◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
[90:ノビ&ウィズ:1(2009/10/11(日) 19:51:44 ID:zUjjg4T.)]
静かな宿の一室に、ぱさり、と紙を繰る音が響く。
遅い朝の光が入り込む窓辺で、ウィザードの男が本を広げていた。
部屋に注がれる日差しこそ暖かいものの、窓の向こうでは、冷たい秋の風が吹いているのだろう。
ひやりとした空気に、ウィザードはそっと首を竦めた。
「……先輩、これは酷いっすよ」
先輩、と呼ぶ声に、ウィザードは追っていた文字から目を上げた。
窓ガラスに映るのは、開いた本を持った自分と、その背後に立つノービスの姿。
「これもう、凝ってるとかってモンじゃないですよ。がっちがちに固くなってます」
ガラスの上のノービスが、げんなりした表情でウィザードに向かって呟いた。
彼の手は、座り込んでいるウィザードの肩を丁寧に揉んでいる。
その様子を、ウィザードは何も言わずに見つめていたが、やがて窓に映るノービスへと目を向けた。
「そんなにか?」
「そんなにです」
無頓着なウィザードの言葉に、ノービスは肩を揉む手にいっそう力を込めた。
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