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ときめきラグナロク Episode4.0

[207:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/12/12(月) 06:56:27 ID:0HJTEA/M)]
主人公「お?」
なにやら香ばしい良い匂いがしてきた。
ケミ「いらっしゃい、ゆっくり見ていくといいよ」
ミニグラスをかけた温厚そうなアルケミさんの露店からだった。
まーちゃん「これは……焼き芋だっ♪」
途端、まーちゃんの目が輝きだす。
そういえば、スモーキーも焼き芋が好物なんだっけなぁ。
まーちゃんが俺を向き、ジロリと睨みつけてくる。
気のせい気のせい。
ケミ「お譲ちゃん、焼き芋が好きなんだねぇ。彼氏さんも一緒にどうだい?おまけしとくよ」
にっこりと暖かな笑みで接客するアルケミさんと、顔を赤らめてモジモジするまーちゃん。
このアルケミさんに好感が持てるし、値段も良心的ときたもんだ。
主人公「じゃあ、2つください。あ、俺が奢るよ」
さすがにさっきからいじめすぎた(心の中でだが)引け目もあるしな。
アルケミ「はいはい、毎度どうも〜」
会計を済ませ、商品を受け取る。
焼き芋を茶色い紙袋に入れるのは、アルケミさんの趣味なのだそうだ。

まーちゃんと二人、プロンテラ中央の噴水広場のベンチまでやってきた。
その間まーちゃんは終始ご機嫌で、微妙にテンポのズレた鼻歌まで歌っていた。
ちょうどあいていたベンチに、並んで腰を下ろす。
主人公「ほい」
ガサガサと袋から焼き芋を取り出し、まーちゃんに手渡す。
まーちゃん「ありがとうー♪」
俺も自分の分を袋から取り出したところで違和感があった。
主人公「あれ?もう1個入ってる」
あぁ、そういえばアルケミさんがおまけしてくれるって言ってたっけな、と思い出した。
ふと隣を見ると、幸せそうな顔で焼き芋を頬張るまーちゃんが。
まーちゃんの体格と相まって、可愛らしい小動物を連想させる。
そんな姿に頬を緩ませながら、俺も焼き芋に齧り付く。
主人公「ん、美味い」
口の中に広がる香ばしい甘味、もふもふとした食感に丁度いい暖かさ。
まーちゃん「うん、すごく美味しい。きっと、マステラよりも美味しい」
それはさすがに言いすぎだろうと思いつつ、幻想の中のそれよりは遥かに美味しいと思えた。

はぐはぐとすごい勢いで焼き芋を頬張るまーちゃん。
とはいえ、元が元のためにそれほど速くはない。
俺も小腹を満たすために、自然とペースが上がる。
特に会話もないまま、しかし暖かい幸福感の中で、ほぼ同時に食べ終わる。
主人公「もう1個あるけど、どうする?」
まーちゃん「主人公君の奢りだし、主人公君が食べなよ」
微かに頬を赤らめながら、にっこりとまーちゃんが言う。
主人公「そうか?じゃあ……ほら」
残りの1個を半分に割り、片方をまーちゃんに差し出す。
まーちゃん「いいの?」
主人公「おう」
さっきの幸せそうなまーちゃんの顔を思い浮かべ、そのための代価だと思えば安いものだ。
むしろ安すぎだ。
まーちゃん「えへへ……ありがと♪」

ベンチで寄り添うように肩を並べながら人々の往来を眺める。
(実際には肩と頭を並べながら、だが)
先ほどとは打って変わって、ゆっくりと味わいながら焼き芋をかじる。
主人公「ほんとに焼き芋が好きなんだな」
まーちゃん「うん、大好物だよ。でも、今日はすごく嬉しかった」
美味しい焼き芋にありつけてかな?と思ったが、次の言葉で否定された。
まーちゃん「あのアルケミさん、わたしたちをカップルって見てくれたことが」
主人公「あぁ……」
そういえばあのアルケミさん、俺のことを『彼氏さん』と呼んでいたっけ。
まーちゃん「主人公君と歩いてると、いつも兄妹に間違えられてるもんね」
主人公「言われてみれば、そうだよなぁ」
その度にまーちゃんは口を尖らせて否定してるんだよな。
主人公「でも良いのか?俺なんかとカップルに見られちゃって」
まーちゃん「嫌なわけないよ。だって、わたし主人公君のこと……」
即答するまーちゃんだが、彼女にしては珍しく、後半は聞き取れないほど小声だった。
主人公「え?」
まーちゃん「え、えーと……えへへ……」
顔を真っ赤にして困ったように笑うまーちゃん。
今日はまーちゃんのいろんな顔を見た気がする。

まーちゃん「また、一緒に焼き芋食べようね♪」


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