ときめきラグナロク Episode4.0
[303:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/05/21(日) 01:00:27 ID:smLSWKV.)]
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悪「というわけで、だ。
今すぐ決める必要もないし、いつか転職の日までゆっくり悩めよ。少年。
今のうちしか悩めない問題ってのは貴重なもんだ。」
そういって微笑むローグ先輩。
悪「といっても私自身は、ローグになるしか道はなかったし、
あまりそのあたりで悩みはしなかったんだがな。」
主「え? ‥というと?」
悪「あぁ。話したことはなかったか。私の両親は共にローグだったんだが。
ある時、夫婦そろっていなくなってから
私自身や妹達を養うには、手っ取り早く稼げる道を選ぶしかなくてな」
過去形&いなくなったというと、事故かなにかで‥?
悪「あぁ。いや。両方ともたぶん健在だ。長女の私が多少自立できるまで育ったあたりで、
自由を探してくると連れだって放浪しはじめた根っからのローグ夫妻なんだよ‥‥」
主「そ、それは‥‥さすがというか‥」
悪「まぁ、幼い頃から楽しげに馬鹿やっている両親をみて、ローグに憧れていたのもあるしな。
自分ではこの道を選んだことに後悔はないし、まだまだやりたりないことも多い。
唯一の手違いは、妹2人もローグになるとはな‥‥」
主「‥‥ローグ一家ですか」
悪「妹達はまっとうな人生を歩んで欲しかったんだがなぁ‥‥」
溜息一つ。
主「でも、ローグだってまっとうじゃないですか。
先輩みたいな人がいるんだし。」
悪「ん? あ、あぁ。そうだな。あいつらもローグを楽しんでいるようだし。
なにより、やりたいようにやるのが我が家の家訓だしな。」
主「そうですよ。俺自身にはあまりローグの知り合いはいませんが、
楽しい人、優しい人も多いという話も結構ききますし。
一部の悪評もありますが、ある意味羨ましいですよ。」
悪「ほほぅ。じゃあ、君もローグを目指すか?」
主「いっ、いやっ、俺、一応剣士ですし。」
悪「ん〜。平気、平気。うちらはそんな些細なことは気にしないって。
なんならマキに話つけてきてもいいし。」
主「ぃゃぃゃぃゃぃゃぃゃぃゃ」
悪「ちっ。つまらん」
主「勘弁してくださいよ〜」
***
そんなこんなで。
多少、胸のもやもやも薄れかけたころ。
悪「む。そろそろかな。 よし、少年。今日はこの辺で。あと、これあげる。」
そういって一瞬のうちに姿を消すローグ先輩。
主「あ、はい。今日はどうもでした」
戸惑いながらも返事をした瞬間。
屋上の扉が大きな音を立てて開き。
剣「あー。ったくこの馬鹿。いままでどこにいってたのよー!!」
ア「心配したんだからねー。何度も見に来たんだよー。」
魔「どうせ○○のことだから、進路のことで1人悩んでたんでしょ」
弓「水くさいよ。相談してくれればいいのにー」
わきゃわきゃと騒がしい群れが襲いかかってくる。
盗「あら。思ってたより元気っぽい」
一歩離れたところから冷静なコメントを零すシーフたん。
商「あ。そ、それは南蛮渡来の高級お菓子、苺ポッキーではないですかっ」
手の中にある逸品をめざとく見つけるまーちゃん。
というか、このポッキーはいつのまにっ。
こんな状態でそうそう落ち込んでもいられない。
悩むのはあとにして、とりあえずは目先の一歩を踏み出すとしますか。
そんな風に思いつつ、みんなと一緒に屋上をあとにすべく歩き出す。
そんな俺の耳に、
悪「そうそう。さっきはローグを真っ当といってくれてありがとうな。嬉しかったよ。
これからも賑やかにまっすぐ頑張れよ、少年」
かすかに聞こえた先輩のささやきとクスリという微笑は
暮れてゆく夕風に融けてすぐに消えていった。
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