◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
[92:ノビ&ウィズ:3(2009/10/11(日) 19:54:23 ID:zUjjg4T.)]
「何だ?」
気付いたウィザードが、窓の中からノービスを見つめてくる。
「……いや、凄いなって思っただけです」
そう答えて、ノービスはウィザードの後ろ頭に視線を落とした。
何か言いたそうな顔をしたウィザードだが、結局、それ以上は何も言わずにまた読書に没頭した。
ウィザードが本に意識を向けたのを確認して、ノービスはちらりとウィザードの顔を盗み見た。
やはりウィザードは、特別な表情を見せることなく、ただ本を読み続けている。
肩を揉むノービスすら、気にすることなく。
その事実に、ノービスはひとり、笑いたくなるような嬉しさを覚えていた。
いつの間に、ウィザードはこんなにもノービスが傍にいることを許してくれていたのだろうか。
何かあればついていこうとするノービスを、目の前の先輩は、邪魔と言ったり、鬱陶しがったりする。
それなのに、手が触れるほどの今の距離に、ウィザードは何一つ文句をつけてはこない。
文句どころか、気にする様子すら見せない。
これって、実は凄いことなんじゃないだろうか。
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