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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】

[265:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/03/31(金) 00:59:29 ID:.vHODhEk)]
すみません、264の作者です。
アップローダにあげるべきだった、ごめんなさい。
(アップローダよりもこういう形のほうが好きだったので・・・。)
連続で申し訳ないが、今度は短めなので・・・・。

<SS エイプリルフール前夜>

小さな足音が遠くから近づく。それとわかるようなアラームの足音。
目の前で歩を止めると、アラームは軽く息を整える。
それでもとまらない鼓動のまま、小さな体がかるく震えた。
一度唾を飲み、その後、意を決したような眼差しがむけられた。
控えめな上目遣いの目線。頬は朱に染まっていた。
そして、ささやくような声で小さく一言。

「あの・・・好きになっても・・・いいかな・・・?」

そしてアラームは耳まで赤くなる。―そして沈黙。

「カァアアアアアアアッットっ!ですわっ!!」

ジョーカーの声が飛ぶ。
「駄目ですわ〜、ゼンゼンですわ〜。もうちょっと、こう、朴訥としたなかにも炸裂する切なさといったですわね・・・」
ジョーカーは熱のこもった演技指導をアラームに師事していた。
時折、自分の体をくねらせ、なにかが憑依したかのように自ら演じる。

「ぶううううう。ジョーカー、きびしいよぉ〜。だいたい、他の人を騙すなんて、
よくないんだよぉ〜」
アラームが頬を膨らませて講義する。

「あらあら、女も演じ切れないおこちゃまが、いっちょまえな口をですわ〜。
だいたい、エイプリルフールなんだから、嘘ついてもいいんですわ〜w」

明日はその嘘を実行するエイプリルフールだった。
そして今日、ジョーカーは朝からアラームを呼び出してリハーサルを繰り返していた。

もちろん、脚本・演出など、演技のアラーム以外は全てジョーカーによるものだ。

「ぶううううー。」なおもアラームの抗議がつづく。
「もー、いーじゃない。充分、アラームの演技もかわいいし。」
そう言って、ライドワードが微笑みながら、アラームを抱き寄せた。
「そーだ、そーだ」アラームが同調してさらなる抗議をした。

「ええいっ! 素人はすっこんでるです。
このかわいい嘘が、アラームには魔性の魅力を!野郎共にはサプライズを! 私には楽しみを!――三者三様の喜びを生み出すんですわーッ!!」
「・・・本当に望んでるのは最後だけでしょ!」
「・・・ましょお・・・w」
ジョーカーが熱っぽく語り、ライドワードが突っ込む。
アラームは聞き慣れないが、なんだかすごいような気がする単語に酔っていた。

「演出の鬼と呼んでもらって結構ッ! 今日は出来るまで特訓ですわっ!」
「おーっ♪」アラームはうって変わり、高々と腕をあげてジョーカーに同調する。
「『おーっ♪』じゃないの〜、もぉ〜〜〜」
ジョーカーの特訓は本当に夜遅くまで続いた。

「もう、こんな時間じゃない・・・・」
なぜか特訓に付き合わされたライドワードが部屋に戻ってきたのは深夜のことだった。
「・・・・・・」
ライドワードは壁際に並ぶ姿見の鏡に近寄った。

「・・・すっ・・・・好きになってもも・・・・いいい・・・」
ライドワードはアラームのやっていた台詞と演技を真似すると、言葉も震えたまま、
台詞も途中で赤くなって押し黙った。それ以上は恥ずかしさが先立っていえなかった。

「ええええエイプリフールだからっっっ!・うう・・嘘だから・・・っ!!」

ライドワードは誰が聞くわけでもない自室で、言い訳をする。
目が回るほど、頭に血が上った気がすると、ホログラフの体を額まで本の中に沈めた。

「――楽しみが増えそうですわ〜」
どこからともなく、そんな声が聞こえた。

end


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