◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
[71:殴りプリとアサシン(3/3)(2006/07/04(火) 15:15:52 ID:.bHY9Esw)]
「俺上手だから、大丈夫だよ。キモチヨクさせてあげるよ?」
俺の両膝に手をかけて、妖艶に笑うその顔は、しかしまだ幼さを残していて。
いくつだろう?まだ少年といっていいくらいの年頃で。
それなのに、「体でお礼」がさらりと出て来るのが無性に悲しいと思った。
ひょいと抱き上げて膝の上に乗せてみる。
軽い。
「えとな、お礼をって気持ちはありがたいんだけど、体は大事にしないと駄目だぞ」
軽く抱き締めて髪をなでると、アサシンは暗い声で呟いた。
「キレイゴトだね。さすがプリースト様だ」
アサシンはするりと俺の腕から抜け出して立ち上がった。
「萎えちゃった。もういいや」
拗ねた表情は、やっぱり子供で。
放って置けないと思うのは・・・父性本能ってやつだろうか。
「お礼はしてくれないのか?」
「お礼しようとしたら嫌がってたじゃないか。金は無いし」
「おいおい、礼=体なのか」
「・・・そう、教えられてきたよ」
こいつの師匠に会うことがあったら絶対殴る。
泣くまで殴る。
つーか、殺す。
密かに決意しつつ、俺は努めて明るく言った。
「俺の弟がアルケミストでな。材料集めを手伝ってくれないか?」
「そんなことでいいの?」
「あぁ。助かるしな。で、返事は?」
「・・・わかった、手伝うよ」
「ありがとな」
わしわし、と頭をぐしゃくしゃにすると「子供扱いするな」と唇を尖らせる。
うん、さっきみたいな表情よりこっちの方がずっといい。
「俺はジンガだ。お前の名は?」
「シアンって呼ばれてる」
「OK、シアン。まずは飯食いに行こう」
さて、どの店に連れて行こうか。
懐具合と相談しつつ候補を検討していると、風に乗って後ろから聞こえてきた呟き。
「いい人だね、ジンガ。…お礼とか抜きにしても、欲しくなってくるなぁ」
うん、空耳空耳。
・・・そういうことにしておこう。
俺はそこはかとなく腰のあたりにうそ寒さを感じながら、歩きだした。
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