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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】

[32:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/03/10(木) 16:05 ID:DZckOT7Y)]
そこはある田舎町の場末の酒場だった。
 其処に、一人…否、二人の男が居た。

「かくして彼等は、楽園を目指す。それでも彼等は楽園を目指す。
遠い遠い、茨の道を歩む。遥か彼方。決して見果てぬ夢目指す。
巡る巡る時計の針は、何時か必ず、その楽園を指し示す」

 明るく、優しく、寂しく、稚拙で、けれど美しい歌。
 手にしたギターの音色と絡み合い、聞く人々を魅了する。
 その歌を詠うは、奇妙な仮面を被った、骸骨の様に痩せた詩人。
 二人の男の、一人。

 旋律が、緩やかになり、穏やかになり。
 そして、最後に一度だけ、強く弦を弾き、詩人の指が止まる。

 「皆、聞いてくれて有難う」

 詩人は、彼の歌に似合わぬ素っ気無い言葉を投げ、観衆へと一礼する。
 その場に居る誰も彼もが惚けた様に詩人を見つめたまま、数秒の時が過ぎた。

 『パチ…パチパチ…』

 不意に…数人の男が、詩人に拍手を送る。

 『パチパチ…パチパチパチパチ…』

 それは、次々と周囲の者を巻き込んでいく。

 『パチパチパチパチパチ』

 やがて、酒場は割れんばかりの拍手に包まれていった


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