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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

51 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/01(木) 22:59:06 ID:JbBI/W5A
「うわーん! マスターの嘘つき! 莫迦ぁ!」
 プロンテラの片隅、あるギルドハウスの居間での出来事である。
 狩場から帰ってきたモンクの耳に入ったのは、ギルドのマスコット的存在であるアルケ
ミストの叫び声だった。
 ひよこ色髪の少年がぽかぽかと体格の良い男の胸を叩いている。少年のほうがマスコッ
トのアルケミスト。男の方がクルセイダーで、ギルドマスターだ。
「いったい、今回は何があったんだ?」
 モンクは少し呆れた様子で、傍らに立ったプリーストに問うた。にやにや笑いながらプ
リーストは答える。
「いつもの事だよ」
「そうか、いつもの事か」
と、モンクは溜息をつく。
 ギルドマスターはちょくちょく悪戯や嘘でアルケミストを構うのだ。アルケミストの方
も、嫌なら相手にしなければいいのに、律儀に一々反応を返す。だから、ギルドマスター
の悪戯は止まない。
 そして、プリーストはいつも傍観を決めつけ、モンクがいつもアルケミストを宥める羽
目になるのだ。
「リッツ、今日は何をされたんだ」
 言いながら、モンクはアルケミストの肩に手を置いた。その時になって、アルケミスト
はようやく、モンクの帰宅に気付いたらしい。慌てたように「おかえりなさい、ソウビさ
ん」と言う。それから、彼は言葉を続けた。
「酷いんですよ。マスターは僕に嘘を教えてたんです。信じて楽しみにしていたのに!」
 涙目で訴えているアルケミストは実年齢上に幼く見える――この反応と姿がおもしろく
て、からかわれているのだと本人は自覚していない。モンクは内心小さく溜息をついた。
「……で、何を不決まれたんだ」
 アルケミストが答える前に、ギルマスであるクルセイダーが口を開いた。
「お前のシルクハットはルナティックが出せるんって言ったんだよ」
 ほんとに信じるとは思わなかったと、クルセイダーは笑う。そして、目尻の涙を拭き取
った――笑いすぎである。
 モンクはまず呆気にとられ、それから頭に手をやった。
 ここまで来ると、騙す方も騙す方だが、騙される方も騙される方である。
 そして、モンクは自分がダシにされたことが気にくわなかった。
「マスター、幾らリッツが可愛いと言っても限度があるだそう。それと、俺をネタに使う
のは止めて欲しい」
「相変わらずお前はお堅いな。わかってるよ」
 クルセイダーは肩を少し竦め、それからモンクとアルケミストの両方に謝った。
「悪かったよ、ソウビ。反省するからそんなに怖い顔をしないでくれ。
 リッツ、お前にも謝る。ごめんな」
 そう言って、クルセイダーはアルケミストに頭を下げた。
 そして、至極真面目な顔で彼はアルケミストに言う。
「実はな、ソウビのシルクハットから出るのはルナティックじゃなくて、鳩なんだ」

 直後、阿修羅覇凰拳が炸裂したのは言うまでもない。

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