いなくアルケミストで、
とそこまで考えたところで、すっと指先から熱が引く感覚をセージは味わった。
頭ががんがんと痛む。
つまりこれはなんだ、とセージはふらつきそうになる足を叱咤しながらどうにかその廊下を離れるべく歩き出す。
単純に言うなら浮気なのかと手すりにつかまって階段を下りる。
それとも、と、その結論に至るのが恐くて遠回りしていたのだが。宿の外の陽光が目に眩しかった。
それとも、自分は振られたということなのか。
実際今からあのローグと結ばれる(嫌な言葉だ、と心から思った)というのなら振られる、といった方が適切だろうかと
妙なことを考えつつも、足は自然と宿から離れる方向に向かっていく。飛んできた砂が目に入る。
頭痛が更に酷くなった。

44 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 20:46:14 ID:Z49IO7IQ
目的も無しに歩いていたら、いつの間にか露天商が集まる通りまで来ていたらしい。
常に人で賑わう首都とは違って、ここ砂漠の都市モロクでは決まったところに何軒か露店が並ぶ。
その中で、ここでは珍しく消耗品以外の品が主体の露店にセージは目を留めた。
立てかけられた槍はぎらりと激しい光をはね返し、板の上に並んだ短剣は鞘に入ってはいるものの、
柄の意匠からして出来の良い品であることを思わせる。今でこそ長剣を腰に提げているが、
マジシャン時代にお世話になったものからダマスカスまで、様々なものが並んでいる。
「おっ、にーちゃん良かったら見てきなよ」
露店の主、日焼けしたブラックスミスが白い歯を見せて笑っている。
特に必要なものではなかったが、懐かしさにかられて手に取ってみた。
こういうものを眺めている時は余計な事を考えなくて済む、という理由もあったのだが。
「へー、あんたきれいな髪してんね」
本人としては他意もなかっただろうが、愛想のいいブラックスミスはさらっとそんなことを言ってのけた。
セージの頭に、違う人物が発した言葉がリフレインする。
――綺麗な髪をしてるね。伸ばしてみたら?
初対面の時言われた台詞だった。奇妙な人だなという第一印象を抱いたのは事実だ。
あの瞳で別の男を見つめて、あの声で別の男の名を呼ぶのだろうか。
「……抜いてもいいか?」
一際ずしりと重い短剣を手にとって尋ねた。その重みは実際心地良い。
「どぞどぞ」
尚もにこにこと、愛想の良さを崩さずにブラックスミスが勧める。
軽く刀身を確認すれば、ごく淡い緑色の光を帯びていた。
腕のいいブラックスミスの手によるものだろう、ウインドダマスカスを完全に鞘から抜き去る。
刀身に映る自分の顔を瞬間確認してから、セージは突然後ろでくくっている髪をひっつかんだ。
右の手で、場所を確認する必要もなくその髪の束を根本から切り落とした。
「え……っ!?」
全くためらいもない動作に泡を食うブラックスミスを余所に、セージは左手に自分の一部だった髪を
持ったまま口の中で短呪を唱えた。
瞬時に呼び出された魔法の炎によって、髪の束は灰にもならずに燃え尽きる。
頭に張り付くように残った紐を適当に剥ぎ取ってから何事もなかったかのようにダマスカスを鞘に戻して、
悪かったなとだけ言い残してセージはその場を立ち去った。
ねえ俺のせい? 今のって俺のせいですかー!? と騒いで、周りから同情の目で見られているブラックスミスを
顧みることなど、全くしなかった。

45 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 20:47:04 ID:Z49IO7IQ
「こーら、こんなところで何やってるの」
かけられた声に、セージは大げさに思えるほどびくりと体を震わせた。
二度と聞かないかも知れないと思い詰めていたアルケミストの声だった。
薄暗い路地裏は人が通ることも少ないから足を休めていたのだが、どうしてここがと言いかけて、自分たちが
パーティーを組んでいたことを思い出した。一度登録すれば、解除するまで相手の場所は分かってしまう。
「用事は終わったのか? 約束忘れて……!?」
二、三歩セージの方へと踏み出して、アルケミストは瞬間絶句してその場に足を止めた。
セージが顔を合わせづらいと背けた結果、ざんばら切りの頭を目撃してしまったからだ。
「ど、どうしたの!」
慌てて駆け寄ろうとするアルケミストの顔を見たくなくて、セージは壁に預けていた背を離して数歩後ずさった。
何がしたいのか分からない、というように彼の顔がきょとんとする。
「……俺のこと」
ぽつりと言って、セージはこれから言う台詞のことを考えただけで泣きそうになった。
それでも言わなければなるまいと勝手に決心していたのだ。
優しい彼が、自分から別れを切り出せないだろうと考えているらしい。
「も、好きじゃないんだろう?」
「はい?」
アルケミストの目が丸く見開かれた。実験に使った薬品が突然歩き出した時よりも驚いた顔をしている。
「他に、好きなやつができたなら」
涙が浮かんでくるのだけはこらえられなくて、セージはぎゅっと唇を噛んだ。
「俺のことなんて、捨てたって……」
「ちょっと待っていやかなり待って」
大分考えた別れの台詞を邪魔されて、思わずセージは相手の顔を見てしまった。
心底困ったように慌てている顔さえ綺麗だなと思えるのは、自分が好きな相手だからだろうとぼんやり思う。
もう近くで見ることもないのかなとまで考えが及んで、じわりと景色が滲んだ。
「あああ、泣かないで、ねっ」
器用な手が俯いたセージの肩を支え、もう片方の手がざんばらな髪の切り口を軽く叩く。
近づかれる前に逃げようと思っていたのに、アルケミストの方が一枚上手だったらしい。
体温すら愛しくて、大泣きしてしまいそうになるところを辛うじてこらえた。

46 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 20:47:46 ID:Z49IO7IQ
「順番に、順番に話してくれるかな。他に好きな人ってどういうこと?」
落ち着かせるように耳元で話すアルケミストの声は、セージの好きな優しいものだった。
「だって、すきなのは君だけだっていってた」
「……君だけ」
ぴ、とセージの鼻先に指を突きつけると、彼は思いっきり首を横に振った。
「俺じゃ、なくて……あの、ローグのひと」
「確かに今日会ったけど……あれ、宿に来たの?」
改めて聞かれて、セージは立ち聞きしたことがばれてしまうと気がついてはっとした。
それでもアルケミスト相手に嘘はつきたくなくて、仕方なく頷く。
「声かけてくれれば良かったのに」
そうすればあんなのすぐ追い出した、と呟くアルケミストの声は幸か不幸かセージには聞こえていない。
「取り込みちゅう……だったし。あいつのことがすきなんだろう?」
ゆるりと顔を上げたセージは、アルケミストが息を呑んだことにも気付かない。
恐ろしいタイミングで、ぽつりと一粒涙がこぼれた。
アルケミストは少しだけ狭い空を仰いで、ほ、と息を吐いた。
小さな声で落ち着け落ち着け落ち着けと呟いて、しっかりとセージの目を見据える。
「どこからそんな恐ろしい勘違いをしたの」
「こくはく、してたじゃないか」
「誰が」
少し逡巡したセージがはっきりと自分を指さしたのを確認して、アルケミストは再び空を仰ぎたい気分になった。
彼は心の底から数時間前の自分を殴りに行きたい、と思う。
「君、ちゃんと話の前後を聞いたかい?」
考え事に没頭すると聴覚がまともに働かないセージの特徴を思い出して、アルケミストが確認する。
そう真面目に聞かれてしまうと自信がないセージは、今度はゆっくり首を横に振った。
「あれは、相手のことが好きですよと告白してたわけではなく……そういうことが好きなのは君だけだ、と言ってたんだよ」
「そういうこと?」
「たいしたことじゃないから気にしないでいい」
その辺はあまり突っ込まれたくないアルケミストであった。
「え……じゃあ、あの人に乗り換えるから俺のこと要らなくなったわけじゃ」
「断じてない」
アルケミストはこれ以上ないぐらいきっぱりと断言した。
「私が好きなのは君だけだよ」
真っ直ぐにセージの目を見て、アルケミストが囁く。
残っていた涙を指先で拭われて、ぱっとセージの顔が赤らんだ。
「本当か?」
「大好きだよ、本当に」
そこでふわりとアルケミストは笑った顔をセージに見せた。計算尽くである。
セージの顔が更に赤くなるのを楽しそうに見てから、再び髪の切り口に手を当てる。

47 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 20:48:18 ID:Z49IO7IQ
「何で切っちゃったの……もったいない」
「え、なんか……何となく?」
今考えてみれば、セージ自身にも何故切ってしまったのかよく分からないのだ。
衝動的な行動ならそんなものである。
なんだか大げさに肩を落としたアルケミストにセージは慌てる。
「あ、でも、また伸ばすから!」
「うん、楽しみにしてる。じゃあ、とりあえず切りそろえてあげるよ」
後でね、と耳元で囁いて、アルケミストはセージの首筋に噛みついた。
「わあっ!?」
驚いて噛まれたところを押さえるセージの目に、悪戯っぽく笑ったアルケミストの顔が映る。
「人の気持ちを疑ったおしおき、だよ」
「むー……」
言い返せずに黙ったセージには、別のお仕置きを頭の中で想像するアルケミストの心は、分からない方が幸せであろう。
宿に戻るかと歩き出したアルケミストの後ろを、何も知らないセージは慌てて追いかけるのだった。

48 名前:42 投稿日:2005/09/23(金) 20:50:49 ID:Z49IO7IQ
コピーと一行の文字数を間違えたのは内緒だ!_| ̄|○

49 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/24(土) 08:26:31 ID:KmhLHzJ2
>>43
乙女なセージさんかわいい(*´д`*)
アルケミさんにいろいろ丸め込まれてそうだ・・・。
萌えさせていただきました!

50 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/24(土) 14:16:18 ID:SreKZO5s
>42
ほのぼのしててむちゃくちゃ可愛かったです(*´Д`)
ローグさんと何があったのかも気になるトコロw

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