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ときめきラグナロク Episode4.0

77 名前:1/2 投稿日:2004/05/03(月) 02:51 ID:4NZpFvjo
>>65の選択肢7番!>>21作者が継がせていただく!
長くなったから2レスに分けるけど…人あんまりいないから良いよね…?(´・ω・`)
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♂騎士先輩が♀アサ先輩をどこかに連れ出した。
学園内で二人がライバル同士だということを知らない人間はほぼいないと言ってもいい。
しかしこの状況で二人が連れ立って席を外すというのはどういう展開になるのだろうか。
一応今日のところは休戦ということになっているらしいが…。
それと、以前♂シーフが持ってきた情報(>>21あたり参照してもらえるとありがたい)もある。

この桜の木の下で雌雄を決するための果し合いをするのだろうか?
それとも愛の告白だろうか…?

1.気になる
2.気になる
3.気になる

OK、俺の行動は決まった。
幸い(?)、♂クルセ先輩リサイタルのおかげで周囲は大騒ぎ、誰も気づいていない様子だ。
ここは俺が真実の目撃者となるしかあるまい。
主人公「ってわけでここは任せたぞ、♂シーフ」
♂シフ「おう。って、何が?え?何なんだよ!?って、どこいくんだYO!」


一団から少し離れた桜の木の下で二人は向かい合っていた。
立ち並ぶ桜のおかげでちょうど死角になる場所だった。
主人公(上手い具合にみんなからは見えない場所だな…迷わずここに来たみたいだし…)
…確か今日の花見の首謀者は騎士先輩だったような気がする。(前スレ>>683あたり参照)
主人公(ということは、何かしらの計画があったと見て間違いないな)
俺は二人に気づかれないように、大き目の桜の陰に隠れ、そっとそちらを覗き見る。

♂騎士「悪いな、時間取らせて」
♀アサ「別にいいわよ。あの本家真っ青の不協和音の中にいるよりはマシ」
騎士「ははっ、違いない」
俺は今まで二人が会話してるのを聞いたことはそれほど無かったが、その時ほどお互いに棘は無い。
するとやはり愛の告白なのか…?
アサ「で、用件は何?」
あくまでも無感情、興味無しといった風に訊ねるアサ先輩。
騎士「あぁ。お前に言っておきたいことがあるんだ」
アサ「小言やら愚痴なら遠慮させてもらいたいわね」
騎士「まぁ聞いてくれ。いつか…できれば、そう遠くない未来に――」

騎士先輩が間を空け、深呼吸をする。
くるか?くるのか!?
一人で興奮し、息を飲む俺。正直情けない。

騎士「オレと…決闘をしてほしい」

えええぇぇぇぇぇ!!?
結婚じゃなくて決闘!!?
その言葉が信じられなかった。本気で裏切られた心境だった。
アサ「それは、果し合いの申し込みと受け取っていいのかしら?」
騎士「あぁ、構わない」
二人とも、先ほどまでの和やかなムードは既にどこにも無かった。
アサ「話はそれだけかしら?」
騎士「いや、もうひとつ」
言うと先輩はおもむろに剣を抜いた。
剣先を上に向け、剣を持った右手を前に突き出して言葉を続ける。

騎士「…回りくどいのは苦手だ。率直に言う」
アサ「私もそうしてもらえるとありがたいわ」
…もう先輩が何を言おうが驚かないぞ。
まったく、何を言うつもりなんだか…。

騎士「オレは、お前が好きだ」

78 名前:2/2 投稿日:2004/05/03(月) 02:52 ID:4NZpFvjo
そして後編!先輩の語りが長ぇっ!
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なんてタイミングで告ってんだよ!!
わけわかんねぇぞ、この先輩!!

騎士「オレは騎士でお前はアサシン。共に前線に立つ職だ」
アサ「えぇ、そうね」
アサ先輩も口調は変わらないけど目が点になってるよ…。
騎士「オレは誰かを…漠然としてるけど、とにかく大切な人を守りたくて騎士になった」
剣を掲げたまま、先輩は静かに続ける。

騎士「目指してた騎士に転職して、我武者羅に訓練を積んできた。
   お前の存在を知って、お前にだけは負けるもんかって必死になってた。
   互いにライバルとして、負けたくない相手として切磋琢磨して…。
   そのおかげで…自分で言うのもなんだけど、それなりの腕は持ってるつもりだ。
   でも逆に、オレが目指してた『大切な人を守れる騎士』になれるかはわからない。
   …いや、その理想像に疑念すら抱くようになってきた。

   『誰かを守る』なんてのは、単なる独り善がりの偽善、自己満足に過ぎないんじゃないかってな。
   もちろん、それが悪いとは思わないし否定する気も無い。
   ただそれだけしか見えてなかった…見ようともしてなかったオレ自身を恥じた。
   あの戦闘実習の時にさ、答えが出た。
   『誰かを守るための盾』じゃなく、『誰かの為に戦う剣(つるぎ)』になりたい思った。
   そして……オレの背中を預けたい、オレが背中を預かりたい。
   背中を、命を預けあえる存在になれるかどうか確かめたい。
   そのために決闘を申し込んだ。

   もし、オレの気持ちを受け止めてもらえるなら、この決闘を受けて欲しい」

そして、沈黙があたりを支配する。
遠くから聞こえる不協和音ですら、別世界のものに思えるほどに。
口を開いたのはアサ先輩だった。

アサ「…まったく、おかしな話ね」
キィィン――……
自分も愛用の短剣を抜き、騎士先輩の剣と交差させるように軽くぶつける。
俺が今まで聞いたことのあるどの楽器よりも、綺麗で、澄んだ音だった。
アサ「前から私によく似てるタイプの人だと思ってたけど…まさか考えてることまで一緒なんてね」
そう言うアサ先輩の顔には微かな笑みが浮かんでいる。
アサ「返事は…言うまでも無いわよね。じゃ、先に戻ってるわ」
あっさりと言い放ち、軽やかにみんなのところへ戻っていくアサ先輩。
もしもこの場面が絵になったとしたら、『るんるん♪』と書き加えたい。

騎士先輩はその後数分、微動だにせず、目を閉じていた。
騎士「剣(つるぎ)では、プリーストのように直接人を助けることはできない」
ふと、先輩が突然口を開いた。
騎士「剣を振るうことで人を守ることはできるが、どれだけの人を守れたかという指標すら見えない。
   一人の剣で守れる人数なんてたかが知れてる。しかし、だから剣を持つ者は一人じゃない。
   守るための盾となるか、戦うための剣となるか……。
   それを決めるのはお前自身だ、主人公」

バ、バレてらぁ…。
主人公「え、えーと…すみません、盗み聞きして…」
騎士「気にするな。お前には証人になってもらうからな」
主人公「うゎっ、責任重大…」
騎士「とりあえずこのことは他言無用だ」
主人公「は、はい」
騎士「お前は昔のオレに良く似てる。オレが言ったこと、忘れるな」
そう言い残し、マントを靡かせて去っていく先輩。
騎士「道はひとつじゃない。切り開くのもまた道。ま、後悔の無いようにな」

そう言う先輩の背中は、すごくカッコよかった。

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