◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
[6:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/06/20(月) 02:45:50 ID:U4r/Agns)]
次の日の朝、沈んだ気分とは裏腹に俺の熱は少し下がっていました。とりあえず、起きて動き回れ
るぐらいには。
隣室からルイスが出かける準備をしている音が聞こえます。
俺は部屋の隅に置いている自分の剣と鎧に目をやります。さすがに、それらを身につけて出歩ける
ほど体力は回復していません。第一、いきなり俺がついていくと言っても、ルイスはよしとしないで
しょう。
最良の選択は、たぶん、何もかも忘れて再びベッドに潜り込むこと。
でも、俺は我慢できませんでした。
群衆の上を飛んでいるピーチを目印に、俺はルイスのルイスの後を追って、プロンテラの大通りを
歩いています。
結局、悩んだ末に、俺は私服に着替えて、ルイスを尾行することにしました。ある意味、これが恋
人に対する裏切りだとはわかっていても。それでも、あのままベッドに潜り込むことはできませんで
した。
さすが首都の大通り。露店やそれを見て回る人、冷やかす人、臨時へと向かう人やらでごった返し
ています。一度にたくさんのものが視界に入ってくるせいか、少し頭がふらふらしてきました。
くらり、と立ちくらみに襲われて俺は思わずたたらを踏みました。はっとして、慌てて頭を上げて
も、見慣れたピーチの姿はどこにもありません。もちろん、ルイスの姿も見えません。
見失いました。
呆然と立ちすくむ――なんてことができません。そんなことしたら、すぐに後ろから罵声が飛びま
す。とりあえず人の流れに乗って、俺は大通りから横道にそれました。
ルイスを見失って、一気に気が抜けたのか、頭ががんがん痛みだしました。おとなしく帰ろうと思
っても、足になかなか力が入りません。
道端にへたり込みそう……。
「あの、顔色悪いけど大丈夫?」
そう言って、誰かが俺の肩を支えてくれました。
「あ、どうも。すみません」
声のしたほうに顔を巡らすと、心配そうな表情の男性が見えました――白いシャツにジーンズ――
ブラックスミスです。ふんわりとした耳当てが、銀の髪によく似合っています。背こそ俺と対して変
わらないほどの高さですが、なんというか一言で言えば「可愛い」に尽きる顔つきをしていました。
世の中、ほんとにこんな可愛い男もいるものなんだと、場違いに思ってしまいました。
「顔が真っ青通り越して、蒼白だよ。ちょっと休んだほうがいいよ」
「え、あの」
気がつけば、俺はそのブラックスミスのカートの中でした。今、この可愛いブラックスミスさん、
俺の体をひょいと抱え上げませんでしたか? 俺、筋肉質なのもあって結構体重あるんですが……?
軽々と彼はカートごと俺を運んでいきます。いったいどこに行くかはわかりません。
ほんの少し行くと、並木が見えてきました。その木の下に、ブラックスミスが幾人かいるのが熱で
霞み始めた視界に映りました。どうやら、そこに俺たちは向かっているようです。
ごとん、とカートが止まります。到着したようです。
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