【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】
[402:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2009/03/13(金) 01:23:12 ID:aBpAvfzw)]
− 294話 Vengeance − 3日目午前〜昼頃
「アァァ……ァァ……」
♀商人が、首輪の仕組みをはじめとした、自分が得た情報を騎士に教えているところであった。
ほぼ全ての情報を伝え終えたとき、その悲鳴が聞こえた。
「悲鳴、聞こえたよね?」
「ああ……誰の声かまでは分からないが……」
普通じゃない。
二人とも、とっさにそう感じる。
おそらく、ここから遠くはないが、近くもないだろう。
「様子を見てくる。君はここで身を隠しておいてくれ」
「えっ!?で、でも」
様子を見に行くと言う♂騎士の腕を掴み、♀商人は必死で彼を止めようとする。
「もしかしたら、仲間が危険な状態かもしれないだろ?」
「で、でも、私一人じゃ化け物が……」
「化け物?」
化け物、と言う単語を聞いて、♂騎士は怪訝な顔をする。
「さ、さっきね、弓を持った化け物が……」
結局、二人とも動き出すまで数十分かかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さっきから、モンスターばかり見てる気がするな」
♂騎士と♀商人は、草むらに隠れ、啜り泣くパピヨンを見ていた。
「あれ、さっき私達を襲ったパピヨンだよ。その時は、♂セージさんや♀Wizさんのおかげで逃げてったけど」
パピヨンに襲われたときの事を思い出しつつ、そう言った。
啜り泣いてるのはどういう事だろう。
そう思っていると、突如パピヨンが動きを見せた。
目で、その動きを追った。
頭部が破壊されたプリーストと、虫と重なるように動かないスーパーノービスの姿を見つけた。
「……っ!」
思わず声が出そうになり、だが、こらえた。
顔は破壊されていて分からないが、微かに原型を残している修道女のヴェールが、一緒に横たわっていた。
間違いない。
「あれ……♂プリさん、だよね?」
♀商人は、口元を押さえつつ今にも泣きそうな声で囁く。
確認するまでもない。
あの♂プリースト以外に、誰がいようか。
自分勝手な被害妄想から、信頼できる人を殺してしまった、俺の懺悔を静かに聞いてくれた男。
そして、そんな俺を真面目に説教して、励ましてくれた男。
強面で、口は悪い。だが、聖職者らしい強靱な意志と確固たる信念を持った男。
眩しかった。目が眩みそうなくらいに。
そして、憧れてた。俺には、とうてい持ち得ない強い精神を持った、その男に。
その男が、こんなふざけた場所で、その強面を破壊されて地に横たわっている。
気付けば、パピヨンは泣きながら虫を咀嚼し始めていた。
向こうにいるデビルチも、半身が無かった。
♀商人は、思わず目をそらす。
俺は、何をやっているんだ。
誰も救えず、誰も助けられず。
なのに、自分だけのうのうと生き延びて。
気付けば、剣を抜いていた。
♀商人は、驚いて止めようとしたが、それでもおかまいなく立ち上がった。
――パピヨンと、目があった。
♀商人に、隠れておくよう指示すると、俺は前に出て行く。
「アンタも、あいつらの仲間?」
鋭い眼光。
「どうなの?」
今度は、身体ごとこっちに向け、再び眼光。
「どうなの!?何とか言いなさいよ!!」
そして、俺は静かに質問を投げかける。
「♂プリを殺したのは、お前か?」
声が小さかったかもしれない。
パピヨンは、再び怒鳴る。
「何て言ったの!?聞こえるように言いなさいよ!!」
「♂プリを殺したのは、お前か?」
この男、たぶんあの連中の仲間なんだろうな。
「♂プリってこれのこと?だったら、私がこの通り、ぎったぎたのけちょんちょんにぶっ殺しちゃったよ。残念だったね!ざまあみろ!」
こいつも、ぶっ殺してやる!
アンタ、この男の仲間だよね?だったら、絶対許さない!!こいつらのせいで、トモダチも、デビルチも、みんなみんな死んで……」
「黙れ」
ぞくり
背筋に、冷たいものが走った。
なんだなんだ、なんなんだこいつは。
凄まじい恐怖が、全身を襲う。
「な、なんだよ、強がったって怖くないぞ!アンタも、こいつみたいにぐっちょんぐっちょんのめっためたに……」
「もう一度だけ言う。黙れ」
ぞくり
さっきよりも更に冷たいものが、背筋を走った。
やばいやばいやばいやばいやばいやばい
こいつ、普通じゃない、と言うか人間じゃない!
何だよあの目!
あれじゃまるで、悪魔じゃないか!
「な、なんだよ……、人間のクセに生意気な……!アンタもこいつみたいに、顔も分からないくらいにしてやる!!!」
そして、男に攻撃をしかけようとして、目が合う。
ぞくり
全身の毛穴が、目一杯広がった気がした。
と言うか、広がったと思う。
とにかく、怖かった。
どうしようもなく怖かった。
あまりの恐怖に動けなくなりそうなほど。
だから、あたしは反射的に、ありったけの魔力を解放して、ありったけの魔力球を放出した。
それが、戦闘開始の合図だった
<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示を屈服させた?、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
♀商人と同行 両手剣タイプ 悲鳴のした場所へ様子見
状態:痛覚が完全に喪失 体力は半分以下? 精神は安定? 個体認識異常を脱する
必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 仲間を守りたい
<♀商人>
現在地:E-6
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万以上のゼニー 食料二食
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
♂騎士と同行 嘘が大騒ぎになり自己嫌悪中 装置を探しに行く 悲鳴のした場所へ様子見
<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部継承 ミストレスの持つ虫達を統べるカリスマ継承 ノーマルより強い スピードも速い
デビルチと寄生虫を一部咀嚼
read.cgi ver4.20 by GlobalNoteScript (2006/03/17)