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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[77:プリ騎士:4(おしまい)(2006/12/17(日) 20:39:49 ID:pZv2Unig)]
プリーストの視線から逃げるように、騎士が俯く。
「……そん、な、事……言ったら」
掠れた声が、騎士の口から漏れた。
「俺だって……お前が支援してくれるって、思ってるし。
 俺の命とか、お前が預かってるようなもんだし」
「はっはっは今頃気づいたか俺様のありがたさに」
「……お前なあ」
急にふざけた様子になったプリーストに、騎士は照れを隠すように顔をしかめた。
プリーストは得意げに笑ってみせる。
「今度は俺の名前入れた奴にするわ」
「まだやる気かよ」
「当然」
きっぱりと言い切ったプリーストに、うんざりしたような顔で、騎士は呟く。
「……じゃあ、今度はお前もつけろよ」
そして、小さな声で付け加える。
「俺の、名前が入ってる奴」
プリーストは、嬉しそうに笑った。
「了解」
指輪を嵌めたままの騎士の手を、プリーストが掴む。
騎士の指の付け根で、日光を浴びた銀色が優しく光る。
「んじゃあ、この指輪はギルメンさんに売ってあげることにして、俺らはあと二つ取りに……」
騎士の小指から指輪を外そうとしたプリーストの声が、途中で切れた。
「何だよ?」
不思議そうな顔で見つめる騎士から、プリーストは視線を逸らした。
「……取れない」
「はぁ?」
焦った様子で、騎士も指輪に手をかける。
が、小さな銀の指輪はびくともしない。
血の気が引いて白くなった騎士の顔に、怒りの色を見つけると、プリーストは静かに一歩退いた。
それに気付いたか、騎士がプリーストを睨みつける。
「どうしてくれるんだよ馬鹿、これじゃあ剣持つのだって大変じゃねえか!」
「あーあーうんまあ落ち着け、とりあえず石鹸水でも試してみよう、な!」
「な、じゃねえよ!」
銀の指輪が嵌った手で、騎士はプリーストに殴りかかった。
「うおっ!」
飛び掛ってきた銀の軌跡を、プリーストは辛うじて避けた。
「だ、大丈夫だって、嵌ったんだから取れないはずがない! 多分」
「多分とか言うなあっ!」
本気で怒っている事を察して逃げ出したプリーストの後を、騎士は怒鳴り声を上げて追いかけた。
走る騎士の手元で、銀色の指輪が笑うように光った。


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