【いくら】♀アルケミたんに萌えるスレ【ひまわり】
[60:18(2004/02/11(水) 13:18 ID:bRJhrS8Q)]
「●×□▽×〜」
「ふぅ…」
逃げたビッグフットを捕まえ、ようやく皮を剥ぎ取る。
ああ、熊さん、私のあったか露天ライフのためにわざわざ犠牲になってくれるとはっ(つ_;)
これでふかふか座布団は私の物♪
「あ、でも…」
周りをふと見回す。
ビッグフットを夢中で追いかけたせいで現在地が把握できなくなってしまった。
森は入り口付近よりも、さらに暗くさらに不気味な様相を示していた。
周りは闇に閉ざされ、もけけぴろぴろと聞いたことのない怪しい鳥が囀っている。
この森は迷いの森。
入って行方不明になった人の数は、数え切れないほどである。
一瞬不吉な考えが頭をよぎる。
不吉な考えを助長するように、怪しい獣の叫び声も聞こえてくる。
「で、でもでもっ、こんなときはこれっ。
ぱかぱぱーん、蝶の羽〜。
これさえあれば、たとえ寒いダンジョンの奥深くで迷っても、一瞬で暖かい我が家へ。
これでもうダンジョンで遭難することもありません。
命がこれ一個で守れるものなら安いもの。冒険者必携の一品。
定価300zのところを、今なら冒険者価格でたったの230z、やすいっ(≧▽≦)ノ 」
アイテムを取り出すと、ついつい売り文句が口から出てしまうのは、
長年商人をやっている悲しい運命。
こんなもけけぴろぴろしかいないところで売り文句言っても仕方がないでしょーに。
「それじゃぁ、一つもらおうか」
「なkdmhぁwfゔぁmcfp」
誰もいるはずがないと思っていたところで、急に背後から声をかけられて、
私は言葉にもなっていない声を発してしまった。
こんな迷いの森の奥深くでに人がいるなんて。
もしかして鬼!? 亡霊!?
気づかない間に背後を取られていたことに驚愕しつつも、
サイドステップで距離を取りつつ、腰の剣を抜いて、そして振り返る。
「久しぶりだな、ケミ娘殿」
そこにいたのは…
鬼でも亡霊でもなく…
悪魔だった。
それも、悪魔の中の悪魔。
山羊の頭と脚を持ち、人間の体を持つ、異国の言葉で「天」「星」を意味する悪魔の王。
手に持つ鎌をを振るえば、全てを空気ごと切り裂き、
ひとたび呪文を詠唱すれば、周りに草一本残らなくなる。
そんな究極の悪魔。
そして…
一人の人間の女性と恋に落ちてしまった優しき悪魔。
今は、たった一人の娘を陰ながら見守る暖かき父親。
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