【18歳未満進入禁止】聖職者命令スレ Part12
[46:バルーン殴りプリ(2012/03/06(火) 20:59:07 ID:s2gyPwUw)]
>>33様
「全くもう、何を考えているのか、分かったものじゃないですね……」
バルーン殴りプリはベッドの上で寝息を立てている彼の姿を眺めながら、紅い顔をして寝顔をじっと眺めていた。
彼が惚れ薬と言っていたお茶とお香を制作するのに、研究を重ねて、疲れていたのが原因だろうか。
「人の気持ちも知らないで、本当に……勝手すぎます、ええ……本当に。」
その寝顔を見るだけで、どきどきと心臓の音が高鳴るのを感じる、頬が熱くなるのを感じざるえない。
夕食時にその効能を確認すると、お茶と一緒にご馳走になり、確かに効果は現在もまだ彼女に効果を示している。
べた惚れと言う感情なのかは分からないが、彼となら肌を重ねてもいいとさえ感じるほどに。
「すかー………すかー………」
暗殺者とは思えないこの無防備ぶりである。
「これが本当の狙いならば、大したものだと思うのですけど――」
彼に恨みを持っている相手ならば、この機会を逃すような真似はまずしないだろうと、彼女は思う。
ただ、今の彼女では、そんな気持ちになれる訳もなかった。
シワにならないように法衣を脱ぎ、未だに少女のようなその肢体を露わにする。
寝間着などある筈もなく、可愛らしい下着姿で彼女は溜息を付き、部屋に置かれた鏡でその姿を映す。
転生前ならともかく、転生してまだ若い彼女は膨らみもくびれも中途半端だった。
(別にそんな、誘惑などを考えた訳では…ないのですけど…)
ほんの少しとはいえ、残念だと思ってしまったのは薬の影響を受けたせいなのだろうか。
彼のベッドに近づけば、余計にその身体が興奮してくる、心臓の拍動が止まらないのがよくわかる。
大の字で寝ている彼の枕元で、彼に触れていたいと言う欲求が芽生えてきて。
その腕に頬を擦りつけるように、枕にして、どきどきと彼の胸板にその細い指先で探るように触れていく。
「好きな人の前では、こう言う事が出来るのでしょうか…」
恋心など分からない、けれど、こう言う風にしていたいと思えてしまう。
肌と肌の触れ合う感覚が凄く心地よく感じられた。
「さて、これからどうしましょう、か……え、あ――、きゃ……あ……っ?」
そんな事を考えたその矢先に、彼が「うん…」と小さく唸れば此方側に寝返りをうってきた。
彼女は小さな悲鳴を上げるものの、彼の腕はその彼女の肩口を巻き込むようにして抱きしめてくるのだった。
抱きとめられ、彼の腕の牢獄の中で、真っ赤にその結果を体感してしまう彼女。
「もう、これ……本当にどうしろ、と言うのですか……もう――」
その腕に抱かれる事に幸せを感じてしまい、抜けるに抜け出せないバルーン殴りプリ。
結局はその夜は、彼の腕に抱かれながら微睡みの中に落ちたのでした。
「何だか、久しぶりにゆっくりと寝た気がするな――確か、薬の実験の途中で……あれ?」
目覚めてベッドから上半身を起き上がらせ、欠伸をしながらその髪の毛を掻いているアサシンクロスの彼。
そんな彼でも職業柄、鈍感な訳ではなく、普段と違うその香りに気付かない訳もない。
(甘い香りがするな…そう言えば、確か昨日は…)
あやふやな記憶を思い出していく、この香りの主は現在――
「朝食の用意が出来ました、全くもう――何時まで寝ているのですか、貴方は。」
現れたのは、下着姿の上にエプロンをつけたバルーン殴りプリの姿だった、その表情は照れくさいように紅くして。
焦げるベーコンの香りと、焼きたてのパンの香りが彼の胃袋に直撃して、ぐう、とお腹が鳴った。
「食い物は、干し肉ぐらいしかなかった気がするんだが――」
「それなら、朝市の方で買い物は済ませてきました。」
「なんで、下着の上にエプロンって格好なんだ、それは――」
「宿舎に戻らなかったので、替えの衣装がないので。」
質問攻めに対して、何処か困ったような様子視線を彷徨わせ、彼女はそれに答えていく。
起き抜けな彼がその様子に気付いていたのかは分からないが。
ひと通り質問を終えた所で、彼がその状況を理解始めて――ふと、思い付いたように。
「じゃあ、なんで―――俺のベッドの中に……」
「それは、その〜〜…っ、貴方が私にした事とか、ちゃんと……その…――」
落ち着いて対処しようとしていた彼女が、完全に真っ赤になって取り乱してしまう。
彼女の顔をじっと眺め、思い出そうとする彼だったが――思い付いたように、ぽんと手を叩いて。
「そう言えば、薬の効果は―――っ、ごは……!?」
言葉を上げた瞬間、彼女のホーリーライトが枕と一緒にその顔面に直撃したのだった。
「それにしても、久しぶりに飯らしい飯を食ったな―…干し肉と野菜を煮込んだ奴、本気で美味かったしさ。」
「なんで貴方は、そんなに呑気なんですか――暗殺者って職業、疑いますよ?」
食事を終えてプロンテラを散歩する二人、連絡を入れた大聖堂の方に様子を見にいく。
黒縁の眼鏡をつけたアークビショップに挨拶をして、その他の大聖堂の皆に迷惑掛ける事を詫びていき。
彼はその様子を少し離れた場所から眺めているのだった、時折漏れる欠伸の音。
「お待たせしました――少し、時間が掛かってしまいましたね。」
結局それが終わったのはお昼前と言う所だった。済まなさそうな顔で戻ってくる彼女。
「お帰りー…なんか少し、腹が減ってきたな、広場の屋台で何か食うか。」
「さっき、朝食を食べたばかりなのに、よく……入りますね。」
「身体が資本だし消化も早いんだよ、そっちだって結構、人並みに食べてたじゃないか。」
「身体を動かして、魔法を使うだけに食べないと倒れるんですよ…それに。」
彼女の指先が図書館のある方向を示す、彼の視線もそちらの方を向いて。
そちらの方向に歩いていった彼女の事をお互いに思い浮かんだ所で言葉を紡ぎ出す。
「噂では、あの人は私の3倍は食べるとか――らしいですよ?」
次の瞬間、図書館の方でくしゃみの音が聞こえた気がした。なお噂の真偽は全ては闇の中である。
「湧いたなー…お互いに無事に戻れて何より、と言う感じだったな。」
「支援が居るから、って突っ込みすぎなんですよ。」
ニブルヘルムのギョル渓谷、折角なので一緒に狩りをしていた二人。
収集品の重量が嵩んできた事もあって、道具屋に寄って収集品を精算する事にした。
心地よい疲れの中で、何気なくその彼女の後ろ姿を追っていて。
「どうか――しました、か?…そんなに、見つめて。」
それに気付いた彼女も顔を赤くする、じっと彼の視線を追いながら。
「予定ではもっと、バカップル的な展開も期待してたんだけどなあ…こう、身体を寄せ合ったり、とか。」
「何をその、急に――そう言うの、やってみたいとか……えと、その……」
彼の腕が伸びる…それに抵抗できない、その方を抱きしめるように彼は彼女を抱き留める。
柔らかな感触を法衣越しに確かめ、何度もその頬にキスをする。
それだけで、気恥ずかしさからか、あっと言う間にまた真っ赤になってしまう彼女。
「も、もう……人が見てたら、どうするんですか――もう。」
「その時は見せつけちゃえば、いいんじゃない?」
笑顔で柔らかいなあ、とその感触を楽しんでいる彼、逃げようにも抱き留められたまま耐えるしかなく。
無邪気なその態度が何処か嬉しくさえ感じてしまう、惚れ薬の影響だろうか。
そのまま彼女の頬に幾度ものキスが振り、甘えるような彼の口吻にされるがままになってしまう。
(このまま、されても――私は……)
抵抗できない気がする、愛しい、と言う感情かは分からない。
快楽ではなく、心からそれを肯定してしまって。
表情が蕩け始めて、その顔を見られる…彼の喉がごくりとなった気がして。
「そう言えば、此処で確か取引と化できたよーな気がするんだけど。」
「街で精算すればよかったのに、このドジはよー。」
「いたた、仕方ないじゃないか、青ジェムが切れて――あ。」
その直後、突然入ってきた他のPTと遭遇する。
聞こえてきた音に、咄嗟に視線が其方の方に向いてしまって―――
「えっとその、ご……ごめんなさい――っ?!」
「あっ、その……っ、〜〜〜っ、…っ、私その〜〜……っ」
涙目な様子で慌てるバルーン殴りプリ、咄嗟にそのまま飛び退いて、恥ずかしさに悶える。
結局はその場でも、行為に及ぶ事はなかったのだった。
「取り敢えずは、これで――終わり、ですね……ちゃんと定期的に、掃除しなきゃ駄目ですよ?」
夕食を取り、彼の我が儘でその膝に彼を載せて、耳掃除をするバルーン殴りプリ。
その言葉が帰らず、また彼が寝息を立てているのを見れば、呆れたようにその表情を綻ばせる。
まだ何処か、あの時のドキドキの破片が残っているような気がした。
それが薬の効果なのかは、よく分からないが――
「本当に仕方のない人ですね――それじゃ、お休みなさい……」
彼女は寝室から毛布を持ってくると、彼に被せる、彼女もその隣に入り、ぎゅっと抱きしめて。
流石に疲れていたのか、彼女もまた隣でゆっくりと寝息を立てるのだった――
次の日には、普段通りに大聖堂の方に戻り、仕事に戻っていく彼女。
それから数日後、彼の作成したお香は、失敗作だった、と言う報告が依頼人の方に届いた。
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