【殺し合いに】バトルROワイアル 十一冊目【終劇を】
[7:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2012/02/26(日) 23:59:01 ID:ryeCINjg)]
302.行き着く先の(三日目・昼)
「…何か、あったのは確かでしょうね」
ぽつりと零れた♂セージの言葉に、グラサンモンクは黙して応える。
膝をついて見下ろす♂セージの前には、傷を負えど、数刻前まで確かに生きていた二人の遺体が横たわっていた。
無数の打撲痕と裂傷。それに加え、♂プリーストの頭部はその原型を留めぬほどに破壊されていた。
最期の顔も分からない彼に、せめてもと♂セージはマントの裾を裂き、傷ましい傷跡ごとその顔を急ごしらえの布で覆い隠す。
回復の余地のあった彼ら―♂プリーストと♂スパノビの死に様は、明確な悪意を持った外敵の存在を報せていた。
そして、この惨状。
見知らぬ誰かの悲鳴―あれが♂プリーストに託された♀ハンターのものであったのか、はたまた口をきくことも叶わなかった♀騎士のものであったのか、今となっては確かめるのは難しいが―を聞きつけ、仲間たちと別れて後にした場所。
それが今やこの有様だ。
「…どう見る?」
「戦闘跡―とだけ見るのは、流石に無理でしょう」
遺体の外傷を観察する♂セージに代わり、彼の背に立ち辺りを警戒するグラサンモンクの問いかけに、思考を止めぬまま状況の考察を述べる。
乱雑に薙ぎ払われた方々の茂み。
尋常ではない抉れ方をした地表。どちらもランダム。無差別的。
極めつけは、合流して間もない♂セージとグラサンモンクの下まで届いた、地響きめいた振動―その原因と思しき、切り倒された瑞々しい大木。
「通常の戦闘下で、ここまで無意味な破壊活動を行う理由が想定できません。
人為的な災害跡、とでも言いましょうか」
「そんなことはどうでもいい。そんなことより」
「分かっています」
僅かに、けれど確かに焦りを滲ませたグラサンモンクの声に、被せる様に言葉を乗せる。
分かっている。
決して望ましくはない焦りを、彼自身も抱いているのだから。
「可哀そうですが、そちらの遺体は恐らく淫徒プリさんお一人のものでしょう。
貴方の所見は正しいと思います」
惨状に残されたものは他に三つ。
半身を失ったデビルチ。同じく部位を欠いたウンゴラアントらしき蟲の魔物。
そして、♂セージが挙げた淫徒プリ。
胸部より上の衣服と顔から判別可能だった彼女―もう彼と呼んでもいいだろう。頭髪は違えど、顔のパーツまで変わった訳ではない。♂プリーストと比べれば彼であるとその顔からはっきりとわかる。
しかし、彼もまた痛ましい形でその躯を晒していた。
胸部より下―ほぼ腹部の全てと下半身の肉が、こそぎ落されたように欠如しているのだ。
人間らしい形で残った上半身の周囲に、ばらばらと散らばった肉片…ウンゴラアントの咀嚼から逃れて零れた淫徒プリの一部ら。
その遺体の欠落が、蟲の牙を用いた食事によるものと見解したのはグラサンモンクだった。
♂スパノビの外傷にも、相対した存在の主力が牙であるとするなら納得のいくものが多数刻まれていた。
だから。
「他の方々は避難したと考えるのが自然でしょう。
ここには残っていないのですから」
「断言できるか?」
グラサンモンクが低い声で問う。
答えの代わりに、♂セージもまた無言で返す。
噛み締められた歯が、ギリ、と小さく音を立てた。
遺体は残っていない。ならば、無事のはずだ。
無事でいてほしい。
そう彼らが願う相手の血が、肉が、ここに混じっているかもしれない。
眼前にある異常が、否応もなく彼らの胸の内に焦燥を掻き立てる。
一番の解決策は、彼女たちの安否をこの目で確認することだ。
だが、行方にあてがない。東か西か、あるいは南か。安易に別れたことすら悔やまれ出す。
堂々巡りだ。
―こうしていても始まらない。これ以上の憶測は無駄にしかならない。
そう言って、♂セージが立ち上がろうとしたところだった。
木々の影となった奥から、♂騎士が姿を現したのは。
偶然、森の中で行く先を違えたか。―そもそも彼に目指す先などなかったのだけれど。
手にかけてしまった♀商人、恩を受けた♂プリーストの遺体を弔いに戻ってきたのか。―彼がかつて殺めた愛した人たちのように。
只、♂セージは思慮する。
この異常な状況を前にして―驚いた様子のない彼を。
鞘に収まる彼の剣。抉られ、薙がれ、切り倒された周囲の惨状。
酷く重い足取りの♂騎士が近付く中で、♂セージは立ち上がる。
彼を正面から真っ直ぐに見据えて、
「これは、貴方の仕業ですか?」
<♂セージ>
現在地:E-6
所持品:ソードブレイカー
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑 ♂モンクを殺害?
<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 悪ケミを護る
状 態:掌と肩に打撲 SP微妙に枯渇
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:S1少女の日記、カッツバルゲル、錐、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
両手剣タイプ
状態:痛覚が完全に喪失 体力は半分以下? 精神は安定? 個体認識異常を脱する
必要とあらば殺すことを厭わなくなった? 幻覚及び幻聴 ♀商人を殺害したと思っている
read.cgi ver4.20 by GlobalNoteScript (2006/03/17)