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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[83:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2008/01/28(月) 18:37:42 ID:UmNk7g0I)]
ROのSSに初挑戦。
改めてスレを読み返していて、一部ネタが被っている箇所がある事に気付きましたが、どうかお目こぼしを。
ちなみに上の方とは別人です。

オトメンな♂アコ、&殴り♂プリ

「プリになったら楽になるからさ」
この言葉を、何回聞いただろう。
ギルドで狩りに向かうと大抵途中で精神力が切れて、スクワット歩きを余儀なくされる僕。
ソロ狩りのついでに摘んだイチゴはすぐなくなっちゃうし…はぁ〜。精神力を補おうと、強くなるたびにそれを増やしてるけど、まだ足りないみたいだ。
そんな僕に、ギルドの皆は「プリになったら楽になるから」って励ましてくれるんだ。…皆、いい人。
でも……僕、本当は。


ギルドのいつもの場所。
狩りに行く前に、皆でお喋りしてた。
ジッと正座して、うんうん頷きながら、僕の視線はいつも一人だけに向いている。
サキュバス角付けた、殴り♂プリさん。
彼のはだけた服から、ちらちら見える胸板が気になる。さすが殴りさんなだけあって、割と逞しいんだ。

…………。
僕、転職したら…彼と同じ服装になるんだよね。
自分の貧相な体格をチラリと見て、こっそり溜め息をつく。髪型もおとなしい感じだし、この体格じゃあ絶対にあの服は似合わない気がする。
それに…胸をはだけるのは、ちょっと恥ずかしいよ。
プリーストになった方が、皆の役に立つ。
早く転職するべきだと分かってはいるんだけど、どうにも気が進まなくて。
空いた時間には、ポリン島でのろのろと空きビンばかり拾ってる自分がいた。

「お前、中々転職レベルに近付かないなー」
ある日、例のサキュバス角のプリさんに言われて、僕はドキッとした。
最近は、迷惑かけるしレベルが合わないからと、ギルドでの狩りに参加しないでいた僕。
そんな僕に、彼はソードメイスを差し出した。
「今使ってないからさ、貸してやるよ」
ありがとうございます、と受け取ったそれは、沢山鍛えられていてとても強そうだった。純支援型の僕の腕力でも、かなり攻撃力が上がりそうだ。
……やっぱり、早く転職しなきゃ。気遣ってくれる彼や、皆に申し訳ないし。
ごついメイスなどよりも、杖の方が可愛くていい。そう思っていた僕だけど、このソードメイスはなんだか愛しく感じた。

それから僕は、そのソードメイスでスポアばっかり狩っていた。キノコの胞子に咳き込みながら、何匹も何匹も何匹も何匹も、延々と狩る。
ついでにイチゴもいっぱい貯まって、その効果もさることながら味や見た目も好きな僕はなんだかほくほくな気分だ。
荷物を入れている布袋を覗いては、つい口元が笑ってしまう。
……次に皆と狩りに行った時に、いっぱい食べるんだーえへへ。

そうして必死に狩っている内に、とうとう僕は転職できるレベルになった。
皆に報告すると、次々におめでとうと言ってもらえて、もっと早くこうすれば良かったと、転職を迷っていた時期を僕は少し後悔した。
「明日、大聖堂までついてってやるよ」
サキュバス角のプリさんが言ってくれる。
街の中だし一人でも行けるんだけど、プリーストになった僕を一番に見てもらえるのは嬉しい。
コクンと頷くと、ふと彼の視線が、正座している僕の膝辺りに向けられていて。
「このアコライトの服も、今晩で見納めか…。お前の金髪に似合ってたから、そこはちょっと残念だな」
思わず息を飲んだ。
そう、僕の髪は、この服に近い色合いをしている。プリーストになれば、その組み合わせももうない。
「プ、プリーストになったら染めようかな…服に合うように。あ、白とか?」
隣の彼の、サキュバス角が付いた髪を見ながら言う。
「ばーか、お前、俺と被るだろー。そんままでいいよ」
「う、うん……」
「…似合いそうな頭の装備、探してやっから」
「…うん」
頬を赤らめて頷くと、そっと頭を撫でてくれた。

翌日。プロンテラ大聖堂の前に立った僕は、ここまで送ってくれたサキュバス角の彼に手を振り、中へと入っていった。――プリーストになるために。


その頃、アコライトを送り届けたサキュバス角のプリーストは、露店街をウロウロしていた。
あっちを覗きこっちを見、華奢なアコライトの顔を思い浮かべながら品物を吟味していた。
ようやく選び終えた彼が大聖堂前に戻ると、窓に映した自分の姿を見ながら一人騒いでいる金髪のプリーストがいる。
「うわぁあ〜っ。やっぱり似合わないよー! 服もブカブカだし、それに何でこれ、胸はだけないといけないんだよ〜。うう…恥ずかしい……」
思わず吹き出した自分の頬をはたきつつ、彼はその場に座り込んでしまった新米プリーストの背後に近付いた。


やはり似合わなかったプリーストの服装にガックリうなだれていると、ふわっと髪に触れる感触があった。
驚いて振り向くと、サキュバス角の彼が立っていて。
「あっ、あっ、えーと…ぶ、無事プリーストになれました! 色々ありがとうございまし…あれ?」
頭に触れると、なんだか柔らかい感触が。
「転職祝いだよ。ほら」
窓ガラスを見ると…そこには、赤くて大きなリボンを頭の後ろに着けた、ブカブカのプリースト服の自分がいた。
「リ、リボンって…」
じょ、女装みたいに見えないのかな、いいのかな? 赤くなりながらそうっと彼を見てみると、サキュバス角の彼は笑いながら言う。
「だってお前、可愛いの好きだろ?」

思わずドキンとした。
知ってくれてたんだ……。うつむきながら、僕はかすれた声で「ありがとう、ございます…」と言った。
「あっ、で、でも…これ高くなかったですか?」
僕がつい尋ねてしまうと、彼はニヤニヤ笑って。
「あー、大丈夫大丈夫。その分、体で払ってもらうから」
「え、ええっ!?」
か、体っ!? それってどういうどういう。
「今欲しい装備あってさー。材料集めるの、手伝ってくれよ」
…………あ、なーんだ。びっくりしたー。
…勘違い、か。
「……あ、はい。もちろん!」
力いっぱい頷いた僕は、赤いリボンを揺らしながら、彼と一緒の帰り道を歩いていった。


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