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【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】

1 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:10:09 ID:CeFs57/Q
ここはどんなスレ?

各職男女と無作為に選ばれたROのキャラクターが
生き残る為にバトルロワイヤルする様子を描いた
リレー小説を扱っているスレッドです。


・まとめサイト
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/

・前スレ
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1148962367/

・萌え板全体のルールは此方
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/


書き手のルール

先ず一番最初に。
このリレー小説内では、各登場人物は生きている人間であり、
いきなり投げ込まれた現実に各人様々複雑な感情を抱いている事を肝に銘じてください。
完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。

次に、書く前に纏めサイトで作品の流れを把握してください。
流れの中では先に発表された作品が優先します。
競り負けても泣かない。
但し、荒し煽りはこの中に含まない。
(前触れの無い突然の心臓停止や全員即死等)

もし、執筆を続けていく内で、致命的な矛盾を過去の自分の作品に発見した場合、
スレにて申告の上、速やかに修正作品を仕上げて下さい。
どうしても音沙汰が無い場合は他の書き手が修正せざるを得なくなりますが、
原則として本人がその作品を修正しなければいけません。

それから、一人の書き手が連投を続けるのはイクナイ!!
最低でも三日程待って見ましょう。
止むを得ず連投する場合は、スレで意見を聞いてみると尚goodです。

本文の内容についてですが、RO内の設定と言うよりも、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりもまず、キャラクタ間でのバランスを崩し過ぎないように気をつけてください。

作品の一番最後にはそれに登場した人物の
<氏名、所持品、死亡等の状態>及びに死亡者が出た場合<残り○○人>という表記をお忘れなく。
任意規定ですが、登場した人物については1)これまで描かれたプロフィール、2)これまで描かれたスキルを
下記の書式で記入していただけると更にgood.

<例:♂アコ>
1…描かれたプロフィールをその都度追加
 ・髪:呪いのカツラで逆毛に変更<023話>
 ・口調:wWw<023話>
 ・性格:少々潔癖、説教癖、不幸<071話>

2…描かれたスキルをその都度追加
 ・ヒール<065話>
 ・殴りアコ<071話>

最後に書き手の方は、現段階ではコテハンを名乗る事はご遠慮ください。

2 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:10:29 ID:CeFs57/Q
読み手のルール

叩き荒しはスルー推奨。反応は彼等の栄養源です。放置して枯死した後で削除依頼を。
又、過剰な擁護やNG議論も荒しの同類です。出来る限り自重していただけると幸いです。
もし、読み進めていく内に、作品内に矛盾を発見した場合、遠慮なく速やかに申し出てもらえると幸いです。

面白い、と思ったときには積極的に感想を。
首を捻った時には積極的に批評を。
又、暇だなーと思った時なんかは遠慮なく雑談を。
勿論、イラスト、まとめテンプレ、まとめサイト編集さん。
それぞれ大歓迎です。

感想は書き手の活力に、批評は書き手の技術向上に、
雑談は常にネタに飢えている書き手にとって格好の息抜き(兼、ネタ探し)になります。

勿論、読み手から書き手への転進も歓迎です。
その際の留意点は書き手のルールを参照してください。

3 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:10:51 ID:CeFs57/Q
◆◆バトルROワイアル2 ルール◆◆

登場人物

ノービス+一次職+二次職(スパノビ含む)の男女四十名+特別枠十名
以上の五十名。

但し、以下の規定があります。
一次職、二次職、ノビ、スパノビは固有の名前をつけないこと。

特別枠は良識の範囲において、
ゲーム内部、萌え掲示板、LiveROのどんなスレ、場面からでも出演者を選出してよい。
余りにチョイ役の名無しや知名度の低すぎるキャラクタ、盗蟲、ポリンなど知能を明白に持たない者、荒し目的の出演者は含まない。
但し、出来うる限り前回のバトROワに未出演の人物である事が好ましい。
NPCもこの範囲に含む。
出典はNPC、mob、小説、スレを問わないが
スレ、小説の場合は同じ出展元からは原則二人までの出演とする。
また、特別枠十名の内訳はNPC枠、その他枠(mob、他小説・スレキャラ)にそれぞれ三名分の最低人数確保枠を設ける。
残りの四名分はどちらのものとして消費しても構わない。

それぞれの出演者で通常の冒険者については、髪形、外見などについては最初に執筆した人物の選択による。
但し、ピクミン、おにぎりetrなどと言った叩き目的が客観的に明白である場合、
執筆した者はその事に対しての異議へ正当な反論をする事を要す。
それをしない場合は、その話で語られたキャラクタの外見はNGであるとして無効であるものとする。
但し、作品を通じてその反論とする事も可能だが、その場合は相当程度の説得力が必要であるとする。

追加事項として、同じ髪型は原則として大量に氾濫してはならない。目安としては最大で三名まで。
イメージが被る為に同系統の職、例えば騎士-クルセなどでは別の髪型が望ましい。
更に、ドットの髪型は基本的に参考程度であり、執筆による説得力とスレ内部の同意が得られれば、
モヒカン、スキンヘッド等も可である。但し、その取り扱いには注意を要す。
また、ストーリー上の髪型の変更も可である。但しこちらも、その取り扱いは慎重に行うこと。

キャラクターの性格については、話の流れ、及び個々の執筆者に一任する事。
但し、執筆側は、それまでのキャラクタの性格について熟知するべし。

出演者は、前回同様その能力について制限を受けているものとする。
例えば、ヒールは止血や実際の治療の助け程度の効力しか無く、リザレクションは無効であり、
ファイアーボルトやあらゆる大魔法、モンクのスキルについても、それのみで殺害できる程の威力は失われている。
Mobやその他特別枠出演者についても同じであり、更に彼等は超人的能力を有する場合、普通の冒険者と同等程にそれは低下している。

また、カプラさんは、アンソロなどで見られる様な超人的能力を有するのではなく、
一般人、或いは一次職と同等(生涯一次は除く)くらいの能力であるとする。
精錬工の面々については良識に任せるけれども、彼らは直接的に武具を破壊する能力は持っていない。
又、二次職を超える様な戦闘力も持ってはいない。

ポタ、テレポについては参加者は使用は原則不可能。
インティミデイトについても、仕様変更に伴い、テレポート機能は無いものとする。

スキルに関する規定は以上に書かれたものであるとする。


舞台

マップがまとめサイトに上がっている事から、亀島に似ているが違う島である。
上がっているマップ自体にはまだ何も地形や設備が書き込みされてはいないが、
これは、執筆が進むにつれて順次設備などが記載されるものとする。
(例えば、家屋や市街地、灯台、教会、百貨店や廃墟など。但し、進行の都合上自由に出入り出来る地下洞穴は存在しない)
その広さについては、50人の人間が動き回るのに狭く無い程度である。
尚、全力で移動すれば、数時間程度で中央から島の端まで移動が可能である。

魔法発動時の音響については、至近〜やや中距離程度までならば響くが、
島の端など、余りに離れている場所であれば聞こえない。
気候については、書き手の便宜上、元祖バトロワに準じ日本の初夏程度とする。

そして、舞台に伴い放送に付いては、午前十時を基準として朝夜一回づつ放送されるものとする。
又、転職については、そもそも転職の舞台は島の中に存在せず、各職業ギルドの認証も得られない為、不能である。
但し、これはゲームのRO内部で一般的な『ノビ=>一次、及び一次=>二次』といった転職を示す意味での言葉であり、
例えば、各キャラクタの成長を示す演出的な効果における『転職』は含まないものとする。

原則Wis、ギルドチャット等については、これはゲーム内部での便宜的な機能であり、バトROワ内では存在しないものとする。


支給品

開始時手渡される鞄の中身には主に

支給品(武装or防具orハズレetcが入った青箱を模したケース)が二つ。弓の場合は通常の矢も付いている。
水、食料、大まかな地形だけが記された地図(前述まとめサイトの地図参照)、コンパスが入っている。
また、ランダムで5名に特別支給として古いカード帖が配られる。
ただし、当たりアイテムとはいえカード帖の中身も全て有用なカードとは限らない。
各出演者が元々所持していた武器防具や道具等に付いては取り上げられてしまっている。

又、この劇中においては登場人物はどんな武器防具であろうと使用する事はできるが
本職が用いるのに比べれば、扱いなれていない為に、普段使用する武器と異なった種類であるほど威力や命中率は落ちる。
(例:騎士はカタールならば多少は使えるが、弓に関しては鈍器として使わざるを得ない、など)
但し器用さが高い人間については、ある程度まではどんな武器でも使用する事が出来る。
長柄や斧に付いては器用さ以外にも筋力が必要となる。
更に宗教上の理由から殺人者でない、狂っていない、特別な事情の無いアコライト系に限っては刃物で戦闘は出来ない。
防具の効能は現実的に考えて頂けると幸いです。

また、完全にキャラクタ間のバランスを崩壊させる装備については、入手を禁止とする。
(神器全般や有効すぎる廃装備)

カードについては、特別支給のカード帖から得る他に、既にカードが刺さった武器防具か、
特別枠のmobの死亡、殺害によって出現、入手する事が可能である。
但し、後者については作者は進行と流れの都合上、執筆の前に十分な熟考をする義務を負うものとする。


主催

ミッドガッツ王国主体の非人道的イベントであり、国法のもと運営されている。
また、開催に関しては国家の他各職業ギルドも秘密裏に協力している。
詳しくはまとめサイトのプロローグ参照。

彼等が使用しているのは、前回と同じく外せば即死の呪いの首輪であるが
爆発力については、本人のみが死亡する程度である。前回ほどの威力は無い。
開始時には、彼等からルール、目的、勝利条件等が告げられる。
その辺りの細かい規定は第一話の作者とその後の流れによる。

4 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:11:02 ID:CeFs57/Q
<連投について>

 【連投規制A】 投下は1日1本(1採用)まで
 【連投規制B】 書いたことのある人物が含まれる話を書く場合は、該当する前回投下日から中2日開けてから
※規制B発動中も、規制Aに触れなければ関係ないパートを投下可能
※NG話、アナザー・番外編については連投規制はA・Bともに適用しない。


<議論について>

422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 19:13:13 ID:bK71eV2.
議論は薬だ。多すぎると投薬された相手を殺すことになる
だからほどほどにな


<サブタイトル横の時間表記と最下部の状態欄について>

296 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/11/25(金) 19:07:19 ID:FmGMqShU
>>293
任意だから義務じゃないんですが、まとめ時や続き書く時に便利なので
次から他の人のようにタイトル横の時間と最下部の状態欄付けてもらえたらやりやすいなと思います。
逆にF6惨劇部隊のように大人数の場合はその時だけ簡潔に書いてもいいかと。

5 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:11:16 ID:CeFs57/Q
<特定グループの時間が進みすぎることの弊害>

あるキャラ(およびグループ)の話のみが進むことで問題になるのは、
・そのキャラに対する他のキャラからのリアクションが制限される
ex)夜の時点で無傷なキャラに、昼の話として戦闘で負傷させることはできない
・同様にそのキャラの行動を通じて他のキャラの状態が制限される
ex)あるキャラが夜に♂Wizと出会ったとしたら、♂Wizは夜まで生存しなくてはならず
  しかも夜にはその場所にいなくてはならない
・特に定時放送をはさむ場合は死亡者および禁止区域の問題で整合性が取りにくい

上は極端な例を挙げたが、時間軸の整合性が絡むと大抵問題が発生する。
しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。

明確に制限事項とするのではなく、自粛事項程度にしておくのがいいのではなかろうか。
・物語全体の時間軸の整合性に配慮して、特定のキャラの時間を進めすぎないこと。
・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
 制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。
・この物語に明確な「主人公」は存在しない。えこひいきとならないよう配慮すること。

6 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:12:30 ID:CeFs57/Q
その他注意事項はこちらを参照

参加の注意(Wiki) ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/pages/415.html

7 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 09:52:26 ID:BTiYLnpM
>>1乙〜

7ゲット

8 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 23:13:30 ID:iP5kswAA
スレ立乙です
それにしてもついに十冊めですね…

9 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/06(火) 23:21:59 ID:qukJoIF2
9Getかな?
スレ立て乙です

10 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/12(月) 06:55:11 ID:0nW3wO0Y
10げt

11 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/26(月) 18:47:34 ID:cPCbeqis
263.集いし混沌(三日目・午前)


「おねえちゃん・・・?」
木陰で目が覚めたとき、♀ハンターはひとりだった。正確にはひとりと一羽、側には彼女の愛鳥であるふぁるが寝転がっていた。
♀ハンターは♀スーパーノービスの死を直接確認したわけではない。しかしそれでも脳裏に鮮明に刻み込まれた映像は、胸を刺し貫かれて苦しそうに、それでも己の為に笑ってくれた血濡れの♀スーパーノービスで、目を覚ましたばかりの♀ハンターの頬の乾いた涙の跡がそれをしっかりと教えてくれていた。
「ふぁる・・・・・・」
傍らでうずくまって眠る愛鳥の羽根を柔らかくなぞる。先のミストレスの電撃により、黒く焦げ付いた跡が生々しい。ぴくりとも動かないが、ふぁるの体はまだ暖かかった。生命の脈動を確かに感じることに、少しだけほっとする。
♀ハンター自身も全身がひどく痛むのだが、思考回路は怪我の痛みなど届かないところでぐるぐると回っていた。
あのあと、どうなったのか。ミストレスは、他の人たちは、おねえちゃんは。なぜ自分だけがこんな場所にいるのか。
わかるはずもなかったが、それでもある種の予感めいたもので、彼女は♀スーパーノービスがもう無事ではないのだろうと悟る。
「ふぁる・・・・・・あたし、あたし・・・・・・ひとりになっちゃった・・・・・・」


     *  *  *


気絶した♀ハンターを抱えて、仲間のもとに帰ろうとしていたはずの♂プリーストは、♀ハンターの目を覚ました木陰より少しだけ離れた広場のような場所で、パピヨンと対峙していた。走る♂プリーストの前に突然現れ、強襲してきたのである。
「っくしょオ、あと少しであいつ等のいた辺りだってぇのに・・・」
♀ハンターとふぁるを一人にしておくことは危険だったが、気絶中の彼女達を背負ったまま逃げ切ることはおそらく不可能だったし、庇いながら戦ってどうにかなるとも到底思えなかった。最も、ひとりで戦ったところで眼前の相手に敵う保証もないのだが。
どうにか♀ハンターとの距離を離すことには成功したものの、既に♂プリーストの全身はパピヨンが楽しそうに振るう触覚に幾度も切り刻まれ、先に負っていたダメージと合わせて全身ぼろぼろである。既にヒールを使えるだけの魔力も底をつき、荒い息で♂プリーストは愚痴を吐き棄てた。
「ったく、この島はバトルロワイヤルの会場じゃなかったのかよ。なんでこんなうじゃうじゃ魔物がいるってんだ」
「あっはは、アンタの血全っ然おいしそーじゃないけど、折角だから飲んであげようってんじゃん。さ、じっとしてる!」
「っくそ、喋るパピヨンなんざ聞いた事ねぇってんだ、よッ!」
ふらつきながらマイトスタッフを振り下ろすが、その一撃は空しく大地を叩き、逆にその背中をパピヨンの触覚が薙いだ。
「が・・・!!」
ぶっ飛びそうになる意識を、根性で据わらせる。
(畜生・・・・・・こんなとこで、終わっちまってたまるかよ・・・・・・・・・・!! 近くにあいつ等がいる筈なんだ、どうにかしてあいつ等に知らせられりゃ・・・・・・!!)
「あっははははは、ホラホラそんな飛び散らせちゃったら勿体ないじゃーん!! アタシが飲めるくらいの血はちゃんと残しといてよねっ!!」
二撃、三撃。パピヨンの真紅の触覚が♂プリの返り血で益々鮮やかに、さらに。
その時、♂プリが四股を踏むように己が作った血溜りを、大地を、ずしん、と踏みしめ、

「うお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

迸る、全身全霊の絶叫。
そして、♂プリは力なくだらりと両手を下げた。からんからん、と手から離れたマイトスタッフが転がる。
パピヨンも一瞬目を丸くしたが、
「何さっ、もう! びっくりしたじゃん!!」
触覚の一撃が♂プリの左脇腹を抉る。
そして、♂プリはついに地に膝を着いた。


     *  *  *


「うお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

♀ハンターの耳に飛び込んできたその叫びが♂プリのものであると、彼女にはわからなかった。いや、仮にそれがわかったとしても、彼女に♂プリが危険な人物であるか否かの判断はできなかった。
それはただ、♀ハンターには恐怖が音として具現化しただけの存在として映った。
今はもう、頼りになる♀スーパーノービスはどこにもいない。ふぁるも翼を傷めて目を覚まさない。近くになにか、恐ろしいものがいる。
「・・・・・・やだ・・・・・・!!」
♀ハンターの全身を恐怖が駆け巡る。恐怖だけが体を支配する。
「やだ・・・・・・やだ・・・・・・!!」
目に涙を浮かべ、♀ハンターはパニックになりながらもふぁるを抱え上げると、先程の叫びが聴こえてきた方向とは逆の方へ、ふらつきながらも駆け出した。

12 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/26(月) 18:47:53 ID:cPCbeqis
     *  *  *


「・・・なぜ、こんなところにパピヨンがいるのかはわからないが」
そう言いながら、止めを刺そうとしていたパピヨンと血溜りの中にうつ伏せに倒れる♂プリの間に立ち塞がったのは、グラサンモンクの姿だった。
「助・・・・・・かったぜ・・・・・・」
うつ伏せのまま♂プリは力なくグラサンモンクを見上げ、安堵の表情を浮かべた。
「あんな・・・もんで・・・・・・気づいて、くれる・・・奴がいるたぁ・・・まだまだ、この島も・・・捨てたもんじゃ、ねぇ、って・・・か・・・?」
「あー。人間が増えたぁ」
パピヨンがひらりひらりと舞いながら、不快そうに頬を膨らませる。
さらにそこに♂プリの絶叫を聞きつけ、遅れて走ってきた悪ケミ達が♂プリに駆け寄った。
「うわ、ひどい傷・・・ちょ、早く回復しないとヤバいわよこれ!」
「だ、誰かヒールヒール!」
「バカっ、ヒール使えるのはキミでしょ!」
「わ、私のヒールじゃこんなの、ムリムリムリ! ・・・ってこの人プリーストじゃん! ヒールできるじゃん!」
「それができないほどひどい状態だってことでしょ!」
こんな状況を前にしながらも騒がしい悪ケミ達に、♂プリは少し気力を分けてもらえたかのような錯覚を覚える。
「仲間・・・結構、居んだな。すまねえ・・・頼みが、ある。・・・・・・っ、ごふ」
血を吐きながら、息も絶え絶えで喋る♂プリを♀アコが怒鳴りつけた。
「手当てでしょ、見りゃわかるわよ! いいから、喋んないで!」
「・・・・・・近くに、女のハンターが・・・倒れてる筈だ。保護して、やってくれ」
その言葉に、悪ケミ達の動きが一瞬、ぴたりと揃って止まった。

まずい。
♀アルケミストはひとり、♂プリーストの傷を心配する表情を作りつつ、状況を判断してこの先どうすればいいのかと必死で頭をフル回転させていた。
何なのよ、この状況は。
この♂プリーストは、どこかに逃げていったんじゃなかったの!? なんでまだこんなところをウロウロしてるのよ。
♀ハンターとこんなに早く鉢合わせちゃうなんて計算外だわ。
それだけじゃない、さっきの大声、こいつの仲間も集まってきちゃうかもしれないじゃない。
やり難くなるったらない・・・・・・、

そう思った瞬間、♀アルケミストの杞憂どおりに、♂プリーストの仲間が絶叫を聞きつけて姿を現した。
「この状況は・・・何が起こっているんです?」
しかしそれは♀アルケミストのよく知る女(本当は男)を連れた、♂プリーストの本来の仲間達の姿だったが。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♀ハンターを抱え交戦地点へとUターン
状態:瀕死(HPSP共に真っ赤)

<♀ハンター>
現在地:E-6→?(♂プリ達のいる辺りより反対方向)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:気絶から回復、でもHP赤い ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖

<ふぁる>
現在地:E-6(E-7寄り)
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中

<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中 淫徒プリと再会(げっ)
状 態:各軽傷や矢傷は治療済

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけた?
状 態:HPレッドゾーン、ヒールを受けてやや回復?意識は朦朧?or気絶?

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
思 考:脱出する。
備 考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
状 態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 ♀ケミに疑念
状 態:悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチ・♀ハンターを警戒 パピヨンと対峙中
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<♂セージ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    ♀商人・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・

<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    ♂セージ・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・

<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・♂セージと同行 ♀ケミとの再会だが・・・

<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部受け継ぐ ノーマルより強い
状 態:全快 食事(♂プリ)の邪魔をされてえー何これー

13 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/27(火) 17:21:13 ID:FthaQscI
>>11
そんなに速く仲間が合流できるのかという疑問が残りますがGJ
むしろパピヨンつえーよつえー。
というわけで俺もNGっぽいですが置いていきますね

264.ハプニング(三日目・午前)

「♀Wizさん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」
来た道を戻る形で北に向かう途中、♂シーフが♀Wizに問いかける。
勿論、これは♀Wizの指示であり『立ち止まる口実を作ってください』という事である。
イグドラシルの実の半分をもらい、かなり体力が回復しているが、それでも本調子には程遠いらしく、♂シーフの判断はごく自然なものであろう。
ただ、♂シーフは♀Wizがしんどそうにしているのを察し、少し体力を回復させた方が良いかもしれない、という判断もあったであろう。

さて、何故♀Wizがそんな指示を出したか、であるが。
至極、単純な事である。気になる廃屋を見つけただけである。
移動中であれば、気にも留めなかっただろうが、少しでも手掛かりが欲しい現状では、すがる思いであった。
――何か重要な情報が手にはいるかもしれない
確率的には低いとしても、その可能性を試したかったのだ。
そして、二人は『休憩』を取るためにその廃屋に入っていった。


(うわ……何だこの変な臭い……)
廃屋に立ちこめる酷い臭いは、二人の嗅覚を刺激した。
が、面目上は『休憩』であるから、変な声を上げるわけにはいかない。
♀Wizが地面を指して、口紅で文字を書く。
『これは腐敗臭です。死体があるかもしれません』
それを見て、♂シーフは体を震わした。
まさか、マーダラーの手が?
だが、その考えはすぐにかき消えた。
もし、このゲームでの死体であれば、ここまで酷い臭いになるはずがないからである。
じゃあ誰が?
♂シーフは近くにあったナイフ――それがグラディウスだと分かる――を手に取り、床に文字を掘り始めた。
「少し臭いですね……外で休みますか?」
『以前にここでゲームが行われ、その時のもの?』
♂シーフはカモフラージュとして喋りながら、本題を床に掘った。
「大丈夫ですよ。この程度なら、あまり気になりませんから。それより、シーフ君も休んだ方がいいのではないかしら?」
『かもしれません。調べてみる必要があります』
♂シーフの問いに答えつつ、本題に答えを出す。
『会話を途切らせない程度にお願いしますね』


(どうやら、ここは長い間使われていないらしいわね……)
♀Wizはそう思いつつ、寝室と思われる部屋を調べていた。
と言うのも、所々埃を被っていて、布団を調べた時なんかはあまりに埃が立ちこめてその場から離れたぐらいである。
家具なんかも使われてないのか、埃を被っているし、金属部品は錆びてる箇所も見受けられた。
(この腐敗臭はもう一つ向こうの部屋かしら……)
寝室には見るべきところはなく、もう一つ向こうの部屋に移動する。
ドアを開け、その瞬間酷い臭いに思わず咽せそうになった。
(酷い臭い……恐らく、死体はここにあるわね)
衣類を鼻にあて、廊下の窓を開けて息を吸い込んだ後、その部屋に入った。
書斎、だろうか。本棚がたくさんある。
案の場、そこに死体があった。
だが、♀Wizはその死体を見て思わず声を上げそうになった。
白を基調とした、威厳のある衣装――ぼろぼろになって威厳こそ失われているが――それは、あのGMジョーカーと同じ衣装であった。
細かい箇所は違うが、同じに違いない。
ならば、これは誰?
「♀Wizさん、大丈夫ですか?」
♂シーフの問いかけにはっとなり、先ほどの♂シーフが床に書いた問いを思い出した。
それと同時に、「大丈夫ですよ」と♀Wizが答える。
♀Wizは死体に近づき、調べてみることにした。
とは言っても、かなり日が経っているらしく、近づく事すら苦痛であった。
(恐らく、この死体はGMで間違いないでしょうね……)
ならば何故死体が?
(反乱があった?或いは、他のGM処分された?)
可能性としては、前者の方が高い。
GM同士で争うメリットは無いだろうし、何より死体を残す意味が分からない。
となれば――
そこで、♀Wizはある物に目を留めた。
金色に光る、大きい杖――
(これは……ウィザードスタッフ!?)
――ウィザードスタッフ――書物でしか見たことは無いが、吸血鬼や古の大魔導師が持っていたと言われる、とてつもない能力を秘めた秘宝、魔術師の神器とも呼ばれる物である。
恐らく、このGMは魔術師型。死体が腐っているので傷跡までは分からないが、衣服の状態からして、刃物による切傷、その大きさと床の黒ずんだ血からして出血多量、或いはショック死であろう。
♀Wizはウィザードスタッフを持ち、辺りを見渡し――♂シーフが手招きで呼んでいるのが見えた。
「♀Wizさん、これでも食べてください」
と、しかし本題は書棚の方を指していた。
何やら、空きスペースがあり、そこに小さいレバーがある。
『引いてみますか?』
適当な本に掘られた文章は、それである。
♀Wizはとっさに近くの本を手に取り、それに口紅でこう書いた。
「ありがとう。シーフ君も食べたらどう?」
『調べてから考えます』
と。
だが、ここで誤算が生じる。
偶然、レバーの隣にあった本が倒れ――不運にもレバーが入ってしまったのだ。
がちゃん。
「……!!」
二人はレバーの方を振り向いた。
これから、何かが起こるであろう事態に備えるために、準備している。
だが、やってきたのは敵ではない。
突然、床が抜けたのだ。
「え……!?」
「うわっ!?」
同時に声を上げ、逃げるように体を捻ったが、もう遅い。
二人の姿は床に吸い込まれるように消え、絶叫とともに、次第にその絶叫も消えていく。

14 名前:13 投稿日:2007/03/27(火) 17:22:56 ID:FthaQscI
「ぁ……ぁぁ……ぁぁぁぁぁああああああ!?」
どすんっ!
男女の悲壮な絶叫がし、痛そうな着地音と同時に♀Wizと♂シーフがそこに現れた。
どうやら、やや急な滑り台のようになっていたらしく、それが幸いして二人に怪我は無
い。
「っー……いたたた……」
♂シーフは左腕をさすりながら、辺りを見渡した。
無機質な、灰色の壁ばかりである。
真正面に道があるようであり、その先はT字路になっているらしかった。
「♀Wiz……さん?……大丈夫ですか?」
♀Wizは腰を痛そうに押さえながら、痛みに耐えてるようであった。
「……年のせいじゃないわよ?」
半ば脅すような低いトーンで♂シーフに言った。
いや、まだ何も……、と言おうとしたが飲み込んだ。
言ったら魔法が飛んでくるような気がしたからである。
「それはおいといて……どうやら、ここは地下室らしいわね」
先ほどの雰囲気を完全に消して、冷静に状況判断をする。
滑り落ちてきたのだから、地下だというのは容易に予測できる。
「どの辺なんですかね……地図で確認をし……てえええええええええ!?」
地図をみて位置を確認しようとした♂シーフは、突然叫んだ。
それにつられ、♀Wizは急いで地図を取り出し、確認しようとして――
「嘘っ!?」
♀Wizも相当驚いたらしく、声が裏返った。
地図には、自分たちの現在位置が無かったのだ。
それどころか、地図に書いてある島の図がまるまる消えていたのだ。
「どどど……じゃなくてどうなってるんですかこれ!?」
♂シーフは驚きでパニックになってるのか、やや呂律が回っていない。
「わ、私に聞かれても……って、シーフ君落ち着いて!」
♀Wizにしては珍しく、少々パニックになっているらしい。が、すぐに落ち着きを取り戻す。
『多分、ここは地下です。あと、筆談はもう意味がないかもしれません。』
♂シーフは、♀Wizの落ち着きに感化されたのか、次第に落ち着きを取り戻す。
同時に、♀Wizが口紅で書いた文章を見て、自分のミスでおかれた状況がとても深刻であることを理解した。
深呼吸を数回繰り返し、
「とにかく、進んでみましょう」
♂シーフは、このゲームで初めて得た得物を手に、言った。
「……それは?」
♀Wizは、♂シーフの右手に収まっている短剣を見やり、聞いた。
「さっきの所で拾ったんです。トリプルハリケーングラディウスですよ。七回精錬してあるみたいです」
そんな物が。恐らく、あそこであったであろう戦闘の名残、と言った所だろうか。
そんな事を考えながら、♀Wizは♂シーフの後ろにいる謎の物体に見つけ――
あれは……リムーバ!?
「シーフ君、隠れて!」
考える前に、言葉が出た。
その言葉に呼応するように、♂シーフはハイディングですぐに隠れる。
♀Wizはユピテルサンダーの呪文を詠唱し、魔力を込める。
そこで、♀Wizは一つの驚愕。
魔力を込める速さが、かなり速くなっているという点である。
自分が対峙した♂Wizには全く及ばないが、少なくとも自分で驚くほど効率的に魔力を込めることが出来ているのだ。
そして、ユピテルサンダーを放ったあとに二つめの驚愕。
威力が、地上の時と比べて格段に上がっているのだ。
事実、ユピテルサンダーの直撃を受けたリムーバは、感電のせいか動きがかなり鈍くなっている。痙攣しているようにも見えた。
一応、先ほど手に入れたウィザードスタッフを使っているが、それだけでここまではならないだろう。
ともなれば、答えは一つ。
(スキル制限が外れた!?)
それ以外に考えようがなかった。
それと同時にファイアーウォールを唱え、そこにリムーバが突っ込んだ。
一瞬の炎の乱舞。
だが、それでリムーバは崩れた。
これで、♀Wizは確信する。
間違いなく、スキル制限が外れている。
そして、ここから二つの推測が生まれた。
一つは、この空間では装置の影響を受けない可能性。
一つは、ウィザードスタッフが装置の影響を無効化させる物である可能性。
今の所、後者の可能性が高いと♀Wizは判断する。
が、ここがもしGM達の懐であるならば、前者である可能性も否定は出来なかった。
どちらにしろ希望が大きくなってきたのを♀Wizは感じていた。
(私の実力を存分の発揮できるのなら……ジョーカーを殺せる)
もちろん、ジョーカーの実力は未知数なのだが、♀Wizは自らを鼓舞する為に、また誓いを確認する意味でもそう確信させた。
そして、リムーバの惨状を目の当たりにし、呆然としている♂シーフ――ユピテルサンダーが放たれた時点で出てきたらしい―に近づき、
「大丈夫?」
と声をかけた。
♂シーフは、借りてきた猫のように、首を縦に振ることしか出来なかった。

<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行

<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに。

<リムーバ>
所在地:謎の地下室?
状態:JT→FWに突っ込んで即死

15 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/27(火) 18:44:19 ID:FGrpByiU
いくらなんでも、謎の地下室とリムーバは脈絡がなさすぎやしないか?

まあ、投稿した本人がNGっぽいって言ってるから分かってるのかもしれないが。

16 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/27(火) 18:45:41 ID:FGrpByiU
そしてごめん。dameちまった……OTL
お詫びにageときます。

17 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/27(火) 19:08:34 ID:7h4kZ7NE
GM橘がアナベルツじゃなく、シュバルツバルド関連の間者なら、
リムーバーが出てきても話に繋がりが出てきそうなんだがな
『あの会社』なら敵対国にでも普通に提供しそうだが・・・

NGっぽいがうまく使えば面白くなりそうな気がする

18 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/28(水) 08:43:35 ID:sasWv34c
GM橘辺りが、独断でリムーバを密輸して使ってる気もするw
きっと、殺されてたGMは本来のGM橘なんだよ!!
そして偽者がGM橘として、現在の位置にいるとか(アリエナイ

19 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/29(木) 03:06:25 ID:Q7divT4Q
264.プリズナー(三日目・午前) (NG?)

(すごい・・・)
♂シーフは♀WIZに見とれていた
詠唱の早さ、そしてその威力は勿論の事だが

薄暗い地下室をリムーバの残骸が火の粉を上げて舞い踊る
その中心に、彼女が居た
闇に映える銀髪がサラリと流れ、微笑を浮かべて僕を見ている
神聖で妖絶で、その姿は今まで見てきた絵本のどんな女神よりも・・・


「・・・♂シーフ君?」


「…あっひゃい!?」

思いっきり裏返った声が出た

「どうしたんですか?ぼーっとして…落ちた時どこか痛めました?」
「いっいえ、大丈夫です」

見とれてました、とは流石に言えない

「でも、何か変ですよ?熱でもあるのかしら・・・」
無防備に顔を覗き込んでくる♀WIZ

(えっちょっまっうぇwwwwテラヤバスwww)

♂シーフ、思考回路ショート寸前

「ほっ本当に大丈夫ですからっ!」
バックステップを辛うじて抑えながら♀WIZを牽制
逆毛語で支配されつつある思考回路に鞭打って対策をはじき出す
(自我が崩壊する前に何とか話題をそらさねば…!)
手を振り回しながらあとずさるという格好悪い体勢ながら、目と頭でネタを必死に探す
と、
「あ、あれなんでしょうか」
床に光るものを発見、考える間も無く「それ」に飛びつく
「さっきの奴のドロップですかねぇ」


♂シーフの妙なテンションに首を傾げていた♀WIZだが、気を取り直して「ソレ」に目を向ける
「それは…確か囚人の腕輪です」
シュバルツバルドの生体工学研究所に忍び込んだという知人に何度か見せて貰った事がある
「へぇ、コレがそうなんですかぁ」
職業柄か性格か、腕輪を手にとって色々な角度でそれを眺める
まるで子供のような♂シーフを微笑ましいと思いながらも、ふと疑問が頭を掠める
(…囚人の腕輪…?リムーバが落とすなんて話は聞いたことがないけれど…)

「うぐっ!」
「♂シーフ君!?」
突然♂シーフが呻き、膝を地に着けた
♀WIZは慌てて♂シーフの元へ駆け寄る


コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ

圧倒的な殺意が♂シーフの頭に響く

コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ

(何・・・だよ、これ・・・)
むき出しの意識が呪詛の刃で切刻まれる

コロセコロセコロセコロセ殺セ殺セ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!

(あぁ…「自分」が壊れていく…)


♂シーフの右腕に、囚人の腕輪が鈍く光る


<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス 囚人の腕輪?
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行 呪詛に体を蝕まれる

<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに

20 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/29(木) 03:38:13 ID:Q7divT4Q
初めての投稿〜
orz 自分で書いてみて書き手さんのLVの高さを思い知りました


orz ぁぁぁ、良くみりゃナンバリングも間違えてる

21 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/29(木) 08:17:00 ID:53u8BAto
<特定グループの時間が進みすぎることの弊害>

あるキャラ(およびグループ)の話のみが進むことで問題になるのは、
・そのキャラに対する他のキャラからのリアクションが制限される
ex)夜の時点で無傷なキャラに、昼の話として戦闘で負傷させることはできない
・同様にそのキャラの行動を通じて他のキャラの状態が制限される
ex)あるキャラが夜に♂Wizと出会ったとしたら、♂Wizは夜まで生存しなくてはならず
  しかも夜にはその場所にいなくてはならない
・特に定時放送をはさむ場合は死亡者および禁止区域の問題で整合性が取りにくい

上は極端な例を挙げたが、時間軸の整合性が絡むと大抵問題が発生する。
しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。

明確に制限事項とするのではなく、自粛事項程度にしておくのがいいのではなかろうか。
・物語全体の時間軸の整合性に配慮して、特定のキャラの時間を進めすぎないこと。
・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
 制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。
・この物語に明確な「主人公」は存在しない。えこひいきとならないよう配慮すること。

22 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/30(金) 11:21:54 ID:qncmi.zw
>>5で済むものを何コピペしてるのかと

23 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/31(土) 10:57:58 ID:0XocTEPQ
書こうと思ったんだが文章が浮かばず・・・
とりあえず、前スレから出てきてない方を・・・

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、やや心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
状態:痛覚喪失、体力は半分ほど 精神は安定してきているが、アンバランスな部分を残す
   個体認識異常を脱するが、体に変調?
   快方の傾向にあるが、未だ人間を殺すことに恐怖心は残る

<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:F-6
外見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備考:♂ローグから孵り、捕食 両生類? 西へ移動中
状態:全快

24 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/01(日) 17:55:35 ID:kzh9vEWs
265.崩壊していく理性の中で。(三日目・午前)(NGかも)

「あああああああああああああ!!」
右腕が、熱い。腕輪が恐ろしいほどの熱を発しているように感じられる。
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
自分のものとは思えない殺意が♂シーフの思考を蹂躙し、破壊していく。

(このまま、僕は壊れていくんだろうか・・・?)
♂シーフは崩壊しつつある理性の中で考えた。
(このままじゃ、♀WIZさんに攻撃を仕掛けてしまうかも・・・)
なにか解決策はないかと、必死に考えを生み出そうとするがそれもままならない。

殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!

彼の思考を殺意が攻撃し続ける。
「やめろ、やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
堪らず♂シーフは叫ぶ。誰かタスケテ。
彼の叫びに♀WIZは驚き、体をビクッと振るわせる。
しかし、彼女は♂シーフから離れようとせずに彼の体をしっかりと抱きしめる。
そして、♂シーフの耳元で、優しく囁いた。
「♂シーフ君しっかりして、大丈夫。私がついているから。」
(母さん・・・?)
♂シーフの体を優しい温もりが包み込む。それは、亡くなった母のものとどこか似ていて、♂シーフの思考を少しだけ落ち着かせた。

(母さんも父さんも僕は失った。)

♂シーフはゆっくりと深呼吸をする。思考がさらにクリアになっていく。

(もう、誰も失いたくない。この温もりを失いたくはない!)

(その為には、今のこの状況は駄目だ。腕輪をどうにかしないと・・・)
しかし、彼が考えをめぐらせていると再びあの殺意が彼を襲った。

殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!その女を殺せ!

♂シーフの意思とは関係なく、右手がグラディウスを握る。
(やばい!!)
「♀WIZさん逃げて!!」
彼はそう叫ぶとバックステップを繰り返し♀WIZと距離をとる。
そのままの勢いで部屋の壁に自らの体を激突させる。
衝突の勢いで右手からグラディウスが抜け落ちる。

「♂シーフ君!!」
♀WIZが壁に突っ込んでいった♂シーフに向かって叫んだ。
「来ないでください!!」

♂シーフはなんとか自分の意思で動かせた左手でグラディウスを拾いながら答えた。
「この腕輪は危険だ。このままじゃ僕の意思など関係なく♀WIZさんを襲ってしまうかもしれない。
 だから、破壊します。」
「もし、破壊できなくて♀WIZさんを襲うようなことがあったら・・・」
息をしっかりと吸う。恐怖で足ががくがくと震えた。
「そのときは、僕を殺してください。」
自分に出来る最高の笑みを浮かべながら♂シーフは♀WIZに伝えた。

それは、まるで自分ならできると自己暗示をかけているようで。
なるべく、♀WIZを心配させないように彼が気を使っているようで。
そして、自分が死ぬのを覚悟して別れを告げているようでもあった。


<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス 囚人の腕輪?
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行 呪詛に体を蝕まれる
    ♀WIZの姿に亡き母が重なる 死を覚悟?
<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに

25 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/01(日) 18:00:29 ID:kzh9vEWs
>>24
ナンバリングは266ですね申し訳ない
NGになるかもしれないけど投稿してみたー
♀WIZに♂シーフの母を重ねてしまった
間接的に年増と言ってるようなものだから♀WIZさんのファンの方々には謝罪したいです
前スレから出てない方々の話を書いたほうがよかったかも?

26 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/02(月) 01:57:28 ID:9oGNLfrk
心から済まないと思っているが口にさせてくれ
>>24を読んで、何故か♂シーフの脳内でDMCが流れていると脳内変換されてシマタ
「SATUGAIせよ!SATUGAIせよ!」

27 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/02(月) 08:12:36 ID:NtEUyHpE
何のために>5のコピペを書き込みしたと……。
時間が進みすぎるから、他のPTが進んでから書いて欲しかったです。
ルール読まない人多すぎ

28 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/02(月) 10:39:07 ID:8D8VfD0E
時間のルールに拘ってられるほど多くの書き手が残ってるといいんだけどね

29 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/02(月) 16:04:03 ID:WW4uVc9.
他のPTが進んでないのは気になるけど、物語自体は少しずつ進行してるから
と喜んでいる僕は異端なのでしょうか(*´・ω・`)
これからの展開に期待

30 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/02(月) 20:59:21 ID:/4ma.sjw
ちょっと気になったのでカキコ。
>>5は第一回ROワで問題になった、「特定PTの時間軸を進めすぎること」についての注意喚起ですよね?
264〜266話は連続したひとつの場面なので時間は数分しか進んでおらず、他PTの行動を制限しません。
抵触するとすれば
『・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
 制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。』
という一文ですが、その前段に
『しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。』
とも書かれてます。
同場面の話が続くのが3回程度ならすでに同様の箇所がいくつかありますし、
現実問題として集団がGM含め4つに絞られた現状では話を交互に進めることは難しくなっています。
そこまで目くじらを立てることではないと思うのですがどうでしょうか?

31 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/07(土) 10:53:40 ID:ps7gprM.
もう2週間ほどで開始から2周年か…早いもんだ

32 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/07(土) 10:54:11 ID:ps7gprM.
sage忘れるとかもうね

33 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/25(水) 11:07:11 ID:muNb5lCw
ほっしゅ

34 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/04/28(土) 06:36:40 ID:rYlIza6A
進んでませんなあ・・・。
続きを書きたいものの、流石に動かせるパーティがふた組にもなるとどうも
自分で続きを書くよりも他の人がどう繋げてくれるかを期待してしまう・・・。

そろそろ物語も収束させてく時期ですなー。

35 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/03(木) 17:33:45 ID:EJ5bSd/Y
「battleROyale'Swiki」のトップページがSPAMに改変されて
元々あったメニューが消えています。

36 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2007/05/04(金) 00:12:36 ID:Kmwk8ajM
どうも、初めまして。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所(以下交流所)」の方でラジオをしているR-0109と申します。
現在、交流所のほうで「パロロワ企画巡回ラジオツアー」というのをやっていまして。
そこで来る5/6の21:00から、このロワを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

交流所を知らない人のために交流所のアドレスも張っておきます。
ttp://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1178101118/

37 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/04(金) 00:25:46 ID:AS/7rGsA
このところ停滞してて今までの書き手さんも潜伏してるんで……
いいとか悪いとか意見は出にくいかも
でも、どういう感じの話題の出方になるんでしょうかね

38 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/04(金) 11:36:26 ID:IoCGGiwE
>>36
現在どーよって話より、以前どーだったかーって話になりそーだね
とりあえず、書き手や常駐してる(た?)人間全員からのレスは不可能だし
まとめるコテが居るスレでもない。全員名無しがデフォなもんでね
スレの雰囲気は馴れ合いに近いマッタリなので、ラジオで流す事自体は、問題無いと思いますよ

39 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/04(金) 22:26:08 ID:RrSjGJIc
ここは、2周目が始まって、登場人物の紹介が終わって殺し合いが始まった去年の今頃辺りまでが一番熱かったな。
特に大きな問題は無いと思ったけど、その辺りかペースが下がっていってラジオに…と言われてもスレが殆ど進まないほど人が少ない。
今はGW中だから、書き手さんらが旅行中とかという事もありえるけど…

まとめサイトは >>1 で、過去ログ倉庫は ttp://moeita.net/oldlogs/RO/ ここの企画カテゴリにあります。

他のロワがどうなのかも気になるな。

40 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/04(金) 22:28:49 ID:8ErRc.4g
1部だけとはいえ完結してるロワは珍しいみたいだしな
1部の時の話をメインにしていけばいいんじゃないか?

41 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/05(土) 04:03:19 ID:vvDnuVPw
>>40
何となく第一回完結の前後思い出した
色々と頭ひねりつつ、他の書き手はどーやるつもりなのかなーとかそれの邪魔しちゃ悪いなーとか考えつつやっぱりやりたい事やって
そっちは任せたぜ兄弟! ってな感じで手出さなかったルートも綺麗にまとまって
全部終わった時ぁ、心底満足したよな〜。座談会も楽しかったーよヽ(´ー`)ノ

42 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/05(土) 11:49:59 ID:hBIMAKfA
だがちょっと待って欲しい
2部が終わる前に思い出話を始めるとますます停滞しはしないか

とROM専がほざいてみる

43 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/06(日) 00:44:53 ID:P3ZxIXBc
まぁ、ある意味バトROワは、本来無個性なはずのROのキャラをオリキャラ化していく作業でもあるわけで。
その辺りに潜在的な難点を含んでたのかも、と分析してみるテスト。

44 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/06(日) 01:14:31 ID:PAs9gCgA
特に第二回は前回のキャライメージ引っ張らないように苦労したな…
と、殴りアコと殴りWIZを放り込もうとした元書き手が言ってみるw

45 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2007/05/06(日) 21:06:50 ID:9cz4nDAc
ttp://121.112.181.25:8000/
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1173139809/

上がラジオアドレスで、下が実況スレ(したらば)のアドレスです。
ラジオの聞き方はttp://spill.jp/play.htmlを参考にどうぞ

46 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2007/05/06(日) 21:07:26 ID:9cz4nDAc
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1178453083/

うわあああああ、実況スレミスりました……

47 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/06(日) 21:55:27 ID:Jvi/jVmQ
住民さん住民さん
ラジオ実況住民がお待ちしております
聞きに来てくださいな

48 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/07(月) 00:34:09 ID:eGHMub8g
ok完結に……参加しそこねた_| ̄|○

49 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/07(月) 00:39:49 ID:m0WWm19Q
ふぅ。
WIKIの画像保管庫、全て、垢ハックリンクになっていた。

とりあえず、本来の直し方(?)がわからんので、
バックアップからコピペで直したけど。

他にもあるかもしれん。

50 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/07(月) 00:40:48 ID:m0WWm19Q
「バトROワギャラリー」ね。

51 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/07(月) 13:10:42 ID:lDjMrTDw
7日だと思ってた…orz

52 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/09(水) 00:04:32 ID:Hs5YQ7QY
ラジオで、俺の書いた話が話題に取り上げられたたらしい
おおおおぉぉぉぉぉ嬉しくて首吊りそうな勢いだ

なーぜーおーれーはー参加できなかったんだー_| ̄|○
でも、直で聞いてたら嬉しすぎて俺泣いてたかもしらん。涙もろいのですよぼかぁ

53 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/09(水) 09:11:37 ID:Iqw6mo6U
久々に覗いてみたら面白そうなことしていてぎゃああああああ
聞き逃した。・゚・(ノД`)・゚・。

54 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2007/05/09(水) 20:08:23 ID:7Lz8PsOE
うーん、住人さんの大半が聞き逃してしまったようなので現在のツアー後にもう一度ここに回ってこようと思います。
そのときはもっと前もって予告をしようと思うのでよろしく御願いします。

55 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/09(水) 23:09:50 ID:Hs5YQ7QY
>>54
気を遣わせるねえ、ありがとう
次こそは何とか参加出来るよう頑張ってみるさーね

56 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/11(金) 20:45:24 ID:caVZgJ8k
それも良いが、皆で第二回のコレまでを一度読み返して纏める作業を

や ら な い か。

なんというか、キャラ把握も兼ねてダイジェスト版を作ってみる、と言うか。
いや、久々に第二回目の一話読み返してみたら思いの他面白く感じちゃって。
凄く苦労のある作業になりそうだけれども。(苦笑い)

57 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/13(日) 14:21:23 ID:9a/sL6MM
ttp://wiki.spc.gr.jp/battleROyale/
Wikiのフロントページが広告(?)に書き換えられていたので
ページ一覧に修正したんですが、この先はどう整えたらいいですか。
(元のフロントページがどんなふうになっていたのか分かりません)

58 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/13(日) 20:19:51 ID:c240/bME
個人的には、
そこ、全て白紙にして、廃棄してもいいんじゃないかなっと思う自分。

所々、垢ハックが仕掛けられてる。
(修正はまだしてない)

59 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/14(月) 01:03:48 ID:j270NHLc
現在機能は、第二回があるほうに全部おいてあるし、廃棄しても問題ないと俺も思う。
そこをもう一回整える意味がさほどあるとも思えないし。

60 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/14(月) 06:36:39 ID:dJEOE2r6
267.頭上の敵[3日目午前]


まずいことになった、と♀ケミは全力で脳を回転させる。
死にぞこないの逆毛が余計なことを言ってくれたせいで疑われるのは時間の問題になってしまった。
しかも顔見知りの淫徒プリまで出てきた。
考えてた中でも最悪に近い状況だ。
でも、事態はまだ混乱している。

「ん〜。ちょっと増えすぎ?できれば順番に並んで欲しいなあ」
「ふざけんなー!あんたちょっと降りてきなさいっ」
「やーだよー。そっちが昇ってきたらー?」

パピヨンは急に数の増えた『ごちそう』を警戒して少し高度を上げていた。
その高さから地上の♀アコと口げんかしている。
こうしてみると知能のあるパピヨンというのは実に厄介だ。
人の手の届かない高さから中〜遠距離の攻撃ができるのだから。
弓使いがいない今、有効な反撃をできるのは魔法使いだけだろう。
彼女は♂セージと♀マジに視線を向ける。

「魔法使いさんたち、あのパピヨンを撃ってください!」
「あ。ちょっとムカ。そこのおばさんからに決〜めた」
「誰がおばさ――」

ヒュヒュヒュヒュンッ
♀ケミの言葉をさえぎって血色の魔力球が殺到した。

「きゃっ」
「ソウルストライク!あんた、挑発してるんじゃないわよっ」
「ソウルストライク。まあやることは一緒のようですが」

パパパンッ
左右から飛来した半透明の魔力球が血色のそれと空中で交錯する。
ほとんどは相殺しあったが、弾幕をすり抜けた赤光が一発♀ケミの眼前へ迫る。

「ちっ」
命中直前、グラサンモンクの掌が割り込んで受け止めた。
彼も♀ケミに対する疑念を増してはいたが、目前の敵に攻撃を受けてる最中にそんなことは言ってられない。
薄く煙を上げる手のひらを握り締め、彼は毒づいた。

「思ったより痛いぞ」
「あったりまえでしょ!むちゃするんじゃないわよっ」

悪ケミに叱られるグラサンモンクを横目に♀ケミは考えを素早くまとめる。
どうやら『仲間』達はまだ彼女を見捨てていないらしい。
♂プリの言葉を聴いて全然疑わないはずもないだろうが、これなら挽回の余地はある。

「プリーストさんが危ないです。あの人から引き離さないと」
彼女はそう言って飛び出した。

「ちょっとあんた、まだそんなこと」
「戦えないのに前出るなーっ」
叫ぶ♀マジと♀アコの間を抜ける。
前へ。一気に♂プリの元へ。

「ちょっとー。無視すーるーなー」
木々の間を縫ってパピヨンが襲い掛かった。
中空から再び真紅の光弾を放とうとする。
だが今度はそれが撃ちだされる前に消滅した。

「スペルブレイカー」
「あ、あれっ?ちょっと、邪魔しないでよっ」
「そう言われましてもねえ」
「む。次やっつけるのあんたに決定ー。いーもん別のコトだってできるし」

つかみどころのない笑みを浮かべる♂セージに頬を膨らませ、パピヨンは羽を大きく羽ばたかせる。
「寝ちゃえー!」
その蝶の羽からキラキラ輝くものが広がった。

「きれい…」
「のんきですね。息を止めて」
「鱗粉?…げ、やば」
「何が?」

♂セージや♀マジらはその意味に気付いて息を止めたが、♀アコや♀商人、グラサンモンク達は舞い散るそれを吸い込んでしまった。

「ちょっとしたぼく!ねるなー!」
「…ぐ」

足元をふらつかせたグラサンモンクを悪ケミが叩き起こす。
♀商人も♂セージが肩を揺さぶって意識を取り戻させた。
睡眠毒も体へ直接打ち込まれた場合と違って広範囲に散布したのでは効き目は薄いようだ。しかもこの人数なら眠らなかった者が起こせる。

「もういっかーい」
「同じことやったって無駄よっ」
再び輝くものが宙に広がるのを見て全員が息を止めた。

だが、その様子にパピヨンは笑う。
「なーんちゃって」
瞬刻の後、触角の間に真紅の光弾が生まれ♀ケミへ向かって殺到した。
息を止めていた♂セージはスペルブレイカーに間に合わない。

「――しまった!」
「きゃあっ!?」
どぱぱぱんっ
鈍い着弾音が連鎖する。
その衝撃に突き飛ばされるように♀ケミの体が転がった。

「ああもうっ」
♀マジは♂セージとアイコンタクトを取り詠唱の態勢に入る。
「ソウルストライク!」

「邪魔っ」
ほとんど同時にパピヨンは魔力球を生み出し、自分がやられたのと同じように相殺しようとする。
その出鼻を♂セージが押さえた。

「スペルブレイカー」
「ええっ!?うわわわわっ」
撃ち出される前に赤い光球だけが消滅する。
当然のように♀マジの魔法はパピヨンに命中しようとした。
彼女はとっさに羽を閉じて落下しながら身をよじり、直撃を回避する。
それでも避けきることはできず、魔力に弾かれた羽から鱗粉が散った。

「んもうあぶなっ!って、きゃーっ!?」
「とうっ」「逝け」

地上すれすれで羽を広げ、地面への激突を回避したパピヨンへ2つの影が殺到する。
鋭い拳の連打が左右から襲った。
スピードを殺した直後で飛び立つには間に合わない。避けようにも挟み撃ちで逃げ道が封じられている。
とっさにパピヨンは地面を蹴り、同時に触角を上へ放った。
鞭のように枝に巻きつかせ、一気に体を引き上げる。

「まだだ」
拳が空を切ったグラサンモンクは体を急停止させ、パピヨンへ右の人差し指を向けた。
その動きに合わせて青白く光る気の塊が飛ぶ。
急いで枝から触角をほどいて羽ばたくが、逃げ切るには間に合わない。
かすった肩口から薄黄色の体液がしぶき、羽にピンポン玉大の穴が開いた。

「いったーい!なにすんのよ寄ってたかってー!いじめかっこわるいっ!」
「…どこでそんな言葉覚えたのよ」
「あれで落とせないとはな」
魔法も届かない高度へ離れたパピヨンを睨みつつ、グラサンモンクは気を練り直す。

その間に淫徒プリは♀ケミの元へ向かっていた。
見たところあのパピヨンの能力は通常よりかなり高い。
魔法の直撃を受けたとすればかなりひどい傷を負っているかもしれない。

「あんたも無視すーるーなー」
その動きを見とがめたパピヨンは急降下し、魔法の射程に淫徒プリを捉える。
だがそれは地上にいる者たちにとっても同じことだった。
「今度こそっ」
♀マジがソウルストライクを詠唱し、♂セージはパピヨンの動きを待つ。

しかしパピヨンは闇SSで相殺しようとはしなかった。
「おんなじ技はきかないよーだ」
手近な巨木の幹を巻くように降下し、魔法の射線を切る。
半透明の魔力球は木の表面でむなしくはじけた。

「それではそちらも撃てないでしょうに」
♂セージは即座にスペルブレイカーの準備をやめて素早く別の呪文を詠唱する。
「ナパームビート」
その術はパピヨンではなく、彼女が回り込んでいる木の枝で炸裂した。
軽い破裂音が上がり、衝撃波が四方に放たれる。
衝撃は幹の陰へも回り込み、狙いどおりに蝶の羽を打った。が、パピヨンは軽く顔をしかめただけで爆圧に乗ったかのように加速する。
目標は彼女のほぼ真下で待ち構えるグラサンモンクと♀アコ。

「いっくぞー」
「来い」
すでに気を集め終わったグラサンモンクはその流れを指先へ集める。
飛び込んでくるのが剣を握った人間なら指弾を撃つほうが早かっただろう。
しかしパピヨンの一撃は鞭の間合いを持っていた。

バチッ
鈍い音が上がり、彼の肩から背中にかけて服がはじける。
もちろんその程度の打撃で気を乱すような甘い修行は積んでいない。
指先へ集められた気は霧散することなく撃ち出された。
なのにその気弾はパピヨンをかすめもせず、あらぬ方へ飛ぶ。

(睡眠…攻撃かっ)
急激な眠気でグラサンモンクの腕が下がり、膝が落ちていた。これでは当たるものも当たらない。
暗くなる意識の隅で彼は歯ぎしりした。

だが、パピヨンも自身の突撃速度が速すぎて止まるにも次の一撃を入れるにも間に合わない。
衝突を避けてグラサンモンクの脇をすり抜けようとしたその時
「せぇいっ!」
止まりようのないパピヨンに♀アコの拳が振るわれた。
狙い打ちに突き出したジャブは正確に相手のボディを捉える。確かな手ごたえが拳に残った。
ところが本命の右ストレートは空を切る。

「ちょ、逃げるの!?」
「ばーかばーか暴力女ー」
ワン・ツーの間をすり抜けられた♀アコは飛び去る後ろ姿に叫ぶが、パピヨンは子供じみた悪口を返しただけだった。
落下のスピードをほとんどそのまま飛翔速度に変えた彼女は地面すれすれを滑るように飛ぶ。
逃げ出したわけではない。次の標的は別にあった。

61 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/14(月) 06:37:58 ID:dJEOE2r6
「来るよっ」
「あー、困りましたね」

自分達へまっしぐらに突進してくるパピヨンを目にして♂セージはぼやいた。
どうやら多少のダメージは覚悟の上でこちらの遠距離戦力を1人ずつ削いで行くつもりらしい。
自分でもそうするだろう。となれば狙いは体力と防御力に劣る♀マジへの直接攻撃。
ソウルストライクでは止めきれまい。

彼と同じ判断をしたわけではないが、♀マジは突っ込んでくる敵に対しほとんど反射的に防御の術を唱えた。
「ファイアウォール!」
正しい選択だ。だが。

♂セージは詠唱しながら♀マジへ向かって走る。
「ソウルストライク!」
パパパパンッ
炎の壁の中で魔力球同士が相殺しあう音が連鎖した。
パピヨンも赤いソウルストライクを撃っていたのだ。
さらに♂セージはそのまま駆け寄り、驚き顔の♀マジを突き飛ばす。

「え!?」
ガキンッ
一瞬後。何かが猛スピードでファイアウォールを突き破り、♂セージの胸元で激しい金属音を上げた。

「ちょっとキミ、大丈夫!?」
「♂セージさん!」
♀マジと♀商人が悲鳴じみた声を上げる。
よろめく♂セージの体から、のたうつ赤いものが炎の向こうへ引き戻された。
触角の長いリーチを利して壁越しに攻撃されたのだ。
ファイアウォールを出す位置が近すぎた。♂セージがかばってくれなければ♀マジは心臓を貫かれていただろう。

「ファイア…ウォールっ!」
♀マジは自責の念を押し殺し新たな呪文を唱えた。
ファイアウォールの厚みが倍に膨れ上がる。
パピヨンは素早く飛び上がってそれを避けた。そして不満そうに口を尖らせる。

「ちぇー。やったと思ったのになー」
「え?」
パピヨンの言葉の意味を測りかねて♀マジは眉根を寄せる。
その背後で♂セージが身じろぎした。

「大丈夫?」
「ごほっ…まあなんとか大丈夫のようです」
心配する♀商人に彼は右手のソードブレイカーを上げて見せる。どうやらそれでぎりぎり防いだらしい。

「無事だったんだ。って、わ!?」
「よそ見はいけませんよ」
♂セージは思わず振り返った♀マジの襟首を立ち上がりざまにつかむ。
そして体の位置を入れ替えるのとほとんど同時に頭上へ忍び寄っていたパピヨンの触角が襲い掛かった。
だが不意打ちを狙った一撃にさっきほどの勢いは乗っていない。
彼は刃で受け止めながら素早く詠唱した。

「フロストダイバ…ごほごほっ」
「うわ」

地面から伸びてきた氷の帯に足を取られかけ、パピヨンは慌てて距離をとる。
もし♂セージが咳き込まず、呪文が完全だったら凍結していたかもしれない。
彼女のアドバンテージは飛行能力にある。捕まったら最後だ。
不利を悟った彼女は高く飛び上がる。

ただ、1人も殺せずにただ逃げるのでは腹の虫がおさまらなかった。
「べーっだ。いーもん、おばさんやっちゃうからー」
パピヨンは♂セージらに舌を出し、ついでに尻まで叩いて見せてから♀ケミ達を目指す。

「いやもうまったく。私も翼が欲しいですね」
♂セージはぼやきながらパピヨンを追って駆け出した。

一方、地面に伏す2人の容態を確かめていた淫徒プリは一息ついていた。
パピヨンの放った魔力球のうち♀ケミに直撃したのは1つか2つだけらしい。
いっそ死んでてくれれば面倒がなかったのに。
ちらりと黒い考えが頭をよぎったが、ひとまず彼女のことは置いといて一刻を争いそうな♂プリの治療に専念することにする。
その時

「逃げてっ」
背後から♀商人の声が届いた。
振り返るとすぐ近くまでパピヨンが迫っている。♂セージと♀マジが追っているがどう見ても間に合わない。
淫徒プリは舌打ちし、瞬時に『正しい』選択をした。

「速度増加」
自分の足を速くし、パピヨンが直線的には追って来れないよう立ち木をはさむ位置へ移動する。
そしてその離れた位置から倒れている二人にヒール。
少々利己的に見えるが、淫徒プリでは2人をかばい切れない以上もっとも合理的な判断だった。

ただし、もちろん他の者まで同じ意見とは限らない。
「ちょっと、何やってんのよ!」
「逃げるなー!」
♀アコと♀マジの熱血コンビが怒鳴った。

淫徒プリは少しむっとする。
合理的に考えて、これ以上治癒魔法の使い手を減らす危険は冒せないだろう。
それも素性の怪しい♀ケミや助けられるかどうか怪しい♂プリのために。
言い返そうとしたとき♀ケミがゆっくり身を動かすのが目に入った。

「プリーストさん…」
♀ケミは小さくつぶやき、♂プリを守ろうとするかのように覆いかぶさる。
これは賭けだった。
彼女の嘘を論破されないためには最低限♂プリの口を封じないといけない。
それも♀ケミ自身が手を下すことなく。
だから♂プリもろとも攻撃を受け、それが瀕死の彼へのとどめになるよう仕組んだ。危うい賭けだが今はこれしかない。

そして、彼女の上に蝶の羽を持つ娘がたどり着いた。

「バイバーイ」
ドドンッ
高速で飛び過ぎるパピヨンの頭部から真紅の鞭が連続して振り下ろされ、ぱっと血しぶきが上がった。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♀ハンターを抱え交戦地点へとUターン
状態:瀕死(HPSP共に真っ赤) →不明

<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中 淫徒プリと再会
状 態:闇SS被弾 →不明

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけた?
状 態:HPレッドゾーン、ヒールを受けてやや回復?意識は朦朧?or気絶?

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
思 考:脱出する。
備 考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
状 態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 ♀ケミに疑念
状 態:悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチ・♀ハンターを警戒 パピヨンと対峙中、睡眠状態
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<♂セージ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    ♀商人・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・
状 態:胸部打撲でちょっと咳き込んでいる

<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    ♂セージ・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・

<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・♂セージと同行 ♀ケミを警戒?

<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部受け継ぐ ノーマルより強い
状 態:あちこちに軽症 撃退されてご立腹中?

<残り16名>

62 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/14(月) 09:31:18 ID:cqyo8V0k
新作ktkr。後で読ませてもらいます

63 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/14(月) 23:28:41 ID:j5Avdy6I
GJ・・・と言いたいが、グラサンモンクはインソムニアックサングラス装備だ。
睡眠耐性があるので寝ることはないと思うんだ。

64 名前:60 投稿日:2007/05/15(火) 00:01:42 ID:50kXBVHE
…しまったああああああああああ!?

65 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/15(火) 00:37:06 ID:0MPcZNjg
うーむ。修正を試みてみますが、昨日ほぼ貫徹でしたので今日はもう_。orz
いつになるか不明ですので>>60-61は一旦取り下げさせていただきます。
その間にどなたか別の展開思いついたらそちら優先で。

でもってお詫びといっては何ですがこんなもの投下。

66 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/15(火) 00:39:03 ID:0MPcZNjg
267. 2つの地下で(三日目午前)


その異常は即座にGM森へ報告された。
ジョーカーでも橘でもなかったのは単に当番の問題である。

「あ?誰が消えたって?」

森は監視など退屈極まりないという様子を隠しもせず、椅子にだらしなく腰掛け大あくびをしながら聞き返す。

「♀Wiz、♂シーフの両名です」
「あー。だったら死亡報告書いとけ」

つまらないことで呼ぶな。森はそう言わんばかりの口ぶりで言って目を閉じた。
そのまま寝てしまいそうな様子に兵士は急いで報告を続ける。

「いえ、死亡してはいません。首輪とのリンクは正常に機能しています」
「そのどこが消えてんだ」
「地図盤上から位置表示が失われたんです」
「なんだと?」

ようやく事態の異常さを理解したように森は椅子から身を起こした。
壁面に設置された巨大な地図へ歩み寄り、しかめ面で眺め回す。

「つまりあれか?脱走されたってことか?」
「そんなはずは…。島外へ出たのであればリンクが切れているはずです」
「じゃあどうしたってんだ」
「さあ…」
「分かんねえのかよ。ちっ、使えねえな」

森は自分にも推測できていないことを棚に上げて舌打ちする。
兵士はさすがにむっとしたようだが、そこは組織人の悲しさ。文句は口に出さない。
代わりにその憤懣は問題を起こした2人へ向かう。

「では違反とみなして爆破しますか」
「ん?んー…。そうだ、ちょっとまて」

森は何か思いついたのか、口の端に笑みを乗せて押し止めた。

「まだそいつらがルール違反したって決まったわけじゃねえだろ?」
「は?…それはまあ地図から消えてはいけないというルールはありませんが…」
「で、具体的にどうなってるか分かんねえ、と。だったら俺が見てくらあ」
「……は!?」

兵士は口をあんぐりとあけて数秒間硬直した。
その間に宣言どおり出てゆこうとした上司を我に返って呼び止める。

「ここはどうするんですか!」
「知るか。俺がいなくても別に困らねえだろ」
「それはそうですが。じゃなくて、本部をカラにする気ですか?」
「不安なら橘のヤツでも呼べよ」

必死に引きとめようとする部下達をあっさりかき分け、森は監視室を出て行った。

*****

「ふむふむ。それは困りましたねえ」

私室へ大慌てで飛んできた兵士の報告を聞いても、ジョーカーの声はのんびりしたままだった。

「たった今、陛下には異常無しとご報告申し上げたところですのに」
「そ、そういう問題ですか?」
「大事なことですよ」

大真面目な顔でジョーカーは言う。
冗談か本気か判断しかねて兵士が返答に困っていると、彼はかすかに不満そうな顔をして話を切り替えた。

「まあそれはともかく。GM森が調査へ向かったのならその結果を待ちましょう」
「いいのですか?」

てっきり森を止めてくれるものと思っていた兵士は意外そうな顔を見せる。
それに対してジョーカーの方も不思議そうな顔を返した。

「原因不明の理由で地図から反応が消えたのでしょう?システムに問題点があるなら解明しないとろくなことになりませんよ」
「ですがもしGM森が2人を殺してしまったら?」

調査というのはただの口実で、森が喜々として出て行ったのは『運動』したくなっただけだと思うのですが。兵士の顔にはあからさまにそう書いてある。
だがジョーカーは眉ひとつ動かさず机の引き出しを開けた。

「その場合正当な理由があればよし、さもなければ彼が代わりにゲームの参加者となるだけです」

こともなげに言って取り出した真新しい首輪を机の上に置く。
兵士はうそ寒そうな表情で首筋をなでた。

*****

「正直なところ、どうお考えですか?」

兵士と入れ替わるように入ってきたGM橘が尋ねた。
彼も別口から報告を受けたらしい。

「どうとは?」
「なぜ♀Wizと♂シーフの位置が分からなくなったかです」
「そうですねえ」

ジョーカーはのんびり相槌を打ちながら部屋の隅へ行く。
どうするかと思えばコーナーテーブルに用意されたポットから紅茶を注ぎ始めた。
そしてゆっくりひと口、じれる橘がせかそうとするのを手で制して言う。

「位置表示が消える可能性として考えていたことはあるのですけどねえ」
「なんでしょう」
「地図が壊れた場合ですよ」
「…なるほど」

参加者の現在地は各自に渡された地図の機能によって追跡される。したがって地図が失われれば持ち主の居場所も分からなくなる。
もちろん地図はそう簡単に破れたりしない素材を使ってあるし、少々切り裂かれたぐらいではかけられた魔法も消えない。
だが炎の中に投げ込まれたりすればさすがにひとたまりもないだろう。

「では2人とも大きな事故に巻き込まれたということでしょうか」
「いえ。地図が両方とも壊れるほどの目にあって持ち主達が生き残るなどあり得ませんよ」
「ならば意図的に地図を破壊した可能性は?」
「そんなことをするべき理由がどこにあります?」

ジョーカーはカップを手に席に戻った。
地図を失えば以降の行動に不自由を生じる。
意味もなく自分で地図を焼く馬鹿がいるとは思えない。

「たとえば♀Wizが例の工務大臣から秘密を聞き出した女だとすれば、こちらに位置を知られることを嫌って壊したとは考えられないでしょうか」
「そこまでして居場所を隠す理由は?」
「それはもちろん反乱を起こすためでしょう」

自説を開陳する橘に対し、ジョーカーは組んだ両手の上にあごを乗せてつまらなそうに言った。

「反乱するつもりならギリギリまで隠さなくっちゃ意味ありませんよ。わざわざ地図を壊してこちらに警戒させるはずがありません。捨てれば充分ですね」
「では時間切れまで禁止区域に潜むつもりでいるとか。それなら捨てただけでは次の禁止区域設定で爆死する可能性があります」
「馬鹿言っちゃいけません。生き残れるのは1人なのですよ」
「それは…うーん」

一言の下に切って捨てられ、橘は言葉に詰まった。
地図の秘密に気付いたのならそれを逆手にとって禁止区域に潜み、他の参加者が減るのを待つという選択肢はありうる。
だがそれは最後の1人になろうという明確な意思と戦略があっての話だ。
そんな人間が2人連れで隠れるはずがない。
やがてジョーカーは首を振って続けた。

「やはり地図が破損したという考えは捨てるべきでしょうね」
「と言いますと?」
「地図の反応しない場所に行ったのでしょう」
「そんな場所があるんですか?」
「島内で一箇所だけ地図が働かない場所があるのは知ってますね?」

ジョーカーは橘の問いには直接答えず、別の質問で返した。
橘は即答する。

「ええ。ここですよね?」

ジョーカー達の居る管理本部内では地図は反応しない。
参加者達が島内各所に飛ばされる前に集められるのがここだからである。
もし飛ばされる前に地図を確認した者が居ても、本部の場所がばれてしまわないようにという用心だった。

「まさか、すでに侵入を許したとお考えですか?」
「それこそまさかですねえ。私が言いたいのはここと同様の仕組みで地図の反応しない場所があるのではないかということですよ」
「そんな場所が?設計か施工段階でのミスでしょうか」
「いえいえ。工務大臣は確かにお馬鹿さんでしたが、こと仕事に関しては手抜きのない方でした。そんな初歩的ミスを見逃すとは思えません。誰かが完成後に手を加えたと考えるのが自然でしょう」
「はあ。すると前回反抗した者の誰かでしょうか」
「難しいですね。時間・手段・資材、全てに欠けます」
「それは…程度問題ではありませんか?我々でも難しいと思いますが」
「1つだけ思いついた方法があります」

ジョーカーは思わせぶりに言葉を切り、橘を見据えながらゆっくり一言だけ告げた。

「ガンバンテイン」

この魔法は先に設置された魔法を部分的に中和する。
とは言ってもギルド砦の各種制限や屋内のテレポート禁止など、建物等へ半永久的に付与された術までは除去できない。
本来は。
だがこの島の場合通常の施設とは違い、短期間に広範囲へ施術する必要があった。
当然あらゆる場所へ直接術を掛けるような余裕はなく、島内四箇所の装置の力で強引かつ一時的に付与しているに過ぎない。
ならばガンバンテインで除去できる可能性もある。

「なるほど。♀Wizが使ったのでしょうか」
「無理です。ガンバンテインはハイウィザードスキルで、しかもジェムストーンが必要です」
「あ、そうでしたか。では誰が」
「過去、この島にハイウィザードの能力を持った者は数人しか来ていません」

ジョーカーはその瞳に心の奥底まで見透かすような光をたたえて橘を見た。

「その方々を思い返してみたのですが、施設整備に来ていた林という技術者を最近見ないのですよねえ。彼がどうしているか知りませんか?」
「……あなたではあるまいし、兵や技術者の動向をいちいち把握してませんよ」
「それは残念。では自分で調べてみましょうかねえ」

にこやかに笑いながらもジョーカーの視線は橘から動かない。
これは明らかな恫喝だ。
ジョーカーは彼が何かやったと確信している。
まだ物的証拠がないから彼が暴発するか口を割るのを待っているに過ぎない。
橘は腰に下げた剣を意識した。

67 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/15(火) 00:39:20 ID:0MPcZNjg
*****

林はハイウィザードだった。
そして魔法技術者として島へ来ていた。
彼はその職務によってシステムに関する充分な知識を得、その知識とガンバンテインを用いて問題の廃屋からシステムの影響を除去することに成功した。
以来彼は職務の合間を見つけては、何の制限も受けないその場所で『囚人の腕輪』を研究。残留思念を利用した殺人衝動の刷り込みを先月までにほぼ完成させた。
折りよくほぼ同時期に反乱でGM数名が失われ、代理が新たに派遣されることになった。
林はそのGMの顔写真とプロフィールを入手。変装の下準備を整えた上で上陸する彼を出迎え、本部に案内すると偽って廃屋へ誘い込んだ。
少々不自然な状況へ誘い出されたのはGMにも油断があったからだろう。
魔法には詠唱が必要であり、さらに島内では兵士も技術者も等しく能力を制限されている。林に限らず誰が相手でも敵ではないはずだった。
だが林はいわゆる「殴り」で、しかも廃屋に能力制限の影響はなかった。
囚人の腕輪と共に密輸したリムーバーをおとりに、隙を見せたGMを背後から一突き。
手馴れた一撃はそのまま致命傷となった。
その後彼はGMの装備を奪い取り、用意しておいた白衣と道具で殺したGMに変装。
殴りであることのカモフラージュのために持ち歩いていたウィザードスタッフと殺人の証拠である短剣はそこに捨てた。
幸いゲームとゲームの間の準備期間だったためジョーカーは島におらず、さらに眼鏡とオールバックという特徴的なスタイルが変装を見破りにくくした。
だからこそ今日この時まで、少なくとも表立って彼を疑ったものは居なかった。
――殺されたGMは名を橘といった。

*****

ジョーカーと真っ向勝負した場合、果たして勝ち目はどれぐらいあるだろう。
橘がそんな計算を始めたとき、部屋の扉を誰かがノックした。
そして返事をするより早く扉が開く。

「お話中失礼します、GMジョーカー。島内に予定外の人物がいるようです」

先刻森のことを報告に来たのと同じ兵士だった。
GM同士の会話に割り込んだだけあってその内容はジョーカーにも意外なものだったらしい。
橘へ向けていた強烈な視線がそれる。

「GM森ではないのですか?」
「いえ。それとは別方面です。♂プリーストと戦ったことで存在が判明したのですが、彼はその相手と会話しパピヨンと呼んでいました」
「会話した?それは寄生虫にしても妙ですね」

ジョーカーは首をひねり、席を立った。
そして部屋を去る間際に振り返り、橘へ意味ありげな笑顔を送る。

「いささか急を要する要件ができましたので、あなたとのお話はまた後で」

その後ろ姿を見送る橘の背を、今になって冷や汗が伝う。
いよいよ姿を消すか何らかの決着をつけるかしないといけなくなった。
計画の結末を見届けてゆくことはできそうもない。
散々苦労して段取りを組んだ仕事だったのに。
彼はひとり歯軋りした。


<GMジョーカー>
位置:不明(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
備考:女王イゾルデの意向を最優先

<GM橘>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:銀縁眼鏡、インテリ顔

<GM森>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:逆毛、筋肉質

68 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/15(火) 00:40:59 ID:0MPcZNjg
って読み直してる30分の間にID変わってる!?
65=64=60です。

69 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/15(火) 12:30:11 ID:nA7J7Pog
GJと言いたいけれど、♀WIZと♂シーフの地下話はNG前提で投稿されてた気が

70 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/15(火) 20:13:53 ID:qKshG2tg
>>65
幾つか修正は必要だけど、おおむねGJだね。
個人的には、外部での皆さん使って何かやりたいって思ってただけに良い感じ。
時間が相変わらず足らないのが口惜しい……

71 名前:65 投稿日:2007/05/16(水) 00:57:58 ID:hB3WIy0w
>>69
264〜266話は投稿者が「NGっぽいけど」と言ってるだけで、ナンバリングは進んでますしNGと確定はしてないのでは?
展開に多少無理があるのが問題なのであれば、その辺に理由付けをすればいいと思って書いてみたのが>>66-67です。
もっとも投下するかどうかはだいぶ迷って、後から書いた>>60を優先したのですが……。
>>70
ありがとうございます。
私も時間がなくて一話書くのにいったい何日掛かってるんだか。。。

72 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/16(水) 18:19:24 ID:Y3/5ewXs
65さんGJ!
修正さえすれば地下での数話はNG扱いしなくても良さそうな感じになってきたね。
何はともあれこれからの展開にwktk

73 名前:60 投稿日:2007/05/18(金) 02:17:09 ID:9OmP2TJM
とりあえず60-61修正完了したので再投下します。
って言っても話の筋はほとんどそのままですが。
もうミスはない…といいなあ…

74 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 02:19:57 ID:9OmP2TJM
268.頭上の敵[3日目午前]


まずいことになった、と♀ケミは脳をフル回転させる。
死にぞこないの逆毛が余計なことを言ってくれたせいで疑われるのは時間の問題になってしまった。
しかも顔見知りの淫徒プリまで出てきた。
考えてた中でも最悪に近い状況だ。
でも、事態はまだ混乱している。

「ん〜。ちょっと増えすぎ?できれば順番に並んで欲しいなあ」
「ふざけんなー!あんたちょっと降りてきなさいっ」
「やーだよー。そっちが昇ってきたらー?」

パピヨンは急に数の増えた『ごちそう』を警戒して少し高度を上げていた。
その高さから地上の♀アコと口げんかしている。
こうしてみると知能のあるパピヨンというのは実に厄介だ。
人の手の届かない高さから中〜遠距離の攻撃ができるのだから。
弓使いがいない今、有効な反撃をできるのは魔法使いだけだろう。
彼女は♂セージと♀マジに視線を向ける。

「魔法使いさんたち、あのパピヨンを撃ってください!」
「あ。ちょっとムカ。そこのおばさんからに決〜めた」
「誰がおばさ――」

ヒュヒュヒュヒュンッ
♀ケミの言葉をさえぎって血色の魔力球が殺到した。

「きゃっ」
「ソウルストライク!あんた、挑発してるんじゃないわよっ」
「ソウルストライク。まあやることは一緒のようですが」

パパパンッ
左右から飛来した半透明の魔力球が血色のそれと空中で交錯する。
ほとんどは相殺し合ったが、弾幕をすり抜けた赤光が一発♀ケミの眼前へ迫る。

「ちっ」
命中直前、グラサンモンクの掌が割り込んで受け止めた。
彼も♀ケミに対する疑念を増してはいたが、目前の敵に攻撃を受けてる最中にそんなことは言ってられない。
薄く煙を上げる手のひらを握り締め、彼は毒づいた。

「思ったより痛いぞ」
「あったりまえでしょ!むちゃするんじゃないわよっ」

悪ケミに叱られるグラサンモンクを横目に♀ケミは考えを素早くまとめる。
どうやら『仲間』達はまだ彼女を見捨てていないらしい。
♂プリの言葉を聴いて全然疑わないはずもないだろうが、これなら挽回の余地はある。

「プリーストさんが危ないです。あの人から引き離さないと」
彼女はそう言って飛び出した。

「ちょっとあんた、まだそんなこと」
「戦えないのに前出るなーっ」
叫ぶ♀マジと♀アコの間を抜ける。
前へ。一気に♂プリの元へ。

「ちょっとー。無視すーるーなー」
木々の間を縫ってパピヨンが襲い掛かった。
中空から再び真紅の光弾を放とうとする。
だが今度はそれが撃ちだされる前に消滅した。

「スペルブレイカー」
「あ、あれっ?ちょっと、邪魔しないでよっ」
「そう言われましてもねえ」
「む。次やっつけるのあんたに決定ー。いーもん別のコトだってできるし」

つかみどころのない笑みを浮かべる♂セージに頬を膨らませ、パピヨンは羽を大きく羽ばたかせる。
「寝ちゃえー!」
その蝶の羽からキラキラ輝くものが広がった。

「きれい…」
「のんきですね。息を止めて」
「鱗粉?…げ、やば」
「何が?」

♂セージや♀マジらはその意味に気付いて息を止めたが、♀アコや♀商人、グラサンモンク達は舞い散るそれを吸い込んでしまった。

「ちょっとキミ!寝てるんじゃないわよ!」
「…あ、あれ?」

足元をふらつかせた♀アコを♀マジが叩き起こす。
♀商人も♂セージが肩を揺さぶって意識を取り戻させた。
睡眠毒も体へ直接打ち込まれた場合と違って広範囲に散布したのでは効き目は薄いようだ。しかもこの人数なら眠らなかった者が起こせる。

「もういっかーい」
「同じことやったって無駄よっ」
再び輝くものが宙に広がるのを見て全員が息を止めた。

だが、その様子にパピヨンは笑う。
「なーんちゃって」
瞬刻の後、触角の間に真紅の光弾が生まれ♀ケミへ向かって殺到した。
息を止めていた♂セージはスペルブレイカーに間に合わない。

「――しまった!」
「きゃあっ!?」
どぱぱぱんっ
鈍い着弾音が連鎖する。
その衝撃に突き飛ばされるように♀ケミの体が転がった。

「ああもうっ」
♀マジは♂セージとアイコンタクトを取り詠唱の態勢に入る。
「ソウルストライク!」

「邪魔っ」
ほとんど同時にパピヨンは魔力球を生み出し、自分がやられたのと同じように相殺しようとする。
その出鼻を♂セージが押さえた。

「はいスペルブレイカー」
「ええっ!?うわわわわっ」
撃ち出される前に赤い光球だけが消滅する。
当然のように♀マジの魔法はパピヨンに命中しようとした。
彼女はとっさに羽を閉じて落下しながら身をよじり、直撃を回避する。
それでも避けきることはできず、魔力に弾かれた羽から鱗粉が散った。

「んもうあぶなっ!って、きゃーっ!?」
「とうっ」「逝け」

地上すれすれで羽を広げ、地面への激突を回避したパピヨンへ2つの影が殺到する。
鋭い拳の連打が左右から襲った。
スピードを殺した直後で飛び立つには間に合わない。避けようにも挟み撃ちで逃げ道が封じられている。
とっさにパピヨンは地面を蹴り、同時に触角を上へ放った。
鞭のように枝に巻きつかせ、一気に体を引き上げる。

「まだだ」
拳が空を切ったグラサンモンクは体を急停止させ、パピヨンへ右の人差し指を向けた。
その動きに合わせて青白く光る気の塊が飛ぶ。
パピヨンは急いで触角をほどいて羽ばたいたが逃げ切るには間に合わない。
かすった肩口から薄黄色の体液がしぶき、背後の羽にピンポン玉大の穴が開いた。

「いったーい!なにすんのよ寄ってたかってー!いじめかっこわるいっ!」
「…やはり単発では無理か」
空中で器用に地団太を踏むパピヨンをグラサンモンクは無表情に見上げた。
指弾は複数同時に撃とうとするとそれだけ余分に「ため」が必要になる。
だから隙を狙うために素早く撃てる単発を使ったのだが、それで倒せるほど甘くはなかったらしい。
彼はゆっくりと気を練り直す。

そのとき期せずして戦いの中に静寂が生じた。
パピヨンと魔法使い達がお互いに出方を窺うことで生じた間。
戦闘に気を取られていた淫徒プリはその空白によって自分のなすべき事を思い出した。
見たところあのパピヨンの能力は通常よりかなり高い。
彼女の攻撃を受けたのであればひどい傷を負っているかもしれない。
淫徒プリは♂プリと♀ケミのところへ駆け出した。

「あんたも無視すーるーなー」
その動きを見とがめたパピヨンは急降下し、魔法の射程に淫徒プリを捉える。
だがそれは地上にいる者たちにとっても同じことだった。
「今度こそっ」
♀マジがソウルストライクを詠唱し、♂セージはパピヨンの魔法を待つ。

しかしパピヨンは闇SSで相殺しようとはしなかった。
「おんなじ技はきかないよーだ」
手近な巨木の幹を巻くように降下し、魔法の射線を切る。
半透明の魔力球は木の表面でむなしくはじけた。

「それではそちらも撃てないでしょうに」
♂セージは即座にスペルブレイカーの準備をやめて素早く別の呪文を詠唱する。
「ナパームビート」
その術はパピヨンではなく、彼女が盾にしている木の枝を目標に炸裂した。
軽い破裂音が上がり、衝撃波が四方に放たれる。
衝撃は幹の陰へも回り込み、狙いどおりに蝶の羽を打った。が、パピヨンは軽く顔をしかめただけで爆圧に乗ったかのように加速する。
目標は彼女のほぼ真下で待ち構えるグラサンモンクと♀アコ。

「いっくぞー」
「来い」
グラサンモンクは気の流れを指先へ集中させた。
飛び込んでくるのが剣を握った人間なら、あるいはさっきと同じ単発なら指弾を放つほうが早かっただろう。
しかしパピヨンの一撃は鞭の間合いと飛燕の速度を持ち、しかも彼は今度こそ仕留めるべく5つすべての気球を操っていた。

バチッ
鈍い音が上がり、打たれた肩から背中にかけて服がはじける。
もちろんその程度の打撃で気を乱すような甘い修行は積んでいない。
だが、攻撃が命中した瞬間にめまいが襲う。
(睡眠…攻撃かっ)
膝から崩れようとする彼の脳裏にどこからか近付く馬蹄の響きがこだました。

75 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 02:21:09 ID:9OmP2TJM
グラサンモンクの動きが鈍ったのを見てパピヨンはにんまりした。
しかし自身の突撃速度が速すぎて止まるにも別の攻撃を加えるにも間に合わない。
衝突を避けてグラサンモンクの脇をすり抜けようとしたその時
「せぇいっ!」
♂モンクの体の陰から♀アコの拳が飛び出した。
狙い打ちに突き出したジャブは正確にボディを捉える。確かな手ごたえが拳に残った。
ところが本命の右ストレートは空を切る。

「速い!?」
「やーいやーいへなちょこぱんちー」
落下のスピードをほとんどそのまま飛翔速度に変えて、ワン・ツーの間をすり抜けたパピヨンは♀アコをからかおうと振り返る。
だがその目が驚愕に見開かれた。
動きを止めたかに見えたグラサンモンクの指先が正確に彼女をさしている。

「破っ」
「うっきゃああああああ!?」
気合と共に5つの気弾がパピヨンに迫った。
とっさに生み出した魔力球で2つを打ち落とし、スピードにまかせて1つを振り切る。
だが残りの1個が羽を貫通し1個が足を直撃した。

「どーして寝ないのっ!?あんたヘン!」
足の傷から体液をしたたらせながらパピヨンは叫ぶ。
「さあ。どうしてだろうな」
グラサンモンクはぼそりとつぶやき、サングラスの位置をなおした。
そこにはナイトメアの力が宿っている。悪夢の名を持つその馬は取り憑いた者に安眠を許さない。
それこそがインソムニアック――すなわち不眠の呪い。

「もーっ。おぼえてろーっ」
パピヨンはスピードに乗ったまま一気に間合いを取った。
攻撃が効かないのならこれ以上あのモンクにこだわるのはまずい。
本能的にそう察して標的を切り替える。

「来るよっ」
「まだやるつもりですか。私だったら逃げますが」
まっしぐらに突進してくるパピヨンを目にして♂セージはつぶやいた。

サングラスのモンクが睡眠毒に屈しなかった時点で勝負はほぼ決している。
いかに素早くても遠距離攻撃の持ち主がこれだけ居る以上パピヨンはジリ貧だ。
だからこそパピヨンもモンクを封じようとしたのだろう。
それに失敗した以上、次の一手で彼か♀マジのどちらかを倒さなければいけない。
となれば狙いは体力と防御力に劣る♀マジへの直接攻撃。
それなりの覚悟で来るだろう。ソウルストライクでは止めきれまい。

彼と同じ判断をしたわけではないが、♀マジは突っ込んでくる敵に対しほとんど反射的に防御の術を唱えた。
「ファイアウォール!」
正しい選択だ。だが。

♂セージは詠唱しながら♀マジへ向かって走る。
「ソウルストライク!」
パパパパンッ
炎の壁の中で魔力球同士が相殺しあう音が連鎖した。
パピヨンも赤いソウルストライクを撃っていたのだ。
さらに♂セージはそのまま駆け寄り、驚き顔の♀マジを突き飛ばす。

「え!?」
ガキンッ
一瞬後。何かが猛スピードでファイアウォールを突き破り、♂セージの胸元で激しい金属音を上げた。

「ちょっとキミ、大丈夫!?」
「♂セージさん!」
♀マジと♀商人が悲鳴じみた声を上げる。
よろめく♂セージの体から、のたうつ赤いものが炎の向こうへ引き戻された。
触角の長いリーチを利して壁越しに攻撃されたのだ。
ファイアウォールを出す位置が近すぎた。♂セージがかばってくれなければ♀マジは心臓を貫かれていただろう。

「ファイア…ウォールっ!」
♀マジは自責の念を押し殺し新たな呪文を唱えた。
ファイアウォールの厚みが倍に膨れ上がる。
パピヨンは素早く飛び上がってそれを避けた。そして不満そうに口を尖らせる。

「ちぇー。やったと思ったのになー」
「え?」
パピヨンの言葉の意味を測りかねた♀マジは眉根を寄せる。
その背後で♂セージが身じろぎした。

「大丈夫?」
「ごほっ…まあなんとか大丈夫のようです」
心配する♀商人に彼は右手のソードブレイカーを上げて見せる。どうやらそれでぎりぎり防いだらしい。

「無事だったんだ。って、わ!?」
「よそ見はいけませんよ」
思わず振り返った♀マジのケープをつかんで♂セージは立ち上がる。
その勢いで2人の位置が入れ替えるのとほとんど同時に頭上へ忍び寄っていたパピヨンの触角が襲い掛かった。
だが不意打ちを狙った一撃にさっきほどの勢いは乗っていない。
彼は刃で受け止めながら素早く詠唱した。

「フロストダイバ…ごほごほっ」
「うわ」

地面から伸びてきた氷の帯に足を取られかけ、パピヨンは慌てて距離をとる。
もし♂セージが咳き込まず、呪文が完全だったら凍結させられていたかもしれない。
捕まったら最後だ。
彼女は高く舞い上がった。
もうすぐグラサンモンクも射程距離に入る。さすがに潮時だろう。

ただ、1人も殺せずに逃げるのは腹の虫がおさまらなかった。
「べーっだ。いーもん、おばさんやっちゃうからー」
パピヨンは♂セージらに舌を出し、ついでに尻まで叩いて見せてから♀ケミ達向けて飛び出す。

「いやもうまったく。私も翼が欲しいですね」
ため息混じりにぼやきながら♂セージはパピヨンを追って駆け出した。

一方、地面に伏す2人の容態を確かめていた淫徒プリは一息ついていた。
パピヨンの放った魔力球のうち♀ケミに直撃したのは1つか2つだけらしい。
いっそ死んでてくれれば面倒がなかったのに。
ちらりと黒い考えが頭をよぎったが、ひとまず彼女のことは置いといて一刻を争いそうな♂プリの治療に専念することにする。
その時

「逃げてっ」
背後から♀商人の声が届いた。
振り返るとすぐ近くまでパピヨンが迫っている。♂セージ達が追っているがどう見ても間に合わない。
淫徒プリは舌打ちし、瞬時に『正しい』選択をした。

「速度増加」
自分の足を速くし、パピヨンが直線的には追って来れないよう立ち木をはさむ位置へ移動する。
そしてその離れた位置から倒れている二人にヒール。
少々利己的に見えるが、淫徒プリでは2人をかばい切れない以上もっとも合理的な判断だった。

ただし、もちろん他の者まで同じ意見とは限らない。
「ちょっと、何やってんのよ!」
「逃げるなー!」
♀アコと♀マジの熱血コンビが怒鳴った。

淫徒プリは少しむっとする。
合理的に考えて、これ以上治癒魔法の使い手を減らす危険は冒せないだろう。
それも素性の怪しい♀ケミや助けられるかどうか怪しい♂プリのために。
言い返そうとしたとき♀ケミがゆっくり身を動かすのが目に入った。

「プリーストさん…」
♀ケミは小さくつぶやき、♂プリを守ろうとするかのように覆いかぶさる。
これは賭けだった。
彼女の嘘を論破されないためには最低限♂プリの口を封じないといけない。
それも♀ケミ自身が手を下すことなく。
だから♂プリもろとも攻撃を受け、それが瀕死の彼へのとどめになるよう仕組んだ。危うい賭けだが今はこれしかない。

そして、彼女の頭上へ蝶の羽ばたきがたどり着いた。

「バイバーイ」
ドドンッ
高速で飛び過ぎるパピヨンの頭部から真紅の鞭が連続して振り下ろされ、ぱっと血しぶきが上がった。

76 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 02:27:03 ID:9OmP2TJM
状態欄は1レスの許容量に収まらなかった&無駄に長くなるので省略します
必要であれば>>61と同じ(グラサンモンクの睡眠のみ削除)なのでそちらを参照ください

77 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 08:11:41 ID:r.UdAniY
確か一人の人が続けて書くのはNGだよね。たとえ違う話でも。
だからどちらかはNG扱いになるよ、60さん。

78 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 08:45:43 ID:VSwNW4qk
あのルールは違うPTなら1日、同じなら3日あけないとダメだったと思う
この場合はどっちみち日が開いてるからいいんじゃね?
つかこの流れの遅さなら今更このルールに拘る必要もないと思うけどな、進むだけマシだし

79 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 09:05:02 ID:r.UdAniY
それで、一人の人が話を全て回していいって言うのはどうかと思うよ。
前回もそれでgdgdがあったの忘れたの?

80 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 14:07:48 ID:dfuZFHp2
私は採用で構わないと思いますが・・・
この後も60さんだけで話を展開させてく訳でもないでしょうし、乱戦編も地下編も、ここまで話の流れが進まない状況が続いていると
話の繋ぎ手となってくれるのは他の書き手さんにとっても(どちらの展開にしても)有難いです。

・・・一応自分もいち書き手なので。

81 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 15:32:37 ID:8gPab/12
過疎ってるからといってルールを破っていいわけないだろ。
何の為の決まり事だと。

82 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 17:17:40 ID:VSwNW4qk
どっちみち60の人はルールには抵触して無いから採用でいいだろ
1日1本も確か24時間単位じゃなく1日単位で1本だったからギリセーフだしな
……本人はID変わらない内に投下しようとしたようだけど、変わってなかったらNGだったんだぜ

83 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/18(金) 21:01:07 ID:6SzUxkiQ
まぁ、書き溜めておけばいいんじゃね?と言う話ではあるな。
連投規制にあわせる形で投下していけば大丈夫だし、
上にも出てるがルール議論以前に進まない事の方がリレーやるってスレの意義からすれば問題な訳だし。
それに一人リレーについても、もうちょっと加速してから考える事にしても十分間に合う問題だと思う。

84 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/19(土) 09:14:57 ID:Sx.2xA2U
随分前にフラッシュ作るって言ってた誰かです。
今頃フラッシュじゃなくて動画作ったので、良かったら見てください。
初めて作ったので勝手がわからないので、変なところがあるかもしれませんが笑って見逃してorz

ニコニコ動画
www.nicovideo.jp/watch/sm316334

Youtube
www.youtube.com/watch?v=3mvK62mRqn8

85 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/23(水) 10:30:52 ID:yPl0bQRc
>>84
長い文章が読みにくいのが気になったかな?
もう少し時間とってくれるか、短くしてくれると見やすいと思う

86 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/23(水) 13:32:23 ID:R7AYd/e2
フラッシュといえば前にあった受難シリーズの曲を使ったやつがかなり良い出来だったな
久しぶりに見てみたいからだれか持ってたら上げてくれないかな

87 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/23(水) 17:40:53 ID:yPl0bQRc
「バトROワ応援どころ」さんに置いてあったよ

88 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/24(木) 14:55:03 ID:8owX7enk
観てきた、情報マジありがとう

89 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/26(土) 01:38:54 ID:r1fj8JFg
ふと2回目を頭から読み返していたら、♂WIZが電人HALに見えた。

90 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/26(土) 10:06:20 ID:M4cHg9p6
無理やり復活させられた♂WIZ2は即デリされるわけか

91 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/27(日) 09:31:02 ID:c0md7oGk
Wiki( wiki.spc.gr.jp/battleROyale/ )のトップページ以外 削除完了。

92 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/10(日) 23:53:02 ID:mZ8ZWDpA
大分ハデに止まってるなぁ……やっぱ話進めるにはマーダーが足りないのかな

93 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/11(月) 04:09:08 ID:9shL.rfw
自発的な有力マーダーが3日目夜〜朝に全滅したのは確かに動かしにくいな。
パピヨンはイレギュラー気味だしメイン参加者は間接的悪役タイプと脱出しようとするタイプ、恐慌状態なタイプしか残ってないと書きにくいな・・・。

94 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/17(日) 20:41:32 ID:T6nYFuBA
逆に言うと、結末に向かってスタートするにもいい頃だと思うけどな。

95 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2007/06/22(金) 00:26:20 ID:3AFN1RhU
お久しぶりです。

ツアーの予定分が終わりそうなのでリベンジラジオを6/30の21:00ぐらいからやろうと思いますが宜しいでしょうか?

前回と同じく、実況アドレスとラジオアドレスは当日貼りにきます。

96 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/23(土) 00:52:37 ID:hMqi54Co
静かだ…晒すなら今のうtry

ttp://www.fileup.org/fup154803.swf.html
受信PASS→br2

ラジオリベンジ企画大感謝!
…の、勢いで作ったもののスタート(+リプレイ)画面考えてなかったという
前回と同じミスぶちかましました。|||orz

ラジオ当日には修正版晒…して、よろしいか?
(※現目次頁最新話までの若干ネタばれ風味)

97 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/23(土) 08:34:37 ID:LmZ2jMnI
6/30....土曜か。

98 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/23(土) 18:00:42 ID:dG6tb9OU
前回参加できなかったから、今回は頑張って時間空けようかな……

99 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/26(火) 04:32:53 ID:PaDpcu16
お!
今回は聞けそうだ〜

100 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/30(土) 11:48:22 ID:x7MLVdyk
すっかり雑談になっとるなぁ^^;
書きたいのだがさすがにここまで話し進んでるとちょい難しい;;
次のBRに自キャラ出す文章書きますね

101 名前:SiteMaster ★ 投稿日:2007/06/30(土) 15:22:34 ID:???
私も参加できそうです。
肝心な時間に寝てそうですが…(汗

それ以前に、私が参加しても話せることないですけどね(笑

102 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/30(土) 17:07:42 ID:PLwNaLH2
他うpろだにFlash一本晒して参りました。

ttp://up.uppple.com/upload.cgi?mode=dl&file=4299
受信パス→br2

最終的に気付けば4.8Mサイズに。
ので存外に重いです…。
お茶請け代わりにでも一見して頂ければ幸いです。

103 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/30(土) 20:32:33 ID:hwEC.UMA
>>101

個人的には萌え板の現状とか聞きたいなぁ。

104 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/30(土) 20:40:41 ID:C2EDy6uA
待ちきれなくてもう来た俺が通りますよ。
結局どこでやるんだろうか。

105 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/30(土) 20:46:45 ID:yqDeSFvU
>>102

DLしようとしたら、再生されてしまう_| ̄|○

106 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/30(土) 20:53:30 ID:dCIdfsbc
眠いからラジオ最後まで起きてられるかちょっと心配だぜ…

107 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2007/06/30(土) 20:57:53 ID:jLP0ot0U
ttp://r-0109.ddo.jp:8000/
ttp://spill.jp/play.html
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1178453083/

上がラジオアドレスで
真中が聞き方で
下が実況(前回の続き)です

108 名前:SiteMaster ★ 投稿日:2007/06/30(土) 23:42:40 ID:???
>>103
たとえば、どんなです?

109 名前:103 投稿日:2007/07/01(日) 04:28:24 ID:/kMsA1kg
酔い潰れてて聴けなかった。orz
管理人さん申し訳ない。

110 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/03(火) 06:21:09 ID:HM0/DDIc
とりあえず地下云々もそのまま通すってことでwiki更新しといたよ

111 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/06(金) 11:28:55 ID:qGlR.bkE
ご苦労様ー。とりあえず茶でも。
つ且~

112 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/25(水) 19:07:26 ID:JCaX0UHI
一気に過疎ったな……

113 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/26(木) 04:23:31 ID:w5QHLcHM
うう…此処はどうなる…?

114 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/27(金) 08:20:30 ID:.aCQHwFs
夏休みな人はじっくり考えて投下してみようぜ。

115 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/27(金) 21:47:36 ID:E2FXQEdE
ラジオのあった週に投下してみるぜって言ってた人はどうしてるんだろうな

116 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/28(土) 23:48:05 ID:NPL0o4gk
↑ほんとラジオで言ってた人楽しみにしてたのに・・・

117 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/31(火) 23:48:14 ID:Fi7WAoe6
同じくワクテカしてたのですがもう一ヶ月たっちゃいましたねー
仕方ないので自分でちょっと書いてみましたよ

118 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/07/31(火) 23:48:35 ID:Fi7WAoe6
269.イン・ザ・ダーク[3日目午前]


殺せ、殺せ、殺せ、殺せ
その声はほとんど物理的な圧力を持って彼を押しつぶそうとする。

暗い、暗い地下道で。
決して傷つけてはならぬひとを前に。
光の差しこまぬ闇を背に。
♂シーフは耐える。

殺せ(いやだ)
殺せ(だめだ)
そいつは(このひとは)
敵だ(希望なんだ)

意識ははっきりしている。
意志もゆらいでいない。
すくなくとも、まだ。

それらを押しのけようと蠢くものは衝動。
砂漠でオアシスを目前にしたかのような欲求。
肉に刃をつきたてる感触。血のにおい。味。
それらが魅惑的な声で彼を呼ぶ。

のどが鳴った。
さほど冒険者経験の長くない彼でも、砂漠で動物を狩ったことはある。
そして狩りの獲物は食べるものだ。
もしも今、彼女を手にかけたら。自分はその肉に食らいついてしまうかもしれない。

(だめだっ)
危険な妄想を振り払うように頭を振る。
力と理性を振り絞るようにして短剣を振り上げ、腕輪へ振り下ろす。
カチンッ

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………っ!!!!!!!」
言葉にならない絶叫がほとばしった。
刃先の振動が腕の骨を伝って背筋を駆け上る。
快感に近くて、でも何かが違う、もどかしい感覚。

腕輪にはわずかな傷がついただけだった。
直前で右手が勝手に動いたせいだ。
そのため短剣が腕をかすめ、浅い傷口から血がにじんでいる。

「あは、は、ははは、あは…」
引きつったような笑い。瞳から涙があふれる。
傷口からしたたる血に、痛みより歓喜を感じたから。
耐え切れなくなる前に彼はバックステップを踏んだ。

闇の奥。ほとんど何も見えないその場所は焦げ臭い臭いがした。
がしゅ、と炭化した何かを踏み潰す感触。
闇が深く感じるのは壁や天井が黒くすすけてるせいもあるのだろう。

彼はその場所でめくら滅法に両手を振り回した。
手足が何かに当たるたび、そこへ何度も何度も短剣を叩きつける。
半ば焦げ、半ば朽ちた家具は短剣でもたやすく切り崩せた。

ときどき壁に当たる固い感触に手が痺れ、傷つく。
それでよかった。
暴れつづけて破壊衝動を満たし、体力を使い果たせれば。
血への渇望を忘れていられれば。

なのに。
「♂シーフ君!」
♀Wizさんの声が聞こえた。

せっかく見えなくしたのに、容貌が、表情がありありと思い浮かぶ。
渇望がよみがえる。
あのきれいな人を滅茶苦茶にしたい。
本能の深いところが、ずくん、とうずく。

我知らず声の方へ足が向いた。
「大丈夫?」
心配そうな響き。
明かりがゆっくりと近づいてくる。

「…にげてください」
平板な声で言いながら心のどこかで叫ぶ。
だめだ。
いま逃げられたりしたら間違いなくその背に飛びかかる。

止まって。
いや、むしろ
僕を殺して。

衝動を恐れ、心の表面ではそう言って。
でももっと深いところが考える。

♀Wizと戦う方法を。

彼は心の底から己を恐れた。
だから本来恐るべき敵である男が現れたとき、彼はむしろ感謝した。
白い服を着たそいつは野太い声で言った。

「お前ら、こんな所でナニしてた?」


<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス 囚人の腕輪?
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行 呪詛に体を蝕まれる
    ♀WIZの姿に亡き母が重なる 死を覚悟?
<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに

119 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/02(木) 19:02:29 ID:WIMts1Qk
久しぶりの新作投下おつー

120 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/02(木) 20:34:32 ID:z54Jy6xg
ありがたやありがたや。
時間があれば自分も創作したいんだけどな・・・。

121 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/16(木) 15:51:32 ID:Tj43/Eng
夏休みなのにすんごい停滞してる……。ラッパー側全然進んでなかったので進めてみました。

270.決意[3日目午前]

突然の叫び声。
幾度となる魔法の行使と思われる音。
どう考えても、大規模な戦闘が行われている。
二人の騎士は、不安を消せないでいた。


270.決意[3日目午前]

突然の叫び声。
幾度となる魔法の行使と思われる音。
どう考えても、大規模な戦闘が行われている。
二人の騎士は、不安を消せないでいた。


本当なら、今すぐにでも飛び出して助けに行きかったであろう。
だが、♂モンクと♀騎士を放っていくわけにはいかない。
「どうしたものだろうな……」
今更だが、そう漏らさずにはいられなかった。
♂モンクは一向に目覚める気配がないし、♂騎士自分、いつ狂うか分からないのだ。
「♂プリーストさんと♀ハンターさんは大丈夫でしょうか……?」
不安になったのか、♀騎士が聞いてきた。
確かに定時放送を聞いていれば、ミストレスが死んだということが分かるはず。
ならば、安全になったここに戻ってくるはずである。
……だが、一向に戻ってくる気配がなかった。
「まさか、さっきの叫び声は……」
♀騎士は、はっとして顔を上げる。
その顔は、不安の色で覆いつくされていた。
「……何かあったんでしょうか……助けに……」
「だめだ」
助けに行かないと、と言おうとしたのだろう。
♂騎士が、それを遮った。
「♂モンクはどうするんだ? 放っていくわけには行かないだろ?」
「でもっ……!」
♂騎士の指摘に、♀騎士は反論できない。
♂騎士は更に続けて、
「……それに、もし誰かに襲われたらどうするんだ? 最悪、殺さないといけないかもしれない」
その言葉に、♀騎士は何も言えなくなった。
確かに、自分には人を殺す自信が無い(尤も、それは♂騎士も同じなのだが)
♀アーチャーの件も、♂騎士が一緒だったから出来たのだ。
一人であれば、出来なかっただろう。
更に、精神的な問題もあるが、武器の問題もあった。
♀騎士は、シールドと錐しか持ってないのだ。
盾のスキルが豊富なクルセイダーならともかく、騎士である。
錐だけでは、どう前向きに考えても威力不足は否めない。
♀騎士には、反論する材料は無かった。
「……ごめんなさい……」
何も言えず、♀騎士は謝るしか出来なかった。
「……ごめん、俺も言いす……っ!!?」
♂騎士もバツが悪かったのか、謝ろうとしたときだった。
「ぁ……うああああっ!!?」
突然の叫び声に、♀騎士は顔を上げる。
そこには、突然苦しみだした♂騎士の姿があった。
「♂騎士さん!? どうしました!?」


身体が、熱い。
焼けるように、このまま消し炭になってしまうのではないか。
先ほどまで無かった痛覚が全身を駆け巡る。
(ちくしょう!またか……!)
最初や二回目より、酷い。
あまりの痛みにのた打ち回り、その度に更なる痛みが襲ってくる。
まるで、全身の痛覚が異常に鋭敏化しているような……。
――そろそろ疲れてきたのではないか?
まただ。
頭の中に直接響いてくる、不愉快すぎる声。
――いくら足掻いても逃げられんぞ? この現実からはな。
  それともどうした? 我に屈する気になったか?
屈する? 俺が?
「……っ黙れよ!! 誰がお前なんかに……ぅあっ!?」
――ほう、あくまでも抵抗するか。
  抵抗したいのならばすればいい。だが、いつまでもつかな?
  あの時もそうだった。あれだけ強く誓ったのにも関わらず、結局は自分で殺してしまったではないか、♂アルケミストを。
「あれは……っ!」
自分が、またしても恐怖に負けただけだ。
もう負けるつもりはない!
『「信じて……くれないか、俺のこと」』
裏切られても尚、無理して笑顔を見せた親友の顔が脳裏に浮かぶ。
そう、俺はもう負けない、負けるわけにはいかない!!
――♀アーチャーの時はどうなのだ? あれこそ、自身の渇きを潤したかっただけではないのか?
  奇麗事を言ってはいたが、それは渇きを潤すための口実であろう? 私には分かるぞ。
  さあ、言うのだ。「もっと殺したい」とな。
「違う! 好き勝手なことをベラベラと喋るな!!」
俺は、あの子が望んだことをしただけだ!
自分から望んだわけじゃない!
『「……ありがとう」』
……ありがとう? 何でありがとうなんだ?
だが、少なくともあの子は、『王子様』といることを望んでいた。
俺は……。
……あれ?
なんだ?
気持ちよくなってきた……な。
――やはり人間は単純で良いな。いとも簡単に手中に落ちてくれる。勝手に暴れて体力を消耗してくれるとは、やはり単純すぎるな。
  あの白装束達にも感謝しなければな。お前も感謝するのだぞ? あの白装束達にな。
白装束?
ああ……そういえばそんなのもいたな。
なんか、どう……でも良くなってきた……。
さっきまでは不愉快だったこの声も、なんか心地よく響く……。
――さて、周りに獲物はたくさんいることだ。まずはその物達から殺してしまえ。
  なに、なんの事はない。そのツルギを、一振りするだけでいいのだ。一撃でカタがつくぞ。
  少なくとも、今のお前にはそれだけの力がある。さあ、やるのだ。
ツルギ……ねえ。どちらかと言えばクレイモアの方がいいんだがな。
――青箱をまだ開けてなかろう? 後で開けてみれば良い。
  そこに♀騎士がいるだろう? さっさと殺してしまえ。
♀騎士、か。
そうだな……。


ん?


なんだ?


『「ごめんなさい。あたし、最後まで迷惑を……」』


誰だ?


『「あなただけを苦しませることなんてできません」』


ダレダ?


『「私の手も、汚れていますから」』


アあ、コれは……。

122 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/16(木) 15:52:20 ID:Tj43/Eng
「……っ調子にのるな!! お前が俺に従いやがれ!!」
先ほどまでの気持ちよさは微塵と消え、再び痛みが全身を駆け巡る。
だが、先ほどまで痛みはなかった。
「さっきからごちゃごちゃとくだらない事をやかましいんだよ!!」
同時に、ものの見事に奴の術中に嵌ってしまった自分を悔いた。
こんな思いは二度とごめんだ。
――貴様、何を言っているのか分かっているのか? 貴様の汚れた手では……
「黙れっ!! 俺はもう逃げない!!」
そうだ。
俺はもう迷わない。
大切なもの、守りたいもの、そこにたくさんあるじゃないか!
迷う必要なんて、ないんだ!
だからこそ、俺は自らを鼓舞するように叫んだ。
「白装束だかなんだか知らんがな、俺は守りたいものを守る! 奪おうとする奴は叩き斬ってやる!!」
だから、もう死ぬわけにはいかない。
守れるだけ、精一杯守る。その為に精一杯生きる。
……あいつも、その方が喜ぶだろうしな。


「あの……大丈夫ですか?」
♀騎士が、心配した様子で声をかける。
「ああ、悪い。もう大丈夫だ。吹っ切れたよ」
今までの悲観的な顔はもう、無かった。
もう、吹っ切れたらしい。
が、
♀騎士の心配所はそこではなかったらしい。
「いえ、そうではなくて……なんか一人で叫びまくってましたけど……」
「………」
♂騎士は返す言葉も無く、先ほどの声を精一杯恨んだ。
「……そういや、青箱まだ開けてなかったな……」
♂騎士は、袋から青箱を取り出した。
♀プリーストの、遺品であろう。
「それは?」
♀騎士が聞いてくる。
「大切な人の……形見だ。守ってやれなかったからな……」
少し悲しげな表情を浮かべながら、そう言った。
「あ……ごめんなさい」
その様子を見ながら、♀騎士はすぐさま謝った。
知らなかったとは言え、余計なことを聞いてしまったと。
だが、
♂騎士の、その表情とは裏腹に、強い決意の色があった。
(でも、守りたいものが全部無くなったわけじゃない)
「いいんだ。俺は、仲間を守りたい。だから、精一杯生きたい。あいつも、それを望んでるだろうから」
その♂騎士の姿は、どうみても不安定だった今までとは別人とも言えた。
「まあ、開けるか。役に立ちそうなものがあるかもしれない」
辛気臭い話は無しにして、と。
それに、♀騎士はそうですね、と同意した。
そして、その青箱を開けてみる。
出てきたのは、幅広の巨大な剣であった。
―カッツバルゲル
それは、攻撃と防御を兼ね備えた、まさに♂騎士が望んだ武器と言える。
「これは……」
「俺は元々両手剣の方が得意だしな」
♂騎士は、手に入れたばかりのカッツバルゲルを一振りしながら言った。
「ツルギは君が使うといい。短剣だとリーチが短すぎるだろ?」
♀騎士は一瞬、返答に困った。
だが、♂騎士の好意を無駄にするわけにはいかないし、♂騎士が言うことも尤もだ。
何より、自分だけ楽するわけにもいかなかった。
「……ありがとうございます」
だから、♂騎士から差し出されたツルギを受け取らないわけにはいかなかった。
刀剣類を持つことには抵抗がある。あるけど、それを理由に逃げるわけにはいかなかった。
目の前の騎士も、もう逃げない、と強く決意を表していたから。
「ああ、そういえばカード帳もあったな。♀スパノビのだが……」
♂騎士が言った、その時だった。


がさっ


草むらからである。
その音に、二人はすばやく反応した。
「誰だ!?」
♂騎士は、♀騎士と♂モンクを庇うように、カッツバルゲルを構える。
「ひっ!?」
その視線の先にいたのは、♂プリーストに抱えられて離脱したはずの、♀ハンターだった。


<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐 、ツルギ(♂騎士から受け取る)
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚喪失?、体力は半分ほど 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば、人間を殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

123 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/16(木) 15:58:12 ID:Tj43/Eng
忘れてた

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:気絶から回復、でもHP赤い ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中

124 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/17(金) 14:13:11 ID:GCgEsyY2
271. Greed (3日目午前)

「いや・・・・・・・・・」
ふたりの騎士の前で、相棒であるファルコンを抱きかかえて、♀ハンターは立ちすくんでいる。その表情に貼り付いているのは、まるで幽霊でも目にしたかのような恐怖の色。がくがくと全身を小刻みに震わせて、彼女は己が弱者であるということを全身でアピールしているかのように見えた。
「君は・・・」
♂騎士にとって、♀ハンターの顔を視認するのは初めてだった。ミストレスとの激戦の渦中では未だ、彼の瞳は“人”を映すことを拒んでいたから。
しかし、情報として得てはいる。あの場に、ハンターの女性がいたということは。
「あなたは、♀スーパーノービスさんと一緒にいたハンターさんですよね?」
声をかけられた♀ハンターが、びくりと大きく反応する。
――そう、♀スーパーノービス。俺の不手際の所為で命を落とした、その少女の仲間であったと。
「一体、どうしたんです? ♂プリーストさんは・・・」
♀騎士は駆け寄ろうとするが、いやいやをするように♀ハンターは後ずさる。
「来ないでっ!!」
「・・・・・・何があったんですか? よければ、教えて・・・・・・」
足を止め、優しく話しかけようとする♀騎士だが、
「嫌なのっ! もう、嫌だよおっ!!!」
♀ハンターの口から飛び出すのは、ただ拒絶の意思のみ。だが、後退する♀ハンターは、たまたまその足元にあった木の根に足を取られ、尻餅をつく。
「やだ・・・・・・・やだ・・・・・・」
目尻に涙を浮かべ、ぎゅうっと強くふぁるを抱きしめたまま、♀ハンターは起き上がることも忘れてどうにかして距離を取ろうとする。その視線は辺りを目まぐるしく彷徨っては♀騎士に戻り、♀騎士に視線が移るたびに見たくないとばかりに視線を逸らす。何も考えられなくなっている今の♀ハンターは、♀騎士の存在を恐怖の対象としか捉えていない。
♂騎士も♀騎士も、どうすればいいのかわからなかった。原因は不明だが、♀ハンターに何かがあったのだろう事は察しがつく。まずは彼女を支配する、恐怖という枷を外さなければ。この場に♀アコライトでもいれば、ぐいっと首根っこでも掴んで檄を飛ばすことくらいやってのけたのだろうが、残念ながら♂騎士も♀騎士も、そんなキャラクターではない。
そうこうしているうちに♀ハンターは近くに生えていた木の幹に身体を預けるようにしながらよろよろと立ち上がる。膝はがくがくと震え続けているが、今は逃げなくては。
・・・・・・・・・“何処へ?”
それすらも思考の中からはすっぽりと抜け落ちたまま、♀ハンターは♂騎士達に踵を返すと、おぼつかない足取りで駆け出そうとした。
・・・・・・・・・だから、今の彼女には危険を知らせる森の中の鳥達の『声』も、耳には入っていなかった。
「あ、待って・・・・・・!」
兎にも角にも、♀ハンターをこのまま放っておくわけにはいかない。そう判断した♀騎士が、後を追おうと一歩を踏み出した時。
がくん、と。
前方で、♀ハンターの身体が大きく跳ねた。
「・・・・・・・・・!!」
どさり、と、大事そうに♀ハンターに抱えられていたふぁるの身体が地に落ちる。
そのまま、♀騎士の目の前で今度は、♀ハンターの身体が少しだけ、宙に浮き上がった。
「・・・・・・や・・・・・・!!」
♀ハンターは空中で藻掻くように身体を捻らせるが、自由が効かないらしく、手首と足首が虚空を掻き回すだけだ。苦しそうに呻き声を洩らす♀ハンターだが、♀騎士には今目の前で何が起こっているのかがわからない。
・・・・・・だが、彼女の身に何かが起こっている。助けなければ。
「待ってて、今――!?」
駆け出そうとした♀騎士の足首に、何かが絡みついた。
「きゃあっ!?」
そのまま凄い力で足元を掬われ、転倒する。見れば、地面から不気味な長い触手のようなものが何本か突き出し、それが己の足に絡み付いている。
「何、これ・・・」
「何だってんだ・・・!?」
少し遅れて反応した♂騎士が♀騎士の前に飛び出した、その瞳に映ったのは。
♀騎士を襲ったものと同じ、何十本ともいう触手によって全身を空中で絡め取られ、ぐったりとしている♀ハンターと、その触手の主――♂騎士は知る由もないが、♂ローグの屍体より生まれ出でた、異形の寄生虫の姿だった。紫色の、不気味に蠢く柔らかそうなぬめった塊。子供くらいの大きさはあろうそれの全身から、躍動する何十何百という触手と、おそらくは体液なのだろう不気味な液体が流れ出していた。
「ペノ・・・メナ!?」
・・・できそこないのペノメナ。それが♂騎士の第一印象だったが、すぐにそんな感想など頭の中から追い払い、瞬時に判断する。
「放し、やがれぇ!!!」
カッツバルゲルを大きく振りかぶると、♀ハンターの身体を空中に固定している触手郡に向かって飛び掛り、大きく――
薙いだ。
但し、それを行ったのは寄生虫の触手、吹っ飛ばされたのは横合いからの直撃を喰らった♂騎士のほうだったが。

125 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/17(金) 14:13:57 ID:GCgEsyY2
「♂騎士さんっ!」
♀騎士は、自分の足に巻きつく触手を千切ろうとするが、うねる触手の動きと粘液によって阻まれ、うまくいかない。
「・・・・・・!!」
逡巡するが、すぐに♂騎士から受け取ったツルギを抜くと、己を拘束せんとする触手に突き立てた。ぶつり、と切れた触手は、体液を撒き散らしながらびちびち跳ね回っていたが、やがて動かなくなった。
「加勢、しますっ!」
「・・・・・・ッ、くそ」
触手の攻撃によって地面に転がされた♂騎士は、大剣を地面に突き立て、支えに立ち上がる。まだ、ミストレス戦で失った体力を取り戻せていないのだろう。とはいえ、それは♀騎士も同じことだったのだが。
触手でふたりの騎士を包囲するように牽制しながら、寄生虫はその本体の部分をぶるぶると震わせた。次の瞬間、ぐぱあ、と粘液の糸を引きながら、寄生虫の身体の一部が、裂けた。恐らくは、これが“口”なのだろう。それが証拠に、裂け目に体積を合わせるかのように寄生虫の全身も大きく膨らみ、獲物を呑み込まんと待ち構えている。同時に、触手に弄ばれて宙ぶらりになっていた♀ハンターが、徐々にその高度を増し、段々と寄生虫の本体の真上へと移動を始めた。否、♀ハンターを掴んだ寄生虫の触手が、獲物を己の真上へと引き寄せ始めた。
「いっ・・・、いや、離して、やだ、嫌・・・・・・!!!」
これから自分がどうなるのか、流石にそのくらいは思考が回ったらしく、♀ハンターは残った体力で必死に抵抗を試みた。両手両足を何とか動かそうとするが、巻きついた触手によってがっちりと締め付けられており、♀ハンターの力では全く動かせない。じわじわと、嫌でも♀ハンターの視界の端に映る景色が、寄生虫の頭上へと移動していくのがわかる。
「やだ、やだ、やめて、おねがい、ふぁる、おねえちゃん、嫌、たすけて、やだよ、わたし、嫌、いやぁ・・・・・・・・・!!!」
最早♀ハンターに許されたことは、髪を振り乱しながら掠れた声で叫び続けることで、せめてもの抵抗の意を示すことだけだった。
「♀ハンターさん!!」
「止めろぉっ!!」
二人の騎士が同時に剣を構えて駆け出そうとするが、地中から触手が次々と飛び出しては二人に絡み付き、その動きを封じようとする。
そして、♀ハンターの全身に纏わりつく触手が彼女を解放し、
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!」
ばくん、と。
寄生虫の口の中へと、落下した。
「嫌、ふぁる、たすけ・・・・・・・・・やだ、やめ、おね・・・い、たすけ・・・・・・!!!」
海で溺れて波を掻き分けるみたいに、閉じていく寄生虫の口の中から♀ハンターが必死で手を伸ばし、顔を出し、脱出を試みようと宙を掴んでは再び寄生虫の中に沈んでゆく。
「・・・・・・・・・・・・・・・嫌・・・・・・やめ・・・・・・たすけ、・・・・・・・・・・・・!!」
「っそ、離せ、離せえっ!!」
目の前の光景に顔を歪めながら、♂騎士は全力でカッツバルゲルを振り回し、触手をまとめて叩き斬った。そのまま、♀騎士に纏い付く触手にも斬撃を加え、断ち切る。
「・・・・・・、ありがとうございます・・・!」
両腕が自由になった♀騎士も、ツルギで残る触手を薙ぎ払った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌・・・ぁ・・・・・・」
完全に♀ハンターが寄生虫に飲み込まれると、閉ざされた口は再び隠れ、膨張していた寄生虫自体の大きさも元に戻った。♀ハンターをひとり分飲み込んでいるため、その形は“人型に”歪になってしまっているが。
だが、貪欲に、食欲に支配された寄生虫が、獲物を一匹捕食したところで満足する筈がない。醜悪な蟲は触手を揺らめかせながら、更なる獲物に狙いを定める。
「まだ、生きてる! 今ならまだ、助けられる! さっさとこいつを倒せば!」
♀騎士は迷いを払い、ツルギを構える。
ぐっと握り締めた、剣の柄の感触。どこか懐かしさを感じる。
♂騎士は迷いを払い、叫ぶ。
「俺は、騎士だ! 護ってやる、みんな、みんなだ!!!」


<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐 、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷 触手によるダメージ自体はありません

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 戦闘場所より少し近くで気絶中
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚喪失?、体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば、人間を殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

<♀ハンター>
現在地:E-6(寄生虫体内)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:寄生虫に捕食されそう ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中

<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:E-6
外見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備考:♂ローグから孵り、捕食 両生類?
状態:♀ハンター捕食中

126 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/17(金) 14:19:08 ID:GCgEsyY2
便乗?って訳でもないけど、自分もちょと考えてたんで久々に投稿しちゃいました。
死者出せなかったの残念だけど、♀ハンター崩壊フラグ立てたり(・3・)

127 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/18(土) 08:10:13 ID:HmDus2Z.
♀ハンター食われたあああ!?
ともあれ新展開おつ&GJ。

ただ状態欄の所持品、♂騎士のツルギと♀ハンターのトーキーはwiki掲載時にでも外した方がいいかと。

128 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/20(月) 22:37:01 ID:IgZmtEWQ
スレ活性化を願って、ネタ振りー。
各人、死に際の台詞集、なんて。


♂ノビ「う、うわああああ!」
♂剣士「ひ、いぃいあ、僕は、僕、あぁぁぁ」
♂アチャ(台詞無し)
♂マジ「う・・・・・・」
♂アコ「お前が、お前がジルタスさんをぉぉぉぉおおおおおおおおオオオオオオ怨怨怨怨怨!!!!」
♂商人「げ、やべ」
♂クルセ「まったく。神はどこまでも、俺につめたいらしい」
♂ハンター「…………」
バード「なんでゲスかこりゃあ」
♂WIZ ――ここで死ぬわけにはいかないのです、まだ私は…彼女を…!
♂BS「ああ…。そういやまだもらった箱開けてなかったな」
♂ケミ「♂騎士……俺、は……」
♂アサシン「ぐあぁ・・」
♂ローグ「・・・・・・あ?」

♀ノビ(死の際の台詞無し)
♀スパノビ「……あは……だめな…おねえちゃん…です……ね………バイバイ」
♀剣士「がぁああああああ!!!!」
♀アチャ「あ、あぁ……王子さ、ま……」
♀シーフ「死んだよねぇ…」
♀クルセ(ごめんなさい、私は、あなたを守れなかった――)
ダンサー「くっ」
♀セージ「居たのなら返事くらいしな───」
♀プリ「なん…で…? こんな……」
♀モンク「───!!───」
♀BS「ま……あたいにできるのは、あいつがこっちに来ちまわないよう祈っとくことだけさね」
♀アサシン「なっ……」
♀ローグ「あ、あの、これと、武器を、交換してほしいな〜なんて…」

案内要員「あのっ、災難ですよね。こんな…」
グラリス「それは、たのもしいですわね」
ホルグレン(死の際の台詞無し)
ジルタス『ご主人様を救ってくれてありがとう。早とちりしてごめんなさいね……』
ミストレス「愉しかったが、やはり少々口惜しいからの。置き土産をさせてもらうぞえ」
忍者「行くんだああぁぁっ!!」
工務大臣「死に、じにだくないよ――」


ありありと甦る名場面・・・・・・なんてほどでもないですが。
やっぱり、バードと♂クルセの死に様は格好良すぎますわー!

129 名前:sage 投稿日:2007/08/21(火) 20:55:25 ID:0gHhT9pQ
個人的には忍者の最後に一票
次点に♀スパノビ

…しかし悪ケミってなんだかんだでしたぼくに恵まれてるなぁw

130 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/22(水) 11:35:32 ID:R7cawpOQ
序盤に死んだキャラはうっかり忘れてて久しぶりに思い出した

131 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/23(木) 09:37:54 ID:vJx6oArQ
埋め用にアナザー話書いてたら前スレ落ちてたwwwwwwwwwwwww
活性化祈願をしつつリサイクル投下

another 死亡遊戯

「…死して尚、貴方と顔を合わせる事になるとは。…なんとも皮肉な運命ですわね」
最初に口を開いたのはグラリスだった。
野暮ったい眼鏡に隠された視線の先には、鋼の様な筋肉の鎧に身を固めた無骨な神の信徒の姿がある。
「…そうだな。俺も、お前も、神に相当嫌われているらしい」
♂クルセイダーは思いの外穏やかな口調で返す。
軽く笑みを浮かべ応えるグラリスの外観からは百戦錬磨の凄みなど微塵も感じられない。

「…貴方との決着もうやむやになってしまいましたわね。まぁ腕を切り飛ばされた時点で、私の負けでしょうけどね」
「どうかな…。言い訳するつもりも慰めるつもりでも無いが、お互い手負いだった。万全の体勢ならどう転ぶか判らなかったろうさ」
軽く肩をすくめる♂クルセイダー。グラリスは「そうならいいのですけどね…」と苦笑混じりに呟く。
ゆっくりと、視線を合わせる。
傷も疲労も今はない。
万全の体勢…正に今がその時である。
絡み合う視線に、静かに、静かに…闘志が籠もる。

「…やるか?」
「…別に貴方に対して怨みも怒りもありません。ですが、私個人の要望として貴方とは戦ってみたいですわね」
「同感だ。禍根もしがらみも無く、只、己の死力を尽くしてお前とやってみたい」
♂クルセイダーは腰に下げたシミターの柄に手をかけ、そしてゆっくりと抜き放つ。
湾曲した薄い鋼。切り裂く事に重点を置いた刃が濡れたような光をたたえている。
対するグラリスは、その手にしたバスタードソードの重さを確かめるように一振り、二振りと剣閃を走らせる。
切る事よりも叩き割る事に比重を持たせた肉厚の刃が、鈍い風切り音を奏でる。

「元軍属、現カプラ職員、グラリス。参ります!」
まるで騎士の様に眼前に剣を掲げ、覇気の籠もった声を上げるグラリス。
「俺は……いや、名乗りを上げるほどの者じゃない。只の…殺人者だ」
「知っていますよ。BR優勝経験者…お手並み拝見ですわっ!」
叫ぶと同時に、一挙動で間合いを詰めるグラリス。
速い。
瞬き一つの間に距離を詰め、勢いのまま剣を振り下ろす。
十二分に体重の乗った一撃はシミターの刀身では受けられない。
が、♂クルセイダーは湾曲したその形状をフルに利用し、刃の上を滑らせるようにグラリスの一撃を受け流す。
渾身の一撃が逸らされ体の流れたグラリスの喉元に、吸い込まれるように白刃が跳ね上がる。
「くっ!」
無理矢理に首を曲げて、その斬撃から逃れる。
頬を浅く掠めたシミターが一条の紅い線を刻む。
そして二撃目の斬撃。
♂クルセイダーはその技量に物をいわせ、跳ね上げた軌跡をなぞるように刃を振り下ろす。
体勢を崩したままのグラリスだが、その瞳はしっかりと斬撃のコースを捉えている。
足首を返して、体を数センチ、外に逃がす。
頚椎を狙って振り下ろされたシミターの切先は、亜麻色の髪を一房持っていくに留まった。

トンッと軽く地面を蹴り、間合いから離脱するグラリス。
♂クルセイダーも無理な追撃はしない。
「流石…と言わせて頂きましょう。初撃を受け流した技量。流れるような反撃。…そして何より躊躇無く急所を狙う合理的な戦法。どれを取っても超一流ですわ」
「殺ったと思ったんだがな。あのタイミングで二回とも避けるか。とんでもない身体能力だな…やれやれ、手負いでなければ判らなかった…か」
どちらともなく笑みを浮かべる。
目の前の相手は、強い。
自らの全てを賭してもまだ足りないほどに。

「…そうだ」
♂クルセイダーが思い出したように声をあげる。
「お前の護りたい者の名をまだ聞いていなかったな…。今更、俺の祈りに意味があるか判らないが…良かったら教えてくれないか?」
グラリスは顔に掛かった髪を肩越しに背後へ払いながらニコッと笑う。
「W…ですわ。まだまだ目の離せないお子様ですけど…私には大事な大事な家族ですわ」
「ならば、祈ろう。神よ…Wの行く先に光多からん事を…」
「ええ…光多からん事を…」
目を閉じ、短い祝詞をあげる♂クルセイダー。
それに倣い、祝詞を復唱するグラリス。
小さな小さな祈りだった。
そして世界で一番尊い祈りでもある。

「…神は最後に少しだけ慈悲を与えてくれたらしい。最後にお前の大切な家族の為に祈る事が出来た」
「では貴方に祈ってもらえたのも神の御慈悲になるのかしら…ずいぶんと出し惜しみする神様ですわね」
「違いない」
ふふ…と声に出して笑う二人。
笑みを浮かべたまま…己が手にした武器を構え腰を沈める。
引き絞られた弓の弦のように、全身のバネを瞬発力へと変換していく…。
「では…行くぞ!」
「…ええ!」
『はあああぁぁぁっっっ!!!』

戦いはまだ、続いていく。

◇◇◇

おまけ

「は〜〜ぁ…グラリス先輩も相変わらずとゆーか何とゆーか」
「こっち来て、すぐに死闘を繰り広げちゃってるからねぇ。どうする?テーリングちゃん」
「どうするって言ってもねぇ…あの世だよ全員集合インタビューなんてできる雰囲気じゃないしなぁ…」
「近付こうものなら頭カチ割られちゃいそうだしねぇ…」
「と言っても話が進まないわ…ソリン頑張ってね」
「それは断固NOですわ」
「こーいう時頑張らないと目立てないよ?ただでさえ地味キャラなんだから」
「こういうのは脳筋バカのテーリングちゃんの仕事でしょ」

………プチ

「別に貴方に対して怨みも怒りもありまくりだからココで死ねソリンーーーーーーーーーー!!!」
「同感だーーーーーーーー!!!」

132 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/30(木) 10:51:20 ID:awei8.X6
wikiの本編だけ追加
NGと番外は九冊目が確認出来ないので追加してませぬ

133 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/30(木) 14:54:26 ID:H2yrwbwA
仕事お疲れ様ですー。
書き手さんも作品投下おいしく頂きました(*´ヮ`)
活気出ないかなぁ、ここももっと・・・。

134 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/08/31(金) 10:23:38 ID:guyZOC3w
18禁系以外はどこも過疎ってるからなぁ…

135 名前:SiteMaster ★ 投稿日:2007/09/01(土) 01:14:39 ID:???
>>132
すみません、過去ログ倉庫にアップしました。

136 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/03(月) 14:36:55 ID:.PMHHPE6
>>135
SM様ご苦労様です。
九冊目アップに伴い、NG・番外を追加。

137 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/08(土) 06:49:22 ID:j/3KzxDg
272.悪いやつら【3日目午前】


おーおー、おうおー、おおー

地の底に響く亡者のうめきのような。
枯れ木の枝をすり抜ける冷たい風のような。
遠く 深く 悲しげな声。

世界は暗い赤に燃え。
大地を踏み締める感覚はない。

悪夢か。
それともこれは地獄で。
自分は死んだのか。

おおおー、うおー

亡者の声が新たな仲間を迎える暗い喜びの声と化し。
お前も死んだと呼びかける。
賭けに負けて死んだのだと。

――?

何かが心に差し込んだ。
賭け。
そうだ。
命を張った賭けをした。

記憶が少しだけ戻る。
途端に脇腹が、ずくん、とうずいた。
痛み。
痛みがある。
夢でもあの世でもない。

生きている。
つまり、賭けに勝ったのだろうか?
わからない。
確かめなくては。いま、すぐ。

*****

「お目覚めのようですね」
彼女がゆっくり目を開けるとすぐに男の声がした。
視線をめぐらせ、声の主を探す。
慌てる必要はない。『敵』ではないはずだ。
「ええ、なんとか…」
意図しなくてもしおらしい声が自然に出る。
もっともどのみち体力を失っており細い声しか出なかったが。
だがそれは予想外の結果を招いた。
「そ。よかった」
ややつんけんした声とともに少女の顔が視界の中にぬっと突き出される。
思わずのけぞり、起こそうとしていた頭を地面に叩きつけてしまった。
「いたっ」
「おやおや。大丈夫ですか?」
最初の声が苦笑含みに気遣う。
「は、はい…あうっ」
答えて上体を持ち上げ、顔をしかめる。
腹筋に力を入れると脇腹に激痛が走った。
「無理しない方がいいですよ。かろうじて内臓はそれたようですが貫通していましたからね」
「貫通…」
反射的に脇腹をなでた手がぞっとするような凹みに触れた。
当てられた布越しでもピリッとした痛みが走る。
ただ、そこに血の湿り気は感じない。
少なくとも表面の傷はふさがっているようだ。
「誰に…?」
呆然とした口調でつぶやいた。
これも策の内。
まずは反応を見る。
それ次第では怪我で記憶が混乱している振りをするつもりだった。
少々あざといが追求をかわすには手っ取り早い。
ところが思惑はあっさり外された。
「治したのは淫徒プリさんですよ」
どこかのほほんとした男の声が、『誰にやられたか』ではなく『誰に治療されたか』を答える。
質問の意味を取り違えただけにも聞こえるが、まさか意図的にやっているのだろうか。
だとすればとんでもなく面倒な男だ。
それでももう一押ししてみる。
「いえ、誰にやられたのかと」
「パピヨンよ」
今度はさっき覗き込んできた少女が不機嫌そうな声で答えた。
「まさか忘れたとか言わないでしょね」
これはまずい。
どうやら思い切り敵視されている。
島に送られる前も同性にいきなり嫌われることはよくあった。
そんな場合にはこちらから話を合わせること。友好的に話のできる相手を嫌い続けることは難しい。
逆に言えば会話のできない相手と思わせたらアウトだ。
記憶喪失の振りは捨てるしかない。
「そう!パピヨンは!」
彼女は我に返ったような顔をつくって跳ね起き、上空を見回した。
その拍子に脇腹へ激痛が走るがぐっとこらえる。
「大丈夫、逃げてゆきました」
今度は予想通りの答えをよこした男に彼女は安堵の表情を向けた。
「そうですか…。あ、それではあのプリーストさんは?」
改めて最も気になることを尋ねる。
これであの男が生きていたのでは賭けは負けに等しい。
「向こうで淫徒プリさん達が様子を見てますよ」
にこやかに男が答えた。
生きてるのか。彼女の心を苦々しい気分が満たす。
ところが少女が不思議そうに言った。
「え?様子を見て…って。弔ってる、じゃないの?♂セージさん」
「そうとも言いますね」
彼――♂セージは臆面もなくうなずく。
「……そうですか。残念です」
♀ケミはかろうじて声と表情を取り繕った。
確かに弔うのも「死体の様子を見」ることかも知れないが、普通そういう言い方はしない。この男、一体どういう根性の持ち主か。
♂セージの顔をそっとうかがうが、内心はまったく読み取れなかった。
少女の方は…相変わらずだ。
「なによ」
探る視線に気付いたのか少女が胡乱な目を向けてくる。
「あ、いえ。私は♀アルケミストと言いますけどあなたは?」
「…♀商人」
少女はそう名乗ってそっぽを向いた。


「さて」
♀ケミが起き上がり、全員が名乗りあったあとで♂セージが皆を見回した。
「皆さんにいくつかお尋ねしたいことが――」
その言葉に重なって遠くから叫び声が響く。
『嫌ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!』
「えっ?」
「悲鳴!?」
一同は揃って立ち上がる。
「誰の声だった?」
「わかんない。でも女の人だと思う」
「確かに」
彼らは慌しく視線を交わしてお互いの表情を探った。
成り行きでともにパピヨンと戦ったとはいえ、まだ性格や考え方まで深く知っているわけではない。
相手はこういう場合にどう行動するのか。それを見極めるのが今後のため重要になる。
それに♀ケミや彼女の話を疑っている♀マジとグラサンモンクにとってはさらなる問題があった。
女の声であれば問題の♀ハンターである可能性がかなり高い。
だが
「何やってるの?早く助けに行かないと!」
「うん。そうだよねっ!」
良くも悪くも素直な♀商人と熱血一直線な♀アコが今にも走り出しそうな様子を見せた。
その首根っこをいち早くつかみ止め、♂セージはどこかのんびりとたしなめる。
「まあ10秒だけ待ってください」
「そんなこと言うとカウントしちゃうわよ」
悪ケミにつっこまれても軽く笑って流し、彼は自分の意見を述べだした。
「助けに行くにしても全員で行くのは論外、まだ充分に動けない方がおられるので時間が掛かり過ぎます。また怪我人だけ置いて行くのも危険すぎるでしょう」
「まあその通りだな」
グラサンモンクは慎重に同意した。
怪我人を理由に救助を諦めろと言うつもりだろうか。だとすれば冷静ではあるが人として信頼はしにくい。
サングラスの奥では♂セージをじっと品定めする。
その視線に気付いてか否か。♂セージは淡々と続けた。
「それからグラサンモンクさんと♀アコライトさんは先の戦闘と治療でほぼ精神力を使い切ったと思います。淫徒プリさんもですが、回復力が違うので多少ましでしょう」
「ええ。でも全員に支援をかける余裕はありませんよ」
今度は淫徒プリがうなずきつつ牽制する。
♀Wizの時と同様に今回も精神力を完全には使い果たさず、ヒール1・2回分の余力は残してあった。
だがあくまでも緊急用であって全員分にはとても足りない。
「速度増加は何人にかけられますか?」
「2人…でしょうか。ヒールする余地を考えなければ、ですけど」
「なるほど。では提案です。私とそちらのモンクさんに速度を掛けてもらい、2人で様子を見に行くのはどうでしょうか」
「えー」
「ひとのしたぼくを勝手に使わないで」
行く気満々だった♀アコと『したぼく2号』を連れて行かれそうになった悪ケミが抗議の声を上げる。が、他の面々はそれぞれうなずいた。
「ま、2人だけ選ぶならそれが一番だよね」
と♀マジは納得顔。
彼女や♀アコに可能なことは♂セージとグラサンモンクにもできる。
商人系は瞬間的な破壊力はともかく、偵察に向いているとは言えない。
ヒールやさまざまな支援スキルを持つ淫徒プリは通常なら適任なのだが、充分な精神力がない今は行っても危険が増えるだけだろう。
そして悪ケミはといえば
「したぼくをしばらくお借りしていいですか?」
「しょーがないわねっ。貸してあげるから利子つけて返すのよっ」
♂セージに頭を下げられ、あっさり許可してしまった。
自分しか反対がいなくなった様子を見て♀アコもすぐに諦める。
一刻を争うときに我を張るほど馬鹿ではない。
「わかった。急いで行ってあげて」
「では…速度増加!」
全員の同意を受けて淫徒プリが魔法を掛け、即座にセージとグラサンモンクは駆け出した。

138 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/08(土) 06:49:32 ID:j/3KzxDg
<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:不明

<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中 淫徒プリと再会
状 態:脇腹に貫通創(治療済)

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけた?
状 態:HPレッドゾーン・ヒールでやや回復 気絶中

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
思 考:脱出する。
備 考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
状 態:デビルチとの戦闘で多少の傷 SPほぼ枯渇

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑
状 態:足に軽い捻挫、歩くには問題無し

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチ・♀ハンターを警戒 ♂セージと悲鳴の方向へ
状 態:掌と肩に打撲 SPほぼ枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    グラサンモンクと悲鳴の方向へ

<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    淫徒プリ・悪ケミらと同行 ♂プリとの再会だが・・・

<淫徒プリ>
現在地:E-6
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・悪ケミらと同行 ♀ケミを警戒
状 態:SPほぼ枯渇

<残り16名>

139 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/12(水) 03:03:21 ID:E4swxibU
眠い目こすって、書き込んでみます。誤字脱字あったらごめんなさい。

273 狂気の代償


彼は普段使われていない通路の奥から聞こえた物音を頼りに、ここに来た。
薄暗い通路を進んでいくと、以前のBRにより使えなくなった家具の物陰から、
なにやら打音が聞こえてくる。彼は持ち前の豪胆さでズンズンと進んでいく。

10歩くらいで、音の主を確認できた。一人はまだ幼さが残っている少年、
もう一人は色香漂う女性だった。弟を気遣う歳の離れた姉に見えなくも無い。

(あれが地図からいなくなった♂シーフと♀WIZだな。)

「お前ら、こんな所でナニしてた?」

彼は無警戒に近寄りながら声を掛けた。足場の悪さに顔をしかめながら二人を観察する。
と、少年がくるりとこちらに顔を向けた。女性の方は視線をこちらに向け、顔を強張らせている。
女性の視線を受け、彼はそりゃそうだよなぁ、と思う。BRに参加している以上、
GMは恐怖の対象だ。直接は関与しないものの、反逆すれば開幕時の♀モンクのように、
圧倒的な力でねじ伏せられる。彼はジョーカーほどではないものの、それくらいの実力はある。

一方の少年の方を見て彼は、あ〜あ、なんて思った。おそらく顔にもその表情が出ていただろう。
なにしろ少年は彼の方を見て、とびっきりの笑顔を浮かべたのだ。少年が精神的に壊れてしまった、
と思っても仕方ないことだ。正常な反応を示した♀WIZのみに意識が向いた。

「もう一度聞くぜ?お前ら、こんな所でナニしてた?」

彼、GM森は言い終わった後、一歩踏み込んだ。♀WIZは杖を両手で構え、一歩後退する。
驚愕に見開いていた瞳は、今では敵意と殺意に満ちている。

「やれやれ、こんな美人にそんな睨まれるとはねぇ、因果な商売だな。」

GM森は♀WIZをじっくりと舐める様に観察した。♀WIZはその好奇な視線を避けるように、
杖を構えなおす。だからなのかGM森と♀WIZは視界に入っているはずの♂シーフの行動に、
付いていけなかった。♂シーフはただ狂気に満ちた笑顔でGM森を見ていたのではない。
GM森が現れる前に♀WIZに対して考えていたように、戦闘方法を考えていたのだ。
狂気に犯されながら、肝心なところは異常なまでに冷静である。囚人の腕輪に秘められた力だった。

♂シーフは幽鬼のようにゆらりとGM森に近づいた。が、GM森は意識しなかった。
いや、意識できなかった。元々精神が壊れたと思って意識していなかったうえに、
♀WIZに警戒していた。いくらGM森とはいえ、オーラWIZには注意ははらう。
だからこそ、一次職の壊れたシーフには例え攻撃されても問題ないと判断していた。

140 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/12(水) 03:04:15 ID:E4swxibU
「なっ!!?」

驚きはどちらのものであったか。GM森と♀WIZが気が付いたときには、
♂シーフはGM森の1m手前に近づいていた。GM森があわてて剣を抜こうとしたとき、
異変に気が付いた。左の腰に差した剣が無くなっている。しかも鞘ごと無い。
♂シーフが♀WIZの方向に何かを投げた。それが自分の剣だと気が付いたがもう手遅れだった。
悪態をつく暇も無い。♂シーフのグラディウスがGM森の喉元に向かって突きこまれる。
体を左にひねってかわす。突きこんだグラディウスをそのまま避けた方向に切り払う。
GM森はこれを仰け反って凌ぐ。今度は切り払いの勢いを利用した左のハイキックがGM森の顔面に迫った。
GM森は相手の意図を読み取り背面とびで距離をとりつつ体勢を整える。本来なら♂シーフの蹴りなぞ、
避ける必要が無い。GM森は自他共に認めるマッチョだし、♂シーフは女装したら似合う位線が細い。
逆に蹴りを喰らって相手の体勢を崩すくらいのことをやってもおかしくないのだが、
つま先で目を狙われたら話は別だ。いくらGM森とはいえ、避けるしかない。

(くっ、こいつ本当にシーフか?対人に特化したローグやアサシンとしか思えねぇ。)

今更自分の浅慮さを呪っても遅い。愛剣はいまや♀WIZの手元にあるし、予備の武装は、
あまり使わないブレイドだ。最大まで鍛えてあるが、特にカードは挿しておらず、
まさしく飾りとなっていた。が、今はそんなことは言っていられない。素早く抜き放つと、
♂シーフを迎え撃つ。攻撃をかわされた♂シーフは躊躇うことなくGM森に突き進む。
これをGM森は袈裟懸けに切り払う。♂シーフはしゃがんでかわす。切り払ったブレイドを
腕力で強引に左から右へと薙ぎ払う。しゃがんだ♂シーフの胸辺りの位置を狙っている。
それをバックステップで避ける。GM森は飛んで避けた場合の切り上げを考えていたが、
開きすぎた間合いのため中止する。今度はGM森が間合いを詰める。ブレイドを上段に構え、
一気に振り下ろす。♂シーフはそれをGM森の左側に回り込んで避けようとする。その際、
GM森の脇腹をグラディウスで切り裂こうとする。それを無視してGM森はブレイドを地面に叩き付けた。

脇腹を切り裂いた♂シーフは突如発生した爆炎に吹き飛ばされた。グラディウスを放り出し、
地面に転がり動かなくなる。GM森は大振りを誘いダネとし、攻撃を喰らう覚悟で短期決戦に踏み切った。下手に長引かせれば間違いなく♀WIZの攻撃がやってくる。
予想以上に痛む脇腹を押さえ、GM森は♀WIZの方を見る。♀WIZはすでに何かの魔法を詠唱していた。
GM森は舌打ちし、♀WIZに駆け寄る。が、♂シーフにやられたダメージがその足を鈍らせる。

141 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/12(水) 03:04:54 ID:E4swxibU
焦りがその一撃を鈍らせた。なんとか間合いに入り、ブレイドを一閃させる。しかし♀WIZは、
紙一重で攻撃を見切ると、そのまま攻撃に転じた。青白い雷球がGM森の体を包むと、
朽ちた家具まで一瞬で吹き飛ばす。信じられなかった。BR参加者は例外なく能力を制限させられるのに、
なぜ、この女の魔法はそのままの威力なのか。吹き飛んだ際にブレイドは手放した。
ウィザードスタッフによりさらに威力が上がったユピテルサンダーで体が痺れて思うように動けない。

「こ、こんなところで死ねるかよ・・。」

GM森は体を起こし、家具を遮蔽物にして通路から逃げようとした。自身でヒールは使えるが、
♀WIZの火力と比べると、自分の回復力は余りにも低い。幸い吹き飛ばされたおかげで、
♀WIZとの間合いはかなり開いた。この通路にくるまで、いくつもの廃棄された家具を確認しているため、
遮蔽物は事欠かない。うまくすれば、遮蔽物にまぎれて追ってきた♀WIZを仕留められるかもしれない。

だが、そんな甘い事を♀WIZが許すわけがなかった。
立ち上がり逃げようとしていたGM森の目の前に絶望という名の氷壁が立ち塞がった。
その壁は即座に背後にも出来上がる。簡易擬似ファイヤピラーである。これの対処法は唯一つ、
マグナムブレイクで氷壁の隙間を広げ、ファイヤーウォールをやり過ごすしかない。
GM森はすぐにマグナムブレイクでアイスウォール間の隙間を広げた。
そして、素手によるボーリングバッシュでアイスウォールの一部を吹き飛ばして退路を確保するつもりだった。
だが、♀WIZは動じることなく出来た隙間を埋めるようにアイスウォールを重ねてきた。
驚愕するGM森。マグナムブレイクは気を溜めて炎と衝撃に換える技、そのため連発ができない。
それを見越してのアイスウォール。♂WIZに一度破られた教訓を活かさないはずが無い。
そして、足元から吹き出る炎。

「ウオオオオオオオオォォォォォォォ・・・・・。」

氷の壁の中から絶叫が聞こえる。が、それも長くは続かなかった。
♀WIZは氷壁の中で、GM森が崩れ落ちるのを確認してから♂シーフに駆け寄った。

142 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/12(水) 03:05:19 ID:E4swxibU
「♂シーフ君、しっかりして!!」

♀WIZは♂シーフの体を抱き上げながら言う。♂シーフの傷の状態が良く分る。
左腕と左足は炭化しかけてる。吹き飛ばされた衝撃で右腕は間接が一つ増えたようになっている。
頭部からは今も血が流れている。♀WIZの呼びかけに目を開けたことが奇跡に近かった。

「♀WIZさんは・・、無事ですか・・・?」

「私は大丈夫、♂シーフ君が頑張ってくれたから傷一つ無いわ。」

「・・・そうですか・・・、よかった・・・・。」

消え入る声、♀WIZは♂シーフの体を強く抱きしめる。

「あぁ・・・、あの嫌な声も聞こえない・・・。これならゆっくり休める・・・。」

「♂シーフ君、しっかりして!♂シーフ君っ!!」

♀WIZの目に涙が浮かぶ。♂シーフの体から熱がどんどん失われていく。

「じゃあ・・・、♀WIZさん・・・・、お休み・・・なさい・・・。」

「・・・・・。えぇ、ゆっくりお休みなさい。ぐっすり眠れるようにおまじないしてあげるから・・・。」

♀WIZはそう言って♂シーフの頬に口付けした。GM森に挑みかかった時の顔はしておらず、
歳相応の穏やかな寝顔だった。そっと♂シーフを横たえると、涙をぬぐい立ち上がった。
GM森は倒したが、この通路の奥にはもっと多くのGMがいるだろう。
そして、そのGMがGM森と同じように愚かとは思えない。

♀WIZはGM森の残骸を見下ろしながら、今後の行動を練っていた。


<♂シーフ>
現在地:謎の地下室
所持品:多目の食料 +7トリプルハリケーングラディウス 囚人の腕輪?
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀WIZと同行
    呪詛に苛まれるが開放される GM森との戦闘により死亡

<♀WIZ>
現在地:謎の地下室
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない)
    案内要員の鞄(DCカタール入り) ウィザードスタッフ GM森の愛剣
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HPは半分くらい?
    希望が見えてきて気持ちが前向きになるも♂シーフと死別して不安定に

<GM森>
現在地:謎の地下室
所持品:不明
外 見:逆毛 筋肉質だった
状 態:ファイヤーウォールにて死亡

143 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/12(水) 12:50:41 ID:jZ9pqtVs
さよなら森

144 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/12(水) 19:14:00 ID:xZAlwsXo
もうスティール使えるやつ生き残ってない気がした

145 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/13(木) 00:08:42 ID:99xc34eQ
スティール使えるやつ消しちゃったらハッピーエンドフラグが吹き飛ぶんだが(汗)

・・あたらしいフラグをたてる必要がでてきちゃったな

146 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/13(木) 00:27:26 ID:6yYKeRTo
もうジョーカーによる皆殺し展開でいいんじゃね

147 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/13(木) 05:04:19 ID:lEd1ogQM
森のGM武器は♀WIZが持ってるからそれで大丈夫だと・・・・・思いたいけど(´・ω・`)

148 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/13(木) 06:00:34 ID:rqbNBAhI
少なくともスティールに関してはまだ2つ可能性が残ってると思うけど?
ついでに言えば必ずしもスティールは必須じゃないと思うし。

149 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/13(木) 07:36:06 ID:lV17F/x6
この場合はこの場合で、新展開じゃないですかっ。
って、もう佳境ですが。
如何にして巧く話を進めるか、期待期待です。

150 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/14(金) 02:18:15 ID:g2NX44Vk
274.ロシアンルーレット[3日目午前]


「……」
「……」
2人が去ったあと、残った淫徒プリらの間に沈黙が落ちる。
あの叫び声は一体誰のものか。
見に行った2人は大丈夫か。
思惑が交錯する。
♀ケミは思う。悲鳴の主が♀ハンターならいい。
そのまま死んでいてくれればもっといい。
♀マジは考える。たぶんこれで♀ケミの話の真偽がはっきりする。
悲鳴の主が生きていてくれれば。
そして♀アコは思いついたことをすぐ口に出した。
「あたし達はどーしよ?」
「どうするかって、あとは侍ってるしかないでしょ」
当然のように言って悪ケミが肩をすくめる。だが♀アコは首をかしげた。
「そうかな?絶対間に合わないって決まったわけじゃないし、2人を追っかけてもいーんじゃない?」
「あ、うーん」
「キミ、時々すごく鋭いこと言うよね」
それぞれに声を上げて淫徒プリと♀マジは考えこむ。
ときどきってなによ、と♀アコが抗議するがそれは華麗にスルー。
やがて♀マジが賛成した。
「…誰か怪我してればすぐ戻ってこれないかも知れないし、追いかけた方が早く合流できるね」
だが淫徒プリは同意しかねるといった表情で首をかしげる。
「ですが皆でついていっては偵察の意味がなくなります。敵が本当に危険だった場合、強くて速度も掛かっている2人だけのほうが逃げやすいでしょう」
「でもさ、ヤバい相手とはいつか戦わなくちゃいけないでしょ?今やっても同じじゃない?」
「同じではありません。多少なりとも精神力を回復して挑みたいところです」
職業的な考え方の差だろうか。
積極策を主張する♀マジや♀アコと慎重策を主張する淫徒プリの意見が対立する。
その様子を見て♀ケミはちょっとだけ悩んだ。
彼女達に死んでもらうなら喧嘩になるよう煽るところだが、人手がこれだけあれば悪ケミの言った脱出の可能性も現実味を帯びてくる。
その可能性を今ここで消してしまうのは損ではないか。
「あの…先に♂プリーストさんの遺品を確かめてみませんか?何か役に立つものがあるかもしれませんし」
そう言って少し離れた場所に作られた土饅頭をちらりと見る。
「…ああ、そうだね」
♀マジは一瞬何か言いたそうな顔をしたが、すぐにうなずいた。
代わって淫徒プリが答える。
「でも装備は一緒に埋めてしまいましたよ」
「いえ、装備のことではなくて」
♀ケミはかぶりをふる。
せっかくの支給品を埋めるなんてもったいないとは思うが、「使える」装備を埋めてしまうほど馬鹿ではあるまい。それほどたいした物ではなかったのだろう。
それに装備を誰が持つかと言う話になれば、戦力外の彼女に回ってくる可能性は低い。
「精神力や体力を回復できるものとか、足の速くなるものを持っていないかと」
「なるほど」
淫徒プリは♂プリのものだったらしい鞄を引き寄せた。そして他の面々に鞄の中を見せる。
覗き込んだ一同はそれぞれに声を上げた。
「うわ、なにそれ」
「…干し肉?そんなにいっぱい?」
「喉が乾きそうね」
「わふ」
最後のは肉を見せられて尻尾をバタつかせた子デザである。
「食料はちょうど無くなった所ですし、これはありがたくもらいましょうか」
そう言って淫徒プリは干し肉の束を10個に分け始めた。
もっともさすがにそれだけの人数で分けると二食そこそこにしかならない。
受け取った♀アコは小首をかしげ、
「じゃああたし達のも分ける?」
鞄からペットフードを取り出した。
一瞬期待する顔を見せた悪ケミがペットフードを見て顔をしかめる。
「肉があるのにどーしてばけもののえさなんか食べなきゃいけないのよ」
「それペットフードだよ」
「わ、わかってるわよそんなことっ。直約しただけじゃない」
「直訳…かなあ?」
干し肉の束から一本選んで口にくわえ、残りを空っぽの鞄へ収めながら♀マジは首をかしげる。
同じく鞄を開けた♀ケミは、そこである物に気付いた。
(そう言えばこんなものもあったわね)
♂ローグから奪った菓子包みの状態を確かめる。
二つのうち一方はいつの間にかつぶれて泥に汚れているが、もう一方は大丈夫そうだ。
干し肉やペットフードもあったところを見ると、これも誰かに支給された食料なのだろうか。
首をかしげていると、早くも肉を一枚食べ終わった♀アコが目ざとく見つけた。
「なーにそれ?」
「たぶんお菓子だと思います」
「へー」
♀アコは身を乗り出した。
そして物欲しそうに言う。
「干し肉ばっかりだとちょっと飽きちゃうなー」
「そうですね。でも1つしかありませんし…」
♀ケミはちょっとだけ考えるポーズを見せた。
そして失望を顔に浮かべた相手に秘密めかして小声で続ける。
「今のうちに女の子だけで分けちゃいましょうか」
「やった」
柔らかめのビスケットのようなそれを♀ケミはおおまかに六等分する。
そして5人に勧めた。
空腹のときの甘いものや小さな秘密の共有は、仲を深める簡単な手段の一つである。
どうも視線の厳しい少女達を懐柔し、障害を減らしてから男性陣を篭絡しよう。とっさにそういう計算をしていた。
「なにこれ?」
「デザートです」
不審そうな♀マジへいたずらっぽく笑って見せ、さっそく手に取った♀アコと共に一片を口に入れようとする。
「待ってください」
淫徒プリがそれを止めた。そして♀ケミにたずねる。
「これの効果は?食べてみましたか?」
「効果、ですか?」
淫徒プリの質問に♀ケミは首をかしげた。
食べてみたことなどないのに分かるはずがない。
ちょっと困った様子の彼女を観察しながら淫徒プリは説明した。
「お菓子の中には茶菓子のように集中力を高められるものや、チョコレート類のように精神力を回復できるものがありますよね」
「あ、そんなんだったらいいね」
つかまれていた手を振り払って♀アコは手元の一片を眺める。
淫徒プリは思慮深げにうなずきながら続けた。
「もしそういった効果があるなら食べずにとっておくべきではないでしょうか」
もちろん真意はやや異なる。♀ケミの差し出した食料を怪しみ、とりあえず食べずに済むよう理由をこじつけたのだ。
一方の♀ケミはどう答えるか少しだけ迷った。
だが嘘をついても食べればすぐに分かってしまうことだ。ここはある程度事実に沿って答えるしかない。
「私も食べてみたことはないんです。特別な物かも知れないなんて考えませんでした」
「ふーん。ってことは箱から?」
「はい」
♂ローグを殺して奪ったとは答えにくいのでそこだけ嘘をつく。
「効果について何か説明のようなものは?」
「ありませんでした」
「それじゃ食べてみないと分からないよ?」
「そうですね」
♀アコの言葉ににっこりと笑い、淫徒プリは♀ケミに対する攻撃のカードを切った。
「ですからまず、ひとかけらだけ食べてみて効果を確かめておくべきでしょう」
「誰が食べるの?」
よだれを垂らさんばかりの顔で♀アコがたずねる。
淫徒プリはしれっと答えた。
「ここは当然持ち主の♀ケミさんにお願いしましょう」
もし彼女が毒を仕込んでいればこれで困るはずだ。
淫徒プリは♀ケミの反応を慎重にうかがった。
だが、そこには毛ほどの動揺も見られない。
「ではお言葉に甘えて」
「あ、待ってください」
まだ疑いを解いていない淫徒プリはさらにもう一押し。
「私の分の方が小さい気がするのでこちらを。なるべく多く残したいですし」
「はあ」
♀ケミの分だけ毒が入ってない可能性もある。そう考えて交換を要求したのだが、彼女は多少困惑した様子を見せただけだった。
それもそのはず、♀ケミは毒が入っている可能性に思い至っていなかった。
これまで他人を陥れることはあっても自分が仕掛けられる側に回ることなどなかったせいだろう。
「それではお先に」
どうも警戒されてるらしいと感じながらも、今度ばかりは何もしていない♀ケミは返してもらった欠片をあっさり口にした。

151 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/14(金) 02:18:38 ID:g2NX44Vk
「…どう?」
まるで恐れる様子もなく菓子を食べた彼女に♀マジが恐る恐る声を掛ける。
「格別おいしいと言うほどではないですね。堅パンみたいで」
「味より効果が聞きたいのですけど」
淫徒プリも考えすぎだったのかと少しだけ安心し、意識を次の問題に切り替えた。
問われた♀ケミは微妙な表情をする。
「特に感覚が鋭くなったとか元気が出たと言う感じは…」
「精神力は?」
「特に使っていませんからわかりません」
「ああ、そうだよね」
♀マジは手元の菓子片を見下ろす。
「ボク達が食べてみるしかないか」
それでもまだ完全に信用し切れない彼女の横で、♀アコが口をもぐもぐさせながら嬉しそうに言った。
「結構おいしいよ?」
「ってキミどうして食べてるんだよっ」
「あたしも魔法使い切ったし。回復するならいーじゃない」
当然のように言われて♀マジは頭を抱える。だがこうなったら仕方ない。
「で、どう?ちょっとは回復した?」
ため息混じりに聞かれて♀アコは首を振る。
「よくわかんない」
「ああもう、まったく」
♀マジは腹立ち紛れに自分の分を口に入れた。
そしてゆっくり吟味しながら味わう。
確かに菓子と呼ぶには素っ気のないしろものだが、かすかに塩気と甘みがあって、おいしいと言った♀アコの気持ちも分かる。
しかしそれだけだ。
「うーん?わかんないね」
「回復剤でもないということでしょうか。何の意味があるのでしょう?」
♀ケミから改めて一片を受け取った淫徒プリが首をかしげる。
すると悪ケミが分析結果を告げた。いつの間にか細かく分解しながら食べていたらしい。
「小麦粉のほかにもいくつか、穀物とかハーブ使ってるわね。なんかどっかのけんこー食品みたい」
それを聞いて♀マジがうなずく。
「そっか、あくまでも食料なのかもね。これ1つ食べれば丸一日飲まず食わずで平気だとか」
「ありそうな話です」
淫徒プリもこれだけ他の面々が食べては自分だけ無視もできず、手元の欠片を口に運ぶ。
ずっと黙って話を聞いていた♀商人も皆の顔を見回してから菓子片を食べ――
「う、ううっ!?」
次の瞬間、腹を押さえてカートごとひっくり返った。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:不明

<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中 淫徒プリと再会
状 態:脇腹に貫通創(治療済)

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけた?
状 態:HPレッドゾーン・ヒールでやや回復 気絶中

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
思 考:脱出する。
備 考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
状 態:デビルチとの戦闘で多少の傷

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し

<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    淫徒プリ・悪ケミらと同行 ♂プリとの再会だが・・・

<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 食料六食
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・悪ケミらと同行 ♀ケミを警戒

152 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/17(月) 11:06:43 ID:cBld2QaE
275.魔なるものの邂逅[三日目午前]


「あーもーっばかばかばかばかばかうまのけつーっ!絶対絶対ぜえぇーったい許さないんだからっ!」
誰の声も届かない空の上でパピヨンは器用に地団太を踏んでいた。
圧倒的多数を相手にしてとはいえ、勝負を挑んで撃退されたことがよほど気に入らなかったらしい。
「今度会ったらぎったんぎったんのぐっちょんっぐっちょんのけちょんけちょんにして、もんのすごぉーっく恥ずかしいイタズラ書きしてやるーっ!お・ぼ・え・て・ろーっ!」
両手を突き上げ、ひとしきり吠えるだけ吠えた彼女はやがて急にがっくりうなだれた。
引き締まった腹を押さえて情けない声を出す。
「それにしても・・・おなか減ったなあ」
心なしか触角も力を失って垂れ下がっているようだった。
「どっかにご飯落ちてないかなー。今ならむさい男でも死体でも我慢するのになー。若くて元気な子の生き血がいーなー」
ふらふら飛びながら一貫性のないことをつぶやく。
その目がふと細められた。
「あれ?なんだろ、食べれるかな?」
ちょっと遠くの地面に動くものを見つけたパピヨンは小首をかしげる。
ただし迷っている時間は短かった。
「まいっかー。試してみれば分かるよね」


地上をトテトテ歩くそいつはときどき立ち止まり、周囲を見回していた。
だが頭上はまったく警戒してなかったらしい。
物音ひとつ立てずに滑空で忍び寄るパピヨンにはまるで気付かず、
「フぎょっ!?」
いきなり脳天めがけて落下すると奇妙な悲鳴を上げて動かなくなった。
「よ〜っし、かんぺき」
みごとなまでの座布団状態にした相手を確かめてパピヨンは自画自賛する。
息はあるしどうやら大した外傷もない。ダメージよりはショックのあまり気絶しただけのようだ。
これなら新鮮な生き血を心ゆくまで楽しめる。
「いっただっきま〜す」
彼女は実にうれしそうに手を合わせ、口をつけた。
かぷ
そのまま一秒、二秒・・・
「ぅホわじャー!?ナニするカ貴様ーっ!」
「うえーっ、ぺっぺっぺ!まっずーいっ!」
双方同時に悲鳴を上げて跳び離れた。
「ヒトの血を勝手ニ吸うテおいて何ヲ言うかっ」
目を覚ました黒くて小柄な生き物は地面を叩いて抗議する。
もっともな言い分だが、パピヨンはまるで取り合わずに憮然とした声を出した。
「人間の血じゃなかったー」
「当タり前だ。我はデびルチ、悪魔なのダからな」
デビルチと名乗ったその生き物は自慢げに胸を張る。
ところがパピヨンはきょとんとするばかりで驚くそぶりも見せない。
「悪魔ってなーに?」
「知らヌのか。悪魔トは魔界に住む最強ノ種族のコとダ」
デビルチはさらにそっくり返る。
だがパピヨンの答えはにべもなかった。
「うそだー」
「ナにガ嘘か」
真っ向から否定されてデビルチは不満そうにする。
パピヨンは当たり前のように答えた。
「黒塗り毒まんじゅーなんかより虫のほーが強いもん」
「誰がドク饅頭ダっ!無駄のナい完成さレたボディと言ワぬか!」
ひどい言われようにデビルチの頭の噛み傷から黒い血が噴き出す。
「えー。丸ければいいんだったらダンゴ虫が一番えらいことになるじゃなーい」
クスクス笑われてデビルチはついに身構えた。
「よカろう。ナらバ悪魔の強サを思い知るがイい」
「へー。やってみればー?」
パピヨンは鼻で笑ってふわりと浮かび上がる。

相手が手の届かないところへ逃げたのを見てデビルチは即座に詠唱を始めた。
雷球が徐々に形成されてゆく。だがそのペースは人間の魔術師に比べても早いとはいえない。
のんびり眺めていたパピヨンはその完成直前に赤い魔力球を生み出す。
「おっそ〜い」
殺到したSSは身動きの取れないデビルチに一発残らず命中し、
――消滅した。
「あれ?」
呆然とするパピヨン。
その隙にデビルチの雷が完成する。
「食らエ」
「ふーんだ。効かないもーん」
バヂバヂバヂッ
パピヨンは片手を突き出してJTを受け止めた。
その反動でさらに上空へ跳ね上げられ、そのままの位置で滞空する。
「・・・ぬウ。思っタよりやルではナいか」
「・・・ふっふ〜ん。おどろいた〜?」
お互いに余裕ぶって相手の様子をうかがうが、その声には隠し切れない動揺がにじんだ。

デビルチはど肝を抜かれていた。
普通、JTを素手で受け止めたりはしない。
たとえダメージは小さくても腕が痺れてしばらく使えなくなる恐れがあるからだ。
それを恐れないということは、当たったように見えたJTも実は効いていないのか。
まして相手は空中。
あっちの魔法も効かなかったとは言え、石でも投げられれば手も足も出ない。
パピヨンも少なからず困惑していた。
彼女は生まれ持った能力を本能的に駆使することで歴戦の冒険者とも対等以上に渡り合ってきた。
しかしその一方、知識と経験は決定的に不足していた。
そのためデビルチの体とJTが闇の属性を持つとは知らず、JTなら自分には効かないと本能的に考えてしまった。
それが小なりとはいえダメージを受け、しかも自分のSSは効いた様子がない。
こんな相手とどう戦えばいいのか。

やがてデビルチが槍を下ろした。
「・・・やメよウ。これ以上やりアってモお互い意味あるまイ」
「負けをみとめるのー?」
「引キ分けにせヌかと言ってオるノだ!」
「ふーん?まいっかー。やっつけても食べれないんじゃ疲れるだけ損だしー」
一瞬だけ考えたパピヨンは羽をたたんで降下する。
そしてそのままデビルチの目前にぺたんと座り込むなり駄々をこねた。
「おーなーかーすーいーたー。なんか食べ物もってなーいー?」
「さっキ集めた若芽ならバ少し残っテおるゾ」
デビルチが差し出した樹の新芽にパピヨンは首を振る。
「そんな力の入りそーにないものじゃなくてー。人の血とかー、家畜の血とかー」
「蝶のクせに蜜デはないのカ?」
遠い同族の好物を思い出してたずねるとパピヨンは目を輝かせた。
「持ってるの?今ならハチミツでもローヤルゼリーでも我慢するよ」
デビルチは首を振る。
「贅沢言うナ。持っとラん」
「なーんだ。期待しちゃったじゃないー」
「ふむ?」
つまらなそうに頬を膨らませるパピヨンを見上げ、デビルチは何やら首をひねった。
そしてちょいちょい、と手招きする。
「モノは相談ダが」
「なーにー?」
ぶーたれた顔のままやる気なさそーに答えるパピヨン。
それでもデビルチはくじけず提案した。
「我ト手を組マぬか」
一瞬の間があってパピヨンは座りなおし、デビルチの顔をまじまじと覗き込んだ。
「一緒にやろってこと?なんで?」
デビルチは考えておいた理由を口にする。
「我の知ル限り、この島にオる人間たチは集団で行動しテいる者ガ多い。一対一ならバともかク、多数を相手にスるのハ危険であロう」
その多数相手に散々な目にあったばかりのパピヨンは思わずうなずきかけ、すぐに強気をとりつくろった。
「んー。そんなこともないけどー」
デビルチは気付かないふりをして説得を続ける。
「少なクとモ我々の利害は対立セぬ。お主ハ好きなだケ血を飲メばよイ。我は魂ヲもらう」
するとなぜか急にパピヨンが顔をしかめた。
「なんかだまされてる気がするー」
「どこガだ?」
デビルチの目が泳ぐ。
1人では戦う自信がないのは主にデビルチの事情だ。相手の力を頼りにする度合いが違う。
だがパピヨンが疑いを挟んだのはそこではなかった。
「もしかして魂ってすっごくおいしいんじゃないのー」
「アほカっ」
デビルチは思わず全力でつっこんだ。
「食っタりはせヌ。我ら悪魔にトっテは人の魂を持つコとに価値があるノだ」
「どーゆーこと?」
どうやら本当に分からないらしい。
デビルチはちょっと考えて分かりやすそうな例えをひねりだした。
「人にトっての宝石のヨうなものかナ。よリ強く純粋な魂ホど価値がアる」
するとパピヨンはあっさり興味を失った。
「なーんだ。食べれないならいーやー。魂はあげるー」
「・・・そレは手を組ムといウ意味に取ってイいノか?」
確認するデビルチにパピヨンは無邪気な笑顔を向けた。
「うん。頑張っていーっぱいやっつけよー!」


<パピヨン>
現在地:E-7
備 考:ミストレスの魔力を一部受け継ぐ ノーマルより強い デビルチと同行
状 態:あちこちに軽症 撃退されてご立腹中?

<デビルチ>
位 置:E-7
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 パピヨンと同行

153 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/19(水) 22:24:58 ID:LhO1G/mg
暫く見ない間になんか投下がたくさん来てる
どの書き手もGJ

154 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/20(木) 09:03:35 ID:9B2KGO5g
276. 嘘 [3日目午前]


♀商人は激しくえずき、背を丸めて全身を震わせた。
「どうしたんですか!?」
「どいてっ」
驚く♀ケミを半ば突き飛ばすようにして淫徒プリが少女の傍らに膝をつき、丸まった体を無理矢理引き起こす。
「吐いて!早く!」
そう言って少女の顔をのけぞらせると有無を言わせず喉に指を突っ込んだ。
さらにみぞおちへ膝を当てて強く押す。
「ぇうっ、うぶぇえええぇぇぇっ」
少女の口から食べたものと胃液があふれ出した。
さらに彼女の口に水筒を押し付けて強引に水を流し込み、もう一度吐かせる。
毒物に対する素早い処置。
♀ケミへの疑いを完全には捨てていなかったからこその反応だろう。
次いで自分も吐こうとする様子を一瞬見せるが途中でやめる。
食べた順序と時間経過からして、同じ毒が入っていたならとっくに効果が出ていなければおかしい。
代わりに淫徒プリは周囲に問いかけた。
「緑ポーションかそれに類するもの、ありませんか!?」
即座に悪ケミが答える。
「したぼくがもってたはず」
「そうですか」
淫徒プリは激しく咳き込む♀商人を背負おうとした。
「追います」
毒薬を飲まされたのだとすれば助かる可能性は低いが、見捨てるわけにも行かない。
それを悪ケミが呼び止める。
「これに乗っけて」
悪ケミはひっくり返った♀商人のカートを起こし、しっかり握った。
「おんぶするより早いと思う」
「お願いします」
ひとつ頷き、淫徒プリは少女の体をカートに押し上げた。


「いったいどうして…」
今回に限り本当に心当たりがない♀ケミは狼狽する。
だが彼女に向けられる視線は厳しかった。
「まだしらを切るっ!?毒入れれたのはキミしか居ないだろっ」
♀マジはその手を♀ケミへ向けまっすぐ伸ばす。
疑っていたのに防ぎきれなかったという後悔が頭に血をのぼらせている。
「ま、待ってください。毒なんて」
「だまれ」
♀マジはファイアーボルトの詠唱をはじめた。
その表情に本気を感じて♀ケミは身を翻す。
ヒュドドドドドドンッ
木の後ろへ隠れるのに一拍遅れて炎の弾丸が着弾した。
細めの木では止めきれず、2発ほど肩先をかすめる。手加減はまったく感じられない。
「やめてくださいっ」
呼びかけながら鞄をさぐり、彼女はクロスボウを取り出した。
濡れ衣で命を落とすなんて馬鹿らしすぎる。
一戦して逃げるか。あの2人ならうまくすれば殺せるかも。
クロスボウを構えて様子をうかがうと、♀アコが♀マジの背をつついていた。
「あの人何かやったの?」
いささかのん気な質問が聞こえる。事態の急変についてこれてないらしい。
♀ケミは思わず少し期待した。なんとか♀マジを止めてくれないだろうか。
撃つのはやめて声を掛けようとする。
「私はなにも――」
「♀商人のお菓子に毒仕込んだんだよっ。あれ見て、ボク達に矢を撃ったのもきっとアイツ!」
説得しようとした言葉は♀マジの早口にさえぎられた。
しかも後半は事実なので思わず詰まる。
その間に♀アコは説明を要約した。
「つまり悪者ってことね」
「そう。わかった?」
「わかった」
♀アコはうなずき、そして♀ケミへ向けてびしりと指を突きつけた。
「正々堂々と勝負しなさいこの卑怯者っ」


「ちょっ…まっ…」
ガタガタとゆれるカートの上で♀商人は細い声を絞り出した。
「動かないでよっバランス悪いんだから」
カートを引く悪ケミが文句を言い、後ろで支える淫徒プリも彼女を寝かそうとする。
「じっとして、少しでも毒の回りを抑えてください」
「ちが…」
ひどい揺れで吐き気が止まらない。
胃にほとんど何も入ってない状態で無理矢理吐かされたために喉も痛い。
それでも♀商人は淫徒プリの手を押し切って体を起こした。
「うわ、ちょっとっ」
その動きで一気にバランスが崩れ、カートがかしぐ。
なんとか支えようとする2人の努力もむなしく、カートはそのまま横転して♀商人の体が投げ出された。
「♀商人さんっ」
淫徒プリは慌てて彼女の元に駆け寄る。
「大丈夫ですか」
「ごめんなさい…」
あちこちに擦り傷を作り、少女は泣いていた。
「謝んなくていいから。早く乗りなさいよ」
「揺れるかもしれませんけど我慢してくださいね」
悪ケミと淫徒プリはもう一度彼女をカートへ乗せようとする。
その優しい声に♀商人の嗚咽が深くなった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんさい…」
首を左右に振って謝罪を続ける。
「それはもういいですから」
「ちがうの」
なだめる淫徒プリの言葉にさらに強く首を振る。
悪ケミはだだっこを叱るように腰へ両手を当てて言った。
「今はいいとか悪いとか――」
「毒じゃないの」
「……え?」
小さな声だったので聞き間違いかと2人は顔を見合わせる。
だが♀商人は続けてはっきりした声で言った。
「みんなをびっくりさせようと思っておなかが痛いふりしただけなの。毒なんて入ってなかったのっ」
淫徒プリと悪ケミの顔から一瞬表情が消えた。
それが理解と同時に驚愕の表情に変わる。
「あんた、どうして」
「あの人♂セージさんに色目使ってたし、みんな怪しんでたから…」
「ドッキリはすぐネタばらさないとシャレにならないのよっ」
悪ケミが思わず声を高くすると♀商人はぽろぽろ涙を流した。
「言おうと、思ったけど、苦しくて…」
「…そうでしたね」
有無を言わせず処置した淫徒プリは唇をかんだ。
胃の内容物がない状態での嘔吐は胃が痙攣するため非常に苦しい。
しかも飲ませた水か逆流した胃液が気管に入ったらしく、ついさっきまで激しく咳き込んでいた。
しゃべれという方が無理だ。
そこまで考えて淫徒プリは首を振った。
「彼女を責めても仕方ありません。それより急いで戻らないと」
「そうね。罪をにくんでイタズラにくまずって言うし。…あんた、自分で歩けるわよね」
悪ケミの確認に♀商人はこっくりとうなずく。
それを見て淫徒プリは即座に歩き出した。
「急ぎましょう」
来た道を戻る足取りはすぐに小走りになる。
残された♀商人はしばらくぐすぐすと鼻を鳴らしていたが、やがて残されたカートを握った。
そして来た方角と向かっていた方角を見比べ…、トボトボと歩き出した。

155 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/20(木) 09:03:55 ID:9B2KGO5g
♀アコに非難された♀ケミは顔をしかめる。
(冗談じゃない)
卑怯者呼ばわりは別にかまわない。だが非力な彼女が真っ向勝負なんてありえないし、ましてや今度のことは完全な濡れ衣だ。
「2人がかりは卑怯じゃないんですか」
思わず言い返してしまった。
「どの口が言うっ」
案の定逆上した声と地を蹴る音が聞こえ、盾にした木がズドンと鳴る。
「きゃっ」
♀アコの掌打で揺さぶられた木に♀ケミは弾き飛ばされ、地面に転がった。
すかさず幹を回り込んできた少女へ倒れたままクロスボウを向けて牽制。
だが距離が近すぎて発射前に先端を蹴り払われた。矢は見当違いの方向へ飛ぶ。
「こないでっ」
♀ケミには実戦経験が圧倒的に足りない。
とっさにグラディウスを抜くことも思いつかず、次の矢を探しながらクロスボウを振り回した。もちろん♀アコはやすやすと避ける。
がつ、と肩口を蹴り飛ばされてまた地に這う。
そうやって♀アコが動きを封じている間に♀マジの詠唱が進んでいた。
小さな赤い魔法陣が彼女を捉える。
「やめて!助けて!」
パニックに襲われた♀ケミは演技ではない悲鳴を上げた。
その声は怒れる少女達には届かず、だが別の男に届く。
「ちょ、なに?うわっ」
「ながま……助ける」
突然背後から腰に組み付かれて♀マジは狼狽の声を上げた。
急いで振り払おうとするが、凄まじいまでの力で強引に引きずり倒される。
体格、腕力の差が大きすぎてまるで勝負にならない。
うつぶせに頭を押さえつけられ、背中に体重を掛けられた。息がまともにできない。
(――しまった、♂スパノビ!?)
必死にあがく彼女は相手の正体に気付いた。


「どうしたの!」
いきなり声を上げて詠唱を中断した♀マジに気を取られ、♀アコはつい振り返る。
その瞬間、♀ケミが必死の反撃に出た。
「痛っ」
何かを脚に突き刺されて♀アコは跳び退る。
そのときにはもう♀ケミは転げるように逃げ出していた。
「逃がさ…あれっ?」
すかさず追おうとした♀アコの視界がかすむ。
刺された傷はそれほど深くないのに。
不思議に思って見下ろすと腿に矢が刺さっていた。
矢尻へ結び付けられた変色した布に見覚えがある。
「って、これも毒!?もー絶対許さないんだからっ」
刺さった毒矢を急いで抜き、傷口を絞って♀ケミの背をにらんだ。
よほど慌てているのかあちらも足がもつれている。まだ追いつけない距離ではない。
だが♀マジもピンチらしい。
彼女はどっちを優先するか一瞬だけ考えた。


そして、騒ぎにもう1人の男が目を覚ました。
「う…」
もともとの強面にさらに傷が増え、凄みの増した男はうっすらと目を開く。
空が狭い。密度の濃い茂みの中に寝かされているらしい。
彼はゆっくり全身の調子を確かめ始めた。
(どう…やら生きてやがるか。案外死なねえもんだ)
自分が死んだことにされ、墓まで作られているとは夢にも思わない。
と言っても彼が死んだと思っているのは♀ケミだけである。
♀ケミの本心を確かめるためと、さらには身動きの取れない彼の安全のため、♂セージがそういう嘘を提案したのだ。
とはいえその結果、手厚い看護を受けたとは言いがたい状態になったのは間違いない。
傷口はふさいであるようだが、かなりあちこちが痛む。
しばらくは動くのもやっとだろう。
(それでも寝てるわけにゃいきそうにねえな)
にやりと笑い、♂プリーストは動き出した。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共にレッドゾーン

<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 毒疑惑により♀マジ達から逃走
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 仲間を襲う奴を止める
状 態:HPレッドゾーン脱出?

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミをやっつける ♀マジも助けたい
状 態:多少の傷 SPほぼ枯渇 寄生虫ロシアンルーレット状態 毒状態

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意 ♂スパノビに押さえられている
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し 寄生虫ロシアンルーレット状態

<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    悪ケミ・淫徒プリと同行 嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中

<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 食料二食
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・悪ケミと同行 ♀ケミを信じるべきか?
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態 SPほぼ枯渇


<残り15名>

156 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/20(木) 16:50:21 ID:j6.cI532
この現状で♀商人の行動は突拍子なさ杉なんじゃ

157 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/20(木) 20:17:11 ID:Iv6iWvyQ
そこの辻褄合わせもリレーなのでは?
何にせよ、ちょっと活気が出てきたみたいで嬉しい限り
書き手の皆様GJでござます

158 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/29(土) 00:54:34 ID:z7fJi5.U
277. 失われた剣(三日目午前)


(この通路、どこまで通じているのかしら)
慎重に奥へと進みつつ♀Wizは首をかしげる。
GMが現れたということは、やはり彼らの本拠地まで通じているのか。
確かに今朝の放送で本拠があると言っていたE-5までそれほど遠くはない。
だけど。
(そうするとこんな物があった理由がわからないんですよね)
右手の杖を一回転させる。
隠れ家の入り口に侵入者のための武器を置いておく馬鹿は居ない。
腐乱死体を放置したりもしない。
不衛生だし、誰だってそんな悪臭のする物を近くに置きたくはないだろう。
かといって参加者を近づけないための細工にしては死体が白い衣装を着ていたのがおか

しい。
GMの死体と見れば調べたくなるのが当然だ。実際彼女達がそうしたように。
つまり、ここは本拠ではない。
(じゃあ、誰がなんのために?)
元の島民が残したと考えるのはあまりにも馬鹿馬鹿しい。
冒険者には資材やモンスターを持ち込む手段がない。
やはりGMか、あるいはBR賭博のイカサマに加担する兵士の仕業か。
(そういえば)
そこで彼女はさっき倒した男を思い出した。
(GMもジョーカー1人ではないのですね)
ということはイカサマに関わってる者がGMの可能性もあるのか。
ありそうな話だ。装備を持ち込んだり邪魔な参加者を抹殺したりするのも兵士より容易

だろう。
そういったGMがこの地下道を作って何か画策し、利害の対立する誰かと争ったのではな

いか。
(さっき倒した男もたぶんそうなのでしょうね)
当たり前のようにそう考える。
その瞬間、何かが引っ掛かった。
何か大事なことを忘れている気がする。
なんだろう。
考えがすぐにまとまらない。冷静なつもりでもまだ動揺しているらしい。
(落ち着きなさい)
彼女は自分に言い聞かせた。
そしてどこに違和感を感じたのか思いだそうとする。
(…さっきのGMもイカサマに関ってると考えたところよね?)
別におかしくはない。合ってる保証もないが。
気のせいかしら。そう思いかけて♀Wizは首を振った。
いや。違う。
問題は内容じゃない。
理由だ。
なぜあの男がイカサマに関与していると感じたか。
(――――!)
思考のベクトルを変えたとたん、雪崩のように推測が進んだ。
彼女と♂シーフは自分達の陥った状況についてはっきり口にしていない。
にもかかわらずあのGMが現れた。
それもいやに素早く。
だからGMはこの場所に関係していると感じたのだ。
だが彼は明らかに♂シーフの異常や♀Wizの力が戻っていることを予想していなかった


つまりこの地下室とそこにある物について知らなかったことになる。
ならば、なぜ彼は来たのか。
♀Wizは地図を引っ張り出した。
相変わらず自分の位置表示は消えている。
これだ。
彼女達はGM側の地図からも消え、その異変を調べるためにあの男が来たのだろう。
当然ジョーカーや他のGMも知っているはず。
(いけない!)
♀Wizは♂シーフとの最後の会話を思い出しながら元来た方向へ走り出した。
派遣したGMが死んだと判断されるまでどれぐらい余裕があるだろう。
それまでにしなければならないことがある。
彼女は戦いのあった場所まで戻るとすぐにひざまずいて何かを始めた。

ほどなくして。
「そこまで。手を上げなさい」
♀Wizは背後からの声に動きを止めた。
両手をゆっくり肩まで上げ、そろそろと振り返る。
「…また新しいGMですか」
そこには白い衣装に身を包み、剣を握った銀縁眼鏡の男が立っていた。
しかも今回は左右背後に弓を構えた兵士を連れている。
兵士に守られて眼鏡の男は言った。
「そのまま。動けば撃ちます」
弓使いを含め複数。悔しいが勝ち目はないに等しい。
♀Wizはあふれ出しそうになる殺気を押さえ、つとめて静かに尋ねた。
「なぜGMがこれほど手出しするのですか?最初の説明と違うでしょう」
「反抗すれば処刑するとも言ったはずです」
眼鏡のGMは鼻で笑い、剣を突きつけた。
「GM森から奪った剣を置きなさい」
「…仕方ありません」
♀Wizは腰の後ろに差していた豪華な剣を鞘ごと抜き、しぶしぶ地面に置く。
GMはそれが間違いなく森の下げていたものであることを確認して一歩壁際に寄り、背後

へ向け顎をしゃくった。
「出口まで下がりなさい」
ジョーカーやさっきのGMに比べると無駄口がない。
質問を禁じたことと言い、これ以上情報を与えたくないということだろうか。
それなら。
「これで島に残るGMは2人だけになってしまいましたね」
すれ違いざま、♀Wizは皮肉っぽく言った。
「なに」
男が鋭く反応する。
「なぜ人数を知ってるんです」
ビンゴ。
彼女は挑発ぎみに笑ってみせた。
「あなたが他のGMではなく、戦力としては劣る兵士を連れてきたのでそう思っただけで

す」
要するにカマを掛けたのだ。
言外にそう告げられてGMはわずかに顔色を変えた。しかしすぐにそっけなく答える。
「関係ありません。ここでは兵士でも同じです」
その答えを聞いて今度は♀Wizが眉根を寄せた。
『ここでは兵士でも同じ』?
確かに弓を使えば兵士でも充分彼女を制圧できる。
だが『ここでは』という一言は、この場所では能力制限が解かれ、しかも彼がその事実

を知っているということを示してないか。
その可能性に思い至りながらも彼女は意味を取り違えてみせた。
「隠れる物もない直線通路だから、ですか」
口を滑らしたにしても不用意すぎる。カマを掛け返してきたのかも知れない。
下手に追求すれば能力制限とGMの力の秘密について知っていると白状することになる。
それは彼女ばかりではなく、♂セージ達へも危険を及ぼすだろう。
今はそんな危険を冒すわけに行かない。
彼女の『勘違い』を聞いて眼鏡の男は肩をすくめ、追い払うように剣を振った。
「外へ出なさい。ここは破壊します」
その宣告に♀Wizは今度こそ顔色を変える。
「♂シーフ君はきちんと埋めてあげたいのですけど」
だが男は彼女の顔を見て薄く笑っただけだった。
「却下。こちらで処理します」
「…ではせめて遺品を」
彼女はGMの顔をにらみつけ、うなるように言う。
GMは少し何かを考える様子を見せ、やがてゆっくりとうなずいた。
「まあいいでしょう。ですが動かないように。私が取ります」
男は剣を下ろし、兵士に♀Wizから目を離さないよう指示して♂シーフの遺体に歩み寄

った。
そして少年の遺体から短剣と鞄を奪う。
だが手首に巻きついた腕輪には触れようともしない。
♀Wizの眼が一瞬光った。やはり、この男は何か知っている。
だが鞄の中をあらためていたGMはその視線に気付いた様子もなく、短剣を鞄に入れ彼女

の足元へ投げよこした。
「それでいいですね」
「……どうも」
♀Wizは敵意と不満を表情に浮かべながらもおとなしく♂シーフの鞄を拾った。
残念ながらここまでらしい。
彼女は竪穴の壁に作りつけられた梯子を登って地上へ出る。
その後を追って地下から呪文の詠唱と崩壊音が連続して響きだした。
ヘブンズドライブで直接地下を破壊しているらしい。
(同じやり方で埋めてあげようかしら)
ちらりと物騒なことを考えて穴をのぞきこむ。
だが兵士たちの弓がしっかり彼女を狙っていた。
ということは魔法を使っているのはあのGMなのだろう。
今はまだ無理に戦うときではない。
その前に誰かに伝えておかなければいけないことがある。
♀Wizは小屋を出た。
♂シーフが森から奪った剣を持ち出すことはできなかったが、GMに関していくつかのこ

とは分かった。
それらはきっと戦うとき役に立つ。
(あ、でも1つ忘れてました)
ふと振り返る。
(今のGM、名前はなんて言うんでしょう)

「ハックション!」
舞い上がる砂埃を吸い込んで橘は派手にくしゃみした。
奥の実験室と腕輪は完膚なきまでに破壊し、地下道の入り口は崩した。
本物の橘の遺体は小屋ごと燃やしてしまおう。
それで制限解除効果も消えるはずだ。
彼が何をしたか立証できるだけの証拠はもはや存在しなくなる。
もちろん断片から推測することはできるだろう。だが物証がなくなり、彼がなぜそんな

ことをしたか分からなくなればそれでいい。
あとはジョーカーに粛清される前に適当なところで姿をくらますだけだ。
任務にかこつけて証拠を隠滅した橘はうっすらと笑った。
しかし証拠を消すことに気を取られるあまり橘はいくつかのことを見落としていた。
GM森はその最期において愛剣を奪われ、予備の剣で戦ったということ。
にもかかわらず黒焦げの遺体はその手に何も握らず、腰の質素な鞘に剣が収まっていた

こと。
そして剣のつかと刀身を固定する目釘が抜け、床に転がっていたこと。
それらは♀Wizの残したある細工を示していた。


<♀WIZ>
現在地:謎の地下室
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HPは半分くらい?
    希望が見えてきて気持ちが前向きになるも♂シーフと死別して不安定に

<GM橘>
現在地:謎の地下室
所持品:剣(バルムン?) GM森の剣
外 見:銀縁眼鏡、インテリ顔
備 考:殴りHiWiz ガンバンテイン ヘブンズドライブ

159 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/29(土) 00:56:06 ID:z7fJi5.U
しまった改行で切れたorz

160 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/14(日) 00:40:11 ID:SrbfZZpU
278.BlockBuster[3日目午前]


まばゆいばかりの緑あふれる森の中、毒々しい紫色の触手がうねっていた。
空中をのたうち、あるいは地中を貫いて突き上げ。
2人の騎士を取り囲もうとする。

「マグナムブレイクっ」

♂騎士は四方へ衝撃波を放ち、取り囲む触手の波を吹き払った。
その瞬間に生じた触手の隙間へ飛び込み、大剣を振るう。

切り飛ばせたのはわずかに2本。
傷ついた触手は断面から不気味な粘液を撒き散らしながら素早く引かれる。
だがそれ以外の触手が再び別方向から襲い掛かってきた。

きりがない。
馬防柵と弓兵・槍兵で固められた防御陣を突破しようとするのに似ている。
援護なしでの強攻は無謀と言っていい。一度引く方が賢明だ。

そんなことは分かっている。
だが飲み込まれたハンターに果たしてどれだけの余裕があるのか。
今さら下がる道はない。

「あぶないっ」

警告の声と共に♀騎士の剣が突き出され、彼の死角から迫る触手を切り裂いた。
さらに盾でもいくつかを受け止める。
しかし安心する間もなく2人の足元が不気味に震動した。
とっさに跳び分かれた彼らを真下から飛び出した触手がかすめ、態勢を崩した所へさらに何本かがまとめて襲い掛かった。

♂騎士は身をかがめて頭上にかわし、幅広の剣身を盾にして受ける。
しかしさばききれなかった触手に胴を強く薙ぎ払われた。
からみつかれこそしなかったものの、衝撃で数歩押し戻される。

「くそっ」

怪物の本体までわずか10歩ほど。
走れば数秒しか掛からないその距離が今は果てしなく遠い。

それでも彼は諦めずに押し戻された間合いを詰めた。
大剣を振り回し、取り残された♀騎士に絡みつく触手を叩き切る。
さらに残りを吹き払うため再びマグナムブレイク。

「きゃっ」

余波を浴びてよろめいた♀騎士が小さく声を上げる。
距離が近すぎたようだ。

「すまんっ」

味方を巻き込んだことに気を取られ、踏み込みが遅れる。
その間に吹き払った触手が戻ってきてしまった。
突き上げ振り下ろされるそれらに追われ、2人そろって数歩下がる。
仕掛けなおすタイミングを計りながら彼は♀騎士に改めてもう一度謝罪した。

「悪かった。大丈夫か?」
「…ええ、平気です」

返答までにわずかな間があった。
♂騎士はそれを苦痛の表れと取って表情を固くする。

「怪我させたか。すまん、無理するな。さがっててくれ」
「あ、いえ。そうではなくて」

♀騎士が盾を構えて彼に並ぶ。
そして追ってきた触手を切り払いつつ言った。

「今のでひとつ手を思いつきました」

♂騎士は驚きに眼を見開く。
そして早口に問い返した。

「ハンターの子を助ける手か」
「ええ」
「教えてくれ」

急かすと♀騎士はなぜか少しだけ迷う様子を見せた。
だがすぐに決心した様子で告げる。

「ボウリングバッシュの用意をしてください」
「なんだって?しかし…」

両手剣を得意とする彼は確かにその技を使える。
実際に使ってもみた。
だが軽い上に自在にうねる触手はその場で爆ぜるばかりで、吹き飛んで別の目標に衝突するという効果が発生しない。
それは♀騎士も見ていたはずなのだが。

「議論してる暇はありません。お願いします」
「お、おい!」

一声残し、これまでどちらかといえばサポートに徹していた♀騎士が一直線に突入する。
途端に殺到する触手。
慌てて♂騎士も追うが、タイミングがずれた上に彼女の踏み込みが深すぎてカバーしきれない。
♀騎士の体を触手が打ち据え、あっという間に四肢を絡め取った。

「くうっ」
「今助ける!」

追いついた♂騎士は♀騎士を捕らえた触手へ剣を振るうが、1本断つと2本が、2本を断つと3本が絡み付いてさらに絞り上げる。
それどころか♀騎士の解放に気を取られた彼の体にも触手が伸びた。
それでも触手を断とうとする彼に♀騎士が叫ぶ。

「私にBBを!」
「な…!?」

♀騎士は身動きの取れない体を必死によじり、絶句した彼へ盾を向ける。
それで♂騎士はやっと理解した。
たしかにボウリングバッシュを直撃させれば彼女を怪物のところまで飛ばせるかもしれない。

「しかし――」
「早く!」

決意に満ちた眼の色を見て♂騎士は反論の言葉を飲み込んだ。
彼女は議論している暇はないと言った。
その通りだ。
危険だとか、自分が受けるとか言いたいことは山ほどあるが、そんな暇はない。

なのに♀騎士へ剣を向けることを意識した瞬間から腕が震えだした。
また死なせてしまうかもしれない。
♀アーチャーの命を奪わなければならなかったのとはまた話が違う。
今度は殺してはいけないのだ。

(俺は……また……?)

♀プリと♂アルケミの顔が、消しきれない後悔の念と共に脳裏をよぎる。
だがその瞬間。
トン、と背中を押す力を感じた。

『なにグズグズしてるのよ。助けるんでしょ?さっさとやりなさい』
『大丈夫、俺たちがついてる。死なせやしないさ』

2人に笑われた気がした。

気のせいかもしれない。
触手が当たっただけなのかもしれない。
でも、それで充分だった。
腕に力が戻る。

「歯を食いしばれっ」

♀騎士と自分自身に言い聞かせるように叫んで、剣を思い切り振りかぶった。
体をひねり、それを妨げようとする触手の弾力さえも利用して、
横殴りの豪打を爆発させる。

「おおおおおおおおおおおおおおおっ!」

轟音。
♀騎士を縛る触手が束になって千切れ、すらりとした長身が弾丸となる。
瞬時に空間を横切った肉体は剣の威力そのままに怪物へ激突した。

ミギィイイィィィイィィッ

怪物は衝撃で口から粘液を吐き出し、耳障りな悲鳴を上げて身もだえた。
その動きに振り払われて♀騎士が転げ落ちる。
♂騎士はひやりとする。
手加減はうまく行った感触があった。
だが剣と怪物に連続して激突したのだ。ダメージは軽いはずがない。

「おい、大丈夫かっ」
「え……え。な…ん…とかっ」

それでも♀騎士は体を起こした。
右手の剣を重そうに持ち上げ、突き下ろす。
ず、と鈍い音を立てて怪物の体に切っ先が埋まった。
同時に気合い一声。

「マグナムブレイク!」

突き刺した剣を中心に衝撃波が生まれ、傷口を裂き広げる。
それは怪物の体腔奥まで届いて体液とは別のさらりとした液体を吹き出させた。
辺りに刺激臭が立ち込め、怪物が今度こそ絶叫する。

ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!
「くうっ」

ほとんど超音波のような悲鳴に身をすくませた♀騎士は滅茶苦茶に振り回される触手に跳ね飛ばされた。
同時に♂騎士に巻きついていた触手も暴れだし、投げ出されるように解放される。
彼は急いで♀騎士に駆け寄った。

「よくやった。あとは休んでてくれ」

しかし♀騎士は剣を杖に立ち上がろうともがいた。

「…まだ、やれます」
「無理するな。ここからは俺1人でなんとかなる」

彼は♀騎士を制した。
どう見ても連続でダメージを受けすぎている。これ以上は危ない。
それに消化液が抜けて空気が入った分、飲み込まれたハンターの命にも余裕ができたはずだ。

ただ、1人で何とかなると言ったのは気休めに過ぎない。
怪物は防衛本能なのか、付近のもの全てを跳ね飛ばそうとする勢いで触手を振り回していた。
今までより危険は少ないが、近付くのはさらに難しくなった。
さっきみたいにスキルで強引に接近したとしても攻撃する前に弾き返されるだろう。

何か投げられるものでもないか。
♂騎士は周囲を見回した。

161 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/14(日) 00:40:53 ID:SrbfZZpU
<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐 、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷 BBその他でグロッキー気味

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 戦闘場所より少し近くで気絶中
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚喪失? 体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

<♀ハンター>
現在地:E-6(寄生虫体内)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:被捕食中 消化の危険は減少 ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中

<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:E-6
外 見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備 考:♂ローグから孵り、捕食 両生類?
状 態:♀ハンター捕食中 捕食嚢に達する重傷 狂乱中

162 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/14(日) 02:01:37 ID:89F1YIQ.
なんか久しぶりに見たら地味に話が進んでるなー
書いてる人乙ー

163 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/14(日) 09:19:26 ID:WQlQ9dr6
続きを期待してますー。

164 名前:ドドリア 投稿日:2007/10/15(月) 13:04:42 ID:lY088Ccs
俺様TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEええ
(と意味不明に叫ぶドドリア)

165 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/18(木) 11:09:39 ID:7lNWf/n6
無名RO小説家とは感激した。(リレーで進んでるのかな・・)
攻城戦だの晒しだのしか見てなかった俺ってバカだな・・。
次回期待してますぜ!!

166 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/23(火) 00:06:08 ID:E4i5E6PE
書き上げたはいいけど、ちとグロくなった。。。
グロ禁止だっけ?
ひとまず投下して様子見ー

167 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/23(火) 00:06:37 ID:E4i5E6PE
279.救うべきもの[3日目午前]


彼女は暗闇の中でもがいていた。

苦しい。
痛い。
怖い。

怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわい怖いこわいこわいこわいこわいコワいコワイコワイコワイコワイコワコワコワコワ

ずどん

突然の衝撃。
そして光が差した。

眼が痛む。
闇に慣れた彼女にとって光は新たな刺激に過ぎなかった。

無意識に逃げようとする。
だが周囲の壁に束縛されて動けない。
ごぼり、と気泡が上がった。

もがく。
壁にこすれた皮膚から激痛。
痛みにまたもがく。
激痛。

繰り返しの中、不意に腕が自由になった。
周囲に空間ができている。
外界の乾いた空気が肌をなでた。

次に感じたのは全身の痒み。
それが次第にチクチクとした痛みへ変わる。

耐え切れなくて体をかきむしる。
何かがべろりと剥がれた。

電流のような痛みが脳を貫く。
獣のような声をあげて彼女は周囲の壁に爪を立てた。

柔らかい肉壁を爪が引き裂く。
するとそれは逃げるように蠕動した。

逃げてゆく。
彼女が逃げるのではなく。

彼女は悲鳴じみた狂笑をあげた。

*****

『――!』

♂騎士は動きを止めた。
妙な声が聞こえた気がする。

「誰だ?」
「♂モンクさん…ではないようですね」

同じくおかしな声を聞いたらしい♀騎士は♂モンクを振り返っていた。
だがやはり目覚めた様子はない。

「じゃああの怪物か?」
「もしかすると――」

中の♀ハンターさんかも。
♀騎士はその言葉を発することができなかった。

突如として紫色の怪物がいびつに膨れ上がる。
サボテンでも飲み込んだかのように四方八方へ鋭く突起を作り、すぐにそこから体が裂けた。
裂け目から何本もの矢が落ちる。

声もなくのたうつ怪物。
そして裂け目を押し広げてヒトが這い出した。

「お、おい…?」

♂騎士の声が尻すぼみに小さくなる。
出てきたのは飲みこまれた♀ハンターのはずだ。
そう頭では分かってはいても実感がついてこない。

凄惨としか言いようのない姿だった。
露出した皮膚は焼け爛れたよう変色し、ところどころ剥がれて垂れ下がっている。
髪の毛も半分近くが抜け、まぶたや唇といった柔らかい部分は赤黒く腫れ上がって血をにじませていた。

果たして生還したといえるのか。
むしろニブルヘイムで見た死者の姿に近い。
正体不明の液体にベットリと濡れ、残った髪や衣服の残骸がまとわりついて不気味さを増していたが――細部が見えないのはかえって救いだったかもしれない。

イヒィ、イヒヒヒイイィィィ

ゆらり、と立ち上がったその人物は引きつるような声を出して体を揺らす。
そして断末魔の動きを示す怪物へ

ズババンッ

視線も向けずに矢のニ連射を撃ちこみ、ついでとばかりに蹴飛ばした。
地面に縫いとめられた怪物はそれで完全に沈黙する。

ウヒィ

『彼女』は天を仰いで満足そうに声を漏らした。
姿だけではなく行動も明らかに異常だ。
だがその手の弓を見るかぎり♀ハンターに間違いないらしい。

「よ、よかったな。あんまり無事じゃなさそうだけど一応助かっ――」

♂騎士は声を掛けながら歩み寄ろうとする。
その途端、腫れたまぶたに半分隠れた眼が、ギロリ、と動いて彼を睨んだ。
そこに宿る異様な光。

イィイイッ
「っておいっ!?」

♀ハンターは彼らに弓を向けて矢をつがえた。
その動きに何のよどみも躊躇もない。

♂騎士はとっさに剣を盾にしながら身を投げ出し、直撃を避ける。
首筋をかすめてヒヤリとしたが傷は浅い。

同時に反応した♀騎士も身を翻して木立へ隠れようとした。
だが、その動作が一瞬止まる。

ドッ
鈍い音を立てて彼女の背に矢が刺さった。

「♀騎士!」

♂騎士は思わず叫ぶ。
彼には♀騎士がなぜ動きを止めたのか見えていた。

彼女は身を翻した瞬間に気付いてしまったのだ。
自分が♀ハンターと♂モンクを結ぶ直線上に位置してることに。

「くそっ」

♂騎士は2人の盾となるべく飛び出した。
しかしそれより早く次の矢が飛ぶ。

矢は♀騎士の右肩に刺さった。
正面から。

彼女はその場を逃げることではなく、攻撃を全て受け止めることを選択していた。
片膝をつき、ツルギを地面に突き立てて体を支える。
そしてシールドを体の前に。

イヒィ
「くぉっ」

次の矢は体ごと割り込んだ♂騎士の大剣が弾いた。
しかしそれを見た♀ハンターは数本の矢を一度に放つ。
着弾の衝撃で♂騎士の体が横へ弾きとばされた。

アローシャワーの威力は♀騎士にも及んだ。
だが地面に剣を突き立てて体を固定した彼女は動かない。
そんな彼女に♀ハンターは連射を浴びせかけた。

半数以上は盾に突き刺さって止まる。
だが隙間から♀騎士の脇腹や腕、脚へ命中する矢もあった。
それでも彼女は姿勢を崩さない。

「やめろっ!」

♂騎士はもはや我慢できずに♀ハンターへ突進した。
彼らは命がけで彼女を助けようとしたのだ。
その当人に殺されようとするなんてこんな理不尽はない。

だが♀ハンターは余裕を持って次の矢から矢じりを外し、彼の胸元を狙い撃った。
♂騎士はそれを大剣で受け止めるが、威力に数歩分押し戻される。

「くそっ、くそぉっ」

彼は我知らず涙を流していた。
人を助けようとした結果がこれか。
自分には誰も救うことができないのか。

♀ハンターの弓が再び引き絞られた。
一発か、運がよければニ発ぐらいは避けられるかもしれない。
だがそれ以上は無理だ。
たぶん♀ハンターへたどり着くまでに致命傷を受けるだろう。

覚悟と言うより諦念に近いような気持ちに襲われつつも彼は走った。
と、♀ハンターの眼が一瞬横を向く。
次の瞬間、矢は彼の足に向けて放たれた。

「うわっ」

痛みは感じないものの、いきなり足に打撃を受けて彼は転倒する。
慌てて跳ね起きたときには射手の姿は消えていた。

「いったい…」

理由が分からず周囲を見回す彼の耳にガサガサと茂みをかき分ける音が聞こえた。


<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐 、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発・BB・矢多数被弾 背に切り傷

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷 戦闘場所より少し近くで気絶中
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚喪失?、体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば、人間を殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

<♀ハンター>
現在地:E-6(寄生虫体内)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:発狂?全てを敵視

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中

<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:E-6
外 見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備 考:♂ローグから孵り、捕食 両生類?
状 態:死亡

168 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/23(火) 00:25:54 ID:hIcNKvoA
お、新作投下乙でありますー。
しこしこチェキしてますぜ。

これくらいならいいんでないですかねー?
バトロワ物ってのは前提にあるんだし、許容範囲だと思うです。
で、ハンター崩壊キタワァ
ここにきてマーダー追加かっ。

169 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/23(火) 19:18:36 ID:YP2N3KGI
個人的には許容範囲だが・・・。
グロテスクというよりも、何か♀ハンタを同情せざるを得ないorz
というかなんていったらいいか日本語がでてこないよlllorz

170 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/23(火) 21:44:16 ID:jHnVh64c
ずっとROMだったけどあまりの凄惨さに衝撃を受けたので書込み。
前々から割りとライトな雰囲気なゲームと対比して
あまりにも残酷な世界観とストーリーと企画が興味を引いたので見ているのだけれど、
流石に今回は度肝を抜かれますた。@@;

一度は重圧に押しつぶされた騎士が再び立ち上がって
皆を救おうとしたのだけれども、救った者はあまりの過酷な状況で発狂し、
悲劇への序曲へと誘っていくのだろうかっていうところですね。
状況の描写が圧倒的に上手で、次の話に繋げるトスもしており
作者の描写力に驚嘆しますた。

何か私では文章にうまくまとめることはできないのですが、
私個人の願いとしては、マーダー及び参加者いやこの世界に登場する登場人物全体が
かなり悲惨な目にあっているのが可哀想すぎるという気持ちから、
いつかどこかで幸せになってもらいたいという気持ちがあります。
しかしどうなるかはこの作品の描く人たち次第なので、
私はまたROMに戻り、この物語を見届けたいと思います。

171 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/24(水) 04:52:10 ID:WHTTQLIM
しかしよく考えるんだ、たとえグローに爛れてる姿とはいえ

♀ハンタさんは今 いっしまとわぬすがた というやつなんじゃないかっ

と空気読まない発言

172 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/24(水) 09:50:00 ID:jcY9bM9M
>>171
その発想はなかったわwww
まぁでも、いまのハンタ子は原爆直後の格好みたいな感じだと想像してみると、
口が開いたままで閉まらなくなる・・。
ペノの中ないし触手に絡まれてるとしたら、きっと髪の毛もあまり残ってないだろうに・・。

しかし、そのあたりの表現の仕方は、うp主に脱帽せざるをえない。
触手=エロと結び付けていた俺にとっては、あまりにショッキングな内容だったのは言うまでもなく。

173 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/27(土) 17:14:00 ID:0zm.f0XU
グロ云々の前にキャラ設定無視がなんとも
過疎中なら何書いてもGJ言われるのか・・・

174 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/27(土) 23:03:38 ID:dnmsNP92
> キャラ設定無視
気付かんかった。具体的にどこ?

175 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/28(日) 05:48:13 ID:s.xZcTu.
♀ハンターの暴走っぷりなら精神不安定気味でああなってもおかしくはないと思ったが。

176 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/29(月) 01:15:13 ID:dtu1/.QM
♀ハンタは最初からずっと一貫して人見知り、甘えん坊、人を憎まない殺せない性格だっただろう?

そんな人間がいくら恐慌状態に陥ったからって、無差別に攻撃するのは突拍子もないと思うぜ。
♀ハンタの性格なら、狂うより先に自殺するのが自然じゃないか?

177 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/29(月) 02:10:21 ID:auzTKSjg
あの状況でなら「狂う」は不自然じゃない気がするけどなぁ。
キャラ設定からして矛盾は感じなかったけど・・・。

178 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/29(月) 03:54:19 ID:VEl9AR6U
>>176
解釈の違いかねぇ、人見知りってことは
つまり他人と深くかかわれないから殺せるって思う奴も居そうだ。
特に慕ってたスパノビ死んだしな。

179 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/29(月) 04:31:57 ID:NmdYOrxw
>>176
恐慌ではなくて発狂だと思うのだが・・・?
発狂する前は寄生虫(?)の中で身動き取れなかったんだから自殺はできないだろし。
ついでに言えばおとなしい人間がストレスのあまりいきなり暴れ出すなんて現実にもよくある話。
そんなに不思議かな?

180 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/29(月) 12:29:08 ID:YC8gWxZg
狂う展開はありにしても、それ=殺人鬼ってのは安易過ぎないか
理性もなく力も制限されてるのに技連発してたりとか、>>176の理由もあって不自然さが拭えない

181 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/29(月) 21:51:56 ID:P4ydM6js
キャラ設定を言うなら♀ハンターは登場当初からかなりの人間不信ですよ
つまりは他人の存在を拒否する性格です
そのアプローチが逃避から攻撃に変わっただけかと

182 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/30(火) 12:39:09 ID:wagbEcu.
 結局のところNGにするかOKかどっちにするべきだと思う?

 でも狂ったという表現であっても最後に♂騎士を牽制して場を離れるだけの
理性は残ってるわけでしょ、この場合(いや、トスなのはよくわかるけどさ)
 殺人に向けての衝動ならある意味回り見えてない状態になってるんだと思うし、
周りの危険(?(最後のトス))を察知できるぐらいの狂い加減なら、騎士たちを攻撃するのは
なんかちょっと狂いの度合いが高すぎる気もするし、
離れようと行動するのはなんかな、とも思うんだが……。

 でもその辺含めて狂ってる、なら話は矛盾しない。
 個人的にはOKサイン、NG出すほどの矛盾はないと思います。>>167

183 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/30(火) 13:48:59 ID:8gxK2yP2
矢や弓、弦も、肉までどろどろになるくらいの寄生虫の酸の中にあったわけだし、機能するとは思えない。

一番大事なことだが、理性が無いってことは禁止区域に気付けないってことだ。

地図の位置や書き手によっては、首輪による爆死で終わる可能性を否定できない。ちょっとマーダーとしてこれは不味いだろ?

184 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/30(火) 13:53:42 ID:haWiy9yM
繋ぎ的観点だけで考えると、シーフ退場にふぁる無効化まで重なるとBADEND以外なくなる気が
ハンターいなくなると誰も喋れないよね

185 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/30(火) 18:14:35 ID:WmoCqsWI
>>183
事故死する危険が結構ある、ってのは間違いないねえ
でも、だから?って気もする
167は既存のマーダーを発狂させたわけじゃなくて1人増やした話なんだから、マーダーの増減を問題にするならむしろ歓迎するべきでは

武器の状態に関しては繊維質は消化しにくくてほとんどそのまま排出される、ってのが答えになるかと

>>184
そういえばふぁるは箱から出たわけじゃないから「どんな武装も使うだけならできる」ルールは適用されないのか
まあふぁる(と♀ハンタ)がいないから即アウト、ってこともないんじゃ?
ってーかふぁるの立場で考えると別の可能性もあるよね

>>182
これはそもそもNG論議なのかな?
結局好き嫌いを言ってるだけにも見える

186 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/30(火) 22:53:54 ID:sWE0Kxws
確かに、NGにする理由が無いのでは、と。
よく出る話の繰り返しになりますが、これはリレー小説なんだから。
ルールを無視しているわけではないのだし、次の書き手さんが全然フォローできる範囲だと思いますが。
確かに、自分も弓矢が溶けてなかったのはちょっとアレ?って思ったんですけどね。

187 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/31(水) 01:18:26 ID:oB0NW9Og
実は矢ではなくて、ファンタズミックアローを使用したなんてだめだよな・・。
集中力要りそうだもんな・・・。設定上、♀ハンタが使えるかどうか怪しい線だと推測するが・・。
このあたりがリレー小説の難しいところなのだろうか・・。
次の書き手さんか、今回書いた書き手さんのリベンジ期待age

188 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/10/31(水) 02:40:57 ID:I2mB6LxI
リレーとはいえ引き継ぐ人が困りそうな点は改善するべきだと思うが
書いた人も様子見といってるんだし、苦情出たら即NGってものでもない

189 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/02(金) 09:32:05 ID:6akpG3c2
>>182
理性が残ってるというより本能だけで攻撃してるからこそ危険察知して退避とかしてるんじゃないかい?
生きたまま溶かされて苦痛がありすぎて、気絶しようにもできずに発狂してるなら理性残ってるとも考えにくいし

190 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/07(水) 11:40:10 ID:Krzo08eI
また停滞しちゃったね…
今回はストーリーにケチつける人が多くて嫌だな
ストーリーが気に食わない人がいるなら、その人が書けばいいのに
ハッピーエンドにしなきゃだめなんてことはないんだし、キーになる人物だからこうしないほうが…なんておかしいよ
助けたいなら自分で書いて助ければいいじゃん
自然な流れで自分のペースに持ち込むのもリレーの醍醐味でしょ

191 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/07(水) 17:32:33 ID:jaccy6eA
>>190
なるほど。
自然な流れで自分のペースにっていうのは、俺も同感ですわ。
今回は話しが話しなだけに荒れてるからなぁ・・。
文才がなくてどうしようもない俺にはどうすることもできないのが悔しいわ。
しかも書き出しても、必ず途中で行き詰るという欠点付きだしなlllorz

途中から読み出した俺には、リレー小説に乱入するなんて恐れ多いというのが本心です。
唯一できることといえば・・・次の方が書いてくれる話を期待しながら待つことか・・。

192 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/08(木) 16:09:33 ID:YOwyQZzE
>>180
技連発ってDS1回とAS1回だけに見えるんだが違うん?

193 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/08(木) 16:48:36 ID:2fhWCENo
CAらしきものも使ってるがそれでも三つですな

194 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/08(木) 17:01:25 ID:YOwyQZzE
>だが♀ハンターは余裕を持って次の矢から矢じりを外し、彼の胸元を狙い撃った。
>♂騎士はそれを大剣で受け止めるが、威力に数歩分押し戻される。
ここかな?
気付かなんだ、教えてくれてありがと

195 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/08(木) 20:53:33 ID:WTf6TMVM
どうせ駄作だし好きなように書けば
このままじゃ終わらんし

196 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/13(火) 13:46:38 ID:Ckjeb9PQ
マーダーがいなくて進め辛いから狂化はありだと思う。
だけど、今までふぁる〜とか言ってたハンターがイヒイヒ言ってるのに違和感…
好き嫌いの話になっちゃうけど、もう少し言葉なんとかならないかなーと思った。

ぷち電波受信…したけどスパノビの致命傷見ちゃってるんだよなぁ
知らなかったらペノ内部で意識朦朧としてる♀ハンターにジョーカーがあることないこと
吹き込んで、♂♀騎士'sにけしかけることもできたんだけど。
ジョーカーもマーダー少なくてつまらないと思ってテコ入れはしそう。
ふぁるから情報引き出させないようにハンターの精神破壊ってところかな。
♀ハンターの過去だと痛みではそんなに即狂ったりしなさげ。
一時期感じて失った心の温かみのあたりをじくじく攻めると落ちそうだ。

妄想吐き出すだけで文にできないのが恨めしい。
楽しみに読ませてもらってます。
書き手の人にありがとう&これからも頑張って〜

197 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/11/23(金) 01:18:17 ID:okCBtgSs
下がってたのでage

198 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/12/12(水) 11:55:27 ID:DJrMNIH2
がっつり止まってるので279話までwiki更新
277話が改行で切れたとの事なので、気が付いた所だけ繋げ直しました。書き手様確認お願いします。

199 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/12/16(日) 07:12:52 ID:vNcnAPTs
GJです。

200 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/12/18(火) 02:30:09 ID:4DYN3pys
番外編? NG? 抗う者共

「やれやれ。貴方のお陰で今度のゲームは大波乱でしたよ。私共にとって、ですが」
白装束にピエロ帽の道化。
顔にはスペードやハートが塗られてあった。
「そりゃ良かったじゃねえか。こんな幸せゲームなんざ終わっちまうにこしたこたぁねぇ」
対する赤い髪の男は、チェイサー。
顔には目立つ傷があった。
「ですが、貴方は最早一人。他の皆さんは――おっと、私共の手駒は別ですが――他の管理者と相打ちにほぼ討ち取られてしまった。王手詰み――実に惜しかったですが、残念ながら貴方もここまでです」
瞬間、道化は短剣を投げる。
男は、それを走りながら叩き落とし、剣を振り下ろす。
だが、それは道化に止められる。
男が瞬間に繰り出したのは、足払い。
突然の足下への攻撃だが、道化はそれを後ろに飛んでかわす。
そして、着地と同時に、男を薙ぎに行く。
男は、それを受け止め、体当たりを食らわせた。
思わず体勢を崩し、道化はよろける。
そこに、斬撃が襲う。
道化はそれを紙一重でかわしつつ、お返しとばかりに腕を突きにいった。
思わず、男は腕を引き、後ろに飛んで間合いを取った。
沈黙。
ふと、男が笑いながら。
「本当にそう思うか?」
と聞いてきた。
同時に一気に踏み込んで突きに行く。
道化はそれを先読みして避けた。
すれ違い様に剣を叩き込もうとして――男は突然方向転換をし、道化に体当たりして行く。
予想外の攻撃に、思わず横に飛んで間合いを取る。
「勿論。チンピラ如きに負ける道理はありませんよ」
男の問いに、道化はそう返した。
同時に、一気に間合いを詰め、薙いだ。
男はそれを止め――突然、顔面目掛けて飛んできた短剣を避ける。
その僅かな隙に道化を追撃を試みるが、その瞬間に剣を弾かれて追撃の機会を失った。
男は、そのまま後ろに飛んで間合いをとる。
再び沈黙。
そして、男はまた笑い、言った。
「じゃあお前はここで死ぬな」
それに対し、道化は軽く首を傾げて聞き返した。
「どうしてです?」
男はにやりと笑いながら。
「お前が目の前の相手を見間違えてるからさ」
男の雰囲気が変わった。
殺気を撒き散らしながら。
「俺はチンピラなんぞじゃねえ」
ゆっくりと剣を構え直し。
「――『騎士』だ」
レイピアの様に鋭い眼光で、道化を射抜いた。

――男は一歩及ばず、腕に重傷を負ってしまう。
――だが、男はそれで終わらない。

男の決死の反撃は、道化の左目を切り裂いた。
突然視界が狭くなり、道化は思わず男との間合いを取る。
男はにやりと口の端をつり上げ。
「俺がここでくたばったとしても手前等は、いずれ死ぬさ」
男の息は荒かった。
「手前等に向けられてる剣は、俺達だけじゃねえ」
顔も蒼白だ。
切り裂かれた腕からは、大量の血が流れている。
「生まれる前からの付き合いだしな」


――結局、男は道化に敗れた。
――だが、道化は男が最後に放った言葉の意味を知らない。
――曰く、「ある男は強くなる為に魂を差し出したという。俺にはその覚悟がなかった。その差がこれさ」


「……行くのか?」
薄暗い部屋の中、騎士らしい男が赤毛の男に言った。
「まあな」
返答はそれのみ。
そして、グラスに入っている酒を口に含めた。
「心配してんのか? 珍しいこともあるんだな」
赤毛は、にやつきながら、肩を竦めてそう言った。
「お前の事じゃない。組織のことだ」
それに対し、騎士が真面目な表情で返した。
「お前、今の今の自分の立場を分かって言ってるんだろうな?」
鋭い眼光を、赤毛にぶつける。
「国最大の反政府組織『剣』のリーダー、だろ?」
赤毛は表情を崩さず、言った。
「分かってるなら尚更だ」
騎士は、表情を緩めない。
止めろと言わんばかりに、更に続ける。
「死んだらどうする? 後継者は? 最強の『剣』はお前だろう?」
赤毛は、それにまともに応えようとしない。
「なあに」
酒を一気に飲み干し、笑いながら、
「最強の『剣』は実質、お前だろ? 問題ねえよ」
騎士に納得いかない、という表情で更に問い詰めようとして――遮られる。
「例え、俺が死んだとしても、お前がいりゃ組織はまとまるさ。俺より長生きしてんだろ?」
経験豊富な奴の方がまとめた方が良い結果に繋がる、と言わんばかりにそう続けた。
「呆れたな」
騎士は、溜息をつき、酒を口に含める。
そして、赤毛に言った。
「いつもの場所で待ってるぞ。必ず、帰ってこい」
赤毛は立ち上がり――手を振りながらドアに向かう。
「生まれる前からの付き合いだろ? まあ期待しとけよ」
ドアを開け、部屋から出た。
残されたのは、騎士の男一人。
「……普通の人間の問題は、普通の人間が解決すべきなんだが……」
誰に言うまでもなく、呟いた。
「まあ、いい。トリスタンも、こんな政治は望んではいないだろう」
何かを決意したような表情を浮かべ、立ち上がる。
「トリスタンがまとめ上げた国を、見捨てるわけにはいかないからな」
騎士は酒を飲み干し、ドアに向かう。
「戦乙女ヴァルキリーよ、加護を与えたまえ」
そのまま、部屋を出た。

――だが、赤毛の男が戻ってくることは無かった。
――そして、騎士の男はある決意をすることになる。

201 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/12/19(水) 00:31:23 ID:n8J2DCQU
直近の感想は書けないんだが、今、最初から読んでる
割とみんなで脱出しよう!って雰囲気なのがどう進むか楽しみな所

ふぁる〜な♀ハンタ、カワユス

202 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/12/19(水) 00:32:21 ID:n8J2DCQU
ageようとしてdameしてしまった…

203 名前:sage 投稿日:2007/12/26(水) 17:06:30 ID:mdmNj.Sw
>>200
前作♂ローグとDOPの転生体かな?
DOPさん何企んでるんだろう。

第2回も長くなってきて話の流れとか把握するの大変になってきたなぁ
書き手さん少ないのそのせいなのかな?
キャラごとの移動経路とかまとめたもの作りたいけど、思うだけで行動に移せていない…

204 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/12/26(水) 17:07:23 ID:mdmNj.Sw
きゃーごめん名前に入れちゃった。
IEから書き込むものじゃないわ

205 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/01/13(日) 10:43:58 ID:iHiochvI
280. 迷走 [3日目午前]


「ふはは、俺様復・活!」
眼を覚ました♂プリはとりあえず大見得を切りながら登場してみた。
自他共に認める悪人顔の彼を治療してくれたのだ。そこで戦ってるのはきっと知り合いに違いない。
仲間の危機に颯爽と登場。俺様かっちょいー。
などと妄想していたのだが。
そこにいたのは♀マジに♀アコ、♂スパノビと逃げてゆく♀アルケミ。
全部知らない顔だった。
「・・・えーと。お前ら、誰?」
さすがにちょっと恥ずかしくなって頬をかきながらたずねたりしてみる。
もっとも答えが返ってくるとはあんまり期待してなかった。
「それどころじゃないっ!手伝えーっ!」
「むぐ〜〜〜〜〜〜っ!!」
♀アルケミを諦めた♀アコが♂スパノビの腕を引っぱりながら怒鳴り、顔を上げられない♀マジは地面をバンバン叩いて抗議する。
「ま、そうだよな」
なんとなく納得しながら彼は三人に歩み寄った。
♀アコの反対側から♂スパノビの肩を押し、♀マジの上からどけようとする。
「うお。なんだ?えらい馬鹿力だな」
♂スパノビの体はびくともしなかった。
いくら本調子ではないと言っても殴りアコプリ2人がかり(プラス♂スパノビの靴に噛み付いて引っ張る子デザ)で動かすこともできないというのは相当に非常識な力だ。
「図体もでけえし、巨人族の血でも引いてんのかね」
「のん気なこと言ってないで、もっとが・ん・ば・れーっ!」
思わずつぶやいた彼を、♀アコは顔を真っ赤にして力を振り絞りながら非難する。
だが♂プリは♂スパノビから手を離して一歩下がった。
「ちょっと!」
「まー言いたいことは分かるがちょっとまて。こういうときはな」
抗議する♀アコにニヤリと笑って見せて♂スパノビの正面へ回った。
そして軽い掛け声一発。
「おらよっと」
♂スパノビのひじの内側、やや上の辺りを思い切り蹴り上げた。
曲がる方向へ力を加えられた関節がカクンと折れる。
突っ張っていた腕を曲げられて♂スパノビのバランスが崩れた。そうなってはさすがに♀アコの力に抵抗しきれない。
♂スパノビの巨体が横倒しになり、その下から♀マジが這い出した。
「っぷは〜っ、鼻が潰れるかと思った」
「そこかよ」
「随分余裕じゃない」
♂プリと♀アコは思わずツッコむ。
「だってさ、ボクの鼻がぺちゃんこになったら世界の損失じゃないか」
地面に押し付けられてよほど痛かったのか、♀マジは赤くなった鼻をさする。
♀アコはジト目を向けた。
「つぶれるほど高くないでしょ」
「キミよりは高い!ってどこ見ながら言ってんだよっ」
「胸」
「ソコの話はしてないっ!」
「・・・あー、ちょっといいか」
救出が終わった途端口げんかを始めた少女達に頭痛を覚えながら♂プリは仲裁に入った。
なんだかこの島に来て以来こんな役ばっかりの気がする。
「とりあえずお前らとこいつが何者か教えてくれ」
彼はそう言って♂スパノビを見下ろした。
♀アルケミが無事逃げ切ったと確認したためか、♂スパノビは倒れたままそれ以上暴れる様子を見せずにおとなしくしていた。
ただし今度は♂プリと♀アコの足首をしっかり握っていたりする。
「んーとあたしはカピトーリナ修道院行こうとしたら、白服の奴に今すぐモンクになる方法があるって誘われて」
「ソレ信じたのかキミ。て言うかどっから説明する気だよ」
島に来たところから自己紹介を始めようとする♀アコを相方が止める。
「んじゃお願い。あたし説明って苦手」
「キミね」
あっさり投げ出した相棒に呆れ顔を見せつつも♀マジは♂プリに向きなおった。
「・・・このおつむの鍛え方が不足してる子が♀アコ、ボクは♀マジ。とりあえずキミの敵じゃない。んで逃げてったのが♀アルケミでボク達をだまそうとした敵。こいつはそのツレで♂スパノビ」
「む。あたしの頭突きは結構効くのに」
「・・・なるほどな」
ぶつぶつ言う♀アコをちらりと見た♂プリは妙に納得顔でうなずく。
「けどよ、どうして俺が敵じゃないって分かった?正直俺のツラ見たら身構えるか逃げるかする奴の方が多いんだが」
「さっきまでキミの仲間が居たからだよ」
「仲間?」
オウム返しに聞き返したとき背後から足音が近付いてきた。
素早く向き直ろうとするが♂スパノビに足首をしっかり握られたままではうまく行かない。
「ちょ、おいコラ放せ」
慌てていると足音の方向、つまりは彼の背後を♀マジがひょいと覗いて
「噂をすれば帰ってきたみたい」
安心したように手を振った。
「帰ってきた?」
「だからキミの仲間」
♀マジのセリフに背後からハスキーな声が続けた。
「♂セージさんはまだですけどね」
やっと知り合いの名が出た、と♂プリは警戒を解く。
足首をつかんでいた♂スパノビの力もなぜかゆるみ、新たな人物を茫洋とした目で見つめる。
♂プリは不思議に思いながらも振り返り、そして想像もしてなかった美人を見つけて驚いた。
「あんたは?」
「淫徒プリと申します。あなたのあとで仲間に加えていただきました」
「そ、そうか。よろしくな」
淫徒プリが微笑みながら会釈すると彼は実に嬉しそうに挨拶を返した。
♀マジたちに対するのとは明らかに態度が違う。
美人と見て精一杯の笑顔を作った・・・のだが彼の場合それがかなりコワい。
「よ、よろしく」
淫徒プリの腰が引ける。
それを押しのけるようにしてサングラスを掛けた少女が早口に問いただした。
「そんなことよりっ。♀アルケミどーした?」
「逃げられた」
「追い払ったよ」
♀マジと♀アコはそれぞれの表現で答える。
悪ケミは、あちゃーとでも言いたげに天を仰いだ。
「やっぱりやっちゃったか」
「犠牲者が出てないだけよしとするべきでしょう」
とりなすように淫徒プリが言った。
思いがけない反応に♀マジ達は不思議そうな顔をする。
「何かまずかった?」
「さっきのお菓子、毒は入ってなかったんだって」
「ええっ!?」
♀アコは驚きの声を上げて問題の♀商人を探す。
そして首をかしげた。
「じゃあ、あの子どうしたの?いないけど」

◇◇◇◇

206 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/01/13(日) 10:44:17 ID:iHiochvI
◇◇◇◇

♀商人はいつしか♂セージ達のあとを追っていた。
♀アルケミ達のところへ戻らなくちゃいけないとは思う。でもそれはあまりに怖かった。
そう。ただ怖かったのだ。
♂セージが行ってしまった時から。
不安と恐怖はこの島に送られてからずっとつきまとっていた。
当たり前だ。何の覚悟もなしにこんな場所へ送り込まれたのだから。
だけど♂セージと一緒にいる間はそれを忘れていられた。
彼はいつでも道を示してくれたから。
彼はいつでもマイペースを崩さなかったから。
その♂セージがいなくなって、不安に襲われてみて初めてどれほど頼っていたかが分かった。
もちろん彼はそうした方が安全だと思うからこそ置いていったのだろう。
でも。
♂セージは言っていた。
♀アルケミの行動には少々疑問がある。と。
具体的に聞く時間はなかったけど、♀マジや♂モンクも同意してるようだった。
その二人にしても♀アルケミをパピヨンからかばっていた。グルじゃない保証はない。
一度疑いだすと疑念はどんどんふくれあがり、しまいには淫徒プリまで信じられなくなってきた。
不安を打ち消すには敵味方をはっきりさせるしかなかった。
そして毒に当たったふりをすることを思いついた。
そうすれば全部解決する気がした。
少なくとも怪しいお菓子は食べないで済むし、みんなの反応を見ればたぶん誰が敵で誰が味方か分かる。敵だらけならそのまま♂セージが戻ってくるまで死んだ振りしてればいい。
それにどう転んでも♀アルケミとは別れることになる。
彼女が悪人だとはっきりすれば追い払うことになるし、そうじゃなければ気まずくなって別れることになるはずだから。
どっちにしても不安を抱えたまま一緒にいなくてすむ。
それはとてもいい思いつきに思えた。
うまく行ったときどういうことになるか、きちんと考える余裕などなかった。
悪ケミが自分を助けようと必死になり、♀アルケミが本気で驚いた顔を見せたときになってやっと自分のしたことに気が付いた。
それがどれほど卑怯でひどいことだったか。
どうしてと聞かれても説明なんてできるはずがなかった。

思い悩みながらとぼとぼ歩む♀商人はやがて異様な叫び声を耳にした。
びくりと身をすくませ、あたりを見回す。
息を殺して耳を澄ますと騒々しい気配を感じた。
戦いの気配。
♂セージが戦っているのだろうか。
そう思っても足は進まない。
違ったらどうしよう。
違わなくても今出て行けば邪魔になるかもしれない。
してしまったばかりの失敗の記憶が体を縛る。
どうしよう。
進むか引くか迷っていると足音が近付いてきた。
息を殺していなければ気付かなかったかもしれないほど静かな足音。
下生えを踏み分ける音も、風に茂みのざわめく音とほとんど区別がつかない。
よほど山歩きに慣れた人か。
なんだかとても怖くなって♀商人は藪に身を隠した。
そしてそれは正解だった。
たいして間を置かずに恐ろしいモノが姿を見せる。
♀商人は悲鳴を漏らさないようにするだけで精一杯だった。
焼け爛れたような姿の・・・人間なのだろう。
左手に弓を握り、獣じみたしぐさで周囲を見回しては素早く歩を進める。
来ないで。来ちゃだめ。来るな。
心の中で呪文のように唱える。
バクバクと高鳴る心臓の音がうるさい。
相手に聞こえてしまいそうな気がして体を丸め胸を抱きしめる。
早く。早く行って。
ただひたすらに願った。
だが願いもむなしく、足音は突然ぴたりと止まった。
心臓が跳ね上がる。
気付かれた?
逃げなきゃ。そう思っても四肢は動かない。
時間の感覚が間延びし、数秒が数時間にも感じられた。そして
カサッ
草を踏む音。
♀商人は全身を石にする。
しかし歩み寄って来るかと思ったそれは進む方向を変えて離れていった。
彼女は全身が激しく震えだすのを止められなかった。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共にレッドゾーン 意識回復

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 仲間を襲う奴を止める
状 態:HPレッドゾーン脱出?

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SPほぼ枯渇 寄生虫ロシアンルーレット状態 毒状態

<♀マジシャン>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
    首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀アルケミは敵?冤罪?
状 態:軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し 寄生虫ロシアンルーレット状態

<淫徒プリ>
現在地:E-6
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 食料二食
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀マジ達の所へ戻る ♀ケミを信じるべきか?
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態 SPほぼ枯渇

<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中


<残り15名>

207 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/01/14(月) 12:11:37 ID:RKBqfKAw
続きをありがとうございますー。
話がようやく動き出してうれしいです。

208 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/01/17(木) 03:34:03 ID:/EOAVjvo
>>207
GJ!
今後は寄生虫ロシアンと♀ハンタが目玉イベントかな

209 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/02(土) 21:33:51 ID:O4nwUA02
281.噛み合わない歯車[3日目午前]


遠くからかすかに言い合う声が聞こえた。
一瞬そちらへ気を取られた♂騎士は注意を目の前の茂みへ視線を戻す。
「そこの奴、出てこい」
騒ぎが聞こえると同時にそこでもはっきり気配が動いた。
誰かが隠れている。
しかし声を掛けてもすぐに出てくる様子はなかった。
剣を構え一歩踏み出す。
「来ないならこっちから行くぞ」
ゆっくり待っている暇はない。
聞こえた騒ぎが♀ハンターの引き起こしたものなら止めに行かなくてはいけないし、一方的に撃たれまくった♀騎士の具合も気になる。

すると茂みの向こうの誰かが口を開いた。
「出てもいいのですが、その前に質問です」
意外にも落ち着いた男の声。聞き覚えはないがとりあえず敵ではないらしい。
半ば戦う覚悟を固めていた彼は軽く意表をつかれて足を止める。
「…なんだ」
「そちらのお二人はどうしたのですか」
「二人?」
一瞬質問の意味が分からなかった。
だがすぐに♀騎士と♂モンクのことと気付く。
連戦の傷で気を失ったか、♀騎士は盾を構えてうずくまったまま動かない。
「ミストレスと…♀ハンターにやられた」
「ふむ?」
答えた途端に相手の声が不思議そうな調子を帯びた。
そして別の質問をする。
「相手の姿をはっきり見たのですか?」
「ああ。間違いない」
「ほう」
今度はわずかに考えるような間。
どうも疑われているらしい。その態度に彼はだんだんムカついてきた。
自分の正体も明かさず一方的に質問しておいて、こっちの答えを疑うとはどういうつもりか。
「いい加減にしろ。信じないならさっさとどっか行け」
彼は腹立ちを隠さずに言った。
だが次の質問で頭にのぼった血が一気に引く。

「姿が見えるならなぜ♂アルケミストさんを手に掛けたのですか?」

頭の中が真っ白になった。
違う。
いや違わない。
「あれは…あのときは本当に…」
「誰だか分からなかったと?」
言葉を先取りされた。
こいつは彼についてよく知っているらしい。
だが、声にも口調にも聞き覚えはない。
いったい何者だ
何もかも見透かされているような気がして恐怖がじわりとこみ上げてきた。

*****

「ではいつ、どうして分かるようになったのです?」
♂騎士の様子を茂み越しに見ながら、♂セージはやや詰問口調に問い重ねる。
いつものような余裕がない原因は後方から聞こえてきた騒ぎだった。
仲間達に何かが起きたのだ。
すぐに戻りたかったが♂騎士と接触してしまったあとではそうも行かない。
彼が危険人物であった場合、ただ逃げたのでは仲間達のところまで追って来られる可能性がある。
逆に味方にできるなら何も言わず逃げては後の信頼回復が難しくなる。
だから敵か否かだけでも確認したかった。
とは言っても事情を細かく問いただす余裕もなく、
「…♀アーチャーにとどめを刺したときだ。…理由は分からない」
♂騎士が苦しい声で釈明したのに対して一歩踏み込んで確認することができなかった。
「♀アーチャー?確かですか?」
「…ああ」
相手がはっきりと頷いたのを見て♂セージはため息をつく。
「では残念ながらあなたを信用するわけにはいきません」

「……そうか」
♂騎士も重い息を吐いた。
頼まれてとはいえ罪もない少女の命を奪ったのは事実だ。
♂アルケミストとのことも知られている。
ならば人殺しの自分を信用できないのも当然だろうと思ってしまった。

だが♂セージには別の理由があった。
彼は♀アーチャーがミストレスに憑依されていた事実を知らない。その一方で2日目夜の放送で彼女が死んだという情報は聞いている。
放送と♂騎士の言葉の両方を事実だとすれば♂アルケミストを殺害した時点で彼は正常だったことになる。
そんなはずはない。またジョーカーが死亡者の名を偽る理由もない。
つまり♂騎士が嘘をついている、あるいはまだ何かの異常を残している疑いが濃い、という結論になる。
何か事情があるのかもしれないが、それを聞き出して真偽まで確かめるにはどれだけ時間が掛かるか分からない。
かと言って不安要素を残したまま連れ帰るわけにも行かない。
残念だが今は諦めるしかなかった。

*****

「で、俺をどうするつもりだ。殺すのか」
騎士がどこか捨て鉢につぶやくのを聞きながらグラサンモンクはかがめていた腰を伸ばした。
どうやら決裂したようだ。これ以上ここに居る意味はない。
「いえ、私たちが離れるまで動かないでいただければ充分です」
「私たち?」
意図的にだろう、♂セージが複数形で言ったセリフを♂騎士が聞きとがめる。
それと同時にグラサンモンクは茂みから♂騎士の背後へ出た。
万一に備え、♂セージが会話で注意を引いている間に回り込んでいたのだ。
いきなり背後を取られた♂騎士が驚き顔で振り返る。

「戻りますよモンクさん」
彼の行動に♂セージも慌てたらしい。早口に呼び止めた。
それはそうだろう。この状況で姿を見せる理由は普通に考えれば戦うため以外にはありえない。
だが正直彼にも戦っている暇などなかった。
姿を見せた理由は別にある。
「そのモンクを連れて行かせてもらう」
グラサンモンクは身構える♂騎士へ淡々と告げた。
悪ケミの作戦を成功させるにはGMに対応されるより早く全員の首輪を無効化しなければならない。それには気奪を使う人間が彼1人では無理がある。
目の前にモンクが倒れているのに置いてゆく手はない。
「まて、そいつは」
抗議しようとする♂騎士の目をグラサンモンクは真っ向から睨み返した。
「仲間だというならなおさらだ。お前に治療はできまい」
「だが」
「くわしい話はこいつに聞く。当人が戻ると言えば止めん」
目を合わせたままジリジリと膝を落として♂モンクの体をかつぎ上げる。
しかしさすがに♂騎士もそれを黙って見過ごしはしなかった。
「やめろっ!」
「フロストダイバー」
♂騎士が実力で阻止しようと踏み込む。その瞬間♂セージが茂みを飛び出し呪文を唱えた。
完全に背後をつかれた♂騎士はとっさに身を捻って避けようとするが、右半身を氷に閉じ込められる。

グラサンモンクは無力化した♂騎士を無視して♂モンクを背負う。
♂セージは彼に歩み寄って仕方なさそうに言った。
「女騎士さんも連れて行きましょうか」
言外になぜ危険を冒して♂モンクを連れ帰ろうとするのか、♀騎士はいいのか、と聞いている。
だから彼は即座に断言した。
「そっちは無駄だ。諦めろ」
目的は♂モンクだけだという返答。
実際に♀騎士の傷が助からないほど重いものかどうか分からない。
だが連れて帰ったところで皆ヒールする力は使い果たしている。可能性があるのは♂プリだが、彼だけでは2人とも治療するのは厳しいだろう。
まして彼と♂セージの両方とも怪我人を背負っていては、帰り道に襲われた場合反撃できない。
それは危険すぎる。
ところが♂セージは平然と言い返した。
「何とかなるでしょう。彼女も居ますし」
そして自分が出てきた茂みをちらりと見る。
「そうか」
グラサンモンクは調子を合わせて頷いた。
こちらが複数だと匂わせたのと同じ。伏兵を警戒させて追跡をためらわせるためのハッタリだ。
♀騎士を連れて行くのもそれだけ余裕があるという一種の示威行為になる。

まあいいか。
グラサンモンクは冷徹に計算した。
戦力は多いに越したことはないし、万一の場合には捨てれば済むことだ。

*****

「待て、くそっ」
♂騎士は左手で体を縛る氷を殴りつけた。
利き手じゃない上に態勢に無理があるためうまく割れない。
「くそっくそっくそぅっ!」
拳や氷の縁でこすれた部分の皮膚が破れ、血がにじむ。
それでも痛みを感じないことがいっそ悔しい。
氷から抜け出せたときには4人の影も形もなかった。
「くそぉ…」
無力感を噛みしめながら溶け残った氷の欠片へ力まかせに拳を叩きつける。
「…ん?」
うなだれる彼の目が地面の一点で止まった。
氷の破片に混じって何か落ちている。
それは♀騎士が持っていたはずの物だった。
「錐か!?」

210 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/02(土) 21:34:19 ID:O4nwUA02
<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚喪失? 体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇、置き去り?
状 態:JTによる負傷で気絶中

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
    ♀騎士を背負って仲間の所へ

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチ・♀ハンターを警戒 ♂モンクを拾って仲間の所へ
状 態:掌と肩に打撲 SPほぼ枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

211 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/05(火) 00:31:31 ID:T1ZpnmbU
おー、暫く見ない間に進んでいる。
書き手さんおつかれさまですー

212 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/05(火) 10:47:11 ID:QkXzUbsE
久しぶりに見たら進んでた!嬉しいなー
♂セージが♀アチャ=ミストレス知っていたら推理さっくり終わったのに…
そうそううまくいかないのがバトロワの面白さでもあり。

読み専だけど時系列とかすっかり忘れちゃってる。
キャラごとの知識しっかり把握してる書き手さんは凄いなぁ
また初めから読み直してみよう

…しかし♂プリは一部でも二部でも長生きさん。
何気に二部ではアコ系残ってるね。
二次女性陣は早々に脱落していっちゃったけど。

213 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/25(月) 02:55:37 ID:hmTGKf9A
書き手おつー
楽しませてもらったよー

214 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/25(月) 12:52:52 ID:A0bDnk7Q
281話までwiki更新
wiki管理人様、見ているようでしたらTOPの八、九冊目のリンク先の変更をお願いします。

たまには参加したいけど話追うので手一杯な元書き手
MAPまとめ無いとこうも移動経路追うのが大変だとわ…orz

215 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/01(土) 16:22:49 ID:.vKkhEPo
今ある動画って3つだっけ?

216 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/03(月) 02:23:18 ID:WU8jqbus
チラ裏だが二年前に大好きだったスレがまだ残ってるとは!
とりあえず第二回一気読みしてくる

217 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/03(月) 14:27:22 ID:AVplZYSs
今Wiki全部読み終わって、第二回のNG集見てる
上腕二等筋にふいたww

218 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/07(金) 12:40:09 ID:RHCeFzWQ
あぅぅ〜…話結構進んでてなかなか書き手になれない;;
第三回始まったら自キャラ出そうと思うんですが^^;
今度じっくり読んで頑張って第二回の続きを書きたいと思います

219 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/07(金) 14:55:11 ID:yx1RwipY
>>218
そういうのはやめた方がいいよ<自キャラ出したい
たぶん、3回目があっても名前は付けない、職名のみの慣習は続くはずだから

220 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/07(金) 14:59:44 ID:074Z2eeM
そろそろ2回目もまとめたいもんだがまとめにくいからなぁ、今の流れ。
あと3回目あってもあんまり自キャラとか出さないほうがいいぞ。

愛着あるキャラがあっさり死ぬ様子ほど欝展開は無いし、
たまにそういうので無理やり展開で生き延ばしたり、かと思えばやっぱり死にました展開とか引っかかるからなぁ。

221 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/07(金) 22:27:41 ID:dU5DU76s
いや、自キャラが死ぬシーンが一番の見せ場だろ
出来るだけ生き延びて欲しくはあるが

222 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/08(土) 00:17:53 ID:z0Q6F2EM
てっきりみんな出してるもんだと思った
違ったのか

223 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/10(月) 05:39:14 ID:dIR1cXMo
モデルにしたのは認めるが身びいき入るのは嫌だったので主に他の人に任せてた
いい死にっぷり書いてもらえたので満足している

224 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/10(月) 10:22:36 ID:D5potv62
いかに格好いい死に様を見せられるかがポイントだしな
身贔屓で死亡フラグバキバキ折るような主人公キャラはいらん

225 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/11(火) 16:55:56 ID:PZ4OtINs
218=222だが…。
私も自キャラモデル予定で出したいと思ったわけですよ^^;
もちろん、皆さんに託しますが

226 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/14(金) 05:19:07 ID:bKdNahMo
バROを最近知って、第一回から読み続けてようやく追いついた!
書き手さん尊敬します。
序盤の事故死があっけなくて好きです。なぜかリアリティ感じる自分。。。
(枝折>深遠出現死とかランダムポタ転落死とか)
自分も書けるかなぁ。

227 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/18(火) 17:25:58 ID:5wHAY.oA
終盤戦は本当に難しいね。
第一回もルート分かれちゃったんだっけ?
分からなくなってきたのでぷちメモ

・現在単独行動中
♂騎士、♀ハンター、♀ケミ、♀Wiz、ふぁる(気絶したまま放置?)

・モンクたち
♂セージ、♂モンク、♀騎士、グラサンモンク

・大所帯
♂プリ、♂スパノビ、♀マジ、♀アコ、淫徒プリ、悪ケミ、子デザ

・モンスターズ
パピヨン、デビルチ

首輪つき14人、イレギュラー気味なのが4匹
そう考えるとまだ結構残ってるのかな?

228 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/21(金) 03:56:27 ID:yZWf6qe.
たまには♀商人のことも思い出してあげてください

229 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/23(日) 02:39:57 ID:LwEGKuvc
かなり久しぶりに来たけどまだ人がいてよかった。これから書き手になるのは無理だから大人しく読んでるけど
もし第三回があったら少し書いてみたいな
……まあ出来が悪くてやってもNGになるかもしれんがwww

230 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/26(水) 12:50:27 ID:309pPXYs
>>228
失礼。書いてる途中に消えた模様
15人+4か
どう収束させていくんだろう
楽しみな反面、このまま停滞しないかと不安でもある

231 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/26(水) 15:21:06 ID:8IcLkBfk
さて、久々にちょっと書きたいんだけれど流石に終盤になってくると、
状況がややこしくなってきて把握しづらいぞっと。
各々の指向と指針の把握がてら、ちょっとメモ挿ませて貰いますね。


♂騎士:状態安定。人を護る騎士になる。グラサンモンク達と敵対??
♀ハンター:錯乱中。自我崩壊。全身ぼろぼろ。
♀Wiz:
♀ケミ:あわあわどうしやう
♀商人:皆に合わせる顔が無い、♂Sageに会いたい

♂Sage:♂騎士、♀ケミに不信感。
♂モンク:気絶中、
♀騎士:気絶中、
♂プリ:状況把握
♂スパノビ:♀ケミを護る
淫徒プリ:
♀アコ:♀ケミを敵と認識→勘違い?
♀マジ:♀ケミを敵と認識→勘違い?
グラサンモンク:♂騎士に不信感? ♀ケミに不信感
悪ケミ:

やーんまとめるの下手。
補足誰かお願いしますっ。・゚・(ノД`)・゚・。

232 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/26(水) 17:23:21 ID:8IcLkBfk
282.Who is Helper?[三日目午前]

 どうしよう。どうすればいい。
 はぁはぁと弾んだ息を抑えようとしつつ、木陰に隠れて♀アルケミストは現状の把握と整理に必死で頭を回転させていた。が、すぐにその思考には余計な感情が入り混じってくる。
 ――今までの人生も巧く立ち回らなければここまで生きてこれなかったのは確かだろうが。こんなに疲れる頭の使い方をしたのは、この島が初めてだ。もう嫌だ。
 駄目だ。考えろ。諦めるな。考えなければいけないのは、ここだ。今考えなければ、後悔しても遅い。死にたくなければ、考えるしかないのだ。そうやって今までも考え続けてきたじゃないか。
 ♀アコライトと♀マジシャンには、完全に敵と見做されたに違いない。いずれ戻ってくる淫徒プリら仲間達も、最早♀アルケミストの安全を確保してくれる駒にはならないだろう。元から、淫徒プリや♂セージには自分の行動は怪しまれていたようだったし。
 残っている参加者は何人だったか。その中で、自分が取り入れそうな奴は果たしてどれだけいるのだろうか。あの大所帯以外で生き残っている奴らなんて、もうこのゲームに乗った殺戮者しかいないんじゃないのか。

 ――もう、自分の身は自分で守る以外に術は無いんじゃないか。

 はっとする。
 自分の味方は、もうこの島には居無い。
 居無いんじゃ。そうだ、きっとそうだ。
 ひとりの心細さはもう、この島に来てからだけでも何度も経験してきた。それでも、誰かが――使える誰かが、何処かにいるだろうと思っていた。利用できるものを探して、どうにかしようと、どうにかなると、どうにかできると、そう思っていた。
 でも、もう、自分は、本当にひとり――

 ながま、助ける。

「・・・・・・あいつ」
 ♂スーパーノービス。そういえば、♂スーパーノービスはどうしたのだろうか。
 私の仲間だと思われて、ほかの奴等にやられてしまったのか。
 否、あいつ等は馬鹿だ。殺し合いのこの場に置いて、まだ甘さがある。あの♂スーパーノービスが悪い奴ではないということは、私にだって解る。それが解ったとして、私の仲間というだけで殺したりなんかするだろうか。
 ・・・・・・あの集団を追い出されることはあっても、殺される可能性は低い筈だ。ならば、私はあの♂スーパーノービスを拾いに行かないと。
 もしかすると、あの集団の仲間に入ってしまっているかもしれない。或は、本当に殺されてしまっている可能性だって無い訳じゃない。
 それでも。それなら。
 今の私には、否――私には、きっとあいつが必要なんだ。


 鳥の鳴き声がまばらに聴こえた気がした。
 そして、かさり、と。
 何かの音に気づいて、♀アルケミストははっと息を呑んだ。
 誰だ。♂スーパーノービスか? そうであって欲しい。否、そうでいて。
 木陰からちらりと顔を出す。向こうから、何かが歩いてくるのが見えた。

 ――何、あれ。

 人には見えなかった。
 人の形を成してはいるが、それは人ではない。
 グール。そうだ、ゲフェンの地下洞窟に棲む屍人があんな風な姿をしていた。
 どういうことだと、♀アルケミストはまたも頭を抱える。このゲームの敗者の誰かの亡骸が黄泉返って、真っ昼間から島を闊歩しているとでも言うのだろうか。・・・・・・ああ、もうそれでいい。何が起きても不思議じゃないんだ、この島は。
 だが。
 少なくとも、アレは味方ではない。味方である筈がない。
 だが、よろよろとしたその屍人は♀アルケミストの方に近付いてくる。気づかれているのか、偶々か。よく見れば、屍人はぼろぼろの曲がった棒のようなものを片手に持っている。あれは・・・・・・弓、か?
 どうすればいい。♂スーパーノービスはいない。今は♀アルケミストひとりしか、ここにはいない。

 ――自分の身は自分で守るしか無いんじゃないか。

 そうだ。グール程度、ひとりで倒せなくてどうする。私だって、アルケミストの端くれなんだ。
 武器だってある。グラディウスも、クロスボウも。どちらも普段あまり使い慣れない得物だけど、戦える。誰かに、♂スーパーノービスに頼り切ってるばっかりじゃ駄目なんだ。
 唾を飲み込むと、毒を含んだ矢を一本、クロスボウに番える。
 屍人は、ゆっくりと歩いている。疲れ切ったように、ふらふらと。
 こいつを倒して、♂スーパーノービスを探しに行こう。♂スーパーノービスと一緒に、守り、守られ、生き残ろう。その先なんて、考えるのはもう疲れた。

233 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/26(水) 17:23:58 ID:8IcLkBfk
 とすり、とグールの左脇腹に矢が突き刺さった。ぐらりと屍人の身体が傾ぐ。
 よろよろとした動作のままで、漸くその存在に気づいたという風に屍人は視線を己が脇腹に落とすと、緩慢な動作でそれを引き抜き、自分の持っていたぼろぼろの弓を構えてそれに番えた。
 ♀アルケミストは焦り、木陰から次の矢を装填しようとしながら屍人に目をやり、――視線が合った。
 その瞬間、屍人の口がぱっくりと裂け、三日月の形を作った。ヘケ、と。
 嗤った。
 怖気立つ。そして、♀アルケミストは悟った。

 ――こいつは、グールなんかじゃない。
 ――もっとおぞましいモノだ。

 次の瞬間、己が放ったばかりの毒矢が♀アルケミストの喉元に突き立った。
「・・・・・・っ、か」
 手から力が抜け、クロスボウも番えようとしていた矢も地面に転がる。数秒の間を置いて、♀アルケミストの身体も。
 熱い。痛い。悲鳴さえ出ない。起き上がれない。
 何だ、これは。どうして屍人がこんな正確に矢を射ってくるんだ。どうして屍人が弓なんか持ってるんだ。アレは、何なんだ。
 首に矢が突き刺さったというだけでも致命傷なのに、この矢には自分が仕込んだ毒が染み込んでいる。・・・・・・お笑い種だ。
 不気味な液体を滴らせながら、ソレが近付いてくるのが倒れている♀アルケミストの滲む視界に映った。
 ああ、私の意識よ、どうせもうすぐ掻き消えてなくなるんなら、早く遠のけ。あいつが来る。
 早く、

 この恐怖をどこかにやってくれ。
 ――――――・・・・・・・・・・・・


「この『寄り道』、正解だったのか」
 ぴくりと、ソレは反応した。最早意識を失い、放っておいてもいずれその命尽きるであろう♀アルケミストよりも、新たな闖入者の方が危険と判断――するだけの思考能力がソレに残っていたのかは疑問だが、兎も角現れた二人――正確には四人――に視線を映し、ソレは弓を構えた。
「何かの体液と足跡・・・・・・危険なものがいるのであれば確認しておく必要があると思ったのですが。本当に危険だったようですね」
 ♂セージの口調はどんな状況であろうと変わらない。つくづく冷静な男だ、とグラサンモンクは感心するが、実際のところグラサンモンク自身も似たようなものだ。
 ソレは矢を放つ。いつ折れてもおかしくない、いつ弦が切れてもおかしくないぼろぼろの弓で、次々と矢を放つ。
「どうする。この二人を守りながら戦うのは不利だ」
 矢の攻撃を避け、少しずつ退きながらグラサンモンクは問うた。戦うとすれば数の上では二対一だとしても、それぞれ大の大人をひとりずつ担いだままでの戦闘などは無茶だろう。それでなくても、今は万全ではない。
「一旦退くのがベストなのでしょうが。しかし」
「あれはどうする」
 グラサンモンクはちらりと♀アルケミストに視線をやるが、サングラスの下の視線の移動などが伝わる筈はない。しかし、もとより「しかし」と続けた本人である♂セージにも当然彼の言わんとする事は呑み込めたもので、矢の射程から逃れるためにグラサンモンクよりも更に半歩以上身を退きつつ、さて如何するべきでしょうかと思案する。
「このまま矢の雨を避けつつ誘って誘って、♀アコライトさん達と合流すれば――安全に戦えますが」
「彼女は放置しても問題はないのか」
「首に矢が刺さってるように見えますね」
「・・・・・・全く。どれだけ怪我人を拾えば気が済むんだ」
「助けられる可能性は低いと思いますが。この♀騎士さんも急いで治療する必要がありますし」
「解っている。ヤバそうなら撤退だ」
 グラサンモンクは、担いでいた重い荷物を地面にどさりと置くと、今にも形を失って崩れ落ちてしまいそうな弓を構えたままじりじりと迫ってくる、ソレの眼をサングラス越しに見据えた。
 狂気。絶望。悲哀。何が宿っているのかを読み取ろうとしたが、それは不可能だった。焦点のぼやけたその虚ろな瞳には、何も宿ってはいなかった。
「・・・・・・こいつは何だ」
「変わり果てた姿ですが――人間ですね。恐らくは、件の♀ハンターさんであると思われます」
 じり、と♀ハンターであったモノはにじり寄ってくる。その弓の射程圏内に気を失っている二人を入れぬようにと、グラサンモンクは自ら歩を進めた。ケヒ、という嗤い声が耳に入った。
「救うべきモノなのか、潰すべきモノなのか――と訊いている」
 やれやれという呟きと共に、どさりと背負った♀騎士を地面に寝かせる音がして、この場合それは同義ですよ――と、グラサンモンクの隣に並びつつ♂セージは答えた。

<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スーパーノービスと合流したい(ひとりは怖い)
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態 喉元に矢 毒 気絶 瀕死

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
    (所持品は全て寄生虫の体内にいたため痛んでいます)
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:発狂 自我崩壊

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♀ハンターと対峙

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒 ♀ハンターと対峙
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

234 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/30(日) 02:06:04 ID:0HHyF.Lc
うお、久しぶりに来たら話が進んでる。最後のグラサンとセージがシブくてかっこいいなぁ

235 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/30(日) 15:32:31 ID:BubtheLU
グラサンモンクとセージが良い味だしてるじゃないか。

236 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/01(火) 10:35:21 ID:bH1w3JzM
グラサンとセージかっこいいなぁ
最後のやり取りとか大好きだ
♀ハンタさん完全に遠い世界に旅立ってしまっている
ふぁると仲良くしてた頃が懐かしい…ってふぁるいつまで寝てるんだー
ケミさんは可哀想に思えてきてしまった
本当は一人で寂しかったのを「利用する」って建前で人に近づいてたのかな

純鷹vsFCAS+指弾阿修羅となったけれどハンタさん不利?
グラサンのステ忘れちゃったけどSPないと苦しそうだなぁ
久々のバトルシーン、どんな熱い展開になるか楽しみ。

237 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/02(水) 11:16:53 ID:.sNm1r8s
戦闘力的に♀ハンタには勝ち目はないだろうけど
グール状態だからこそ何かしでかしてくれると思ってるぜ!

238 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/03(木) 01:01:50 ID:lHuKYOx2
♀ハンタをなんとか救ってあげたいなぁ…
ふぁるも大変だが寝てる場合じゃないぞ、頑張れ!

239 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/05(土) 15:42:01 ID:zyRiETVM
なあなあになってきてるこの企画も終結へとまとめたいんだけど、
書き手さんって何人くらいいるんだろう。
私もいち書き手としてちみちみ書いてはいるのですが、
進行速度がこれだと自分ばかり書いてしまっても・・・と、
なかなか筆を進め難い現状なのです。

今でもこのスレ覗いてて、意欲のある書き手さんはほかにどれくらいいるのかな、とちょっと気になる所。
ある程度の人数がいるのであれば、ちょっとスパートかけて完結まで漕ぎ着けてみませんか・・・!
と、拙いながらに舵を取ろうとしてみる。

出過ぎた真似であったら申し訳ない・・・・・・(´・ω・`)

240 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/05(土) 21:29:44 ID:.I.5OyX.
|ω・`)ノ今がんばって書いてるよー

241 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/06(日) 03:33:16 ID:zrwr/ydY
まだ書き手がいるなかでこういう事言うのもあれだけど、
一度この話はなかった事にしたほうがいいんじゃないか?

いくらなんでも話の展開が散逸しすぎだし、
いつまで経ってもちまちまとしか死んでいかない。
このスレのテンプレ事項として、投稿する前に一連の内容に
目を通すようにっていう指示があるわけだが、実際問題
ここまで複雑化した物語をちゃんと読んで話を作れる人間って、
どれほどいるんだ、という事を想像できてるか?
「今何人いるのか」って意味じゃなく、「この先どれくらい参加できうるのか」
っていう視点で、だ。

特に、こと最近の投稿は1話あたりの文章量が多すぎて把握もしづらい。
細かい部分までしっかり描写したい書き手の気持ちは理解はできるが、
ここまでの分量になってしまうと弊害のほうが大きすぎる。

新参の入れる余地のないリレー小説に未来はないと思うんだが。

第1回の内容をいちど見直してみて欲しい。
飾りつけしすぎて、重さでしなだれてしまったクリスマスツリーのような
今のスレの投稿内容と、何が違うのか少し考えてみてくれ。

242 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/06(日) 21:56:55 ID:.VGDnSZs
ここまできて破棄は勿体無いし、それでやり直しても結局また繰り返す気がする。
話が複雑になってしまったのは仕方ないと思うけどなぁ。
少なくとも、俺は今の物語が完結するところまで見てみたいね。

……読み専だけど。

243 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/07(月) 01:08:22 ID:331.7Jj6
今の話、かなり面白いのでやめてほしくないんだけど・・・。
最後の着地点がかなり気になってます。
書き手さんたち、がんばってくださいm(__)m

244 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/09(水) 14:47:08 ID:NlYIxlso
私もやり直ししないでほしいに一票ノ
騎士君の最後とかハンタ娘はこのまま凶暴化したままなのかとか気になるので;

>>240
期待しています!頑張ってくださいー。

245 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/11(金) 19:18:17 ID:rR/q0Fgs
前半飛ばしすぎてマーダー全滅しちゃったし
話複雑になってきてて大変だと思う。
でもこの物語の終わりを見てみたい

新規の人が書き辛いのは残念だなぁ
今書いてる人も連投になるんじゃないか、ってペース落ちてるようだし。
やり直しするくらいなら一部の人リレーになっちゃっても完結させてほしい
ルール引っかかるからだめかな…

246 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/15(火) 09:45:30 ID:fVuv1ljo
まさにバトルROワイアル

247 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/17(木) 23:28:17 ID:AP3O9/iM
寄生虫の入った菓子が♀商人の選んだものだったら取り敢えず寄生虫はもう出番無しか。

248 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/18(金) 07:29:49 ID:DFdUMFMo
寄生虫・・・食べた人の中で生きたまま孵化して直せない毒という扱いじゃない使われ方しかしてないなw
もう死んでる奴から孵化とか砕けた部分から孵化とかばっかりでな
まぁ頑張って終わらせたいが、結構伏線ばかり張られてて本筋動かしづらいのは事実だよなぁ。

249 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/20(日) 22:25:19 ID:PNS5/vjw
みんなして「ぼくがかんがえたさいきょうのきゃら」合戦やってるんなら
それこそもうスレの意義もないし、打ち切ったほうがいいと思うがなぁ。

もう設定とかガチガチに固まっちゃってるじゃん。
キャラごとの備考とか設定とかさ、もうイマジネーションを
発揮できる部分なんてほとんど残されてないじゃん。

250 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/21(月) 22:05:15 ID:v3ueECyE
新参で入ろうかと思ってかなり時間をかけてよんでみたんだが
>前半飛ばしすぎてマーダー全滅しちゃったし
やっぱりこれが結構痛いな…。展開させるの難しいっす(汗

251 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/22(火) 20:30:23 ID:PEDqo.to
備考・設定はこのくらいまでくると固まってくるのは自然でしょう。
イマジネーションを発揮するのは、その設定をどう動かすか、じゃない?

252 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/22(火) 21:15:33 ID:wdt89POY
>>240さんを初めとする書き手の皆様
お話の続きの投下をお待ちしてます。
いろいろたいへんでしょうけど、がんばってください。

253 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/28(月) 19:49:47 ID:IXqGbrnU
このスレは今ラグが発生してるのか。

早く復旧してほしいなあ、とROM専が言ってみる。

254 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/11(日) 04:52:35 ID:v2DOd0qI
そしてだれもいなくなるか?

255 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/12(月) 23:53:33 ID:ra13yw5U
・・・はやく書き手さん、戻ってきてぇぇ(号泣

256 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/20(火) 13:04:52 ID:Iws/MjRI
久々に覗いたら増えてるーw

確かにマーダー居ないのはきついよねぇ…
gdgd見かねたピエロが参加者として…ってのは無理があるかな(苦笑

257 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/22(木) 02:15:43 ID:bAWnCxhY
282.道化の本分[三日目午前]  (NG?)


「GMジョーカー、失礼します」
ノックの後、一人の若い兵士がジョーカーの私室へ入る

そしてギクリ、と固まってしまった
「……どうした、幽霊でも見たか?」
…ここまで笑えないジョークがあるものか
部屋に主の姿は無く、変わりに立つのは一人の男

その姿、その声


死んだはずの♂クルセイダー


「ぇ……あ…」
剣を抜くことも忘れ、凍りついたように固まる
視線が絡み合い、永遠に思える一瞬。ふと、♂クルセイダーの表情が歪む

「……ふ…ふふ……」


「あっはははははは〜っ!イイッいいですよその表情っ♪」
♂クルセイダーが突然、腹を抱えて笑い出した
しかも途中で声色が別物に変わった。この声は紛れも無く自分の上司
「じ…ジョーカー……ですか?」
恐る恐る声をかけると、♂クルセイダーの姿が揺らぎ、見慣れたピエロが姿を現した
腹を抱えたその格好のままではあるが
「ええ、ええ、大正解です。しかしあの表情…ぷっ、クククッ」
笑い涙を拭いながら、しかしまた笑い出す上司に沸々と怒りが沸いて出る
「…GMジョーカー…部下で、しかも仕事中に、遊ばないで下さいませんか?」
「クククッ…いやぁ、退屈だったもので。でも如何です?私の特技なんですよ♪」
そう言いながらクルクルと踊るGMジョーカー
回る度に姿が♂セージに、♀プリースト、♂モンクにまで(アフロもバッチリだ)なってみせる
「勿論」「声だって」「Cool&Heat に変えちゃう ZE?」
元の姿に戻ってから声真似まで披露する(ラップもバッチリだ)
「確かにすごいですが…というか声はともかく、服装とかどうやってるんですか?アフロとか」
「禁則事項ですっ☆」
女性の声色で、人差し指を立てつつ顔を覗き込んでくる
誰の物まねか知らないが正直気持ち悪い
「冗談はさて置くとしまして…これから私、参加者になろうと思っているんですよ」
「…は?」
声も姿も元に戻ったGMジョーカーの何気ない言葉に、兵士は口を開くのみ
「如何なる状況も想定して組み上げたこの舞台、様々な策も施しました。しかし!」
僅かずつ声を大きくしながら、歌う様に、ステップすら踏みながら
「悲しきかなこの惨状!スパイス達は色を無くし風味を無くし、後に残るは温いスープに僅かばかりの硬い肉!あぁ、こんな料理を女王陛下に捧げるなんて!!」
内容とは裏腹に、顔に張り付く三日月の笑顔
「さぁてここで質問です。ピエロの仕事は何でしょ〜かねぇ?」
「え、と…踊ったりおどけたりして観客を楽しませる、でしょうか…?」
いつも以上におかしな雰囲気に圧されながら戸惑いながら、兵士は応える
「あなたは頭がいいですねぇ〜。その通りです。歌い踊り時には転び、観客を楽しませるものです」


――――――そう、『舞台』に出て、ね


兵士は呆けて椅子に座っている
あの後、GMジョーカーの私室にGM橘を呼んだ
気絶させられたGM橘と気絶させた本人に首輪をはめた
そして2人をフィールドに送り出した
その際GMジョーカーから「プレゼント」を渡された

様々なアクセサリーや衣装。アフロもある。加えて、恐らく自作の魔道書
どうやら先程の見事な変身は魔法だったらしい。暇なお方だ
今まで記録された会話、GM橘・GM森両名の疑惑と懸念、その他GMジョーカーの様々な考察や案など
それらを綴ったファイルと、トーキーボックス
「嬉し恥ずかし GMジョーカー名言集(はぁと)」と書かれている
それらをぼんやりと眺めながら、彼の去り際の一言をぼんやりと思い出していた


「ええ、プレゼントです。とっても頭のいいあなたに、ね。大事にして下さいよ?」
「この人はともかく、私が消えてしまったら舞台の進行に支障が出ます。もう分かりますね?」


「今日からアナタが、GMジョーカーです」

258 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/22(木) 02:25:24 ID:bAWnCxhY
上のレス読んで思いついたんで投下


うん、無理があるのは分かっているんだ
でもこのままじゃあってのもあってNG覚悟で投下してみた
こういう流れはやっぱりNGかな…
なんにせよ火種になってくれれば幸い

ぁ…ジョーカー去り際に3言言ってるね…

259 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/22(木) 10:54:23 ID:T2cFltlU
別にバトロワだからって殺しあわなくてもいいとおもうんだ。
ただでさえ、ROは殺伐としてきて昔ののんびりさがなくなってるんだから…
脱出ゲームになってもいいじゃないかと思う、一読み手。

260 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/23(金) 21:31:52 ID:e4IAbQF6
>259
それこそ矛盾だろ。
バトロワなのに脱出ゲームになってどうするんだよ。
脱出ゲームだったらCUBEとかSAWとかあるだろ。

でも>257みたいな流れは大歓迎だ。
ところで、ジョーカーの姿かたちについては後の人が決めていいの?

261 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/23(金) 22:05:04 ID:QGkuR5Io
設定上、一兵士ごときにジョーカーが自分の全てを任せるとは思えないんだがなぁ
書物程度で思考回路まで完全にジョーカーになりきれるはずもなく、ジョーカー本人になにかあればこの先のゲームを取り仕切るのは兵士ってことになる
GMでもなく、平凡な能力の一兵士にそこまで委ねるだろうか?
逆に死なない為にジョーカーが自分の戦闘力に制限をかけないなら、ただの虐殺になるだけなのは明白だし
無理矢理マーダーを作るくらいならゆっくり脱出進行のほうがいいんじゃないのか?
バトルロワイヤルだからって無理に全員を殺し合わせる必要はないはず
個人的にジョーカー参入は反対かな

262 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 06:28:47 ID:np.BEXMg
無理がありすぎる

263 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 09:01:50 ID:Xe2JuwgA
>261
「このまま女王陛下を満足させるゲームができなくなる」
となれば、それを回避するために自ら鎌を振るうくらいはしそうだけどね。

そもそもマーだーがほぼ一掃された今、キャラクターたちもおまいと同じように
「もう殺しあう必要はない、みんなで脱出しよう」
な事を考えているだろうしな。
そこに強撃を加えてやったほうが物語としては刺激的だ。

264 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 09:31:55 ID:Qky7kGgs
>>263
この先のゲームに支障がでるかもしれないのに、ジョーカーが一時の感情に支配されるとは思えない
マーダー一掃といっても、パピヨンや♀ハンター、セージ組に対して蟠りのある♂騎士とか、上手く動かせばマーダーにできるキャラクターまだいるよ?
そもそも、話の終盤なのに、無理矢理刺激する必要ないと思うんだけど

265 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 17:33:48 ID:cRjJvexI
文句言うくらいなら自分で書けばいいと思うよ

266 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 22:12:31 ID:9flCmKuM
257書いた人です。長文ですがどうかご勘弁を
>>260
自分の拙い文章読み取ってくれてありがとうございます
状態書くのも忘れてたようで…
ジョーカーは生死者問わず参加者の誰かの姿&声になっています
但し変装セットや魔道書を渡してしまった為、再度変身するのは不可能…とかにしようかなと

で、今回ドキドキしながら書いたわけですけれども、NGか否か判断難しかった点が大きく2点

1、ジョーカー自ら参戦
>>264の言う通り、ゲームに支障が出る可能性も考慮しています
また女王は「冒険者」が殺し殺されるショーを望んでるはずなので、この辺に違和感が出るかも…
ただ、このゲームの目的として「虐殺ショーを女王に見せる」もの…でしたよね、確か
例え冒険者以外が参戦したとしても、生温いショーを見せる位ならジョーカー自ら参戦するのも有り得るのではないかなと
また、GM橘のみ送るということも考えましたが…
団結しつつある現状、たった一人送り込んだくらいで一変しないでしょうし、橘ならむしろ団結してジョーカー倒しに来るんじゃないかなとか
女王の首も狙っているようですし…

2、ジョーカーの変身
ROの世界においてこんなスキルないじゃないかって事です
個人的にGM=何でも有り だと思っているので書いちゃいました
もしこれがGM専用の魔法として通るのであれば、ジョーカーではなく兵士を変身させて送り込むのもありかなぁなどと考えてます
他者にかけられるならそのほうがジョーカーとしても何かと都合がいいでしょうし


確かに現状、上手く動かせばマーダーになるキャラはいます
が、それらを上手く動かせる書き手さんが少なくなっているのも事実ではないでしょうか
加えてジョーカーならば何らかの形でマーダーを増やそうとするのではないかと思います
動かしやすいマーダーがいることで書き手さんも増えるでしょうし、動かしにくいマーダー予備軍もある程度操作が楽になるのは無いかなぁと
どんな形であれこの物語の終わりを読みたいと思う自分としては、このまま過疎に拍車を書ける流れは遠慮したいというのも正直あります
ですので、文の拙さ、無理や失礼を承知で書かせていただきました
異論反論修正案等、どうぞよろしくお願いします
長文駄文、失礼しました

267 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 23:04:02 ID:NvRWkcdQ
>>266
圧倒的な力を持つジョーカーの虐殺ゲームになるだけなのに、その先を書くのが何が楽しい?
正直全員爆死レベル
まぁ他の読み手書き手が文句ないなら、ジョーカーによる虐殺Endでいいんだろうが

268 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/24(土) 23:23:06 ID:3ZcZr55Y
ただマーダー増やすだけならば
・ヘルファイアのような呪われた魔具の投入
・精神操作
・死体の生体兵器化
とか、いろいろあるとは思うんだけどね・・・。
過疎ってるからといって、この状況で安易にジョーカーを投入するのは先人達への冒涜だと思うけどなぁ。

269 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 01:31:23 ID:NbRo95aQ
>>257です。お早いお返事ありがとうございます

>>267
ぁ〜っと…
フィールドに出した時点で能力制限がかかったと思い込んでいたため明記していませんでした
申し訳ありません
尚バルムン等GM武器に関しても明記していませんが、仮に採用された場合、後続の書き手さんにお任せしようと思い書きませんでした

>>268
何話で読んだのか度忘れしてしまいましたが、「前回手を出しすぎたせいで女王に怒られた」といった旨の文がありました
恐らくBANや精神操作等の事だと思いましたので、その辺りは除外していました
…今書いてて思いましたが、手を出しすぎなければ大丈夫そうですね…

それなりに考えて書いたつもりでしたが、これでは確かに冒涜ですね。先人方々ゴメンナサイ…

270 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 16:06:28 ID:2uxso5XQ
結局そうやって硬直化していくんだよな。
このスレは書いたモンがち、無茶振りをどういなすかに
面白さを見出すべき遊具なんだと思っていたんだがな。
なぁ、繰り返すが遊具なんだぜ、文学作品作ってんじゃねェんだからさ。

…つーか、先人への冒涜つったって、たとえば>268よう。
お前の言ってる3つのアイディア、今回もうすでに出てるんだぜ。
まぁ1回やった手を2度使うなっていう気はないけどさ、
この上お前の言っている手段を現在の面子に適用するって事は
結局、ジョーカーないしGMに当初の想定以上の部分で恣意的独善的な
動きをさせるって意味で直接介入とさほど差はないって事を認識してたか?
もうどっちみちGM側が必要以上に手出しちゃってる事に変わりはないんだ。

まぁさ、ご都合主義で誰かにポンと呪い武器渡して精神破壊しちまえば
場引っかき回せるとは思えるがね、そんなのはスマートじゃないな。

最後に言いたいんだが、議論ばっかり繰り返す連中はテンプレの>4をもっかい読めよ。
専ブラで毎回最新レスまで飛んでるせいでいつの間にかテンプレ忘れてないか?
議論でスレ潰すくらいなら多少無茶でも書いちまった奴が勝ちなんだよ。

というわけで俺はひとまず>257をベースに作らせてもらう。
>257をNGするなら俺も一緒くたにやっちまってくれ。

271 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 16:12:28 ID:2uxso5XQ
284.ワイルドカード[三日目午前]
ジョーカーは考えた。
ゲームに参加するにあたり、自分はどのような姿になろうかと。

(まず、もともとの自分の姿そのままで出て行くのは流石に論外でしょう。
生存者の誰かの姿を借りるのが現実的ではありますが、当人と鉢合わせた時が面倒なんですよね。
まぁそこから始まる混乱がゲームを面白くする可能性はありますが、
そんなドタバタは見てるから楽しいのであって、自分が出演者になるのはねぇ。
このゲームに参加してない人間に化けるのも悪くはないですが、そんな事なら
当人をそのまま連れてくればいいだけの話なのですし。
……ならば、死者に化けるのはどうですかね?)

このゲームのルール上、定期的に死亡者の情報は流しているので
普通に考えれば死人に化けて人前に出れば、怪しまれる事は間違いない。
その結果、自分の正体が露呈する可能性はもちろん、そうでなくとも、
生きてるはずのない異常を理由に真っ先に排除されるべきとして潰される可能性が高い。
「ならば敢てハードなゲームをして見るのも面白いでしょう。
それに…思わぬ方法で私たちに痛撃をいただいたあの人への意趣返しにもなりますしねぇ」

ワイルドカードの名を冠された存在として何処までいけるか、ひとつ試してみましょうか。
幸い、彼女については例の件があったせいで興味を向けていまして、
その人柄や能力はいままでの資料から調べさせていただきましたし、物まねくらいならできるでしょう。
-----

♀ハンターは狂ったように…いや、実際に狂って矢を放ち続ける。
グラサンモンクと♂セージはそんな彼女を救う(というか潰す)タイミングを計っていた。
矢の鋭さと悪くない狙いは脅威ではある…が、矢というのはいつか尽きるものなのだ。

それからさほど待つことなく、間断なく続いていたその掃射が止まる。
遠目から、彼女がフェイントを狙っているのではなく、からになった矢筒をまさぐっている事を
確認し、グラサンモンクはいまこそと決意し、一歩目を踏み出した。
彼女は予備の矢筒を取り出し、矢を番えようとしていた。
こちらの間合いに入るまでに一発は撃たれるだろうが、しかしその一発で殺されるつもりはない。
両手をクロスさせて頭部を守り突進するグラサンモンク。
そのグラサンモンクを目標に、♀ハンターは弓を引き絞り一矢を放った。
放たれた矢は狙い過たずグラサンモンクへまっすぐ飛んでいく。

だが、矢は彼の目の前でその軌道を変え、横を飛び過ぎて力なく木に突き立った。
「なっ…!?」最も驚愕したのは目の前で矢の不可思議な軌道を見たグラサンモンクだった。
矢を撃った♀ハンターも、わずかに動揺しているように見えるのは彼の目の錯覚だろうか?
ニューマか。一方の♂セージは後ろから俯瞰していたので状況がよくわかった。
♀ハンターが矢を放ち、グラサンモンクに到達する筈だった矢はニューマに防がれた。
…だが、誰がニューマを使ったのだ?
二人は少なからぬ動揺を催した。

そのため、木陰からちいさな人影が♀ハンターへ向かって走り、彼女の爛れた腕をつかみ、
彼らから離れるように♀ハンターを引っ張っていくその姿を見ながらも、動けなかった。
「♀ハンタさん、逃げますよ」と速度増加を自らと彼女にかけて走り去る、
小柄なノービスと、妙に従順にその指示に従う♀ハンター。
その二人の姿が完全に見えなくなった後に、ようやく体が動くようになった。
「今のは…スーパーノービスか?」
「そうでしょうね。ただ問題は…彼女は今日の朝までに死んでいるはずだという事です」
♂セージは考え込んだ。
♀スパノビが何故生きているのか?いやすでに死んでいて何らかの方法で動いているのか?
それとも何者かの偽装なのか?もしそうならば誰が、何のためにそんな事を?
そもそも偽装など可能なのか?ニューマとそして速度増加を使用した事実を含めて可能性を検討すると?
いや、そもそも…
「おい」
グラサンモンクに肩を叩かれ、♂セージは我に返る。
「とりあえず奴らは消えた。俺たちも行くぞ」
「…ええ、そうですね」
正直なところ、あの二人を追って事態を把握したい感情はあったが、
今はそれ以上に急がなければならない状況を抱えている。
最後に、周囲に再び攻撃してくるような気配はない、と確認し、二人は仲間の下へ戻るべく、
それぞれに負傷者を背中に担いで移動した。

272 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 16:21:24 ID:2uxso5XQ
<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 移動再開

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒 移動再開
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<♀ハンター>
現在地:E-6から移動(後の人に任せます)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、+2バイタルシュールドボウ[3]
    (所持品は全て寄生虫の体内にいたため痛んでいます)
    オリデオコンの矢筒、消費→オリデオコンの矢499本(数えるのめんどいので多数、でもいいですね…)
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:発狂 自我崩壊 ♀スパノビ(ジョーカー)により救出

<ジョーカー(♀スパノビに擬態)>
現在地:E-6から移動(後の人に任せます)
外見:csf:4j0610m2
所持品:なし
スキル:集中力向上、ニューマ、速度増加、ヒール (♀スパノビに準じる)
備考:生前の♀スパノビと最も接触の多い♀ハンターを救出。
   まずはを利用できる程に自分がちゃんと真似をできているか確認しましょうか、という所。
   ジョーカーの♀スパノビについての理解度はスキル情報、会話ログは調査済み。
   (実際どのくらい知ってるかについては後の人に任せます)
状態:無傷 ♀ハンターを救出

273 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 19:01:54 ID:VrJpvaD.
だからさ、女王に絶対の忠誠を誓うジョーカーが、自分に何かがあってこの先のゲーム進行、次回のゲームに支障をきたすかもしれないのに、自分の力を制限して参加すると思うか?
女王も自分に忠実な駒を失うのは面白くないはず
思慮深いジョーカーがそんな事するはずないだろう
プレイヤーが完全に団結してるわけでもないのに力を制限しないのなら、女王が不満を持たない程度にプレイヤーを殺していく進行になるのは明白
いくつも矛盾点や無理矢理があるのに、何故気付かない?

274 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 19:05:03 ID:n.gY7QN6
ぶっちゃけ否定するなら物語書けって思うよ・・・
ここはそういう場所だし他にもっといい出来の物語書けば誰も採用しないだろう

275 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 19:12:27 ID:Wq/JNoqU
反対している人がいるのに無理やり続けようとするとか…。
みんなで作るバトROワであることを思い出してほしいです。
二番煎じはおもしろくないから。
簡単にマーダーを作れるから。
これじゃ今までルールを逸脱しないよう考えて書いてきた人達に対して失礼すぎる。
ご都合展開がいくらでも許されてしまうなら、ルールなんてないも同然。
正直がっかりした。

276 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 20:14:37 ID:SYBgPUqE
>>274
明らかに無理があるのを指摘してる人に、文句あるなら書けって・・・
読み手は文句垂れてないで黙って見てろって事ですか?
例えば私が全員心臓停止の話を書いたとしても、読み手は文句言うなって事でしょ?
横暴すぎませんか?

277 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 20:27:45 ID:n.gY7QN6
確かにこの展開は違和感感じてるが
そこまで思うなら自分でいい作品にすればいいじゃないか

代わりの案でも出してそっちのほうが認められるならこんなやり取り不要だろw
過疎ってる過疎ってるって言われてこれはNGだろって言うだけで
他のシナリオ作らないならわざわざ反対するほどでもないだろ

違うって思うなら書いてみるのも自分でやりたい方向を執筆するのも一興だ
NGでもいいから自由に書いていいんだから進行に不満あるなら自分が満足するように進行させればいいじゃないか

これは嫌だって展開にNGはだすけれども自分なりのOKな展開は作らない作れない、我儘すぎるだろ

278 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 21:24:06 ID:PgBqqWz2
>>277
代わりを書けばいいって、ジョーカー参入に対する代わりの案って具体的にどんなの?

マーダー増やすのも脱出の道を探るのも書き手次第
話の流れなんて決まってないんだから、代わりの案なんて出せっこない
書き手が自分でNGだと判断して、違う話で塗り潰すしかない
それくらいなら議論もあったほうがいい
そもそもどう見ても無理矢理捩込んだ話に異を唱えるのは普通だろ?
これだけ矛盾とか違和感挙げられてて、書いたもん勝ち?横暴過ぎるだろ

279 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 21:27:43 ID:n.gY7QN6
話の流れ決まってないから代わりの案自由に出していいんだろうが・・・
非難するだけしてあれも嫌これも嫌でも話進めろってプロでも無茶な注文だろうがw

280 名前:270 投稿日:2008/05/25(日) 21:30:30 ID:2uxso5XQ
書くだけ書いてしばらく放っておいたらどうなるかなーと思ったら
予想通りつまらないことで議論しててわらた。

>273
「女王に絶対の忠誠を誓うジョーカー」が、女王の意思に沿うために
ゲームに刺激を与えようとしてもおかしくないな。
その上で、「自分の力を制限して参加」する事はゲームに対する
ルールの遵守と、さらにつまらない虐殺プレイにしない為の配慮だな。
そして「思慮深いジョーカー」は、ちゃんと自分の後釜だって用意してるワケだ。

お前さんが矛盾だと思っていることの大体は、多少のこじつけはあれども
説明は可能なモノばっかりだし、そういう説明をこじつけしながらやりあっていくのが
こういうリレー小説スレの醍醐味なんだよ。

>275
みんなで作るバトROワだからこそ、出来上がったもんに対する文句は
極力抑えてなんとか楽しそうな代物に仕上げたほうが建設的だろ。

ご都合主義結構じゃねェの。
それでカッコよければ、可愛ければ、面白ければナ。

>276
とりあえずお前がテンプレも碌に読まずに文句しか言えないヘチョだって事は
よくわかったからせめて今日は>1を5回音読して寝ろや。
その上でもっと面白い内容を書いてくれ。


このスレは、いってみりゃ不特定多数で遊ぶおままごとなんだよ。
いや、餓鬼が遊ぶようなヒーローごっこと言ったっていいけどな。
「俺は最強の剣をもつ最強の剣士!」っていうヤツがいるんなら、
「なら俺は100M先から敵を打ち抜けるガンマンな、はいお前撃った、死んだー」
って返しちまっていいんだよ。
その上で【剣士】が「甘いぜ、そんなの剣で弾いたからきかねー!」って言ったっていい。
そういう応酬をやっていいスレなんじゃねェの?
そういうスレで「いや、100M先から打ち抜くなんて無茶だろ」とか「剣で弾くなんて難しいだろ」
とか、いっちいち細かく言ったってしょうがないだろ。

まぁさ、当然の話だが「エターナルフォースブリザード!はい俺以外みんな死んだ!」
みたいな間抜けはNGでもいいだろうが、少なくとも今回の話はそういうんでもねえんだから。
物理的論理的に「まぁありうる可能性がまぁあるかも知れない」ってくらい説得力を付けられれば
書いちまったモン勝ちって所はあるんだよ。

まぁさ、それでも文才がないと思ってるヤツとか、こんな展開は面白そうだけど
ちょっと文章にできないなぁ、っていう人がいるんならさ、そういうの書けばいいじゃん。
こうしたいんだけど…って、書いてみればいいじゃない。こういう展開面白くない?ってさ。
例えば、俺は>268についてはちょっと叩いたけど、例えば>268が
「ここで、今一番論理的な淫徒プリが青箱開けて、ヘルファイアとかまた出てきたら
体力的に微妙な淫徒プリがどこまで殺せるかとか、周りの混乱とか面白くない?
プリまた一人減ってますます追い詰められるし」とかなんとか、
そんな事でも言ってみればいいじゃないの。

このままだとつまらないんだよ。
議論議論ばっかりでさ、久しぶりに出てきた話だって無理だ非合理的だと
理屈ばっかり並べて叩いてさ、その癖、>257を採用するかNGするかさえ決められてないじゃん。
つまらないんだよ、そういうの。

281 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 21:32:27 ID:fOEhuIlk
あんまりジョーカー参戦に違和感感じないのは特異なのかな私は?

自分の思ってたストーリと違う方向に進んで気に入らないなら
ここで取れる手段は二つ
・読まない。
・別のストーリを考え投稿する。

少なくとも、議論だけで進まないよりマシだ

282 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 22:16:16 ID:D8fBkqRc
>>279
非難もなにも、設定や話の流れを無視した話を否定する事の何が間違ってるんだ?
>>280
まず今回のゲームの発端から思い出してみろよ
女王がジョーカーの参加を望むと思うか?
・女王は冒険者同士の殺戮を望んでいる
・こんな所で自分が死ねば女王に対する最大の反逆
自分の力を制限するどころか、参入する必要もない
・後釜と言っても一兵士
女王に絶対服従なのかも判らず、手に入れた権力で女王に仇なす可能性もある
お前さんが言う説明も全部矛盾だらけなんだが
NGかどうかも決まってない?はっきりと反対って言ってる奴もいるだろ
俺もNGだと思うがな
設定無視しすぎ

283 名前:270 投稿日:2008/05/25(日) 22:58:52 ID:2uxso5XQ
>282
はいはい。

・女王は冒険者同士の殺戮を望んでいる
は正しいんじゃない?その上で

・こんな所で自分が死ねば女王に対する最大の反逆
そうか?
ジョーカー→女王への絶対的忠誠は作中幾度となく語られたから
今更疑いの余地はないが、ゲーム執行委員のジョーカーに対して
女王がどこまで肩入れをしているかね。

ジョーカーだって、自らの不在によるゲームの運行不順を懸念して
身代わりを置いたんだろう。
これでこの矛盾は解決したようなきがするぜ、うん。
アレ?しかし、誰かが行っていた通り、ただの兵士にジョーカーの代理なんて
出来るはずがないというのもまた明白だな。しまった、また矛盾できちまったなw

それなら、ここで仮説が一つ二つ出来るんじゃなかろーか?
「自分がいなくなる事、其れ自体は大した事ではないだろう」とヤツが考えているという仮定。
もしくは「自分がここで介入することで、結果的に満足できる形で状況を収集できる」と
自分自身の手腕に絶対的な自信を持っているという仮定。
他にも考え付くヤツはいろいろ考えられるんじゃないか?
それこそひょっとしたら、今回の介入は実は弟疑惑の出てる♂セージを
助けようと、「実はいいおにいちゃん要素が残ってたよ」ルートだって出来るかも知れん。
そしたらジョーカー超萌えキャラだな。

そうやって、考えられる展開の中から、誰かが作り上げた話が採用されて、
さらにそこで出た矛盾に次のヤツが回答を重ねていく。
リレーってのはそうしたもんだ。
ああッ!?
そういや、俺たちも「俺がレスして」「お前さんが矛盾を指摘して」「俺がそれに返す」って、
それなりにリレーしてるな。はっはっは。大したモンじゃねぇか。

…まぁ、それはそうと、だ。
上のだって、別にどれだって構わないし、其れこそ>257をNGして新しく展開作ってもいいんじゃない?
別に、俺だって自分が書いたヤツがNGされる事自体にはそれほど抵抗ないし。
ジョーカーいなくたって何とかなるってんなら、そっち方面で行くのだってスマートだからな。
矛盾は出てくるかもしれないな?
でも、なら後のヤツがそれをどうにかこうにか解消してやりゃーいいのさ。
いや、それこそ、矛盾なんてあったって構わないからそんままいっちゃえー、ってのもありかもなぁ?

矛盾だって間違いだってあるよな、だってにんげんだもの。(c)みつを


…で?
>282はいったい「どうしたい」んだ?
矛盾だ矛盾だ喚くのはいいけどさ、いくらでもこじつけられちゃうぜ、こっちは。
こっちとしては、むしろ矛盾のない展開について案があるなら出して欲しいくらいなんだがな。

最後に言うが、NGってのは、無理やりでもいいから誰かが「これはNG」って
言わない限り始まらないし終わらないぞ。
まぁ、なんならお前さんが自分でいっちゃえばいいんじゃね?
「>257以降はNGッ」ってさ。
作られた話を切る時には、はっきり切る。
それが少なくない時間をかけて1,2レスに文章を書き上げるミニ作家たちへの礼儀ってもんだ。
それがされないんであれば、>257は切れないんだよ。


まぁ、もう今日は言いたい事言ったし、もういいや。俺はおやすみだ。
後は好きにしたらいいんじゃないか?

284 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/25(日) 23:40:49 ID:NbRo95aQ
>>257です
えっと…色々予想外の展開で正直焦ってます;;

言い続けていますが、書いた本人無理があると正直思っています
まさか繋いでくれる人がいるとは思いもよりませんでした。ありがとうございます…って言うのも変ですけど

そうなると、何故こんな無理があるものを書いたかというのが問題ですが…
ぶっちゃけてしまえば色々なネタが上がればなぁ、ということです
>>268のような、書き手さん方々にとって材料になる意見が出てくるのではないかなァと
否定の意見は最もです。が、否定一辺倒のレスが殆どだとは予想外でした

例えば、ここをこうすればこの話でも行けそうだとか
変身の魔法があるなら、兵士にかけて送ったほうが自然じゃね?とか
これじゃ無理有り過ぎるからこんなの書いてみた、とか
文に出来ないけど、こういう流れならいいんじゃない?とか

「ジョーカーなら殴りこみかけてもおかしくないよなぁ」などと思い、それを形にしてみました
何かの間違いでこれが通れば感無量、他の書き手さんが素晴らしいものに書き直してくれれば大感謝
話は進まずとも書き手さんにとって有益なアイディアが出れば、拙い文を晒した甲斐があるというものです
軽く、容易にと書かれていますが、ストーリーや設定読み直して違和感無い様に仕上げたつもりです

…いやまぁ、結局つもり止まりだった訳ですけれども。一読み手が書いたもんで穴だらけでしたが

とまぁ…拙さを棚に上げてスレ荒らした本人が偉そうな事をのたまった訳ですが…
アイディア出し合っていいものを作っていきませんか?って事です

ダラダラと相変わらずの長文、失礼しました

285 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/26(月) 00:26:29 ID:GDcu65xU
正直自分も今のままじゃあれは無理ありすぎだと思う
設定を無視しすぎるのは設定を考えた人に対して失礼だと思うし
とりあえずNG扱いにさせてもらって投下

282.悪意は静かに笑う[三日目午前]


「♀商人さんなら、私達と一緒に・・・」
淫徒プリと悪ケミは同時に振り返る
「・・・見る影もないよ?」「それ、言葉の使い所間違ってる」
「うるさいわね!」
♀マジのツッコミに、♀アコが叫ぶ
「少し早く歩きすぎたかな・・・」
「一緒に戻ろうと言いましたから、もう少ししたら戻られると思いますが・・・」
不安げに言う悪ケミと淫徒プリ
「・・・来ないね」
「うん、こない」
♀マジと♀アコが顔を見合わせる
淫徒プリの言葉虚しく、軽く♂プリと全員の自己紹介を済ませたが一向に♀商人が戻る気配はない
「私があの時目を離さなければ・・・」
「そんな事言ったら、私だってそうだよ。今は♀商人と♀ケミを探そ?」
自分を攻める淫徒プリに、悪ケミがフォローを入れる
「そうだよ、♀ケミにも謝らないといけないしね。♀マジなんて本気で魔法撃ってたし。」
「あんたが言うか!」
♀マジが怒鳴る
「だけど、全員で此処を離れるのはマズイだろ?」
「そうですね・・・♀商人さんが戻られるかもしれませんし・・・」
犬猿の仲の二人を見て笑いながら言う♂プリの言葉に淫徒プリが頷く
「俺が探して来る。一人なら小回りも利くし、体力には自信があるんだ。」
「貴方は今まで意識がなかったんですよ?危険過ぎます!」
「大丈夫、言ったろ?体力には自信があるって。危険を感じたら戻るからさ。」
淫徒プリの制止を振り切って、♂プリは歩きだす
正直、身体の節々が酷く痛むし、魔法も殆ど使えそうにない
だが、女性を危険な目に合わせる訳にはいかない
それに、とびっきりの美人の淫徒プリにいい所を見せたいという下心もあったが
「・・・危なくなったら戻って下さいね?」
淫徒プリの言葉に振り向く事なく、♂プリは右手を高く掲げて振りながら走り出した
だが、その時―――
「キャアアアアアア!!」
突然の耳を衝く悲鳴に、驚きながら♂プリは駆け戻る
(何だ?!何が起きた?!)困惑の表情で駆け付けた♂プリの顔が凍る
その絶望の視線の先には異様なまでに膨らんだお腹を抱えながら、のたうちまわる一人の女性が居た


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共にレッドゾーン
<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 毒疑惑により♀マジ達から逃走
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態
<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 仲間を襲う奴を止める
状 態:HPレッドゾーン脱出?
<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目
<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミをやっつける ♀マジも助けたい
状 態:多少の傷 SPほぼ枯渇 寄生虫ロシアンルーレット状態 毒状態
<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意 ♂スパノビに押さえられている
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し 寄生虫ロシアンルーレット状態
<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    悪ケミ・淫徒プリと同行 嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中
<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 食料二食
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・悪ケミと同行 ♀ケミを信じるべきか?
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態 SPほぼ枯渇
<残り15名>

286 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/26(月) 18:20:55 ID:f2zKNP3Y
>>281
他の人がただ気に入らないだけで否定してるように見えるのでしょうか?
ジョーカーはゲームの管理者側の人間であり、参加者では知りえない情報をたくさん持っています。
つまりこの絶望的であるはずのゲーム内で、一人だけ有利に動くことができてしまいます。
クイズ番組で製作者の一人が回答者に混ざるようなものではないでしょうか。
これでもゲームに参加するのは問題ないと言えますか?

前回と同じですね。
こんな排他的なスレじゃ住人が減っても仕方ないですよね。

287 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/26(月) 21:54:04 ID:JzHENqEU
否定しかせず、何らアイディアの提示しないってのもスレ住人が減る原因だと思うケドナー

288 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/26(月) 22:17:01 ID:lxKpT70M
>>286
ちょっと待った。なんでこの流れでそこをつくの?

気に入らないだけで否定してるレスがないことくらい分かるよ。
ぶっちゃけ自分も否定派だけど、気に入らないなんて理由じゃない。

とんでも展開過ぎる。
一言で言えばこれに尽きる。

けれど「NG覚悟」で投下と257氏は宣言しているし、
だからと言って投げ遣りじゃなく、>>266で動機etc.説明も上げてる点から、
書き手なりに考えて書いてある。

NG作品になったとして、ロワの作品じゃないわけじゃない。
NG作品の倉庫もある。たとえそこにいくことになっても、257氏も文句なんかないだろう?

そのころには、本編ルートでNG部分修正の話が上っているか、
全く違う話だろうとも物語が進行しているはずなんだから。

つーか、>>284で理由読んでその心意気に惚れた。
びっくりだよ上等だよ、あんたの策略に嵌ったよ。
ほんの数日でレス増えまくってて仰天したさ!

あー…というか、286氏よ。
281氏はそんなこと言ってるか?
「気に入らない」が「=否定理由」なんて言ってないし、
このレスのメインは「だったらどうする」って手段提起だろ。

ここで注目点を前文にするのはお門違いじゃないか?
レスを返すなら手段に対してだろ…じゃないと水掛け論も甚だしいぞ。

…なーんて一個人(感想・議論類でなく)相手どってレス返すのもどうかと思って黙ってようと思ったんだけどなー。
所詮堪え性がねー一名無しですよ。orz

289 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/26(月) 22:22:34 ID:ribfyvSo
>>286
いちいち嫌味いれなきゃ話できないのかね?

290 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/26(月) 22:36:06 ID:HSNSZBs2
>>285がNG扱いにして話書いてくれたんだからもういいんじゃねーの
否定派も肯定派もぐだくだ言ってんな
しかし寄生虫ついに孵化か?
悪ケミあたりがロシアンルーレット当たると脱出は絶望的だな

291 名前:281 投稿日:2008/05/27(火) 00:06:44 ID:efumaFA6
否定しかない流れなので、あえて賛同の意を投じた。
ジョーカー参戦は圧倒的有利だからこそ意味があると思ったしね。

まあ最終的には>290に同じ。

292 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/27(火) 01:31:45 ID:lTqKn1v6
これでヒットしてたのが淫徒プリだったら吹く

293 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/27(火) 02:50:37 ID:LHNg3Dho
>>257です
なんかいい流れで行きそうでよかったです

>>288
まさか評価を頂けるとは思いもよりませんでした
策略と呼べるほどスマートなものではなかったですが…

NGに関しては、問題ありません
>>271には申し訳ありませんが…>>285の流れがとても自然で素敵なので、このまま進めて頂きたく思います

ついで、と言っては何ですが…
書き手さんは、もしまた動かしづらくなった時、「ネタプリーズ」と言った旨を書いて頂けると、アイディアを出しやすい空気になると思います
読み手さんは、どんなネタでも、どんな中途半端な文でも積極的に書き込んで欲しいです。1つを数人で仕上げたって良いと思いませんか?

シングルズではなくチームプレイでやっていければいいなぁと思う次第です

以上で個人的なレスは終わりにします
お目汚し、また色々不快な思いをさせてしまった方々、ごめんなさいでした;;

294 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/29(木) 22:49:35 ID:IyXvYCZg
なるほど。
個人ではなく合作ということか。
もしかしたらリレーということで、個人という言葉に固執しすぎていたのかもねぇ。

若輩者だが、ネタ投下に関しては尽力したいとおもいますぜ。

>>290
あえて脱出を困難にさせて、神的展開に期待するってのも面白くないか?
いや・・書き手に負担を与えることになるか・・。

295 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/05/31(土) 08:00:51 ID:RsYjwof.
283. 迷い道回り道 [3日目午前]


ひたひた、ひたひた

♀商人はただまっすぐに進む。
自分の足音に追われるようにして。

木漏れ日の作る影におびえ、
風の鳴る音に身をすくませながら。

後ろを振り返るのが怖い。
振り返ればさっきの化け物がすぐそこに居るような。

目的地があるわけでもないのに、足取りは次第に速くなる。

ひたひた、ひたひた

視線は前へ向いていても、意識は後ろにばかり向かって。
だから声を掛けられるまで気付くこともできなかった。

「おい」
「ひっ!?」

突然行く手の木陰から現れた人影に彼女は硬直する。
よろめくように数歩あとずさり、しかしそれ以上は足が止まった。
戻れば「あれ」がいるかもしれない。

前門の虎後門の狼。

カチカチと歯が鳴り、手のひらに嫌な汗が湧いた。
カートの取っ手を握り締めている指を一本ずつこじ開けるようにして開き、手袋を外す。
そして――そのまま投げつけた。

「おっと」

難なく避けた男は面白くもなさそうに鋭い視線を返す。

「またか。今度こそ決闘したいとか言うんじゃないよな?」

不機嫌そうな口調。
だがそれを聞いた途端に♀商人の顔がくしゃっと歪んだ。
手足の力が抜けて地べたに座り込む。

「お、おい?」

男はそれまでの仏頂面を崩して狼狽をあらわにした。
あまりにも思うようにならない運命に苛立ってはいたが、根は善人らしい。
♀商人は彼の名を呼んだ。

「♂騎士さん、だったよね」
「ああ。1人なのか?仲間はどうした」
「……」

彼女の目から滴がこぼれる。

「おい、泣くなよ!……まいったな……」

無言で涙を流し続ける彼女を、やはり♂騎士は見捨てることができそうになかった。

******

「そうか…たいへんだったな」

泣き声まじりにつっかえつっかえ事情を打ち明けると、♂騎士はため息をついた。

「…なんであんなことしちゃったんだろ」
「どうしてだろうな…」

♂騎士は♀商人の頭をなでようとするように右手を伸ばしかけ、途中で引っ込めた。
子ども扱いするのを避けたのだろうか。
別によかったのに。
そんなことを思っていると、彼はじっと自分の手を見つめながらつぶやいた。

「俺も同じだ。勝手に追い詰められて、気がついたら取り返しのつかないことをしてた」

その手で刺してしまった♂アルケミストのことだろう。
だがその独白は♀商人の心にも厳しく響く。
しゅんとなってうつむく彼女を見て♂騎士は慌ててフォローした。

「でもさ、お前はそれで誰か死なせたわけじゃないんだろ?だったら大丈夫。人の命以外で本当に取り返しのつかないことなんかない。やり直せるさ」
「…………」

反発は、感じた。
そんな簡単じゃない。他の誰かに言われたなら、例えそれが♂セージだったとしても言い返していただろう。
でも今の♀商人には言葉の裏にある苦いものが見えてしまった。
人の命以外で本当に取り返しのつかないことなんかない。やり直せるさ。
――俺とは違って。
♂騎士が口にしなかった言葉を噛み締め、彼女はゆっくりとうなずいた。

「考えてみる」
「それがいい。仲間達のところまで送ろう」
「ううん」

その申し出には首を振った。
いくらなんでも逃げ出してすぐに戻るのは恥ずかしい。
それに

「まだ戻らないほうがいいと思うの」
「プライドを気にしてる場合じゃないだろ」
「そんなことじゃなくて」

確かなんかあったはず。バラバラに行動した方がいい理由。
半分聞き流していた♂セージの言葉を一生懸命思い出す。

「何かわけでもあるのか?」
「え?えーっと♂セージさんがね、…あ」

言っちゃいけないんだっけ。
危ないところで♂セージのやっていたことを思い出し、しゃがみこんで土に文字を書きはじめる。

『なんか装置?探してるの。岬にあるんだって』
「どうした?」

突然の行動に♂騎士は怪訝な顔で覗き込む。
♀商人は適当にごまかした。

「えーっと、こっち、かな?だったと思うから」
「…ふうん。それで?」

文字を読みとった♂騎士は、その部分だけ地面に書いた理由がわからず不思議そうな声で訊く。

「たぶん他のみんな動けないし、このまま探しに行こうかなって」

彼女がそう言うと、♂騎士はあからさまに仕方ないなという顔でため息を吐いた。

「分かった。これも何かの縁だ、手伝おう」
「ありがと」

どうも戻る決心がついてないだけと思われてる気がする。
感謝を口にしながら♀商人は思った。
もちろんそれもある。でも、だからこそ少しでもみんなの役に立つことをしてから戻りたい。
彼女は地面への文字を書き足す。

『あと、声聞かれてるからしゃべっちゃだめなんだって』

それを読んだ♂騎士は素早く姿勢を低くして四方へ視線を飛ばした。
近くに誰も居ないのを確認して同じく文字で質問する。

『誰にだ?』
『GM』

短く返事を書いた瞬間、♂騎士ののどが奇妙な音を立てた。

『先に書けよ。危ないだろ』
『ごめん』

もうちょっと詳しく説明しなくちゃいけないかな?
あんまり自信ないんだけど。
いろいろ訊きたそうな♂騎士の様子に♀商人は首をかしげた。


<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   ♀商人と同行 両手剣タイプ
状態:痛覚喪失? 体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった?

<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    ♂騎士と同行 嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 装置を探しに行く

<残り15名>

296 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/02(月) 03:12:58 ID:G7U4tlx2
何処に誰がいるのか解らなくなってきたので、チーム分けと状態説明(最後に出てきたと思われる部分)をまとめてみた。

・かしまし組(♂セージ待ち・ロシアンルーレット中)E-6
 ♂プリ・♂スパノビ・悪ケミ・♀アコライト&子犬・♀マジ・淫徒プリ
・♀ハンタvs♂セージ組(装置探し+負傷者回収)E-6
 ♀ハンタvs♂セージ・グラサンモンク・♀騎士・♂モンク・♀ケミ
・トラブル組(装置探し)E-6
 ♂騎士・♀商人
・♀WIZ(謎の地下室)
イレギュラー
・ふぁる(何処かに放置?♂騎士が連れてる??)E-6
・パピヨン・デビルチ(チーム結成後動きなし?)E-7
・子デザ(♀アコと同行)

♀ケミは>>285で状態説明が出てるが恐らく消し忘れと解釈、>>233の状態説明を使用。

読み返してみて解ったような解らんようなこととか
・カプラWはBRに参加させられたが最初のランダムテレポで死亡?
・GMは森:死亡/橘:生存だよね?
・+10スティックキャンディの説明書き
・悪ケミがシーフ系探してたような気がするけど・・・

◆かしまし組(♂セージ待ち・ロシアンルーレット中)>>285
<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 仲間を襲う奴を止める
状 態:HPレッドゾーン脱出?

<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共にレッドゾーン

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミをやっつける ♀マジも助けたい
状 態:多少の傷 SPほぼ枯渇 寄生虫ロシアンルーレット状態 毒状態

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意 ♂スパノビに押さえられている
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し 寄生虫ロシアンルーレット状態

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱 食料二食
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
    ♀商人・悪ケミと同行 ♀ケミを信じるべきか?
状 態:寄生虫ロシアンルーレット状態 SPほぼ枯渇

297 名前:296続き 投稿日:2008/06/02(月) 03:14:35 ID:G7U4tlx2
◆♀ハンタvs♂セージ組(装置探し+負傷者回収)>>233
<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
    (所持品は全て寄生虫の体内にいたため痛んでいます)
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:発狂 自我崩壊

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♀ハンターと対峙

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒 ♀ハンターと対峙
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?


<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スーパーノービスと合流したい(ひとりは怖い)
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態 喉元に矢 毒 気絶 瀕死


◆トラブル組(装置探し)>>295
<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   ♀商人と同行 両手剣タイプ
状態:痛覚喪失? 体力は半分以下 精神は安定? 個体認識異常を脱する。
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった?
<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    ♂騎士と同行 嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 装置を探しに行く

◆動きが無い?
<♀WIZ>
現在地:謎の地下室
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HPは半分くらい?
    希望が見えてきて気持ちが前向きになるも♂シーフと死別して不安定に

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇、置き去り?
状 態:JTによる負傷で気絶中

<デビルチ>
位 置:E-7
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔 パピヨンと同行

<パピヨン>
現在地:E-7
備 考:ミストレスの魔力を一部受け継ぐ ノーマルより強い デビルチと同行
状 態:あちこちに軽症 撃退されてご立腹中?

298 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/04(水) 00:59:03 ID:TZwmKx06
まとめお疲れ、ありがとう!
ROM専だけど隅っこから応援してます(`・ω・´)

299 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/04(水) 11:08:40 ID:D43WUBMs
ダラダラgdgdどうでもいい議論してるところであえて言うが、正直展開とか忘れてるしもう打ち切りでいいよ

300 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/04(水) 12:52:35 ID:xng0gr62
>>299の記憶力に全米が泣いた

301 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/04(水) 14:02:43 ID:C2Ygw1Ts
過去から来たんですね、わかります

個人的に♀WIZが気になるなぁ…
地下を追い出されて…GM森の愛剣の刀身?を持ってるんだよね、確か
♂セージ達と早く合流しないかしら…

302 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/06(金) 11:18:28 ID:3medx2Vs
>>296
悪ケミがシーフ系探してたのはGMの持ち物盗むためじゃなかったっけ?
だから♀Wizが合流すればOK
残りは気奪のできるモンク系
脱出の鍵は揃っている感じだけどロシアンルーレットの結果次第では…

多少変なところがあってもアイディアがんがん書き込んでいいんじゃないかな?
矛盾があれば突込みが入るだろうし、修正案出してくれる人もいるだろうし。
終盤は前回もかなり揉めたようなログが残ってるけど、
皆でラストまで持っていけるといいなと思ってます

>>295
久しぶりの♂騎士
この人は主人公的ポジションの割りに結構危ういよね
GMからの洗脳とけたのかなぁ
♀商人もなんだか積極的になり始めた?

303 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/06(金) 23:12:59 ID:kyhVHcyg
284.受け継がれしカリスマ

「・・・・・・ファイヤーウォール!」
 ごう、と紅蓮の炎が草原に立ち昇り、びくりとパピヨンが硬直する。
 炎と氷、ふたつの壁に攻撃を悉く阻まれ、デビルチとパピヨンは折角見つけた獲物を前に悪戦苦闘していた。
「ちょっと何ーこいつー」
「こノ・・・・・・ユピテル・・・・・・」
「ユピテルサンダー!!」
 己が詠唱よりも速く、♀Wizが放った雷撃球がデビルチを直撃し、盛大に吹っ飛ばされる。悪魔の纏う『闇』の属性を持つデビルチゆえ何とか耐えることは可能だが、こんなものを何発も喰らっては身が持たない。
「ク・・・・・・コンな、・・・・・・!!」
「ヤバくない? あれ、あたしはパスでいいよー。美味しくもなさそうだしー」
 よろよろと起き上がるデビルチと眼前の♀Wizを交互に見ながら、パピヨンは既に戦意を喪失していた。
 パピヨンとデビルチの二匹は、同盟結成後、餌となる人間を探して徘徊していたところ、幸先良く人間――♀Wizを発見し、意気揚々と襲いかかったのだが。その結果がこれである。
 ♀Wizは、デビルチとパピヨンの二匹がかりの攻撃でも全く怯もうともせず、逆に魔法を駆使して彼等を窮地へと追いやっていた。
「・・・・・・逃がしませんよ」
 ♀Wizとて、このゲームからの脱出の障害となるであろう存在を黙って見逃すつもりはない。件の小屋を出てすぐのところをモンスターに強襲されたのには驚いたが――ファイアーウォールとアイスウォール、ふたつの魔法壁によってデビルチとパピヨンの退路を絶ち、確実にこの魔物達をここで仕留めようとしていた。
「んもうっ!」
「クワグマイヤ!!」
 炎も氷も飛び越えて飛翔しようとしたパピヨンの足に、魔力の泥沼が絡み付く。
「やん、ちょっ、何コレっ!」
「逃がさないと言った筈です」
 しかし、パピヨンは己が纏う『風』の属性に加え、ミストレスの魔力を宿しているため(この事実自体は♀Wizには知る由もないが)♀Wizの攻撃の主軸となるユピテルサンダーのダメージが通り難い。かと言って、多少の呪文詠唱を必要とするストームガストや幾つかの魔法を複合しての攻撃では逃げられる、或いはもう一体のモンスター、デビルチからの攻撃を許してしまう可能性がある。一体ずつ相手をするのなら、やはりまずはデビルチを仕留めなくては。
「・・・・・・ソウルストライク!!」
 ♀Wizの呪文により召霊された古代の聖霊達が、魔力を纏ってデビルチへと襲いかかる。それは目標に直撃し、デビルチは白目を剥いてその場にこてんと転がった。
「・・・・・・・・・・・・クソ・・・・・・あノ時、主ガ止メを・・・・・・刺していレバ・・・・・・」
 ♂Wizと共にこの♀Wiz達を襲撃した時。この♀Wizは、♂Wizとの魔法合戦に於いて敗北を喫している。それが、デビルチの油断を誘わせた。♀Wizは大した相手ではない――そんな先入観は持つべきではなかった。こいつは、強敵なのだ。
 悔しげに、しかしデビルチは地に伏せることしか出来なかった。そんなデビルチを見下ろして、パピヨンは下唇を噛む。
 ――何さ。何が最強の種族だ。全っ然口ばっかりじゃん。
    なんでこんなのに付き合って、アタシまで怖い目に遭わなきゃいけないのよう・・・・・・
 その時。
 今、何かが。
 そう、その時パピヨンだけが『何か』を感じ取ったのだが、その『何か』の根源をすぐに♀Wizも、そしてデビルチも知ることになる。

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「・・・・・・・・・・・・!?」
 悲鳴。
 遠くの方で、悲鳴が聴こえた。否、今も続いている。
(誰かが、何か――今の声は――!?)
 随分と距離があること、それに♀Wizの冷静な判断のお陰で悲鳴に乗って戦慄までは運ばれなかったが、それでも♀Wizがその悲鳴に気を取られたその隙に、パピヨンはクワグマイヤから抜け出し、悲鳴の聴こえた方向――以前、自分が冒険者達に苦渋を嘗めさせられた広場へと向かって、全速力で飛び立った。
「・・・・・・、待ちなさいっ・・・・・・!!」
 慌ててアイスウォールを詠唱するが、大地より渦巻いた大気が凝結して形作られた氷の壁の射程距離は、既にパピヨンが飛び立ったあと。

「アアアアアアアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!」

 そして、永遠に続くかと思われるようなその悲鳴は、絶叫と呼ぶに相応しいものに変わった。


   ◆  ◆  ◆


――ねえねえっ、あなた、アタシのお仲間だよねっ!?
――んーん、わかるよ。ねえ、アタシ今ピンチなんだけど、そっち大丈夫っ?
――アタシもそっちのニンゲン倒すからさっ、ちょっとこっちのと合わせてどうにかすんの手伝ってくんない?
――もちろん! そんだけニンゲンいるんなら、わんさか食べちゃって問題ナイナイ!
――おっけ! 今行くから、助けてねっ!


 生まれたモノは、ただ只管に孤独で残虐で暴食な悪意であった。
 生まれ持った種の本能として、己のいる場所へと向かってくるモノから受信した信号に応え、そして悪意はその信号を送った者――パピヨンを己が女王であると認識する。

304 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/06(金) 23:13:54 ID:kyhVHcyg
  ◆  ◆  ◆


 「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙・・・・・・・・・・・・ァ゙・・・・・・・・・・・・」

 力尽きたのか、命尽きたのか。迸る絶叫は途絶え、裂けた腹部から血肉と臓物と、そして異形の悪意を飛び出させた淫徒プリは、指先だけをまだ少しぴくつかせていたが、やがて動かなくなった。その淫徒プリの『中身』を、淫徒プリの中から出てきた悪意が貪り喰らっている。
 悪夢のような光景に、そこにいた一同は絶句して、ただそんな悪意を取り巻くように茫然と見つめていた。
「オイ・・・・・・何だ、こりゃ・・・・・・何なんだ・・・・・・!」
 ♂プリーストが恐怖を噛み殺すかのように叫ぶが、その問いに答えられる者などいよう筈もない。
 髪を振り乱した『淫徒プリであったもの』は、彼等がさっきまで見ていた淫徒プリその人ではなく、端正な顔立ちをした(最も、今ではその表情は恐怖と苦痛に歪んでいるのだが)青年と呼べる年格好の男性であった。♀アコあたりは実はどちらかというとこの事実の方が不思議だったのだが、それよりも遥かに異常な事態が眼前に広がっている以上、一同はそちらに注目せざるを得ない。
 その悪意は、節によって体を繋げた、不気味な昆虫のような姿をしていた。毒々しい紫色の体には見る者に生理的な嫌悪感を抱かせる、艶やかともいえる目玉のような紋様が刻まれており、淫徒プリの血に濡れてぬらぬらと光り、一見しただけでは堅そうなのか柔らかそうなのかも判断し難い。また体の両端から鋭く凶々しい牙のようなものが2対ずつ生え揃った顎のようなものがあり、頭部がどちら側なのかも判別できなかった――恐らくは淫徒プリの骸を貪るように顎を動かしている方の部位なのだろうが――否、或いはどちらも頭部なのかもしれない。その体の下部側面より、鉤爪の付いたやけに長い6本の、節足動物ならではの形状をした足が飛び出ていた。
 眼前の異形に見覚えのある者は♂プリースト達の中にはいなかったが、間もなく悲鳴を聞きつけてここにやって来る♀Wizの知識の引き出しから検索を掛けてみるに、ウンゴリアントというシュバルツバルド共和国の伝承に存在する鉱山の主、その亜種――と見るのが最も適切であろうと判断された。
 ♀アルケミストは♂プリーストは何度目の前で人が死のうど終わらぬ悪夢に、♀マジシャンは怖気立つほどの眼前で行われている行為に、♀アコライトはその悪意の持つ外見の毒々しさ自体に、悪ケミは自らの持つ知識の外の存在に、♂スーパーノービスは凄惨たる血の海を目にして、子犬は獣としての本能に、彼等は恐怖に、只々立ち尽くす。

「いた〜〜〜〜!!!!」

 そして、そこに悪意の主となるべき器を持った、女王が訪れた。
 その声に、今までがりがりと淫徒プリの亡骸を貪っていた異形の蟲が反応する。
「パピヨン・・・・・・手前ェ・・・・・・!!」
 はっと我に返り、♂プリーストがマイトスタッフを構える。それに続くように、各々がそれぞれ戦闘体制を取った。
 しかしパピヨンは♂プリースト達には目もくれずに淫徒プリの屍の元へと飛んでいくと、屍の避けた腹部から顔を出す異形をその小さな胸の中に抱き締めると頬擦りを始めた。
「あーもうかわいいなあ! んふ、血でどろどろじゃないあなた。アタシがとったげるー、ちゅ♪ ・・・・・・あ、おいしっ」
 パピヨンの顔も血化粧によって真っ赤に染まっていくが、全く意に介する様子も見せない。
「・・・・・・オイ」
 ひとしきり蟲と戯れるパピヨンに向けて、♂プリーストが殺気を向けた。声が震えているのは、恐怖の残り香でもあり、また彼の怒りでもある。数刻前にパピヨンから傷付けられた恨みと、淫徒プリをそんな姿にした蟲との関係。仲間ですよと言わんばかりのパピヨンの態度から、よくはわからないが全ての元凶はこいつだ、と♂プリーストは納得する。
「そいつぁ手前の仕業か」
「んー? あー、さっきのニンゲン! 今度はさっきみたいにいかないんだからねー!」
 パピヨンは♂プリーストの問いなど聞いていないかのように、否多分実際聞いてなどいなかったのだろうが――その証拠に♂プリースト達の存在にも今気付いたようだし――あかんべをすると蟲から離れて舞い上がり、触角の先を♂プリースト達に向ける。
「さあ、やっちゃうよっ!」
 呼応するように蟲が空気を震わせるように嘶く。びりびりと肌を刺す悪寒に、♂プリーストはごくりと唾を飲み込んだその時、吹き荒ぶ冷気の風がパピヨンを中心とした空間を包みこんだ。瞬時に危険を察知してパピヨンは上空へと逃れるが、。
「・・・・・・来たわねー、おばさんっ!」
 ♀Wizを睨み付けるパピヨンの下で、ぱきぱき、と氷像が割れ、その中から現れた異形の蟲が怒りにぎちぎちと牙を鳴らした。


   ◆  ◆  ◆


 その頃。
「ギ・・・・・・キキ・・・・・・。・・・・・・我はマだ死んでおラン・・・・・・目にモノ、見せてクれる・・・・・・!!!!」
 満身創痍のデビルチは、己のプライドを支えに♀Wizの後を追っていた。
 ゆっくり、ゆっくりと、ぼろぼろの身体を引き摺りながら。


※淫徒プリの絶叫が、E-6を中心に一帯に響き渡りました。

<♀WIZ>
現在地:E-6
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HP/SP中回復

<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 仲間を襲う奴を止める

<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共に微回復

<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミをやっつける ♀マジも助けたい
状 態:多少の傷 SP微回復

<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し

<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目

<デビルチ>
現在地:D-6→E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔
状 態:瀕死

<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い

<寄生虫>
現在地:E-6
外 見:ウンゴリアントの亜種
備 考:淫徒プリから孵る パピヨンに忠誠
状 態:ストームガストを一発直撃。耐久力等は他の書き手さんに任せます

<淫徒プリ>
現在地:E-6
状 態:死亡

<残り13名+4匹>

305 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/06(金) 23:19:01 ID:kyhVHcyg
通しNOは正しくは285なのかな?
282(本当は283)からズレてきてましたね・・・(汗

306 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/07(土) 04:50:19 ID:t88nk5lo
前作と比べて何が悪いのか気付いた
モンスターの乱入が多すぎて全然バトロワ関係ねえ
ヒール役がモンスターだけとかもうただの狩りの延長戦じゃん

307 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/07(土) 08:10:07 ID:V/2.L71o
マーダー死にすぎたからな。今更モンスターだから駄目だとか言ってる場合じゃない

308 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/07(土) 18:16:43 ID:K35Z7OPI
ヒール役がモンスターだけってなんぞ?
ヒール役=ヒール可能な職=♀アコ・♂プリ・♂モンク・グラサンモンク なんじゃないの?

見当違いなこと言ってたらスルーしてくだし

309 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/07(土) 18:58:08 ID:S3vAJD8w
ヒール=悪役
ヒーラーとヒールは違う
書き込む前にせめてググレ

310 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/08(日) 02:01:56 ID:1ecywBW6
>>308にちょっと萌えた

>>304
GJ!! んでも
「♀アルケミストは♂プリーストは何度目の前で人が死のうど終わらぬ悪夢に…」
ってあるけれども、♀アルケミ確か瀕死中ってか…ここにいなかったよね?
状態欄にも書いてないし、誤字でいいのかしら?


で、>>396にも書かれてるんだけど、カプラWさんどうなっているのかしら?
NO.021で特別枠として参加になっているんだけど、参加者一覧には無いんだよねぇ
変わりにジルタスさんが入ってるから参加者50人になってはいるけれども
ここでまさかのマーダー化?

311 名前:303 投稿日:2008/06/08(日) 02:24:43 ID:a3bfKX.E
>>310さん
あうあ、ミスですorz
推敲を重ねてから投稿すべきだったのは謝罪の他し様がありません・・・・・・


確かに、マーダーがモンスターの他存在しないのはある程度の制約となっておりますが・・・・・・
それでも、ストーリーとしての根底を覆す訳で無いのであれば、今はこれ以外に方向は無いと考える所存です。
私は少なくとも、今のこの物語を無事完結したいと考える一人なので、このような拙いぽ物語ですがお許し下さいませ。

312 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/08(日) 07:20:33 ID:qHAiliK2
GJと言いたいが、この先の書き手の行動まで決めるのは良くなかったと思う
♀WIZが合流するのが確定になってしまっているし
このくだりを削除して修正した方がいいんじゃないかな?

313 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/08(日) 10:18:37 ID:6UBOxKok
別にいいんじゃないの
フラグ立てといて合流の仕方を次の人に任せたんだ、って思えば

314 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/12(木) 13:30:39 ID:0qCK.u8Y
人間側でマーダーいってるのは♀ハンターだけかな
それもグラサン&♂セージと対峙してて、おそらく体ボロボロ
長くはもたないだろうね
あとはBOT病?の♂スパノビが候補か?

とりあえず今の状況まとめ(場所ごと)

・♂騎士、♀商人
装置探し
・♂プリ、♂スパノビ、♀アコ、♀マジ、♀Wiz、悪ケミ、パピヨン、亜種ウンゴリ
バトル開始?
・♂セージ、♀ハンター、グラサン(♀ケミ、♀騎士、♂モンク)
バトル開始?()は戦力外と思われる
・デビルチ
♀Wiz追跡中
・ふぁる
気絶中

315 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/13(金) 21:41:07 ID:QVl97F1Q
286.命の選択を[3日目午前]


「跳べ!」
弓が引かれるのを見た瞬間、グラサンモンクは♂セージの肩を押して右へ跳んだ。
素早く反応した♂セージが左へ走り、木陰へ飛び込む。
♀ハンター…の成れの果てと言うべきか…は、目標が分散したことで一瞬動きを止めたが、すぐにグラサンモンクを向いて矢を放つ。

ばしゅんっ

半ば朽ちたような武器や、腫れ上がってちゃんと見えているかも怪しい眼を考えれば、驚くほど正確な射撃だった。
地を蹴って全力で射線から身をはずす。
背後をかすめ過ぎる矢風。
よけた。だが息つく暇もなく頭を狙って二の矢が飛来する。
素早く上体を沈めてかわす。髪の毛を十数本まとめて持っていかれた。
さらに三の矢が足元へ。反射的に跳び上がって避け――その着地点を狙って四の矢。
空中で強引に姿勢を変える。だが脚を浅く切り裂かれ、血が数滴散った。
気にせずダッシュ。

一矢ごとに狙いが確かになっている。
これ以上♀ハンターに近付くなど論外、それどころか一瞬でも足をゆるめれば射抜かれるだろう。
それでも彼は樹を盾にすることなど考えず、♀ハンターを回り込むように走り続けた。
どのみち彼には今、気弾を1つか2つ集められる程度の力しかない。
真っ向勝負できる状態ではないのだ。
だから

ガサッ

六本目の矢を避けきれず大きくバランスを崩したとき、後方で茂みが鳴った。
♂セージが盾にしていた木陰を飛び出した音だ。
さらに素早く呪文を詠唱する声が続く。

ヒャウッ

気付いた♀ハンターは一歩下がりながら振り返り、♂セージへ弓を向けようとする。
だが遅い。

「ファイアウォール!」

矢が放たれるよりわずかに早く♂セージの呪文が完成した。
この間を稼ぐためにグラサンモンクは右へ――♀ハンターの左側へと回り込んでいたのだ。
弓は通常左手に握り、右手で弦を引く。
その姿勢の都合上、構えた位置からそのまま右へ弓を向けると弦がゆるんでしまう。
なので右へ狙いを変える場合は先に体を回さなくてはならず、左へ狙いを変える場合よりほんのわずかに遅くなる。

「よし」

火柱が♀ハンターの体を捉えたのは一瞬だったが、それでも確実にダメージを与えた。
反撃の矢が飛ぶが、呪文の完成と同時に隠れた♂セージには当たらない。
そして♀ハンターの弓が♂セージを向いた今、グラサンモンクには背を向けている。
しかも炎から逃げた分だけ距離も詰まった。
好機。
彼は姿勢を立て直すと同時に♀ハンターへ向け突進した。

ヒアッ

すぐに気付かれ、再び振り向いて射掛けてくる。
その矢を彼は左手で真っ向から受けた。
気を纏っているわけでも、鉄の爪をつけているわけでもない左手のひらを、矢はやすやすと貫通する。
だが彼は命中と同時に拳を瞬間的に握り締めた。
筋肉と骨がギュッと締まり、体に届く前に矢を食い止める。

「おおおおおおっ」

ファイアウォールに背後を遮られ、♀ハンターに下がる余地はない。
このまま組み付けば勝ちだ。
雄叫びとともに躍り掛かる彼の目前で、弓が強く、大きく引き絞られた。
その矢尻が外されている。
チャージアロー。

間に合え、と念じつつ体を丸め、彼は覚悟を決めて飛び込む。
だがその手が届く前に♀ハンターの狙いが定まった。
グラサンモンクを弾き飛ばすための矢が撃ち出されるその瞬間。

パキンッ

あっけないほど軽く乾いた音を立てて弓が折れた。
酸に焼かれ、今また炎に焼かれた弓は、チャージアローを撃つための強い張力に耐え切れなかったようだ。
どちらもがその事態に反応しきれないうちに双方の体が激突する。

キヒイッ

地に転がった♀ハンターは素早く跳ね起き、キョトキョトと周囲を見回した。
一方何が起きたか悟ったグラサンモンクは悠然と立ち上がる。

「諦めろ。お前にはもう勝ち目も逃げ道もない。おとなしくつかまるかここで死ぬか、どっちかだ」

罠も飛び道具もないハンターなど恐れるに足りない。
そう確信しての行動だった。
その戦力判断に間違いはない。
だが

「フロストダイバー!」

♂セージの声とともに地を這う氷の帯が♀ハンターへ走った。
そこまでする理由を不思議に思う間もなく、それは目標に到達する。

パシャンッ
ヒァウッ

氷に全身を包まれかけた瞬間、♀ハンターは何を思ったか自らファイアウォールの炎に身を投じた。

「おい――」
「拾わせてはいけません!」

♂セージの声が響く。
少し遅れてグラサンモンクは♀ハンターの目的に気付いた。
寒さに錯乱して飛び込んだわけではない。
炎の壁の向こうには倒れたままの♀アルケミストと、彼女の落としたクロスボウがある。
拾われるとまずい。

慌てて止めようとしたその時。
アアアアアアアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!!
グラサンモンクでさえ聞いたことがないほど絶望的な悲鳴がどこかから響いた。
さしもの彼が一瞬気を取られる。

その一瞬が致命的だった。
イヒィ
ファイアウォールを突き抜けた♀ハンターはクロスボウに飛びつき、炎の残滓を身にまとったまま素早く矢をつがえる。
そして至近距離からグラサンモンクへ向けて撃ち放った。

「ぐっ」

避けられる距離ではない。
胸のど真ん中に直撃を受けて弾き飛ばされる。
幸いと言うべきか、発射された矢はついさっきチャージアローを撃つため矢尻を外したものだった。
ダメージは浅い。だが、再び間合いが開いてしまった。
即座に飛んできた追撃の矢を避けて茂みに転がり込む。
「何かあったようです。戻りますよ」
同じく矢に追い立てられて向うの木々に隠れた♂セージが声を掛けてきた。

「くそっ」
グラサンモンクは小さく悪態をつく。
確かにもう♀ハンターを短時間で倒せる見込みは薄い。
同じ戦法はもう通用しないだろうし、武器もさっきまでのガタが来た弓ではない。
態勢を立て直すためにも一旦退くべきだ。

そこまで考えて慄然とする。
人ひとり背負って、背後から撃たれるのを避けながら逃げる?
不可能に近い。
まして仲間が襲われているのだとすれば♀ハンターまで連れてゆくわけには行かない。
どちらかが囮になるしかないだろう。

「すまん。俺のミスだ。だからアレは俺が引き受ける」
グラサンモンクは♂セージに怒鳴り返した。
自分は怪我人2人から離れすぎたし、最小威力でなら速度増加も使えるかもしれない。
囮をするなら♂セージより適任だ。
ただその♂セージは軽くとりなすように言った。

「ミスを言うなら私も同じですよ。あの弓を燃やす選択肢もあったのですから」
「…まあ理屈だがな」

グラサンモンクは苦笑いする。
確かにフロストダイバーではなくファイアウォールを使っていれば、♀ハンターの手に渡る前にクロスボウを焼いてしまうこともできた。
しかしそれはあくまでも可能性の話だ。実行すれば♀アルケミストを巻き込み、とどめを刺していただろう。
彼が本当にそんなことをするような人間だったら共同戦線を張ってない。

「頼んだぞ」
独り言に近い言葉を残して身をさらす。
途端に今までより一段と速い矢が飛んでくる。
それをかわしてグラサンモンクは走り出した。


「さて困りましたね」

本当に困っているのか怪しみたくなるような表情で♂セージはつぶやいた。
しかし当人としては珍しく真剣に悩んでいた。
目前には怪我人が3人。
背負って行けるのは1人。
結果だけを見れば、1人を助けようとして2人見捨てなければならなくなったわけだ。

「兄に言わせれば、この甘さが私の弱点なのでしょうけどね」

愚かな判断だったと言うこともできる。
だが後悔はしない。

「可能性を切り捨てるのは私の流儀ではないのですよ」

全員助けられる可能性も確かにあったのだ。
それを否定することは、この島から皆で脱出しようという彼らの試みを否定することにつながる。
後悔はしない。選んだ道を投げ出すこともない。
だから彼は決断し、1人を背にかつぎ上げた。

316 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/13(金) 21:41:27 ID:QVl97F1Q
<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スーパーノービスと合流したい(ひとりは怖い)
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態 喉元に矢 毒 気絶 瀕死

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
    (所持品は全て寄生虫の体内にいたため痛んでいます)
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:発狂 自我崩壊 火傷

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♀ケミ・♀騎士・♂モンクの内1人を連れ帰還中

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒 ♀ハンターと対峙
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇 左掌貫通創
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<残り13名+4匹>

317 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/15(日) 08:11:08 ID:unDcgc8o
♀ハンターの+2バイタルシュールドボウ[3]は砕けて♀アルケミストのクロスボウ持っていったから、所持品のとこ違わね?

318 名前:315 投稿日:2008/06/16(月) 02:05:07 ID:RZdgxbd6
>317
確かに。失礼をば
以下状態表だけ訂正


<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スーパーノービスと合流したい(ひとりは怖い)
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態 喉元に矢 毒 気絶 瀕死

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、クロスボウ
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:発狂 自我崩壊 火傷

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♀ケミ・♀騎士・♂モンクの内1人を連れ帰還中

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒 ♀ハンターと対峙
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇 左掌貫通創
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

<残り13名+4匹>

319 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/16(月) 11:23:48 ID:gFDUVKY2
本編286話まで+NG2作をwikiに追加しました。
wiki管理人様、NG2-42の編集モードをテキストモードにしてしまったので変更、もしくは削除をお願いします。

---ここから駄文---
257氏&271氏の話はNG扱いになりましたが個人的には面白そうだったので残念ですね。
ゲーム的視点で、GMはGM権限で他人のIDにログインできる=相手を乗っ取れる → 次のジョーカーに任命された兵士にも乗り移れる → もし死んでもすぐに復活できますよフフフこれこそ♂WIZの求めた外道の法!!!11!

なんて妄想してみた。
そんな精神寄生体みたいなのどう倒すか判らないけどもwww

320 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/17(火) 01:45:40 ID:9WwBqXaE
>319
精神寄生体とはミストバーンみたいですな。
となれば、♂騎士の正義の心で浄化ルートがあったかも?

321 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/18(水) 23:35:14 ID:tJIlhqnM
ここで♂セージが誰を連れて行くか、でかなり今後の展開が変わりそうだな……。

322 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/20(金) 02:43:24 ID:ZTmjTtQQ
ふむぅ…確かに分岐点かもだねぇ
全員助けるって前提でいけば瀕死の♀アルケミ助けるのが妥当な気もするけれども…
んでもすぐに動かせる訳じゃないし…悪女だしなぁ…
となるとアフロモンク叩き起こしてヒールさせるのがいいのかしら…難しひ

そいや、♀アルケミまだ寄生虫ルーレット状態なのね…ガタガタ

323 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/22(日) 03:40:57 ID:I1HoOIuA
マーダーの♀ハンターパワーアップ。
バトロワ的には活躍に期待かな〜
まだ獲物は10人以上だ

解除コースを選ぶなら気奪のできる♂モンクかな?

324 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/06/25(水) 03:16:48 ID:.bkIBX8s
検索して偶然バトROワWIKIを発見
5時間かけて第2回を読みつくした・・
まだまだ更新しているようで感動した
♂モンクと♀騎士はわしの娘夫婦。がんばってください!
第一回もよむかぁ

325 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/07/21(月) 10:28:30 ID:SRx3DmNU
随分止まったな…

書き手さんまだいるかい?
どの辺で詰まってるとかある?

326 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/07/22(火) 19:21:34 ID:JzUvn8uY
書き手です(´・ω・)ノ イマスヨー

ええと・・・私は書いたばっかりだから、あと数話はほかの書き手さんが続けてくれるまで
私ひとりで話を進めるのはちょっと・・・・・・ って部分で止まってます(汗

327 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/07/25(金) 17:48:38 ID:aaKdWamw
あらま…それはどうしようもない;;
他の書き手さんが降臨するのを待つしかないのかな…

328 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/09(土) 18:57:02 ID:if0sqnh6
287.猛る力[3日目]


それは大切な、大切な約束だった。
なんであの人がそんなことを望んだかはよく分からない。
守ればどうなるのかもよく分からない。
理由なんてどうでもよかった。
あの人との約束だから守りたかっただけで。
破るなんて想像もできない、神聖な誓いともいえるものだった。
だから――

◇◇◇◇

「クァグマイアー!」
先手を取ったのは♀Wizだった。
目標空間に充満した水分が地面をぬかるみに変え、空中にいるパピヨンの羽をも重くする。
「あーもーうっとーしーっ」
パピヨンは大きく羽ばたき、上空へ逃げた。
一瞬遅れて彼女のいた場所にファイアウォールが立ち、熱気にあぶられる。だが辛うじて炎は届かない。
「なにすんのよー!」
「何って…あえて言うなら教育的指導、かしら」
魔法が届かないと見た♀Wizは皮肉めいた答えを返す。
間合いに引き込むための挑発。しかしパピヨンもさすがに前の遭遇で懲りたのか、簡単に乗るようすはない。
母譲りの魔力によって得た圧倒的スピードを生かして、魔法の射程外ぎりぎりを飛び回りながらタイミングを計る。
こうなると♀Wizとしても油断できなかった。
前の遭遇ではあっさり撃退したが、それはウォール系魔法やクァグマイアを駆使して動きを制することができたからだ。
その手の設置魔法はうまく使えば複数の敵を同時に捕らえることもできる半面、目標をロックオンしないため高速で動き回る相手は捕らえにくい。
かといって適当にばら撒いたのでは、精神力の浪費となる上に自分の逃げ足まで封じかねない。
詠唱が遅めな分を身の軽さでカバーしている彼女としては、そんな自殺行為は避けたかった。
確実に捉えられる一瞬を逃すまいと、♀Wizは油断なくパピヨンを追い始めた。

一方♀Wizに這いよろうとする寄生虫には♂プリと♀アコが立ちはだかった。
唯一まともにパピヨンと戦える♀Wizがあっちに集中できるよう、なんとしても押しとどめなくてはいけない。
だがそのとき、一歩退いて全体を見ていた悪ケミが声を上げた。
「ね、ちょっと。こっちも動いたわよ!」
それまで身じろぎもしなかった♂スパノビがゆっくりと巨体を起こす。
すぐ近くに居た♀マジは一瞬迷った。
♂スパノビが敵の可能性はかなり減ったが、目の前で立ち上がられてみると圧迫感がすごいし、捕まったら手も足も出ないのは経験済みだ。
とりあえず蟲への攻撃を中断して身を守る呪文を唱える。
「ファイアウォール!」
「え?そっち?」
火柱の上げる轟音に♀アコが振り向いた。
しかし♂プリは舌打ちをしつつも正面の蟲から視線を外さない。
「そっちぁ任せたっ」
一声怒鳴って突進。
先手必勝。躊躇していたらそこから戦線が崩壊しかねない。
他の脅威に何かのケリが付くまでこの蟲は1人で抑える。
そんな彼の決意をあざ笑う声が降り落ちた。
「あ〜あ、結局いっちばんマズそ〜な奴か〜」
「♂プリさん、上!」
一瞬で振り切られた♀Wizが距離を詰めつつ警告する。
促されるまでもなく♂プリは頭上から押し寄せる殺気を感じていた。
同時にギチギチと牙を鳴らしながら地を這う蟲が足元へ殺到する。
「こなくそっ」
振り下ろされる触角をマイトスタッフで受け止めつつサイドステップ。脚を狙う蟲には勘で見当をつけて蹴りを放つ。
当たりそこねの鈍い感触。
牙に挟まれることはなんとか防いだが、角度が悪い。
バランスを崩してたたらを踏む。その足に突っ込んできた蟲の脚が絡まった。
ひとたまりもなく転倒する。
「やべっ」
絶体絶命。
跳ね起きた目の前に真紅の鞭が、背後からギチギチという不気味な音が迫る。
両方は避けられない。パピヨンの攻撃は食らう覚悟で前へ――
「アイスウォール!」
ギンッ
逃げようとする鼻先に白い壁がそそり立った。
避けようもなく顔から激突する。だが紅い鞭は壁の向こう側で弾かれた。
「邪魔しないでよおばさんっ」
必殺の一撃を妨害した相手をパピヨンは振り返った。
「あら。おばさんには大人の都合があるから、そういうわけにも行かないのよ」
「あーっ!何かムカつくーっ!」
まさに大人の余裕を浮かべてみせる♀Wizにパピヨンは顔を真っ赤にして怒る。が、その直後
「アイスウォール」
「あ、あぶなっ!?」
連続して立てられた氷の壁に閉じ込められかけ、慌てて上空へ逃れた。
一方♂プリはぶつけた鼻をさすりながら背後を振り返る。
パピヨンの攻撃は♀Wizが止めてくれたが、後ろからも寄生虫が迫っていたはずだ。
そっちが当たらなかったのはなぜか。
「おめえ…」
振り返った彼はうめいた。
腕を伸ばせば届くような距離で、三本の牙がガチガチと噛み合わされていた。
ただその切っ先は近付いてこようとしない。
いや、むしろわずかずつではあるが離れていっている。
そして、その原因が蟲の向こうにいた。
「♂スパノビ…だっけか」
寄生虫の尾にしがみつき、握った短剣をつき立てて。
両の腕に力を込め絞り上げる。
「あんた、味方してくれるの?」
♀アコが不思議そうに問う。
どちらの問いにも♂スパノビは無言。
助けるとか、味方するとか、そんなことではなく。
ただ、敵を、壊す。
淫徒プリはぼすの仲間だったから。
探して、やっと見つけた2人目の仲間だったから。

なかまをさがすんだよ

それは大切な約束。
破っちゃいけない約束を邪魔した奴は、
淫徒プリを殺した蟲は、敵。
敵は、壊す。
♂スパノビは力の限り蟲を締め上げた。
「おいやべえぞ、一旦離れろっ」
その間に態勢を立て直した♂プリが♂スパノビへ怒鳴る。
ウンゴリアントに似たその蟲には厳密な前後がない。
尾に当たる位置にも複眼と牙がある。
そこにしがみついたままでは反撃を防ぐすべがない。
だけど♂スパノビには関係なかった。
ただそいつを壊すために、刃をねじ込み、締め上げ続ける。
蟲は形容しがたい声を上げ、体を振り回した。
ドチュッ
湿った音を立て、牙が彼の腹にめり込む。
それでも♂スパノビの力は弱まることはなく、むしろ強まった。
腹に突き立てられた牙が、彼自身の力でさらにズブズブと深く埋まってゆく。
他の牙にも挟まれ、引き裂かれた傷口から血が激しく噴き出した。
「おいっ、やめろって!死ぬぞっ」
無茶する彼を♂プリが引き剥がそうとする。
だが生存本能を捨てたように攻撃し続ける♂スパノビは♂プリを振り払った。
「くそっ!…こうなりゃヤケだっ、さっさとやっちまうぞ!」
「おっけっ」
♂スパノビが手遅れになる前に蟲を倒そうと、♂プリと♀アコが殴りかかる。
♀マジも長い詠唱を始め、蟲の周囲に魔法円が浮かび上がった。

「あーっ、あたしのトモダチいじめるなっ!」
集中攻撃を受けようとする寄生虫の様子を見て、蝶の羽を持つ娘は非難の声を上げた。
急降下を掛けようとするが、すかさず魔法が飛んできて元の高さへ追い返される。
牽制にソウルストライクを放った♀Wizが首を振った。
「勝手すぎる言い分じゃないかしら」
「なにがよー!あんたたちだってトモダチ以外どーでもいーのは一緒じゃなーい」
あっかんべー、と舌を突き出して見せながらもパピヨンは高度を下げない。
否、下げられない。
魔法の撃ち合いで勝てるとは思いにくい。
かといって接近戦を挑んでもクァグマイアに捕まってあっさり避けられる。
スピードで振り回せることは分かったが、他の連中と固まっている状態ではそれも生かせない。
相性が悪すぎる。
唯一のアドバンテージである魔法の届かない高度を維持したまま、彼女は『トモダチ』を取り戻す手を必死で探した。
「…あれ?」
その目が地上を忍び寄る黒くて小さな影を捉えた。
どうやら♀Wizはこちらに気を取られていて気付いてないらしい。
(チャンス、かも?)
パピヨンは口の端に小さく笑みを浮かべた。

329 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/09(土) 18:57:13 ID:if0sqnh6
<♀WIZ>
現在地:E-6
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HP/SP中回復


<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 寄生虫を殺す
状 態:腹部に裂傷


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共に微回復


<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP微回復


<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し


<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目


<デビルチ>
現在地:D-6→E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔
状 態:瀕死


<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い


<寄生虫>
現在地:E-6
外 見:ウンゴリアントの亜種
備 考:淫徒プリから孵る パピヨンに忠誠
状 態:ストームガスト一発直撃。


<残り13名+4匹>

330 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/15(金) 18:20:47 ID:HaXk4LZA
新作きてた〜、ありがとう!

冒頭の語りを♀Wizと旦那のことかと思ってしまった
♀BSとの約束なんだね。♂スパノビ一途だなぁ
協力派(?)はいい奴が多すぎて涙腺が危険だ

>>326
前に頑張って終わりまでもっていきたいって言ってた人かしら?
制限解けたら頑張ってください

331 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/20(水) 04:00:53 ID:k8Hc9KMY
288.彼女の結末

 気付いた時、辺りには誰もいなかった。
 己の相棒の姿も、何処にもなかった。
 戦闘の跡か。これは、何だ。不気味な生物の残骸のようなものと、その体液であろう気味の悪い染みが散らばっている。
 おぼろげに辿ってみた記憶の最後の映像は、羽虫の女王と大勢の人間との対峙。一体あれから、どうなったのだろうか――。
 そうだ。こうしてはいられない。
 あの頼りない相棒は一体、どこに行ってしまったのか。探さなければ。
 ばさりと広げた翼に違和感と多少の痛み。火傷をしている。
 ……この程度、何でも無い。
 何が起こっているのか。
 ♀ハンターは、何処に行ってしまったのか。
 把握しなくては。
 そう思うや否や、彼はひとりその場を飛び立った。


    ◇  ◇  ◇


「……お前の負けだ」
「………………」
 己にぴたりと拳を向けたままのグラサンモンクを前に、最早♀ハンターであったものはクロスボウを片手に突っ立っている。ぴくりとも動かず、相変わらず焦点の定まらない目元も振り乱された髪に隠れてわからない。
 ♂セージの思惑は、ただ♀アルケミストが最も重傷だと判断したからではない。♀アルケミストの持っていたクロスボウが奴の手に渡ったのであれば、せめて♀アルケミストがクロスボウとセットで使っていたもうひとつの武器、毒矢を奴から遠ざける必要があった。そうすれば、グラサンモンクほどの腕と体力があるならば、暫くは矢の攻撃にも耐えることができるだろう。そして敵の闇雲に矢を射ちまくる、あの攻撃スタイルならば。
「――そう、矢はいずれ尽きる」
 彼女の所持品であったオリデオコンの矢筒の中には、もう埃以外には何も入っていない。代わりを見つけたばかりの弓も、使い切りの消耗品である矢がなくなってしまってはどうしようもない。彼女は遂に、攻撃する武器を失ったのだ。
 グラサンモンクの勝利、である。
「俺の言葉が、わかるか」
 グラサンモンクの問い掛けにも、反応は無い。しかし、肩が小刻みに上下しているということは立ったまま死んでしまっているなどということはなさそうだし、何を思っているのかはわからないが逃げる意志も感じられなかった。
「何があったんだ。いや、何かがあったのか……? その姿は、どういうことなんだ?」
 返事は返って来ない。
 言葉が話せないのだろうか。
 暫し、グラサンモンクは思案する。
 少なくとも、目の前にいる存在は危険因子には違いない。放っておくわけにはいくまい。だが、戦意を失った彼女に止めを刺すのは少し、グラサンモンクには躊躇われた。
 それでもここでこうしてぐずぐずしているわけにはいかないのだ。さっきのあの、悲鳴の主は誰だったのか。♂セージを追い、♂モンクも♀騎士も手当てをしてやらなくては。早く仲間と合流しなくては。悪ケミストにまた叱られる。
 そう、俺はもう、迷わないと誓ったのだ。
「……すまないが、少しの間動けなくなって貰う」
 そうやって、拳を握ったまま彼女に一歩近付いた、その時。
「…………!!」
 何を言ってもぴくりとも動かなかった彼女が、反応した。
 凄い勢いでぐるりと彼女が首を向けたその方向をグラサンモンクも目で追うと、そこには。


    ◇  ◇  ◇


 ふたりの人間が、そこにいた。
 片や見覚えの無い男。どうやらモンクのようだが、サングラスをかけており、無愛想に見える。
 もう片方はどろどろの、不死者のような奴だった。
 どうやらこのふたりは戦闘をしていたらしく、よく見れば遠くの方にもう何人か、人間が倒れているように見えた。
 どろどろの奴が一歩、鳥の存在に気付いて足を踏み出した。
 ふぁると名付けられたその鳥は、おぼつかない足取りでよろよろと自分に近寄ってくるそいつの足元にあるものを見た。
 相棒の為に自分が運んで来た弓が、ぼろぼろになって折れていた。
 折れた弓は、目の前の奴の体液にまみれていた。
 こいつが、♀ハンターを。
 ふぁるは、どろどろの奴に向けて、自分の主人に向けて、グラサンモンクの脇を抜けて、傷ついた翼にも構わずそれを翻して、電光石火の勢いで迫ると、
「ぶぁ゙…………る゙」
 手を伸ばそうとした♀ハンターであったものへ、ふぁるの爪が一閃、二閃し、ゆっくりとその躯が地に伏すその間際に、彼女の口から潰れた声で漏れた呟きは、愛鳥の元には届かなかった。



<残り12名+4匹>

<♀ハンター>
現在地:E-6
所持品:スパナ、古い紫色の箱、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
    (所持品は全て寄生虫の体内にいたため痛んでいます)
外 見:全身の皮膚が半分溶けた異様な姿
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:死亡

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視
    寄生虫に捕食されかけた事で異様な姿になった♀ハンターを♀ハンターと認識できず
状 態:JTによる負傷、♀ハンターが殺されたかと激昂

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:気絶 負傷多数 重篤?

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る ♀ケミに疑念 デビルチを警戒
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

332 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/20(水) 04:04:41 ID:k8Hc9KMY
時間を付記し忘れました、[三日目昼頃]です(汗

333 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/20(水) 21:29:18 ID:BIIKZ7/k
>>331
ありがとう。
おつかれさまでした。
ふぁると♀ハンターの心のつながりゆえにおきた悲しい結末がすごくよかったです。
これからもがんばってください。

334 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/08/26(火) 23:32:55 ID:dP8geoXs
ふぁるが♀ハンター殺すとは正直想定の範囲外だわ

335 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/09/07(日) 17:25:45 ID:7dsJ4/Tk
勘違いからくる戦いは悲しいね…
さてこれからふぁるはどうなるのか
♀ハンターを守れなかったと自分を責めそうだなぁ

336 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/09/12(金) 09:44:31 ID:TaMlxkkY
かなり久しぶりに来たけど続いててよかった
まとめとかで見直してくる

337 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/09/16(火) 15:49:02 ID:gTRCrmAU
Wikiの人物一覧更新してみました。
詳細の方は挫折orz
まとめサイト個人で作ってる人は凄いなぁと思った数時間

338 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/09/18(木) 23:59:44 ID:gcw3Wots
乙であります!

339 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/10/13(月) 12:35:58 ID:gSxx.VhA
♂sノビと♀ケミに死亡フラグが・・・。
気絶瀕死組と対mob組は合流できるのか、♂騎士と♀商人はPTに戻れるのか
10人を切ろうかという参加者数になり、終盤に近付いてきましたね

340 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/11/13(木) 21:16:42 ID:hidww.IA
停滞してますな・・・(`・ω・´;)
完結まで見届けますよ!

341 名前:接近に失敗しました 投稿日:接近に失敗しました
接近に失敗しました

342 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/12/30(火) 02:51:17 ID:5Pq4xoBA
4ヶ月以上動いてなくてしょんぼり。
なんだか進め辛い空気?というか作者さんがもう一人だったりするんじゃ…
次の投下待ちで停滞中なのかな

二回目始まったのが2005/11/07。
いつの間にか四年目入ってたのね

343 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/07(土) 04:28:50 ID:jh9bq/Sg
289.信頼対決

情勢は、圧倒的にパピヨンが不利だった。
敵には魔法職が二人。聖職者が二人。さらに、蛮勇とも呼べるほど強固な意思で攻撃を続けるアタッカーが一人。
対して、味方には自分と、『トモダチ』が一匹。
『トモダチ』は狂戦士のごとく攻撃を続ける♂スパノビに粘着されおり、今すぐにでも助けたい。
しかし、かといって安易に近づけば♀WIZのクァグマイアにより動きを鈍くされた後、魔法で蜂の巣にされるのが目に見えている。
パピヨンは、この状況を転換させうる何かを心から渇望していた。
そして。
今、それは存在したのだった。

パピヨンが自分たちの背後に回ったのを見て、♀WIZはほくそ笑んだ。
おそらく、寄生虫とパピヨンで挟み撃ちにする気だと考えたからだ。
しかし、逆に言えば、それは味方の分断である。
これで、パピヨンは寄生虫を攻撃している♂スパノビを攻撃することができない。やろうとしても、♀WIZが阻む。
心配なのは、むしろ♂スパノビの方だ。
明らかに正常心を忘れており、先ほどから無用な捨て身の攻撃を続けている。
だが、そちらには♂プリーストと♀アコライトと♀マジがついている。
きっと彼らならば、♂スパノビを助けてくれるに違いない。
それは冒険者特有の、ある意味泥臭い、しかし何よりも高潔な、信頼という名の絆だった。

♀WIZが♀マジ達を信頼しているように、♀マジもまた♀WIZを信頼していた。
♀マジ達は寄生虫へ攻撃中であり、パピヨンに背を向けてしまっている。
それは、パピヨンへ絶大なる隙を晒していることになる。
しかし。
自分の後ろには、♀WIZがいる。
彼女ならば、パピヨンを完封してくれる。
そして、私達に完全なる勝利を与えてくれる。
一人では成しえられない、何事にも換えられない、勝利を。

♀WIZは信頼していた。♀マジが寄生虫を倒してくれることを。
♀マジは信頼していた。♀WIZがパピヨンから守ってくれることを。
その信頼は揺ぎ無い確実のものであり、それを実現させるだけの意思と実力を彼女達は持っていた。

しかし。
その信頼には、横からの第三者への襲撃への配慮が、完全に欠けていたのだった。


何が起こったのか、♀WIZにはわからなかった。
彼女が理解できたのは、体中を電撃のような何かが駆け抜けたことと、瞬間、自分が木に叩きつけられていたこと。
そして、自分が取り返しのつかない失態を犯してしまった、ということだった。

ずっと様子を伺っていたデビルチは、ついに♀WIZの決定的な隙にありつき、ユピテルサンダーを叩き込んだ。
同時に、寄生虫へと走り出す。
手に持つトライデントを腰だめに構え、寄生虫と♂スパノビに気をとられている♂プリーストへと走り出し。
ずぐり、と。
重い手ごたえが、デビルチの奇襲が成功した、ということを知らせたのだった。

♀WIZが突如横に吹き飛んだことに、パピヨンはまったく驚くということをしなかった。
いや、むしろ計算どおりだ、とほくそ笑むほどだった。
自分がうまく立ち回れば、きっとデビルチは最良の形で場に介入してくれるに違いない、と。
モンスターには冒険者のようにモンスター同士で信頼しきる、ということはほとんどない。
せいぜいが同属で守りあう程度のものである。
なら何故パピヨンがデビルチをそこまで信頼しきっていたのかというと、それはそれほど彼女が純真であったからである。
何故そこまでの純真な心を持てるか、それは定かではない。
ただ生まれたばかりの無知であるのか。
それとも女王としての本能であるのか。
はてまた母親であるミストレスに種をつけた、あるお人よしの父親の血なのか。
ただ一つ確かなことは、パピヨンの信頼は決して冒険者のそれに引けをとらないほど、強固なものであった、ということである。

デビルチの活躍に歓喜したパピヨンは、この期を逃してなるものか、と突撃する。
完全に背中の無防備を奪った♀マジに対して、上空からの滑空の勢いそのままに、強烈な飛び蹴りを放つ。
見事それは相手の背中に命中し、♀マジを地面に叩きつける。
パピヨンの勢いはそれだけで止まらない。
次の目標は……この事態にも関わらず、トモダチへの攻撃をやめない♂スパノビである。
「きゃはははははははははははははははっ、死ねッ、クソガキッッッ!!!!」
パピヨンの右手が閃く。
右足膝、臀部、後背部。
強烈なピアースが♂スパノビを貫いた。


何が起こったのか、♀アコライトには全く理解できなかた。
いや、理解できないというより、理解したくなかった。
ほんの、ついさっきまで。
自分達のパーティーは、モンスターを圧倒していたはずである。
しかし、それは一瞬にしてひっくりかえってしまった。
♀アコライトの冷静な部分が、この状況を説明する。
敵の増援、奇襲、自分以外の全員が攻撃を受けたということ。
彼女もまた冒険者であり、他の仲間と同様に、仲間に対して絶対の信頼を置いていた。
しかし、その仲間は全て地に伏せている。
絶対の信頼はもはや完全に逆転し、♀アコライトの意思は絶対的な絶望に包まれたのだった。

344 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/07(土) 04:29:20 ID:jh9bq/Sg
<♀WIZ>
現在地:E-6
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HP/SP中回復
    デビルチのユピテルサンダーを受ける。


<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 寄生虫を殺す
状 態:腹部に裂傷。右足膝、臀部、後背部を刺される。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共に微回復。腹部を刺される。


<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP微回復


<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られる。


<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 馬牌×1 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目


<デビルチ>
現在地:D-6→E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔
状 態:瀕死


<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い


<寄生虫>
現在地:E-6
外 見:ウンゴリアントの亜種
備 考:淫徒プリから孵る パピヨンに忠誠
状 態:ストームガスト一発直撃。


<残り13名+4匹>

初投稿ですが、よろしくおねがいします。
なんかダメなところとかあったら、容赦なく外伝扱いしてください。
なお、既に終着点は構想しております。
良くも悪くも、そこへ向けて物語が加速するということについて、ご容赦願います。

345 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/08(日) 02:49:52 ID:6qpfSHPk
……ひょっとしてもう誰も見ていないのかな。(そりゃそうかもしれないけど)
見ている人がいたら最後まで続き書くので、気づいたら書き込みおねがいします。
いつまでも待っていますから……

346 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/09(月) 20:00:12 ID:5g5zRSrg
見てますともー
他にも、居るとは思うが・・

一話からのまとめって、需要あるかな?随分長く続いてるから
自分もなんだけど、話の流れを忘れてしまってる部分があるんですよね
流ればわかれば書き手さんも増えるかなぁ〜とか、思ったんですが

347 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/09(月) 21:17:06 ID:lFRM0emE
見てます。
はじめはリレー方式だったけど、>345さんにまとめてもらってもいい気がします。
もう半年も放置されてましたし、ずっとこのままなのより完結しちゃったほうがいいと思います。

348 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/09(月) 21:57:45 ID:ydAWicAA
見てますヨ、書き手がいる限り見に来るつもりです。

349 名前:345 投稿日:2009/02/09(月) 22:50:03 ID:WPDHY/Zo
見ている人いた!!
というわけで、これから少しずつ進めていきたいと思います。
皆様、最後までどうかよろしくおねがいします。

350 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/10(火) 16:58:25 ID:Yx/4dtNM
ごめんねー。見たけどそのときには書き込まなかった。
話が進んで嬉しい限り。

嬉しいけれどこれからキャラががっつり死んでいくのを思うと複雑でもあるw
それぞれの死に際の葛藤や行動もバトロワの面白さですが。
伏線が張り巡らせてあって大変だと思うけど頑張ってください
続く限りは見に来ますよー (2/??)

351 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/10(火) 22:50:23 ID:Aatex5Aw
うわっ久しぶりに来たら進んでる!!
書いているうちに解らなくなったり大変だとは思いますが
続き頑張って下さい!見守らせて頂きます

by.たった一度だけ書いた事のある元書き手

352 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/11(水) 03:13:28 ID:abvqCqkc
290.撤退戦・前

ぐぅ、と焼け付くような痛みを感じた。
♂プリーストは一瞬混乱したが、即座に自分が腹を刺されたのだと悟った。
足元を見れば、そこにはデビルチがいた。こいつが下手人だろう。
♂プリーストは渾身の力でデビルチを蹴りつける。
それだけで、デビルチはサッカーボールのように弾んで、近くの木にぶつかった。
さらなる伏兵がいないかと周囲を確認するが、どうやら伏兵はこのデビルチだけだったらしい。
だが、それでもパーティーは壊滅的な打撃を受けたらしい。
モンスターと共にやってきて自分達と共闘していた♀WIZは木に叩きつけられたらしく、まったく動く気配がない。
♀マジは意識はあるものの、叫びつつ地面でもんどりうっている。おそらく彼女も奇襲を受けたのだろう。
♂スパノビはさらに酷い。元々かなり傷ついていたが、今パピヨンに背中ごしに胸を貫かれている。
悲鳴を上げているため即死ではないようだが、それもいつまでもつやら。
かく言う自分も酷い。
デビルチの槍は鋭く、内臓がかなりやられている。
さらに呪いまでかかっていたのか、全身に力が入らず、今にも意識を失って倒れそうだ。
幸いにも♀アコライトと悪ケミは全くの無事なようだが……あの素早いパピヨンを相手にどれだけ戦うことができるやら。
突発的な共闘者である♀WIZは知らないが、他の仲間と比べれば、♂プリーストが最も戦歴が長い。
ゆえに、パーティーのリーダーとして、この状況をどうすればよいか決断しなければならない。
退くか、戦うか。
ほんの一秒。
それで♂プリーストは決断を下した。

「皆、聞け!!」
どすん、とマイトスタッフを地面に叩きつける。
その音で、意識のあるものたちの意識は全て♂プリーストに集まった。
「現在、パーティーは絶望的な状況にある。俺はもう長くは持たないし、動けないやつらも多い。だが――」
♂プリーストは、♀アコライトと悪ケミを見る。
「お前達は、幸いにも無傷だ。お前達は他のやつらを連れて逃げろ。悪ケミは♀WIZを。♀アコライトは♀マジを。その間――俺がモンスターを足止めする」
「そ、そんな――」
「俺がリーダーだ、口答えは許さん!!!」
反論した♀アコライト叫ぶのと同時に、♂プリーストの口から血の混じった唾が飛び散る。
「念のため、撤退は別々の方向へとする。悪ケミはD6方向へ、♀アコライトはF6方向へ逃げろ。以上だ」
あっさりと終わらせすぎたか。
悪ケミも♀アコライトも、呆気にとられた目で♂プリーストを見る。
こういうとき、咄嗟に動けないようじゃ冒険者失格だぜ、と内面で苦笑しつつ、♂プリーストは叫ぶ。
「以上だといっている、全員、動けええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
「う、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
弾けるように、悪ケミと♀アコライトが動いた。

悪ケミが♀WIZに走り寄る。
だが、悪ケミは♂プリーストの言葉に従ったから動いたわけではない。
パーティーが壊滅状態になった最大の要因は、増援である♀WIZが動かなくなったからである。
果たして、♀WIZは木に寄りかかったまま気絶していた。だが、彼女さえ起きれば、犠牲を出さずにモンスターを追い払うことができるかもしれない。
♂プリーストは己の死を自覚していたが、悪ケミはまだ彼らの命を諦めてなかったのである。
「ねえ、起きて」
ペチペチ、と頬を叩く。
「ねえ、起きてよ。貴女の力が必要なんだよ」
頬を叩く力は強くなり、パチン!パチン!と力強い音がする。しかし、♀WIZは目を覚まさない。
「ねえ、お願いだよ! 貴女が起きてくれないと――」
大切な仲間が、死ぬ。
こらえきれなくなった悪ケミは、♀WIZの体全体を揺すろうとして――そこで、ぬるりとした感触に気づいた。
♀WIZの後頭部を触った手が、真っ赤になっていた。
なんのことはない。
ユピテルサンダーのダメージ自体は軽症だった♀WIZだったが、叩きつけられたときの当たり所が悪かったのだ。
つまり、それは彼女もまた重傷者ということであり――この状況が絶望的であるということでもあった。
思わず、悪ケミの目に涙が溢れてきそうになる。
何故こんなに運が悪いのか。神様は何故、こんな意地悪をするのか。
だが泣き言ばかりを言っているわけにはいかない。
こうなった以上――私が最後の砦にならなければいけない!!
(悪ケミ奥義!!)

 所 持 限 界 量 増 加 ! !

このスキルは、商人には必修のスキルとなっている。
何故か。
アイテムを沢山持てるようになることで、移動の手間や狩場の滞在時間を延ばすようにするためか。
否!!
このスキルが商人の必修スキルとなっている理由、それは例え非力な者であっても、重い人間を運べるようにするためである!!
そもそも、商人は基本的に前に出て戦うための職業ではない。
ブラックスミスは数々の自己支援を持つが、その理由も元を正せばパーティーの仲間を鼓舞するためなのだ。
そんな商人だから、パーティーが壊滅状態となっても、生存していることが多い。
そんなとき、パーティーが反撃可能ならばよいが、撤退の余地しかない場合。
そのときこそ、商人が最後の砦となって息のある仲間を連れて逃げられるように、と所持限界量増加が必修となったのだ!!

「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」
悪ケミは、怒号とともに♀WIZを両肩に背負う。
さらに、悪ケミは懐の切り札を取り出す。
「封じられし名馬の魂よ、我に力を与えよ!!」
ヒヒーーーーン!!!
力強い馬のいななきが悪ケミの全身に力を満たしていく。
悪ケミは馬のごとき凄まじい速さで、西へ向かって走り出したのだった。

353 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/11(水) 03:16:44 ID:abvqCqkc
<♀WIZ>
現在地:E-6
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HP/SP中回復
    デビルチのユピテルサンダーを受けた時、後頭部を木にぶつけて気絶。


<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 寄生虫を殺す
状 態:腹部に裂傷。右足膝、臀部、後背部を刺される。


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共に微回復。腹部を刺される。死を自覚した。


<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP微回復


<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られる。


<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 食料二食
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
備 考:サバイバル・危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目
状 態:♀WIZを担いでE6→D6方向へ移動


<デビルチ>
現在地:D-6→E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔
状 態:瀕死。♂プリーストにさらに木に叩きつけられる。


<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い


<寄生虫>
現在地:E-6
外 見:ウンゴリアントの亜種
備 考:淫徒プリから孵る パピヨンに忠誠
状 態:ストームガスト一発直撃。


<残り13名+4匹>

見ている人がたくさんいた!
これで勝つる!!
てなわけでテンションあがってきたのでぺたり。
感想などいただけると、さらにテンションがあがって投稿速度増加スキルがかかるかもです。

354 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/13(金) 04:58:42 ID:C6vcXtho
おおっと似たことを考えてる人がいた。
無駄に様子見しながら書いてた分をアナザー投下しますw

355 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/13(金) 04:59:43 ID:C6vcXtho
アナザー.真紅[3日目]

「そのまま押さえといて!」
蟲にしがみついた♂プリへ一声叫んで♀マジは呪文を唱え始めた。
ファイアボルト。10本まとめて飛ばしてやる。
ほとんど同時に♀Wizも同じ呪文を唱え始めた。
仲間を巻き込む大魔法や、♂スパノビの傷を広げかねないJTは使えないってことだろう。
でもパピヨンが黙ってはいなかった。
「させないよーっ」
赤い光の球を生み出しながら急降下。
魔法を♀Wizへ撃って――本体はこっちくる!?
「くうっ…クァグマイア!アイスウォール!」
闇SSの直撃で詠唱をとめられた♀Wizが足止めの魔法を使ってくれた。
間に合え。
「んもー!また邪魔ー!?」
行く手をさえぎられたパピヨンは文句を言いながら飛び上がって、また赤い光を生み出した。
そしてもう少しで魔法の完成するボクに向けて発射。
「ソウルストライク!」
♀WizがSSで器用に相殺する。でも
パパンッ…ドンッ
「わっ痛っ」
SS同士で相殺なんてどうしたって無理がある。セージの魔法じゃないんだから。
一発当たっちゃって衝撃で詠唱が途切れた。
やっぱりこのパピヨンムカつく。
魔法の射程は一緒だからほとんどの呪文は闇SSで妨害されるし、頭の悪い普通のモンスターと違ってファイアウォールに引っ掛かってる間に詠唱するって方法も効かない。
やっぱりFDでなんとか凍らせるしかないか。
動きを止めるだけならアイスウォールもあるけど、スキルまでは封じれないから追い打ちが掛けられないはず。
♀Wizをちらっと見る。
そしたら♀Wizと目があって頷き返された。
何か考えがあるみたいだ。なら
「ファイアウォール!」
「おっとー」
目の前に立てた炎の壁からパピヨンが飛び下がる。
かすりもしなかったけどそれでぴったり♀Wizの射程圏。
「アイスウォール!アイスウォール!アイスウォール!」
地面からそそり立った氷の壁がパピヨンの前後左右をぎっしりと固めた。
「つめたっ!何すんのよおばさんっ」
パピヨンは文句を言ってじたばたするけどもちろん動けない。
疑似ピラーって奴…じゃない。ファイアウォールを立てる隙間がない。
「どうする気さ?」
「まあ見てて」
尋ねるボクに軽くほほえむと、♀WizはSSの射程圏外へ下がってストームガストを詠唱し始めた。
そうか。射程距離は同じでも、大魔法なら範囲分だけ遠くまで届くんだ。
アイスウォールが溶けるタイミングも当然熟知してるんだろう。
だけど追い込まれたはずのパピヨンが氷の中で笑った。
「なーんちゃって。引っ掛かったー」
「え!?」
引っ掛かったって何が?
氷を割って逃げる気かな?でもそれならもう氷を叩き始めてないとおかしい。
不思議に思ってるとどっかからキーキー声が聞こえた。
ボクの習った魔術とは体系が違うけど、間違いなく呪文の詠唱。
「デビルチ?…どこ!?」
確かちょっと前に♀アコがぶちのめしたはず。
あのバカ、とどめ刺してなかったのか。
焦って見回すと♀Wizの横、♀マジから見るとパピヨンの向こう側に黒い影を見つけた。
遠い。
でもSSの一発も当てれば止まる。迷ってる暇はない。
一直線に駆け出すと、♀Wizのびっくりしたような焦ったような顔が見えた。
…考えてみたらSGの範囲に駆け込んだんだ。そりゃ驚くよね。
まあ何とかなるっ。
と思った瞬間、視界の隅に赤い光が灯った。
「あまーい」
パピヨンの闇SS。防御は間に合わない。歯を食いしばって耐える!
ドドドドンッ
「く…はっ」
ダメージより衝撃がきつかった。足が止まり、呼吸が乱れる。
そしてその分一歩届かない。
「ユぴテルサンダー」
「あうっ」
バリバリという放電音とともに♀Wizの体が大きく跳ね飛ばされた。
それでも空中で器用に身をひねり受け身を取った。
衝突。
「ぐぉっ」
♂プリに。
「あら、ごめんなさい」
「立ったらダメ!」
慌てて♂プリの上からどこうとする♀Wizに怒鳴る。
その意味に気付いたのは♂プリの方だった。
「あぶねえっ」
ガチンッ
♀Wizを引きずり倒した♂プリの頭上すれすれで、火花さえ散らして硬い顎が閉じる。
「ヌう、おしイ…」
悔しげに呟いたデビルチが茂みへ姿を隠す。
「ざーんねーん」
「じゃないだろっ」
デビルチは諦めてパピヨンに仕返しのSSを叩きつける。
でも♀Wiz達へ気を取られてる間に向こうも次の闇SSを準備していた。あっさり相殺したパピヨンが得意そうに笑う。
ムカついた。けど無視して♀Wiz達を助けに走る。
2人は蟲の前で倒れたまま。その頭上へ一度は避けた牙が振り下ろされる。
「やべ」
♂プリの妙に冷静なつぶやきが聞こえた。
間に合わない。そう判断したらしく♀Wizだけを突き飛ばす。
そして何かの砕ける鈍い音。
「♂プリさん!?」
♀Wizが悲鳴に近い声をあげて振り返る。
だけど体液を飛び散らせて身をのけぞらせたのは蟲の方だった。
「っっっったあぁ〜〜〜〜〜いっ!」
悲鳴を上げて♀アコが飛び離れる。
押さえた右拳からは蟲の体液と自分の血をしたたらせてる。
力加減も考えないで硬い殻を思い切り殴ったらしい。でもそのおかげで♂プリは助かったんだから
「バカなのもたまには役に立つんだね」
思わずつぶやいた。
「いや、いい気合だっ」
♂プリは獰猛な笑みを浮かべて蟲の下から転がり出し、行きがけの駄賃にマイトスタッフで蟲の複眼を一撃した。
視界を狭められた蟲が耳障りな声を上げる。
気を取り直した♀Wizも追い打ちのSSをたたき込む。
一瞬で攻守が逆転した。
チャンスだ。ここで一気に押し切らなくちゃ。
ボクもSSを唱え
「ダメ、後ろ!」
1人戦闘から離れてる悪ケミの警告が聞こえた。
氷の崩れる音。そして羽音。

ドクン、と心臓が脈打って
時間の進みがとても遅くなって
背中から胸へと
灼熱の感覚が貫いた。

356 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/13(金) 05:00:16 ID:C6vcXtho
アナザー.揺れる天秤[3日目]


「ちょっと、嘘!?」
♀マジの胸の中央を赤い触角が撃ち抜いている。その光景に♀アコの悲鳴が上がった。
即死だ。手の打ちようはない。
分かってはいても、いや分かってしまったからこそ全員の動きが止まる。
再び形勢が虫の主従に傾こうとした刹那
「うおおおおおおぉっ!」
凍りついた空気を断ち割るように♂プリのマイトスタッフが振り下ろされた。
蟲は避けることさえできずにその一撃を受ける。
尾を♂スパノビに組み止められているためだけではない。♂プリを向く蟲の両眼は砕けていた。♀マジの最期に唱えたSSは完成し、一矢を報いていたのだ。
「止まんなっ!こいつらシメて、泣くのも祈んのもそれからだっ!」
破戒僧らしいことを破戒僧らしい口調で怒鳴る。
蹴飛ばされるように全員の時間が動き出した。
「ファイアウォール!」
すでに次の獲物を狙って動き出していたパピヨンを♀Wizが牽制する。
「ちぇ」
パピヨンは♀マジの遺体を引きずって後退。まだ生気を残している血液をすすりだした。
「このお…」
「行け」
怒りをあらわにする♀アコへちらりと視線を投げ、♂プリは告げた。
「こっちは俺とこいつで何とかなる」
「…お願いっ」
♀アコは飛び出す。
実のところ彼女が一対一でパピヨンに勝てる可能性はかなり低い。おそらく♀Wizの援護を受けることになるだろう。だったら♀Wizが1人で牽制し、先に蟲を倒した方が効率はいい。
理屈ではなく経験と勘がそういう結論をはじき出していた。だがモンクを志す彼女が明確な悪への怒りを我慢することなどできなかった。
「ちえぇぇすとおぉぉっ」
間合いを一気に詰め、全力の右中段突きを繰り出す。
「なによー。ごはん邪魔しないでよー」
♀マジの遺体を抱えて血をすすっていたにもかかわらず、パピヨンはその攻撃をあっさりかわした。
お返しとばかりに左右の触角が連撃で迫る。
ストレートの左を首を振って避け、さらにしゃがんで右のスウィングを回避。
「アイスウォール!」
♀Wizの声とともにパピヨンの背後へ氷の壁がそそり立ち、退路を断った。
♀アコは即座に踏み込んでパピヨンを追い込む。
「せえぃっ」
大振りになった初撃とは違う鋭いワン・ツー。
今度はパピヨンも避けきれず、触角を使って弾きながら横へ逃げる。
その一点を狙い、♀アコの肩越しに半透明の魔力球が殺到した。
「ソウルストライク!」
♀アコの体と攻撃を目隠しにしての不意打ち。闇SSでの防御は間に合わない。
ズババババンッ
全弾が命中し、肉体にはじける音が連なった。しかし
「…んなっ」
絶句したのは♀アコの方だった。
パピヨンは体の前にぶら下げた♀マジを盾にして魔法を受け止めていた。しかも着弾によって開いた傷口から血液をすすって見せて投げ捨てる。
「ぷう。ごちそうさまっと」
口を拭うパピヨンの姿を見て♀Wizは目を見開いた。
今まで交戦でパピヨンにも小さいながらダメージを積み重ねてきた。その痕跡が見あたらない。そればかりか
「じゃー反撃かいしーっ」
「下がって!」
明らかに今までより充実した魔力を感じて♀Wizは叫ぶ。
ほとんど同時に♀アコも危険を感じて跳びすさった。
その目前で真紅の魔力球が生み出され、打ち出される。
「くっ!」
♀アコはとっさに体を丸め両腕で顔と胴体の急所をかばう。ところが赤い光弾は身を固くした彼女の左右をかすめ、♀Wizへ向かった。
「ソウルストライク!」
♀Wizはかろうじて詠唱を間に合わせた。しかし至近距離で魔力が炸裂し、余波を浴びてよろめく。
さらに防御を固めたために動きの鈍った♀アコを触角が打ち据えた。
「くぅっ」
ガードの上からでも息が詰まるほどの一撃を浴びて腕の骨が軋む。
痛めていた右手にいやな痺れが走り、しかも拳の届かない距離へ押し返されてしまった。
強い。
2人の頬を嫌な汗がつたった。


「おおおおおっ」
がんがんと蟲の表皮を叩きつけながら♂プリも次第に焦りだしていた。
ほとんど一方的に攻撃し続けているが、固くて生命力もやたら高い。彼だけでは一気に倒すだけの決定打が欠けていた。
♀Wizたちの苦戦は彼にも見えている。そして♂スパノビの力も明らかに弱り始めていた。
考えてみればこの手の地を這う蟲はほとんどが毒を持っている。その牙を腹に突き立てたままこらえているのだ。とっくに限界を迎えていてもおかしくない。
「さっさとくたばれっ」
ギイイッ
早く決着をつけようと思い切り振りかぶった瞬間、本能的に危険を察知した蟲が牙を盲滅法に振り回した。杖と牙が激しく噛み合い、金属的な音が上がる。
「やべ、しまった」
♂プリの視線が宙を舞うマイトスタッフを追った。
彼の攻撃も蟲の牙一本を見事に叩き折ったが、代償に武器を失った。
拾いに行くか素手で殴るか一瞬迷う。その間に蟲の追撃が来た。
「うおおっ」
三本の牙の内一本が折れたおかげで挟み込まれはしなかった。だが棍棒で殴られたような衝撃を受けて薙ぎ倒される。
そのまま噛みつこうとする牙をぎりぎりつかみ止めた。だが、これで彼も動けない。♂スパノビが力つきたら支えきれないだろう。
やばい。何か逆転の手を打たないと。
じりじり押し込まれる牙を彼はにらみ付けた。


「フロストダイバー!」
「おっとー」
♀Wiz達も苦戦を続けていた。
そもそもここまで魔法を連発しすぎて精神力の残りが心もとない。
また♀アコも、高速で移動しながら攻撃を繰り出すパピヨンを追いきれていない。
さらにはデビルチもまだどこかで機会をうかがっていると思っていい。
「アコさん、♂プリさんの方をお願いします」
一瞬迷って♀Wizは言った。
「でも!」
ぎりぎりで触角をかわし続け、細かい傷だらけになった少女は悔しそうにパピヨンをにらむ。
「こちらは大丈夫ですから」
「……!」
♀アコは、ぎり、と唇を噛んだ。
♂プリにも同じ事を言われた。
つまり不可欠な戦力ではないということだ。充分に強ければどちらかに協力して一気に倒せたのに。
未熟。自分はあまりにも未熟。
「すぐ戻るからっ」
歯を食いしばって♂プリ達のところへ駆け戻ろうとする。その前に桜色の影が舞い降りた。
「だーめ。次はあんたー」
「邪魔っ」
体の前にそろえた両腕で急所をかばい、左右のステップでフェイントをかけて一気に抜ける。
触角がかすめたがダメージは少ない。行ける。
そう思った瞬間視界がぼやけた。
「あ…れ…?」
「アコさんっ!?」
パピヨンの脇を駆け抜けたところで突然止まった♀アコに、♀Wizは叫んだ。
一瞬遅れて何があったのか気付く。
「――睡眠毒!」
普段なら起こせば済むが、手の足りない今は最悪のタイミングと言っていい。
さらにパピヨンは赤い光を集め、槍を構えるように触角を大きく引く。
このまま無防備な背後から攻撃されれば♀マジの二の舞だ。
「フロストダイバー!」
凍結してくれれば儲けもの。回避されても♀アコへの攻撃は止まる。
だがパピヨンは素早く飛び上がり、木を盾にして氷を避けたかと思うと♀Wizへ突撃してきた。
「あははははははは、死んじゃえーっ!」
魔力球と触角は構えたままだ。FDを唱えた後では両方を防ぐだけの呪文を唱える余裕などない。
「クァグマイア!」
♀Wizは魔法を食らうのは諦めて物理攻撃の回避を優先した。
そして
「スペルブレイカー」
「「え?」」
赤い魔力球は撃ち出される前に消滅した。
「やれやれ。つい手を出しましたが、これはどうしたものでしょうかね」
茂みの中から出てきた男は困り顔で頬を掻いた。

357 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/14(土) 02:30:07 ID:2uS/u2Hs
途切れてるけど書き込んでいいのかな?
>>352
ちょっとキャラの性格が怪しく感じたりも。
悪ケミが男前で吹いたw
パッシブの所持量増加をここで使うのも面白いなーと思った
忍者の形見の馬牌もこれでラストだね

>>354
そんなこと言わずこれからも様子見て投下を。
ラストはようやく♂セージ合流だったのかな?

358 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/15(日) 18:46:41 ID:9Lv9OjpY
む、進んでいる・・・!
自分も現存する書き手のひとりですが、これは見守ったほうが良い流れなのでしょうか。
自分もまた投下しても大丈夫なのかな・・・?

359 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/15(日) 19:07:18 ID:21QFVP8c
>>358さん
>>343>>352を書いたものですが、ぜひ参加してほしいと思います。
ただし、その場合、投稿参加者で一度今後の展開について意見を統一する必要があると思います。
現在の状況はいろいろと問題が山積みになっているので……

360 名前:354 投稿日:2009/02/15(日) 19:53:09 ID:hZwu0FAI
アナザー投下した者です。
>>359
あー、やっぱりですか。
本来リレーで談合のようなことはしたくないのですが、
それぞれにビジョンを持っている場合、下手すると伏線の潰し合いになってまた進行が止まりかねないんですよね。
私もそれが怖くて書き溜めていました。
展開を一本に限定するのはやりすぎにしても、お互いどういうつもりでいるかは知っておきたいですね。
他の展開を妨害するならそれなりの意志と意図をもってやれるように。
けどここでネタバレは興ざめですし、一度ROかメッセででも会いますか?

361 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/15(日) 20:41:01 ID:21QFVP8c
可能ならば会議はROでしたいですね。
メッセは重いので入れていないので……

362 名前:354 投稿日:2009/02/15(日) 22:17:18 ID:hZwu0FAI
私もROの方が楽です
>>358さんはどうかな?

363 名前:359 投稿日:2009/02/15(日) 23:15:07 ID:21QFVP8c
とりあえず>>358さんをあんまし待ってもアレなので、17日の22時くらいにRO内で話あいませんか?
場所は……Verdandiサーバーの、噴水北あたりで。鯖の住人の溜まり場とかぶっていたら、随時変更で。
>>358さんは気づかれましたら、参加してください。
ちなみに、Verdandiサーバの理由は、無作為に決めたからです。やるならばどこでも可能です。

364 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/16(月) 09:23:36 ID:PDuv6KrA
おお、書き手さん3人いたのか
流石にリレーで処理できるレベルの伏線じゃないですよね
第一回の終盤はどう終わらせたんだろう
2ルートあるってことは一人ずつ書いてたのかな?

話し合いが上手くいきますように。
読み手はスレで投下を待つことにします。

365 名前:354 投稿日:2009/02/16(月) 20:43:38 ID:WYKF545M
>>363
了解しました。時間・鯖とも問題ありません
分かりやすい名前のノビを作って配置しておきます

366 名前:358 投稿日:2009/02/16(月) 20:45:37 ID:SzzVvaO2
>>358です、乗り遅れちゃった・・・!

17日の22時は、恐らく仕事で繋げないと思います、申し訳ない・・・。
それ以前に今、課金が切れてたりもするんだけd

けふけふ
個人的には「リレー小説」という企画をもうちょっと楽しみたかったのが本音ですが、それよりもまず完結を目指したいのは私も同意です。
私個人としてはこの後の展開に明確なビジョンは持っておらず、ほかの書き手さんの作ってくれた展開をうまく調理していこうと思っていた程度なので、
話し合いに参加し難いのも含めて、この後の展開像を持っている書き手さん優先で話を進めて頂いて構わないとは思っています。

と、言いつつもまだちょっと書き手を続けてきたいのも本音だったり。
まだ次回に話し合いの機会があるのならば、私も参加したいと思いますー。

367 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/16(月) 20:50:39 ID:WYKF545M
あ、聞き忘れました
噴水ってプロ中央の噴水のことでいいでしょうか?

368 名前:359 投稿日:2009/02/16(月) 21:32:04 ID:vqMPRze6
>>366
了解いたしました。
決定事項は、追って連絡したいと思います。
そのため、連絡先が流出しても問題ない連絡方法があれば、教えていただきたいです。
>>367
そうです。プロンテラ北の噴水です。よろしくおねがいします。

369 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/16(月) 22:40:29 ID:pR0v.85M
リレーってのは、不特定多数が好き好きにカキコしていく
カオスが面白いんだが、3人じゃ逆に難しいって事か。
まぁ、この際談合だろうがなんだろうが完結してもらえれば嬉しい限り。

370 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/17(火) 00:39:21 ID:ZmamYGJo
|ω・`)ここにも書き手いるよー

ただ、休止して早1年以上になってて、
書き手を続けていいものか
手を上げていいものか悩んでた。

差し支えなければいってもいいかな(´・ω・`)?

371 名前:359 投稿日:2009/02/17(火) 00:45:47 ID:IDJU8FI.
>>370
ぜひ参加してください!!
待ってます。

372 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/17(火) 16:35:30 ID:iGRaolR.
>>369
ここまで煮詰まってくると難しいと思うよ。
作者αはキャラA生存ルートで組み立ててたのに、作者βが殺してしまうと話の組み直しになる。
終盤入って色々話まとめてるところで、本筋折られると続けられなくなるんじゃないかな?
バトロワの結末はいくつかあるけど、それでもパターンはあるし。
どう終わってもいいリレー小説よりもやりにくいんじゃないかなぁと思ってる

カオスも面白いけど、やっぱり書いてくれる人いての物語だからねー
中盤に殺人者側が全滅して投げちゃった人もいるんじゃないだろうか
書きやすさってのも必要だと思うのよ
この第二話のログみてたら第一話より硬くて書き辛いって作者さんいたようだし。
(一話で色々問題点あってルール厳しくなったのもあるんだろうけど)

リレーの「意外な伏線」ってのは面白いけれど、使われなきゃ意味のないもの
今の第二話って伏線がうようよしすぎてて使う方が困ってる気がする
瀕死or気絶キャラばかりのような…

>>370
書く気があれば何年たとうが作者さんですよ。
テコン、忍者、ガンスリはいないから大丈夫。きっと。

なんか色々語ってたら長くなりました、ごめんなさい。

373 名前:354 投稿日:2009/02/17(火) 22:04:25 ID:cb/OCqFg
>>370
Verdandi鯖プロンテラ156,217付近にて会議始めてます〜
いらっしゃるならどうぞ〜

374 名前:370 投稿日:2009/02/17(火) 22:24:51 ID:rvyCRzSU
|ω・`)いまからむかいますー

375 名前:370 投稿日:2009/02/17(火) 23:01:34 ID:rvyCRzSU
|ω・`)そんなわけで、書き手としては諦めてROMでまた続きを楽しみにします。

お二人様がんばってくださいませ!

376 名前:358 投稿日:2009/02/18(水) 15:52:10 ID:YY2EiBmM
358です。
とりあえず、フリーメール( ・ω・)つ[ldsg12@hotmail.com]
話し合いの結果がどうなったのか、連絡下されば有難いです。

377 名前:359 投稿日:2009/02/18(水) 20:31:28 ID:tSuWRRIM
>>376
火曜日の会議の議事録を送付しました。
ご確認の程、よろしくお願いいたします。

378 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/19(木) 14:26:40 ID:leIE1eEM
話し合いお疲れ様です

379 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/19(木) 23:20:15 ID:lT604/1k
たしかに第一回が無事完結して満足してしまったのか第二回は伏線出しすぎたね
登場の時点ですでにキャラ設定固定されてるってのもあったし。
第一回の時はキャラ設定は徐々に固まっていって後半になってから
突然意外な設定(♀クルセと♀剣士等)が出てきたりして面白かったけど
今回はこれ以上伏線出したら処理し切れなさそう・・・
そういう点では第二回は書きにくい上に
第一回の時にサポートへ回ってくれたWIKIやらマップ制作の人やらが居なくなったのも痛いと思う

とりあえず今書き手側に回ってる人には頑張ってもらいたいです(´・ω・`)

380 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/20(金) 21:52:22 ID:w3VW5w4A
291.撤退戦・後

♀アコライトのまぶたから涙が流れ落ちる。
♂プリーストは死ぬだろう。♂スパノビも死ぬだろう。
それが、悲しい?
違う。
自分にその未来を変えるだけの力がない。
それが、たまらなく悔しいのだ。

♀マジは今もなお地面にのたうちまわって喘いでいた。
♂プリーストは言った。♀マジを連れて逃げろ、と。
逡巡する暇はない。
もしここで立ち止まって参戦したとしても勝ち目がない以上、一秒でも早く彼女と共に敵から逃げなくてはいけない。
いや、むしろ戦えば、比較的傷の浅い♀マジをさらに傷つける可能性もある。
仕方ない。
仕方ないけど……悲しい。
悲しいけれど、仕方ない。

「大丈夫? 意識はある?」
「う、はぁ、はぁっ……」
言葉にはなっていなかったが、首をわずかに縦に振る。
「背中を蹴られたよね。骨は大丈夫?」
こくり、こくり。二度首を縦に振る。
「すっごく、痛くて、いしきがとびそうに、なったけど、なんとか――」
「うん、もういいよ、大丈夫」
背骨が折れていれば、タンカのないこの状況では脱出は絶望的なのだが、そうでなければ希望はある。
「失礼するよ。痛かったら言ってね」
そう言って、♀マジを持ち上げてから背負う。
♀マジにはおデブ扱いされたが、こういうときのために体力をつけていて正解だった、と痛感する。
「大丈夫だね? なら――行くよ。速度……増加」
風の守護が♀アコを包み、人一人分担いでいるとは思えないほど体が軽くなる。
(ごめんなさい。そして――ありがとうございます。私は絶対、貴方達の分も生き延びてみせます)
ほんの少しだけ、♂プリースト達の方向を見る。
彼らは満身創痍ながらも、屈せずにモンスターに相対していた。
(本当に、本当に、ありがとうございましたっ――!!)
溢れそうになる涙を必死にこらえ。
♀アコは東へ向かって走り出した。


大声を出してマイトスタッフを振り回す♂プリの攻撃をよけながら、パピヨンは内心舌打ちをしていた。
敵を蹴散らしたところで、パピヨンは心躍っていたのだ。
なにしろ、敵には美味しそうな奴らばかりいたのだから。
♀wizと♀アコは色艶がよく、きっとその血は極上であっただろう。
♀マジと悪ケミは若干貧弱ではあったが、肌が今直ぐにでも突き刺して血を吸いたくなるほど白かった。
しかし、奴らは全員逃げてしまった。
残ったのは、汗臭い大男を泥臭い大男のみ。みるからにまずそうだ。
しかし、だからといって女達を追いかけていってしまっては、今もなお♂スパノビと交戦中のトモダチがやられてしまうかもしれない。
元々トモダチを守るために乱入したというのに、それを失ってしまっては本末転倒だからだ。
(ああああ、もう、イライラする!!)
血だらけになりながらも一向に倒れる様子のない男達もまた、パピヨンの苛立ちに拍車をかける。
お前らみたいな血を吸う価値もない肉塊なんて、とっととくたばってしまえ!!

パピヨンは自覚してはいなかったが、パピヨンは苛立つと同時に焦っていた。
どれだけ攻撃しても倒れる様子のない男達に阻まれ、パピヨンは未だにトモダチを救出できずにいる。
女から逃げられ、トモダチにも死なれては、なんのために乱入したのかわからない。
苛立ちと焦りはパピヨンの攻撃を雑にさせ、それによって戦闘が長引きさらに苛立ちと焦りを生む。
パピヨンは完全に不の悪循環に陥っていた。

体力はなく、気力もなく、それどころか命すらもほとんど残っていない。
しかし、♂プリーストにはただ、闘志のみが残っていた。
「うらうらうらぁっ!! どうしたこの虫畜生、かかってこいやあああああああっ!!!」

意識はなく、闘志もなく、それどこか正気も残っていない。
♂スパノビに残っているのは、戦闘の経験による条件反射と大事な人の言葉のみ。
(な…ま…を………)
いや、既に♂スパノビにはその大事な言葉を思い出すだけの正気すら失っていた。
しかし、その言葉の意味だけは、理解していた。
仲間を見つける。仲間を守る。そのために――戦う!!
♂スパノビは、寄生虫の殻に僅かに開いた隙間にスティレットを突き刺す。
プパを相手に何百回、何千回も繰り返した行為だ。
そして、そのときと同様に、なけなしの気力を開放させる!
「インベナム!!!」
シーフギルドに伝わる秘術により、スパノビからスティレットに伝わった気力が寄生虫の血の一部を毒に変換する。
決して強い毒ではないが、しかし弱くもない。
「グギャァァァァァァ!!」
体内を走る異物に寄生虫がのたうちまわる。
と同時に、♂スパノビが崩れ落ちた。
のたうちまわった寄生虫の鋭い顎が、スキルを使い隙をさらした♂スパノビの心臓を貫いたのだ。

(やっだ……やっだよ、ぼず……おで、なかまを、まもれた……)
命が飛び去る前のほんの一瞬だけ訪れた正気の思考で、♂スパノビは歓喜し、そのまま絶命した。

381 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/20(金) 21:53:04 ID:w3VW5w4A
<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖 食料二食
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている 寄生虫を殺す
状 態:腹部に裂傷。右足膝、臀部、後背部を刺される。寄生虫の攻撃により死亡


<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共に微回復。腹部を刺される。死を自覚した。


<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP微回復。♀マジを背負ってE6→F6方向へ移動


<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られるが意識あり。


<デビルチ>
現在地:D-6→E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔
状 態:瀕死。♂プリーストにさらに木に叩きつけられる。


<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い


<寄生虫>
現在地:E-6
外 見:ウンゴリアントの亜種
備 考:淫徒プリから孵る パピヨンに忠誠
状 態:ストームガスト一発直撃。インベナムにより毒状態。


<残り12名+4匹>

382 名前:359 投稿日:2009/02/24(火) 20:07:50 ID:h4zYeHrI
>>354様へ業務連絡
本日は第2回の会議の予定でしたが、都合が悪くなってしまったので中止といたします。
次回は未定です。よろしくおねがいいたします。

383 名前:354 投稿日:2009/02/24(火) 21:40:40 ID:D6PKkUpE
おっと了解しました

384 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/28(土) 09:06:44 ID:rUfe3dls
292.そして彼だけになった。

♀アルケミストの前には、死神がいた。

全身から力はどんどん抜けていき、それに反比例して全身の痛みはますます増している。
それでも――意志は、まだある。
そう、生き残る。
どんな手を使ってでも、生き残る。
そうじゃないと――これまでの人生で行ってきた全てが、無駄になる。
幸せになるために、なんでもやった。
笑顔で笑う自称友人を陥れた。
純朴な青年を誘惑した。
自分を幸せにしてくれない親を――殺した。
それも、全ては幸せになるため。
そう、自分は正しい。
人はみな自分が幸せになるために生きている。
私はそのハードルが他人よりも著しく高かっただけ。
私は常に最善の結果が出るようにと行動してきた。
その私が何故、こんな血と埃に塗れた辺境の島で、一人寂しく死ななければならないのか!!!

理不尽だ! 理不尽だ!

私は生きたい!
生きて、幸せになりたい!
そのためにはこんなところで死んでいられるか!!!


そこで、死神の手が、私に触れて。
瞬間、全身を蝕む苦痛が薄れていくのを感じて。
私は、自らの人生の徒労を理解し、また自分が幸せに包まれているのだと理解した。


♀アルケミストが息を引き取ったを確認して、ようやくグラサンモンクは彼女の首から手を離した。
彼女は――生きようとしていた。決して、生き延びられる筈がないのに。
その執念、あるいは妄執は彼女の全身あるいは全霊を蝕んでいた。
このままでは、彼女はきっと無念のまま死んでいくだろう。
そう理解したグラサンモンクは――♀アルケミストの首に、手をかけた。
せめて、彼女が安らかな死を迎えられるように、と。
医学的な話をするならば、首を絞めることで脳に血液が送られなくなるため、正常な思考ができなくなる。
しかし、それ故に彼女の思考を蝕む妄執を取り払った状態で、彼女を逝かせることができた。
事実関係を確認するならば、彼は♀アルケミストを殺したことになる。
それでも彼は後悔はしていなかった。彼女を妄執から解き放ってから逝かせられたのだから……

「さて、と」
もう一人、重傷者がいた。
♀騎士だ。
彼女は生きているだろうか。
グラサンモンクは彼女に近づき、露わになっているその首筋に触れる。
はたして――彼女は、冷たくなっていた。

グラサンモンクは、ほんの数秒だけ、目を閉じる。
それは、やけになって叫んで走り出したくなる自分を抑えるため。
そして、死んだ♀ハンター、♀アルケミスト、♀騎士への黙祷でもあった。

そして、残ったのは彼と、♀ハンターを殺した鷹だった。
この鷹には見覚えはないが、先ほど♀ハンターを倒した手並みをみると、まさか野生ではあるまい。
彼は先ほどからぴぃぴぃと泣いている。
グラサンモンクには彼の言葉がわからないが――なんとなく悲しげな響きを感じ取っていた。
ともかく、彼をこのままにしておくわけにはいかない。
このゲームの参加者でないのなら、なおさら。
「なあ、鷹よ」
それが、自分に向けられた言葉だと理解したのか。
鷹は、グラサンモンクに寄ってくる。
結構躾けられているな、と感心しつつも、グラサンモンクは続ける。
「お前は、もう帰れ」
ぴぃ、と鷹が悲しそうに鳴いた。
「この島は――地獄だ。
どいつもこいつもいい奴で、誰も彼もが生きたいと思っているくせに、全員死んでいく」
だが、と続ける。
「お前は、ゲームの参加者じゃない」
ぴぃ
「お前は、帰れ。帰ってくれ。このままだと、きっとお前は死ぬ」
ぴぃ、ぴぃ。
「だから、頼む、帰ってくれ。そして新しい生活を見つけて――せめてお前だけは、幸せに生きてくれ」
両手、両膝、さらに頭を地面につける。
獣に自分の意思がどこまで伝えられるのかわからなかったが、彼にはこれしか方法が思いつかなかったのだ。
「頼む、お前だけは――帰って、幸せに――」
1分、2分、それ以上。
長い長い間、グラサンモンクは土下座をしていた。
そして、ようやく目の前の気配が消えたことを感じて――立ち上がった。

ふぁるは、大空を周回していた。
そして、グラサンモンクが立ち上がったのを視認すると、ぴぃ、と一言だけ鳴いて、ねぐらへ向かって飛び立った。

<残り10名+3匹>

385 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/28(土) 09:07:13 ID:rUfe3dls
<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 食料二食
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スーパーノービスと合流したい(ひとりは怖い)
状 態:脇腹に貫通創(治療済) 寄生虫ロシアンルーレット状態 喉元に矢 毒 モンクの手によって安らかに死亡

<ふぁる>
現在地:E-6
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視
    寄生虫に捕食されかけた事で異様な姿になった♀ハンターを♀ハンターと認識できず
状 態:JTによる負傷、♀ハンターが殺されたかと激昂。グラサンモンクの意思を受け取り、島から脱出。

<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、ツルギ
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、大分心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:死亡

<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る デビルチを警戒
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)

386 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/02/28(土) 15:18:05 ID:tzRahv6c
アフロモンクが連れて行かれたんだね
♀騎士は流石に治療までに時間かかりすぎたか…

ふぁる帰しちゃっていいのかな?
GMの基地っぽいの知ってるんじゃなかったっけ。
♀ハンターいないから情報引き出せる人がいないけれど…

今は増えすぎた伏線処理中かな?
大変そうだけど頑張ってください

387 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/01(日) 11:22:29 ID:K.n5/lng
♀ケミは孤児で殺人も♂ローグが人生初のはずだったと思う
なんにしても楽しみにしてますよー

388 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/02(月) 00:55:35 ID:xJHlkGp6
>>387
ご指摘ありがとうございます。
今後の展開に関わる重大な矛盾ではないので修正はしませんが、以後気をつけます。

389 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/02(月) 11:35:03 ID:0e1Kf57M
これまでのWikiに反映させておきました。
♀ケミの親関連はどうなるんでしょ?

390 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/02(月) 20:59:12 ID:xJHlkGp6
>>389
普通にwiki更新できたのですね……トップの赤文字に騙されました。
wikiの292の矛盾箇所は削除しました。♀ケミの親・殺人関連は過去設定を優先させてください。


292.そして彼だけになった。(訂正版)

♀アルケミストの前には、死神がいた。

全身から力はどんどん抜けていき、それに反比例して全身の痛みはますます増している。
それでも――意志は、まだある。
そう、生き残る。
どんな手を使ってでも、生き残る。
そうじゃないと――これまでの人生で行ってきた全てが、無駄になる。
幸せになるために、なんでもやった。
それも、全ては幸せになるため。
そう、自分は正しい。
人はみな自分が幸せになるために生きている。
私はそのハードルが他人よりも著しく高かっただけ。
私は常に最善の結果が出るようにと行動してきた。
その私が何故、こんな血と埃に塗れた辺境の島で、一人寂しく死ななければならないのか!!!

理不尽だ! 理不尽だ!

私は生きたい!
生きて、幸せになりたい!
そのためにはこんなところで死んでいられるか!!!


そこで、死神の手が、私に触れて。
瞬間、全身を蝕む苦痛が薄れていくのを感じて。
私は、自らの人生の徒労を理解し、また自分が幸せに包まれているのだと理解した。


♀アルケミストが息を引き取ったを確認して、ようやくグラサンモンクは彼女の首から手を離した。
彼女は――生きようとしていた。決して、生き延びられる筈がないのに。
その執念、あるいは妄執は彼女の全身あるいは全霊を蝕んでいた。
このままでは、彼女はきっと無念のまま死んでいくだろう。
そう理解したグラサンモンクは――♀アルケミストの首に、手をかけた。
せめて、彼女が安らかな死を迎えられるように、と。
医学的な話をするならば、首を絞めることで脳に血液が送られなくなるため、正常な思考ができなくなる。
しかし、それ故に彼女の思考を蝕む妄執を取り払った状態で、彼女を逝かせることができた。
事実関係を確認するならば、彼は♀アルケミストを殺したことになる。
それでも彼は後悔はしていなかった。彼女を妄執から解き放ってから逝かせられたのだから……

「さて、と」
もう一人、重傷者がいた。
♀騎士だ。
彼女は生きているだろうか。
グラサンモンクは彼女に近づき、露わになっているその首筋に触れる。
はたして――彼女は、冷たくなっていた。

グラサンモンクは、ほんの数秒だけ、目を閉じる。
それは、やけになって叫んで走り出したくなる自分を抑えるため。
そして、死んだ♀ハンター、♀アルケミスト、♀騎士への黙祷でもあった。

そして、残ったのは彼と、♀ハンターを殺した鷹だった。
この鷹には見覚えはないが、先ほど♀ハンターを倒した手並みをみると、まさか野生ではあるまい。
彼は先ほどからぴぃぴぃと泣いている。
グラサンモンクには彼の言葉がわからないが――なんとなく悲しげな響きを感じ取っていた。
ともかく、彼をこのままにしておくわけにはいかない。
このゲームの参加者でないのなら、なおさら。
「なあ、鷹よ」
それが、自分に向けられた言葉だと理解したのか。
鷹は、グラサンモンクに寄ってくる。
結構躾けられているな、と感心しつつも、グラサンモンクは続ける。
「お前は、もう帰れ」
ぴぃ、と鷹が悲しそうに鳴いた。
「この島は――地獄だ。
どいつもこいつもいい奴で、誰も彼もが生きたいと思っているくせに、全員死んでいく」
だが、と続ける。
「お前は、ゲームの参加者じゃない」
ぴぃ
「お前は、帰れ。帰ってくれ。このままだと、きっとお前は死ぬ」
ぴぃ、ぴぃ。
「だから、頼む、帰ってくれ。そして新しい生活を見つけて――せめてお前だけは、幸せに生きてくれ」
両手、両膝、さらに頭を地面につける。
獣に自分の意思がどこまで伝えられるのかわからなかったが、彼にはこれしか方法が思いつかなかったのだ。
「頼む、お前だけは――帰って、幸せに――」
1分、2分、それ以上。
長い長い間、グラサンモンクは土下座をしていた。
そして、ようやく目の前の気配が消えたことを感じて――立ち上がった。

ふぁるは、大空を周回していた。
そして、グラサンモンクが立ち上がったのを視認すると、ぴぃ、と一言だけ鳴いて、ねぐらへ向かって飛び立った。

<残り10名+3匹>

391 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/02(月) 22:23:20 ID:ynb6sIfY
キャラ同士だから燃えるはずのバトロワにモンスター混ぜすぎたのがこのシリーズの汚点

392 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/03(火) 00:37:18 ID:jKi2F1iM
やっぱり殺人者側が早々に消えてしまったのが厳しかったよ
♂クルセvsグラリスは燃えたけど結局相打ちになっちゃったしね
もう転向できそうなキャラがいないからMobに頼るしかないのかも

393 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/07(土) 22:06:53 ID:hupy3Ds2
まあ、これはこれで好きだけどな。
みんなキャラを殺したくないっていう愛があるのは仕方がねえ。

394 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/07(土) 23:05:55 ID:dw3pF9M6
キャラに愛がありすぎて誰かに殺される前に自分がかっこよく殺したいと思った俺は異端。

395 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/08(日) 16:33:47 ID:IygkPxDU
293.死屍累々

腹を貫かれた♂プリーストは、言うまでもなく重症であった。
出血はおびただしく、何らかの応急手当をしなければ数分程度しか生きられないだろうと思われた。
その状況で、彼は、なんとキリエ・エレイソンを緊急の包帯代わりに使った。
制御装置により、ヒールで傷口を塞ぐには大量の気力を消費するし、それだけの気力は既に彼にはなかった。
一方、キリエ・エレイソンも弱体化されてはいたものの、しかし耐久力が弱まった程度であったため、傷口をカバーする用途にはうってつけだったのだ。
しかし、この方法には重大な欠陥がある。
それは、根本的な解決にはならない、ということである。
もし、パピヨンの攻撃をまともに食らってしまったら、二度と立ち上げれるかもわからない。
それ以前に、彼の気力が尽きれば、再び腹から血が流れ出し死亡するだろう。

だが、それでいい。
どちみち、助からない命なのだから――


♂プリーストは、よく戦った。
結局パピヨンに翻弄されろくに打撃を与えられなかったものの、敵の攻撃をうまく避け、流し、防いだ。
それでも、それが限界だった。
「その命、奪った!!」
「はぅぁっ……!!!!」
ついに、執拗なパピヨンは彼の腹のバリアを破壊し、のみならずその傷口をさらに広げたのだ。
それが♂プリーストの限界だった。
マイトスタッフが手から滑り落ち、支えを失った♂プリーストは地面に崩れ落ちる。
崩れ落ちた姿はまさに芋虫。
鮮やかな蝶の前にして、血と土に塗れたその姿は、無様としか言いようがなかった。
「きゃはは、ねえ、今どんな気分? ねぇ、どんな気分? 今から死ぬけど、どんな気分?」
「くぅっ……はぁっ……」
「うふふっ! しゃべることもできないんだ。あはっ、ばーかばーか、ざまあみろ♪」
ようやくストレスから開放されたパピヨンは、今や絶頂にあった。
自分をいらいらさせた肉塊を、徹底的に貶める。
それしか、彼女の頭には存在しなかった。
「うふっ、さて、今からアンタを殺すけど……でも、アンタの血は、絶対に吸わない。何故だかわかる?」
♂プリーストが答えられるはずもないことはわかっているので、パピヨンはうれしそうに続ける。
「それはね、アンタの命が何の価値もないことを証明するため。
だって、血を飲んだら、アンタの命にはそれだけの価値があるってことを認めちゃうからね。
……うふふ、アンタ、私に比べるとだいぶ生きてきたみたいだけど、今日この日まで、どれだけの命を奪ってきた?
アンタは、昨日までは食物連鎖の頂点として何億の生命の犠牲の上に永らえてきた!!
その犠牲の責任を負っているアンタは! 今! 何の意味もなく死ぬ!!
ばーかばーか、無責任! 恥知らず!
アンタのために犠牲になった命はなんなのか!!
アンタは今日、全ての犠牲を無駄にして死ぬ!!
そして、アンタはその全ての生命に謝罪しつつ、自らの生命を賠償にして惨めに死ね!
うふ、ふふふ、きゃははははははははははははははっ!!!!!!」


「ククッ、馬鹿なのはお前のほうだよ、単細胞さんよ」
「なっ!?」


口を開くことすらも予想の範疇外だったため呆然とするパピヨンをよそに、♂プリーストは続ける。
「俺の生命が無駄だ? 勘違いしているんじゃないのか? おばかさんよ。
俺の命はなぁ……さっきの女の子四人を逃がすためだけに、存在していたんだよ。
何億の犠牲が無駄に? 四人の命を助けられたのなら、俺一人の犠牲になるよりもよっぽどいい。四倍だぞ、四倍。
そうさ、お前は自分を勝者だと思っているようだが……お前が俺に挑んだ時点で、既に勝敗は決まっていたんだ。
お前は既に敗者なんだよ、このマヌケがっ!!!!」
「くっ、黙れ黙れ黙れだまれだまれダマレダマレッッッ!!!!!」
「ばーかb−kbbbbk……」
「くそっ、くそっ、くそっ!!!!!!!」
パピヨンの一撃が♂プリーストの顔を抉り、彼はもうまともに話すことができなくなったが、それでも彼は罵倒を続ける。
それに激昂したパピヨンは、さらに顔を抉り続けた。相手に伝わらない罵倒を繰り返し、何度も、何度も。


♂プリーストの遺体の頭部が完全に破壊されたころ、ようやくパピヨンは冷静な頭を取り戻していた。
(そうだ、あのコはっ……)
パピヨンは、何故自分がここに来たのかをすっかり忘れていたのだ。
トモダチである寄生虫は直ぐに見つかった。
その体はだらりと弛緩し、ぴくりとも動かず。
つまり――死んでいた。
寄生虫は、♂スパノビを殺したが、その傷は深く、毒も受けていた。
そのため、何度もパピヨンに助けを求めたのだ。
しかしパピヨンは、聞き入れなかった。♂プリーストの死体を破壊するのに夢中だったから。
現状から一瞬でそのことを悟ったパピヨンの全身から、力が抜ける。
ここにきた最大の目的が潰え、彼女は貴重な仲間を失ったのだ。
(そうだ、仲間といえば!!)
デビルチは、どうなったのか。
♂プリーストに殴られて、飛んで行ったはず。
その方向をうろ覚えながら探して――それは、直ぐにみつかった。
デビルチのぬいぐるみのような体が、まるで綿を抜かれたようにぺちゃんこになっている。
「ねぇ、大丈夫? 生きているの?」
パピヨンの願うような問いにも、デビルチは答えない。
「ねぇ、ねぇってば。ねぇ、返事をしてよぅ……」
何が悪かったのか。どこから間違えてしまったのか。
敗北感と脱力感に包まれながら、パピヨンは空ろにデビルチの遺体にすがっていた。

396 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/08(日) 16:37:01 ID:IygkPxDU
<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 食料二食 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ
状態:HPSP共に微回復。腹部を刺される。パピヨンの攻撃により死亡。遺体の頭部は損壊。

<デビルチ>
現在地:D-6→E-6
所持品:+10スティックキャンディ トライデント(デビルチ用)
備 考:悪魔
状 態:♂プリーストにさらに木に叩きつけられて死亡。

<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い

<寄生虫>
現在地:E-6
外 見:ウンゴリアントの亜種
備 考:淫徒プリから孵る パピヨンに忠誠
状 態:ストームガスト一発直撃。インベナムにより毒により死亡。

<残り9名+1匹>

397 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/08(日) 18:24:40 ID:jhfKi5zQ
書き込みに来たら続きが!
楽しく読ませていただきました、ついに♂プリも…。
死に様、格好良かったです。

ついでなんですが、絵を描きました。
ttp://yosugaya.fem.jp/battleRO/image/illu561.jpg
執筆者の皆様に。

事情で半年くらい空いてしまったのですが、また読みに来ています。
月並みな言葉しか浮かばないのですが、がんばってください!

398 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/08(日) 22:48:40 ID:IygkPxDU
>>397
うおおお、すごい、凄すぎる。
超大作、ありがとうございます。
貴方の応援を裏切らないよう、最高の作品にしていきますので、今後も楽しみにしてください!!

PS 左上の♂スパノビが可愛すぎ

399 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/09(月) 08:44:04 ID:fssA6N3E
続々と死亡者が…
第一回のプロ南を思い出しますね
最近は週末ここ覗きに来るのが楽しみ

さて残りの人はPTごとに
♂騎士、♀商人
悪ケミ、♀Wiz
♀アコ、♀マジ(方向音痴のため悪ケミと合流できない?
♂セージ、♂モンク
グラサンモンク
パピヨン
こんな感じ?
位置的には皆E-6近辺かー

>>397
アフロの存在感が異常www
もしかして全キャラですか?
久しぶりの絵で嬉しいです

400 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/09(月) 09:29:04 ID:fssA6N3E
Wiki更新してて↑のミスに気付いたorz
アコたち同じ方向に逃げたんじゃなかったですね

人物一覧の詳細も触りたいけど情報量が膨大で挫折

401 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/11(水) 17:12:47 ID:s/0vk6lI
現在の禁止区域更新しときました(図以外の)。
図は無理です。誰か代わりにry

402 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/13(金) 01:23:12 ID:aBpAvfzw
− 294話 Vengeance − 3日目午前〜昼頃

「アァァ……ァァ……」

♀商人が、首輪の仕組みをはじめとした、自分が得た情報を騎士に教えているところであった。
ほぼ全ての情報を伝え終えたとき、その悲鳴が聞こえた。
「悲鳴、聞こえたよね?」
「ああ……誰の声かまでは分からないが……」
普通じゃない。
二人とも、とっさにそう感じる。
おそらく、ここから遠くはないが、近くもないだろう。
「様子を見てくる。君はここで身を隠しておいてくれ」
「えっ!?で、でも」
様子を見に行くと言う♂騎士の腕を掴み、♀商人は必死で彼を止めようとする。
「もしかしたら、仲間が危険な状態かもしれないだろ?」
「で、でも、私一人じゃ化け物が……」
「化け物?」
化け物、と言う単語を聞いて、♂騎士は怪訝な顔をする。
「さ、さっきね、弓を持った化け物が……」
結局、二人とも動き出すまで数十分かかった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「さっきから、モンスターばかり見てる気がするな」
♂騎士と♀商人は、草むらに隠れ、啜り泣くパピヨンを見ていた。
「あれ、さっき私達を襲ったパピヨンだよ。その時は、♂セージさんや♀Wizさんのおかげで逃げてったけど」
パピヨンに襲われたときの事を思い出しつつ、そう言った。
啜り泣いてるのはどういう事だろう。
そう思っていると、突如パピヨンが動きを見せた。
目で、その動きを追った。

頭部が破壊されたプリーストと、虫と重なるように動かないスーパーノービスの姿を見つけた。

「……っ!」
思わず声が出そうになり、だが、こらえた。
顔は破壊されていて分からないが、微かに原型を残している修道女のヴェールが、一緒に横たわっていた。
間違いない。
「あれ……♂プリさん、だよね?」
♀商人は、口元を押さえつつ今にも泣きそうな声で囁く。

確認するまでもない。
あの♂プリースト以外に、誰がいようか。
自分勝手な被害妄想から、信頼できる人を殺してしまった、俺の懺悔を静かに聞いてくれた男。
そして、そんな俺を真面目に説教して、励ましてくれた男。
強面で、口は悪い。だが、聖職者らしい強靱な意志と確固たる信念を持った男。
眩しかった。目が眩みそうなくらいに。
そして、憧れてた。俺には、とうてい持ち得ない強い精神を持った、その男に。
その男が、こんなふざけた場所で、その強面を破壊されて地に横たわっている。

気付けば、パピヨンは泣きながら虫を咀嚼し始めていた。
向こうにいるデビルチも、半身が無かった。
♀商人は、思わず目をそらす。

俺は、何をやっているんだ。
誰も救えず、誰も助けられず。
なのに、自分だけのうのうと生き延びて。

気付けば、剣を抜いていた。
♀商人は、驚いて止めようとしたが、それでもおかまいなく立ち上がった。
――パピヨンと、目があった。
♀商人に、隠れておくよう指示すると、俺は前に出て行く。
「アンタも、あいつらの仲間?」
鋭い眼光。
「どうなの?」
今度は、身体ごとこっちに向け、再び眼光。
「どうなの!?何とか言いなさいよ!!」
そして、俺は静かに質問を投げかける。
「♂プリを殺したのは、お前か?」
声が小さかったかもしれない。
パピヨンは、再び怒鳴る。
「何て言ったの!?聞こえるように言いなさいよ!!」


「♂プリを殺したのは、お前か?」
この男、たぶんあの連中の仲間なんだろうな。
「♂プリってこれのこと?だったら、私がこの通り、ぎったぎたのけちょんちょんにぶっ殺しちゃったよ。残念だったね!ざまあみろ!」
こいつも、ぶっ殺してやる!
 アンタ、この男の仲間だよね?だったら、絶対許さない!!こいつらのせいで、トモダチも、デビルチも、みんなみんな死んで……」
「黙れ」
ぞくり
背筋に、冷たいものが走った。
なんだなんだ、なんなんだこいつは。
凄まじい恐怖が、全身を襲う。
「な、なんだよ、強がったって怖くないぞ!アンタも、こいつみたいにぐっちょんぐっちょんのめっためたに……」
「もう一度だけ言う。黙れ」
ぞくり
さっきよりも更に冷たいものが、背筋を走った。
やばいやばいやばいやばいやばいやばい
こいつ、普通じゃない、と言うか人間じゃない!
何だよあの目!
あれじゃまるで、悪魔じゃないか!
「な、なんだよ……、人間のクセに生意気な……!アンタもこいつみたいに、顔も分からないくらいにしてやる!!!」
そして、男に攻撃をしかけようとして、目が合う。

ぞくり

全身の毛穴が、目一杯広がった気がした。
と言うか、広がったと思う。
とにかく、怖かった。
どうしようもなく怖かった。
あまりの恐怖に動けなくなりそうなほど。
だから、あたしは反射的に、ありったけの魔力を解放して、ありったけの魔力球を放出した。

それが、戦闘開始の合図だった

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   ♀商人と同行 両手剣タイプ 悲鳴のした場所へ様子見
状態:痛覚が完全に喪失 体力は半分以下? 精神は安定? 個体認識異常を脱する
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい

<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    ♂騎士と同行 嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 装置を探しに行く 悲鳴のした場所へ様子見

<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い
    デビルチと寄生虫を一部咀嚼

403 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/16(月) 15:28:55 ID:AzLcWqq.
おや、♂騎士vsパピヨン?
話の流れ的に♂騎士は下手な殺し方できないような気がしてたけど。
パピヨン消えてしまうとすると、そろそろ最終決戦になるのかな?

404 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/20(金) 02:15:18 ID:cT0xx5Vg
295.GMのお仕事(三日目・昼)

意外なことかもしれないが、GMの仕事は決して楽なものではない。
例えば、不正者が現れないよう、首輪の盗聴器から取得する会話内容をログにとり、内容をチェックする。
また、冒険者達の各々の移動推移や死亡記録などもログにとり、いつどこで、誰が何をしたかを詳細に記録するのもまたGMの仕事である。
もちろん、直接幹部たるジョーカーやGMがそのような雑用を行うわけではない。
あくまで行うのは下級兵士達であり、GMはそれをチェックするだけである。
チェックするだけ、であるが、その量も膨大である。
特に現在はGMは幹部であるジョーカーを除いて一人となってしまっているため、GM橘の作業量も跳ね上がっていた。

「ご報告いたします。先ほど、♂プリーストが亡くなりました。死亡原因は――またも、パピヨンの仕業です」
「また、モンスターですか……」
既に、ジョーカーによって、パピヨンの素性は明らかにされている。
その上で、GM橘は頭を抱えていた。

死者がでるということは、通常ならば喜ばしいことである。
が――死亡原因が冒険者でなく、それ以外の要因にある。これは好ましいことではない。
何故ならば、BR法の狙いの一つには、最期の一人まで冒険者同士を争わせることで、王国の脅威となる冒険者の結束を崩すという目的があるからである。
しかし、冒険者以外の脅威が現れると、冒険者の特性としてかえって結束を強めてしまうこととなるのだ。
もし残った冒険者が全員結束し、GMに反逆を起こせば、GMとしては冒険者を皆殺しにしてはいけなくなる。しかし、それは当初の目的を達成できなくなるということにもなるのだ。
GM橘(林)は今、GM橘として行動している以上、この事態に早急に対処をしなくてはいけない。
元はといえば研究をしたいがためにこの島に潜り込んだ彼にとって、その作業は非常に厄介で面倒くさい仕事であろうと思われたのだった。
(第一、どうしろっていうんだ?)
今更パピヨンを参加者として登録しても、手遅れである。
会話ログを見ても、今や冒険者達の注意はマーダーよりもモンスターに向かっている。
そう、問題といえば、マーダーの存在もまたGM橘の頭を悩ます案件だった。
BRを実施するにあたって、運営側は参加者の中にマーダーとなりうる人物を送り込んだり、支給品に殺人を促進させるようなアイテムを仕込んだりして、結束意識の強い冒険者たちが殺し合いを行われるように促している。
だが、現在――マーダーとなりそうな人物が、いないのだ。
強いて言えば、精神異常を仕込んだ♂騎士がいるのだが、その♂騎士は現在、格好の獲物である♀商人と仲良く同行中である。
となると、♂騎士は精神異常をどうにかして解除したことになる。
これも会話ログを遡れば判明するかもしれないのだが、果たしてそれがどれだけ時間がかかるやら。
終末が近い以上、暢気なことは言ってられないのだ。


「で――私の判断を仰ぎたい、というわけですか」
「ええ。正直、私一人では手一杯です」
「そうですか。ご苦労様です。いえ、皮肉ではなく、本当に感謝しているのですよ」
GM橘が眉を顰めたのを見て、笑顔でジョーカーは否定した。
実のところ、GMジョーカーは女王の側近中の側近であり、他のGMよりも多くの権力をもっている。
そのため、この島でのジョーカーの仕事はGMの意思の最終決定を行うことと、他のGMが確認したログの簡単な報告を聞くこと、そしてあとはイレギュラーの対応くらいだけなのであった。
冒険者も運営側もてんやわんやに動いているこの島で、唯一ジョーカーだけがわりとのんびりとしているのである。
こういうときくらい、働いてもいいものではないか、とGM橘は糾弾したいのを必死で抑えているのだ。
ジョーカーは、ほんの少し思案して――言った。
「別に、問題はないでしょう」
「良いのですか?」
「この島に来た以上、冒険者たちの最期は2つです。最期まで生き残るか、死ぬか、です。
死ぬ状況も、そう多くのパターンはありません。他殺、自殺、事故死。あとは餓死とBANです。
このうち、ようは最期の冒険者がBANにならなければよいのですよ。それで、問題は解決です」
「ああ、なるほど」
そこで、ようやくGM橘もジョーカーのいわんとしようとしていることを理解した。
「つまり――大量の不正者が出た場合、二人を残してBANすればよい、ということですね?」
「そのとおりです。いくら冒険者とはいえ、所詮は人間。二人きりになれば、自ずと結束は離れ、殺しあうことでしょう」
「了解です。不正に関しては、そのように。ただ、パピヨンの扱いはどうします?」
パピヨンは、既に調査によって崑崙島のそれを遥かに超える能力を持っていることが確認されている。
もし彼女が冒険者を全員殺してしまっては、生存者がいなくなってしまう。
「それも問題ありません。確認したところ、どうもアレはミストレスほどの能力は持ってはいないようです」
半分、人間の血が混ざっているからかもしれませんね、とジョーカーは笑う。
「冒険者達が全員アレに倒されるとは考えられません。彼女には適当に冒険者達の脅威になってもらえばよいでしょう」
「万が一のことがあっても、冒険者が仲間を置いて逃げる光景がきっと見られるでしょう。それはそれで女王さまの慰みになるに違いない」
「クックック。わかっているではないですか」
薄暗い事務室に、ジョーカーとGM橘が響き渡る……

「橘様、ご報告いたします」
ジョーカーへの相談を終えたGM橘に、さっそく次の報告が回ってきた。
厄介ごとがやや晴れて気分が軽くなったGM橘は、さああと少しだ、と気合を入れなおすのだった。
「先ほど、パピヨンと♂騎士が戦闘に入りました。♂騎士は随分と興奮しているようです。また、ほぼ同時刻、♂セージと同行していた♂モンクが死亡しました。会話ログから、♂セージに殺害されたものと思われます」

<GMジョーカー>
位置:不明(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
備考:女王イゾルデの意向を最優先

<GM橘>
現在地:謎の地下室
所持品:剣(バルムン?) GM森の剣
外 見:銀縁眼鏡、インテリ顔
備 考:殴りHiWiz ガンバンテイン ヘブンズドライブ

<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:死亡

<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♂モンクを殺害?

405 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/20(金) 02:19:03 ID:cT0xx5Vg
>>354様へ業務連絡
そろそろ、第二回目の会議を行いたいです。
可能ならば日曜日の22〜24時に前回と同じ場所で開きたいのですが、いかがでしょうか?

406 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/20(金) 13:23:21 ID:B6lM0q8Y
うぉ、超乙!!
うまい終わり方だなぁ…機会があれば真似させて貰おうかしら
伏線といえば、GM橘の事もあったんだね
ジョーカーの腹の内が知りたいわ…どこまで泳がせるのやら…

ところで、GM橘の現在位置が謎の地下室になってるけど、本部にいるんじゃないかしら?

407 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/20(金) 14:01:51 ID:cT0xx5Vg
>>406
あー、そのとおりです。ついでにちょこちょこと修正します

<GMジョーカー>
位置:不明(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
備考:女王イゾルデの意向を最優先

<GM橘>
現在地:不明(管理本部)
所持品:剣(バルムン?) GM森の剣
外 見:銀縁眼鏡、インテリ顔
備 考:殴りHiWiz ガンバンテイン ヘブンズドライブ

<♂モンク>
現在地:不明
所持品:なし
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:死亡

<♂セージ>
現在地:不明
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♂モンクを殺害?

408 名前:354 投稿日:2009/03/21(土) 11:41:23 ID:Lm3SDIBk
>>405
ぐふ、最近忙しくてチェックもできていませんでした。了解です。
ですがGv後ですので10分少々遅れると思います。
余裕を見て22時半ではいかがでしょうか?

409 名前:359 投稿日:2009/03/21(土) 11:55:22 ID:VYgM7oYE
>>408
22:30でOKですよー

410 名前:354 投稿日:2009/03/22(日) 22:56:16 ID:OknhLI6M
>>359
Ver鯖プロ156,217にて待機しております。
もうしばらくお待ちしますねー

411 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/30(月) 21:27:54 ID:ivlYLdyI
話し合い上手くいきました?おつかれさまです。
一週間動いてなくてちょっと不安になったので書き込み

412 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/05(日) 00:55:01 ID:h2uU.IaM
296.泥仕合(三日目・昼)

ブォンッ!!!

重量200を誇る両手剣カッツバルゲルが、数瞬前までパピヨンがいた空間を引き裂く。
「逃げるんじゃない、この薄汚い虫けらが!!!」
ブォ……ズガシャッ!!
「ひぃぃぃぃぃ!!」
再び剣が振り下ろされたため下の地面が砕け散り、またも間一髪で避けたパピヨンの体に泥が飛び散る。
だが、それが目立つことはない。何故ならば、パピヨンは既に大量の泥と自身の血によって美しい体を汚していたのだから。

恐怖におののいたパピヨンの攻撃は、あっさりと♂騎士に回避された。強力な攻撃を行うことのみ考え、ろくに照準を合わせないがむしゃらな攻撃だったのだから、当然だ。
そして、初撃を失敗したツケは大きかった。
右翼の損傷。
自由に空を舞い敵を翻弄する、ヒットアンドアウェイスタイルを主とするパピヨンにとって、これは大きな痛手だった。
飛べない蝶は芋虫と同じ。
今のこの瞬間まで、パピヨンはただただ♂騎士の攻撃を避けることしかできていない。

「うおおおおおおおおおおおっ!!!」
ブン! ブン! ブンッ……ズンッ!!!

凄まじい重量を持つはずの鉄塊にも関わらず、カッツバルゲルは怒涛の勢いで攻撃を仕掛ける。
それは鍛え抜かれた♂騎士の肉体・技術だけで実現できる代物ではない。
♂プリーストを殺された怒りが、極限を超える力を、♂騎士に与えた?
それも、違う。
実は、GMが♂騎士に事前に投与した薬品の中には、精神に異常を与えるだけでなく、肉体の反応速度を向上させる薬品『バーサークポーション』が含まれていたのである。
イグドラシルの実により若干中和はしているものの、未だに一部の異常は♂騎士の肉体と精神を蝕んでいる。人間には不可能とも思える攻撃の裏には、このような事情があったのである。
だが、それにも関わらず、既に20撃以上の攻撃を放っておりながら、未だに♂騎士はパピヨンに致命傷を与えられずにいる。
それは、パピヨンが身軽であり、羽が負傷していてもある程度の回避力を持っていることもあるが、それ以上に♂騎士への精神が乱れていることにある。
なんのことはない。バーサークポーションの効果により攻撃速度は増したが、精神が正常を見失っているため、攻撃がずさんになっているのである。
そして、いつまでもパピヨンを殺せない苛立ちはさらなる怒りを呼び、さらに攻撃は苛烈になるが、避けやすくもなっていく。
重要なのは――そのことを、♂騎士だけでなくパピヨンも理解していないことだ。

「死ねッ! 死ねッ! 死ねッ! うおおおおおおおおおおおっ!!!」
フォン! ズガッ! フォン! ズガッ! フォン! ズガッ!

苛烈な攻撃は、パピヨンを捕らえられずに地面だけを耕す。
パピヨンは回避し生き延びることだけに夢中で、反撃を行おうとすら考えない。
それは、見た目だけが派手な、ただの泥仕合だった。


しかし、いつまでもそれが続くはずもなく。
終わりは、あっさりと、訪れた。

「あ」

ずるり。
カッツバルゲルによって破壊された地面に、パピヨンが足を取られた。
パピヨンの体を地面に沈み。
鉄の刃が、パピヨンの頭部目掛けて振り下ろされる。

フォン……グシャッッッ!!

カッツバルゲルは、木っ端微塵に打ち砕いていた。
パピヨンが、一瞬前まで倒れ付していた、その地面を。

そのパピヨンの姿は、♂騎士の視界にはない。
代わりに♂騎士の脳裏に浮かぶのは、眼前に刃が迫ったパピヨンの体を、一瞬淡い光が包んだ光景。
テレポート。
そう、♂騎士達冒険者は首輪と能力制御装置によってスキル能力などを封印されているのだが、パピヨンは部外者であるため、テレポートの規制から外れていたのである。
それを理解した♂騎士は、弾かれたように動いた。

「うおおおおおおおお、糞、このやろう、どこだ、でてきやがれえええええええっ!!!!!」

ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!

♂騎士の剣が、そこらへんの茂みをなぎ払う。だって、そこにパピヨンが隠れているかもしれないじゃないか!!

ズゴッ! ズゴッ! ズゴッ!

カッツバルゲルが、斧のようにそこらへんの樹木に叩きつけられる。だって、そこでパピヨンが休んでいるかもしれないじゃないか!!

周囲には何者の存在も感じられないのにもかかわらず、それでも♂騎士は剣を振るう。

あのパピヨンが今も生きているなんて、許されるはずがない。世界中の全ての人類が許したとしても、俺が許さない。
奴にはただの死すらも生ぬるい。奴は頭以外を完全に破壊して、二度と再生できなくしなくてはならない。
そして残った頭部に、♂プリーストの遺体の前で謝罪させなければいけない。
盗蟲は頭部のみの状態でも生きているし、あいつだってそれくらい不可能じゃないだろう。
文句はどんなのがいいか。ごめんなさい、と一万回言わせるのだけでは生ぬるい。
『この卑しく矮小な私は生きる価値もありません。私は今すぐに死を選び、そのまま二度と現世に戻らず永遠に地獄で貴方にお詫びしつづけます』
そして、それを言い終わった直後に奴の頭を木っ端微塵に砕き、それを♂プリーストの弔いとするのだ!
それには、まずパピヨンを探さなければ。どこだ、どこだ、でてこい、今すぐ俺がその頭を体を切り離してやる。
うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!

ギッ……ギリギリギリ……ズンッ!!!!!

♂騎士の攻撃によって、木が切り倒され、周囲に轟音が巻き起こる。
そこで……♂騎士は、ようやく我に返った。
そしてそれは彼に、パピヨンの討伐に失敗した、ということを知らしめることとなる。
大事なチャンスを逃した。その事実に、♂騎士の体が崩れ落ちる。
大の字に寝そべり、♂騎士の意識もまた、深遠の闇の落ちていった……


と、不意に♂騎士の意識が覚醒した。
周囲には何者の存在も感じられない?

「あの娘は……♀商人は何処だ!?」

<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ ♀商人を見失う。
状態:痛覚が完全に喪失 体力は半分以下? 精神は安定? 個体認識異常を脱する
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい 若干暴走状態

<♀商人>
現在地:???
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 装置を探しに行く 失踪

<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い
    デビルチと寄生虫を一部咀嚼 右翼損傷 テレポートで逃亡

413 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/07(火) 15:17:53 ID:fcudmexM
すいません、盛り上がってる中でアナザー投下してよろしいでしょうか?

414 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/07(火) 18:59:30 ID:EwFg9LD.
どうぞー
ROMってる者としては本編じゃない話でもどんどん読みたい


また♂騎士怪しくなってきたね
主人公っぽいポジションにいながら、なんだか見ててもやっとする
堕ちるならさっさといっちまえと薄情なことを言ってみる
ああでも♂ケミの努力が無駄になっちゃうなぁ…

♂モンクが♂セージに殺されたなんて話もちらりと出てたけど、こちらは首輪解除したのかな?
かなり長いこと気絶したままだったから♀騎士と同じ道辿ってしまったんだろうか

415 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/07(火) 21:54:46 ID:fcudmexM
ではお言葉に甘えて…。
第三回で彼を使おうと思っていた方すいません;;

Another 岩山に砕かれた思い

「殺し合いをしてもらいましょう」
そう告げたGMジョーカーを見つめ、一人の騎士の男が笑みを浮かべた。
彼は騎士団の中でも優秀で、信頼されていたのだった。
ただ一つ、お化けが苦手という弱点があるのがタマに傷であった。
(余裕ぶってるのも今のうちだぞジョーカー!必ずオレは、仲間を集めてこのゲームを潰してやる!
イゾルテにも馬鹿げた事だと説得しなくちゃな。)
彼は自ら進んで参加した。
こんなのが続けられたらいつかは仲間達も参加させられてしまう。
それを阻止する為に参加したのである。
ふと、以前何回かPTを組んだ♀Wizの姿が横目に見えた。
(確か島の秘密を聞いたって言ってたっけ?)
彼女と組めば順調にBRを潰せれるかもしれない。
さっそく、彼はランダムポータルに乗った。
このゲームが無くなれば仲間達も安心して暮らせるし、犠牲者もこれ以上出なくて済む。

出た場所は
      不安定な岩山の上だった。

状況を把握する前に彼は足を滑らせた。
落下地点にには鋭く尖った岩山があった。
やけにそこまで落ちるのがゆっくりに感じられた。
しかし、彼自身もそれなりの動きしか出来ない。
(くそ!このまま終わってしまうのか!?こんな終わり方じゃ嫌だ!
オレは最後まで戦って戦って…そしてまたアレス達と一緒に冒険するんだよ!)
必死の抵抗も虚しく、少しずつ岩山が迫ってきていた。
そして、衝撃音と共に、全身に激痛が走った。


<ルシフィ 島の南東部にて串刺し 荷物はすべて下に落下
      後にジルタスと差し替えられる>


DSキャラってクホグレンみたいに公式だから大丈夫だろうと…。

416 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/07(火) 23:32:26 ID:r4SduZIA
乙です。
そういえばいたね。その人。
途中参加だったから、wikiの参加者一覧見て、
ペットのジルタスがなんで50人に入っているの!?
カウントミス!? 知られざる50人目がいる!?
って最初から読み返しちゃったりしたなー

417 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/09(木) 21:27:53 ID:YbXTFBEY
− 297話 へいき、へっちゃらッ! − 3日目昼頃

あの場から逃げ出して、どのくらいになるだろう。
走って、走って、走って。
草原のど真ん中を、全力疾走で駆け抜ける。
生きなきゃ。
あの♂プリさんの為にも、生き延びなきゃ。
♂プリさんは、間違いなく死ぬだろう。
悲しいし、悔しい。
でも、受け入れなきゃ。
そして、生き延びなきゃ。

ピ……ピ……

あれ、何の音だろう。
走りすぎて疲れてるんだろうか。

ピピ……ピピ……

ああもう!
うっとうしい!
♀マジは背負われてるクセになんか暴れてるし!
もっと静かにしなさいよ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ちょっと!キミ!止まって!と言うか方向転換!」
ああもう!
このint1の馬鹿アコはどこ向いて走ってるんだよ!
「うるさいわねっ!怪我人のクセに暴れないで!」
そうじゃなくて!
首輪、首輪鳴ってるから!

ピピピ……ピピピ……

やばいやばいやばい、これホントににやばいって!
言うだけじゃ分からないなら、力尽くでも止めないとだめだ!
「いいから止まって!鳴ってる!首輪!音!鳴ってるから!早く!」
焦ってるせいで、文脈がおかしい。
けど、今はそんなことに構っていられない。
♀アコの身体の至る所を叩きながら、叫ぶ。
叩く度に、蹴られた背中が酷く痛むけど、そんなこと言ってる場合じゃない。
「だーかーらーーー!!怪我人は静かに……え?」
♀アコが疑問の声を投げると同時に、急停止する。
その反動で、ボクの身体が大きく揺れ、強烈な痛みが全身に駆け巡る。
おまけに、いきなりの急制動に♀アコ自身も対応できなかったらしい。
そのまま前のめりに倒れ、ボクはその背中から投げ出された。
そして、ボクの身体は草原の上をごろごろと転がる。
その度に、凄まじい痛みが全身を流れ、意識が飛びそうになる。
いや、何回か飛んだかもしれない。
「今、何て言ったの?」
いきなりの暴挙に悪びれることもなく、そう聞いてきた。
飛びそうな意識を無理矢理繋ぎ止め、氷雷コンボを決めたい衝動を抑えてボクは続ける。
「だか……ら……!首輪……鳴ってる……って……何度……言えば……!」
痛みが強烈すぎて、上手く喋られない。
「だったら、もっと早く言ってよね!無駄に走っちゃったじゃない!」
あまりの馬鹿っぷりに、草原もろとも焼き払いたい衝動に襲われたけど、何とか我慢した。
「だか……ら!何度も……言ったじゃ……ないか……!」
痛みのせいで起き上がることも出来ない。
「あらそうなの?ごめんなさい」
こいつ……!
思わず飛びかかりそうになっけど、痛みが酷くてそんな気力は無い。
ああもう、どうにでもなれ……。

「背骨が折れなかったのは、不幸中の幸いだったわね」
「うう……まだ痛むよ……」
不幸中の幸いか、背骨の損傷はないみたいだった。
ただ、パピヨンに蹴られたと同時に触覚が左の肩甲骨を直撃したらしく、骨折していた。
痛みがあまりにも強烈だったのはこのせいだったらしい。
本来なら三角巾を使って固定しないといけないけど、手元に無いから♀アコのショールと左袖を破って、それで固定してる。
心許ないけど、今はこれで我慢するしかない。
当然、左手は使えないけど盾なんか無いし、直接殴るわけでもないからあんまり影響はない、と思う。
痛みが残るのは仕方ないかな。
まあ、背骨の代わりに折れたと考えればマシかもね。
「ま、ここを脱出するまでの間は我慢することね」
そうだ。
こんな怪我、ここを脱出してからどうにかすればいい。
……先生、見守っててください。
「さて、どうしよっか」
「今の場所はF-6だね。みんなと合流するにはE-6を通るしかないけど……まだパピヨンいるだろうし」
「そうねえ……悔しいけど、あたし達だけじゃかなわないし……」
とは言え、合流するにはさっきの道しかないし、戻るのはあまりに危険すぎる。
おまけに、戦力を考えるとこっちに来る可能性の方が高い。
多分、パピヨンは♀Wizさんのいる方向には行かないと思うから。
その時、ある事が脳裏に浮かんだ。
灯台だ。
悪ケミさんが、「気になる『灯台』があった」って教えてくれたの忘れてた。
確か、砦で使われてる装置と同じものって言ってたような。
その灯台は、ずっとこの先のJ-6にある。
言ってみる価値は、あると思う。
有言実行。早速、行動に移さないと。
ボクはしゃがんで、地面に文字を書き始めた。
『J-6に悪ケミさんの言ってた灯台があるから、そこに行こう』
「とりあえず、向こうの方へ行ってみよう。何か手掛かりがあるかもしれない」
もちろん、会話でのカモフラージュも忘れない。
「ちょ、ちょっと休ませてよ……」
せっかく目的が見つかったのに、その出鼻を挫かれてむっとする。
でも、よく考えたらさっきまであんなきつい戦闘して、ボクを担いでここまで全力疾走して、しかも治療したんだ。
疲れてるのも無理はないか。
でも、ボクはここにいる方がずっと危険だとも思った。
『灯台に着いたら休んでていいから。そこまで頑張って』
「ボクより体力あるんじゃなかったの?それとも、太ってるせい?」
単純な性格だし、簡単に乗ってくるだろう。
案の定、♀アコはすっと立ち上がった。
「どっかのまな板娘と違って、あたしは胸が出てる分身体が重いの。」
『じゃ、任せた』
聞き捨てならない事を言われたけど、地面に書かれた言葉は肯定の言葉。
「お腹の間違いじゃなくて?キミは、この無駄のないボディの素晴らしさを見習った方がいいかもね」
嫌味に嫌味で返して、立ち上がる。
「あら、こういうのはないすばでぃって言うのよ?ま、皮と骨しかない貧弱ボディのあなたには分からないでしょうけど」
♀アコも、嫌味に嫌味で返して同じく立ち上がった。
「「うふふふふふふふふ……」」
不適に笑い、そして地面の文字を足で消す。
小デザが岩陰に隠れた気がしたけど、気のせい気のせい。
「まあ、とりあえず行くよ」
腹立つけど、貴重な時間を無駄に浪費したくはない。
心の中で水に流し、目的地の灯台へ向かって歩き出す。
何か、手掛かりが見つかると良いけど……。

<♀アコライト&子犬>
現在地:F-6(F-5寄り)
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042 ショールと左袖を破く
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP少量 疲労気味 灯台(J-6)を目指す

<♀マジ>
現在位置:F-6(F-5寄り)
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られるが意識あり。
    左肩を負傷→♀アコのショールと袖で固定 痛みは若干残る 灯台(J-6)を目指す

418 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/10(金) 17:27:00 ID:p9R.dxOM
すいません、♂騎士不幸が萌えるので投下してみます!
もし駄目な話だったらNGにして構いません。
ちなみに♀商人は坂本竜馬風に○○ました。(伏字)


298.二度あることは…(三日目・昼)

♀商人はわりとすぐに発見できた。
「…なんで…」
彼女は、♂騎士のすぐ近くにいたのだった。
「なんで……」
額から血を流して倒れていたのだった。
まだ微かに生きてはいる。
だが、その傷は脳にまで達していた。
「よか……や…と……正気に…な……くれた……。」
弱弱しく呟く彼女をただ見つめているしか出来ない♂騎士。
あまりの怒りに、彼女が自分の身が傷つく事も構わず止めようとしてたのに気付いてなかった。
また、守るべき者を傷付けてしまった…と震えながら♂騎士は呟いた。
「……泣かないで…」
それが、♀商人の最後の言葉となってしまった。
♂騎士へと伸ばした手がパタリと地面に落ちた。
自分のせいで♀商人は死んだ。
その考えが、♂騎士の中で膨れ上がる。
「そんな…どうしてなんだよ……どうして俺は誰も守る事が出来ないんだよ!
守りたかったのにっ!今度こそ、彼女こそは最後まで守り通したかったのに!」
♀商人の亡骸を抱きながら♂騎士は泣き叫んだ。
二度あることは三度ある。
いい事も悪い事も、二度も続けば三度目だってありうるのだから。
『どうせお前は誰も守る事など出来はしないんだ。』
再び、♂騎士に邪悪な声が聞こえた気がしたのだった。


<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ ♀商人を殺してしまう。
状態:痛覚が完全に喪失 体力は半分以下? 精神は安定? 個体認識異常を脱する
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった? ♀商人を殺害した事に嘆いている。

<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 装置を探しに行く ♂騎士を信じていた
状態:死亡

419 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/11(土) 14:01:47 ID:XMYPounw
不幸属性は萌えるけど同じパターン続くのもどうなんだべか

420 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/11(土) 22:51:26 ID:qJxVttVU
今までスローペースだった分さっさと殺しても良いっちゃ良いけど
急展開ハイペースで殺しすぎだろとは思うこの流れ

421 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/12(日) 01:37:04 ID:JEfgn8ho
人数も少ないし、殺すなら先に続くように殺す方がいいかもね。
同じパターンは何度も繰り返すと「またか」って思っちゃうし。

422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/12(日) 12:10:35 ID:5jXrJww6
ふむ〜;一応「恐怖で殺した」じゃない分違うかなと思ったけど…やっぱだめか〜;
了解!次書けた時は違う話を頑張ってみますね。

423 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/04/28(火) 17:11:48 ID:BoHV9JGQ
む、止まってる?
>>418どうするかで迷ってるのかな

424 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/05/16(土) 06:35:46 ID:kbuNMgIU
♀商人と♂セージの関係が密かに気になっていたのは自分だけでいい

425 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/05/26(火) 21:42:11 ID:sjbkkbTw
また停滞モードですな
話し合ってた作者さんたちいなくなっちゃった?

426 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/06/11(木) 15:35:29 ID:kfhpSf6.
うお、止まっておりますな。
>>418はどういう扱いになるんだろう、採用になるんだろうか?

427 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/06/12(金) 01:19:13 ID:yJMEhgc2
人がいた。嬉しいので書き込み
ROMってる人は結構いるのかな

終盤の収集難しいね…
伏線が多すぎて回収しきれるのかどうか

428 名前:426 投稿日:2009/06/19(金) 04:40:58 ID:T6u6ZJHQ
ああ、書き込みがあった!どのスレで見るより嬉しい
ただの読み手だけど、どうしても気になってつい見にきてしまう。

書いてくれる人にはがんばってほしいと思うけれど、
正直自分も今なにがどうなってるのか把握しきれてない。
この状態からなにか書こうっていうのは、
想像する以上にすごくエネルギーが要るんだろうとも思う。
がんばって完結させてください、っていうのは我がままなのかもしれない。

429 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/06/20(土) 20:28:28 ID:SvRsvKwo
ROM専なんだけどさ我慢できなくて書き込みますね
ぶっちゃけバトROワ1の時からここを見てるんだけど
2の途中から5年ぐらい間が開いてここ最近また進み始めたよね
すごく嬉しかったんだ
自分はいまだに完結を待ち続けてるよ

頑張ってくださいなんて他力本願な事しかいえないけどそれでも頑張ってくださいっ

430 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/06/21(日) 18:34:11 ID:MgLTzoe2
ノシノシ 427です
3人は人がいるんだなぁよかった。

2部の途中4ヶ月くらい止まりましたね
Vel鯖で作者集会あったって聞いたとき嬉しかったなー
忙しいのかなと思いつつ待ち続ける日々

久しぶりに初めから読み直してついつい♂剣士を作ってしまった
死神クルセさん大好き!

431 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/06/27(土) 21:57:10 ID:MEK4zCIU
久しぶりにきてみたけどちょうど進み始めてる時なのか?
よかった、正直なくなってるかと心配だった。
陳腐な言葉だけど書き手の皆さん頑張ってください

432 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/03(金) 10:30:41 ID:IZDxRQBU
読み手生存報告 ノシ

433 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/07(火) 00:22:37 ID:miseXux.
二番手 ノシ

434 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/07(火) 03:01:32 ID:b.Ll.lZM
三番手 ノシシ

435 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/07(火) 23:01:31 ID:6e0EGz9Y
四番手 ノシ
がんばってっ

436 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/08(水) 13:50:59 ID:6O36FiZY
五番手! ノシノシ

437 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/09(木) 09:38:48 ID:rVtXhOSE
久しぶりに見にきた1stの時の書き手、他所でフルボッコにされてそれから2年ほど文は書いてないw
いやホント井の中の蛙っぷりを思い知らされたよ・・・w

そういうわけで読み手6番手 ノシ

438 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/07/13(月) 17:39:22 ID:JU1KgJDY
1stの時の皆素人感も結構好きだったよ
ヤファの人は一人で話進めすぎだったけれどもねw

第二部は書き手のレベルが上がってびっくりした
そして終盤の危機もちらりと感じたんだけど予想通りになっちゃってorz状態…

439 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/08/09(日) 21:33:21 ID:fwO10IBQ
終盤展開になってから序盤からの読み返し
→余裕で死亡フラグ。涙腺崩壊的な意味で…|||orz

流石に時間も経ってるから、内容覚えてるつもりでもかなりクるものがあるなぁ…
挙手ついでに叫ばせてくれ。
当時はピンゾロネタ知らんかったがそれでも割りと好きだったぞ♂マジー!!

読み手8番手? あたりかな。 ここにもいますよー!ノシノシ

440 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/08/21(金) 12:04:13 ID:u1PxjSdc
読み手ここにもいますー♪
9番目ですよね?(*´Д`)ノシ

441 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/08/23(日) 21:12:10 ID:0cGxfuAQ
ところで結局>>418はどうなるんだ?
採用でいいのか?

442 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/08/23(日) 23:53:06 ID:BqHEkw5k
>>422で書き手さんが了承してくれてるみたいだから、
NG作品なんでないかな?

443 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/08/24(月) 14:11:45 ID:F6sJKMXs
確かに♂騎士はどっちなんだよって状態が続いてるからなぁ
殺人側いないから転びそうなのは♂騎士くらいだけど。
もしもこれから反転するなら今度は正気に戻るってことはなさそう

個人的にはこのキャラ不安定でいらいらする…好きなんだけどね
立場はっきりしてほしいなー

444 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/10/22(木) 17:34:50 ID:eVF3dtuo
♂騎士の設定はすごく面白いけれど
そこが特化されすぎてウロウロしちゃっただけに
今はどの作者さんも触りづらいんじゃないのかな?と
ROM専は思ってみました。

445 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/10/26(月) 23:25:17 ID:bEZffRyo
戻ったと思ったらまたかよの繰り返しで半カイン化してるな

446 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/10/31(土) 01:24:46 ID:CBZ6RYlo
おれは しょうきに もどった!

447 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/03(火) 20:54:37 ID:Txh3p0v.
半カインww
ガリ噴いたwww

448 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/04(水) 08:23:46 ID:eLnjpw/U
ん〜…手詰まり感漂ってるね…

そういえば随分前に>>418の続きを書いたんだ
もうNG作品っぽいから控えてたんだけど、燃料になるかねぇ

449 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/19(木) 17:09:56 ID:zrjJB9s.
今更だけど10人目ノシノシ このシリーズずっと
ひそやかに応援してくれてる友人数人いれればもっともっと!

>>418で♀商人を殺した経緯を汲み取るには内容がどうも
(言い方は失礼だけど)浅いというか、考え無しに殺しちゃった感が否めない…
ちょっとでも修正できるなら、>>418はNGで巻き戻しにするか、
後付けで話を絡ませられるならこのままでも…書き手に依存するしかない状態だ…

450 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/20(金) 08:22:24 ID:blXHU1lE
久々に覗いてみた元書き手。
完結を望むひとりなので、近いうちにふらりと何か投下してみるかもしれませぬ。

451 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/24(火) 00:50:21 ID:Z80tMiHo
おっと久々にレスがついてた
伏線多いし間隔開きがちだから状況把握が難しいですよね
まとめてみようかと思ったけど挫折しちゃった
書き手のお手伝いしたいんだけど頑張ってとしか言えないもどかしさ

452 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/25(水) 01:56:36 ID:uQMn1ZJI
299.分水嶺(三日目・昼)

懺悔の叫びは、今や獣じみた咆哮へと変わっていた
まるで狂人の様なそれは、♂騎士のせめてもの抵抗だった
嘲笑う黒い声がこびり付いて離れない
『お前が人を守る?守るだって?』
♂騎士の全てを否定し、嘲笑いながら
『今まで何人殺したか、もう忘れたのか?』
「黙れッ!!!」
どれだけ吼えても、内なる声をかき消すことは出来ない
『気持ちよかっただろう?思い出せよ。人を殺した瞬間を』
「黙れッ!!!!」
『そんなお前が、よりにもよって騎士だと?笑わせるな』
「ッ!!」
『ローグですら嫌悪する立派な悪人なんだよ、お前は』
「・・・」

ともすれば倒れてしまいそうな身体に鞭を打ち、♂騎士はふらりと歩き始めた
体力も気力も殺がれ、流れる涙も拭わずに





彼女はずっと隠れていた。否、そうせざるを得なかった
恐怖が体を蝕み、一切の動きを許さなかったからだ
意気地なしと叱咤するも、ピクリとも動かない。そんな自分が心底嫌だった

だからせめて、彼女はずっと考えていた
一体♂騎士に何が起こったのか
いや、何より今後の立ち回りを考えないといけない
自分一人でどうにかできるほど甘くは無いだろう
かといって、仲間を呼びに行って♂騎士を見失うのも非常にマズイ

そう長くない時間、必死に考えに考え、決めた
だからこそ♂騎士が立ち去った瞬間に動けたのだ
自分の定めた方針に従い、彼女は駆け出す
ふと、♂騎士が先程までいた場所に目が向く
恐らくパピヨンとの戦闘で折れたのだろう、腰掛けるのに丁度よさそうな木が横たわっていた
丁度人一人分位の木、それ以外には何も無い
死体も、血すらも有りはしない
「…幻覚」
♂騎士の症状を、そして心情を察した♀商人は、思わず顔をしかめた


<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
   できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
   両手剣タイプ
状態:痛覚が完全に喪失 体力は半分以下? 精神は安定? 個体認識異常を脱する
   必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 幻覚及び幻聴 ♀商人を殺害したと思っている

<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
    嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 方針を固めて行動中

453 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/25(水) 02:16:01 ID:uQMn1ZJI
>>448をようやく探し当てたので投稿
状態異常に幻覚ってあったなぁと思いながら書いてた筈
>>418を思いっきり無下にしてるし大して話進んでないしでダメダメなものだけど
自分にゃこの程度しかかけないモンで…NGならNGでスッパリ切ってやってください
仮に採用された場合、♂騎士と♀商人の行動指針等は全て次の方にお任せします

岩山ネタ本編に絡ませたかったのだけれども…アナザーで使われちまったいっ><

454 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/25(水) 19:06:49 ID:tsqAJzoY
投下ありがとう&お疲れ様です

商人の持ってる乳鉢をどうにか生かせないかな
解毒剤とかやっぱり作れないんだろうか?ご都合主義すぎる?
ジョーカー側の勝ちか参加者側の逃げ切りかを決めないと続き難しそうですね

455 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/25(水) 22:27:16 ID:Zph9uUJw
お〜来てたかぁ、お疲れ様

薬とかあっても良さそうだけどね
♂セージ辺りと合流すれば如何にかなりそうだ
・・・幻覚って何で治るんだ?エフェクトOFFしか思いつかねぇ
個人的には参加者勝利で終わって欲しいな、やっぱり

ところで、アナザーは本編とは関係無いんじゃなかったっけ?
使いたきゃ使ってもいいんじゃない?>岩山ネタ

456 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/25(水) 22:36:00 ID:cOEkY5iI
幻覚なら万能薬かローヤルゼリーで治るよ

457 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/25(水) 23:42:26 ID:tsqAJzoY
この反応の速さ・・・!

アナザーはかなりネタ込みな気がする
最終回?とか全然絡んでないしw

458 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2009/11/26(木) 00:24:27 ID:CIvr3Xgo
どうも、こんばんは。遅れてすみません。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所(以下交流所)」の方でラジオをしているR-0109です。
現在、交流所のほうで「第二回パロロワ企画巡回ラジオツアー」をやっていまして。
そこで来る11/28(土)の21:00から、ここを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

交流所を知らない人のために交流所のアドレスも張っておきます。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1243687397/ (したらば)
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html (日程表等)

459 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/28(土) 02:01:05 ID:Fp.cfVP.
見れないけど応援
まだバトロワ人気あるんだなぁ

460 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/28(土) 03:18:51 ID:uGCCQHN2
>>458
仕事で時間に間に合わないだろうけど、いいんじゃないかしら

乳鉢でローヤルゼリーはともかく、万能薬なら有りかも
でもアルケミは2名共死んじゃってるから完全なのは無理ぽ
仮に♂セージと合流しても材料無いし
つーか狂気ポはまだしも、幻覚・幻聴に痛覚麻痺。治ったとはいえ認識異常もセット
♂騎士はどれだけ薬盛られてるのさw

461 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/28(土) 13:04:00 ID:vb2WeU/.
>>460
とりあえず、ケミについては、悪ケミがのこってるような。

462 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/28(土) 22:47:05 ID:yfpdDWbc
第一回のときは酒片手に参加させていただいたなぁ…と懐かしく思い出す現在禁酒中の身がここに一人。
うーん…流れてしまったんかなぁ、企画様…無念。・゚・(ノ∀`)・゚・ トホー

463 名前:R-0109 ◆eVB8arcato 投稿日:2009/11/28(土) 22:48:58 ID:Qvsu0c1I
うわああああああああああああああああああ?!
本スレ書き込んでねええええええええええええ?!
ttp://r-0109.ddo.jp:8000/ (ラジオアドレス)
ttp://www.k-razor.com/netradiofaq.html (聞き方)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1259409741/

じっきょうすれです!
すいません!

464 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/28(土) 23:38:05 ID:vb2WeU/.
まだ、やってますよ〜。

465 名前:464(赤の他人) 投稿日:2009/11/29(日) 00:57:04 ID:MIpiWDwY
おわりました〜

466 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/29(日) 01:01:35 ID:z4O8Hsq2
>>465

楽しかった!!

マツオカの祝いが…wwww
誘導ありがとうございました! 企画様参加の皆様お疲れ様でしたー!

467 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/11/29(日) 14:51:22 ID:2CQ/yBmM
今実況スレだけ眺めてきた。皆お疲れ
ROワ好きな人がこんなにいるなんて嬉しいな
どのキャラも好きだから死んで欲しくないけど続きも読みたい

首輪解除〜ラストまでってやっぱり第一回でも詰まったの?

468 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/12/01(火) 09:14:22 ID:gGiCr8nw
一回目は首輪解除フラグをそのまま捻らずに使ったのが良かったと思う
後ラストマーダー二人消した人と、ラスト数話でスパートかけた人って同じ人だったよーな
つまり他ロワでの経験も踏まえて言わせてもらうのなら、一人二人が最後までぶっちぎる覚悟で書かないと最後ってどうやったって詰まるもんなんじゃねと

469 名前:接近に失敗しました 投稿日:接近に失敗しました
接近に失敗しました

470 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/12/31(木) 17:35:54 ID:HKznNrJE
今年最後の書き込みが業者とか残念すぎるので阻止
ジョーカーさんから皆様よいお年をという伝言を預かっております

471 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/01/09(土) 13:29:33 ID:/i4q1I6Q
明けましておめでとう御座います。

なんかまとめサイト開けなくない?

472 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/03/17(水) 16:17:03 ID:7RdVuPaA
過疎ってるなぁ…
まだ見ている人はいるのだろうか

473 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/03/17(水) 23:16:52 ID:wqEI0KwU


474 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/03/17(水) 23:32:38 ID:SmXctHq.
いるよ〜ノシ

475 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/03/18(木) 03:03:42 ID:8QzDX4hk
巡回はしているけれど、書き手不在の読み手潜在といったところか。

476 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/15(木) 05:36:48 ID:wVNNIr1I
いざ書こうにも、何がどうなってるのかさっぱりってのもあるかもね
首輪の解除条件とか各PTとかまとめてみようかしら…
つか、時間の進み方がえらく遅いな…まだ三日目の昼頃なのか

477 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/16(金) 00:58:23 ID:Sxzv4t6Q
5年ぶり? くらいに皆こんばんは。
一気に300話ちかく読んじまったよ、次も期待してる

478 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/27(火) 16:24:30 ID:7BsL2lRE
元作家で休止者だけどGWに進めてみようかな

479 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/27(火) 17:28:59 ID:IXVGjC6.
ざっと読んだが、やはり情報が膨大だな
首輪システムだけでもまとめておくか

480 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/27(火) 23:22:00 ID:IXVGjC6.
まず、振動リンクシステム
同色な2つのジェムストーンを遠隔で同期させるシステム
リンクが切れるとジェムストーンは砕けてしまう

で、首輪
生死判定用にユミルの爪角、小型で殺傷能力の高い爆発物
そして限界までエネルギーを蓄積したジェムストーンを内臓
このジェムストーンが砕けると蓄積エネルギーが放出、爆発物へのトリガーとなり爆発する
上記の振動リンクシステムを用いており、対となるジェムストーンはGM側が管理している

正式な手順を踏まずに外す・島の外に出る等を行った場合、リンクが切れてジェムストーンは砕ける
死亡が確認された場合、振動リンクシステム自体が解除される
従ってジェムストーンを砕く様な事がなければ爆発しない

そして解除法
・ユミルの爪角による生死判定を狂わせる
 自身を死亡扱いにして、振動リンクシステムの解除を促す
→具体的な方法が思いつかない

・首輪のジェムストーンに対して気奪を使う
 起爆剤である蓄積エネルギーを0にして、爆発を防ぐ
→同期しているGM側のジェムストーンにも影響が出る=BAN執行に来る可能性大

尚、悪ケミ達は後者を実行するべく動いている

シーフを探している理由は、GMが所持しているであろう制御装置を無効化する物品を奪う為

上記は全て悪ケミによる仮定である
但し彼女曰く、首輪にジェムストーンが使われているのはほぼ確実

481 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/27(火) 23:52:51 ID:IXVGjC6.
取り敢えず首輪関連まとめてみたよ
何か抜けてたらゴメンネ

482 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/28(水) 09:47:27 ID:0DyqyPiw
首輪まとめ乙です
途中からずっと見てるけどシステム面複雑で流しちゃってた
ちょこっと補足。書き手の参考になれば。

>生死判定を狂わせる
これは第一回で♀ローグがやってた不死化相当
今のところそれっぽいアイテムはないはず?

>気奪
グラサン生存、アフロ♂モンク生存?のため問題なし

>シーフ探し
シーフ系おそらく全滅。♀WizがGM森の剣を持っている?
GMの剣はスキルの制限解除効果あり?

4つの灯台壊しの目的が何だったか忘れてしまった。読み返してくる

483 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/28(水) 10:34:55 ID:0DyqyPiw
時系列があやふやだった・・・
♂セージと♀Wizが別れた後に剣入手してました
今後の流れは合流できるか、装置破壊組をどうするかあたり?

484 名前:479 投稿日:2010/04/28(水) 21:08:50 ID:u7GRxpXM
しまった…爆発条件に禁止エリアへの侵入ってのを忘れてたorz
ついでに地図関係とかもまとめておこう

各自の持つ地図は禁止エリアを映す物であると同時に、GM側へ位置情報を送るものでもある
この地図が禁止エリアへ侵入した場合、所持者の首輪から「ピピピ」という警告音が鳴り始める
音は段々大きく早くなり、最後まで無視を続けると首輪が爆発する
逆に言えば、地図を持たなければ何の障害もなく禁止エリアへと侵入できる

発見者は♀マジ、♀アコ
この情報を知っている生存者は上記2名に悪ケミとグラサンモンク
♂セージ達と合流はしたものの、情報をやり取りした描写は無い
但しNO.272は♀ケミ視点であり、♀ケミが目覚める前に情報交換をした可能性もありうる

複線っぽいのは…
・♀WizはGM森の刀身を持っている可能性あり
 ただしこれが能力制限を解除するアイテムだとは限らない
 また、廃屋を出た直後にデビルチ・パピヨンと交戦し、現在気絶中のため、所持していることを知っている人間はいない…と思う

・灯台は能力制限装置の隠し場所あるいはそのもの
 複数あるとは確認したけど、4つだったっけ?ちょっと確認できなかった

・♀WizはGM秋菜の転生体? ノイズ混じりだが第一回バトROワの記憶がある

・♂セージはGMジョーカーの弟説 GM橘曰く、優秀な血筋

・現在のGM橘は、技術者の林というハイウィザードが変装している
 本物は殺害された。シュバルツバルドに関係あり?


ざっとだけど、こんな感じかしら…
抜けてたら補足お願いします

485 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/04/29(木) 19:18:47 ID:GrCksjMc
地図の一件は♂セージ一行も知っているはず
いつ知ったかまでは分からないけれど、180で「♀Wizに地図を預ける」との言葉がある

灯台の数は当時のGv砦の数と同じじゃないかな
♂セージたちの推測では、等間隔配置(島の足っぽい部分)
268でGM側からも四つの制御装置という記述あり、確定?

GMの拠点は258により皆が知っている、が禁止区域指定
悪ケミの考えでは、首輪を気奪で無効化すればGMが現れるだろうとのこと

林は殴り廃Wiz
ジョーカーは正体に気付いたと思われる

他の伏線っぽいもの
・アサシンギルドの一件
・番外編の「剣」たち(第一回の♂ローグ、DOP?)
・子バフォとの契約があったデビルチ
・開けられていないカード帳、箱など

読み返して気になったとこ補足
やっぱりここまで話進んでくると見落とし多くなっちゃうね
リレー小説は、書く人全員が流れやら伏線やら把握してないといけないから大変だなぁ

486 名前:479 投稿日:2010/04/30(金) 15:18:54 ID:55ltgABU
うわぁ、すっかり忘れてた…
そういえば♀Wizは公務大臣から色々聞きだしてたんだった…指摘ありがとう
制御装置の数は、180の時点で4つと断定しているね
ということは、♀Wizや♂セージと合流したことのあるパーティーは、システム根幹部分の正しい知識を持ってることになるのかな?

487 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/05/05(水) 21:39:53 ID:9FXYG5ng
300.彼女達の雑談(三日目・昼)

♀マジと♀アコ(+子デザートウルフ)は、早くもH-6地点の中ほどまで移動していた。
早くも、とはいうものの太陽は既に大分西側に移動している。
急いで体力を消費してはいけないが、といって夜になれば非常に危険になる。
しかし、ここで一つ問題が発生していた。
彼女達は疲れていた。肉体的だけでなく、精神的に。
更に、彼女達はうら若き乙女である。
精神的疲労を和らげるために、歩きながら雑談をすることは、もはや避けることのできない確定事項だった。

「だからね、とりあえず帰ったら『星と桃亭』のシチューが食べたいと思うんだよね」
「帰ったら真っ先にシチュー? まったく、これだから肉体バカはエレガントさがないから困るね。やっぱりシャワーを浴びて、ノンアルコールのトロピカルソグラトを一気飲み! これに限るね!」
「それのどこがエレガントなのさ? これだから軟弱なもやしっ子は……」
「なによ、やるの?」
「喧嘩なら受けてたつよ?」
「……」
「……」
「でも、とりあえずお腹いっぱい美味しいもの食べたいのは同意」
「同じく、甘い炭酸水を沢山飲みたいのは同意」

彼女達は小一時間ほどずっと、帰ってからやりたいことについて話しているのである。
詳細な内容はプライバシーの問題もあるため割愛するが、女の子同士ということもあり割と下世話な話題も話していたりする。
ここ数分は上記のとおり食べ物の話題だったわけであるが、ここで子デザートウルフが反応した。
「わうん! わうん!」
彼は♀アコの荷物の一角に向かい、可愛い声を出している。
その一角とは、ペットフードが大量に詰め込まれている場所である。
なんのことはない、彼はお腹が減ったのだ。
♀アコは苦笑しつつ子デザートウルフの一食分のペットフードを取り出し、彼に与える。
「はーい、おやつですよー」
「二人?とも能天気そうで羨ましいわ。割と本気で」
「そういう言い方ってないじゃない……うわ、ガツガツ食べてる! よっぽどお腹すいていたのかな?」
「ああ、本当に羨ましいなぁ……美味しいものたくさん食べたいよう……」
実際のところ、二人ともお腹が減っているのである。
いつまで続くともわからないサバイバルのため、食料は可能な限り節約しているからだ。
「いざというときは、コレ食べるしかないかな?」
「犬?」
「違うっ! ペットフード!!」
「冗談だって……まあ仕方ないよね」
あまり現実を直視したくないが、♀マジもこの状況で贅沢が言えないことはわかっている。
笑えない冗談を飛ばすくらいはご愛嬌だろう。
「でもさっきから見ていると、あんましこの島食べられそうな物が無いんだよね」
「そうなの? まあ常識的に考えて、そこら中に食べ物がある島でサバイバルゲームなんかできないでしょ」
「まあ、そうだけど……ああ、そう言えば……」
ふと思い出したかのように、♀アコは言う。
「アレって、食べられるのかな?」
「アレ?」
「ほら、パピヨン」
「……冗談、きついわー」
「え?」
「え?」
♀マジは自分の冗談への報復かと思ったのだが、♀アコの顔はとても冗談を言っている顔ではなかった。
確かに、食料が不足しているのならば、必要なことかもしれない。そうかもしれない、が。
(流石に、ちょっと引くわー)
急に脱力感に襲われた♀マジだった、が。

一瞬、雷に打たれたかのような衝撃を感じた。

「あのさ」
「うん?」
「パピヨンさ、羽、あるでしょう?」
「あの羽かー、あれは薄いし毒あるかもだし、あんまり食べるのはオススメしないかも……」
「そうじゃなくて!!」
♀マジは興奮していた。何故か? それは、風だったからだ。二人の後ろから吹き上げる、追い風だ。

「あれって、『蝶の羽』だよね!? つまり、あれを使えば、帰れるんじゃないかな!?」

一瞬の静寂のち、二人の歓声が、H-6エリアに響き渡った。

二人が灯台へ到着する、1時間前の出来事だった。

<♀アコライト&子犬>
現在地:F-6(F-5寄り)
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042 ショールと左袖を破く
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP少量 疲労気味 灯台(J-6)を目指す

<♀マジ>
現在位置:F-6(F-5寄り)
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られるが意識あり。
    左肩を負傷→♀アコのショールと袖で固定 痛みは若干残る 灯台(J-6)を目指す

488 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/05/05(水) 21:43:17 ID:9FXYG5ng
最後の現在地だけ修正です

<♀アコライト&子犬>
現在地:H-6(I-6寄り)
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042 ショールと左袖を破く
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP少量 疲労気味 灯台(J-6)を目指す

<♀マジ>
現在位置:H-6(I-6寄り)
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
   首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られるが意識あり。
    左肩を負傷→♀アコのショールと袖で固定 痛みは若干残る 灯台(J-6)を目指す

489 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/05/25(火) 14:28:12 ID:8mQET6hA
その発想は無かった

490 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/07/13(火) 11:50:48 ID:dAj9S6DY
久しぶりに見に来た
そしてなんという発想の逆転www
ただ、大きな蝶の羽だと魔力無しって書いてあるんだよなぁ。羽化してそんなしてないからいける?www

491 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/07/22(木) 18:21:34 ID:mO35wEDA
二人とも盗聴のこと忘れてそうな勢いだなw
しかしセーブポイントがどこにされているかが問題か・・・
ジョーカーさんのことだから抜かりはないと思うけどはてさて。

492 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/08/30(月) 21:29:44 ID:/OMKaVBA
301.動き出す、世界(第4回開催少し前〜三日目・昼)

そこは暗い、暗い部屋であった。
細長いテーブルを大きな大きな長方形に並べ、それぞれに複数の椅子を置いたその場所はどこかの会議室の様であった。
そこにはテーブルと椅子しかない。
家具のようなものも、灯りすらも。
窓すらなく、ただただ息苦しいその空間は大きな部屋というよりももしかしたら洞窟の奥深くかも知れなかった。

うっすらとした明かりもないその暗闇の中に、人間の気配があった。
それはひとつではない。
その暗黒の空間に、おそらくは十人を軽く越える人数が、そこにいたのである。

「それで、これからどうしようというのだ?」
男の声が響く。
その声は深く沈んだ、低い低い初老の男のように聞こえた。

「前置きはいいさ。さっさとはじめとくれよ。時間がないんだろ?」
女と思しき声が暗闇に響き渡る。

おそらくこの暗闇では隣に座っているのが誰なのか。
それが男性か女性かすらわからないであろう、そんな中に人々は集まっていたのだった。

「そうです。私達は急がなくてはなりません。彼らを救うために」

おそらくは部屋の一番奥。
会議であれば議長が座る場所あたりから、澄んだ、非常に澄んだ女性の声が響いた。

「私に協力していただけませんか。このバトルROワイアルを終わらせるために」


時は大きく遡る。


大司教…いや、前大司教は悩んでいた。

このような神の教えを踏みにじる、いや、それ以前に人としての道を踏み外した行為を許してはならない。
だが、浅慮な自分はその場で諌め、そして地位を追われた。
このまま静かにしていれば、それまでの地位や国への影響度を考えれば自分の身は安泰である。
だが、そんなことはどうでもいい。
なんとかして止めなくてはならない。
彼は、王が最後にこの国を旅立ったときに、託されたのだ。
この国を、この国民を。

滅ぼさせるわけにはいかない。
国民を殺させるわけにはいかない。
それがかつて王が愛した女性の手であったとしても。
それはかつて王であった友との約束でもある。

だが、彼はその力を失ってしまった。
大司教という国を動かせる地位を。
彼を慕ってくれる人は多い。
だが、敵は大きすぎるのだ。
力を失った彼に手を貸してくれる者は少ないだろうし、そういった人々を守ることはできない。

そこに、その女性の声が聞こえたのだ。


「まったく、あの国は自ら滅びるつもりなのか」
シュバルツバルド大統領は呆れてしまっていた。
報告を聞く限り、王妃は狂ってしまったのではないかとしか思えなかった。

政治を司る者たちの冒険者への危機感。
増えていく魔物たちへの脅威。
それはわかる。
だが、BR法はそれだけが目的ではないはずだ。
いや、目的はどうあれ、これは国を滅ぼす最悪の法であり、方法だ。

その硬い髭をさすりながら、彼は考え込んでいた。

あの国が滅びることそのものはあまり問題ではない。
だが、最大の国家の滅亡は間違いなく各国の情勢を狂わせるだろう。
それは自国を危険にさらすことにもつながる。
しかも、魔王復活の可能性も豊富な情報網を駆使している彼の耳には届いていた。

「彼ら、冒険者の力はむしろ必要だというのに」

今そのような状態には決してできないのだ。
彼には、戦わなければならない相手が内にいる。
彼は全てを投げ打ってでもこの国のためにその敵と戦わなければならない。
でも、その前提をひっくり返すようなことを看過するわけにはいかない。
なんとかして止めることはできないだろうか。

「だが…」と彼は唇を噛んだ。

彼は大統領である。
彼の行動は国そのものに影響を与えてしまう。
だから今まで慎重に慎重に行動してきたのである。
愚かな闘技場で戦わされている戦士達を救おうとすれば、ヘタをすれば戦争になりかねない。
アルデバラン方面の軍備が、かの国を警戒して出来る最大限のことなのだ。
彼にとっては地位は、彼らを救うためにはもっとも邪魔なものなのかもしれなかった。

そこに、その女性の声が聞こえたのだ。


大神官ジェドは、その報告を聞いて歯噛みをしていた。
狂信派がルーンミッドガッツであの件に関わっているのではないかという、報告であった。
あの件というのは、もちろんBR法のことである。
この報告は他の大神官は知らない。

もともとジェドにとってはBR法は唾棄すべき行為だとは思うが、関係のないことだと思っていた。
それよりも、大事なのは自国のことであり、教皇のことであり、裏で動いているフレイヤ狂信派のことであった。
自国の問題は自国で解決するのは当然のこと。
それはBR法についても、同じことであった。
だが、狂信派が動いているなら話は変わる。
彼らが動くということは、絶対にこの国にとっていいことではない。

止めなければならないが、どうしたものか。

そう思案を始めたところで、その女性の声は聞こえたのだ。


「私に協力していただけませんか。このバトルROワイアルを終わらせるために」


その声を聞いた者は皆一様に驚いた表情をし、そして辺りを見回した。
周りには誰もいない。
彼女は彼らに直接、語りかけたのだ。
特殊な方法で。
だが、それを知らない彼らは皆一様に狼狽している。

彼女はその様子がちょっとおかしくて思わず笑みを浮かべてしまう。
しかし、すぐに硬い表情になる。
彼らに直接語りかけるのは本当はルール違反なのだ。
だが、そうも言っていられない。
彼女の力だけでは、全てを無かったことにはできない。
そして、強権をもって終わらせることも、参加させられた人々を救うことも出来ない。
できるのは、これが終わらせられるようにほんの少しだけ力を貸すこと。
生き残った人達が生きていけるよう、その可能性を用意すること。

何とかして終わらせなければならない。

これは彼女にとっては職務であり、思いであり、そして、誓いでもあった。

あのときは全てが終わるときになって初めて知った。
だから間に合わなかった。
今度は、救いたい。
1人でも多く。
そして繰り返させるわけにはいかない。
もう、これ以上。
だから、わたしも戦います。


こうして、彼女の声を聞いた者たちが、彼女が用意した会議室へ転送されたのだった。


彼女は見回した。
ここに集まっている人々を。
暗闇だから彼らにはお互いが見えないだろう。
だが、彼女は違う。
彼女の話を聞き、決意に満ちた彼らの姿は頼もしかった。
彼女自身が選んだ、あの男に弄られていない者達。
そして、BRを終わらせるために必要な力。
そのために協力する理由のある者達。

それは、各ギルドマスターであり、大司教であり、隣国の重職にいる者であったりカプラサービスの者だったり。
おそらくはこの世界を揺るがすこともできよう大同盟が、そのとき密かに結ばれたのだ。

ただ、あの狂った即興劇をやめさせる。
それだけのために。

そして、彼女は彼らを通じて種をまいたのだ。
この闘いをやめさせるための種を。

全てが芽吹くわけではない。
芽吹いてもすぐに摘まれてしまうものも多いだろう。
蕾まで育っても、花が咲くかはわからない。
それでも、花を、一つでも多く花を咲かすことがあれば。
きっと終わらせられると、彼女は信じているのだ。

あの勇敢だった、優しかった、強かった彼らがそうであったように。


これは第4回大会、つまりこの闘いが始まる少し前の出来事。
集まった者は元の場所に戻り、そして何事もなかったかのように過ごしている。
ある者は自身が選んだ者の無事を祈りながら、ある者は密かに生存者の受け入れの準備をしながら。

彼女…♀GMは遠くから、この闘いを眺めていた。
直接的には何も出来ない自分に歯噛みしながら。
でも…、とここまでの闘いをみて彼女は思う。

わたしの蒔いた種は芽吹き、まだ順調に育っているみたい。
あなたが知ったら、きっとわたしは一生恨まれるのでしょうね。
でも、あなたを信じている。
全てが終わったら私はあなたに殺されてもいい。
だから生き延びて、最後まで。
ね、♀Wiz…


ジョーカーも、橘も知らない。
残酷な種をまいたのが自分達だけではないということを。
闇の種ではなく、光の種もまた、同じように蒔かれていたということを。


<♀GM>
現在地:不明(わからない所)
所持品:剣(バルムン?)
外 見:未設定
備 考:BRを終わらせるために暗躍。大同盟は参加者選出や事後の生存者保護以上のことはしない(直接関与できない)。
    ♀WIZになんらかの種を蒔いた?

<♀WIZ>
現在地:E-6
所持品:クローキングマフラー 未挿sロザリオ
    ウィザードスタッフ DCカタール +7THグラディウス 多目の食料
容 姿:WIZデフォの銀髪
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定 ただし全身に傷跡が残る HP/SP中回復
    デビルチのユピテルサンダーを受ける。
    ♀GMに何かされている?

493 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/08/30(月) 23:37:02 ID:aUrtOA36
おや、投下乙です!
遂に第一回との繋がりが。ヒャックたんの部下の人か

アサシンギルドの攻防もこれに含めてくるわけだね。
まいた種…前回参加者の記憶だろうか
まだ伏線いっぱいだなぁ

494 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/05/15(日) 01:38:52 ID:lljcanSI
半年以上更新がない…
ルールの改正とかやったほうがいいかもしれん

495 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/05/27(金) 00:18:29 ID:Vjo2O9FI
いやもう、正直複線多すぎて何がなにやら
特に第一回との絡みが多すぎて、ラストが全く想像できない
そんなわけで参加するにも勇気がいると思うんだ
…俺? 俺はアレだよほらヘタレだからウン

496 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/06/09(木) 22:50:31 ID:dtjmYWdM
【259 定時放送C[3日目朝]】までの参加者移動区域、登場話数まとめてみた。

ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/243230.zip
キーワード→br2

何故かExcelデータ 1.6M超え。努力のベクトルを全力で間違えた感が拭えんが、支援に…なるだろうかコレ?orz

497 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/06/10(金) 02:30:14 ID:o6EgmJVY
>>496
2007形式のExcelデータは、開けない人多いよ。
(自分もそう。オープンオフィス使ってるので)

旧形式で保存しないとせっかくの力作が無駄になっちゃう。

498 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/06/10(金) 22:30:33 ID:rw4dky.M
>>497
申し訳ない、そしてありがとう。

確認作業出来ずでちと不安だが直してもっかい上げてきた。
修正点あったら教えて頂けると非常に嬉しいです。

ttp://www1.axfc.net/uploader/Si/so/109975.zip
キーワード→br2

ただ、サイズが38.5Mにバケた。マジゴメン。
古参、現役、新規様方の肥しになることを切に祈って。

499 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/06/11(土) 04:12:55 ID:HNDk5A1Q
公式に Excel Viewer ってのもあるけどね。
Excel 以外にも、Word、Power Point の Viewer があるよ。

ttp://www.microsoft.com/downloads/ja-jp/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=1cd6acf9-ce06-4e1c-8dcf-f33f669dbc3a

500 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/06/15(水) 10:02:13 ID:Kd3pSTsk
しょうこりもなく。最新話まで追加、微修正版(子デザデビルチ、寄生虫三兄弟追加)まとめてみた。

ttp://www1.axfc.net/uploader/O/so/169101.zip
キーワード→br2

両形式と、参加者分けでなしの全話一シートに並べた版の計三つ。
ぶっちゃけ、随分前に「ダイジェスト作りしませんか」な話題が出た頃から手ぇ付け出して、
ちまちま作る→挫折(長期保留)→最初っからまたやり直す→また挫折
のサイクル繰り返してこぎ付けた代物。
うん、最初はダイジェストもどきにしときかったんだ…。 ど う し て こ う な っ た 。

勝敗は、勝ち負けはっきりしてない分(逃走成功とか)は引き分け判定。
装備云々に関してはイメージ映像っつーことで見逃して下サイ。コレが俺の精一杯…!orz

501 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2012/02/18(土) 00:57:18 ID:l2HQkW0o
募)次スレ 出)投下

SSのないスレに住人はくるかという一文を見て滾った。
が、スレを立てる根性がなかった…。 追加出)土下座

502 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2012/02/26(日) 02:38:46 ID:NVwkETfo
久々のレス発見
確かにここまで静かだとスレ立てには勇気がいるよね
自分にも無いやゴメン

今のところ着地点がさっぱりだからなぁ…
GMに一泡吹かせるくらいまでは想像出来るが、そっから先は無理

503 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2012/02/26(日) 22:52:58 ID:ryeCINjg
十一冊目
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1330263457/l50

男は度胸ヾ( ゚Д゚)ノ゛ 勢い任せにちょっぱや投下用意。無礼御許し頂きたく候。
暴走してまったら腹切るんで介錯頼みます。

504 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2019/02/02(土) 08:55:02 ID:oz14SxWE
テスト

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