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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】

[72:ミニ文章(2015/04/03(金) 21:24:05 ID:lDc3ft2c)]
>71の男アサ視点
18禁のほうが進まないorz

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「小太刀が用意できればよかったのですけど……」
「あるもので代用すればええて。全部揃えたくなったらキリがないでー」

それもそうですね、と女アサシンがくすくす笑う。
ふと見上げると、夜空に星が輝いていた。
ここはギルドハウスの中庭。
主な用途は、憩いの場としてではなく、自分たちのように野外での戦闘訓練が多いようだが。
四方がうちのギルドの建物に囲まれているから、やりすぎなければ近所に迷惑もかからない。
まー、人目はどうしようもないが、さしたる問題ではないだろう。たぶん。

「念入りな打ち合わせは流れが止まりそうですから、ある程度はアドリブでいきましょう」
「せやな。致命傷にならなきゃなんでもええし」
「……すごく不穏な単語が聞こえましたが、ええ、軽傷なら問題なしです」

鞘ごと剣を腰にさす。
すべての武器を使いこなせてこそアサシン、といいたいが重心が偏る違和感が拭えない。
やっぱ短剣のほうがええなぁ、とぼやきながら、マスクで顔を隠す。

「カタールだと刺しやすい作りですね、私も短剣のほうが慣れてますから、」

うん、と力強く頷く女アサシン。

「これでお互い、条件は五分五分ですね」
「いや俺のほうが悪条件やて」

そうでしょうか、と屈託なく笑う彼女に肩を竦めてみせた。
スタート地点へ向かいながら、流れとゴールの最終確認をしあう。
といっても中庭を駆けて2往復するだけ。
その間にどれだけ詰め込めるか。

「準備はええか、『冒険者』?」

剣を抜き、芝居のかかった言い方をすると、彼女は無邪気に笑って頷いた。

「もちろんです。いえ、これじゃダメですね。
――無論だ、『殺人鬼』。いざ、参る!」

地を蹴り、二陣の風が激突する。


1往復目でうっかりツッコミそうになった。

(遊びというたのに、本気出しとるがな)

カタールは刺す武器だというのに、彼女は小太刀のように振ってくる。
それだけで数瞬の迷いがでる。予測がぶれる。

もっと苦戦させてくださらないと困ります、と遠慮なく刃が身体をひっかいていく。

舐めるなよ、と剣を凪ぐと、女アサシンがそれに合わせる。

しゃんっ、と金属が鳴った。

剣とカタールが滑り、互いを弾き合う。
その音に目を細める女アサシンに、

(寝る前の軽い運動じゃないで、これ)

ノリノリやなぁ、と苦笑を零しながら追っていく。


ゴール前になって、中庭へ入ってきた人物に気づいた。
同じギルドメンバーであり、友人のローグが怪訝な顔をして近づいてくる。
彼女に教えた方がいいかとか、中断して続きは後日とか、いやこれ密会ちゃうでとか、あれこれ考えた結果、

(ま、ええか)

面倒くさいから、放置しとこ。
女アサシンが身体を低くして燕のように飛び込んでくる。
居合で迎撃。
舞うように小柄な身体が2回大きく移動。狙いは背後か。
振り返らず、彼女の姿を追うように旋回する。振りぬいた剣より、補強された鞘が本命。
追いつめてトドメを刺そうとすれば、終劇だ。
なのに、女アサシンがこちらの背後をみて、動きを止めた。

「あ、こら止まったらあかんて!」

勢いついた鞘は、急に止められない。
ごすっといい手応えがあり、

「痛いですぅぅ……」

女アサシンが地面に突っ伏した。
痛がってるだけで怪我はないなら、問題なしやなー、とマスクを外す。
顔を押さえながら、しかしこちらをはっきり睨んで、彼女の唇が声なき言葉を紡ぐ。

――どうして教えてくれなかったんですか
――面倒だったからやでー

わかってたけど性格悪いです、と言いたげに口を歪ませているが、気配に気づかないほうが悪いに決まっとるやないか。

「二人でなにやってたんだ?」
「ひ、ひみつの特訓、です」

友人の詰問に女アサシンがとぼけようとして失敗している。いやほんま顔に出すぎやて。
夜風が吹いて、戦闘であがった熱を冷ましていく。
涼しーなー。
夜空を見上げて、目を細める。

もう一人のギャラリーは、出てこんのかいなー?

途端、屋上からこちらをうかがっていた気配が、ゆっくりと消えていった。
ギルドメンバーの誰か、ではない。
ふーん、うちみたいな弱小ギルドを偵察する暇人なんておるんやなー。
剣を鞘に収めて、彼女に逃げられた友人へ解説という名のからかいを実行する。

「そのアサシンキャラが惚れとるキャラもおってな?
健気に『主君はかっこいいぞ』とか袖引っ張ったりしてアプローチしてんねん」

正直、引用のセリフを『こうすると、気持ちいいぞ』と迷ったが、それ聞いたらこの場で友人に殺されそうやしー。
茶化しすぎて投げられた小石を避けそこなった。


今頃気づいたんやけど、もし終劇までいって、彼女にトドメを刺そうとしてたら、
……俺、ローグに後ろから刺されとったんちゃう?

<またどこかに続くかもー>


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