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【百合も】生体DOP達に萌えるスレB2F【801も】

[130:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2013/04/03(水) 21:41:00 ID:PsDBeDsI)]
萌えスレ44階の324を見ていたらムラムラして勢いでSSを書いてしまった。
セリア×フラ♀だから楽しめる人は少数派かもしれないが、
楽しめる人が一人でもいたなら嬉しい。
シオニーと言うよりも、只のドSなセリア嬢だけども…


その日、セリアの機嫌はすこぶる悪かった。
足早かつ乱暴に歩く姿は普段の優雅さなど欠片も無く、
綺麗に整った顔もすっかり仏頂面になってしまっている。

(ああもう…どこに落としたのかしら…)

それもそのはず、セリアは一番のお気に入りの髪飾りを紛失していた。
寝る時以外は常に肌身離さず着けていたのだ。
無くすことなど有り得なかった。
あの髪飾りは、セリアの意中の人が気まぐれでくれたものである。
何が何でも見つけ出す必要があった。
髪飾りを探し始めてから早半刻。
焦りは次第に苛立ちへと変わり、現在ピークを迎えていた。
その時。背後からセリアに向かって近付いてくる駆け足が一つ。

「セ、セリア!」

名を呼ばれ、足を止める。聞いたことのない女性の声だった。
今はそれどころではないのだが、呼ばれた手前無視する訳にもいかない。
くるりと踵を返したセリアの目に飛び込んで来たのは、
やはり見たことのないクリエイターの少女だった。
背はセリアよりも若干低い位か。
深海色の髪と瞳を持つ少女は、まだあどけなさを残す顔立ちをしていた。

「…どちら様かしら?」

セリアの知らない目の前の少女は、どうやらセリアのことを知っているようだった。
怪訝な顔つきで、セリアは眉を顰める。

「あ、僕は…その…フラメルです」

居心地が悪そうに視線を泳がせ、後ろ手を組んだままぎこちなく名乗る少女。
セリアはその名を知っていた。知ってはいたが、その人物は少なくとも少女ではない。
一体どういうことなのか。セリアは常識の範囲内で考察する。

「そう。奇遇ね、私の友人に同じ名前の男の子がいるわ」

結果、偶然の一致という事象で片付けることにした。
非常識な答えも浮かびはしたが、もしそうだとしたら面倒なことこの上ない。
今は適当に切り上げて、髪飾りの捜索に戻りたかった。

「悪いけれど、用事なら後にしてもらえるかしら。大事な探し物をしているの」

淡々と告げ、背を向ける。

「ま、まって!」

間髪入れず、フラメルと名乗る少女が声をあげた。

「探し物って、もしかしてこれかな…?」

おずおずとかけられた声の内容に思わず顔を顰め、セリアは再度振り返る。
少女が差し出した掌の上には、正にセリアが探していた髪飾りがあった。
が、髪飾りの一部が欠けてしまっている。
ピシッ、と音が聞こえてきそうな程に、一瞬で場の空気が凍りついた。

「…これに間違いないわ。壊れているようだけど」

自分でも驚く程、冷たい声色だった。

「どういうこと?」

無くしたと思っていた髪飾りは何故か見知らぬ少女の手にあり、しかも壊れている。
セリアは少女に向き直り、おもむろに腕を組んだ。
今にも舌打ちが聞こえて来そうなほど怒気を孕んだ雰囲気を醸し出しているセリアに、
フラメルは完全に萎縮していた。躊躇いがちに、口を開く。

「これは、その…朝起きたら僕が女の子になってて。
 面白がったガーティさんがセリアが寝ているうちに部屋から髪飾りを持ち出して。
 僕につけようとするから、抵抗してたらパキッと…」

申し訳なさそうに頭を垂れる目の前の少女は、
どうやらセリアの知るフラメルで間違いなさそうだった。
半ば信じがたいが、その言動はどう見ても本人だ。
良く見ると目と髪の色は以前と変わっていない。
髪飾りを勝手に持ち出した上に壊したという事実と、
その犯人がフラメルであったことに
セリアの怒りは頂点を迎えた。

「……。」

俯き、その目元を陰らせるセリアの顔を、機嫌を伺うようにフラメルが覗きこむ。

「あの、セリア?」

口を開いてみたものの、怒りのあまり唇が戦慄き言葉にならない。
深呼吸し、深く息を吐くと僅かに顔を上げてフラメルを睨みつける。

「謝罪は?…普通、まずは言い訳を並べる前に謝罪するもんじゃないかしら」
「ごっ、ごめんなさい」

何か汚いものを見るような目で見られ、
フラメルは首を竦めてすぐさま謝罪の言葉を述べた。
胸の底から止め処なく湧く怒りに、更なる冷徹な言葉を向ける。

「……言葉だけで済むと思ってるの?」

嘲笑し、吐き捨てる。その態度と台詞に、フラメルは困惑の表情を浮かべた。
どういう意味か理解していないのだろう、
セリアは苛立ちを募らせ言葉少なに口を開く。

「土下座して」
「えっ」

明らかに動揺するフラメルを、冷めた目で見つめる。
短く戸惑いの声を上げ、不安そうに辺りを見渡していた。
誠意を見せるならばそれくらいするべきだと、セリアは思う。
フラメルはあの髪飾りがセリアにとってどれ程大切であったかを知っていた筈だ。
それを壊しておいて謝罪の言葉一つで済ませようなどと虫が良すぎる。
だがプライドが邪魔しているのだろう、
いつまで経っても行動を起こさないフラメルに、
セリアは痺れを切らした。

「謝罪の一つもできないの?貴方って本当に屑なのね」
「うっ…」

ありったけの軽蔑の眼差しを向け言い放つと、フラメルの顔が良心の呵責に歪む。
歯を食い縛り、両の手の拳を握り締めるとゆっくりと膝を折り、その掌を床に着けた。

「ごめんなさい…」

こうべを垂れ、震えた声で謝罪の言葉を述べる。
表情こそ見えないが、普段のフラメルを見るに断腸の思いでの行動であることに間違いない。

その姿を見た直後、驚く程セリアの怒りはすっと消えていった。
苛立って居た所に壊れた髪飾りを見せられ、
怒りの勢いに任せ半ば八つ当たりのように土下座することを要求してしまったが。
冷静に考えてみれば、髪飾りを勝手に持ち出したのはガーティであり、
髪飾りを壊したのもフラメルだけではない、二人の責任だ。
それも悪意があったわけではない。

(やりすぎたかも…。)

髪飾りも、良く見たら少し手を加えるだけで修理できそうだった。
セリアはゆっくりと地面に肩膝を付き、フラメルの前に屈み込む。

「もう良いわ。顔を上げて」

そう声をかけると、フラメルは恐る恐る顔を上げた。
セリアを見上げる顔は、今にも泣き出しそうで…。
不安を露にしたその表情に、不覚にもドキリとする。
それはさしづめ、主人に捨てられそうな子犬のような哀愁があった。

(フラメルもこんな顔するのね。)

少女の姿だからこそ、余計に引き立つのかもしれないが。
先程フラメルが垣間見せた、プライドと葛藤する様を思い出し、ぞくりとする。
その自尊心をへし折った上で、服従させてみたい。
自尊心と下された命令を天秤にかける時の、苦汁をなめるような表情を見たい。
その顔を屈辱に歪めさせた上で、支配したい。

セリアの心に宿った好奇心は、むくむくと頭をもたげ始める。

「許してくれるのかな…?」

あれ程までの怒りをぶつけられたのは初めてだったのだろう、
フラメルはすっかり萎縮してしまっている。
これは、丁度良い機会かもしれない。
ほんの少し、意地悪をしてみたい衝動に駆られる。
にこり。微笑みを向けると、フラメルの表情が安堵に染まった。

「もちろん、許さないわ」

無情にも吐き出される言葉に、再び凍りつくフラメル。

「本当なら、貴方みたいな屑とは金輪際口を利きたくない位なのだけど。
 貴方のその姿、結構似合ってるし、
 これからしばらく私に絶対服従するなら考えてあげても良いわ」
「えっ…」

真顔で再度吐き出される暴言に、フラメルは泣き出しそうな、
困ったような複雑な表情を浮かべる。

「どうするの?やるの?やらないの?」

首を傾げ、目を細めてじっと見つめると、一瞬だけフラメルの頬が赤く染まった。

「や、やります…」

フラメルの決断に、セリアは満足そうに口端を緩め立ち上がる。

「そう。じゃ、私の部屋に行きましょう」

踵を返し、颯爽と歩き出す。
数秒後、背後からセリアの後を追いかける慌しい足音が冷たい廊下に響いた。


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