【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】
[487:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2010/05/05(水) 21:39:53 ID:9FXYG5ng)]
300.彼女達の雑談(三日目・昼)
♀マジと♀アコ(+子デザートウルフ)は、早くもH-6地点の中ほどまで移動していた。
早くも、とはいうものの太陽は既に大分西側に移動している。
急いで体力を消費してはいけないが、といって夜になれば非常に危険になる。
しかし、ここで一つ問題が発生していた。
彼女達は疲れていた。肉体的だけでなく、精神的に。
更に、彼女達はうら若き乙女である。
精神的疲労を和らげるために、歩きながら雑談をすることは、もはや避けることのできない確定事項だった。
「だからね、とりあえず帰ったら『星と桃亭』のシチューが食べたいと思うんだよね」
「帰ったら真っ先にシチュー? まったく、これだから肉体バカはエレガントさがないから困るね。やっぱりシャワーを浴びて、ノンアルコールのトロピカルソグラトを一気飲み! これに限るね!」
「それのどこがエレガントなのさ? これだから軟弱なもやしっ子は……」
「なによ、やるの?」
「喧嘩なら受けてたつよ?」
「……」
「……」
「でも、とりあえずお腹いっぱい美味しいもの食べたいのは同意」
「同じく、甘い炭酸水を沢山飲みたいのは同意」
彼女達は小一時間ほどずっと、帰ってからやりたいことについて話しているのである。
詳細な内容はプライバシーの問題もあるため割愛するが、女の子同士ということもあり割と下世話な話題も話していたりする。
ここ数分は上記のとおり食べ物の話題だったわけであるが、ここで子デザートウルフが反応した。
「わうん! わうん!」
彼は♀アコの荷物の一角に向かい、可愛い声を出している。
その一角とは、ペットフードが大量に詰め込まれている場所である。
なんのことはない、彼はお腹が減ったのだ。
♀アコは苦笑しつつ子デザートウルフの一食分のペットフードを取り出し、彼に与える。
「はーい、おやつですよー」
「二人?とも能天気そうで羨ましいわ。割と本気で」
「そういう言い方ってないじゃない……うわ、ガツガツ食べてる! よっぽどお腹すいていたのかな?」
「ああ、本当に羨ましいなぁ……美味しいものたくさん食べたいよう……」
実際のところ、二人ともお腹が減っているのである。
いつまで続くともわからないサバイバルのため、食料は可能な限り節約しているからだ。
「いざというときは、コレ食べるしかないかな?」
「犬?」
「違うっ! ペットフード!!」
「冗談だって……まあ仕方ないよね」
あまり現実を直視したくないが、♀マジもこの状況で贅沢が言えないことはわかっている。
笑えない冗談を飛ばすくらいはご愛嬌だろう。
「でもさっきから見ていると、あんましこの島食べられそうな物が無いんだよね」
「そうなの? まあ常識的に考えて、そこら中に食べ物がある島でサバイバルゲームなんかできないでしょ」
「まあ、そうだけど……ああ、そう言えば……」
ふと思い出したかのように、♀アコは言う。
「アレって、食べられるのかな?」
「アレ?」
「ほら、パピヨン」
「……冗談、きついわー」
「え?」
「え?」
♀マジは自分の冗談への報復かと思ったのだが、♀アコの顔はとても冗談を言っている顔ではなかった。
確かに、食料が不足しているのならば、必要なことかもしれない。そうかもしれない、が。
(流石に、ちょっと引くわー)
急に脱力感に襲われた♀マジだった、が。
一瞬、雷に打たれたかのような衝撃を感じた。
「あのさ」
「うん?」
「パピヨンさ、羽、あるでしょう?」
「あの羽かー、あれは薄いし毒あるかもだし、あんまり食べるのはオススメしないかも……」
「そうじゃなくて!!」
♀マジは興奮していた。何故か? それは、風だったからだ。二人の後ろから吹き上げる、追い風だ。
「あれって、『蝶の羽』だよね!? つまり、あれを使えば、帰れるんじゃないかな!?」
一瞬の静寂のち、二人の歓声が、H-6エリアに響き渡った。
二人が灯台へ到着する、1時間前の出来事だった。
<♀アコライト&子犬>
現在地:F-6(F-5寄り)
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042 ショールと左袖を破く
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP少量 疲労気味 灯台(J-6)を目指す
<♀マジ>
現在位置:F-6(F-5寄り)
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られるが意識あり。
左肩を負傷→♀アコのショールと袖で固定 痛みは若干残る 灯台(J-6)を目指す
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