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【18歳未満進入禁止】総合命令スレ24【inハァハァ鯖】

[220:首輪剣士(2014/05/14(水) 19:55:00 ID:J6mmvVM6)]
>>217


「……何ですかこれは…」
 プルプルと震える指先で、頭に被せられたおしゃれな帽子の唾を両手で押さえる首輪剣士。
「いやだって、約束したじゃないか」
 困惑と憤りと屈辱にまみれた彼女に、>>217はあっけらかんと答える。
 事の発端は、数時間前の事。
 彼女は彼との試合に敗北した。
 しかも、敗北即死の『ナイトメアテラー』モードで殺されることなく無力化されたのだ。
「確かに、死を厭わない精神は下馬評通りだ。だが、それだけだ」
 >>217は言う。
「それは…どうも」
「誉めてはいない。死と隣り合わせの世界で、隣人の存在に無頓着なのは味方に対する背信行為とも言える」
「…もう、私が戦士らしく生きるにはそれしかないから」
 首輪剣士は言う。
「ふむ…」
 >>217は逡巡し、彼女の手を取った。
「なら、その偏った考えを壊してみよう」
「え?あの…ちょっと…」
 >>217に手を引かれ、彼女は控え室から連れ出された。


「……」
 予想外の出来事に、首輪剣士は困惑していた。
 あの場所には見張りや他の剣奴も多数居たのだが、誰一人彼の行為をとがめることはなかったからだ。
「久しぶりかい?」
「ええ…」
 >>217の問いに生返事を返す首輪剣士。
 彼女の右手は、>>217にしっかりと握られている。
 この手が、自分を外につなぎ止めているのだ。
(ペットの散歩…程度と考えておくべきね)
 赤くない空に心をときめかせている自分に気づき、そして自らに言い聞かせる首輪剣士。
「それで、何が望みなのですか?」
「ははは…斜に構えなさんな」
 >>217はそう言って、彼女をプロンテラ西に連れ出した。


「引き締まったいい足だ。鍛えているね」
「当然…です」
 プロンテラ西門外にある花壇、通称『花公園』にて。
 ベンチに腰掛け、彼女の太股を枕にし仰向けに寝ころぶ>>217
 後頭部に当たる太股に弾力はないものの、厚ぼったいスカーとの上からでも引き締まっている事が窺えた
「……」
 わからない。
 日向で寝ころぶ猫のような表情で寝息を立てる>>217に呆れながら、首輪剣士は天を仰いだ。
(おかしい…)
 こみ上げるのは不快感や屈辱感ではなく、強烈な違和感。
 久しぶりの外の世界なのに、自分がここにいる事がひどく場違いな気分になる。
(やっぱり、自分はもう戻れない…)
 そう思った首輪剣士は、そっと膝を抜き、代わりに剣士装束の一部であるマフラーを丸め頭の下に敷く
 彼が寝息を立てていることを確認した彼女は、そっとその場を立ち去ろうとした。


「…どこに行こうというのかい?」
 彼に背を向け、そっと立ち去ろうとしたそのとき、背中から声をかけられる。
「帰るべき場所へ帰るだけよ。私はペットにもなれなかった出来損ない。はっきり自覚したわ」
 >>217の言葉に、首輪剣士は答える。
「ご名答。自覚したのならそこが起点だ」
「いいえ、終点よ」
 首輪剣士はそう言って、首輪に手を伸ばす。
「半分だけ、ありがとう。でも残りは、恨むわ」
「え?」
 その真意を問うよりも早く、彼女の姿が虚空へと掻き消える。
 最後に彼が見たのは、首輪剣士の切なげな顔だった。
「参ったなぁ。まだ二つしか叶えてもらってないんだけれども…」
 一人残された>>217は、残念そうな表情を浮かべそう呟いた。


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