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悪ケミハウスで4箱目

465 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/24(火) 21:21:13 ID:EOsNh0JA
ROの世界観って王道ライトファンタジーだから実際こういうのもいけそう

466 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/26(木) 16:15:38 ID:i7rC/YGA
バフォJr帽が実装された頃のお話


悪ケミ「う〜〜〜〜〜〜〜」
騎士子「なんか機嫌悪いわね。どうしたの?」
悪ケミ「……あれ」

悪ケミが指差す方を見ると、頭にバフォJrを乗せた冒険者達の姿がそこかしこに見受けられる。

騎士子「ああ、なんだか最近良く見るようになったわね。それがどうかしたの?」
悪ケミ「……欲しい(ボソッ」
騎士子「えっ?何?よく聞こえなかったけど」
悪ケミ「谷欠 し い の !! 私もあのタレ子バフォ欲しい〜〜〜〜〜〜っ!!」

駄々っ子のように欲しいを繰り返す悪ケミに、騎士子は両耳に手を当てて聞こえない振りをする。

騎士子「そんなに欲しいなら買えばいいじゃないの」
悪ケミ「高いんだもん! なのに露店じゃ直ぐ売り切れてるし!」
騎士子「じゃあ仕方ないでしょ、諦めなさい」
悪ケミ「ヤダヤダヤダ〜〜〜欲〜し〜い〜〜〜〜!!」
騎士子「あ〜も〜うるさいなあ。……そうだ! 子バフォ、ちょっと」
子バフォ「む。騎士子殿、何か?」

騎士子は子バフォを抱えて持ち上げると、悪ケミの頭の上に子バフォを腹ばいにして乗せた。

子バフォ「騎士子殿、何を……」
騎士子「は〜い、これでタレ子バフォの出来上がり! ……うん。これは意外とイケるわね!」
悪ケミ「あのね……そんな子供だましな」
騎士子「ううん、ホントよ! ほら、鏡で見てみなさいな」

騎士子から渡された手鏡で自分の姿を見た悪ケミの頬が紅潮する。

悪ケミ「やだ、思ってたより可愛いっ! ///」
騎士子「でしょでしょ! や〜ん、子バフォが想像以上にキュート! ///」
子バフォ「う、あ、主よ、そんなに動くと落ちてしまう」
悪ケミ「痛ッ! 子バフォ、そんなに髪の毛掴んだら痛いってば」
子バフォ「す、すまぬ」

467 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/26(木) 18:05:53 ID:i7rC/YGA
悪ケミ「ウフフフ♪ そうだ、皆にも見せて回ろうっと♪」
子バフォ「あ、主よ!まさかこのまま歩いていくつもりなのか?(汗」
悪ケミ「もちろんよ! この可愛い姿をプロンテラ中の人に見てもらうんだから♪」
子バフォ「し、しかしだな」
悪ケミ「じゃあ行くわよ! ……うう、意外と頭が重くて歩きづらい」
騎士子「やれやれね」

悪ケミが子バフォを落とさないよう、慎重に歩きながらプロンテラの露店街を歩いていると、
十字路の向こうから良ケミが歩いてくるのが見えた。

悪ケミ「おっ、あれは良ケミ! お〜い、良ケミ〜っ!!」
良ケミ「あら悪ケミ、お久しぶりね」
悪ケミ(子バフォ、動いたり喋っちゃダメよ。バレちゃうから)
子バフォ(りょ、了解した)
悪ケミ「ふふ〜ん♪ 良ケミ、コレ見てよコレ」

悪ケミは頭の上の子バフォを指さして、誇らしげに胸を反らす。

良ケミ「あら?それ騎士子さんにでも借りたの?」
悪ケミ「ざ〜んね〜んで〜した。これは正真正銘、私のです〜」
良ケミ「嘘おっしゃい。そんな高価なもの、あなたに買えるわけないでしょう」
リーフ(そうだよな〜。良ケミだって超分割ローンでなんとか買えたんだし〜)

良ケミのカートの中からリーフがひょっこり顔を出し、良ケミにしか聞こえないくらいの声で言う。
いつもの様に、これでもかと愛らしさを前面に出したあざとい営業スマイルだ。

良ケミ(うっうるさいわね、あなたは黙ってなさい)
リーフ(おいおい、アタイのお陰で超分割ローンを組むことが出来たんだぜ〜?もっと感謝しなよ)
良ケミ(そ、それについては感謝してるし、その証拠に高級ペットフードをあげてるでしょ!)

悪ケミ「あれあれ〜? ひょっとして良ケミったら私が羨ましいのかな〜?」
良ケミ「失礼ね、私だって持ってるわよ。その『ラルフ666世』ぐらい」
子バフォ(!!!! …『ラルフ666世』…だと…?)

その名を聞いた瞬間、動揺した子バフォの手から鎌が滑り落ち、地面に乾いた音を立てた。

468 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/27(金) 15:56:25 ID:e4siE63w
悪ケミ「ひぃっ! 鎌が顔の側かすめてった! ちょっと子バフォ、危ないでしょ!」
子バフォ「……ハッ、す、すまぬ、主よ」
良ケミ「なーんだ。子バフォを頭の上に乗せてラルフ帽に見せかけてたわけ?」
リーフ(ぷーくすくす)
良ケミ「まあ大方そんなとこだろうと思ってたけど」
悪ケミ「ぐぬぬ……」
子バフォ「……すまぬが良ケミ殿、一つ聞きたいのだがよろしいか?」
良ケミ「ん? ええいいけど、何かしら?」
子バフォ「先程、『ラルフ666世』と言っていたが、それは……?」
良ケミ「ああ、そのことね。ちょっと待って」

良ケミはカートの中から自分のバフォJr帽子を取り出すと鑑定のスキルを使った。

良ケミ「これ、正式には『ラルフ・フォン・ツィーゲ666世』って名前でね、一体どこで作られて流通しているのか
    詳しいことはわからないんだけど、ツィーゲ家の666代目当主就任を祝って作られた記念品らしいのよ」
子バフォ(666代目当主就任……)
良ケミ「出処の怪しさはあるけれど、マジックアイテムであることに加えて、この見た目の可愛さのお陰で
    人気あるみたいでね、今じゃプロンテラ中で見かけるようになったってわけ」
悪ケミ「えっ、それマジックアイテムなの? ちょっと貸して」
良ケミ「いやよ。それに製薬型のあなたじゃ使いこなせないわよ? これに付与されてるスキルはARだから、
    戦闘型の私向きなの」
悪ケミ「む〜〜〜。いーもん、ケチ! 子バフォ、行こっ!」
子バフォ(………)
悪ケミ(子バフォ……?)


───魔界、とある場所

???「───何用だ、小僧」
父バフォ「ふ、まだ生きておったか。家督を譲るほど衰えたと聞いたのでな、老いた情けない姿を
      笑いに来てやったのだ。 ───ラルフ・フォン・ツィーゲ665世よ」

469 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/27(金) 18:26:36 ID:e4siE63w
父バフォの前には自身の数倍はあろうという巨躯のバフォメットが座していた。
その体から発せられる禍々しい瘴気や魔素と併せ、その圧倒的な威圧感には、たとえ熟練の冒険者でも
数秒とその場に居られぬ程であろう。
バフォメット氏族において『バフォメットの中のバフォメット』と呼ばれ、最も古い歴史を持つツィーゲ家は
魔界においても屈指の実力者であった。

665世「ふん。この儂が衰えたじゃと? 笑止! 今でも貴様を組み伏せるのに指1本あれば十分よ」
父バフォ「やれやれ。どうやら相手の力量すら量れぬほどに衰えたか?」
665世「ぬかしよるわ小僧が。『暴君』などと呼ばれいい気になって儂に挑み、手も足も出ずに両角を
    叩き折られ無様な姿を晒したのを忘れたとみえる」
父バフォ「くくくっ。幼体(Jr時代)のワシの角を折ったのをそんなに自慢気にしておったとは知らなかったぞ。
      そうそう、当時は幼体から成体の角へ生え変わる時期でな。ぬしの魔素を喰ろうたお陰で後日
      立派な角を生やすことが出来て助かったわ」
665世「ふん。噂で聞いておるぞ。貴様、人間の女を妻に迎え、あまつさえ子まで成したそうではないか。
    人間ごときに媚びへつらうとは、魔族の面汚しよな」
父バフォ「ふふふ。器の小さきことよ、665世」
665世「……なに?」
父バフォ「魔族・人間という種族の隔たりを超え、もっと広い世界を知ろうとは思わぬのか?」
665世(……広い世界、だと)

    ───父上、我はもっと広い世界を知りたいのです───

665世「……何が広い世界よ。魔界に馴染めぬはみ出し者の言い訳にすぎぬではないか!」
父バフォ「確かにワシは強者を求め魔界を飛び出したはみ出し者よ。だが、閉じた魔界の未来を憂いて
     新たな道を模索した者もいるのではないか。665世よ、その者をそなたは知っているはず」
665世「………」
父バフォ「……665世よ。『ラルフ』は今、我が眷属と共に在る」
665世(!!!)
父バフォ「まだあ奴なりに道を模索している所なのだ。しばし待ってやることは出来なかったのか?」
665世「……それは出来ん。我がツィーゲ家は代々バフォメットを束ねるもの。その次期当主が
    いつまでも不在であっては示しがつかぬ」
父バフォ「……そうか。まあ良い。今日は666世の当主就任を祝いに伺ったまで。後で極上の蜂蜜を
     届けるとしよう」
665世「……待て。あやつは……息災か?」
父バフォ「ああ。我が眷属に振り回され、忙しい日々を過ごしているが、な」

470 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/28(土) 21:35:17 ID:IQtLKELo
666世ってよく考えたらとんでもない歴史の長さだな

471 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/29(日) 16:54:12 ID:CoVssEmQ
その夜、子バフォは一人プロンテラの空を眺めていた。

子バフォ(………)
父バフォ「どうした子バフォよ、眠れぬのか」
子バフォ「親父殿……」
父バフォ665世に会ってきた」
子バフォ(!!)
父バフォ「あのクソジジイ、家督を譲って隠居の身でありながら、豪胆さは以前と全く変わらぬ。
     近いうちに昔の決着をつけにいかねばならんな。ふふふ」
子バフォ「……息災のようで」
父バフォ「「……『ラルフ』よ。ヌシは戻りたいと思っておるか? ヌシが偉大なるラルフ・フォン・ツィーゲ
      666世となっていたかもしれぬのだ。我が眷属となったことに後悔はないか?」
子バフォ「親父殿。我はその名は捨てました。 ───あの日、父上に我の決意を伝えた日に。
      そして、偶然に我が主と出会った我を、全て知った上で親父殿は眷属に迎え入れてくれた。
      この運命に感謝こそすれ、後悔など全くございませぬ」
父バフォ「……そうか。ならばワシも二度とその名で呼ぶまい。ところで子バフォよ」
子バフォ「はっ」
父バフォ「665世に極上の蜂蜜を届けると言ってきてしまった手前、持っていかぬわけにいかぬのでな。
      そなたが我が眷属の使者として届けてこい。なあに、ツィーゲ家ともあろうものが、祝いの使者を
      邪険に追い返すことなどなかろうよ。使者の労を労って滞在を許可されたならそれも良かろう」
子バフォ「親父殿……それはまさか」
父バフォ「では使者の件、任せたぞ」
子バフォ「……御意!」

翌朝

悪ケミ「ふぁぁ。おはよー、子バフォ」
子バフォ「うむ。お早う、主よ。食事の支度は出来ておるぞ」
悪ケミ「ん、ありがとー」
子バフォ「主よ、食事が済んだら頼みがあるのだが。至急蜂蜜を手にれたいのだ。出来れば良い物を」
悪ケミ「いいよー。良い蜂蜜ねえ……じゃあ騎士子呼んで、ウンバラの秘境の奥地まで探しに行こっか!」

472 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2014/06/29(日) 16:55:36 ID:CoVssEmQ
ドジケミ「ししょー、おはようございます〜。えっ、ウンバラですか?もちろんお伴します〜」
剣士男「聞きましたよ。ドジケミさん、ウンバラの秘境に行くんならボクが護衛しますよ」
ボンゴン「ウンバラの奥地へいくなら、食事とかの準備もしっかりしないとね!」
騎士男「うおおおお!悪ケミたんと秘境の一夜だとお!!」
騎士子「あんたはお呼びじゃないから引っ込んでなさい (AA略」
悪プリ「ぐっ偶然ね!たまたまウンバラのぽた取っていたわ!どうしてもっていうなら行ってあg」

いつもの面子が集まって、また今日も騒がしくなりそうだ。

子バフォ(父上、我は毎日こんな目まぐるしい日々を過ごしていますが、いつかきっと、魔界や人間界
      その他の世界との新たな関係構築を目指してみせます)

      ───『ラルフ』としてではなく、子バフォとして───

悪ケミ「よーっし! じゃあ『極上』の蜂蜜目指して、いざウンバラの秘境へ! しゅっぱ〜つ!!」

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