【アブラ】セージ萌えスレ【カタブラ】
[115:3(2005/06/09(木) 11:33:39 ID:yOy5pEbM)]
「あんなの食らったら・・・うーぶるぶる」
「やー・・・君凄いねえ」
樹に隠れたままの色が言う。
樹を挟んで逃げたはずなのに、目の前にいる影に向かって。
「テレポート・・・か。なんか〜逃がしてくれそうにもないね!」
手に持った大荷物を地面に置きながら、どこか間の抜けた声で色は言う。
そしてそのまま・・・静かに対峙する色と影。
「ォォォ……ォォオオオオオ…!!」
先に動いたのは影。再度、体の周りに白の塊を生み出し、ゆっくりとそれを体から話す。
「死んでも・・・怨まないでね」
言ってから、その声は現世の言葉とは違う音を発して行く。
呪文詠唱―自らの気を言葉とし、練り上げ、形ある魔法へと昇華して行く動作。
その音は澄んでいて、奏でるように口を噤み流れゆく。
影の周りに発せられた白の塊が詠唱中の色目掛けて伸びる。
マジシャン・ウィザードなら食らってしまうタイミング。
だが、色は体を捻り、跳ねさせ、その塊全てをかわしていく。
そう、フリーキャスト―長年の研究により、本来ならば動けないはずの詠唱中に、
脳を詠唱に、気を体を掌る神経にまわすことにより体を強制的に動かす、セージたる魔法。
パンッ!
両掌を強く叩き合わせ、紡ぎ錬った気を具現化させる。
白の塊全てをかわした色の周りに、赤い炎が1つ2つと生まれ・・・その数は徐々に増えていく。
「ファイヤー・・・ボルト !!」
生まれた炎は、力強き言葉と共に矢となり敵へと向かって行く。その数10。
「ウオオ…ォォォォォ!」
1つ、2つ、3つ、矢が当たったところで、『音』を残し影がふと掻き消える。
残った矢は虚しく空間を焼き消えていく。
間髪入れず色は短い詠唱をはじめ、
「ファイヤー・・・ウォール !!」
再びの呼称と共に今度は手の平を自分の後ろの地面に叩きつける。
後方に現れた影が音を立てず押しつぶそうと色に迫る。その眼前に、3つの火柱が立ち上がる。
勢い止まらずその火柱に影が突っ込み、火はうねる様に影に絡んでいく。
そしてそこに飛んでくる色の発せられる音。
「オォォォォォォン!!」
「ファイヤーボルトォ !!」
火の向こう、『音』を発しながらそこにいるはずの影に向かって、再び10本の炎の矢が飛ぶ。
その矢は火の壁を通過し、その向こうでボスボスッという音が10個聞こえる。
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