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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】

1 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/02(水) 19:44 ID:eNgSWhIE
LiveROの時計塔スレがdat落ちしてしまったのでこちらに立ててみます。
こちらに立てる事で再び活性化する事を祈って…

とはいえdat落ちする程放置されてたスレなのでもう需要が無いかもしれませんが…

2 名前:前テンプレ(保管所抜き) 投稿日:2005/02/02(水) 21:42 ID:oa2Iw2iU
         ー-,.-‐ '"´        `゙ ー 、,,_
         _,.-'"                `ヽ、   ←アラームたん
       _,.-' //  /   /            ヽ
     ´ ̄  ,i|/  /' // /|   i    i  |  ,   丶
          i|i'  /! / / / i|i /ll |ヽ、 |   | , --- 、. `、
         i| | /_| /-/ / |l / |l| !l |  il i.;-'::::::::j  i
        i|l { /´ |/ il /  { ! `|lト、|l リ|  i| ;`'i""|   |
        !|l ハl  {!  |/  |/  !| l lメ|i l|i| |l |  ! |l |
       i |l |i‐=-!、  !    、,_ ヽノ/ |li|  |l i!|  | | li ト、
       !_!LlL__ `゙'     /;;`゙'シ<  リl| |!lil.|  | li| ill.ト、ヽ
      / `ヽ、,`! '     丶;,::.:.:.::;〉ヽ|l i l llj   | | il !
      /  、ヽ )_j     , , ,`゙''<  |li | ノ!リ i | l| i |
      /    ヽ ハ、 丶      '   j|l ,/|l  lリ リ ノ{\
      i  ノーノ| |l ト、        _,. ゞリ 〃 |lヾノ / ハ||  \
    /| ´ 'i´|l| ヾ!l`ー--r一 ヽ´   リ// ヾニノンノ ヾ!    ヽ、
    / !    !l|l|  ハ   ヽ __     リ〃/`ヽ`ー'  `     ヽ、
    /  |     !|リ /| ヽ、  ヽ、`  ,〃/   | ,          ヽ、
   /  l    i  〈 l  ヽ、   ヽ__,ノ/     /}/             ヽ、

■なんのスレなの?
 アルデバランの時計塔に住んでいる小さな女の子を中心に広がる話題を扱うスレです。

■ちゅういすることは?
 ・このスレの設定等にFAはありません。
 ・ゲーム内でアラームたんに直接会うことはできません。
  ※急に視点を変えると画面の隅にちょこっとだけ見えることがあるかも?
 ・もしアラームたんや荒武隊の面子の名前のついたアラームを見かけたなら、
  それは某ツール製作者のいたずらによるものです。
  出会えた事を思い出として心の片隅にそっとしまっておくのが良いでしょう。

3 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/02(水) 22:42 ID:gWmwFesY
2げっと アラームたん転生オメ

4 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/03(木) 06:24 ID:T/zgRMKA
4げとー ずさー
アラームたん俺の相方になって

5 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/03(木) 22:27 ID:A/k4caOY
>>4
すでにアラームたんは俺のものだあああああああああああああああ

6 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/03(木) 23:17 ID:KzVSVTaw
((((((((((((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ずざー
6げと

7 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/04(金) 12:58 ID:iZifuC/2
なぜ保管所抜き?

8 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/04(金) 19:52 ID:Kra5YBVQ
真・アラーム伝説ってことなのか
ともかく7げと

9 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/04(金) 20:38 ID:HzmZFDq2
9を貰っときます

10 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/05(土) 18:04 ID:/3HaQ4cE
今日だけでアラームたんに10回追い出されてきたぜ

11 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/06(日) 13:02 ID:x0twnZ3s
11get
アチャスケさんはいまいずこ…

12 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/06(日) 22:09 ID:ug1yN3l.
■もっとアラームたんに会いたいのだけど?
 ・補完所URL
    ttp://f26.aaacafe.ne.jp/~alarmmoe/index.html
 ・うぷろだURL
    ttp://cgi.f26.aaacafe.ne.jp/~alarmmoe/cgi-bin/upload.cgi
 ・時計塔タロットまとめサイト
    ttp://wWw.alarm.sakage.jp/


一応保管庫を補完。
前線から退いてこちらでマターリまたやっていきましょうか。

13 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/10(木) 08:55 ID:QBSk/UkI
アラームたんスレ復活〜♪ヽ(・ヮ・*)

14 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/10(木) 14:29 ID:jatARj46
復活はいいけどここまで過疎いところを見ると最早需要は無くなってる希ガス

15 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/10(木) 21:31 ID:Rji6QsQw
何か再燃するようなものでもあればいいんだが
そろそろバレンタインとかネタ振ってもSSや絵が投下されないしね
俺がやれって?
俺は文章力&絵心皆無なので無理です,、'`,、('∀`) '`,、'`

16 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/11(金) 00:50 ID:ZgMyniqI
初代のころは音楽やらなんやらでやけに盛り上がったなぁ
今でも時計塔の曲は当時の神が作り出したアラームたんイメージ曲だよ

17 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/13(日) 12:51 ID:CPNml.w2
ttp://haru.s19.xrea.com/ropc/images/20050209.jpg

18 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/13(日) 21:11 ID:PlN8/Sp2
>>17
きょぁぁ(゚∀゚)GJ

19 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/13(日) 22:22 ID:pt.7Hfs6
>>17
ラピタ|ミ<ちょっくら油でポリーンにしてもらってくるわ

20 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/15(火) 03:37 ID:sre8.8BI
 その日。ミッドガルド中の男性諸君がそわそわしていたその日も、荒武隊隊長は、機体の傍で悠然と煙草を吹かしていました。
 少しばかり昔を思い出しながら。
「あ、いたいたー」
 そこへかかったのは耳慣れた子供の声。アラームです。
 駆けよってくるその姿を認めて、隊長は急いで煙草をもみ消しました。
「あのね、はい、プレゼント」
 小さな背丈から一生懸命にさしだされた手に在るのは、綺麗に包装されたハートの形のチョコレートです。
「…バレンタインデーか」
 あまり甘いものの好きではない――というよりむしろ苦手な彼がそう呟くと、アラームはにこーっと笑いました。
「うん! 昨日お婆ちゃんのお鍋を借りて、お姉ちゃんとふたりで作ったんだよ」
 知識ばかり豊富なライドワードと知識すらないアラームのふたりを、魔女が罵りながら手伝っている様が容易く想像できて、
隊長は微かに笑みました。
「えっとね、私、隊長にこいしてるんだよ」
 彼は危うくひっくり返るところでしたが、そこは大人の威厳で踏みとどまります。
「そんな物言い、誰に習った?」
「パンクさん」
 隊長はお調子もののカビを思い浮かべて、さもありなんと納得します。
「こいしてるって、好きで好きでたまらないひとに言うんだって。
 じゃあ皆に言ってくるね、って返事をしたら皆喜ぶぞ、って言われたよ」
 少し困ったふうに隊長は頭を掻いて、それから言いました。
「それは多分、大事な言葉だ。あまり軽々しく使う代物ではない」
「大事なの?」
 不思議そうにアラームは首を傾げます。好きなひとにどうして好きだと告げていけないのでしょう。
「そうだ。とても特別な言葉だ。胸を張って誰かに恋していると言えるのならば、それは幸福なのだ。例えそれが生涯、ただ一
度の事だとしても」
 走馬灯のように脳裏を過ぎった記憶。それに引っ張られるように、隊長はいつになく饒舌でした。
 彼が我に返ると、真摯な瞳がじっと自分を見つめています。幼いなりに何かを感じたのでしょうか。それは気遣うような、労
るようなまなざしでした。
「――隊長は、こーふくだったの?」
 彼は一度瞑目し、そして巌のような顔に静かな微笑みを浮かべると、そっとアラームの小さな頭を撫でました。

「ところで、アイツには贈ったのか」
「アチャスケさん?」
 頷いて見せると、アラームは嬉しそうに答えます。
「お婆ちゃんが届けてやるよって言って、ふたつとも持って飛んで行ってくれたんだ」
 さんざ愚痴を言いながら、きっと魔女は楽しそうだったでしょう。
 それから隊長は疑問に思い、そして訊くのをやめました。バースリーはもうこんな儀礼めいたお祭りには付き合わないでしょ
う。ならもうひとつが誰から宛てたものなのか、凡その想像がついたからです。
「ふふふー」
 アラームが楽しい企みがあるかのように笑いました。
「あのね、帰ってきたらお婆ちゃんにもあげるんだ。ちゃーんと皆の分作ったんだから。あ!」
 そうか、とまた頭を撫でると、アラームは更に幸福そうに笑み崩れます。けれど突然、彼女は思い出したように声を上げました。
「どうした?」
「あのね、お婆ちゃんにこいしてるんだよ、って言わない方がいいのかな?」
 真面目に尋ねるその顔を見ながら、隊長はこの子に恋はまだまだ早いな、と思いました。

 この約一月後。
 女の子へ贈り物などした経験のない隊員達が、お返しに四苦八苦する事になるのですが、それはまた別のお話です。

21 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/15(火) 07:33 ID:OthtxpOI
>>20GJ!
その場面場面を想像してたら、何だか泣けてきたよ・゚・(ノД`)・゚・。 やっぱり時計塔物語はいいな。

22 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/15(火) 12:28 ID:2I4W6g5g
いいなぁ。かわいいなぁ。男らしいナァ。

なんつーかうまく表現できないんだけど、和める。
仔猫とかを見たときの和み方じゃなくてなんていうか…。ウワーン

23 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/19(土) 19:40 ID:Fx6ewN5I
今日oROで遊んでたんだが
ハンターで時計2行ったら旧配置だったんだよ

時計2にはデビ部屋有ったし
アチャスケエリアが有って、アラームの固定沸きも・・・

俺でも懐かしく思ったぐらいだし
ココの住人なら尚更だろうと報告を

24 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/20(日) 03:19 ID:iYNjHKjQ
なんと、ここに時計スレが・・・・>>215見て少しだけ電波が飛んで来た。

「はん、相変わらず格好着けてるじゃあないか」
老いた魔女がアラーム仮面を被ったバードの前に現れた。
「誰かと思えば婆さんか。何しに来たんだ?」
「あの子達からのプレゼント届けに来てやったのさ。感謝しな」
そう言われて、彼は今日が何の日かを思い出した。
「なるほど…こいつは礼を言うべきだろうな。ありがとよ、婆さん」
「はっ、礼を言う相手が違うね。いいかい、ちゃーんと来月には
お返しをしに来るんだよ?でなきゃ承知しないからね」
言いたい事だけを言って魔女は去る。残されたのは本当に困った様子の
バードだけだった。

25 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/23(水) 21:40 ID:24lvbGQs
今度は落ちないように・・・

26 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/24(木) 01:57 ID:cPW0DCQQ
この板は一月くらい書き込みなくても余裕で落ちないから大丈夫だよ?

27 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/02/25(金) 23:12 ID:2/6hl30w
というか落ちるということ自体がほぼないんじゃ?

28 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/05(土) 04:00 ID:Fwhjj/ww
ゲフェニアではおとなしかったエルダー爺さんに何があったのですか。
アラームたんを守らねばという使命感からの年寄りの冷や水ですか。

29 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/06(日) 01:10 ID:wa.ystI6
>>28
時計塔が本来の姿なのです
ゲフェニアは頼まれてイヤイヤやってたので
('A`)マンドクセだっただけです

30 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/10(木) 14:03 ID:6/fCki7g
電波受信中…

31 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/10(木) 15:39 ID:DZckOT7Y
エルダー老が時計塔に来た理由なる電波を受信。
唯今、文章に手直し中。

32 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/10(木) 16:05 ID:DZckOT7Y
そこはある田舎町の場末の酒場だった。
 其処に、一人…否、二人の男が居た。

「かくして彼等は、楽園を目指す。それでも彼等は楽園を目指す。
遠い遠い、茨の道を歩む。遥か彼方。決して見果てぬ夢目指す。
巡る巡る時計の針は、何時か必ず、その楽園を指し示す」

 明るく、優しく、寂しく、稚拙で、けれど美しい歌。
 手にしたギターの音色と絡み合い、聞く人々を魅了する。
 その歌を詠うは、奇妙な仮面を被った、骸骨の様に痩せた詩人。
 二人の男の、一人。

 旋律が、緩やかになり、穏やかになり。
 そして、最後に一度だけ、強く弦を弾き、詩人の指が止まる。

 「皆、聞いてくれて有難う」

 詩人は、彼の歌に似合わぬ素っ気無い言葉を投げ、観衆へと一礼する。
 その場に居る誰も彼もが惚けた様に詩人を見つめたまま、数秒の時が過ぎた。

 『パチ…パチパチ…』

 不意に…数人の男が、詩人に拍手を送る。

 『パチパチ…パチパチパチパチ…』

 それは、次々と周囲の者を巻き込んでいく。

 『パチパチパチパチパチ』

 やがて、酒場は割れんばかりの拍手に包まれていった

33 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/10(木) 16:06 ID:DZckOT7Y
「…ふむ、ふむ。アルデバランの時計塔か…ふむ」
 ひとしきり、観客達が壇上の詩人に拍手を送り終え、満足した表情で、家路に付き始めた頃。
 その男は、顎から、山羊の如く長く、垂れ下がった白い髭をいじくりながら、呟いていた。

「まさか、あすこの連中が…未だに本気だとはのぅ…
魔導を志し、早や1200年…長く生きておると、面白いこともあるもんじゃて」
 室内だというのに、目深く被ったフードの奥から、燃える蝋燭の様な目が、詩人を捕らえる。
 男…汚れた薄紫のローブを着た、老人は傍らの金色の杖に手をやり、椅子から立ち上がった。

 …その唇には、深い深い笑み。

「おぉい、そこの若いの!!」

「…俺のことか?」
 愛用のギターを手にし、楽屋に引っ込みかけていた詩人が、老人の声に立ち止まる。

「おお〜、そうじゃそうじゃ。ちょっと、こっち来てくれんかの?
お主に、尋ねたいことがあるんじゃ」
 入れ歯を通り越して、何度目かの瑞歯が生え揃った顔で破顔しつつ、言う。

「何をだ…?」

「別になんでも構わんじゃろ? 悪いようにはせん。ささ、こっちに来なさい」

 しばし、詩人は不審げに老人を見る。
 無理も無い。詩人も、人のことを言えた姿では無いが、
 それにしても…この老人は、どこをどう見ても怪しさ以外の何者も搭載していない。
 正直、よくこの酒場に入店できたものだ、と詩人は思った。

 頭では怪しげな姿を疑いつつも、だからこそ詩人は老人の下へと歩み寄っていた。
 彼等の座るテーブルの向こう側で、酒場の店主が既に店じまいを始めている。

「で、ご老人、俺に何の用だ」

「んー…単刀直入に言わしてもらうぞぃ?」

「ああ」

「お前さん、人じゃないだろう?」

「………俺は、唯の旅芸人だ。あんたが考えてるような骸骨じゃないさ」
 詩人は、数度呼吸をした後、平坦な声で言った。

「ワシ、一言も『骸骨』だなんていってないぞぃ?」

「………………」

 もしも、男の被った仮面が表情を表すことが出来たなら、
かくん、と顎が落ちた表情を連想させる、沈黙。

「ま…お前さんが『何であれ』、あの歌…時計塔物語だったか…は、いい歌じゃったよ」
 墓穴を掘った詩人を前に、老人は言う。

「…何が言いたい?」

「…判らんか。そうか、そうか。お主もまだまだだぞぃ?」
 からから、と老人は笑う。

「お主の歌は、人にも、ワシにも通じておるじゃないか。
人の心にも、魔の心にも…お主の歌う、楽園の様に。
そんな詩人は、そうそうおらんよ。ワシが保障する」

「………」
 深い皺を顔に刻んで笑う老人を前に、詩人は顔を伏せた。

「さて、ワシはそろそろ失礼するよ。急に用事ができちまった」

「用事…?」
 詩人は、老人に問うた。
 そして、老人は詩人に答えた。

「時計塔を訪ねに行くのさな」

 老人は笑い、杖を片手に立ち上がった。


 いつの夜、何処とも知れぬ街で出会った詩人と老人。
 そして、時計塔に、永遠を手に入れた古き魔導士『エルダー』が顕れるようになったのは、
この夜から暫く過ぎてからのことである。

34 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/10(木) 16:08 ID:DZckOT7Y
エルダーのモデルは亀仙人、ということで。
駄文失礼!!

35 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/13(日) 19:07 ID:Ve19wkAw
エルダーじいさん来塔記念! GJです

でもSSのバドスケさんにむしろ萌えてた俺(*´Д`)

36 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/15(火) 16:07 ID:aGDFjskc
時計塔管理者カード。
INT + 1
スキル使用時のディレイ時間が5%減少する。
アラーム、クロック、パンクカードをすべて装備時、MDEF + 3 , DEF + 3
装備 : 兜

37 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/15(火) 16:13 ID:aGDFjskc
アラームカード。
物理ダメージを受けた時、オートスペル[サイト] Lv 1が発動する。
MAXHP + 300, VIT + 1
装備 : 靴

38 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 14:52 ID:NFxQa4kY
壁lω・) ダレカ…イル?

39 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 16:15 ID:jua5vFyE
壁lω・) ・・・

40 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 16:32 ID:Cf29kZY2
|<イナイヨー

41 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 16:40 ID:y6HQs2DA
|<がおー

42 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 17:05 ID:NFxQa4kY
壁lω・) …

壁lω・) デムパ、ジュシンシテイイ?

43 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 19:12 ID:f4R.jC26
クロックカード。
物理ダメージを受けた時、オートスペル[オートガード]Lv3が発動する。
オートガードLv10を取得しているならば、Lv3の代わりにLv10が発動する。
装備 : 鎧

44 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 19:13 ID:f4R.jC26
パンクカード。
物理ダメージを受けた時、オートスペル[クァグマイア]Lv1が発動する。
クァグマイアLv5を取得しているならば、Lv1の代わりにLv5が発動する。
装備 : 肩にかけるもの

45 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/16(水) 22:05 ID:WH2Z7yps
壁|ω・) イインジャナイ?

46 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/17(木) 03:55 ID:.ez0LCGw
 古城にして魔城。廃都にして死都。様々な忌み名を以て知れ渡るグラストヘイム。
 その中庭に、黒い騎士が佇んでいました。
 人に呼ばわれる名は深淵の騎士。破壊の具象。武技の極み。そう畏怖される彼でしたが、けれどその姿は悲しげでもあ
りました。
「よう、大将」
 まるで彫像のように動かないまま、どれほど時が流れていったでしょう。その騎士に、恐れ気もなく声をかけくる者が
居ました。
 それは奇妙な仮面を被ったひとりの詩人でした。ギターを小脇に、親しげに手を上げます。
「まったくここは冷えるな。外でこれなら中はさぞかしだろう。石造りってのも考えものじゃないか?」
 毒づきながら、詩人は仮面を外しました。その下から現れたのは全くの髑髏。ひとの姿を偽装した、それはアーチャー
スケルトンでした。合わせるように騎士が騎馬から降ります。
「…」
「石造りは時計塔も変わらないだろうって? そりゃそうだ。そもそもこの身に、」
 詩人の声に、かすかに寂しそうな色が混じりました。
「寒い暑いの関わりはないな」
 そう。彼らはそれぞれの事情によって、時計塔から去る事になった魔物でした。


「…」
「ああ、皆元気でやってるよ。婆さんなんかは元気が過ぎるくらいだがな」
 最近塔に顔出ししてきたというアーチャースケルトンの土産話は尽きません。彼はグラストヘイムを離れられない騎士に
皆の消息を伝えるべく、こうして時折やってくるのでした。
「今も変わらず全員夢追いのままだ。まったく、馬鹿者揃いさ」
 その言葉には、けれど懐かしむような、誇るような響きが籠もります。
「だが俺は思うよ。馬鹿が馬鹿らしいと理想を諦めたら、一体誰が夢を追うんだ、ってな」
「…」
「言葉ばかりうまくなったって? ま、詩歌いだからな」
 詩人は少し照れたように頭を掻きました。この沈黙の騎士と居ると、どうにも饒舌になっていけません。思いもよらない
大言壮語をしてしまう時があるのです。でもそれは気恥ずかしさが先に立つから普段口を出ない、己が秘めている真情だと
も、彼は承知していました。
「最近な、言葉ってのを少しばかり信用してる。言わずとも伝わる。語らずとも解りあえる。そういう仲も確かにあるだろ
う。だがそこまでになるのに、どれだけの時間が入り用だ?」
 だから装いと同じく仮面を脱いで、この騎士には伝えておこうと思うのです。それを受け止める相手と判っているから。
「解り合えない奴らが伝え合う。せめて思いやる。言葉ってのは、その為にこそあるんだと思うぜ」
「…」

 ――この詩人は、人と魔物との境界もまた、それで埋められると信じているのだろうか。
 ――いや、信じているのだろう。何故ならば彼もまた、誇るべき馬鹿の一翼であるのだから。

 騎士は讃えるようにそう思いましたが、挙措としては静かに頷いただけでした。
「なんだよ、何笑ってやがる。…ま、大体想像はつくけどな」
 かつんとその甲冑を拳で叩き、髑髏は青空を仰ぎます。彼らの上に在るには、不釣合いなほどに晴れ渡った空。
「言ったろう、言葉を信用し始めたと。街を巡り歩いてると、歌い歩いていると、なんとかなるんじゃねぇかって気もして
くるのさ。それに――」
 詩人の視線が騎士の上に戻りました。けれど騎士を見てはいないようでした。
 それは共通の、懐かしい誰かを思う目でした。
「――それに、オレたちはあの娘を知っている。あの瞳を、あの笑顔を憶えている。なら十分だろう。楽園の夢を見るには、
それで十分のはずだ」
「…」
 騎士はやはり黙して語らず、けれど同意を示すかのように、黒馬が嘶きました。
「は、柄にもない話を語っちまったな。ま、また来るぜ、大将。馬鹿どもの話を持ってな」
 仮面を被りなおし、死人は別れを告げて背を向けます。


 古城にして魔城。廃都にして死都。様々な忌み名を以て知れ渡るグラストヘイム。
 その中庭に佇む騎士は、常と変わらぬように見えます。
 けれどその周りを、やわらかな春の風が吹き抜けて行きました。

47 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/17(木) 14:32 ID:qt/6yUpE
壁lω・)< …

壁lω・)< ハジマルマエニ、CMダヨー

48 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/17(木) 14:33 ID:qt/6yUpE
天呼ぶ、地呼ぶ、(いろんな意味で)人が呼ぶ!!
呼んで無くてもやってくる!!(欲深い人の下には)

誰だ? 誰だ? あいつは誰だ?
あいつ あいつ あいつは、あいつは…

正義の精錬工『クホルダー』!!(クホルダー!!)

鉄槌片手に武器を討つ!!過剰精錬何のこと!?
笑い、声がっ、木霊するぅぅぅぅっ!!(クホホホホホホ)

瞼閉じれば可愛いあの娘。討たせぬ為に武器を討つ!!
喰らえ、必殺クホハンマー!!唸る鉄槌武器を討つ!!

俺がやらねば誰がやる!!正義の精錬工クホルダー!!クホルダー!!


うた:○グレンのおにーさんと精錬工マッスルズ

作詞:ひ み つ


各地の精錬所で絶賛活動中!!
精錬所も、時計塔楽園計画に協賛しています。

49 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/17(木) 15:29 ID:qt/6yUpE
壁lω・)< …

壁lω・)b< GJ!! GJ!! バドスケサンカコイイ!>46

50 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/18(金) 09:49 ID:u2JfvW8M
クホルダー!!

51 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/18(金) 18:57 ID:w4/vHb82
壁lω・)< …チョッピリ、ナガクナリソウ。

壁lω・)ノ (駄文)

壁lミサッ

52 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/18(金) 18:58 ID:w4/vHb82
 1

 国境都市アルデバラン。
 南には、天を突くミョニル山脈を眺め、北には遠くジュノーの浮島が覗く地。
 一つの大きな時計台を取り囲むようにして、その街は在った。

 けれども、此処で語るは人の町ではない。
 大きな時計塔。人に忌み嫌われ、傷つけられ、それでも楽園を目指そうとする夢追い達の物語。


「みなごろーし、みなごろーし、一人ものこさねーぇ♪」
 そこは、遠く、歯車の音が聞える薄暗い通路。
 ふわふわと浮く、羽根付きカビ団子…パンクが、機嫌良さそうに歌を口ずさみながら、進んでいた。
 少し先からは、塔の外から差し込む光。外の人間達が、塔に入ってくる穴がある。

「レッツビギンさキリングタイム〜、とくらぁ。 …ん?」
 瞳の端に、妙な木箱が一つ映る。
 ふわふわと近づき、彼は中を覗く。

「…なんだぁ、こりゃ?」

 その箱の中には、茶色い毛玉が一つ。
 カビ団子は、生まれてこの方、時計塔から出たことなど殆どない。
 そして、時計塔にある書籍はその殆ど(エルダーが最近持ち込んだ♀職大全集(D何某編)など一部除く)
が難解…というよりも、時計塔管理者やエルダーぐらいしか読めないような代物である為、読書などもしない。
 よって、その物体は彼にとって初めて見るものであった。

「何かの生き物か…?」

 小さく丸まっているそれは、呟くパンクをよそに目を閉じたまま身じろぎ一つしない。
 浅く、呼吸を繰り返すそれは、彼の目からしてみても随分弱っているようだった。

「どうしたもんかねぇ」
 少しばかり、浮いたままパンクは思案する。
 何故こんな所で木箱に入っているのか知らないけれど、冒険者で無ければ排除するわけにもいかぬ。
 このまま放っておいては、塔を訪れる凶悪な人間が何をするか判ったことではない。
 けれども、彼はしがない見回り。そのうえ、この生き物の名前も知らぬ。

 ふわふわと、上下に浮き沈みして判断に窮すること暫し。

「そうだ!!ライドの姐さん連れて来よう」

53 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/18(金) 18:59 ID:w4/vHb82
「犬ね」
 本の前に展開された、理知的な女性のホログラフはきっぱり、一言で生物を判別した。

「多分、棄てられたんでしょう」
 そして、テーブルの上の木箱を覗き込みながら、そう付加える。

「棄て犬っていうやつか?」
 何処かで聞きかじった言葉を口にする。

「ええ、そうね。飼えないのなら、最初から飼うべきじゃないんだけど…」
 そうは判っていても、ついつい過ちを犯してしまうのが、人の性ではあるのだけれど。
 言って、浮かぶ本の前で幻影は腕を組みながら、こめかみに人差し指を当てた。

 ふわふわと無言のまま浮かぶ、カビ玉と本。

「…で、姐さん。この犬って奴、どうするんで?」

 言われて、幻影が目線を弱った子犬に落とす。

「…そうね。取り合えず、手当てをしてあげましょう。
餌をあげて、良く眠らせて、体力が戻るのを待って、この仔、どうするか決めましょう」
 そうしないと、死んでしまうかも知れないから。

 言葉に応じて、ぺちん、と敬礼するようにパンクが人間なら額に当る部分に自分の羽を当てた。

「合点承知の助っ。そんじゃ、俺はクロックじいさんや管理者の奴に知らせてくるからな」

54 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/18(金) 19:04 ID:w4/vHb82
壁lω・) < …

壁lω;) < ヤッパリ、ナガクナリソウ・・・ ツギカラハ、uプロダニアゲマス・・・

壁lミサッ <駄文失礼!

55 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/19(土) 01:19 ID:Tg.ulYDk
別にここでもいいと思うぞ
続き楽しみに待ってます

56 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/21(月) 05:05 ID:ko3/iegg
壁lω・)ノ(続き: http://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0147.xxx )

壁lミ

57 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/22(火) 15:17 ID:/aA1p5yc
ふと、思った。
我々が、今認識している時計塔は、全体のほんの一部に過ぎないとっ。
つまり、時計塔の本来の大部分は地下にまだ埋もれたままで、
そここそが、楽園計画にとって一番大切なんだ、と思ってみるテスト。

最深部にアノリアンがいなくなったのは、水没部から
時計塔深部探索にでかけたのかも。

んで、更に時計塔本来の姿は1000年前の大戦の折、
「楽園」の為の技術を後世に伝えるシュワの墓所みたいな場所か
別の惑星にミッドガルドから避難するための箱舟だったり、とか。

後、過去スレ見てて、
錬金術師がとんでもない名前であることの理由をでっち上げ。

つまり、昔のこと過ぎて正確な名前が伝わらなかったと、推測。
実際、ギリシャ神話のゼウスもジュピターなんて名に変ったりしてますし。

58 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/22(火) 15:22 ID:/aA1p5yc
後、実は時計塔管理者って、一番見つけて欲しくない部分を隠すために
時計塔のほかの部分に冒険者の注意を向けさせてたりして。

…うう。へんなSFっぽい電波ですみません。

59 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/23(水) 16:47 ID:ji4Oj5v.
壁lω・)< …

壁lω・)< …ヤッパリ、UPロダジャ、スレガサミシイカラ、ココニアゲルネ

壁lミサッ < ツヅキハモウスコシマテーネ!!

60 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/23(水) 17:37 ID:KD4mHPBU
56を読んだ。

管理人「…嘆かわしいですね、最近の若い連中は正しい受け答えも出来ないとは」
荒武隊長「……」
管理人「そう、直接返答を要求されるか許可された時以外、部下は発言権はありません、知っていますね?」
荒武隊長「イエス、サー」
管理人「それくらいのことを分かるように、部下教育を貴方に要求するのは、過大評価でしたか?」
荒武隊長「サー、ノー、サー」
管理人「それと、アイアイ、サーとイエス、サーの違いも重要です。しっかり復習させておきなさい」
荒武隊長「アイアイ、サー」

管理人「…まぁ、部下と隊長の関係にこのように上司が口を突っ込むのもあまりないことではあるわけですが」

61 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/23(水) 18:16 ID:ji4Oj5v.
OK、つっこみありがとう。早速くぐってみた

ttp://www.warbirds.jp/ansq/7/G2000197.html

ここの様な感じでいいのだろうか?
取り合えず、自分は

イエス・サー =>文字どうりに「はい、上官殿」

アイアイ・サー =>サイト引用で「命令を理解し、かつ、それに従います」

という風に、脳みそに格納しますた。

62 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/23(水) 20:24 ID:KD4mHPBU
Σ
いあ、そんな真面目にぐぐられるとただの海軍小説好きのしったか厨な私は困ってしまう。
アイアイは命令された時に了解する返答。ちなみに、命令拒否する場合の返答パターンは多分ない。
ありえないので沈黙するべし。命令拒否はマスト逝きだっ。

疑問系で声をかけられた場合はイエス、かノーにサー。
アイアイ、とイエスを間違えてぶんなぐられるシーンは、士官候補生が士官に育つ過程を書く小説では
かなりの頻度で出てきます。というか、真っ先に叩き込まれることの一つらしい…。

で、アレです。重箱の隅をつついてゴメンナサイ

63 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/24(木) 00:28 ID:uN6s4M9A
壁lω・) <アヤマラナクテイイヨー タリナイ、チシキノ ホカンニ アリガタイカラ

壁lミサッ <サテ、ツツキヲ カクゾー!!

64 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/24(木) 00:40 ID:Q0QlZB7U
お礼言うの忘れてたよ…コレジャ ジイシキカジョウナヒト ジャマイカ orz

突っ込みトンクス。知識の肥やしにさせてもらいまつ。

65 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/24(木) 04:35 ID:6FDgVMbc
壁lω・) < ……

壁lω・) < フクロウセンセイト、ジーチャンボウソウデ、ヨテイヨリナガクナターヨ

壁lω・)ノ(駄文)

壁lミサッ

66 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/24(木) 04:35 ID:6FDgVMbc
3.


 てくてくと、長い廊下を歩きながらアラームは、考えていた。
 荒武の言い回しは難しく、彼女の知らない言葉もあったけれども、
取り合えず、管理者のおじさん達が自分を呼んでいるらしい、ということは理解できた。
 ただ、その理由が彼女には思い浮かばない。

 いや、しばし考え込んで後、少女は一つの理由に思い至った。
 彼女が『着ぐるみ』を壊す回数が増えているのではないか、と。
 考えてみると、確かに最近、悪い冒険者に着ぐるみを壊される回数が増えた気がした。

『…どうしよう…』

 実際に数えた訳でもなく、その考えは杞憂に過ぎないのだけれど。
 しかし、彼女とて未だ幼い少女。一度掻き立てられた不安を自ら抑える術を知る筈も無い。
 勿論、四六時中何時だって誰にだっていい子に振舞ってはいられないのだ。
 一旦考え始めたが最後、どんどんと悪い想像ばかり膨らませてしまう。

 具体的に言うならば、目を吊り上げ、眼鏡をぴかぴか光らせて睨むオウル先生や
蒸気を頭の辺りから噴出して怒っている管理者を思い浮かべて、彼女は恐怖した。
 その背景は暗雲が立ち込め、遠雷がごろごろと鳴り響いていたりする。

『全く…貴方は何時も何時も機体を壊してばかりいて一体何を学んで(以下、延々と説教が続く)』

『このところ幾らなんでも壊し過ぎじゃよ。全く、ワシの身にも(以下、延々と愚痴が続く)』

『どうしよう、どうしようっ』
 一瞬思い浮かべた恐るべき光景に真っ青になる、アラーム。
 幾ら時計塔の一員として一生懸命に頑張ってるといっても、好き好んで怒られたい訳では無論、無い。

 途端、足取りは重くなり、呼ばれた部屋までの距離が永遠と同じくらい長く感じられる。

「うー…」
 回れ右。そして戦術的撤退を実行したい気持ちを必死で抑え、アラームは歩く。
 その歩みはピラミッドのミノタウロスよりも遅かったりするが。

 何時もの勉強部屋への曲がり角や、昼間、一緒に闘う皆が居る筈の談話室。
 バースリーが腕を振るう食堂を通り過ぎ、目的の部屋が近づいてくる
 勿論、憂鬱の度数もうなぎのぼり。じっとりと嫌な汗が手に浮かぶ。
 そして、そんな彼女は背後の不埒で悪いジジイに気づかない。

「おおー!! アラームたんじゃっ!! 待っとったぞ!!」
 ジジイ…新参にも関らずライドワード部隊に無断で秘蔵の写真集なぞこっそり追加しいの、
女冒険者にハアハアしぃのでこってりと時計塔の真面目な面々から絞られ続けたにも関らず、
反省なぞ皆無のエルダー老である…は、勿論、少女のブルーな心境なぞ一切知らぬ風に、大声で言う。突然に。

「わひゃぁっ!?」

「アラームたん。飛び上がっちまう程、ワシに会えて嬉しいかぁ」

 全く予期していなかった大声に、飛び上がる程驚くアラーム。
 一方、豪快に笑いながら、かさかさに乾いた手で少女の頭をなでる爺。

「え、あ、う…え、えと」
 頭をなでられるまま、にへらーと曖昧な笑顔でエルダー老に答える。

「取り合えず、それだけは違うと言わせてもらいます。エルダー老」
 そんな老人と少女に、部屋の中から現れた蒼でそろえた外套と山高帽を纏った一人の紳士が声をかける。

「う…」

「遅い。一体何をやっていたのだね」
 くちばしからは、目の前で萎縮する少女に対する容赦の無い言葉。
 彼は、梟の姿取る大悪魔。名を、オウルデュークと言った。

 そして、言うまでも無く少女が今現在持つとも会いたくない人物である。

 彼は、一度溜息を吐くと

「全く…私は何時も君に時間は大切にしろと言っているだろう。
人間の言葉を借りるのは癪だが、タイム・イズ・マネーという言葉もある…」

「は、はいっ先生!!」

 しゃきっ、と背筋を伸ばしたアラームを前に、また何時もどおりの説教が始まりかけ…
 
「梟のぅ〜、別にそれくらいいいじゃないか。アラームたんが可哀想じゃよ」

「エルダー老!! 貴方は何と能天気なことをおっしゃるか!!
それと…私のことは梟と呼ぶなと何度申し上げたら老は理解なさる!?」
 梟と呼ばれる事を、高貴な血筋の悪魔たる彼は我慢できない。
 怒りに飾り羽を逆立て、エルダーへと詰め寄る。

「私の名前は前に申し上げた筈!!」

「とはいってものぅ…なんじゃったっけ?」

 そんな怒れる悪魔を前に、老人力を発揮するエルダー。
 ぽりぽりと立派な髭を蓄えた顎を指先で掻き、暫し黙考する。

「思い出されましたか?」
 口元をひくつかせながら、デュークが言う。

「んー…デューク…」

「そうです、私の名前は…」
 なにやら思い出しかけたエルダーを前に、梟が言う。

「デューク・更家じゃったか」
 …その瞬間、隣で事態を見守っていたアラームは、
俯いているオウルデュークの蒼い外套が、一瞬、オウルバロンの様に紅く染まるのを、確かに見た。
 ゆらり、と彼の周囲の大気が見えない圧力に歪曲し、迸る魔力に金属の床板に亀裂が走る。

「あわ、あわわわわ…」

 まるで、ザ・ワールド。三者の時間は停止する。

「ク…ククククク…ククククククククク…」
 肩が、揺れる。漏れる様な笑い声にあわせて上下に。
 外套が揺れる。怒りのあまり、見境のなくなった魔力に。

「ん、違ったか? それじゃあ、デューク・東郷か?」

 ぷちっ、という擬音。そして 時は 動き出す

 一歩、デュークは歩みだし顔を上げる。
 そこには、笑顔。但し、それは怒りに歪んでいて。

「エルダー。私には、誇りがある。貴族として生まれ、貴族として生きてきた矜持だ。
お前は、それを汚した。完膚なきまでに汚したのだ。その罪を支払え。今すぐにだ」

「…ほげ?」
 しかし、悪くて不埒な老人は、それを惚けた表情で聞いていて。

「…………」

 その所業で遂に、彼はキレた。もう、全く見境無く。人間の言葉を喋ることすら忘れるくらい。

「クケェェェェェェェェェッ!!(訳:ぶち殺すぞヒューマンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!)」

「おわーっ!! 梟のがキレたわいっ!!」
 ローブのすそをたくし上げ、脛毛の生えた足を見せびらかせつつ、
エルダーは反転、全力疾走で敵前逃亡を開始した。
 ライトニングボルトが嵐の様に乱れ撃ち、デュークはエルダーを追いかける。

「………」
 そして、後に残されたのは土煙を立てながら走り去っていく二人を呆然と見送るアラームだけ。

「………え、えと…うん。取りあえず、呼ばれてるし行った方がいいよね」
 取りあえず、自分自身を納得させ、彼女はすぐ近くに見える目的地に向かった。

67 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/24(木) 05:19 ID:6FDgVMbc
訂正 ライトニングボルトが=>ライトニングボルトを

68 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/24(木) 07:26 ID:7V4cXlJw
ふと駄文を書いていて気づいたんだが、
アラームたんって12歳だよね。

つまり、一番、好奇心旺盛な頃な訳で。
(僕の場合はゲーム漬けだったけども)
それなのに、毎々日日Wizやらなんやら冒険者の相手。

んー、何というかアラームたん、やっぱし外の世界にも興味があるのかなぁ、
とか考えてみたりしているわけです。楽園一直線じゃなくて。

たまに帰ってくるバドスケの話を聞いて、
時計塔から出るわけにはいかないけど、
わくわくして眠れなくなるアラームたんとか。
禁止されてるけど、少しだけ無断外出しちゃったりとか。
それで、帰ってきたら管理者&デュークにこってり絞られてショボーンとか。

いや、一生懸命なのも可愛いですけど、
それだけだと、何というか…もったいないじゃないですか、と言ってみる。
何というか、もう少しわがまま言って
我を通したがってるアラームたんも見てみたいなー、と。

うう。駄文書きの独り言でした。
取りあえず、全部終わるまでガンガリまつ。

69 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/28(月) 18:52 ID:U/i62IAU
読んでる人が居るかどうかわからないけど業務連絡。
大学入学に伴い、引越しのためちょっと一週間くらい
これなくなりそうです。ご了承ください。

追伸:
諸先生方、こういった萌えスレでは、これが通常ペースなのでしょうか?
後、このスレは下げ進行でFAでしょうか?

70 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/03/28(月) 21:38 ID:U/i62IAU
後、深淵スレに投下した時計塔の深淵さんの電波を投下。
ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0148.xxx

71 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/02(土) 13:24 ID:ThqBhFhk
保守、ついでにここで点呼してみる。

72 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/02(土) 16:13 ID:qlMm3VKE

ほんと人いないな。

73 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/02(土) 16:17 ID:sGTBX8VM
ノシ

74 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/02(土) 16:18 ID:sGTBX8VM
OK,時に落ちつけ、漏れ。

75 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/02(土) 16:45 ID:ThqBhFhk
時に藻前等、職人を待つばかりではなく
我々も我々自身でアラームたん萌えを活性化させないか?

76 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/03(日) 16:45 ID:1T2kRwY.
>>75
ほう、たとえば?

77 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/04(月) 15:05 ID:eaKs3GSI
んー・・・自分はとりあえず駄文を書き続けます。
でも、PCがなかなか届かなくて原稿できててもPCに打てない罠.orz

あと、ネタを考え中………
時事ネタだとお花見シーズンだけど時計塔はどうなんだろう…
花粉症でくしゅんくしゅんいってるアラームたんとか…
自作の雛人形でひな祭りとか…
鳥骨諸国漫遊記とかかなぁ…
ライドねーさんや婆3さんを深くキャラクタを掘り込むテストとか。

でも、こういうことばっかり書いてると
駄文書きぐらいしかできない自分のオナヌーっぽくて嫌な罠。
兎に角、正直人数の少なさをなんとかしたいです…
他の文神氏とか絵神氏が光臨しないものか…


失礼しました。
以下、何事も無かったかのようにスレを続行してください。

78 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/05(火) 12:32 ID:CzwlMvwQ
後、いっそのこと劇薬覚悟でしばらくageてみる…というのは如何か。
人が居ないとにっちもさっちも動きようがないです。
もちろん、それが毒薬スレスレの劇薬であることは認識していますが。

79 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/06(水) 23:41 ID:vzlKyVWg
遅まきながらRom専 ノ

80 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/07(木) 02:20 ID:/UCAu9O.
Oh!こっちにあったのか!

あるとわかれば再び書くぞ!
配置変更の時に書き始めたものだけど!
…(´・ω・`)

81 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/07(木) 09:07 ID:9XWXcuHw
壁lω・)< ゼンゼンダイジョウブダトオモウヨー>80

壁lω・)< デモ、ココニアルノ シラナイヒト ケッコウイルノカナ・・・

壁lω・)< ソレハトモカク・・・

壁lω・)ノ(駄文)

壁lミサッ

82 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/07(木) 09:07 ID:9XWXcuHw
04


「ううう……」

 扉である。そう、憂鬱な呻き(がおーではない)を上げたアラームの前には扉があった。
 そして、少女には何やら、轟々と怪しげなオーラを放っているかの様に見えていた。
 それは『会議室』などとこの塔の住人達に呼ばれている室の戸である。
 また、管理人達が待っている場所でもあった。

「すぅ…はぁ。 すぅ…はぁ」

 二度にわたる深呼吸。そうである。この場所は今は敵地も同じ。
 だからこそ、落ち着かなければならない。
 精一杯の勇気を振り絞った突撃に、気負いや焦りは禁物なのだ。

「失礼します」
 息を整え、入室する。
 足を踏み入れたところで、アラームは目線だけを動かし、室内を見渡した。

 何時もの面々が大きな四角い机を囲んでいる。
 管理者。クロック。バースリー。ライドワード。パンク。
 三つの空きは、先ほど色々な意味で彼方へと走り去ったエルダーとオウルデュークのもの。
 それから、何処とも知れない空の下に入るであろう、詩人の席。

 だが。机の中央にでん、と見慣れない大きな木箱が一つ。

 一体、これは何だろう?
 アラームの視点は、箱に向ったまま停止。

 一般的な時間にしてそれは、僅か数秒ほどの出来事だったのだろうけれど。

「アラーム?」

 正確極まりない機械の集合である管理者からしてみれば、疑問の声を投げるのに十分な空白だったらしい。

「!!? ○■△★×〜〜〜!?」
 結果として完全に不意を突かれアラーム、驚愕。
 わたわたと慌てるも、一向に状況の解決に向わず。

83 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/07(木) 09:08 ID:9XWXcuHw
「アラーム、落ち着いてください」

「ご…ごめんなさい…」
 傍目からは表情の読み取れない…そもそも彼には人間の様な顔が無い…管理者の言葉に、
ようやく落ち着きを取り戻したアラームは、入室時よりも更に縮こまる。

「どうしたんですか? いやに元気が無いようですが」

「なんでもないよぅ」

「本当ですか?」

 こくり、とアラームは問いかけに頷く。

「まぁ、これ以上聞きませんが…体調を崩したら早めに言ってきなさい。
欠員補充や、荒武隊のスケジュール。クランプのオリデオコンの輸送スケジュールにも影響します。
なにより、貴方の同僚や仲間に心配をかけてはいけません。頑張るのは大変結構ですが。
兎に角、体調には十分気をつけ、決して倒れたりしないように。いいですね?」

「は、はいっ」

「…? 矢張り変ですよ、アラーム。早めに医務室に行くことを進めますが」
 
 怪訝そうな顔をする管理者に対し、一方の少女は…体の硬度をガチガチに保ったままだ。

「あの、管理者さん」

「?」

 戦況は極めて我が軍が不利であります。撤退を!!
 荒武隊長の声を充てた、絶望的戦況報告が脳裏に響き渡る。
 そして、彼女は覚悟を決めた。

 具体的には、洗いざらい罪状をぶちまけて、管理者に謝ってしまう事にした。

「ごめんなさいっ!!」

 言うか早いか、いきなり頭を下げる、アラーム。

「は?」

 しかし、それに返されるのは管理人の間の抜けた声。

「いや…何を、謝罪してるんです?」」

 その言葉に、今度はアラームが困惑する番だった。

 何を?自分が呼ばれたのは着ぐるみの事じゃないのか?
 それじゃあ、いったいどんな理由なのか?

 まるで、心当たりはなかった。

「え…あ…う…」

「いや、別に何も咎めたりはしませんよ。落ち着いて」

 その言葉に、はう、と色々な感情…半分は安堵である…が入り混じった吐息を漏らす。
 つまり、無用の心配をしていた、という訳であった。

「あ…」
 その後で、少女は一つの疑問にたどり着いた。

「でも、それならどうして私、呼ばれたんですか?」

84 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/07(木) 09:09 ID:9XWXcuHw
壁l< ナガクナッタ カラ フタツニ ブッタギッタンダヨー スグ、ツヅキモトドケルヨー

85 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/07(木) 09:51 ID:9XWXcuHw
それから、管理者の口調が変わってるのは・・・
仕様です。気にしないでください。

ジイサマコトバガ サンニンジャア サベツカガ ドウシテモ コンナンデ・・・ orz

86 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/08(金) 02:12 ID:cPeSHACI
昔って管理人は真面目口調だったような

87 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/08(金) 14:41 ID:I6QYeuWA
でしたっけ? タロットがおいてあるところのSSを参考にしたのですが。

88 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/09(土) 23:37 ID:HaQlRYjA
ttp://776.netgamers.jp/ro/cgi-bin/ss2/data/IMG_001862.jpg
隊長お疲れ様です

89 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/11(月) 10:01 ID:DbbnxvdA
表示されないんですが…

90 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/11(月) 10:03 ID:DbbnxvdA
壁lω・)< …ハジマルマエニ CM ダヨー

91 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/11(月) 10:04 ID:DbbnxvdA
 少女は、楽園がやって来ることを信じていた。
 けれど…

「あのね」

「皆が幸せになれる楽園なんて、最初からなかったの」

 ほんの僅かな齟齬。しかし、たちまち壊れた精密な時計の針は、逆さ巡りに動き始める。
 誰もいない楽園めがけて、堕ちる様に針は進み始める。

 嗚呼。けれども。

「だったら。それが最初からないなら。わたしは誰もいない楽園が欲しい」

 真っ白い顔と黒い髪。虚無が、細長い切れ込みを笑みの形に刻み込む。
 少女は、真逆となってさえ、楽園を目指していた。

「誰も、誰一人いない。穏やかで、優しい楽園がほしいの」
 神も人も。魔も。誰も彼もがいなくなった、楽園を。

『畜生…っ!!たった一匹に騎士団一師団が容易に壊滅とは…っ』
『化け物め!!化け物め!!化け物…ッ!!』
『プリースト!! プリーストは何処だ!?俺の…俺の脚がっ!!』
『神様…神様…っ!! クソッタレ…一度ぐらい、頼みを聞いてくれ!!』

 背には、機械を継ぎ接いだ翼。空っぽになった心には、真っ黒い液体をたっぷりと注ぐ。
 そして、手には剣。時計針の形の大きくて歪な剣。

『どうして、あの娘がこうなるのを止められなかったのだ、管理者!!』
『……言い訳はしません。ですが、今は目の前の脅威に対応すべきです。ダークロード閣下』
『トリスタン、それに神軍に至急連絡をつけるとしよう。非常事態だ…文句はないな、ダークロード』
『早すぎるユミルの復活。そして人と魔、更には神まで巻き込むか…バフォメット、まるで、1000年前の再現だな』

 振り下ろされる剣は、誰も彼もの首を刎ね。誰も彼をも分け隔てなく殺していく。

『進めーっ!!グラストヘイムの意地にかけても奴をジュノーに到達させるな!!』
『こうなってしまったのは残念だけど…絶対に、止めてみせるわ。アラームちゃん』
『…僕が相手だ。僕の子供達を、これ以上手にはかけさせない』

 嗚呼。けれども。進んでいく時計の針は、全てを等しくひき潰していく。

『…彼らには、犠牲になってもらうつもりでした。
後の世、我々がエゴだの、悪魔だのと言われようと知ったことではありません。
それでも私は絶対に、取り戻したい。私達は…』
『あの娘の家族、だ。 解ってる』

 こちこちと。真逆の楽園目指して時計の針は滑り落ちていく。

『貴様等は、これから最大の試練に直面する。
成功の二文字だけを脳に叩き込め!!いいか!!いかなる蛮勇も無謀も許さん!!
必ず、成功させるのだ!!荒武隊総員、最大最後の大仕事と思え!!』
『アイ・アイ・サー!!』
『征くぞ!!』

 誰も彼も。少女自身さえ死に絶えた楽園で。

『…荒武達や剣、皆が稼いだ時間を無駄にはできんぞい。梟の。オババ。クロック殿、準備はできたか?』
『最後まで、貴方は私を梟と呼ぶか…まぁ、今ぐらいはいいでしょう。準備はできてますよ』
『アタシら以外は誰も、あの娘を許さないじゃろうが…四の五のいってられんわい。アタシ等にとっちゃハナから取り戻す為の戦いじゃ』
『みなまで言うな、バースリー殿…さて、時計塔一世一代の大仕掛け…起動するぞ!!』

 その平らな地平を楽園と呼ぶ存在は何なのであろうか?
 …けれども、戦の轟音に、天をつんざく砲声に、疑問の言葉は掻き消され。

「あのね。アチャスケさん」

 楽園を、一途に少女は目指す。
 無数の矢と魔法を身に。無数の死体で、その道を固め

「やっとね、楽園、できたんだよ」

 人と魔と、神さえも死に絶えた大地。
 望みと引き換えに翼をもがれ、剣を折られて少女は、漸く、微笑んだ。

「あれ…おかしいよ。よくアチャスケさんの顔が見えない…
でも、きっと笑ってるよね。アチャスケさん、笑ってるよね」

 何もない。何処までも静かで穏やかな世界は続く。

『馬鹿だよ…お嬢は、馬鹿だ… 聞く奴のいない詩歌いに…何の意味があるってんだよ』

 ただ一人。詩歌いだけが。やっと微笑みを取り戻した少女を看取る髑髏の、死者の詩歌いだけが其処に。

「あのね…あちゃすけさん。こもりうた、歌って。すごく、眠いの」

『なっ…』

「それにね…きねんにききたい…やっと…」

『ああ。ああ。解った…解ったよ。だから、静かにな。
とっておきを歌ってやる。歌ってやるから…』

 だからせめて、俺が歌い終わるまでは、眠らないでくれ、アラーム。


 ……楽園。それは一体なんなのだろう?
 そこに、相争う存在など必要なのだろうか?
 白と黒は混じりあい、永久に続く灰色を作り出す。


 劇場版『時計塔物語_Bad-end』


 /主演:黒アラーム アチャスケ(バドスケ)
 /出演:時計塔の面々と、台詞から連想される何かな人々
 /監督:七誌乃伍ン之兵衛

 2006/4/1上映未定


 …少女は願う。ただひたすらに、楽園を。
 髑髏は嘆く。誰も彼もが居なくなった楽園で、たった一人。


 …モチロン、ゼンブジョウダンデス ホンキニ シナイデ クダサイ
 アト、イロイロゴメンナサイ・・・アタマノナカニ ヘンナコビトサンガ スンデルンデス・・・
サイシュウヘイキカノジョ オモイダシテタラ、ヘンナコエガ キコエタンデス・・・orz


92 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/11(月) 10:55 ID:REHe/.Vs
グッジョブだ、兄弟。お前の熱き想い、しかと受け止めたぜ。

93 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/12(火) 12:10 ID:4gMPmFRg
神光臨期待上げ

94 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/14(木) 02:27 ID:4r8eGTDI
こういうの大スk…

95 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/14(木) 12:28 ID:GoRhZSK2
壁lω・)<…

壁lω・)<ダブン ノツヅキ ダヨー

壁lミサッ

96 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/14(木) 12:29 ID:GoRhZSK2
壁lω・)<…

壁lω;)<CDニ ヤクノ ワスレテタヨー

壁lミサッ< イエニ モドッテ トッテキマス

97 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/14(木) 13:25 ID:GoRhZSK2
壁lω・)<タダイマー

壁lつ(駄文)

壁lミサッ

98 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/14(木) 13:26 ID:GoRhZSK2
5


「でも、それならどうして私、呼ばれたんですか?」

「ああ、それはですね。先日、一階フロア巡回中のパンクが見回りの途上、
冒険者進入口付近でその箱を発見し…」

 難しい言葉の羅列は、進撃のラッパを高々と吹き鳴らし始めた。
 だが…肝心のアラームは、というと。

「……」

 固まっている。いや、むしろラッパの音にくるくると目を回しているようだった。
 と、不意にこれまでふわふわと浮かぶばかりだったライドが、ため息を吐くようなしぐさを見せた。
 ゆっくりと空中を動き、少女の隣まで移動するとホログラフの女性は歩みを止める。

「つまりね、アラーム」

「ライドお姉さん?」

「…あのですね。私の話はまだ終わっていないのですが」
 会話に割り込まれた管理者は、ぎり、と頭に相当する部分を女性に向けると、少し抑揚に欠ける声で言った。

「まぁ、管理者や。ここは大人しく引っ込んどきな。
アラームが、お前さんの説明で目を回してるじゃないか」

「バースリーさん、そりゃああんまりですよ」
 
「あんまりなもんかい…ほれ、見といてみい」
 言って、バースリーは節くれだった指先で、アラームを指差す。
 そして、一言尋ねた。

「アラームや。さっきの説明、よく理解できてるかえ?」

「う…え、えとっ…出来てますっ……」

「嘘お言いじゃないよ。バレバレさね」

 尻すぼみに消えていった返事に、魔女は苦笑しつつ答える。
 同じく女性陣のライドも肩をすくめながら、その様子を見ていた。

「判りましたよ…」
 表情のない機械の顔に、管理者は不満そうな色を浮かべながら、渋々承知した。
 椅子に座りなおすと、彼はもぞり、と動いて居住まいを正す。

「さて…と、アラーム」
 そんな管理者を、すまなさそうに上目遣いに見ているアラームへ向け、女性が言う。

「ちょっと、この箱の中身、見てもらえないかしら?」

「えっ…でも…いいの?」

「大丈夫大丈夫。別に変なものじゃないから安心して」
 にぱっ、と安心させるように笑ってみせる。

「……」
 しかし、ライドが示してみせるそれは、正体不明の箱である。
 住人達を疑うわけではないけれども…どうにも、少女には未知の物体に対する本能的な不安が過ぎっていた。
 覚悟は決めた。おもむろに、アラームは机に近づき…恐る恐る、前のめりになりながらも上蓋に手を伸ばす。

 『わふ』

 …しかし、少女が中身を見るよりも早くか細い声で、箱が鳴いた。

「!?」

 『わふわふ』と、更に続けて二度。その鳴き声に促される様に、そっと蓋を持ち上げる。

「わぁ…」
 思わず、口から感嘆の声がついて出る。
 箱の中には、一匹の子犬が居た。茶色い、綿毛の様な毛並みで、敷かれた白く柔らかな布の上に伏せている。
 そいつは、自分に向けられた視線に気づいたのか…ゆっくりと頭を上げると、ふんふんと鼻を動かしながら、
潤んだ目を少女に向ける。一人と一匹の視線がぴったりと合っていた。

「……」
 ぱちくりと瞬きを繰り返すアラームと、じっとそんな少女を見ている子犬。
 机上に腹ばいになりながら……じっと、何をするでもなく見詰め合う。

「どうしたの?」

「あ、えと…… 本物の犬見たことなかったんです。
でも、ライドお姉さん。この子は?」

 名残惜しそうに子犬から目をそらすと、物問いたげな目で女性を見る。

「そう。その仔のことで今日は呼んだのよ。パンクが、一階で見つけてね」

「ワシ等だけじゃなく、アラームの意見も聞こう、とライドさんが言ってのう」
 ライドワードの言葉に、クロックがそう付け加える。

「私達だけで決めるのも横暴ですし…ちなみに、貴方を呼ぶ前に多数決をしたんですが、
棄権…というか、舌戦途中で退出ですか…を含めて、丁度半分半分で決着がつかなかったんですよ。
バースリーさんは、アラームと一緒でいいと仰いましたし。因みに、棄権されたのは…」

 管理者が、言いかけたその時だった。

「クケーッ!!」「おわーっ!! おわぁぁぁーっ!!? ろ、ローブに火が付いたぞいっ!!」

 ドアの向こうから鶏の如き怒声と、緊迫感に欠ける老人の悲鳴。それから、ひっきりなしに轟き続ける雷鳴。
 そして、流れライトニングボルトが、部屋の扉を真っ二つに砕き折るにいたって、管理者が再び口を開いた。
 なにやら、ぎしり、と錆びたゼンマイを無理やり動かしたかのような様子であった。

「…言わなくても、判りますね?」

「う…うん」

 確かに、これならば仕方がなかった。
 というか、横から口を挟みたくなるような状況ではなかった。

「話、元に戻していいかしら?」

「ええ。構いませんよ」

 各人を代表して答えた管理者の言葉を受けて、ライドワードはこほん、と一度咳払いをする。

「さっき、管理者さんが言った多数決っていうのは、この仔を塔におくか、
それとも、人の町においてくるか、っていうのを決める為なの」

 一度言葉を切る。

「アラームは、どっちがいいと思う?」
 まっすぐ、少女の目を見据えて言った。

「……」
 まっすぐに目を見つめられ、アラームは考え込む。
 即答はしない。うー、という呻きにもにた小さな声が零れていた。
 たっぷりと、数分はそうしていただろうか。おずおずと、アラームの片手が上がる。

「私は………」

 その場に居る全員の視線が、少女に集まる。
 くぅん、と子犬が鳴いた。

「この仔のこと、放っておくのはいけないと思う」

「どうして?」
 再び、女性は問う。

「……」
 答える事が出来なかった。
 自分自身の判断を肯定する理由が、ぼんやりと浮かんではいるのだ。
 それを意味のある言葉にくみ上げる事が出来ないだけ。
 残念ながら、アラームはその為の冴えた言葉を知らなかった。

「いい?よく聞きなさい」

少女は、こくりと頷いて応える。

「この仔を放っておかないってことは、言い換えればこの仔の世話をする責任を持つってことよ?
ご飯をあげたり、散歩してあげたり、しつけだってちゃんとしなくちゃダメ。
生き物だから、もっと色々な問題だっておきるかもしれない」

 真剣な目で、ライドはアラームを見据える。

「あなたは、それが出来る?」

 矢張り、すぐに返事は返らない。
 アラームは俯き、しかし、答えを紡ごうと懸命に言葉を捜す。

 そして、小さな唇が、微かに震えた。
 俯いていた顔が持ち上がり、ライドワードの瞳を見つめる。

「だって…」

 不器用で、拙い。
 けれど、それは何処までも真っ直ぐに、心のままを顕して。

「この仔には、傍に…誰も居ないもん。一人ぼっちで、お腹がすいてて、寂しくて…
そんなの、絶対駄目だもん。私だって…誰もいないなんて、いやだもん」

 部屋にいる誰も彼もが、黙ってその言葉に聞いている。

「出来るもん。絶対出来るもん…絶対、そんな悲しい事はしたくないもん!!」

 最後は、殆ど叫ぶ様にしてアラームは訴える。
 それきり、少女は口を再び閉じた。

「アラーム」
 涙を目を潤ませて、自分を見ている少女にライドは一度だけ、目を瞑りながら息を吐く。

「ごめん。如何しても必用な事だったけど…ちょっと、厳しい言い方だったわね」
 アラームは首を横に振って応えた。

 不意に、これまで黙って事の経緯を見守っていたクロックが、椅子から浮かび上がる。
 そして、立派な髭を蓄えた老人の顔が言う。

「さて…それじゃあ、多数決は賛成で決まり、じゃのう」

 そして、その言葉の直後。一際大きい遠来が、遠く響き…そんなことはともかく、結論は下された。


 尚…しばらくして、時計塔の隅の方で、程よく焦げたエルダーが、
これまた別のパンクに発見されたのは、全くの余談である。

「……」

「げほっ…ごほごほ…梟のも、もうちっと老体をいたわらんかいな」

「……」

「…なんじゃいカビ球、その目はっ」

「…………」

99 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/15(金) 12:05 ID:weMNj1Ks
時に藻前様方に質問なんだが、
自分の駄文ばかりがスレを占有してる状態なんだが…
雑談とか萌え話しにくい、とかそういうことはないか?

なければ、このまま続けるが…
いや、いい加減自分の書き込みばかりが目立ってきたもので。

100 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/15(金) 17:38 ID:aSNnHJTU
なに、問題などあろうものかね。
いわばここは酒場のような物、引っ越しのどさくさで常連の多くが見失ったものの、
まだ客はこうしてきてるじゃないかね。
かつてのように曲(物語)を奏でる者は多くはないし、それに声を上げる名無しの客達も多いとは言えないが、
それでもこうしてここに在るのは悪い事じゃああるまい。
少なくともあんたの曲、おいらは好みだし頑張って欲しいとも思ってる。

101 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/16(土) 17:31 ID:mCrDrTU2
了解。頑張ります。

102 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/16(土) 18:33 ID:mCrDrTU2
というか、つまりこのスレは、
静かに呑むバーみたいな感じ、というわけですか。
雑談で恐縮ですが。

103 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/18(月) 13:28 ID:Z/kq58Ys
壁lω・)<…

壁lω・)<オリキャラ キライナヒトハ スルー シテネ

壁lつ(駄文)

壁lミサッ

104 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/18(月) 13:28 ID:Z/kq58Ys
6

 そこは、時計塔のある町だ。名は、アルデバランと言う。
 町中に水路が張り巡らされた、静かな町。ぱしゃぱしゃと、船を漕ぐ櫂の音が、風車の軋む音と遠く重なり合う。
 その町の狭い通りの一角、石畳の上を男が一人、進んでいた。

「もう少しか…久しぶりだな」
 呟き、彼は両脇の建物に、四角く切り取られた空に在る、時計塔を懐かしそうに見上げた。
 何とはなしに愛用の古いギターへと手を遣り、そしてまた、下げる。
 彼の顔には仮面。頭には、ターバンの様に巻かれた薄青の頭巾。

「……?」
 声が聞こえた気がした。複数。
 若い男が数人と、子供…少年だろうか?が一人。

 男は、立ち止まり声のした方を向く。
 彼の耳が示すとおりの、言い争う集団が、そこに居た。
 屈強…とはいかないものの、それなりに経験を積んでいるらしい冒険者が数人と一人の少年。

「んな端金で、そんな危険な頼みなんて聞けるかよ」
 そのうちの一人…珍しくも、前をきっちりと止めたシャツを着た細身のブラックスミスが、呆れた風に言った。

「何だよ、このケチ!! 俺の小遣い全部なんだぞっ!!」

「ケチも糞もねぇよ、ガキンチョめっ。いいか…?100zじゃ今時、肉も満足に買えねえ。
物事には、相場ってもんがあるんだよ。俺だって、よーーーーーっくそのへんは勉強したもんだ」

「うるさいやいっ!! 偉そうに言うなこのオッサン!!」

 ぴしり、と鍛冶師の額に判りやすい青筋が浮かぶのを男は見ていた。

「あらあらまあまあ…オッサンだってさぁ。まぁ、あんた確かに悪人顔だしねぇ。
それにしても、子供に対してその言い方はないんじゃない?」
 PTの中の一人、妙な口調の男ハンターが言う。
 頭には、花の髪飾りを一本、咲かせていたりもする。

「うるせえ、このカマ野朗!!俺の後ろに憑いてくるなっ!!
というか、そこなガキンチョ!! 誰がオッサンだっ、ホルグレンばりに修正しちゃる!!」
 不穏当な事を言いつつ、襟元をつかもうとする、鍛冶師。
 しかし、ばっ、と真横に跳んで伸びてきた手をひらりと避ける。
 …中々の、俊敏さである。

「俺の犬探してくれない奴なんかの言うことなんてきくかーっ!!」
 大声で叫ぶや否や、身を翻し、走り出した。

「あ、コラァ手前ぇっ待てっ!!」
 鍛冶師も、それを追いかけ…

「待ってなんかやるかよーっ!!」
 少年は後ろを振り向き、あかんべーをしつつ、走るが…

「こっちまで来てみやが…うおわぁぁっ!?ど、どけーーーーーっ!!」
 目の前に、高速で迫る…というよりも直線上にいた男に気づかなかった。
 軌道修正すべく、慌てて無理やり体を捩ろうとする。

「……」
 一方の男は無言でひょい、と後ろに一歩下がった。
 その唐突な動きに少年は、一瞬思考が空になる。

 少年は、全力疾走していた。これは前提だ。
 続いて、全く注意が散逸した状況に遭遇した。
 そして、この三段論法が示す結論は。

「のうっ!?」
 一声。地面に出ていた出っ張りにつま先を引っ掛け、どべしゃっ、と躓く。
 勢いあまって、ゴロゴロと転がり…尻を上に向け、ひっくりかえった状態でようやく停止。
 そのまま全く動かなくなった所を見ると…どうやら気絶しているらしい。

「ったく…てこずらせやがって…観念しやがれ!!」
 後ろの襟を掴み、猫を持ち上げる様にして少年を引きずり上げる。

「ああん…それじゃ、悪者みたいじゃない。もうちょっと、優しく言ったらどう?
なんていうかしらん…そう、囁くみたいに」

「喧しい!! 鳥肌立つから擦り寄るなぁぁぁぁっ!!」

「あら、つれないわねぇ…この、い・け・ずっ♪」
 つん、と男ハンターが鍛冶師の首筋を指でつつく。
 ぞわ、とその部分を起点として一斉に鳥肌が浮かび上がった。

「止めろ貴様物欲しそうな目で俺を見るなそれ以上続けると埋めるぞごるぁ!!」

「産める…? そんな…受けなら受けと早く言えば…愛ってすばらしいわぁっ」

「黙れぇっ!!」
 絶叫と同時に放たれる拳は、がこんと顎を捕らえ、男性から両性?へと進化していたハンターをものの見事に吹き飛ばした。
 くるくると錐揉みしながら宙を舞い、重力に従い落下。ずがん、と敷石に打ち付けられた頭が小気味良い音を立てる。

「痛いわねぇっ、何するのよっ!!」
 しかし両性類はへこたれない。がばっ、と立ち上がると何事もなかったかのように鍛冶師に怒鳴り返す。
 目を回した少年を片手にぶら下げたまま、ぎゃあぎゃあと言い合う二人。
 後ろでは…もう一人の冒険者…女性の聖職者である…が、諦めたような表情でハンターにヒールを掛ける。
 その行動一つとってみても、彼女がこの二人に関わらない方がいい人間だと理解できる。

「…あー、お二人さん?」
 ややあって、プリーストに心中で同情しつつ男が二人に声をかける。

「何だっ!?」「あら、なぁに?」

「いや、単純なことだが…少し、落ち着いたらどうだ?」

 男の言葉に、その二人は、お互いの顔を見合わせ…
それから、仮面の男に視線を遣り、漸く口を閉じた。

「…すまん。ははは…俺、今年で22にもなるのにな」
 鍛冶師は、ようやく正気にもどったのか間が悪そうな様子で言い、
プリーストも何とも申し訳なさそうに頭を下げていた。

「それはいいんだが…少しいいか?」

「?」
 不思議そうな顔をし、小首までかしげて両性類が男の方を見つめる。

「う…いや、その子供の事だが…何かしたのか?」
 その視線に、思わず半歩後ずさりつつ、尋ねた。

「ああ、こいつ?」
 ひょい、と片腕に提げた少年を示してみせる。
 男は、頷いてそれに応える。

「そこに居たんなら見てたろう?いきなり…」
 途中で言葉を切り、提げた方の腕を軽く揺らしてみせる。

「こいつが、知らない間に棄てられた犬を探してくれってせがんできてなぁ…100Zで」
 けどよ、大体、俺みたいな貧乏ブラスミが一月どれくらい食費削ってるのか判ってるのかよ…とか
全然レアは出ないし、扱ってた商品が急に暴落するし、週に一回はテロに巻き込まれるし、毎日昼飯抜いてるんだぞ…などと、
悲しい独り言が、鍛冶師の口からはブツブツと漏れている。

「なるほど…」
 一方の男は、悲しい呟きに気づかないふりをして頷く。
 賢明な判断であった。

「馬鹿ねぇ。日々、理不尽な不幸と戦うのがあなたのライフワークじゃない」

「そんな腐った人生死んでもいやじゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
 鍛冶師が喚く。プリーストが、重い溜息を吐いていた。

 と…吊り下げられていた少年が、もぞ、と体を微かによじる。
 う…ん、と微かな声。どうやら気がついたらしい。
 …しかし。

「なーーーーっ!! 離せ離せ離せーーーーーっ!! この幼児(放送コード)!! ショ○×▼野朗ーーー!!」
 気がつくか早いか。少年は正しく、野良猫の如くに暴言を吐きながら暴れまわる。
 最も…吊るされた状態である。手足をばたばたと振り回し、身体をよじったところで、
右へ左へ、ぶらぶらと親猫にくわえられた子猫の様にゆれるだけであるが。

「まぁ…おマセさんね」

「お前な…」
 頬に手を当て、艶めいた様子で感想を述べるOh-ハンタに、鍛冶師は呆れたように呟く。

「変な仮面のオジサン!! 仮面被ってるなら見てないで助けてよっ!!」
 少年は、矛先を男に向け、叫んだ。

「…そうなのか?」

「そういうものだよっ!!1+1=2と同じくらい明らかだっ!!
っていうか、今すぐ助けろーーーーーーっ!!」

「ふむ…」
 顎に手を当て、一瞬考え込むような様子を見せる。

「何考えてるのさうすのろーっ!! はやくしてよっ!!」
 そして、彼は結論を出した。

「鍛冶師さん、どうぞ。存分に灸を据えてやってください」

 少年の顔の中で、顎がすとんと垂直落下した。

「OK。任せとけ」

 片腕に少年をぶら下げたまま、鍛冶師と連れの二人は歩き始め、逆の方向へと進んでいく。
 『馬鹿やろーーー!!裏切り者ーーー!!それでも仮面つけてるのかーっ!!』などと叫び声が背後から聞こえてくるが、それには構わない。
 一度、軽く息を吐くと彼は時計塔へ再び歩き始める。

 塔の向こうの爽やかな空には、綿雲が静かに流れていた。

105 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/20(水) 12:26 ID:oYZh0K06
まったりとした流れですなぁ…
アラームたんも、春の陽気にひなたぼっこでもしてるのだろな。

106 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/22(金) 12:19 ID:tFls6RS.
保守

107 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/24(日) 04:22 ID:QN7BXGlA
ヾ(・з・)ノ"

108 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/24(日) 22:58 ID:pEy9g.to
ttp://happy-honey.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/joyful/img/354.jpg

109 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/24(日) 23:05 ID:yqyGsDSo
>108
>2
名前消しときなさい。ツール利用バレルヨ

110 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/04/25(月) 15:40 ID:GTS7gVVg
 流れをぶった切って藻前様方に、SoundHorizon著「Elysion」というCDを薦めて見るテスト。
 楽園つながりでGOです。

 尚…聞けばもれなく、鬱になれる効能があります。
 ですが、いい曲です。オススメ。

 後、某スレでのクロスオーバー?に、出演許可賜りたく。
 物が物故、一応許可は必要かと思った所存。
 スレの所在地は下に。

バトルROワイアル:ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1103880460/

111 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/06/08(水) 15:14:31 ID:RXWH5GKE
8('A`)8

112 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/29(金) 13:12:31 ID:BvzXIe66
配置変更でアチャスケさんが戻って来てくれてたらなー…

113 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/31(日) 05:24:18 ID:yK5XcVgQ
アラームたんは今でも待ち続けてるんだ。俺達も待とうじゃないか

114 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/08/06(土) 20:05:58 ID:BeKLOuc6
アラームタンまだあったんだね
保存してある絵でちょっと復習してくる!

115 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/04(日) 04:01:29 ID:1wznz8/6
壁lω・)


壁l 某ロワスレひと段落したからこっちに戻ってきたよー
   妙に過疎ってるけどただいま、時計塔。

116 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/04(日) 12:55:08 ID:11dme81g
日本独自仕様がはっちゃけてるのはわかったが、
「アラームたん12歳」ってmobを実装するのはどうかと思った。
ってここに情報何か乗ってないかと思ったんだが過疎ってる?

SSも撮った。myWiz娘のFWに焼かれて悶えるところだが。
ついでにどうやら経験値も普通のアラームより多めっぽ。

117 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/04(日) 16:19:30 ID:OntzUplE
>116
>2
いい加減既出過ぎ。ツール利用告白乙

118 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/06(火) 12:49:46 ID:7I1BGpfM
>>115
(*´∀`)おかえり

>>117
きっと釣られてる

119 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/06(火) 13:43:23 ID:tpdNhzAs
萌えの心を持つ者が不正をしちゃいかんなぁ( ´Д`)y━~

120 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/08(木) 14:51:35 ID:Xz6VTZIc
帰還記念にアラームたんと時計塔で握手してきた。
何故か、たたき出されましたがorz

矢張り、ログ娘だとイロイロと相性が悪いのだろうか…?
教えて時計塔の兄弟達。

121 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/19(月) 00:52:46 ID:dL4OKiuA
時計塔スレが静かで寂しい俺ガイル。

122 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/27(火) 15:31:04 ID:9GJW81tA
久しぶりだ…。
LiveROからこんなとこにきていたのか。
1年以上も見ていなかったからどうなったのかと思っていたが、ロワとかを見る限りまだ好きな人はいるんだなあ。
また投下するかもしれないから、そのときは生暖かく見守ってくれい。
じゃあ、またくる|ω・´)

123 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/28(水) 16:59:15 ID:XHXxQuNI
バドスケさん・・・貴方何時の間に別の世界に行ったんですか・・・

ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0149.jpg

アラームたんが悲しみますよ

124 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/28(水) 16:59:26 ID:XHXxQuNI
バドスケさん・・・貴方何時の間に別の世界に行ったんですか・・・

ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0149.jpg

アラームたんが悲しみますよ

125 名前:>123 投稿日:2005/09/28(水) 17:04:05 ID:XHXxQuNI
エラー出たから書き込まれてないと思ったのに…すいませんorz

126 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/28(水) 22:04:08 ID:RX3NtoSI
小説投下ってそのまま文面のっけても大丈夫ですかね?|ω・`)

127 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/28(水) 22:04:47 ID:RX3NtoSI
ageてしまった…_noゴメンナサイ

128 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/28(水) 22:27:20 ID:B9gzgPcA
mabinogiコター

129 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:08:34 ID:FcA1itgA
返事がないのでのっけるだけのっけてみようと思います|ω・`)
再活性を願って。

130 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:10:03 ID:FcA1itgA
 首都プロンテラのお膝元、港町イズルード。この街からしかいけないイズルードダンジョンは中級者が鍛錬するにはうってつけの場所である。そうガイドブックに書いてあった。なるほど、なり立てらしき2次職がカプラに群がっている。大体こういうガイドブックにはその地域のマイナス要素なんてのは載せない。当たり前といえば当たり前だし有名でもあるから言わなくてもいいことなのだが、イズルードダンジョンは『機械』の巣窟でもあった。それに実際カリカリきてる人間も少なくない。でも、ガイドブックに書いてあることは間違ってはいないからこの少女のような冒険者は後を絶つことはない。
 赤いコートに扇情的な網タイツ。栗色の髪の毛をノービスカット(美容院のお姉さんはそう言って、よく似合うと褒めてくれた)にした少女にはその格好は少しアンバランスで、他人が見るとどうもその童顔では一部のロリータフェチの人間を興奮させてしまうだけにしか思えないのだが、少女はこれが大人の悪党の格好だと信じきっているようだった。
 何故少女が「大人の悪党」なんかを意識しているのかという明確な理由はない。しいて言えば「それがカッコイイ」と思ったからにすぎないだろう。そばにあったベンチに座り、そこそこ愛用して柄が少し黒ずんだダマスカスを手の中でくるくる回しながら少女はまたガイドブックに視線を落とした。その仕草は子猫が丸い石ころで遊んでいる姿を彷彿とさせたが、それを指摘すれば彼女は機嫌を傾けてしまうに違いない。
 ガイドブックには海の幸の素晴らしさとリーズナブルさが前面に押し出されていて、少女の知りたかった冒険者用の安くてツケのきく宿泊情報などが少しばかり欠けていた。本来ならここでギルドの人間を頼ったり、カプラからの支給品で友達にWISコールなりをすればいいのだろうが、少女にはそういう人物に心当たりはなかった。唯一の家族である兄は行方不明だし、大体その兄を探すために旅をしているのだ。ならば、少しばかり財布に相談して旅行者用の宿に泊まってしまえばいいとも考えたが…

「どうしよう、駄菓子も買えない。」

 そう声に出しても何も変わらないのだが、そう声に出したいほど彼女の懐は寒かった。ガイドブックだって拾ったものである。裏表紙に定価1500zと表記されている、このガイドブックを読み捨てられるほど余裕のある人間が自分と同じ空間にいると思うと泣きたくなった。

「こんなことなら転職のときあんなにお金使うんじゃなかった…。」

 今更嘆いても詮無いことなのだが、コモドの少し背伸びしたホテルでこれからの2次職生活に胸をときめかせていた自分が憎くなってくる。今の自分は鏡を見ないほうがいいな、と少女は思った。

131 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:10:38 ID:FcA1itgA
 少女がひもじさに打ちひしがれ、空腹をもてあましているとどこからかギターの音色が響いてきた。それは鼓膜と同時にすきっ腹にも響くために彼女の機嫌はすっかり傾いてしまった。顔を上げると小さな人だかりができており、その中心に逆恨みではあるが、不機嫌の原因があった。
 まず印象に残るのは仮面だろう。白くいかついそれは何かのモンスターをかたどったものだと露店の売り文句にあった。頭を覆うバンダナにやたらと細身のシルエット。雰囲気の割りに若い声。そして違和感。だが、少女の目を引いたのはそのどれでもなく、おひねりとしてギターケースの中に放り込まれたzeny紙幣だった。

「(いいなあ、あれだけあったらしばらく食いつなげる…。)」

 気づくのが遅かったかもしれない、そういえば彼女はローグなのだ。成り立てとはいえ。ということは、得意とするのは窃盗だとか恐喝だとかいう物騒な手段だろう。力なさそうな詩人をひねるだけの仕事効率のよさは今の彼女にとってはまさにうってつけの方法に思えた。
 盗ろう。少女は奥歯を強く噛み締めて決心した。だってそうしなければ自分はこのまま飢えて死んでしまうかもしれないし、大体悪党になったのだからそれくらいできなくてどうする。よくよく考えればもっとマシなやり方がいくらでもあったのかもしれない。だがまあ、人が堕落する順路としては順当。後は詩人が歌い終わり、一人になるのを待つ。そうすれば少女には荒んだ悪党としての未来と今夜の暖かく幸せな寝床が待っているのだから。
 少女は待った。その間詩人が歌っている詩を聴いていた。お金は必ず払うわけじゃなさそうだったからだ。題目は御伽噺だった。その楽園があれば自分もこんなこと考えなくてすむのかとぼんやり思ったが、現実逃避よりも今の飢えを収めなければならない。
 やがて詩人の詩は終わり、人々は自分たちのあるべき場所へと帰り始める。辺りは夕闇に包まれ、人影も少なくなってきた。少女としては仕事をやるためのお膳立てが勝手に整っていく気がして、逆に不安になってしまうというのが正直なところだった。彼女の、やはり子猫を思わせる瞳がくるくると周囲を見回す。自分も素敵なホテルに帰りたかったがそんなものは用意されていないので、街灯の下にぽつんと立っている詩人にこっそりと歩み寄る他なかった。
 ハイディングの技術があるので、気づかれはしない。はずだった。後ろまで回りこみ、飛び掛ろうとかまえたところで彼はゆっくりと彼女のほうに振り向いた。仮面の奥で光が強く揺らめいている。

「何か、用かい?」
「…いえ。」

 まさか初っ端から躓くとは思っていなかった少女はどうにも返答できずに固まった。詩人は微動だにせずに少女に質問を続ける。

「じゃあ、強盗? 刃物がちらついてる。」
「…そんなとこ。」
「そうか、悪いが他を当たってくれないか。」

 ここではいそうですかと退けるわけもない。考えていた悪党らしいセリフを思い出しながらすごむ。

「こっちこそ悪いけど、持ってるお金全部出して欲しいのよ。お腹空いちゃってね。」
「そうか、ピザくらいならおごるけど。」

132 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:11:12 ID:FcA1itgA
 何故こんなことになったのだろう。わからないが今、少女の口内はピザに占領されている。存分に味わったそれを嚥下し、すぐさま次の一切れをとっては口に運ぶ。炭火にとろかされたチーズにふんわり包まれたピザソースと、ジリジリ音を立てるサラミにまぶされたバジルの香りがこんなにも熱く、食欲を刺激するのは彼女には初めての経験だった。
 隣で半ばあきれたように(表情はわからないがきっとそうだ)それを眺めている詩人におごってもらったものだ。

「よく食べるな、見ていて満腹になってきた。」
「ここんとこ、リンゴくらいしか、食ってなかった、のよね。」
「食べてから話すといい。」

 少女は1枚まるまる食べ終えてからこいつを襲うことにしてよかった、と心から思った。そして礼を言うのを忘れていることを水を飲みながら思い出した。

「ありがと、助かったよ。」
「礼なんていらない。どうせ俺には使う当てのない金だから。」
「それでも礼は言わないと。兄貴に昔からうるさく言われててね。言わないと落ち着かない。」
「いいことだな。」

 詩人の仮面からは表情が読めないが、目の奥にある光が揺れたりするのでなんとなく感情はわかる。

「それにしても、何であたしみたいのにピザなんかおごってくれたんだい? 強盗に一目ぼれ?」
「俺にロリータフェチはない。…妹…に似ていたんだ。」
「妹さんねえ。あたしそこまで幼いわけじゃあないんだけど。」
「まだ15、6ってとこだろう。十分に子供じゃあないか。」
「正確には17歳と3ヶ月よ。」
「変わらないさ。細かく年齢を気にするのは意識が若いってことだ。」
「アンタそういうとこあたしの兄貴にそっくりだよ。」

 一通り話してから、詩人はなんと少女に宿泊施設情報と宿代までくれた。この骸骨のような詩人が悪運の神様か何かに見えてくる。少女が最初に感じた違和感などはすっかり過去のものだった。
 彼女は絶対に宿代とこの借りは必ず返す、と悪党らしいセリフを言いながら走り去っていった。後姿に完全返済までは付き合おう、と約束した。ホテルの部屋はまだあるだろう。詩人はふと時計塔の方角を見た。アラームは、あいつらは、俺の家族たちは元気だろうかと。

「(楽園を創る…そのためにはきっとあいつらだけじゃだめだ。だから力を借りないと。誰かの、力を。)」

 詩人の旅の中でこの物語に共感を示す者は少なからず、いた。だが足りない。一度諦めた物をもう一度最初から作り直すには不充分すぎると彼にはわかっていた。

「(アラームに嘘をついてまで出てきたというのに、これか。)」

 アラームもいつか詩人の言葉が嘘だったと悟るときを迎えるだろう、彼はそれを何よりも怖がっていた。恐れていた、などと言うと何か違う。怖がっていたのだ。母親に嫌われたくない子供のように、ただ震えているだけの犬のように、彼はアラームに否定されることを忌避していた。
 だからこそ彼の心はその長い旅の途中決して折れる事がなかったと言える。アラームがまだ自分を信じてくれているのだと、信じ込むことによって彼の心は守られていたのだから。
 彼は、強くて弱い愚者だった。ただここでわかってほしいのは彼が決して気取っているのではなく、彼自身気づかないうちにそうなっていたということくらいだ。

133 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:11:50 ID:FcA1itgA
 イズルードに滞在している間、少女はイズルードダンジョンに通い詩人に宿代を返し続けた。しかし、少女の宿代・移動費はかさむわ、ひよっこローグでは大して稼げないわとほんの少しずつしか返していくことはできない。でも、それでよかった。友人のいない少女はこの奇妙な詩人と話す時間が嫌いじゃなかったし、詩人もどこか懐かしく居心地のいい時間を楽しんでいた。彼女には詩人が話す昔話の妹が、少しうらやましかった。
 さて借りは少しずつ返されていくが、返し終わることは詩人との別離を意味する。少女には詩人の詩や話がもはやこの上なく大切なものになっていた。いっそ旅について行こうか。街を渡り歩くだけだろうし、きっと足手まといにはならないはずだとまで彼女は考えはじめていたくらいだ。
 2週間ほど経ち、そろそろ全額返済となるはずだった。詩人はいつもの場所でいつもどおり詩を歌っていた。本当にいつもどおりだったから気づかなかった彼に責任はない。誰も予想なんてしなかったし、できなかった。だからこれは仕方ないこのなのだ。
 イズルードダンジョンで大規模な枝テロが発生し、進入禁止の警告が出された。もちろん、それまで中にいた冒険者の安否はわからない。ただ、あのモンスターの数で生きていられる人間がいると想像するのは難しいだろう。それを彼が知ったのは発生してから1時間ほど経ってからだった。
 ここから先のことはあまり語るべきでもないかもしれない。彼の性格を知っている人間ならば皆容易に想像がつくからだ。彼は召喚されたパニックで荒ぶり、津波のように押し寄せるモンスターたちの頭上を飛び越えイズルードダンジョンを駆け巡った。彼が少女を発見したとき少女は奇跡的に生きていた。健康的に細かった腕が千切れかけ、不似合いに赤かったコートは黒く汚れていたが、少女は紛れもなく息をしていた。
 詩人が彼女に駆け寄ると、彼女は昼寝をしていた猫がこちらを確認するように少しだけ目を開けた。摩擦の少ない、震える手で少女にポーションをかける。これがピクニック程度の狩りであったなら、なんだか白いと卑猥だと言って笑っただろう。

「ああ、アンタ、やっぱり、きてたのかい。」
「喋るんじゃあない。今喋ったら痛いぞ。」
「次でたぶん、借金は全部、返せるだろ? もうチョイ、待って。…だけどさあ。まだ、なんだよ。」

 うつろな表情のまま囁く。傷は治ってきているのに、まるで肺病病みのように咳をする。

「借りがさ、まだなんだあ。」
「喋るんじゃあないって言ってるだろう。」
「だから、手伝おうと思ってさ。か、荷物もちくらいなら、できるだろお。」
「後で聞くさ、だから。」

 傷がある程度塞がり、負ぶっても腕が千切れてしまわなくなったので詩人は少女を背負ってダンジョンを出た。入り口周辺のモンスターはほとんど鎮圧されていたから外に出るのには困らなかった。なんとか救急施設(といっても数人のプリーストがいる診療所だ)に駆け込んで当直していた巻き毛のプリーストに必死で頼み込み、なんとか緊急治療にこぎつけた。治療中も少女はうわごとをやめなかったし、やめさせる術もしらなかったから詩人はその言葉をずっと聴いていることにした。彼は少女が目を覚ませばきっとその内容に赤面するだろうことはもう容易に想像できるようになっている。そうだ、コイツを時計塔に連れて行こう。きっと俺の家族はお前を受け入れてくれる。だから、目を覚ましてくれないか。そう言って祈りを捧げる。
 彼は謝っていた。彼が悪いわけじゃあないというのは誰だってわかる。しかし、彼は謝っていた。流れることのない涙を心の中で流して、許しを乞うていた。こんな想像は陳腐だと思われるかも知れないが、彼は少女とアラームを重ねていたのだろう。彼女を救えなかったら。彼女を救えなかったら彼は彼女に恨まれてしまう、憎まれてしまう、拒絶されてしまう。
 これを自分勝手な感情と言うだろうか。少なくとも彼は彼女の身を案じていたわけだし、彼女にとっては彼が救い主にあたるのだから、そこに自分勝手だとかなんだとか言う余地は存在しない。ただ純然たる事実が存在するのみだ。彼は彼女を助けたかった、生きていてほしかった。それだけなのだ。
 だが、彼は自分を利己的で弱い存在だと思っていた。彼は愚者だった。

134 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:12:30 ID:FcA1itgA
 翌日少女は息を吹き返した。やはりあの高価なポーションは初期治療としては最適だったようで、一週間ほど入院すれば完治するだろう、大した体力だと担当した巻き毛のプリーストは口に手を当てて笑った。目覚めた少女に会いに行くと体中包帯だらけでマミーを思わせる風貌になっていたが、昼食だったと思われるどんぶりのようなスープ皿は綺麗に空っぽだった。ゆっくりベッドに近づくと、彼女は素早くこちらを振り向いた。

「ネコがまわりを警戒してるみたいだ。」
「ネコに喩えられるのはあんまし好きじゃない。」

 少女は冗談っぽく眉間にしわを寄せて笑った。その仕草は彼女のためにあるようだった。少女は指先でスプーンをくるくる回していた。二つの視線は、自然とスプーンの銀色に吸い寄せられていた。

「よく似ていると思うけど。」
「うん、だから嫌なの。兄貴にもよく言われたし。」
「死にかけたというのに元気だな。」
「いやあ、五体満足に助かるとは思ってなかったけどね。死ぬとも、まあ思ってなかったさ。」
「それは…甘い考えだな。」
「いやね、アンタが助けてくれるんじゃないかってさ。」
「…信じるものを間違っている。」
「そう思うよ、でもなんでだろうねえ、なんだかアンタの妹さんの気持ちがわかったんだ。」
「…。」
「あたしと同じさ。きっと、約束信じてるよ。」

「(約束、信じてるよ。)」

 少女が詩人を見上げると、詩人もじっと少女を見ていた。
 彼女の目には何故か、彼が親に抱きしめられた子供のように見えた。しかられると思ったけど許されて、泣き止んだ子供に。彼は少し呆然としてから、少し笑った。

「そうか。」
「また少し返済遅れちまうけどさ、許しておくれよ。」
「ああ、構わない。」
「借りもさ、返すからさ。」
「…もう返してもらったさ。」
「?」
「首をかしげると余計ネコに見えるぞ。」

 やがて巻き毛のプリーストがやたら明るい声音で面会時間の終了を告げた。詩人はじゃあな、とだけ言って後ろを向いた。少女にはその背中が今までより少し大きく見えた気がしたのだが、何故かはそこにいる誰もが知らなかった。
 また、彼女にはそれが彼なりの別れの挨拶であることはわかっていなかったが、部屋を出る瞬間はぼんやり寂しかった。そういうものなのだ。別れというのは。
 次の日から詩人は少女に会いには来なくなった。三日目に巻き毛のプリーストに問いただしてみると、

「あの人なら入院費だとか全部置いていったわよお。『仕事を思い出した。ありがとう、全部とっておけ』ですって、いいお兄さんね。」
「…ええ、そういうとこもそっくりです。」

 詩人は一応約束は守ったのだ。彼の行動を少女は勝手なことを、と判断したようだ。だが、旅支度をすませた少女は増えてしまった旅の目的をわずらわしくは思っていなかった。また彼に会いたい。彼の家族の話を聴きたい。彼の家族に会いたい。
 そして、助けてくれてありがとうともう一度言わなくてはならない。
 旅立つ朝、巻き毛のプリーストに礼を言ってから、冷たい空気を吸って彼女は歩き出した。

「まずは時計塔行くかっ。」

 彼女はそれ以来、奇妙な詩人には再会していない。

135 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/29(木) 10:18:36 ID:FcA1itgA
という>>130-134でございました。
掘り下げが甘いとこやら伏線回収してないんじゃ?なとこはスルーしてください。
感想がいただけると嬉しいです。
ではまた。

136 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/30(金) 13:58:08 ID:R9vvfQYM
焦燥のバドスケさん燃え。ちょっと口調が違和感あるけどかっこよかった。
しかしながら改行&句読点の少なさと、会話文最後の「。」が非常に読みづらかったデス。とくに改行は滅入る。

137 名前:130-134 投稿日:2005/09/30(金) 23:52:52 ID:qx/tgpAw
>136感想ありがとうございます。ああ人がいてよかった…。
ご指摘いただいた

・改行、句読点の少なさ
・会話文の「。」
・バドスケのキャラ
は一応意図的に書いたものなのです。

以前LiveROで書いたときに指摘を受けて改行を減らし、句読点はありすぎると会話で詰まっている演出が
狙いづらい(そもそもの表現力が足りないところが大きい)こともあって減らしているのです。
見返してみると分量が適切とは言えず、改善の余地がありますね。

バドスケのキャラは『静かにジョークを言うような暗めの青年』を意識して書いてみました。
なんだか最初イメージしていたより熱いお兄さんになっているようで、なんだか軽くショック。

久しぶりに書いて、久しぶりに読んでもらえて、久しぶりにダメだしされて、なんだか嬉しいです。
また書きに来ますのでよろしくお願いしますね。

138 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/01(土) 00:14:44 ID:s8HT8vlk
なるほどーそのような思惑があったのか>改行とか

改行の回数は普通の紙媒体の小説となら全然問題ないと思ったのですが、
ブラウザで見るっていう点で読みづらさからマイナスだっただけです。
あと今読み返してみれば、そういえば句読点の少なさが気になったのは冒頭のみでした。
(そしてこのスレで「キャラが違う」なんて感想は本来ありえないことも思い出した…ごめん)

個人的に孤独に一人旅を続ける(ハメになる)バドスケさんはかなりツボでした。
久々に時計塔物語が読めて嬉しかった。またお願いします。

139 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/01(土) 00:36:12 ID:t2hnsi7U
再度レスありがとう。
確かに、ブラウザで見ると紙に書くとでは全く見え方が違いますね。やはり意識しなければならない部分か。
バドスケのキャラは…以前自分で書いたのを見返して、今回のとあまりにキャラが違って愕然としたのです。
「〜ちまう」とか「〜じゃねえだろう」とか言わないと違和感が拭えませんね。熱さを、もっと熱さを。
熱さ欲しさに今度は荒武モノでも書いてみます。ではまた。

140 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/01(土) 00:57:32 ID:TaX1wwLA
おお、萌え板にアラームたんスレあったのか
要チェックや

141 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/03(月) 19:23:17 ID:2RHqzCj6
他所にアラームたんスレってあるのか?

142 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/03(月) 23:48:31 ID:Iy7Tum0o
>>141
ライブロの初代スレから3スレ目まで見てROから離脱
半年後ふとROを思い出し、ここに来て見つける
キタ(゚∀゚)コレ!!!!

だからいつの間にやら萌え板に来てたのかと思ってしまったわけだな

143 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/08(土) 03:43:48 ID:VROdQTXs
・・・久しくペンをとってみるか。何か納得いくものが描けたら・・・

144 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/08(土) 10:57:28 ID:psEDBUjU
>>143
随分と過疎ってる板だが、少なくとも俺は読むぞ
職人ガンガレ

145 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/08(土) 12:56:49 ID:n7cKqnqA
>>143
俺も俺も

146 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/10(月) 15:08:57 ID:dhnEGevg
こういうのって小説の中で勝手にキャラクター増やしても大丈夫なんですかね?
世界観壊さない程度にではあるんですけど…

147 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/10(月) 19:02:22 ID:gth5eTN6
職人の数だけ世界がある

適当にキャラ増やしたっていいだろ、性格だって多少変えてもいいはずだ

148 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/15(土) 17:27:41 ID:1g7EnnVI
いいんじゃない?

149 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/18(火) 02:22:16 ID:qIxCfxvU
騎士の剣撃(ボウリングバッシュ)をかわしざまに合わせた右は
正確に騎士の顎の先端を捕らえ
脳を頭骨内壁に激突
あたかもピンボールゲームの如く振動激突を繰り返し生じさせ
典型的な脳震盪の症状を作り出した
さらには既に意識を分断された騎士の下顎へ
駄目押しの左アッパー
崩れ落ちる体勢を利用した左背足による廻し蹴りは
騎士をさらなる遠い世界へと連れ去り―――

全てを終わらせた

その間実に2秒!!

援護を忘れていたアラームとライドワードは、ただただ目前の状況を見守るのみ
これがこの時計塔を守り続けてきた豪傑荒武隊長のベストコンディションの姿である

「と、こういう風にやるんだ」
「うん、がんばる!」
「アラーム、この人は特別なのよ」

唐突なネタですまん

150 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/18(火) 13:18:53 ID:WqMz5a6U
秋田書店からROアンソロ出たらすごいことになりそうだなぁ…
ブロッコリーとつるんでた時期もあるし(今も?)、あながち不可能では…

151 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/18(火) 15:21:16 ID:s7pwzPbw
「とおっ」

魔法使いの顔面を狙って繰り出された意外とキレのあるパンチは、
しかし威力の低さから相手の鼻を痛い痛いさせるだけに終わる。

「てやぁ!」

うろたえる魔法使いの下あごを目がけた左アッパー、は、
慣れない事に挑戦した所為で足がもつれ、ただのビンタに変わった。

「えーいっ!」

たたらを踏む魔法使いにむけて最後の回し蹴りを、と右足に体重を
乗せるが、2撃目を出した際に崩れた体勢、それを片足で支えることになり―――

どすん!

魔法使いの少年を下敷きに、アラームたんの機体は仰向けにひっくり返った。
道連れ自滅までの所要時間15秒!!

「どうしよう、起きれないよ〜」

ひっくり返ったソリッドタートルの如く、四肢をめちゃくちゃに動かすアラームたん。
物陰から見ていたライドワードと荒武隊長は同時にごっついため息を吐いた。


便乗ですまん

152 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/18(火) 15:24:12 ID:qIxCfxvU
バキ風時計塔物語〜熱闘編〜とか
オヤマ菊の助風時計塔物語〜お色気撲殺編〜とか
アクメツ風時計塔物語〜癌呆ドバット大作戦〜とか
思い浮かんだけど…けど…

見たくて仕方なくなってしまった、どうしよう

153 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/19(水) 01:47:07 ID:wmy5UWk.
シグルイ風時計塔物語〜残酷無惨編〜
カオシックルーン風時計塔物語〜臓物ブチ撒け編〜
エイケン風時計塔物語〜おっぱいがいっぱい編〜

見たくないのばかり思いついてしまった、どうしよう

154 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/19(水) 05:56:39 ID:eIoS84Yo
見たいのならば、筆を執るべし。
自分の見たいのも見れて、他の職人さんも喚起されて一石二鳥。

155 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/24(月) 18:03:27 ID:VWoqhoz.
時計塔物語のタロット計画は自然消滅しちゃったんですか?

そこそこ楽しみに待ってたんですが。ふと思い出してまとめサイトのぞいて見たけど、
進展なしっぽかった・・・

156 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/29(土) 09:41:49 ID:tddD2Gg6
>>155
計画が長期化するとだれるもんさ。

すまんかった。

157 名前:サイト"管理人"(元) 投稿日:2005/10/29(土) 23:50:10 ID:6Yx.zxyk
元企画者です。当時のスレにもは書いたんですが、やはり自分が描けないのに
他人に描いてくれというのは無理があったようで……。
枚数が集まらなかったので企画倒れに終わりましたごめんなさい(つД`)

もしも再開するなら描くって人がいれば再開させるかもしれませんが……

158 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/31(月) 13:04:18 ID:jtUrZ6q.
>>156氏、サイト管理人(元)氏
うーん、そうですか。残念。

1枚や2枚程度でよかったら描けなくもないけど私の絵柄の風潮はグロい
(モンスターカードの可愛くない方。ソヒーやカーリッツバーグの方にどちらかと言えば…)んで
あんまり良くないんじゃないかなぁ・・・と思ってみたり。

私一人では絶対描ききれないし、他の人の賛同が得られれば・・・だけどもこのスレの調子じゃ人が集まるかどうかですね。

たわごとすんまそん。

159 名前:155 投稿日:2005/10/31(月) 13:05:23 ID:jtUrZ6q.
↑ 名前書き忘れ

160 名前:サイト"管理人"(元) 投稿日:2005/10/31(月) 16:10:15 ID:SeSoS9kQ
一応サイトは現行スレに対応しておきました。

再始動は微妙なので本当に対応しただけですが。

161 名前:サイト"管理人"(元) ◆alarmQHg/A 投稿日:2005/10/31(月) 21:40:49 ID:SeSoS9kQ
板違うから同じかわからないけど旧トリップ。
ところで、ここに残っている諸兄にお聞きしたい。

・人が増えて絵が集まりそうな感じがするまで休止
・期限決めずに募集しっぱなし

どっちの方がいいですか? ただでさえダレてるんだから下にしたら際限ない気もするんですけどね。

162 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/10/31(月) 22:10:42 ID:JcwXXTCk
本格的に管理を再開するまでに至らなくていいけど、
応募は常に受け付ける。応募が来たら、その知らせだけで
HTML書き換えるのとか面倒だろうからスレでちょろっと紹介する程度。

ってのはダメかい。管理人さんに負担かな…

163 名前:サイト"管理人"(元) ◆alarmQHg/A 投稿日:2005/11/01(火) 01:21:14 ID:d0ZfiwDw
>>162
それくらいでよければいくらでもやりますよ。
HTML書き替える手間もスレに言うのも大差ないんで。

164 名前:mPTarot/fA 投稿日:2005/11/01(火) 10:23:03 ID:IKapCX2g
フレームの製作者ですこにちわ(・ω・)ノシ
作業データは残ってるからフレームの改変はできますよ。

今の時期は冬コミの原稿でちょっと手が空かないけど…

165 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/05(土) 14:05:41 ID:RrsoJkgw
http://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0150.jpg

新c実装でペノと戯れる日々のさなか
ふと彼女のことを思い出し、ペンを取りました。

166 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/06(日) 09:14:17 ID:edjOlvJY
>>165
萌えたし何故だか燃えた。
時計塔の世界を思い出す事ができたよ。

167 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/08(火) 03:33:12 ID:pmY3W5iI
>>165燃えた。かっこいい。

168 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/09(水) 21:28:39 ID:Yui/.dVU
|・)ニョキ


|∀・)ダレモイナイ....upスルナライマノウチ


|・∀・)ノ ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0151.jpg


|・∀・)ハイケイモナイシ,雑線画への直塗りナノモユルシテネ


|∀・).....デモ,モウショボントシタカオハシナイヨ。アノコロトハチガウカラ。


|)ノシ

169 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/09(水) 22:19:15 ID:1cFS7v8g
WALL|ω・`) ミテルヨー

170 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/09(水) 23:05:06 ID:.Mgun1/s
wwww|∀`)b ミテルヨー

171 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/10(木) 08:19:49 ID:u7nmKqbI
サイト|∀゚) ミテルヨー

172 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/10(木) 17:27:48 ID:bpBlGdio
壁l<がおー

173 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/10(木) 22:33:20 ID:NagI5vRk
|<実は意外と見られてるのか!?

174 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/10(木) 23:16:48 ID:u/W1FW0w
かべ|<そういうことさ、お譲

175 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/11(金) 09:52:28 ID:f0n2uJGQ
おまえら壁から出て堂々と言え!
変な集団に見えるだろうがw


ファイアーピラー!!
( `・ω・)ノシ   ≡≡≡≡≡ *〜●      | 壁 |

176 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/11(金) 20:32:16 ID:PuAmUb/6
ローグ「なあ、カードのセット効果ってあるだろ?」
ハンタ「関係があるカードを同時に装備したらボーナスが付くやつだな」
ローグ「そうそう。んで、まずはこれを見てくれ」
ハンタ「+7 ハイブリッド キングバード アーバレストってまた趣味なものを…」
ローグ「まてまてまて、究極の汎用武器だろうが!!」
ハンタ「…永遠に平行線になるから止めとく。で、これがどうした?」
ローグ「あぁ。次にこれを見てくれ」
ハンタ「Σ +7 ブーツ オブシーカーって、お前ローグなのになんでアラームカード挿し
    使ってるんだよ! ハイドできなくなるだろうがw」
ローグ「いやな、今サイトレシャLv10を盗作中なんだよ。」
ハンタ「お前なぁ……。まあ、良いや。んで、この2つがどうしたんだ?」
ローグ「あぁ、この2つをな、同時に装備してるとDefが1上がるんだよ」
ハンタ「は?そんな効果書かれて無いじゃねーかよ」
ローグ「ちょっと装備してみろよ」
ハンタ「…まじだ。なんだこれ」
ローグ「ちなみに、黒蛇抜きでやってみても一緒だったから、アラームとアチャスケの
    セット効果なのかも」
ハンタ「アラームとアチャスケに関連性なんて無いじゃねーか」
ローグ「やっぱ、バグかなぁ」
ハンタ「バグじゃないか?」


なんというか、ごめんなさい。意味不明ですね。
だが、解説はしない

177 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/12(土) 12:30:15 ID:4gMPmFRg
そういえば、だ。
何かペノ池の伐採が進んでると聞いたが、アラームたん的にそれはどうなんだろう?

178 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/12(土) 19:41:11 ID:Z5.QBHik
|ω・`)久しぶりにキチャッタ…

|ω・`)つ ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0152.jpg

|ω・`)読書の秋だからつい…

|彡サッ

179 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/12(土) 20:25:27 ID:D1JNBOqA
|∀`)b

180 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 00:41:48 ID:abhlrLeo
…こ、これはっ。
何と見事なちちしりふとも(ry

はっ。と気づいたんだが、時計塔には横島的人物が足りない予感っ!?
アラームたんをトンjでストーキングとか。
アラームたんから砂でいろいろ拝借したりとか。
むしろアラームたんと握手する勢いとか。

…いや、ロリコンちゃいますよ?

181 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 01:28:56 ID:aD/w.XnY
地底湖で水浴びをするアラームを
物陰から見つめる怪しい影。

「おおライド。お主のないすばでぃーも悪くは無いが
 やはりワシは嬢ちゃんの無垢な柔肌のほうが好m」
「くぉのロリコンジジィ!貴方何年生きてるのよ!
 年齢差、1000や2000じゃ済まないでしょ!」
「ふぉふぉふぉ、ワシのはぁとは何万年経とうが
 てぃーん・えーじゃーの頃の情熱の炎が燃え盛りっぱなしじゃぁ!」

とりあえずエルダ爺スケベ説を唱えてみる。

182 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 02:09:33 ID:3kj/zAhk
それはレイド兄弟を古城から呼べということですかっ!?
私たちは断固反対いたしますっ!

183 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 08:34:09 ID:2eLwKkhE
っ ローグ
 これまでのローグに176仕様をプラスした一品です。
 計画は全て未遂に終わる上に時計塔のメンツではないので後腐れもなく、安全です!
 今ならトンドルしても速攻サイトが出てくるので、MA操作が苦手なお嬢さんにも安心!

ローグがうろちょろして追い出される話、好きだった…

184 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 14:02:44 ID:E10slhhc
剣「枝だかなんだか知らないが呼び出されるのもうざったいだけではないなハァハァ」
弓「うむ、時計塔とは未開拓のに、それにここでは騎士子たんに吹っ飛ばされる心配もないぞ」
二人「まさに萌のぱらいそ! ハァハァハァハァ」

185 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 14:04:04 ID:E10slhhc
×未開拓のに
○未開拓の大地!

……orz...

186 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/13(日) 14:16:56 ID:abhlrLeo
剣の。それから弓の。
喜んでるとこ悪いが、禿…もとい神様からのメッセージがある。

「心は俺に捧げてもいい。しかし貴様らのケツは残らず荒武隊のモノだ」
だそうだ。

187 名前:いつかの兄弟 投稿日:2005/11/14(月) 11:26:31 ID:5lLvub/M
 (*´_ゝ`)「ローグというと俺の出番だな弟者よ!」
                 「多分呼ばれてないから安心して眠れ兄者」(´<_` )

 ( ´_ゝ`)「ハイ、というわけで時計塔にやってまいりました」
             「いつも以上に展開が強引オブザイヤーだな兄者は」(´<_` )

 ( ´_ゝ`)「今回はライド姉さんに通じる秘策があるのだよ」
            (また都合の悪い部分は…)「ほう、してどのような?」(´<_`;)

 ( ´_ゝ`)「それはな…ヒソヒソ」
               「兄者は古典的な表現が大好きだな…ふむふむ」(´<_` )


                 −それで3F−


 (*´_ゝ`)「さあやるぞ、我らの未来のために!」
               「ああやってやろう、輝かしい栄光のために!」(´<_`*)

 (*´_ゝ`)「おお、俺のアラームたんレーダーが異変を察知したぞ!」
      「そんなご都合主義で下衆な超能力が使える兄者が今最高に熱いぞ」(´<_`*)

 (;´_ゝ`)「だがライド姉さん同伴…確実にアラームたんだと思われるがしかし…」
             「何を怯んでいる兄者、何のために策を練ったのだ」(´<_`#)

Σ( ´_ゝ`)「そ、そうだった!まさか弟者に教えられるとはな…俺を超えたか」
       「何言ってるんだ兄者、俺たちは兄弟にして共に歩む戦友だろう」(´<_` )+

 (*´_ゝ`)「弟者…お前の黄金の精神が見えるよ…」
             「さあ、行こうぜ兄者…俺たちのアルカディアへ…」(´<_`*)

188 名前:いつかの兄弟2 投稿日:2005/11/14(月) 11:27:04 ID:5lLvub/M
 (*´_ゝ`)「やいライド姉さん!今日もお美しいですね!」
       「流石兄者、雰囲気が読めない漢の名を欲しいままにしているな」(´<_` )


 「…またあなた達なの?この前ので懲りたと思ったんだけど」
 「ライド姉さん、この人たち誰?」
 「アラームは覚えちゃ駄目よ、思い出がもったいないから」


 (*´_ゝ`)「おい、ライド姉さん覚えててくれたぞ弟者!」
             「もう完全に兄者のフィールドだな、つか目的目的」(´<_`;)

 ( ´_ゝ`)「え?ああそうだった、今日こそ観念してもらおうか!アラームたん!」
         「なんだかそのセリフ、やられオーラギュンギュンでてるぞ」(´<_` )


 「ほぇ?あたし?」
 「また叩き出されたいみたいね?」


 ( ´_ゝ`)「ふ、いつもいつもやられてばかりの俺たちじゃないぜ!やれ、弟者!」
        「おうよ兄者! 『布団が吹っ飛んだ!』 時よ止まれィッ!」(´<_` )+


 「こ、これは…」
 「ライド姉さん〜なんか寒いしMAが動かないよぉ」

 (*´_ゝ`)「これこそが策!バードスキル寒いジョークで誰もが凍っている間にアラームたんを
       悠々と連れ去る!そして前回必死で守りぬいたこのイケナイお薬を使用することに
       よってアラームたんはなんだって言うことを聞いてくれるという素晴らしい状況を
       作り出す!あまつさえ動けなくなったライド姉さんにちょっとだけ悪戯とかできた
       りしちゃったらいいななんて言う願望すら叶えることもやぶさかではないのだ!
       まさに最強!まんまと引っかかったライド姉さんの屈辱に満ちた表情が勝利の味を
       本物にしている!ンッンー、実に清清しい気分だッ!歌でも一つ歌いたいような
       いい気分だ!数年前にアラームたんの存在を知ったが…これほどまでにッ!絶好調
       のハレバレとした気分はなかったなァ…フッフッフッフッフッ本当によくなじm
       運営者によるチャットとスキルの禁止が10分残っています。」

                          「あ、兄者ァー!?」Σ(´<_`;)

  ―5秒経過!

 「あ、動けたあー」
 「もう演説は終わりかしら…?ならそのままお祈りでもすると効率的でいいと思うんだけど?」


                 −アルデバラン 時計塔前−


                        「兄者何故あんなことを…」(ノ<_`;)
 ( ノ_ゝ`)「運営者によるチャットとスキルの禁止が5分残っています。」

               「黙して語らぬのに全くかっこよくないぞ兄者」(ノ<_`;)
 (#ノ_ゝ`)「運営者によるチャットとスキルの禁止が4分残っています!」
           「兄者待て!時に落ち着けって!無言で殴るな!兄者!」(ノ<_`;)


                    −時計塔3F−

 「あの人たち面白かったねー、結局何しにきたんだろ?」
 「アラーム、それはわからなくても問題のないことなのよ」

189 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/14(月) 11:31:26 ID:5lLvub/M
完全なネタにつきスキル効果とかセリフの細かいことはスルーしてくださいな
一応兄者がLv低いAGI=DEXローグで弟者が独奏マスターのソロバードってやつです

190 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/14(月) 19:08:42 ID:101Rs9eU
最近また賑やかになってて嬉しいよ。
冬の祭典落ちちゃったから本とか出せないのが残念だ。

191 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 22:40:59 ID:HpdbiR3g
すずっ、と茶を啜って時計塔にて休憩中。

192 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/22(火) 18:38:13 ID:VLbAUOZY
エミュ鯖だが初めてアラームたんと戦った。負けた。強かった。(;´Д`)

193 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/23(水) 16:36:47 ID:JxCb1Ee2
>>192
カエレ

194 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/13(火) 01:40:51 ID:ZPwYE.I2
よぅ、おまえら!
クリスマスだねぃ

195 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/18(日) 19:56:57 ID:Hf5pJqfg
ところで、誰かLiveROスレの時にあがってた
写真風の絵を持ってないですか?

196 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/18(日) 20:35:09 ID:FnK6f0i6
すまんもってない

197 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/19(月) 03:19:35 ID:4LXzb31.
んん?・・・・とくなきさんのやつか?

どこいったかなぁ・・・・・

198 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/19(月) 20:39:54 ID:u2aa14Mg
それのセピア色付け版なら持ってる。
作業データがどっかいってるから元絵が見つからない…

199 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/19(月) 21:07:59 ID:TEKhXXjY
>>195
これのことか?
ttp://halhns.no-ip.com/upload/source/files0029.jpg

これってカラーのやつあったっけ?

200 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/19(月) 22:19:07 ID:u2aa14Mg
元絵はただの鉛筆絵だった。
それを私が勝手に色塗ったりしただけっすよ。

201 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/20(火) 12:17:00 ID:XLKIufIQ
元絵がまだ生きてた
ttp://kcrdirty.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20040116173019.jpg

202 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/23(金) 01:01:09 ID:gOP90hyA
奇抜なネット障害が発生していたorz


>>199-201
超ありがとう!
これでSSの修正が出来る

203 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/12/23(金) 16:40:36 ID:grLpqxoc
もちろんわかっちゃいるんだが、軍隊チックな写真のあとに
“SS”といわれて黒服でエリートな黒アラームたんを一瞬幻視した。

204 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/13(金) 05:30:11 ID:oVDhibYA
半年ほど前に、ROで知り合った人と「狩人」ってテーマで曲を書いてみた
その時の自分のハンターの狩場が時計だったもんで、時計をイメージした曲に仕上がったんだが
今頃になって、ふとこのスレを思い出したんで投下してみる

ttp://www.geocities.jp/clocktowerstory/hunter.mp3

205 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/14(土) 06:28:01 ID:hlwHNfKw
SUGEEEEEE!!
綺麗な音してるし〜〜
感動しました!!
GJです

206 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/14(土) 06:51:41 ID:FhMAtrcQ
ゲーム内を意識して作られてるみたいなので、
ゲームのBGMに合う感じですね。

個人的に、使い所として、
キャラセレかこの先に何が? を期待させる場所に、
合ってる感じがしました。

207 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/14(土) 14:59:28 ID:gK9i3qIk
これはフベルゲルミルとかゲフェニアとかに合いそうだ。
時計3F〜4Fでもいけるなぁ。ピンポイントで差し替え出来ないけど。
高原地域を歩いてるっぽい雰囲気もあるからジュノーまでの道でも良いかもしれない。

それにしても反応早いね。

208 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/01/14(土) 22:50:01 ID:OhTxNXuY
いい曲ですねえ。雰囲気としては初心者修練場にダンジョンができたらこんな感じかなーとか思いました。

それと、しばらくぶりに新垢で復帰したものの……無料の1週間程度じゃ時計塔までいけませんでした。
_| ̄|○無念……

209 名前:204=実は初代スレ758 投稿日:2006/01/15(日) 03:15:18 ID:LNS/ONJA
それなりに気に入って貰えたようでひと安心
また何か新曲が出来たら投下させて頂いていいものでしょうか

と、いちいちお伺いを立てずにはいられないチキンハート音屋でした

ここに来ると、なんだか初心に返ったように音のイメージが出てきます

初代スレに投下したアラームたんのテーマ(と名付けていいものでしょうか)ともども、
気が向いた時にでも聴いてやって下さいませ

210 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/16(月) 20:21:15 ID:uXHGMcfw
みんな何時までも待ってるんで好きなときに投下してくだしぁ。
出来れば初代スレに投下したアラームたんのテーマも再度投下してくだしぁ。

で・・・、うpろだは消えちゃったのか?なーぜか表示されないんだが。

211 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/18(水) 23:19:00 ID:uEhxH.DI
>>204
遅レスですが
いい曲ですね〜
聞いててドキドキ感が。
また何か出来たら投下して下さいなー。
お待ちしてます。

>>210

>>12にあるあぷろだ?
それなら普通に見えてます。

初代スレのテーマ曲ってこのあぷろだの89番がそれかな?
これはほのぼのしてて(ともちょっと違う感じかな?)イイなー。

212 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/20(金) 00:39:28 ID:83oHMWLI
あぷろだの89番、私のPCだとなぜかDLできなかったので再投下

ttp://www.geocities.jp/clocktowerstory/clockclock.mp3

なんか懐かしいな・・・あれからもう二年か

213 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/21(土) 10:03:02 ID:GAuQjsoM
むしろできればもっと投下してくれ

214 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/01/21(土) 22:17:20 ID:7klOrJ42
曲を聴いて懐かしいと感じた


トリップキー紛失しちゃったぜ…

215 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/08(水) 00:53:15 ID:BLIziRRg
…誰もいない。
見つけたモノを投下するなら今のうち。

つ( ttp://moo.ciao.jp/RO/img/0203.jpg )

壁lミサッ

216 名前:初代スレ758 投稿日:2006/02/12(日) 02:50:48 ID:rIDMvy.o
新曲じゃなくて恐縮ですが

ttp://www.geocities.jp/clocktowerstory/happy.mp3

少しでも勢いを!
そしてオラにもっと時間を!

217 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/14(火) 19:51:06 ID:uJ11/gl.
アラームたん、いや、アラーム様。
仕事場でひとつももらえなかった俺にチョコレート下さい。

218 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/15(水) 00:34:27 ID:dOXg1TcU
>>216
いい曲をありがとう。
ちょっとすぎちゃったけど許してくれるよね

ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0154.jpg

219 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/15(水) 00:41:28 ID:F2Sg/WOE
何このGJな流れ(*´Д`)

220 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/16(木) 03:14:28 ID:gad9U7es
バースリーから魔女の衣装とホウキを借りたアラームたん。
日頃お世話になってるみんなにチョコを届けてまわります。

http://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0155.jpg

221 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/16(木) 06:53:40 ID:hq5S0H2.
イイヨイイヨー
次は文章、がんばれ誰か(w

222 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/20(月) 19:56:24 ID:tOMu02ig
そしてだれもいなくなった

223 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/20(月) 21:23:54 ID:t6tUn146
WALL|ω・´) 誰も居ない?ならば画像投下

WALL|ω・`) 一応、>>91氏インスパイア画像……のつもり。

WALL|=3 サッ

ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0156.jpg

224 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/21(火) 00:00:47 ID:1nvN4kHU
せんせー、何か最終兵器彼女を思い出しました。

225 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/24(金) 02:33:08 ID:wAp4EIdQ
いやいや、かっこいいな
俺はこういうの好きだぜー
GJ

226 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/24(金) 18:50:50 ID:0oDZOk02
しかし、こういう終末思想的な代物って、文で書こうとすると非常に長くなる上、
苦しいんだよなぁ。(w
因みに、今現在の時計塔のBGMはアイオーン。
確か、死神とかそういう意味もあった筈。

……とは言え、やっぱし時計塔、と言えば「よつばと」みたいな感じのがいい予感。
ふと、床を見下ろしたりしたら何か、落書きがしてあったりするんだ。
或いは、只突撃するだけじゃなくて、いきなり立ち止まって相手を驚かす遊び、とか。

227 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/24(金) 22:30:41 ID:fqM6fuqo
>>226こんな感じか

時計塔の片隅にしゃがみこんで、何やら床に書いてるアラームたん。
そこに見回り中の荒武さんがやってきました。

荒武「お、アラーム。何してるんだ?」
アラームたん「あのね、ライドさんから字教わったの。それでね、練習してるの」
荒武「そうか。頑張れよ」
アラームたん「うんっ!」
荒武(何て書いてるんだろう…そーっと見てみるか…)

「この落書きを見て振り向いた時 おまえらは    死ぬ」

 ゴゴゴゴゴゴゴ

荒武の奇妙な冒険 第三部 完

228 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/24(金) 23:21:57 ID:0YEgQYxg
吹いた

229 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/25(土) 02:50:59 ID:gI6K4qFM
むしろ漢字はひらがなだろうと突っ込み。

230 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/26(日) 08:37:48 ID:NNstotd.
 まーちゃん「まーちゃん参上、と」
きゅっきゅっきゅっと壁に落書きをする。
 まーちゃん「これであたしの輝かしい歴史がまた増えたわー♪」
満足げに立ち去ろうとしたとき、他にも落書きがあるのに気がついた。
 まーちゃん「なになに?」

 「この落書きを見て振り向いた時 おまえらは    死ぬ」

 まーちゃん「なんじゃこりゃ。品の無い落書きね。あたしのサインのような美しさがないわ〜」
そういって、まーちゃんが振り返ると
 ??「GHAOOO!!」
 まーちゃん「ぎゃぴぃ〜〜!?」
MAに乗ったアラームがすぐそこにいた。
久しぶりの友人を驚かそうとこっそりと後ろへ回り込んでいたのだ。
 アラーム「やっほー♪まーちゃん元気〜?
        って、あれれ?まーちゃんなんで寝てるの〜?
        こんなとこで寝てたら風邪引いちゃうよ〜 ><;」
 まーちゃん「きゅぅぅ〜」

231 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/28(火) 01:51:06 ID:uc8s0shc
書き込み無いな、と目を離している隙にっ!
(気付くの遅い)

>>212
再投下分のほうがゆっくりしているのかしら?
やわらかい感じ。これも良さがありますね。
>>216
聞いてて愉しくなってきます。
どちらもありがとうです。

>>218
笑顔が眩しい〜


>>220
×100ってナンダΣ
100個なのか?100個なのかっ!?
魔女ッ娘ってのもいいなー。

>>223
かっこいい&ゾクゾクしてしまいました。

232 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/02/28(火) 01:53:56 ID:uc8s0shc
>>227
同じく吹いた
第3部ですかっΣ(・Д・)

>>229
よく判らないで無邪気に書いてるのもまた一興かと。
>>230を見ると無邪気というか、なんというか....。

233 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/02(木) 00:02:19 ID:op8jkv0.
荒武「こら、アラーム! 落書きしたら駄目だって言っただろ!」
アラーム「は、はぅ〜、ごめんなさい…」
荒武「全く、後から掃除する俺の身にもなれ…ブツブツ…って、こ、これは…」

『あらむさん だいすき』

荒武「アラーム…お前…」
アラーム「……」(かぁっと真っ赤になる)

 チャーラーラーラーララー♪「BGM:ラブストーリーは突然に」

荒武「…という夢を見たんだ」
ライド「あはは、それは脳の病気ね♪(爽やかな笑顔で)」

234 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/02(木) 04:21:35 ID:Qk7vG3Fg
荒武さん。あんまりにも女っけが無いから遂に酸素欠乏症に…

235 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/04(土) 17:30:44 ID:e0QcJ20Y
ライドワード「あたしは女として見られてないのかしら・・・orz」

236 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/04(土) 19:02:10 ID:pHPB151c
高嶺の花、と言う言葉もあるぞなもし。

237 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/05(日) 03:19:34 ID:MRYoFA0M
無理やり233氏の拡張を試みる。
駄文のうえ、すまぬがライドワード視点ってことで。

「ないよなぁ、そんなこと。ハァ、俺、なに考えてんだアラーム相手に…」
そういって荒武は照れ笑いをした。
「ないない。絶対ない」私もつられて軽く笑った。
カタブツの彼からこんな話を聞くことも、まして照れ笑いなんて、本当に珍しい。
「…でも絶対とは言いきれないかもしれないわね。アラームも女の子だもの。
誰かを好きになるかもしれないし、好きだって気付いたら―」
(伝えたい…て思うよね。知識が幾らあっても、その想いを表現するには足りない。
それをたった一言に、『だいすき』だなんて、まっすぐで、アラームらしいじゃない?
…私もそう伝えられれば…)
・・・て、私はなにを言っているのだろう。
いつの間にやら自分のコトも重ねて、いらんことまで口走って…。
どこまで喋ってしまったのか考えているうちに自分が紅潮してるのに気付いた。
やばい、と思って荒武のほうを見たときには怪訝そうな顔でこっちを向いていた。
なんとも気まずく沈黙してしまった私。それを破るようにして荒武が一言。
「はぁ…よくわかんねぇな、なに言ってるんだ、オマエ?」
私は反射的に噛み付いてた。恥ずかし紛れがほとんどだったけど、
荒武の鈍さにいらついたのがちょっとだけ混じっていた。
それもまた恥ずかしさを増幅させたので、もう2〜3噛みほど余計にしとく、おまけだ。
「いてててててててッ なにをするっ!」
後ろでかすかにそんな声が聞こえたと思ったけど、かまわずその場を離脱した。
いつもより気持ち、ちょっと早めなのはたぶん私の気のせいだ。

今日の時計塔はいつもよりも平和だった。
だからそんな談笑もしたし、荒武も私もきっとそれに呆けてしまったのだろう。
きっとそうに違いない。いや、そうに決まっている、私の知識がそう決めたッ!
たいたいアラームが不可思議なんだ、あの子の周りでは私の絶対である知識が歪む。
でもそれがちょっとだけ新鮮で心地よかった。

238 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/05(日) 12:09:03 ID:KlGv1mgM
素直になれないライドワード姉さんに萌えた。

239 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/07(火) 21:34:58 ID:LZ/YL/Rk
その直後、ひょっこり帰ってきたバドスケ兄さんが荒武隊長の歯型生傷を見て
・・・・・・何やら察したらしくひたすら申し訳ながっている光景が。

240 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/09(木) 08:10:47 ID:Ot1AvxGA
すいません、アラームたんがアラームに腰掛けてこっち向いて手を振ってる壁紙を探してるんです。
アチャスケとかライドワードとか管理人とか初期時計等住人いるやつ。
作者さんのサイトがあってそこに掲載されてた気がするんですけどHDD吹っ飛んじゃって手がかりが皆無で・・・
どなたか分かる方居ましたら教えてください( ;´Д`)人

241 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/09(木) 09:09:21 ID:JU8CG6Js
アラームたん片っ端からチョコ配ってたし、ホワイトデーのお返しがすごそうだな。
結局一人じゃ食べきれなくなってみんなで一緒に食べたりとかしそう。

>240
多分ここかな?
つ【薇 式 万 象 儀】

242 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/09(木) 09:40:46 ID:rKYxvYYk
>>241
おーこれです!ありがとーーーございました!

243 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/09(木) 19:44:52 ID:Fa7WsNok
そこって半年更新されてないよな。中の人生きてるのかねぇ・・・。

244 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/09(木) 20:54:11 ID:jX6IwdkM
大丈夫、俺のRO日記も2年更新されて(して)ないし。
それでも中の人(俺)は生きてます!
半年くらいは誤差の範囲内ですよ!

245 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/03/09(木) 21:34:45 ID:lS/YZezQ
俺だってまともに更新してな(鯖缶

気が向いた時に更新すればいいのさ!

246 名前:mPTarot/fA 投稿日:2006/03/09(木) 21:40:19 ID:ncxOb93c
うちなんか中身が変わったりしてr

もう描き方忘れたよ…

247 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/09(木) 23:24:03 ID:5XSSgsJQ
>関連サイトの管理者方
以前、長くROMってたけど、久しくご無沙汰になり、最近ふと思い出して来たのですが
それもこれも、管理者さま方のサイトへのブックマークをふと発見したからです。
サイトを残していてくれたことにとても感謝しています、ありがとう。
237の駄文をあげたの、私なのですがあのようなものでもよろしければまたあげさせてください。

248 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/11(土) 11:53:37 ID:VeYfx9wI
まぁ、あれだ。書かなきゃ進まない…がっ、ブームが一過性のものであるのも事実。
うーん。何にせよ話題が無さ過ぎるのが…っ。

さういえば、藻前様方的にバトロワスレは黒歴史でつか?

249 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/11(土) 12:07:48 ID:eyN3riV6
バトROワスレ読んでないんだが、何かあるのか?

250 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/11(土) 14:09:53 ID:VeYfx9wI
アラームたんとバドスケさん分大目に含有してるスレなのです。>>バトROワ第一回
こういうのが嫌な人にはお勧めしないけど、
波長が合う、と思われるなら読んで見るのもいいかと。

251 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/12(日) 16:44:08 ID:HXaVdBQM
話ぶったぎって申し訳ない。
駄文、うpしました。

ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0159.txt

252 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/21(火) 17:30:17 ID:x1fcqG3k
逆にバトROワにあって、ここにないものってなんなんだろ。

253 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/21(火) 21:48:58 ID:0NFc7CaI
常に漂うある種の急迫した危険ではなかろうか?
それに伴う精神的緊張とか。

254 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/22(水) 00:34:10 ID:c4yQnhXM
>253
なるほど。
それはそれでここの面白みのアイデアやSSなどのネタとして使えそうですね。
SSでよければ、私では力不足ですがそのネタ頂戴して書いてみたい・・・。

あと、ちょっとそういうのとは違いますが、
以前からあったほのぼのするSSや絵の系統を意識して駄文書いてみました。
お時間ある方は読んでいただければ幸い。

<ライドワードねえさんメインのSS>

バレンタインもホワイトデーも過ぎ去った、なんでもない日。
ジョーカーはライドワードの部屋へと呼び出されていた、それも秘密裏に。
それはイベントというにはむなしい、2人にとってこの時期の恒例行事の為だった。

「時期的に気付いてるかもしれないけどね、また今年も、よろしくッ!」

ライドワードが合掌しながらジョーカーに懇願する。
テーブルに肘をつき、頬杖をついていたジョーカーがあきれた声で答える。

「毎度毎度、渡さないくせによく作りますわね」

目線の先はテーブルの上、みかん箱大の箱と溢れたチョコレートの山。
それはバレンタインデーの敗戦の証。
渡せなかったチョコレートとその試作品の山だ。
依頼内容は例年と同じく、これの廃棄処分。つまり完食。
嗜好としてはむしろ好きなのだが、食べるにしては度を過ぎた量だった。
2人で手分けするにせよ、見ているだけで満腹になりそうで気持ち悪い。

「…まぁ、それはそうなんだけど…だってさぁ…」

ライドワードはそういうと、しょげて見せた。
反論の余地もなく、恒例行事になっているだけに言い訳も思いつかない。
ライドワードは普段の凛とした様子のかけらも無く、小さくなっていじける。

「義理だって言って、てきとぉ〜〜に配ればいいんですわ〜」

試作品らしき形の崩れたチョコレートを頬張りながら、ジョーカーが言った。

「うん、それもわかっているんだけど…」

ライドワードはジョーカーの言うそれを想像でシミュレートする。
小動物のようにチョコレートをつまむライドワードの顔が、みるみる赤くなった。

「…けっ、妄想の中で乙女ちっく全開してもしかたありませんわ〜〜」
あきれたようにジョーカーが言うと、我に返ったライドワードは恥ずかしさにさらに赤く、小さくなった。

「あ、これ、もしや本命チョコですの?」

ジョーカーは箱の奥深く、切り崩した山の隙間から小箱をみつけると、それを取り出すさま、ライドワードの目の前へ突きつけた。

「・・・ほぇふわぁっ!!」
ライドワードが口にチョコを含んだまま、動揺する。
答えになっていなかったが、赤らんだ顔とその動揺がそれを物語っていた。
小箱を奪い取ろうと手を伸ばしたが、すかさずジョーカーがその手を避けてかわした。

「いや〜ん、渡すに渡せず、捨てるに捨てられない未練がここにぃぃw」

ジョーカーは高笑いながら、その身をくねらせる。

「かわいーですわー、乙女ちっくですわ〜w」

奪い取ろうとするライドワードの手を避ける、避ける、避ける。
幾度目か、テクニカルにフェイントを織り交ぜ、ライドワードはそれを奪い取ると
息を切らせながらそれを抱きかかえた。

「あ、の、ああ、アレよね、もう食べあきたよね、ホットチョコにでもして、食べ方変えてみよっかっw あはははははッw」

あからさまに照れ隠しとわかるそれをしながら、ライドワードが調理場へと消えた。

「味のほうは、思い出の効いたビター味で〜♪」

遠くから自分の言葉に笑うジョーカーの声が響いていた。
ライドワードはちぃっっと舌打ちすると、小箱から取り出したチョコレートを溶けやすいように小さく砕いた。
なべにかけた牛乳が人数分よりやや多かったが、あまり見たくはないチョコレートを溶かして消してしまうには充分な量だった。

「……はぁ……」

思い出は解けて消えると、ホットチョコレートがそこに出来ていた。
ライドワードはそれを2つのカップに移し変え、ジョーカーの居る部屋へ戻る。
ふと見たジョーカーのよこにアラームがいつのまにか座ってた。

「もが・・・んが・・・おじゃましてまーすっ!」
ライドワードに気付いたアラームが口いっぱいにほおばったチョコレートを一飲みにして言った。

「いい加減、食べ飽きたので、強力な助っ人を呼びましたわ〜。」

少し食べ飽きてげんなりした様子のジョーカーが答えた。
その間もアラームは忙しそうにチョコレートをほおばっていた。

「ライドお姉ちゃん、チョコレート美味しいねぇw」
幸せそうな表情をしたアラームの顔ががライドワードに向けてられた。
ライドワードはアラームの口の周りについたチョコレートを優しく拭い、その横の席へとついた。

「ほらほら、急いで食べるから口の周りにチョコがついてるっ。ゆっくり食べれるの。
あと、これ、飲む?」

そういって、ライドワードはホットチョコレートをアラームとジョーカーの元へ差し出した。

「わーいw」
「うぇ、やっぱりもう胸やけしそうなのでチョコは結構ですわー」

差し出されたホットチョコレートに対象的な反応を見せた。
何も知らないアラームは無邪気にホットチョコレートを飲んでいた。
その様子に、ライドワードから微笑みがこぼれる。

「お姉ちゃん。どうかしたの???」
「ホットチョコにひそかに込められた大人の苦味に気付かない、そんなおこちゃまぶりを笑ったんですわー」

これまでの経緯を暗に隠しながら、ジョーカーが悪戯っぽく言う。

「なにそれー、アラームおこちゃまじゃないもんっ!それにこれ苦くなんかないよー?」アラームが見せるようにカップを差し出した。

「その空気の読めなさが、おこちゃまなんですわ〜w」
ジョーカーがさらに笑う。

ライドワードはそれを見ると、もう一度、小さく笑った。
カップにはすでにホットチョコも、チョコレートの片鱗もない。
チョコもチョコを渡すことも、所詮、消えて無くなってしまうようなことで、
本当に大切なことはそんなことではない、そう思うとチョコレートやその思い入れに固執していた自分に軽く自嘲した。

―トントン。
不意を付くようなノックの音が部屋に響く。

「はい、どなたです?」
ライドワードが問いながらドアを開けた。

「すまん、アラームのやつ来てるか?あいつ、MAの掃除当番をサボっ…あ、居たっ」
荒武の声がすると、他の人より頭ひとつ分程度、大きい彼の視界がアラームを捉えた。

「こら、アラーム、お前、MAの掃除当番だろっ!」
ライドワード越しに荒武が言った。

「レディのお茶会を野郎が覗くものではないですわ〜」
「あ、ごめんなさい。私達がアラームを呼んだの」
ジョーカーが顔も向けずに言い、ライドワードが言葉を付け足す。

「えへへ、ごめんなさい、忘れてたw
でも、チョコレート美味しいよっ! 隊長もどうですかぁ?」
チョコレートで幸せを充填しきったアラームがホットチョコレートの入ったカップ、
―ちょうど、ジョーカー用のカップだ―を持って隊長に駆け寄った。

「いや、俺は甘いものは…」
苦手だ、という表情をするが、アラームは無理に薦めた。
自分が好きなものはみんなも好き。少しそういった勘違いもあった。

「…あ、その、疲労回復とかにもいいから…」
ライドワードもおずおずと上目使いで、そして目線が合うと、すぐさま目線を
はずしながら付け加える。

わかった、わかったと言いながら、カップを手に取り一口だけ荒武はホットチョコレートを飲んだ。
押しの強いアラーム薦めと、珍しいライドワードの薦めに負ける形だった。

「・・・すまん、気遣いはありがたいが、やはり甘いのは苦手だ・・・」
荒武はライドワードに飲みかけのカップを渡した。
ライドワードは赤くなった顔をうつむいて隠し、カップを受け取ると、こくこくと首だけで頷いて返事をした。

「アラーム、すぐ掃除当番に戻るようにッ、いいなッ!」
アラームに向き直し、連絡だけを告げると荒武は、邪魔したとだけ告げて部屋を去った。
「じゃあ、お姉ちゃん、私、当番だから行ってくるね、チョコレートご馳走様〜w」
カップを両手でもったまま、赤面・硬直するライドワードの横を通り、アラームが荒武のあとを追うように部屋を出て行った。

「友人として、『遅くなったけど、チョコ渡せたね♪』とか、こそばゆい言葉もありましょうが、どっちかというと、この後にそのカップに口つけて、間接チス(キス)とか乙女全開シーンをやってもらって、それを激写したい…ところなのですが、まぁ、今日のところは前者でカンベンしときますわ〜、よかったね〜っと。」
と、ジョーカーは言いたいことだけ行って部屋を去った。

ライドワードは一人静かになった部屋で、後片付けを始めた。
渡せなかったチョコレートが、意外な形で渡った動揺が自分でも新鮮で、
片付けの間、度々思い出しては、うれしくも恥ずかしくなり、そして、小さく笑った。

ライドワードは以前読んだ物語の一文を思い出していた。
曰く、"チョコレートは人を幸せな気持ちにしてくれる。"

今日はそんな幸せの魔力を少しだけ感じた、そんな日だった。

「来年こそは」
―大切なことをなにかを遂げたい―そう思うのは例年と同じだったが、
少しだけチョコレートの魔力に背を押され、少し前へ踏み出せた感じがした。

<end>

255 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/22(水) 00:45:11 ID:e51KTEAM
萌えた!なんだこの少女漫画は!
乙女なライドワード姉さんが可愛くてしょうがない。
そしてジョーカーの口調がなんか好きだw
来年も渡せないんだろうなぁ(´-`*)

256 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/22(水) 17:46:04 ID:m/SrkgAI
いや、FAはないとはわかってるんだがな。なんかこないだから唐突に荒武隊長…。
旧LiveROスレからの住人とすると、ひょっとして保管庫も読まずに話作ってるのかな、と思えて寂しい話だな…。

257 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/23(木) 01:39:37 ID:6gH63MFA
あー、どっちかというと、
「お嬢は、整備なんかしなくていいから、お茶でも飲んできな」
「やだ。私もするもんー」
やれやれと少し肩を落として嘆息。かすかに苦笑い。
「…あー、あー、そこはそうじゃねえよ。ちょっと貸してみな?」

な、かんじ?

258 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/23(木) 14:56:11 ID:zgS0LrDU
寂しいよアチャスケさ〜ん!。・゚・(ノД`)・゚・。
俺も個人的には>>257風がいいかもしれない。
>>254はジョーカーさんがもう素晴らしすぎる。新たな境地ですわ〜。

259 名前:254 投稿日:2006/03/24(金) 23:54:07 ID:1MuIPE5I
感想どうもです。
スレは読んでも、読むと書くとでは、キャラづくりにズレが生じるようです。
修正していきますので、またご意見ください。
とりあえず、荒武は勉強しなおすとして、ライドワード、ジョーカーはありかな?

>255
少女漫画すかっ!そう考えたこと無かったなぁ。
かわいいのはアラームたんだけではないのだよw

>256、257、258
「こないだから」の範囲、全部私っぽいので、もっぺん考え直しますわ。
硬派な感じを保ちつつ、一人のキャラクターとして、アラームとは別で
掘り下げてみたかったんですけど、まぁ、ズレは確かに私も感じてる。


さて、次はシリアス路線で、>253の感じで書いてみます。

260 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/25(土) 03:03:40 ID:BDtrDG7g
OK、簡潔に。旧い住人が違和感を感じているのはあれだ。
ライドねえさんの想い人が昔のスレではアチャスケ(バドスケ)さんだったってことだな。

261 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/25(土) 14:00:58 ID:Ldy2X.FM
小説部分ののまとめページとかあるといいんですけどね。
設定等を漁ってくるのは当然かもしれないけど、新しく見てくれた人とか
流れや全体を追いにくいと思うんですよねぇ・・・。

262 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/03/25(土) 15:14:31 ID:dpyRzoPk
>>261
言い出しっぺの(ry

まあそれはさておき、wikiの場所提供くらいならするけど細かい管理まではやる暇が……
おおざっぱな管理程度でよければ設置はしますけど

263 名前:261 投稿日:2006/03/25(土) 19:15:01 ID:Ldy2X.FM
実際、需要なさそうですよね。
朝から初代から今までのを読んで、設定等を漁っていてちょい弱気になってました。
ごめんなさい。

264 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/27(月) 01:50:34 ID:d5QARTFs
荒武やライド姉さんなど、これからも設定等は勉強させてもらいますが
それでもご期待に沿えないような形でお目汚しでしたら申し訳ありません。
たまに上げさせてもらいつつ、少しずつでもディティールを調整していければ幸いです。

で、荒武隊長のお話。

凛としたMA格納庫の空気に、微かに少女の声と整備の音が響いていた。
冒険者よってまた壊されたMAをアラームが修復していた。

「・・・・いしょ・・・・いしょ、これで・・・終わりっと」
アラームは自分の体ほどもある重厚な整備用ハッチを力いっぱい閉じる。
勢い良く閉まる音すると、ハッチのダイアル型のドアノブが自動的に閉じられた。
軽い電子音が響くと、動作音とともにボディの切れ目から明かりが漏れる。
1〜2分の動作音が続いた後、明かりが消え、再び軽い電子音が鳴った。
―メンテナンスモード終了の合図だ。
それは自己診断プログラムを通し、メンテナンスが終了したことを意味した。

「やたっ、1発終了〜っ♪」
自分の機体、自分の作業とはいえ、アラームは整備作業が得意ではない。
普段は数回繰り返すメンテナンスの作業を1回で終わることなんて稀、もしかすると初めてかもしれなかった。

「・・・おー」
いつまでも終わらない作業を見かね、途中から手伝っていた荒武が拍手する。
作業用の軍手のままだったので、拍手は乾いた音が小さく響いただけが、誇らしげに胸をはるアラームに祝福の花を添えた。

「えへへ、手伝ってくれてありがとうー!」
アラームが感謝をあらわす。
彼女のうれしいそうな言葉と満面の微笑みには相応以上の対価があった。

「いや、お前もよく頑張ったな」
荒武はアラームの作業のたとだとしい手つきを覚えている
なるべく自分の手でやったという実感がもてるよう、手伝いも最小減にし、
あわあわと迷いながらも、それでも真剣に取り組む眼差しを覚えている。
年相応の素直さと、見た目以上の直向さを垣間見た。
荒武はそれを評価し、うれしそうにするアラームの頭を力いっぱいなでた。

「えへへ、痛いようw」
いやいやと軽く頭を左右に振りって嫌がりながらもアラームは素直に喜んでいた。

「さて、お前はもう寝る時間だな、部屋へもどってキチンと休息をとるように」
「はいっ!」
アラームは大きな声で返事をする。
正確には就寝時間に軽く差し掛かっており、整備の途中から、うとうとしていた。
返事の後、再び眠気に襲われて目をこすり、あくびをひとつとした。
そして、心配そうに見ていた荒武の表情を捉えるとアラームはえへへと笑う。

「じゃあ、おやすみなさいっ」
荒武に挨拶をすると、小走りで出口に向かおうとした、そのときだった。

・・・・・・・コロコロコロ・・・・。
アラームは軽くつま先になにかの感触を感じると、なにかが床を転がる音を聞いた。
「うっ!」
歩いたまま体がその感触に反応して膠着すると、目線をしたへと向けた。
ちょうど手のひらぐらいのギアが落ちていた。

荒武が近寄り、落ちているギアを拾い上げた。
「・・・これは」
荒武はアラームの作業を全て見守っていた。
ときに手助けをしながらも、全て不備のないよう、しっかりと監視をしていた。

(だから、俺が見た限りの整備に抜かりはないはず・・・)

荒武はそう思いながらギアの形状、ボディに刻まれたパーツのナンバリングを確認した。部品にもある程度の汎用性を持たせてあるとはいえ、整備し慣れた機体と、隊長としての知識がある、大体ではあるが、それが使われているだろう箇所は判る。
機構の外側から考えていっても、一番外側の場所を考えても、それはMAのかなり内部に
あった。
途中から手助けしたこともあり、アラームが一人で整備した場所―もっと深層での部品ということも考えられる。

「・・・ちっ」
自己診断プログラムはすでに終了し、正常終了が認められていた。
だが、MAが戦闘機械ゆえに万が一の手抜かりは深刻な事態へ直結する。
それもアラームの専用機体だ。
軍人特有の危機管理へ意識もあり、荒武にはそれを捨て置くことができなかった。

(確認するしかないか・・・)
「・・・・どうしよう・・・・」
荒武がふと気付いたとき、アラームがズボンのすそを引っ張りながら横へ立っていた。
潤めがちの目を向け、すまなそうな顔で荒武の顔を見ていた。
荒武は自分がいらぬ不安をいつのまにか与えてしまったことを悟ると、アラームへと声をかける。

「大丈夫、俺が見ていたんだ。お前の整備に抜かりなんてない」
「絶対?」
「ああ、絶対だ。誓ってもいい」
「絶対、絶対? 私のじゃないのかな???」
「ああ、きっとそうだ。誰かが落としたままにしたんだ。今度、ボロ出したやつがいたらとっちめてやる」

アラームはさらに言葉を待つように荒武を見続けていた。

(・・・こんなときアイツならなんと言うだろう。)

必死に考えるが、持ち前の不器用さから適切なフォローが浮かばなかった。
荒武は不安そうな顔をするアラームの表情を拭い去れない自分を恥じた。

「・・・・・・すでに交代の時間だ、お前は寝ろ・・・・」
「でもぅ・・・・」アラームは今だ不安そうな表情で隊長を見上げていた。
荒武はその訴えかけるような目からいたたまれなくなり、目線を背けた。
「これは命令だ。・・・この調査結果は追って全体へ連絡する・・・・」
荒武は表情を読み取られないよう、そう嘯いた。

「・・・・はい・・・・」
立場を強いて言う荒武の言葉に、アラームもまた作ったような声で答えると、荒武に背を向けて格納庫を後にした。
力なくしめられた格納庫の扉の音がすると、荒武が力いっぱいこぶしを握り、自分の顔に打ちつけた。
どんなに痛みつけても他人の痛みには変えられないことはわかっていたが、どこまでの自分を赦せない気がして、せめて迷いだけでも払いたかった。

「・・・今は己がすべきことをし、これからの後悔につながらないようにするのみ・・・」
自分へ言い聞かせると、荒武はアラーム用のMAと対峙した。

しばらくの時間が過ぎた翌朝、アラームは引継ぎのため、再び格納庫を訪れていた。
目の下には多少の泣いた跡がついていた。

「・・・・おはようございます・・・」
「お、どうした、お嬢?今日は元気ねぇなぁー?」
なんのけなしにからかうような陽気な声が飛ぶ。アラームは作り笑顔をすると、元気だよ、と答えた。

「集合ーッ!」
申し送りの時間となり、怒号のような大声が格納庫に響き、隊員の全員がまるで一体の動物のように統率、整列された列をつくった。
「申し送りの前に全員に連絡があるっ!昨日ッ、格納庫にてパーツがひとつ発見されたっ!」
荒武は手にひとつのギアを高々と掲げ、大声で叫ぶ。

調査の結果ッ、これは予備パーツと判明するが、これは整備、管理への意識の乱れッ!
由々しき事態である!よって、連帯責任で現時刻から次任務時間終了まで、全員、おかわり禁止ッッ!!!!」
どよどよと動揺のざわめきが聞こえ、「返事はどうしたッ!」と荒武の怒号が走る。
引継ぎはそのままつつがなく終わり、終了後、荒武はアラームを呼び出した。

「―というわけで、これは、お前のパーツじゃなかった、余計な心配かけてすまん。」
荒武は腰をかがめ、アラームの目線まで自分の目線をおろすとそう言った。
「えへへへへへ」アラームが微笑む。
「えへへへへへ」目の前の荒武にアラームは力いっぱい抱きついた。
「えへへへへへ」顔をうずめるようにしてなお笑う。


「・・・・・・ありがとう。」


顔を埋め、表情を見せないようにしながら、アラームが言った。

「・・・・礼を言われるようなことはした覚えが無い」
どうしようもなく、自分でも抑えきれない安堵の声だった。
荒武は抱きついたアラームの頭を撫でた。

短いような長いような数分が過ぎ、アラームは勢いよく荒武からと離れる。
そして、背筋をのばし、かかとをそろえ、敬礼をした。

「いってきますっ!」

その顔は微笑みながら、その声は今日一番の元気な声で、アラームは出撃を伝えた。

「・・・おう」
一言だけ荒武が答える。
アラームはMAまで走ってゆくと、大きく隊長に手を振りに乗り込んだ。
乗り込む最後までアラームは荒武に手を振っていた。

荒武は出撃を見送ると、そっと手にしていたギア
――形状こそ昨日のそれと同じだが、それとは違うギアを――
予備パーツの棚へ投げ入れた。


「・・・嘘、ですよね?」
荒武の背後から、管理者の声がした。
荒武は振り返らずに答える。
「なんのことですか?」
「あはははー、嘘ついても駄目ですよ。心拍に動揺と、かるい発汗が見られます」
「―まったく身に覚えの無いことです。」

「・・・・・・・・・」
二人はそのまま押し黙った。


「・・・私は元錬金術師、いわば真理の追求者でした。
ですから、この世界にある、嘘偽りの類は好きではありません。――ですが」

「あなたのような優しい嘘ならば、個人としてはとても好きです―」

「なにを仰っているのか、皆目検討がつきませんが。」

「いえ、失礼しました、それだけ、伝えておきたくて・・・優しき者よ」
そう言い残し、気まぐれな来訪者は姿を消した。

時折、知り過ぎた大人は子供に欺瞞めいた嘘をつく。
あきらめた希望の種を渡し、そして先々で華咲くことを夢見て眠る。
そしてまた嘯きながら、その罪の償いに彼らの進む道を開く。

「―そして、その先が楽園であるように―」

荒武もまた戦っている。

265 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/03/31(金) 00:59:29 ID:.vHODhEk
すみません、264の作者です。
アップローダにあげるべきだった、ごめんなさい。
(アップローダよりもこういう形のほうが好きだったので・・・。)
連続で申し訳ないが、今度は短めなので・・・・。

<SS エイプリルフール前夜>

小さな足音が遠くから近づく。それとわかるようなアラームの足音。
目の前で歩を止めると、アラームは軽く息を整える。
それでもとまらない鼓動のまま、小さな体がかるく震えた。
一度唾を飲み、その後、意を決したような眼差しがむけられた。
控えめな上目遣いの目線。頬は朱に染まっていた。
そして、ささやくような声で小さく一言。

「あの・・・好きになっても・・・いいかな・・・?」

そしてアラームは耳まで赤くなる。―そして沈黙。

「カァアアアアアアアッットっ!ですわっ!!」

ジョーカーの声が飛ぶ。
「駄目ですわ〜、ゼンゼンですわ〜。もうちょっと、こう、朴訥としたなかにも炸裂する切なさといったですわね・・・」
ジョーカーは熱のこもった演技指導をアラームに師事していた。
時折、自分の体をくねらせ、なにかが憑依したかのように自ら演じる。

「ぶううううう。ジョーカー、きびしいよぉ〜。だいたい、他の人を騙すなんて、
よくないんだよぉ〜」
アラームが頬を膨らませて講義する。

「あらあら、女も演じ切れないおこちゃまが、いっちょまえな口をですわ〜。
だいたい、エイプリルフールなんだから、嘘ついてもいいんですわ〜w」

明日はその嘘を実行するエイプリルフールだった。
そして今日、ジョーカーは朝からアラームを呼び出してリハーサルを繰り返していた。

もちろん、脚本・演出など、演技のアラーム以外は全てジョーカーによるものだ。

「ぶううううー。」なおもアラームの抗議がつづく。
「もー、いーじゃない。充分、アラームの演技もかわいいし。」
そう言って、ライドワードが微笑みながら、アラームを抱き寄せた。
「そーだ、そーだ」アラームが同調してさらなる抗議をした。

「ええいっ! 素人はすっこんでるです。
このかわいい嘘が、アラームには魔性の魅力を!野郎共にはサプライズを! 私には楽しみを!――三者三様の喜びを生み出すんですわーッ!!」
「・・・本当に望んでるのは最後だけでしょ!」
「・・・ましょお・・・w」
ジョーカーが熱っぽく語り、ライドワードが突っ込む。
アラームは聞き慣れないが、なんだかすごいような気がする単語に酔っていた。

「演出の鬼と呼んでもらって結構ッ! 今日は出来るまで特訓ですわっ!」
「おーっ♪」アラームはうって変わり、高々と腕をあげてジョーカーに同調する。
「『おーっ♪』じゃないの〜、もぉ〜〜〜」
ジョーカーの特訓は本当に夜遅くまで続いた。

「もう、こんな時間じゃない・・・・」
なぜか特訓に付き合わされたライドワードが部屋に戻ってきたのは深夜のことだった。
「・・・・・・」
ライドワードは壁際に並ぶ姿見の鏡に近寄った。

「・・・すっ・・・・好きになってもも・・・・いいい・・・」
ライドワードはアラームのやっていた台詞と演技を真似すると、言葉も震えたまま、
台詞も途中で赤くなって押し黙った。それ以上は恥ずかしさが先立っていえなかった。

「ええええエイプリフールだからっっっ!・うう・・嘘だから・・・っ!!」

ライドワードは誰が聞くわけでもない自室で、言い訳をする。
目が回るほど、頭に血が上った気がすると、ホログラフの体を額まで本の中に沈めた。

「――楽しみが増えそうですわ〜」
どこからともなく、そんな声が聞こえた。

end

266 名前:mPTarot/fA 投稿日:2006/04/01(土) 13:24:12 ID:d6.PQ5ck
http://chima5.tm.land.to/nt060401a.jpg

_o/|_半日出遅れたよ…

267 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/01(土) 13:49:11 ID:VPmHE4J.
>>266
すげーって20006年!?

268 名前:261 投稿日:2006/04/01(土) 18:33:15 ID:DNwMvvDU
>266
本当になって欲しい。

269 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/06(木) 13:08:36 ID:xjFvVrd2
二万六年だな

270 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/11(火) 22:57:41 ID:McrQ34Xc
ふと、バースリー婆さんが若返るマホウを使えて、ハイウィズ(あるいは魔女っ子)になる
・・・という脳内設定が思いついたがどうだろう、これ?

271 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/12(水) 08:09:58 ID:p33K21FQ
元がババアだと思うと萌えらんねぇ
豪血寺一族しかり

272 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/12(水) 10:00:38 ID:1g5v7kf.
逆を考えるんだ。
うさぎパンツを愛用するほどだ。子供やもしれん。
魔女の血筋故に生まれたときから老婆の呪いが掛かっているんだよ!

273 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/12(水) 16:22:19 ID:vIoGkqEA
>>272
それ、なんてシャイニングフォース?

274 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/12(水) 17:02:29 ID:GghOMdhQ
実は全部バスリたんが遠距離で操縦するラジコンなんだよ。

275 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/12(水) 20:59:38 ID:XuKllVMY
ふと、前にあったバースリーと管理者のカップリングが面白くみえて。
でも、うさびパンツのバスリたんいいな。語尾は「でちゅ」だろうか。

276 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/14(金) 23:51:51 ID:EdYJGVQg
タロットまとめサイト無くなった?

277 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/04/15(土) 02:15:01 ID:w4WxWtlo
>>276
すいません、鯖が死んでます。メモリーエラーデテル…orz
明日メモリー買って交換してくるんで、我慢してくださいな。

278 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/04/16(日) 03:17:44 ID:pOxu9XdE
ということで復帰しました。
復帰したところで何かが変わるわけじゃないんですけどね(ノ∀`)

279 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/17(月) 11:23:04 ID:pP7jW.xo
枠データ落とせなくなっちゃってるな

280 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/04/17(月) 12:07:38 ID:8ennwEYk
>>279
復旧しておきました。
っていうか昨年秋くらいから落とせなくなってた気配が・・・(´・ω・)

281 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/04/19(水) 23:30:26 ID:/zaPAxS6
>>280
復旧乙です。
サイトがあるだけでなんとなくホッとする俺ガイル。

282 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/02(火) 19:32:29 ID:S0k8o3t.
|-゚)ダレモイナイ 寂しがるアラームタンを慰めるならイマノウチ…

283 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/07(日) 01:06:16 ID:yGtFqcfw
させん。彼女はもらった。

284 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/07(日) 19:53:22 ID:Qyd0sRME
阻止。時計塔にアラームがいなくなったら困る。

285 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/22(月) 19:20:16 ID:DGdyXCNA
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)みんなどこいった?

286 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/22(月) 21:45:11 ID:FHJJJUQM
ここにいるぜよ!
…最近アラームたんと会ってないなぁ。

287 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/05/22(月) 22:41:02 ID:khQcr0t.
(´・ω・)復帰すべきか……

288 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/23(火) 20:55:15 ID:Yxuj3aoQ
リハビリついでに、書き途中だったSSを完成させようとしてもいいかな?

何度も同じ事を決意してる気がするけどorzコンドコソ

289 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/05/24(水) 01:01:08 ID:BbTVnx.o
>>288
ガンバレカモーン

290 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/24(水) 02:52:22 ID:fqM6fuqo
>>288
どんと来い!ワクテカしながら待つぜ!

291 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/05/26(金) 17:00:23 ID:NNstotd.
ちゃんと人がいたんだね…よかった

アラームタンを描く時間が取れなくて寂しいよ・・

292 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/06/02(金) 12:58:53 ID:b9NH5fMw
もへー

293 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/06/13(火) 10:24:24 ID:Q5BmuL22
もへへー

294 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/06/15(木) 03:40:37 ID:kVCX5Z4w
最近ROも御無沙汰気味だが
時計塔物語への情熱は未だ消えず。

http://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0162.jpg

取り敢えずきょぬーが描きたかった。
特に反省はしていない。

295 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/06/15(木) 20:51:33 ID:au0OaSqA
アラァァァム!その位置を俺に譲るんだぁぁぁぁ!!!

296 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/06/16(金) 18:33:17 ID:/7FYlxtI
アラームたん可愛いよアラームたん。
──

それはある日の出来事です。
時計の歯車はぐるぐる回って、チクタクチクタクという音が聞こえる何時もの一日でした。
アラームは、と言うと今日もお勉強なのでした。
彼女は子供で女の子ですから、勉強しなくちゃいけないのです。

とは言え、彼女は余り勉強が好きではありません。
推定年齢十二歳の女の子は、机にかじりつくだけの一日は退屈すぎるからでした。
「と、言う訳で火は燃えて、そのおかげで私達はお魚やお肉を焼いたりできる訳だけど──聞いてるの?アラーム」
ライドおねーさんはぷかぷかと浮いていて、少し呆れた風に言ったので、アラームは慌てて、「うん。うん」と答えます。

一応、アラームの名誉の為に言葉を付け足しておくと、普段はこんな事は無いのです。
聞き訳はありますし、十二歳には分不相応なくらいの分別だってありますし、素直な女の子です。
無いのですが、じめじめとした雨が何日も続いていて、今日は久しぶりに晴れた日だったのです。

ぱたん、と音がして。ライドおねーさんの広げていた教科書が閉じられます。授業はこれでオシマイだ、と言う事でしょう。
ですが、彼女はアラームをじっ、と見つめていたのでした。それで、アラームは不安になります。
ひょっとすると、怒られるんじゃないかなぁ、と思ってしまいます。
自分の間違いを認められるのはオウルデューク先生の厳しいしつけの賜物でしたが、しゅんとして肩を縮こませるのはいい気分ではありません。

「アラーム、今日は晴れね」とライドおねーさんが言い、アラームは頷きます。
「でも、それで授業を聞かないのは駄目よ」と続けて、アラームは益々小さくなってしまいます。
ふよふよと飛んで、ライドおねーさんはアラームの方に近づき、いかにも怒ったぞ、と言う風な様子でしたからなおさらでした。
「──良し。反省してる?」と聞かれて、「うん」と言い。
すると、ライドおねーさんは一転して悪戯っぽく笑ったのでした。

 (その後色々あって294に続く。即興なので出来は気にしないように)

297 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/06/17(土) 04:15:28 ID:RoNOhoaU
ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0163.jpg
こんなのを夏コミで頒布予定


だったらいいよね

298 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/07/05(水) 08:36:32 ID:eMUyKqPg
アラームタンに七夕ゼリーを進呈ー

299 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/07/06(木) 06:25:34 ID:E.hSk9co
そういや、もうすぐ七夕だなぁ。
……時計塔って、空見上げれたっけ?

300 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/07/06(木) 19:11:41 ID:GLS.7CAU
アラームたんの部屋の小窓からは空が見えたはずだッ!!

301 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/05(土) 00:30:36 ID:NYSxw95o
お目汚す。


今日は週に一度の安息の日。
冒険者は姿を消し、時計塔の面々も思い思いの時間を過ごしています。

天窓から差し込む光が優しく、構造の偶然が優しい風を誘う秘密の場所。
そこは、あらーむ達のお気に入りの場所でした。

いつもの喧騒を離れた優しい時間がゆっくりと流れていました。
ライドワードは普段は読めない少し厚めの本を幾つか持ち込んで読書を、
ジョーカーは手持ち無沙汰にアラームの髪を梳かしては柔らかな感触を楽しみ、
アラームはお絵かきをしながら、たまに何かを思い出しては微笑んでいました。

小さなハミングの音が連なり、やさしげな旋律を奏でます。
聞き覚えのあるメロディに、ライドワードは本から目を離してその旋律を辿ります。
視線の先、歌うのはアラーム。
アラームはお絵かきをしながらいつのまにか無意識にそれを口ずさんでいたようです。
耳に残る懐かしいその曲はそう、かつてここを旅立っていった一人の男の曲でした。

―バドスケの一番のお気に入りだった曲です。

「・・・・・・。」
ライドワードはアラームから目をそらし、再び本に向いましたが集中できません。
その曲にわれ先に気付いてしまったせいか、悪戯にその曲に誘われるようです。

(・・・そういえば、あいつがいつも演奏してたっけ。・・・)

ライドワードは本を閉じると、中空に目を向け、懐かしい思い出を追います。
微笑みながら演奏する彼、そしてその傍らで楽しそうに歌うあらーむ。
彼が旅立ってからだいぶ時間が過ぎ、ほんの少しセピア色に色あせ始めた光景。

ライドワードは性格的にか静寂を好んでいました。
もちろん、楽しそうな彼らの光景もまた、大好きではありましたが。
あのときもまた、その近くで自分は読書を楽しんでいました。
本を読み疲れてはたまにその光景を見て微笑んでもいました。

もともと歌が好きなアラームでしたが、彼が旅立ってからほんの少しだけ、
本当に少しだけ・・・歌を忘れた頃がありました。

―それからだいぶ時間が経ちます。

今日は伴奏もなく、何の気なしにハミングで口ずさむ程度かもしれません。
だけど、口ずさむ曲は、それはあの頃、彼女が歌っていたように――。

今日は週に一度の安息の日。
静かな世界で、本当に静かに小さくその曲が流れていました。

それが当たり前だと思っていた、あらーむの天使のような歌声が聞こえるあの頃、
ライドワードはたまに本に集中しすぎたときだけ、

「ほんのちょっと、ちょおっとだけうるさいかなぁw」

・・・なんて、悪戯に思ったこともありましたが、
今思えば、とても心地よいBGMだったのかも。


・・
・・・。

(・・・ほんの少しだけ静か過ぎるのも、ね?)
ライドワードはそう思いました。

302 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/06(日) 00:56:04 ID:jfNbLxjQ
さらにお目汚す。

アラームは夢中になってスケッチブックに向かっています。
なにを描こうか・・・という当初の悩みは描きはじめるとともに消え、
今では楽しげにペンが軽やかにスケッチブックを舞います。

始まりはなにげなく描いたパンク。
そして一人、また一人と時計塔の住人が次々と描かれていきます。
それぞれの思い出に乗せ、ともに微笑みあったその日々を思い出すように、
スケッチブックに描かれた住人達はみな笑顔です。

その笑顔に導かれるようにアラームからも微笑がもれます。
その小さな胸にあったかな高揚が溢れ、心が高鳴ります。
気が付けば、アラームは懐かしい曲を口ずさんでいました。

懐かしい曲、バドスケが好きだった曲です。

アラームはお絵かきに夢中になるあまりそれに気付きません。
一人描いてはまた描かれていない住人を思い出し、既に描かれた仲間に加えます。
一通り描き終えると、一人ずつたどたどしく数え、さらに一人ずつをその姿を、
その思い出を確認しては漏れた人はいないか、確認します。

スケッチブックに集結したその仲間は、そう、アラームの家族そのもの。
スケッチブックに描かれたそれは、まごうことなき、家族の肖像画でした。
その誰もが彼女の優しく、そして微笑みかけます。

中心にはかつてここを旅立っていった優しい微笑みをたたえたあの人。

ハミングだったその曲を、彼が伴奏し自分が歌った日々を思い出し、
はっきりとした歌へと変わっていきました。

曲は思い出を紡ぎながら、時計塔に優しくどこまでも響いていきます。
彼が旅立つその日、アラームを保ちきれずに涙で彼を見送ってしまいました。
すまなそうに、心配そうに、去っていく彼の姿。
目蓋の裏に残るその情景は、涙でにじんでぼやけた景色です。

あれから何日が過ぎたでしょう。
彼が去ってしばらくは思い出しては泣き、歌を歌えばその日を思い出すようでした。

彼を忘れた日々はありません。
でも、泣いてばかりではあの日のように彼を困らせてしまいます。
彼が旅の途中、この時計塔へ立ち寄ることがあったのなら・・・。
そのときは笑顔で迎えられるように、とアラームは思いました。

時計塔に響く、あの日のような楽しげなアラームの歌声。

(・・・ほんのちょっとだけど、私も成長してるんだよ、バドスケさん。)
アラームはそう思い、笑顔をその満面に湛えます。
今も昔も変わることのない晴れやかな笑顔を。

303 名前:alarmQHg/A 投稿日:2006/08/07(月) 02:11:56 ID:tqeg3Zu6
いいねー(´・ω・)たまには俺も何か書こう

304 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/09(水) 22:25:00 ID:ifXJxrec
やっぱ萌えないものはだめかなぁ、301、302の続きもあるんだけど。

305 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/09(水) 22:53:51 ID:1mGQiEn.
よみたいねぇ。
ほんわかと、どこか温まる、そんな雰囲気だって、よいものさね。

306 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/16(水) 13:44:40 ID:Sog5TrOw
萌え無しでも、読みたい人がここにいますよ。

307 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/20(日) 02:12:18 ID:oTC3NPCc
ならば、お目汚す。
萌え無しですまんが、その部分は各自の想像力で自給自足されたし。

アラームには大好きな歌を忘れた時期がありました。
バドスケがこの時計塔を旅立っていった頃のことです。

いつも隣で伴奏してくれた彼は旅立ちました。
アラームは歌を歌うたび、いるはずのない彼の存在を感じました。
まるで彼が帰っているような、この時計塔のどこかにいるような不思議な感覚です。

でも、時計塔のどこを探せども彼の姿は見えません。
口ずさむ歌は次第に小さくなり、アラームは彼がいないことを再確認します。
耐え切れず涙がこぼれ落ち、それを見た周りの仲間達はいつも心配顔です。

いつものようにアラームに微笑みかけてくれた笑顔。
その笑顔をかすかに曇らせる心配の影。

―――アラームはそのわずかな機微を敏感に感じ取っていました。

アラームは歌うことを止めました。
むやみに思い出しては心配をかけないように。
ふと、うつった鏡の前でアラームは微笑み、自らの表情をチェックします。
心配をかけないように。そして悟られないように。

それからしばらく、アラームは大好きな歌を忘れました。

アラームはいつもかわらない笑顔で誰にでも接したつもりでした。
ですが、いくらアラームが鏡の前で練習しようとも、
接する相手のに心にうつった自分の姿は見ることは出来ません。

―ときおり見せるさびしげな表情を。

――耐えて強がるけなげさと優しさを。

時計塔の仲間、―――いえ、「家族」が見落とすことはありません。
あるときクロック爺様が言いました。

「悲しくなってしまうなら今は歌わんでもええ。
アラームの好きしたらええ。

だけどもな、歌はやめんほうがええ。
その歌はあやつが残していった、いつか帰る約束じゃろ?

歌にはな、みぃ〜んな、『忘れない約束』が込められておる。
忘れてはならない悲しみを、胸躍った喜びを、信じる思いのたけを、な?

素直に歌うことは、その約束正しく表現し、正しく伝え守る、ということじゃ。
だから、悲しかったら悲しく、嬉しかったら嬉しく歌えばいいんじゃ。

約束を忘れられていたら、また一緒に歌おう!・・・というあやつの約束が、
悲しく伝え守られては、・・・あやつ、帰りづらいじゃろ?」

アラームの心の雲の隙間に小さな光が差し込みました。
光は少しずつ染み渡るように広がり、心の雲を追い払います。
その光の暖かさに溶かされた感情があふれ出し、じわじわと心に染み渡ります。
心に広がる暖かなものを小さな両手で受け止めアラームは小さく答えました。

「・・・うん」

流れ落ちそうな涙をぎゅっと目を閉じて堪えましたが、大粒の涙で溢れかえります。

「―それでええんじゃ」
コツリ、と額に硬質な感触が一度ありました。
アラームが目をあけるとクロック爺さんの優しい顔が目の前にありました。
泣き出したアラームに額をあわせて、クロックなりに慰めてくれたようです。

「これは、わしとの約束の証じゃ」
それだけ言うと、クロックは泣き止むまでアラームの傍にいました。

―荒武が手荒にアラームの頭を撫でました。

―ライドワードがアラームを優しく抱きしめました。

―ジョーカーとアラームが互いに微笑みあいました。

事情を知った時計塔の皆に会った後、アラームは以前と同じように歌い始めました。
その歌声が時計塔を満たし、誰もが舞い戻った天使の歌声に聞惚れました。


それから幾日がたったことでしょう―。
今日――。
安息の日に、アラームは再び約束の歌を歌っていました。
何故かその日、ちょっとだけ冒険者の出足が遅かったようです。
もしかすると、その歌声に惹かれたため―――なのかも、しれません。

308 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/20(日) 21:25:52 ID:KqdeaqUA
アラームたんの同人誌を部屋の中から発掘して懐かしくなってやってきた俺が来ましたよ

309 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/08/26(土) 23:35:02 ID:plU9IGLs
>>308
つられた俺もきましたよ

310 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/09/08(金) 03:25:42 ID:EQWTQkwQ
http://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0164.jpg

偶に帰ってくるバドスケさんに
楽器の手解きを受けることもあるんかなー。

311 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/09/09(土) 11:36:05 ID:qelcmFaQ
(*´Д`)b

312 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/09/12(火) 13:34:15 ID:DkcJlJ0U
(*´Д`)

313 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/09/12(火) 21:29:41 ID:nYkwys1o
なんかバドスケさんからくりサーカスに出てそうだな

314 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/09/13(水) 22:21:14 ID:gMrCAhyA
仮面の奥の表情が気になるね・・・嬉しいのかな。

315 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/10/15(日) 23:08:11 ID:pNjGWxF6
なんか気になったので転載してみる。

366 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 15:34 ID:FQZAsDjn0
来週の火曜に悪魔化来るぞ

確定情報だ

367 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 15:36 ID:pBKiPk19O
ほう^^

371 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 16:16 ID:CRzQs5lD0
来週の火曜にクリが必中じゃなくなるぞ

確定情報だ

ソースはちょっと言えねぇ

こうですか、分かりませんっ

372 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 17:00 ID:EY+ethW9O
>>371
それは韓サクにもない与太話

373 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 17:13 ID:2G1MVN4t0
来週の火曜からドロップがアラームをクリップするらしいぞ

374 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 17:36 ID:WvHwVw0D0
>>373
マジでーーーーーーーーーーっ!?
そいつはやべぇぜ

375 :(^ー^*)ノ〜さん :06/10/15 17:55 ID:mIWUfPaV0
>>373
クリップに足はさまれて汗エモだしてるアラームを想像した

316 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/10/30(月) 19:37:01 ID:UKSAwQis
ゴメンよ、荒武隊の皆… 俺には時計の針が必要なんだ… 荒武隊じゃないのも混じってたかも知れんが気にしない。
さて、あと2500個か…

317 名前:名無したん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/11/06(月) 09:16:56 ID:K7tzdQ7k
冬コミ受かったから本の中にこっそりアラームタン仕込むよ

318 名前:None 投稿日:2006/11/17(金) 22:16:59 ID:L5TeIfXY
Grove site. And great guest book.

319 名前:None 投稿日:2006/11/21(火) 16:25:42 ID:G2zLMQ7.
Hi! Beatifull site. Bokmarked!

320 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/11/24(金) 21:42:50 ID:VZTXyz1g
なんだこいつらは……
ハコの知り合いか、本の親戚か何かか?

321 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/12/08(金) 05:03:17 ID:9WDqoB4I
小説書きたいがネタがうかばん。
とっかかりだけでもいい、なにか提供してくれまいか。

322 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/12/09(土) 00:07:04 ID:dJrSruBc
つ【クリスマスにサンタを待つアラームたん】

323 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/12/23(土) 00:27:03 ID:lzPX/yPg
>>322
頂きました。

クリスマスの夜。
ゆっくりと静寂が歩み寄る町並みをアラームは時計塔から眺めていた。
いつもはとうに就寝の時間であったが、今日ばかりはーいつも変わることなく優しいがー周りの大人たちも寛容になって、その夜更かしを見守るようだった。

「くしゅっ・・・・」

アラームがくしゃみをした。
思いのほか夜も更けて、ぐっと気温も下がっていた。
外を眺めるアラームの陰から、そっと手が延びて窓がゆっくりと閉められた。

「・・・もう寝る時間よ?」

窓を閉めるライドワードが優しく微笑みかけて言った。
窓と部屋を何度も名残惜しそうに目配せすると、「はぁい」とだけ答えた。
アラームはなおを待ちわびるように窓の外を眺めてた。

「夜更かしする子には、サンタさんも来ないゾw」

ライドワードがたしなめるように言う。
自身も少し恥ずかしいことを口走ったように思えてを自嘲気味に。

「いいもん、サンタさんが来なくたって。」

アラームが背伸びをしてやっと届く窓の硝子の隅には、アラームの顔がちょこんと乗っかるように映っていた。その顔は少し憮然として頬が膨らんでいた。

「・・・こほん・・・時間なので、よい子も悪い子もベットに移動ぉー」
実力行使とばかりにライドワードがアラームを抱き上げた。
アラームはいやいやをして、手足をばたつかせてライドワードを困らせた。

――コツン。
窓ガラスが小さい音がなり、その音で二人は止まった。
二人目を丸くして合わせると、まるでひとつの意思で動いたかのように二人は窓の外を眺めた。

塔の下、やや暗い街角。や、もうちょっと右。
二人が目を凝らすと、こちらに気付いたのか、手を振る人影のが見えた。
きっと、さっきの音はそこから小石でも投げたのだろう、そしてその窓の場所を知っているということは時計塔の家族でもある証だった。

「あちゃすけさんだっ!」

乗り出すようにその姿を確認したアラームが、ライドワードのほうへ振り向き嬉しそうな声で待ち人の名前を呼んだ。
あまりに嬉しそうなアラームの顔に観念したか、ライドワードも「はいはい」とだけ答え、アラームを地面に下ろした。

「一緒に向かえにいこうね」
ライドワードをアラームの手をとって言い、アラームは満面の笑みをもって答えた。
二人は仲良く、ほんの少しだけ急ぎ足で時計塔を下っていった。
少しでもはやく会いたい、待ち人を向かえに。


聖なる夜だが、とくに奇跡も起こらない、いつもと変わらない日だった。
家族が家へ帰り、また家族がそれを迎える、そんな当たり前の幸せがそこにあっただけ。だけど、どんな奇跡より、プレゼントより、それが輝いていた日だった。

[END]

324 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2006/12/23(土) 23:43:52 ID:P8AZi3m6
(*´Д`)b ありがとう、ホンワカした。

325 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/01/07(日) 12:21:11 ID:Kf21c9I6
>>323
ぐれーとじょぶだぜ('A`)b

326 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/01/14(日) 13:56:42 ID:XlanWR7g
ライド姉さんで書いてみた。
この程度の文書力でよければ、次のネタをください;;

ttp://f26.aaa.livedoor.jp/~alarmmoe/cgi-bin/source/up0166.txt

327 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/02/13(火) 21:24:32 ID:WuY.K7Yc
アラームたんのチョコを狙いに時計塔行ってくる。

328 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/18(日) 03:32:25 ID:mPf7djUI
いまさら、バレンタイン&ホワイトデーネタのSSですみません。
しかも管理者とバースリーの若い頃をイメージしてます。
管理者とバースリーの話なんて誰が見るだって・・・。

---------------------------------------------------

一人の魔女がいる。

魔女はこの塔を守るために、"人であれば" 悠久とも思える時間を生きてきた。
人であることを止め、魔女であることを始めたその日から、
ずっとずっと長い間、この塔を守り続けきた。

―やがて到来する「楽園」を夢見て。


守り続ける日々は"魔女であれば"そう長い時間でもない。
守り続けることにもなんの不平も不満もない。

―全てはその「楽園」の為なら。

だが、守り続ける日々の中で、ひとつだけ気がかりなことがあった。
「楽園」と同じぐらい、いや、楽園よりも「大切」ななにかを忘れてしまった。

―そんな気がする。

――ずっとずっと思い出せない、魔女となったその日から。


「ほえ?管理者さん、それなーに?」
 大切そうにラッピングされた箱を抱えた管理者をあらーむに呼び止められた。

「え? ああ、アラーム、これはね…バースリーへの 贈り物ですよ」
「もしかして??? ホワイトデーですの!?」
 贈り物―という単語に興味をそそられたジョーカーが話に割って入った。

「・・・ええ、まぁ、そのようなものです」
「なんでなんでー!バースリー、 管理者にチョコあげないでしょー?」
 自分は渡せなかったが、他人の動向に(異様に)詳しいライドワードが混ざった。

「そうですね、貰ってません。最後にもらったのが―、そう、この時計塔が今の状態になる前ですかね・・・」
 あまり自分のことを話したがらない管理者がめずらしく言葉を漏らした。
管理者がふと懐かしんで振り返ると、そこに3人が目を輝かせて管理者を見つめていた。

―――しまった。と、管理者が思うより早く―。

「聞かせてーーーーーーーーーーーー!!」

 3人の大きな声が木霊した。
やれやれ、とその場から逃げられそうもないことを確信した管理者が語り始めた。

それは時計塔―さらにいえば、それが建設中の頃の話だった。


「さて、どーしたものかなー」

 錬金術師用の個室の扉の前で、一人のウィザードの女性がチョコレートケーキを持って立ち尽くしてた。ケーキを乗せた皿を両手でもってしまっている為に扉が開けないせいもある。だが、それ以上に開いたあと、自分がどう振舞えばいいのか考えあぐねていた。

 扉の向こうの男性に、チョコレートケーキを渡す、ただそれだけのことなのに、バレンタイン―という名目があるだけで、自分でも恥ずかしいぐらい、意識してしまって仕方ない。

(ええい・・・日頃なんの為に英知学んでいるというのかぁあ、こんなときに役に立たんとわああああ・・・・)

 考えるほど恥ずかしくなり、恥ずかしいからこそ冷静さをどうにも失う。
 ウィザードは火照る額を扉に(音が立たないように)そっと乗せる。ヒンヤリと詰めたい扉飾りのプレートにはそれを渡したい錬金術師名前が刻印されている。

(そうそう、部屋はここで間違いないのよねー・・・って、えええ!?)

 気が付くと名前のプレートは後退し、古めかしい音をたてて、その扉はゆっくりと開きはじめた。気が付けばかすかな魔力の発動を感じる扉にあわて、預けていた額を起こして、ウィザードは扉にむき直す。

 開ききった扉の向こう、重厚そうな机から、錬金術師が微笑みながらウィザードを見ていた。
「30分も前から私の部屋でなにをもじもじしてるんですか? どうぞ、気兼ねなくお入りください」

 ウィザードは赤みを帯びた顔を伏せて、足早に部屋に入ると、再び古めかしい音を立ててしまる扉がしまった。閉まる扉には向こう側が見えるような、魔法による細工がしてあった。

「いや、用心のために細工していたら、存外面白いものが見・・・いや、失礼。」

 本当に失礼なことを言っている―と思いながらも、錬金術師の微笑みは、まるで魔法をかけられたからのように逆らい難く、ウィザードはすべてを許してしまいそうだった。

(きっと、魔法などでなく、非論理的だが―惚れたほうの弱み―というやつだな・・・)

 ウィザードは少しでも冷静に判断しようと努めていた。

「で、御用向きはなんでしょうか? それともこんな真夜中にまで、例の"時計塔"に関する、設置予定の魔導回路の設計レポートの回収ですか?ご苦労様です・・・一応、それならここに出来てますが、それも明朝の提出のはずでしたよね?」

 悪戯な微笑みがウィザードをさらにむずがゆくさせた。
 つかつかと、ウィザードは歩み寄ると、手にしていたケーキを机に置き、なにごともなかったようにレポートを手に取った。

「ううううむ…こんな夜中まで、おおおお仕事、お疲れ様ですすすすすすっす。なにぶん建設計画にち・・・遅延があり、っそsっ早急に、資料が必要でででで・・・」
 ウィザードはしどろもどろにアドリブで答える。もとより部屋に来るためのこじ付けでしかないその理由には無理がありすぎて言えば言うほど恥ずかしさが増した。

「おや、おいしそうなケーキですね」

(さっ・・・最初から解って言っているのであろう!!)

 ウィザードはそう思いながらも、錬金術師の言い返せずにいた。
この日でないと、この日だからこそ渡したかったもの、いや、渡したかった想いを伝えるために此処に来ているのだから。焦るのは―それを果たしいからで、それが先決だった。
「こ・・こんな夜更けに、しかも職務に従事している者に、て・・・手土産ひとつもっていかない訳にも、ほら、いぃい・・・いかないしな。」

「・・・ああああ、甘いものは、そう、ほら、疲れた体にもよいと、みの=タウロス氏も・・・そうだ、言っていて・・・なんだ、その、がってん頂けましたか?」

「いいいい、いらないならよいのだぞ、多く作りすぎてしまってな・・・それが一番うまく・・・じゃなくて、おすそ分けというか、なんというか、なんだかなぁあ」

 ウィザードが矢継ぎ早に言う。
ウィザードの意味不明な話がまだ続きそうだったが間隙を縫うように錬金術師が質問した。

「・・・で、こちらはバレンタインの贈り物、と取ってもよろしいので?」

 その言葉の後、『ぼふん』という音ともにウィザードの顔から炎が上がった。
ウィザードは紅潮しきった顔から煙をもくもくと立てながら、ゆっくりと倒れ伏した。

「あらあら、からかい過ぎえしましたか、すみませんw」

 倒れ伏して聞こえている様子もないウィザードに錬金術師がやさしい声色で語りかけた。

「・・・って、おーい、大丈夫ですかー?」

 ウィザードは翌朝まで目が覚めなかった。
翌朝を錬金術師の部屋で迎え、出て行くところを他人に見られて誤解を受けたことは ―まぁ、別のお話。


―――と、そういうことがありまして、以降、一度も貰ってません」

 管理者の思い出話はそこで終わった。
終盤から3人の「鬼」「悪魔」「ひとでなし」という声が止まなかった。

「まぁ、そんなことがありまして、それ以来、ホワイトデーに私が謝罪もこめて、ずっと一方的にでも渡してる訳です、まぁ、ご本人はお忘れになっているようですが・・・」

 最後にほんの少しだけ残念そうに言うと、3人はそれで赦し、管理者に先を急がせた。


「――思えば、それが人であった最後のバレンタインでしたね。」
 3人からだいぶ遠ざかった後、管理者は立ち止まるとぽつりと一言呟いた。

 それから間もなく、バースリーにそのプレゼントは手渡された。

「毎年毎年ご苦労なことだな」
「気にしないでください、私も自立プログラムによる行動ですので。」
 バースリーはそれが特別なものということを忘れているようだった。
当たり前のように義理のつもりで皆に分けているものの一つだと思っていた。

「きっとこれは、私にとって、本当はとても嬉しいものなのだろうな?」
「さぁ、私の機械の心では解りかねます」

「・・・きっと私は忘れてしまっていて、・・・きっと「そうだった」のだろう?」
「さぁ、私の機械の心では・・・」

二人だけが通じる言葉で、その会話は成り立っていた。
二人だけの秘密で、二人とも忘れてしまった、なにかについて交わされる言葉。


昔々、一人のウィザードと、一人の錬金術師がいた。

二人は全ての命へ贈られる「楽園」を夢見ていた。
その到来の時までこの時計塔を守るために、その為の悠久に耐えうるために―。

一人は魔女になるために―――愛を、
一人は機械の体を得るために―心を、

二人はそれらを『対価』として支払い、人を捨てた。
それは遠い過去へ置き去りにした、大切な「なにか」。

楽園の扉が開かれた先に、その「なにか」もまた―あることを願って止まない。

329 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/18(日) 23:30:28 ID:4rnXejlU
いいないいなー。

330 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/03/19(月) 10:09:22 ID:lQrlXIA.
cktk・・・cktk・・・

331 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/05/30(水) 00:59:19 ID:mHPzA/Gg
なんとなく、328以来、時計塔の過去を妄想し始めました。
諸先輩方をリスペクト&イメージをオマージュしつつ、過去の話を書いてみました。
まだ続きます。
-----------------------------------------------------

冷たい雨が降っていた。
その雨に打たれることも構わずに、そこに集った軍勢―神族、魔族、オーク族、そして人と、多種多様に混在する―その誰もが押し黙り、ただ呆然と、その中央を見つめていた。
視線の先、軍勢に囲まれた中央に、一体の巨体が苦しみもだえ、断末魔の声を辺りに響かせていた。
それはかつて、ここに集う大軍勢に対峙し、神族も魔族も、そして彼らの巻き起こした諍いすらも打ち払った、空前絶後とまで言われたる超兵器の姿だった。

かつて人の手により作られたそれは、人社会を巻き込んで戦禍を広がる、神族と魔族との諍いを平定する為のものであったー。

―かつて。
その言葉が意味するように、首尾良く神魔の諍いを両陣営の損耗を以って収めることに成功した後、彼の兵器は前触れもなく突如、暴走を始めた。

制御を失った彼の力が暴威となり、この世界に生きる全ての生物にむかったとき―、

―彼の存在はただ一己の敵となった。
最強の力は最凶の力となり、―全ての命を蹂躙し始めた。

瞬く間に、世界から種族を問わず多くの命が失われた。

―そして今。
轟雷の如き断末魔の咆哮を上げながら、その超兵器は最後の時を迎えようとしていた。
その作戦を展開した混成軍が皆、緊張した面持ちでその最後を待ちわび、見守っていた。
死ぬことをわすれたようなその生命に、対抗しうる手段は乏しく、僅かに残された手段は魔導の力による次元の狭間へ幽閉であった。
決戦に集った軍勢にしても、それはただの陽動に過ぎず、兵器を見つめることしかできない現状がそれを如実に語っていた。

人の手によって作られたそれは、また人の手によって作られた魔導の増幅機関によって、封印されようとしていた。
正しくは、その魔力増幅機関を有した、ひとつの塔の力よって―。

それにより空間に穿たれた時空の狭間に引き込まれながら、彼の兵器はじっとりとした目でその塔を見つめる。

恨めしいのか、くやしいのか、辺りを振るわすような悲鳴を上げながらも、時空の狭間のその身が押し込まれようとする間も、彼の兵器は目の前に高くそびえるその塔を、ただただ見つめていた。

―その塔。
いまだ6割程度の完成率と言われながらも、今こうして彼の兵器をみごとに押さえ込み、全ての生命の明日を担う、その存在感とは裏腹に、その塔は確固たる名称はない―。

―時計塔。いつのころからか、その塔はその姿をとってそう呼ばれていた。


これは、
この物語は、
まごうことなき、かの時計塔の昔―。
皆の知る時計塔が刻んだ時間(思い出)を逆巻きにした、遠い昔のお話ー。

332 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/09/27(木) 07:52:43 ID:jfO/p.JE
壊れた時計・・・か・・・

333 名前:331 投稿日:2007/10/14(日) 17:37:53 ID:FrBph/QU
331の続きです。
主っきり331かき終えた頃からGvGに参加して続きを忘れてました。
多少、人影もまばらですが、まぁ、気にしない。
まだまだ続きます、というかいかせていだきます。

-----------------------------------------------------
「やれやれ、こんなことのためにこの塔を作った訳ではないのですけどね・・・」
宙に浮いたスフィアが写す外の光景を眺めながら、錬金術師の男がつぶやいた。
目の前には外の様子が立体的な像になって映しだされ、その中心に彼の超兵器がいた。

鳥瞰に映るその映像を眺めながら、男は溜息を漏らす。
純然たる研究者として、実験装置として作られた塔がただの兵器のように使われていることを憂う。
だがその手は休むことなく、錬金術師を取り囲む操作版の上で忙しそうに踊っていた。

「ま・・・そうもいってられませんが・・・・ね・・・」

超兵器の映像と周りに浮かんだ計器の数値を何度も確認しながら、錬金術師は独りで操作版を操作する。舞踊るような操作の度、時空に穿たれた穴はアメーバのように姿を変え、逃げようとする超兵器を捕らえた。

錬金術師もまた、この大地に住まうものの希望を担い、超兵器への最後の対抗手段―封印を施すために戦っていた。

時空/因果制御実験用 魔導増幅装置―時計塔。

錬金術師(かれ)はその全てのコントロールを担っていた。


「もう少しで、次空間の狭間へ落とし込めそうなんですけど…。」

時計塔の内部に唸りのような機器の駆動音が響いていた。
周りの計器類の数値も、振り切れそうな勢いで、とうの昔に安全領域を越えている。
タイトでぎりぎりの操作―錬金術師の男が設計の段階から経験的に得た知識―で、なんとかこの塔は動かされ、超兵器と拮抗していた。

残念のそうに機器から目を離すと、再び外の超兵器の様子に目を向けた。
超兵器が轟音の唸り声を挙げ、その声は塔の内部まで聞こえていた。
その音と、外の週音装置から拾い上げた音が奇妙なシンクロを魅せて響く。

「―我慢比べ…ってことですか。」

―あんまり得意ではないのですがね〜と心の中で独り愚痴りながら、錬金術師の男が操作する手に魔導の力を乗せた。
それ呼応するように操作盤は一斉に動き出し、触れてもいない箇所が勝手に動作する。
まるで数人がかりで行われているような操作が操作盤の上で行われていた。
それも、錬金術師の男が思う、最高のタイミングで。

錬金術師はその操作に額に汗をかきながらも、どこか楽しげな表情を顔に浮かべていた。
再び、映像の超兵器をあおり見て、呟く―。

「上等です。」


「うぉい、そっちの様子はどう?」

錬金術師の眼前に小さい映像の窓が開き、それに映るウィザートの女性が問いかけた。
「なんの用ですか? 今は戦闘体制です。持ち場を離れるとは関心できませんね。」
目もくれず、錬金術師が答えた。

「…。いつも以上に話にならんなぁ…でもまぁ、そういうな。
こちらは文句も言わず、薄暗い地下で魔道炉に魔導を注ぎ続けてる身だぞ?
…しかも、いつ終わるとも判らん。
その上、地下で状況も判らなければ、そちらからの連絡もない。
なら少しぐらいの質問してもいいだろう?」

「芳しくありません。あともう一息って感じですが、持久戦になりそうです。
通達と管理のほうよろしくお願いします、―以上、終わり。」

「ちょ…ちょっとまて、そんな一方的に…」

焦るウィザードの表情をアップで移した窓が消えうせるように閉じられた。
錬金術師のほうが返答も短めに一方的に通信連絡を遮断した。


「・・・まったく」
時計塔の地下の巨大魔導炉を有するエリアの隅で、こっそりと通信を行ったウィザードが呟くように愚痴を吐いていた―人の気もしらないで、と。

「あらあら…想い人につれなくされて残念ですのw」
音も無くウィザードに忍び寄った女セージがその耳元で呟いた。

「うひゃっ」と小さく驚き、ウィザートが飛びのいて、セージを見つめた。

「あらあら、「魔女」とまで呼ばれた女性(ひと)が、なんというカワイイ反応w」
セージが続けて微笑んで言葉を続けた。

「…まったく女心がわかってませんわね、彼は。
せっかく忙しい持ち場を仕事にかこつけて離れて、声だけでも聞こうとしたのに、
なんて冷たいおひとw…だが、それもまた快…」

「そっ…そんなんじゃないっっっ!!!お前こそ、勝手に持ち場を離れてどっ…」
ウィザードは顔をいつのまにか顔を朱に染め上げて声を張り上げていた。

「ふふっw ローテーションの休憩ですの。
持久戦になるんでしょ?なら、休めるときにゆっくり休むですのw」

どこから聞いていたと聞くよりもはやく、セージが最初からだと暗に答えた。

「護衛役のオークさん達も手持ち無沙汰で、休憩用に水やら食べ物やら用意してくれてましたわ。彼らなりに、気を使ってくれているのかしら。」
顔を紅潮させたままフリーズしたウィザードに、再起動を促すようにセージが別の話を振る。

「そっ…そうか、それはありがたい。聞いてのとおり持久戦になるらしい。好都合だ。」
ウィザードが俯いて表情を隠しながら、強気に答えた。
ほほをさすりながら、表情や音頭に心の内がでてないことを悟ると、再び言葉を続けた。
「…ここに集まった大ギルド規模の魔法職達が魔導力を注ぎ込み、それを増殖炉で数倍に跳ね上げても、拮抗するのがやっとというのか…。どれだけの計り知れない力をもつというのだ、超兵器とやらは…。」

改めてウィザードは敵の強大さを確認し、同時にぞっとする涼しさが背中を這った。

少し二人で黙った後、セージは微笑みを取り直しウィザードへ告げた。

「―今、できることをしましょう。
状況も見えないこんな地下で、それでもあなたは、その魔法職達を統率して奮い、勝利を信じて背中を預けてきたんでしょう、彼に?」

「・・・まぁな」

どこかまっすぐな言葉を含むセージの言葉に素直になれず、受け止めながらもウィザートは恥ずかしまぎれに目を逸らす。

「それを『愛』っていうんですわーーーーっっ!!!!!」

セージはひときわ大きい声で、最後を締めた。

「ばっ・・・・ばかっ!!!それとこれとは・・・ちがっ・・・・」

ウィザードは再び顔をまっかに染めて心にも無い憤慨をする。
言うや否や、否定は認めないとばかりに、セージは走って逃げた。
足が速いのは昔からのなじみでしっていたが、このときばかりは異様に速かった。

「・・あうぅ・・・」

ウィザードは手持ち無沙汰で無意識に触れた耳の温もりに気付いた。
耳まで赤くなっていたことを知ると、それだけは見られなくて、逃げられてよかったのかな、と思っていた。
さきほどまでの緊張は恥ずかしさに負け、ほぼ完璧に解けていた。


<続く…かと。>

334 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/01/04(日) 20:58:37 ID:8sxSCcV.
331、333の続きです。
だいぶ間があきましたが、とりあえず終わりまで書きたいと思います。
なにかのきっかけでふと、スレへ戻った人が見てくれれば幸いです。


「うはー、すげえすげえ。あれが抑えこまれてるぞ?」

吟遊詩人の男が、窓の外の超兵器を見てつぶやいた。
その男は時計塔側からその攻防を窺うことのできる図書資料室の窓辺に腰掛け、
ビリビリとふるえる戦場の空気を肌に感じながら、窓の外の攻防を見守っていた。


そして、その攻防を特等席から見守りながら、轟音の咆哮が響く度、
吟遊詩人もまた驚きの声を上げていた。

「うはっw」

この攻防に介入できる人間も限られてはいるが、それを差し引いても、
その声色は内外の緊張感をよそに、あきれるほどのんきなものだった。

そして辺りを震わす轟音がまた一つ響くと、今度は内側から大きな音が響いた。

吟遊詩人はその音のほうへ振り返ると、崩れた本の山と、埋もれ伏す女性の姿を見た。
伏して顔こそみえないが、前へ伸びる美しい髪は見知った女性のものだった。

「おおい・・・大丈夫ー?・・・」
吟遊詩人が声をかけると、もぞもぞと女性が動いた。
助けてといわんばかりにその姿だけが、ふるふると震えていた。
吟遊詩人が本をどけてやると、ゆっくりと体を起こした。

「・・・痛ッつつつたいなぁ、もう」
女性は鼻まで下がった眼鏡をなおしながら、散乱した本を集めて積みあげだした。
また同じ目に遭いそうではあるが、急いでる様子にその余裕のなさが伺えた。

「まじで大丈夫かよ?」
「――――――!?」

声に反応して上げた顔の正面に心配そうな吟遊詩人の顔があった。
―が、あまりに顔と顔の距離の近さに女性がとっさに後ろへ飛び退いた。

―ドンッ。
―――と鈍い音がして女性が振り返ると、そこには再び崩れ始める本の山がみえた―。

ドサドサと落ちる音だけが、女性のつむった目の裏側で響き、しばらくした後、
何の感触のなさに目をゆっくりとひらくと、そこには、自分に覆い被さり、
そのほんの山から身を挺して庇う、吟遊詩人の姿があった。

「―いや、―ほんっと、気をつけろな?」
「・・・あ・・・アリガトウ」
状況か、自分の失態にか、赤みを帯びた顔を背けながら女性は小さな声で礼を呟いた。

一通り、崩れた本を脇にまとめた後、女性は再び吟遊詩人を見た。
吟遊詩人は窓際に腰掛け、また外の観戦を続けていた。

「―ねぇ、あなたは避難しないの?」女性は吟遊詩人に声をかけた。

窓の外では、世界の命運をかけた一戦が行われ、その戦火に巻き込まれないように、
と、多くの者は遠方へと避難していた。

「―いや、気がかりがあってね、一人で逃げるわけにもいかないでしょ・・・」
窓の外を眺めながら吟遊詩人が呟いた。

「・・・き・・・気がかり・・・って?」
戦闘要員を除き、この塔から避難していないのは女性と吟遊詩人ぐらいなものだった。
女性は目的あってのことだったが、その引っかかる物言いに、女性は少しの期待を込め
質問を返した。

この一戦にまければ、世界が崩壊するかもしれない
―そう思えば気恥ずかしさもあるが、確認しておかないといけないこともある


――と、女性は自分に言い聞かせた。


まじめな顔でだまったまま吟遊詩人が振り向いた。
その雰囲気にのまれ、女性もまた押し黙り、微妙な間が生まれていた。

「いや、吟遊詩人の端くれとしてねw
この一戦の行方を見逃すわけにはいかないでしょ、語り部としては、さw」
軽口で柔和に顔を崩した吟遊詩人が答えた。

「―。あー、そうですか、そうですか。」

期待はずれな答えに少しふくれながら女性が答えた。
手持ちぶさたのように、女性はまた本を整理し始めた。


”――本当は、あなたが気がかりなんです―”

二人は互いを背にしながら、互いに心の中で本音を呟いた。


「ーで、なんで、自分こそ逃げないの?」
聞ける部分の言葉だけ、吟遊詩人は疑問にのせた。

「んー、私は司書として、この貴重な本達を守る義務がありますっ!」
(―というのでいいかな・・・)

と、女性もまた司書を名乗り、本気と言い訳半々の答えを返した。

「というわけで! あなたも!!
大事な本を別室に避難させるのを手伝ってほしいのです、がっ!?」
司書は半分の本気も、半分の義務もまた重要だった。

-------------------------------------------------------------------

「・・・おかしいですね」

錬金術師が呟いた。

その手はその間も機器の調整と操作を休むことなく動き続けていた。
戦況も順調に推移し、機器・計器類ははタイトなその性能ながらも安定し、
錬金術師自身の手に掌握されていた。

魔力は絶えず増幅炉より供給され、時計塔の隅々まで駆けめぐっている。
そして、その機能を最大限に発揮した時計塔により、さしもの超兵器も
慟哭の声を上げながら、次元の狭間へと葬りされられようとしていた。

―気味が悪いぐらいに全てが順調に推移している・・・。

喜ばしいはずのそのことが、なぜか気がかりでならなかった。
むしろ胸の奥で、消えることなく朧にくすぶり続けていた。

「・・・ふっ・・心配性すぎますかね・・・」

錬金術師は軽い疲労の為か自嘲気味に呟く。
張りつめた緊張の糸はいまにも擦り切れそうで、
楽観の許されない現在の状況においてもそれを寛容させるものがあった。

見やる計器類の間の、関係各所の映像を届けるスフィアがあった。
時間で切り替わる映像の中、必死に詠唱ささげる見知ったウィザードの姿が映った。
きっとその人がそばにいたのなら、心配のし過ぎだと笑い飛ばされたことだろう。

この戦いが終われば、世界は救われ、明日やその先が訪れる。
たやすくはないかもしれないが、きっとより良い未来を創造していける。


――その未来に、ほんの少しだけ自分の未来図を加えてもいいですかね?

ほんの一瞬ではあったが、錬金術師の顔にほころび、ゆるんだ。
そのウィザートと歩む未来を想像して自嘲気味に短く笑う。

錬金術師は、愛される幸せを気恥ずかしく思い、
それに応える自らの気持ちもまた、はっきりとは表さずに過ごしてきた。

互いにそれを察することができるだけの年月を過ごしながら、
それを確かめる機会をあえてやりすごしてきたのかもしれない。
ゆっくりと当たり前になっていくそれを、ことさら幸せだとは考えなくなっていた。

だから、錬金術師は確かめなければならない。
迎える未来で、それがなにものにも代え難いことであることを。


「―さて、そのためにもこの戦いを終わらせる必要があります、―よね?」
錬金術師がスフィアに映る超兵器の姿を見ながら、その先にみる未来へと問いかけた。

錬金術師の疲れ切った手に力が再び蘇るような思いがした。
操作盤と計器類を通し、それに応えるような手応えを錬金術師は感じていた。

――全てはうまくいく。
――疑うべきはなにもなく。

この戦いを見守る誰の目にも、そう映っていた。

<続く>

335 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/03/07(土) 03:16:44 ID:VXBMIH.I
まだあったのかこのスレ…涙出そうだ
3年分読んでくる

336 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/05/18(月) 01:16:04 ID:xtivYAiU
331、333、334続きです。
スレに人がいた痕跡をみて、涙がでそうです。
勝手やらせてもらってすみませんが、まだ続きます。

----------------------------------------

「最後の攻勢をかけますっ!
各員―もう少しです、最後まで気を抜かずお願いしますっ!!」

塔の隅々にまで、すべてを指揮統括する錬金術師の声が響いた。
塔内の人々は若干のざわつきの後、その声に答えるように自らの作業に集中した。

「後、少し…。」
錬金術師の目の前のスフィアに、次元の穴に沈みつつある超兵器が映っていた。
その呼び名が過去のものであるかのように、かの兵器は塔の力に屈しようとしていた。

その姿を見守る軍勢もその姿に安堵の視線を送っていた。
かの兵器に傷つけられた体と世界はすぐには回復しないだろうが、自らを苦しめた、
それの苦しむさまはせめてもの慰みだった。
それは曇り空から差し込んだ光のように、全ての未来に差し込んだ光のようだった。

だが、それとは違う視線を送るものがいた。

人の軍勢のとある一部隊が、ゆっくりと動き出す。
戦いで重い体を引きずり、歩くたびに重苦しい鎧が擦れる鈍い音がした。
それに気がついた人の将校がそちらへ視線を向けつぶやくように声をかけた。

「悪いな、もうひと働き・・・頼んだぞ」
一部隊はゆっくりとその将校の横を通りながら、静かにうなずいてそれに応えた。
ゆっくりと超兵器を見つめる軍勢の間をすり抜け、一路塔へと向かう。
押し黙り行動する姿にその別行動の隠密性が見て取れた。

押し黙り行動する姿にその別行動の隠密性があった。
途中ちらりと見やる超兵器の姿に、ほかが感じているような安堵はなかった。
密命を受けたその身には、苦しむ超兵器の姿が禍々しくしか見えない。
それこそがこの命令の本質だったから。

その人の部隊は予め周到に用意された道をたどり、苦もなく塔内へと侵入した。
そこまではまったく予定通りだった。

「―どこへいこうというのだね?…プロンテラ騎士団の諸君?」

塔へ入ったところで、同じく秘密裏に進入したのであろう他国の一団に会うまでは。

2国の騎士の一団が、塔内にて邂逅する。

「―貴様ら…いや、貴公らはシュバルツバルトの騎士団か…」
"シュバルツバルトの騎士団"と称された騎士たちが、沈黙を持って応えた。
応えずとも、鎧に刻まれた紋様、己ずから背負いしエンブレムがそれを示していた。

"プロンテラ騎士団"と称された一団がうやうやしく言葉を続けた。

「目的は…いや、聞くまい。おそらくは我らと同じであろう?」

互いはゆっくりと剣を抜いた。言葉の先に切り結ぶ運命だけを感じていた。

「…結構。立場は違えど我らのやることは一つ、王と国と臣民へ忠を尽くすのみ」
「次の次の戦争のため、超兵器をも退けるこの塔をみすみす他の勢力へと渡すなぞ…」
「…まかり通らぬもの。」

同じ意思が互いの口をついて語られる。互いに剣を構え、互いににじりよる。

「退けは…せぬか、お互い?」「…そのとおり。」

互いの意思を確認し、最後にそれを締めるかのように互いの剣が切り結ばれた。
硬質な物と物とがぶつかり合う音だけが、静寂の塔内に響いていた。

337 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/08/16(日) 23:02:22 ID:wPQoQhUI
「やはり…気にかかりますね。―明らかに塔全体の出力が増している」

錬金術師がつぶやいた。
跳ね上がる計器、コンソールを通じて手から感じる手ごたえ。
その手ごたえは力強く、状況を考えれば、それは心強さのように思えた。
だが、その高まりが一向にやむ気配もなく異様なまで高まり続けていた。

―増殖炉への魔力の供給が予想以上に健闘してるから?

――この塔のポテンシャルが自分の想像以上のものだったから?

状況が万事うまくいく中、些細な疑問が錬金術師の心の奥に突き刺さっていた。
錬金術師としての熟練された知識が、それを危険ななにかと予知させていた。

「―いったい、なにが…」

だか、その熟練した知識を総動員してもなお、その危険の本質を掴めずにいた。
それにわずかな苛立ちを覚えながら、流れる計器とコンソールのモニタ情報を追い、
ただの杞憂であることを願いながら、全ての情報を洗いなおすように辿る。

高く響く胸の鼓動が焦りを覚えさせた。

そのせつな劈くような警報音が響き、錬金術師をおどろさせた。

ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

「ケイホウ、ケイホウ――――侵入者アリ」

スフィアのいくつかから小さな窓が表示され、入り口周辺の映像を映す。
そこには剣を槍を切り結ぶ騎士たちの姿が映されていた。

「――なっ…なにをやってるんです!こんな時に!!」

懸念していたものとは違ったが、そこには作戦上ありえない光景が写っていた。

―それは味方同士の戦闘―。
わずかに見えた個々の綻びは、少しずつ互いに絡まりあい、
大きな非常事態へとなろうとしていた。

唖然と、その光景に見入った刹那、時を動かすように今一度警報音がなった。

ビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「ケイホウ、ケイホウ――――――魔導炉エリア ニテ イジョウハッセイ―」

先の警報とおなじく、スフィアから小さな窓が多数展開し、魔導炉エリアの
様子を映した。それと同時に緊急の通信回線連絡が開かれた。

「―こ・・こちら魔導炉っ!ねぇ!そこにいるんでしょ!?返事をして!!」

慌てる様なウィザードの声が、警報音に入り混じるように飛び込んできた。

「な・・・なにごとですっ! 状況を説明してください」

錬金術師が即応が、その声もまたず、弱るような声が続いた。
その声は背景に叫び声のようなうめき声のような音がノイズのように入り混じる。

「・・・さっきまで! 手伝ってくれていた!
オークの人たちが・・・・・オークの人たちが、突然・・・・・」

息を荒げ、切れ切れした声が続き、一呼吸おいた後、叫ぶような声が響いた。

「―――襲ってきたのっ!!!!」

通信にあわせ、魔導炉エリアを移す様子が手早く切り替わっていた。
そこには、武器を手に襲い掛かるオークと、他のウィザード達の無残に襲われる姿と、
傷を負いながらもわずかにそれに応戦する修羅の光景が映されていた。

「―助け・・・」

言葉がおわるよりも早く、それを映すモニタが切り替わる。

「―どうしました!?返事をしてくださいっ!!」

モニタに喰らいつくがのように錬金術師ががなった。
その声を無視するように無作為にアングルを変えながら、魔導炉の様子が流れ続ける。
機器が故障したのか、その中をかいくぐり、舞い踊るように、その惨状が流され続けた。
<続く>

338 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/09/07(月) 23:05:26 ID:ai9CDP8I
ゆっくり話が進んでますね。
どうなるのだろう?と、こっそり楽しみにしていたり。

339 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/10/18(日) 23:47:54 ID:KfR.ExtY
331、333、334、336、337続きです。
ちょっとだけ更新。感想ありがとうございます。
遅筆すぎですがご期待に沿えるように終わりまで書き続けたいです。

----------------------------------------
「―助け・・・」

言葉がおわるよりも早く、それを映すモニタが切り替わる。

「―どうしました!?返事をしてくださいっ!!」

モニタに喰らいつくように錬金術師ががなった。
その声を無視するようにスフィアは一瞬、砂嵐を映すと、戻った映像はただ魔導炉の様子だけを流れ続けていた。
そこに広がる惨劇の中を舞い踊り、かいくぐるように映し続けていた。

「止め・・・止めて・・・止――――――」

抜けた腰を重く引きずりながら、ずりずりとひとりの男の魔術師が退く。
その姿に覆い被さるようにゆっくりと大きな影が覆っていった。
その目には息を荒げながら、ゆっくりと斧を振り上げるハイオークの姿が映り、
斧よりしたたる誰彼ともしれない血が、直下の魔術師の頬へと数滴落ちていた。

「止めて!殺さな―――――――――」

恐怖と叫びが交錯して加速する中、その声をふさぐように斧は無慈悲に振り下ろされた。ハイオークは斧から伝わる鈍い感触を振り払うように、斧を魔術師の肉体から引き抜く。そして異なる魔術師の姿を目で追う―――

その目にとらえられれば、それは次の獲物になるということだった。
ハイオークが次の獲物へとゆっくりと移動すると、背後に激痛が走る。
その背中を異なる魔術師が打った雷球が捕らえ、ハイオークが沈んでいった。

そこかしこで、先ほどまでともに行動していた魔術師達とオーク達が争っていた。
何が起きていて、誰が敵で、誰が味方かもしれないまま、ただ自らに襲いかかるものを敵とし、持てる力をぶつけ合うようだった。

「――凍れ、ただ静かに――時の静止するが如く!!!」

詠唱の最中、苦し紛れに振り下ろされたハイオークの斧がわずかに肩を掠めた。
わずかに裂けた皮膚の痛みを感じながらも、その手に集約された魔力を一気に解放する。
「ストームガスト!!」

あたりを白銀に染め、凍れる水蒸気が煌めく。
あたりの温度が急激に下がると、数匹のハイオークが絡め取られるように凍結した。

「ウ・・ガガガガガ」
凍結する体を振り解くように激しく左右すると、その身に亀裂が走り、砕けて落ちた。

「――あなた達が―――、襲ってくるから・・・・」

くやしそうにウィザードがつぶやく。強襲に興奮しているのか、手心を加えて放ったはずのストームガストが、思う以上の力で発動していた。
ふと握ったその掌に残った魔力の残滓を感じていた。
先ほどまでの作戦行動で疲れているはずの体から、なぜか沸き上がる力を感じていた。

(・・・どうゆうこと・・・?)

だがそこには、迷い、立ち止まる暇もない。
そこかしこで行われる争いは、少しずつではあるが魔術師の側が圧されつつあった。
オークの力と数に、圧される魔術師達の劣勢が見てとれた。

「ファイアーウォール!!」

攻撃を避け、敵と距離をとる魔術師を支援するように、その間に炎の壁を置く。
状況は麻のように乱れ、そこかしこで広がる戦闘に静まる気配はまったくなかった。
そこでふと頭をよぎった小さな疑問など、その喧騒にかき消される他に無かった。

(――――――――――きりがない―)

続けて放たれる魔法に、ウィザードは言葉をつむぐ間さえない。
その目は次の目標を追い、止むことなく詠唱と魔法が繰り返されていた。
体は舞うように襲い掛かる刃を避け、敵の集団を捕捉する。

「ストームガスト!!!」
一瞬にして、勢いよく襲い掛かるその姿そのままに、敵の一団が凍りつく。
その氷塊が砕ける轟音とともに、ハイオークの一団が沈んでいった。

(―だけど――今ならいける―)

繰り返される生死のやり取りに、その身はギリギリで掻い潜り、生き残る為のその方へ、ぴったりと寄り添うように動いてくれた。
体の奥から湧き上がる力も後押しし、ウィザードはそう確信する。

ウィザードは戦場を舞い、惹きつけるように多くのオークをその身に引き受ける。
劣勢の中、そうしなければいけない状況もあり、確信の全てをそこへ注ぎ込む。

―もっと―もっと―もっともっと――――。
多くの敵を束ね、攻撃の隙をついて魔導をその手に収束―詠唱を開始する。

―どこともつかなくなった限界まで―。


・・・"ドン"・・・・。
ウィザードが魔法を放とうとその手を掲げたその瞬間、背中に硬いゴム質を感じた。
一瞬にして体の熱を奪われ高鳴りはじめた鼓動を感じながら、背後に目をやった。
その背後で背中合わせにこちらを見遣るハイオークと目があった。

(拙い・・・・)
発動寸前の魔法を掲げて無防備な体をさらすウィザードの目に、振り返りざま斧を振り上げるオークの巨体が映っていた。


<続く>

340 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2009/12/28(月) 01:59:07 ID:0LL7FRuY
(――ちっ・・・)

ウィザードはその場から飛び退いて距離をとる。
避けるにはもの足りない距離に舌打ちをひとつ吐き捨て、
せめてものダメージ軽減に展開したEQ任せに身を固めて防御姿勢をとった。

・・・・。

だが、数分とも思える数秒の後も、その斧が振り下ろされることはなかった。
オークの巨影は、斧を振り上げた姿のまま、まるで石像のように静止していた。

「グ・・・ガガガっ・」
その石像が小刻みに震えながら、消え入りそうな声で言葉にならない声を上げていた。
その腹から手が生え、そこから伸びた、細くたおやかな指に血が滴っていた。
その指が腹に収まるように体のほうへ引き込まれてゆくと、オークはゆっくりと倒れ、
その崩落に巻き上げられた埃の先に、小さな女性の影が現れた。

「ふむ・・・・まだ研究途中の余地はありますが、この属性変換、使えますわね・・・」
オークの腹を貫いたその手を見定めながら、セージが何かを確認しながらつぶやいた。
返り血を振り払うように手を払うと、飛び散る血は炎を帯びて蒸発した。

「油断ですわよ、あなたらしくもない―。」向き直してセージが声をかけた。

――ぞくり。

ウィザードの背に刹那、寒気が走った。
この混乱の中、涼しげなセージの横顔が、よく見知ったそれとは違って見えた。
本能的な恐怖が、ウィザードの心を一瞬にして凍てつかせた。

「―?――大丈夫ですの? 」
呆然と立ちすくむウィーザードに気付いたセージが声をかける。
心配そうに覗き込むセージの目は、いつもとかわらない蒼天のような色を映し、
その晴れやかな目に、ただ不安げなウィザードの姿が写っていた。

「―あ、ああ、うん、大丈夫、ごめん」
いつものセージを思い起こし、ウィザードはその杞憂を飲み込む。
戦闘に混乱したのかと自分を納得させると、落ち着いて現状に向きなおした。

「――――なにが原因で起きたのか。
 ・・・は、知りませんが、とりあえず現場の混乱は収まりつつあるようですわね。」
察しのいいセージがウィザードの心を読んだかのように言った。

あたりは、一応の収束が見受けられ、転がる人やオーク達の死屍累々のもと、
傷つきうずくまる者達を残して、くすぶるような辺りの状況がそれを物語っていた。
わずかに、だだっ広いエリアの一部で、まだ戦闘行為が散発的に継続されていた。

「――ん、でも完全にこれを終わらせて、作戦に戻らないと・・・。
私はほかの戦闘に加勢してくる・・・。――あなたは怪我人の対応のほうを・・・」

周りを見渡しながら、ウィザードが言う。
作戦の継続は、地下深く、外の様子も分からないこの場からでは分かりえなかったが、
ウィザードは後対応に備えるべく、揺り動かされた状況を元の状態へ戻そうと考えた。
体に疲弊は多少あったが、なぜか体の底のほうからジンワリと力が沸き上がり、それをカバーしていた。

「―――――どこへ、・・・・行きますの????」
再び、動き始めたウィザードの背後から、それを止めるかのようにセージが声をかけた。その背後にセージから発する魔力の収束、高まりを感じながら、ウィザードが振り返る。


ウィザードは見落としていた。

傷つき倒れた臥すその者たちが、

今持って散発的にエリアで行われている戦闘行為が、

かならずしも、オークと人間が相対するものだけではなかったことを―。

「―私と・・・・・戦ってはもらえませんこと・・・・・?」
先ほど感じた恐怖が、セージという人物の現身をなして、そこに居た。

<続く>

341 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/01/03(日) 17:31:32 ID:8g57FjG2
「…どうしてこうなった?……なにが起きている??………」

錬金術師の消え入りそうな声が小さく響いた。
天井を向いた耳には多重化してけたたましい警報音が響き、
目の前のスフィアに異常をきたした塔とその塔内の様子が写っていた。

いつのまにか体はコンソールに倒れ伏し、その様子を見ていた。
伏した体はギシギシと軋んで重金属のように重く、指一つ動きそうもなかった。

「…うご・・・・け・・・・」

自分に言い聞かせるようにつぶやいては伏した体を起こそうとしたが、
そのたびに軋む体に、皮でも引き剥がされるような激痛が襲った。
苦痛に歪み、休み休みそれを繰り返すも、一行に動かない体に焦りだけが募った。

(なにが・・・一体?・・・・)

錬金術師は必死に状況を探ろうと、辛うじて生きている目をこらす。
その刹那、その薄ぼんやりとした視界を切り裂く稲光が走り、錬金術師の目に
激痛が走る。

稲光が瞬く度、頭の裏側を叩き潰ような鈍痛が繰り返され、
その度、錬金術師の脳裏に、塔内部/各所の様子がフラッシュバックして映った。
最後に魔導炉エリアの様子が映ると、対峙するウィザードとセージの姿があった。

錬金術師の目前で、見知った仲間同士が対峙し戦っていた。
一方的に攻撃を仕掛けるセージに対し、ウィザードは逃げ回るばかりだった。

「―やめろっ!・・・お前らなにをしてるんだっ!!」

二人に向け、錬金術師は声を上げるが、その声はまるで二人に届いていなかった。
二人は無視するように戦闘を続けていた。
セージの魔力は膨れがり、可視化した魔力がオーラとなりセージから立ち昇る。
収束された魔力が新しい膨大な破壊の力を生み、避けるウィザードだけでなく、
周囲を、逃げ遅れた人とオーク、またはかつてそれであった残骸を絡めて壊していく。
ウィザードは戦闘を忌避して逃げるが、徐々に迫り来る攻撃に追い詰めらていた。

「やめろ!やめろ!やめろぉおおおおおお!!!!」
錬金術師の声は届かず、各所の戦闘もやまず、人もその他も、そして魔導炉も、
それらをすべて収めた塔の全体で、もっと大きな何かが崩れ去っていくように見えた。

「…無駄だ…おまえの声はとどかない…」

錬金術師の背後から、幼い声がした。
その声を契機に辺りの音は静止し、その声がだけが辺りに残響のように木霊した。

「…これはお前の頭に直接映した塔内の映像…。そして塔内で起きている全ての現実だ」
その声は無垢な幼さと裏腹に、凍てつくほどの冷酷な含みをもって響いていた。

<続く>

342 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/01/07(木) 01:44:03 ID:aVaW4TKM
お、続きが来ていた!
何が起きているんだろう。気になるなぁ。

343 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/02/04(木) 00:23:21 ID:lhcEuDuA
「・・・ぉおい・・・無事かー?」

塔内図書資料室の門にもたれ掛かる吟遊詩人の気遣う声が響いた。
崩れた本の山を横へ避けながら、吟遊詩人が体を起こそうとしている。

幾度目かの振動―これまでの揺れの中で、一際大きかったもの― により、
避難中の本の山が大きく崩落し、吟遊詩人に襲いかかった。
その本か、地面か、どこかに体を打ち付けたのか、その体は酷く重く感じ、上半身を起こし、扉へもたれ掛かるのが精一杯だった。

同じく大切な本を避難させていた司書の女性とは、図書資料室の門を隔てて内と外に分けられ、崩れた本の山が互いの姿を隠し、その行き来をも阻むようだった。

「・・・あ・・・うん・・・なんとか・・・大丈夫・・・」

扉と本の山の向こうから司書の返事があった。
扉の外、通路側からの塔内の駆動音に紛れた為か、その声はひどく弱々しかった。

「・・・でも・・・」

司書の言葉はそこで終わり、続かない言葉を待って静寂の間があった。

「でも・・・って! 本当に大丈夫なのかよっ!!」
静寂に不安を覚えた吟遊詩人が、がなるように言った。
駆けつけたい気持ちを阻む重い自らの体が、その声を荒げさせる。

「まってろ・・・今・・そっちいくから・・・・」

その答えは帰ってはこなかった。

床のカーペットをずる音と、体で払い除けた本の崩れる音をさせながら、
吟遊詩人は腕の力だけで這い、司書の元へ駆けつけようとした。

「こないでっッッ!!!!!!!!!」
慟哭のような司書の声が辺りに大きく響く。

「・・・その・・・いま・・・動けないのだけど・・・・・」
司書は無意識のうちに出た自らの大声に我に返り、声の調子を落とすが、
その声には隠しきれない動揺を含んでいた。

「その・・・今は・・・こっち・・・こないで・・・・・」

吟遊詩人に声を掛けながらも、司書の眼はただ一点を見つめていた。
顔に何時もよりも青白さを浮かべ、その表情は不安と動揺に呑み込まれ、揺れていた。


見つめるその先に、そのすべてを語る理由が鎮座する。

そこに降り積もった本をどかそうとも、動かない自らの足。

その足の膝から下が―――――――ない。


膝からつながるその下の感覚だけを頼りに膝を折り曲げて体へ引き寄せようとする。

追従するように体に引き寄せられる一回り分厚く見開いた一冊の本。

膝から下が、まるで、その本に喰われているか、吸い込まれているように―


――――――――――在った。


<続く もしくは引っ張るw>

344 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/05/09(日) 14:38:59 ID:yfobIjRQ
り・・・リニュまでには終わりた・・・。

-------------------------------------------------------------------

「・・・だれ・・・だ・・・」

錬金術師は、声のする方へ顔を向けた。
倒れ伏した床から見上げた映るコンソール。
その上を切り裂くように何本もの稲光が走っていた。
稲光は、明滅を繰り返しながら収束し、みるみるうちに光球へと変わった。

「これ・・・は・・・・」

錬金術師が重い体を引きずり光球へと近づくと、その光球から小さな手が現れた。
それは空を掴むように手を伸ばし、それに続く体が徐々に現れた。

その不思議な光景を呆然と見つめる。
その影が、錬金術師をゆっくりと覆っていった。


“―――h はええええええぃっ”
――その刹那。声が響いて突風のように駆け抜けていった。

序々広がる影は、その声とともに突然、錬金術師を包みこむように大きくなると、
光球から現れたその影――小さな体が、錬金術師に勢い良く降りかかった。

「―――んっっ―――くっ」

突然強襲に錬金術師が声も上げられず、くぐもる息遣いのみを吐き出す。
錬金術師はその体にの降りかかった塊を受け止めて床へ転がった。

反射的にその塊を手でどかす。
錬金術師のその手には人肌の温度と小さな質量の名残があった。
どかされたその塊、その場で体をまるめ、もそもそと動いていた。

「・・・ん・・・ハぁ・・」

その塊から産声のような弱く小さい息吹があった。
錬金術師はゆっくりとその小さな塊を見ると、それは幼い少女の姿だった。

「―――おのれ、、、まだ我を拘束し、阻むというのか―――」

先程の冷淡にして幼い声に気づき、錬金術師が顔を上げてコンソールをみると、
そこには同じ姿をした少女がもう一人、訝しげに佇んでいた。

その少女が自分手や腕、体を見やり、肩をぐるりと回すと、そうつぶやいた。

「―くそっ・・・切り離せたというに、この姿は・・・・。
なんぞ・・・・?? まるで・・・力がでない・・・???」

錬金術師を無視するように、コンソール上の少女が訝しげな声でつぶやいていた。

「誰・・・だ・・おまえは・・・」

口を開くのも重かった。
寝入りよりも重重と感じる体をおして、その疑問が錬金術師の口をついて出た。

「――――――私・・・か?」

コンソール上から、床に倒れ伏す錬金術師を見下すように少女が言う。
その瞳には、その姿とはまるで似つかわしくない冷淡な光を宿していた。

「―私は・・・っくくっ・・・お前らが『封印した』と思っているモノさ―」

嘲笑を含んだ言葉が響き、錬金術師が目を細める。

その言葉の真偽は心が感じる違和感が本当だと唱えていた。
細かな立証を脇においてなお、今まで感じていた違和感のパズルが少しずつはまりだす。その少女の声には、その少女の言葉には、そんな強制をもった呪詛の力があった。

「もっともこの姿は、我を阻もうとした、そこに転がる少女のものだがな・・」

言葉はその子供子供した声色とは真逆に、深い闇を宿す重厚な韻で響く。

「お前は―・・・超兵器・・・の意思・・・だとでもいうのか・・・・」

錬金術師が臓物を吐き出すように言葉を紡いだ。
その目は見上げるようにコンソールの上に立つ少女を見上げ、見定めるように強く光る。
「くくく・・お前だけは気付いていたようだな・・・だが・・もう遅い・・・」

少女は腰に手を当て、コンソールに腰掛けて足組む。
嘲笑とともに続く言葉は、まるで床の錬金術師へ、侮蔑のように下された。

「私は私の体という殻を脱ぎ捨て、私をも凌ごうとするこの塔と同化した。
すでに私の意思は、私を抑えようとした力を辿り、この塔へと降臨した。」

(そんなことが・・・)

出来るのか?という疑問は渦巻いていたが、現状という事実がそれを飲み込んだ。
看過した凶兆を読みきれなかった、その後悔だけが錬金術師の心に染み広がる。

「お前も感じただろう、この塔の力の膨張を。
私は私をも阻もうとしたこの塔の力を飲み込み、それと入り交じりて、
我が魔力は、血流のごとくこの塔を駆け巡り、その隅々までを掌握した。

駆け巡る魔力は私の血となり、
鼓動するあまたの機関は私を構成する体となり、
この塔の力は私がふるう手足となり・・・。

―そしてこの塔は新たな私となり、再び私は世界の滅びへと歩み始める。
―そのはず、だった・・・のだがな・・・。」

若干悔しそうに、少女はその脇に転がる同じ姿をした少女の見遣る。

「私を阻む、最後の枷(リミッター)すら、そこに転がっているのにな―。
まだ、私を阻むか。この世界を壊すなと囁き、この心を迷わすか。―忌々しい。」

もうひとりの少女、枷と呼ばれた少女が床に転がっていた。
吐息のような呼吸にわずかに胸を上下させて、静かに眠っていた。

錬金術師はその姿を過去の記憶とたぶらせて、
遠ざかる意識の中で薄ぼんやりとした過去の記憶を見ていた。

噂に聞く、
超兵器の制作も終盤、
起動寸前まで完成しなかったという『精神』という自律制御機構―。

持て余す力の飲まれ、理論上コントロール不能なまで、膨れ上がった破壊衝動。
それを抑えるために『精神』に組み込まれたリミッター。

対話不能だった超兵器の『精神』と対話し、稼働安定領域までに引き上げた秘匿機構。
そして、その秘匿機構に組み込んだとされるひとりの少女の噂。

どこぞの人体研究の派生で生み出された子(結果)だとも―。

端々の噂を頼りに整合し、繋ぎあわせた超兵器の情報。
それらが漣のように、錬金術師の脳裏に浮かんでは消えた。

薄く白んだ辺りの景色に、眠る小さな少女の姿があった。
その少女こそ、―まさか―であったのかもしれない。

「―――まぁ、いい。」
スフィアに写された塔内を見ながら、少女が軽く微笑んでいた。

「私が滅んだとでも思っているなら好都合だ。
ゆっくりと私はこの塔に潜み、本来の力を取り戻すとしよう―。」

その姿はまるでその惨状を楽しむようだった。

<つづく>

345 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/05/21(金) 00:37:53 ID:QgSGXrck
続編乙です。後1カ月か……

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