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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】

73 名前:ミニ文章(1/2) 投稿日:2015/04/07(火) 22:24:10 ID:tnykctHk
桜があまりに綺麗だったから。
といいながら桜が出てこない。

視点は前半は騎士、後半はプリーストです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まだ眠るには早い時間、だが狩りに行く気も起きない。

「どうしたものかな」

剣を鞘に収め、片づける。
武器や鎧の手入れを終え、本格的にやることがなくなってしまった。
せめて水でも飲むかとキッチンへ向かう途中、押し問答のようなものが聞こえてくる。

「どうしてもダメでしょうか」
「ええ、駄目です。理由はわかってるでしょう?」
「そこをなんとか」
「却下します」
「即答ですかッ」
「当然です。自室へ戻りなさい」

何事だろうか、とそちらへ向かうと、ギルドマスターのプリーストに食い下がってるアサシンがいた。
日和見なギルマスにしては珍しく渋い顔をしており、アサシンのほうもこれまた珍しく断られても諦めない。

「どうしたんだ、二人とも」

そう、珍しい光景だったから声をかけただけだった。
こちらに気づくと、ギルマスは眉をひそめ、アサシンは嬉しそうにこちらへ駆け寄ってきた。

「いいところへ来てくださいました、リチャードさん!」

そういってアサシン――セラフィーナは俺の左腕にしがみつく。

「いったい何事だ」
「リチャードさんが同伴なさってくれるなら、いいですよね、紅男さん」

こちらの問いに答えず、プリーストに勝利宣言のように告げた。
プリースト――紅男は「うーん」と腕を組む。

「条件があります。それをリチャード君が了承するなら許可しましょう」
「……ギルマス、まずは説明してくれ。じゃないと判断もできん」
「ギルマスじゃなくて紅男って呼んでね、リチャード君」

いつもの困ったように笑いながら、紅男が告げる。

「セラフィーナさんがね、夜桜見物に行きたいんだってさ。でも夜に女の子の独り歩きは危ないから、行かせたくないんですよね」
「過保護もいいところだな、ギルマス」
「ギルマスじゃなくて紅男ね、リチャード君」
「リチャードさんがご一緒してくださるなら、夜桜見物にいっていいですよね?」

嬉しそうなセラフィーナへ、「条件があるけどね」と付け足すギルマス。
いや俺はまだ同伴するとも言っていないのだが。
仮に、断ったらどうするんだろう。
おそらく――これはあくまで想像だが。
肩を落として、「仕方ないですよね」といいながら、ぎこちなく笑おうとす……これ以上は駄目だ。罪悪感で苦しくなってきた。
ただの想像だ、俺は断っていない、と己に言い聞かせ、

「条件とは、なんだ?」
「手をつないで、絶対に離さないこと」

思わず呼吸が止まった。
茶化されたかと笑おうとして、ギルマスの真剣な表情に、今度こそ言葉を失った。
過保護どころじゃないだろう。何故だ。

「紅男、そこまでする理由はなんだ」
「なにかあってからじゃ遅いから」

即座の返答は硬い響きをもっていた。
妥協案はありえない、と。

「これは僕ができる最大の譲歩だよ。できないなら、外出の許可は出さない」

暗に「これ以上詳しくは言えない」と釘を刺されたように感じた。
彼女のギルド加入は、訳ありなのか?
重ねて問おうとすると、くいくいっ、と袖を引っ張られる。
思わずそちらをみると、嬉しさを堪え切れないようにセラフィーナが微笑み、

「手をつないで夜桜見物なんて、まるで恋人同士みたいですね」
「〜〜〜ッ! す、清々しいまでにマイペースだな、セラフィーナ。というか君の話なのにその態度はなんだ。この口か? この口が悪いのか?」
「い、いひゃいです〜、にゃ〜っ! い、いきなりほっぺた引っ張らないでくださいっ、横暴ですよ!?」
「はいはい二人ともじゃれ合わない。 で、条件飲むの?」

悩んでるのがバカバカしくなってきた。
わしわし、とアサシンの頭を撫でながら、

「あまり時間を掛けないし、決して手は離さない。セラフィーナの護衛として同伴しよう」
「うん、問題ないよ。それなら許可するから」
「うーん、デートっぽさが消えてしまいましたね。って待って待って、リチャードさんまたほっぺた伸ばそうとしないでください調子に乗りました御免なさい御免なさいぃッ!」

74 名前:ミニ文章(2/2) 投稿日:2015/04/07(火) 23:32:21 ID:tnykctHk
賑やかに二人が出かけていった。
プロンテラの大通りが桜並木になっているから、往復して戻ってくるコースだろう。
人通りも多いし、まだ大勢の目がある時間だ。

「って、心配しすぎかな」

扉をノックすると、中から返事があった。

「僕だけど、入っていいかな」
「ん。」

扉をあけて入室すると、アルケミストが忌々しそうに紙の束をめくっていた。

「率直に言うとだな、紅男」
「うん」
「無理だ」

やっぱりかー、と天井を仰ぐ。
予想はしていたが、はっきりいわれると、さすがに諦めが優る。

「材料は6割判明したが、薬品以外も使われていた。魔力反応もあったくらいだ」
「さすがだなー、ヘルトルド君」
「これ以上は辿れない。回復手段も手詰まりだ」
「やはり時間経過しかないか。助かったよ、僕じゃなにもわからなかったから」

自嘲気味に告げると、アルケミスト――ヘルトルドは視線を鋭くする。

「あのな、俺も結局はわからなかったんだぞ?」
「薬の知識が高い『専門家でもわからない』ということがわかったんだ。
特効薬が作れないなら、人間のもつ回復力に僕は望みをかけるよ」
「そうか」
「ヘルトルド君、ありがとう」
「ん。」


<了>

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