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◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第2巻◆
- 1 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/04(月) 21:56:16 ID:Z/eevBAM
- このスレは、萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない、
萌えでなおかつえちぃ描写の含まれる自作小説の発表の場です。
・ リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ このスレでの『えちぃ』基準は、「手淫」(オナーニ)だとか「目合い」(セクース)だとかのレベルでつ。
・ 非18禁小説は『◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え1冊目◆』へどうぞ。
・ ♂萌えは多民族国家です。苦手なジャンルに萎える暇があったら自分が萌えるジャンルのネタを提供しましょう。
▼リレールール
--------------------------------------------------------------------------------------------
・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
・ 主人公は命の危機に遭遇しても良いですが、殺すのはダメでつ
--------------------------------------------------------------------------------------------
※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。
- 2 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/04(月) 21:58:40 ID:Z/eevBAM
- 板内共通ルール:
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/2n
前スレ:◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第1巻◆
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1036625184/
非18禁はこっちで:◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆
http://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1118672802/
[萌え板外の♂萌え小説投稿所]
RO的♂萌集会所(コンテンツあぷろだ関連)
http://members.at.infoseek.co.jp/Cyber_surfrideR/
RO♂萌えSS投稿所
http://www3.realint.com/cgi-bin/tbbs.cgi?rosss
- 3 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/04(月) 22:00:50 ID:Z/eevBAM
- てことで♂萌え小説2冊目立てた俺がこっちも立てちまいましたよ。
何か問題あったら次スレ時に修正ヨロシク。
- 4 名前:1 投稿日:2005/07/04(月) 22:03:05 ID:Z/eevBAM
- ちなみに>1で
>・ 非18禁小説は『◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え1冊目◆』へどうぞ。
とやっちまいましたが既に2に移動してます_| ̄|○
直し忘れたんだよう。
- 5 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/05(火) 00:04:03 ID:DE0i6emI
- すいません…アホの俺に何故新スレが立ったのか誰か3行で説明してください
1000まではまだ果てしなくあるし、板移転ってわけでもないし…_| ̄|○?
- 6 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/05(火) 00:07:25 ID:ZR1KOCy.
- 容量増えてきたからでない?
- 7 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/05(火) 00:09:52 ID:ZR1KOCy.
- ゴメン 補足
512Kbを超すと書き込めなくなる板で
これの1のスレッドが462Kbになってるから。
ブラウザで見ると分かりますよ
- 8 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/08(金) 21:32:17 ID:IsB7h8sc
- 健全スレのほうに誤爆(?)ってしまった・・・orz
需要があるのかどうかわかりませんが♂萌え小説の保管庫を作ってみました。
私の自己満足のために発作的に作ったもので、まだエロ小説1スレの
途中までしか保管できていませんが、いちおURLだしておきます。
ttp://romoe.on.pc1.jp/pukiwiki.php?FrontPage
- 9 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/11(月) 21:13:19 ID:8//fNGPE
- >8様 お疲れ様でした〜
早速お気に入り登録デス!
- 10 名前:古344 投稿日:2005/07/12(火) 00:19:31 ID:1zY/c1e.
- ----------------------------------------------------------
|・)チラ
344|д・)ソンナワケデ
オヒサシブリデス…コリモセズ「剣士×アサ」ノツヅキデス
<脳内妄想設定>
剣士(VIT槍)20歳↓ LV70位
アサシン(二刀流)20歳↑ LV70後半
クルセ(?) 20台後半 LV90↑
「超自己中攻(クルセ)×強気受(アサ)」前提ノ
「ヘタレ初心者攻(剣士)×襲い受(アサ)」デス。
受ハ 強気・襲受ガダイコウブツナノデス。
エエッ脳内クサッテマス(´¬`*)
以前ノ ログ ハ 第一巻383-387 倉庫ニ _| ̄|○<過去スギル
----------------------------------------------------------
誰かが俺の身体を抱き締める。
強い力で、俺の名を幾度も呼びながら。
震えているのか?…何故…?
何故、そんな泣きそうな声で俺を呼ぶんだ…?
お前はいつだって冷静で…憎らしいくらい、何に対しても動じなくて。
冷静なフリをしていた俺の仮面を、易々と剥がしてきたじゃないか。
そのお前が、そんな声で俺を呼ぶなんて。
ふふ…何だか、可笑しいな。…何があった?
「お帰り」なんて絶対言ってやるもんかと決めていたのに、俺は微かに笑みさえ浮かべて。
やたら重く感じる手を上げて、あいつの黒髪に触れようと目を薄く開けた。
「………何て声で呼ぶんだ」
俺の声は掠れて、上手くあいつに届いたかどうか判らなかったけれど。
上げた手は、強く…強く、握られた。
- 11 名前:古344 投稿日:2005/07/12(火) 00:20:13 ID:1zY/c1e.
- 「良かった、気が付いた………ッ!!」
泣きそうな表情で覗き込んできたのは、焦げ茶色の髪………その顔は、心に思い描いていたものでは、
………ない。
声だって、髪の色だって、全然違う。
「あ――…」
そうだ、………そうだ、伊豆に、行ったんだったっけ。…こいつと。
ペノメナが、物陰から襲ってきたんだった。…そうだ、こいつを逃がそうとして、化物にやられたんだっけ
。
ああ………。
あいつが、戻って来るだなんて、ある訳ないのに。
馬鹿だな、俺も…。間違えようもない程…、あいつには、似てないのに。
「………まだ、痛む?持ってきたポーション全部使ったんだけど、ごめん…ごめんな」
俺が再び目を閉じたから、こいつは泣きそうな声でそう告げる。
俺は薄く笑んで、また目を開けた。
「いや…大丈夫だ」
あからさまにほっとした表情で、こいつが息を吐く。
俺は急激にはっきりとしてきた頭を緩く振り、ついでに辺りを見回した。
危険がないかどうか探る、いつもの癖。もう無意識でもそうするように身体に染み付いちまってる。
柔らかな緑の木漏れ日、微かに鼻先に香る潮風…。人の気配も、危険な化物の気配もしない。
あるのは静寂に時を刻む墓碑と、それを包む森…。どうやら此処は海底ダンジョンから抜け出た辺り、
道から少し外れた島の何処か…か。
「お前が…連れ出してくれたのか」
静かに問うと、こいつは微かに眉根を寄せて、真剣な表情で俺を覗き込んできた。
俺の身体は柔らかな草の上に寝かせられ、上体はこいつに抱え起こされている。覗き込まれると、
知り合ってから今までの数ヶ月間では気付かなかった、こいつの顔の細かな造作が目に映った。
いつも俺を見て明るく輝く瞳は、茶色だとばかり思っていたのに、こうして間近で見ると仄かに
金掛かって綺麗だ。骨ばった頬筋に、意思の強そうな濃い眉。それでいて優しげに軽く垂れた目尻、
その目元に影の落ちた真剣な面構えなんて、思ってたより………。
「近くで見ると、思ったより男前だ」
物言いたげな真っ直ぐな視線を向けて覗き込んだまま、いつまでも何も告げない相手に不安を覚えて、
俺は微かに笑んでそう茶化す。
いつもみたいに、赤くなって照れ隠しに笑うかと思ったのに、こいつは眼差しを変えないまま――…
否、眉間の皺を更に深めて、切なげに俺を見詰めた。
「俺………っ、俺、きちんと剣士としての技術を極めてから騎士叙勲を受けて、自分に自信と実力を
つけて、今みたいな危機でも必ず貴方を守れるようになってから、……それから言おうと決めてた」
ぐ、っと、俺を抱く腕に力が篭もったのが、判った。
- 12 名前:古344 投稿日:2005/07/12(火) 00:21:00 ID:1zY/c1e.
- 嗚呼――…。駄目だ、それ以上言うな。
お前の好意なんて、俺が気付いてないとでも思ってたのか?
常に俺に向けられていた、憧れと純粋な好意に溢れる眼差し。
俺の一挙一動を追う視線は、自分では隠せていたつもりなのか…?
アイツに………去られたばかりの俺が、お前の存在や作り出すその空気に、どれだけ救われていたか
知ってるのか?
俺はお前の好意で、自分の心を卑しく慰めてるだけだ。
一人きりで居ると、もう何もかも耐え切れなくなりそうだったから。
お前を利用してたんだ、その気持ちを。
お前には応えてやれない。応える資格すら………俺には、ない。
俺なんかに引っ掛かってないで、本当はさっさと見切りをつけた方が良いんだ。お前は。
だから、俺はお前とこれ以上親しくならない内に。
お前が俺に抱いている幻想に囚われすぎない内に。
俺がお前をなんとも思ってなくて、その剣の腕を利用しただけだと思わせないといけない。
いつまでも、去った相手に未練たらたらの俺になんか、憧れてたら馬鹿を見るだけだぜ。
「俺は、貴方が好―――………」
告白しかけたその唇に、それ以上告げさせぬよう、俺は自分の指の腹を押し当てる。
「だったら………それまで黙ってろ。決めてたんだろ」
殊更冷たい声色で、細めた目を向けながら鋭く告げる。
あいつが一瞬怯む。
傷付いたような、情けない顔をしてあいつがぐっと唇を噛んだ。
決して甘くなどなりそうもない、己を拒絶する俺の雰囲気が伝わったんだろう。
そうだ、それで良い。
俺はこいつの腕を振り払うようにして、腹に力を篭め………抱き起こされていた状態から身を起こし、
立ち上がろうとした。
………立ち上がろうとした、が、
「俺は貴方が好きなんだッ!!」
「―――――ッ、つ………!?」
これまでの経験上、ああ言えば怯み、落ち込んで俺のペースに乗せられると踏んでいたのに。こいつは
いきなり切れたようにそう叫ぶと、不覚にも油断した俺の隙をついて腕を押さえ込み………草の上に
押し倒してきやがった………!
身長こそ然程差が無いとは言え、こいつは日々重い鎧を着込みながら重量のある槍を振り回す鍛錬を
積んでいる。紙一重で避け、攻撃をかわしながら戦う俺の戦闘法とは全く違って…鍛え上げた身体を盾に
相手の攻撃を耐える。それだけの肉体を作ってる。
押さえ込まれてしまうと、俺は、弱い。
こいつの片腕を引き剥がすのさえ思い切り両腕の力を篭めないとならない。
だが、此処は暴れて抵抗するより、冷たく相手の気持ちを一蹴する方が効果的だろう。
その方が、こいつも早く諦めがつくはずだ。
俺は努めて、必要以上に冷ややかな眼差しでこいつを見上げる。
「それで…どうする気だ。気のない相手を力で押さえ込むのが……お前の目指す騎士道かよ」
だが、俺の台詞に鼻白むと思ったこいつは、押さえ込む腕の力を緩めるどころか更にそれを強くして、
「貴方が好きだ…ッ。俺なら貴方を守る、…いつだって傍に居て、世界で一番大切にする!!
傍に居て……俺なら貴方に、あんな風に悲しく名を呼ばせるような事はしない……っ。身を挺して俺を
庇ってくれた…優しい貴方に、そんな悲しい思いはさせない…………好きだ、出会った時から、ずっと」
- 13 名前:古344 投稿日:2005/07/12(火) 00:21:38 ID:1zY/c1e.
- 相手の台詞に心乱されたのは、俺の方だった。
こいつの、甘ったれたような表情じゃない…ここまで真剣な顔は、初めて見た。
年下で、俺に憧れて、犬みたいに尻尾振ってついてきてた、いつものこいつじゃない。
俺はまるで引き込まれるように、こいつの瞳の金を見詰めていた。
それに、…嗚呼、何だって?
俺が、名を呼んだと…?
悲しく名を呼んだと言ったか。………あぁ、情けねェな。
倒れてる時までも未練たらしくあいつの事考えてたのかよ。
いつまで引き摺る気だ、俺は。
もう、戻らないなら、忘れてしまいたいのに。
…動揺した俺の気配を察したんだろう、こいつは、自分の方が傷付いたような顔をして、俺を真っ直ぐに
見下ろしたままだ。抱き締める腕に、力が篭められたのが判った。
いつの間にそんなに成長したんだ?
出会った頃は、まだ全然子供じみてて…腕も未熟で、一人前なのは身体くらいだったのに。
風が頬を撫でる程の僅かな時間の後、俺は合わせた視線のキツさを緩めた。
こいつは、…それだけの事なのに、嬉しそうにほっと息を吐く。
「………若いな」
俺が思わず小さく笑ったのは、身体を重ねた状態でこいつの下肢が反応してるのが、はっきり判ったからだ
。
「あ……っ、ご、ごめんっ」
こいつは慌てて、草の上に手を付いて身を離そうとする。
その慌て様が可笑しくて、俺はまだ微かに笑いながら………相手の動きを利用して、そのままこいつを
草の上に、逆に押し倒した。
「え、………何…?」
大きく開いた目を、一度瞬かせる。あまりにも場慣れしていない初々しい反応を見下ろしながら、
俺はゆっくりと、綺麗に笑ってやった。
「そういうのは、嫌いじゃない…」
いきなり変わった俺の態度に驚いたのか、それとも突然の行為に驚いたのか。
まだ何か言おうとして開かれたこいつの唇にそっと指を押し当てる。
先程と同じ行為なのに、その意味は全く違う…。
上唇、下唇…顎、喉元、鎖骨……そして、激しい鼓動を繰り返すその胸に、指を滑らせていく。
跨った姿勢で僅かに腰を下げると、先程より成長したこいつの昂りが尻に当たって、服越しだったと
言うのに俺は思わず溜息を吐いた。同時に、滑らせていた指先に無意識に力が篭もって、相手の胸を
引っ掻く形になる。
「………っ」
それだけの刺激なのに、こいつは見惚れるように俺を見上げていたのを止めて、慌ててぶるぶると
首を振った。
「そんな事したら、止まらなくなるよ…」
焦ったような、上擦った声が可愛い。
「お前、初めてか」
確信に近い問いを呟くと、こいつは真っ赤になって言葉に詰まった。
「そ、だけど、…ごめん、その、でも………欲しい…」
「…みたいだな」
素直な言葉に薄く笑って、俺はこいつの上着の留め具を外し始める。
「お前も、俺を脱がしてみろよ。……ガッつくな、丁寧にな。巧く出来たら…色々、教えてやるぜ…」
---------------------------------------------------------
次回エロ! 初心者攻ニ レクチャー スル 襲い受け アサシン
スイマセン見逃シテクダサイ ソットシテヤッテクダサイ 脳ガ腐ッテルンデス(つдと)
---------------------------------------------------------
- 14 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/12(火) 01:08:02 ID:ffSnFyeA
- >>10
キトァーーー!!
ずっとずっと続きを待ってましたーっ!
襲い受けアサシン・・・(*´Д`)ハァハァハァハァ
- 15 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/12(火) 20:13:00 ID:V3T9wl.M
- な、生殺し…………っ!!
_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○ノ<続きを!是非続きを!!
- 16 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/20(水) 06:22:54 ID:BRbxlenw
- >>10
アサシン作りたくなってきた(*´д`)
萌え(゚∀゚)
- 17 名前:前スレ285の人デス 投稿日:2005/07/28(木) 17:32:00 ID:JSJlJw/Q
- 萌エロスレの方にほのかに「近似値融合」の続きっぽいものを投下いたしましたです。
アサさんとプリさんの過去話でえちぃシーンはないのですが、よかったら見てやってくださいませ。
萌エロスレ 237-242 がそうです。
- 18 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/07/28(木) 17:34:55 ID:JSJlJw/Q
- というか永遠にアサ萌えな私にはたまらないお話が。(大量鼻血
誘い受けアサですか!?
ちょっと悶え転がります・・・。orz
- 19 名前:アサ×バード 1 投稿日:2005/07/30(土) 00:12:48 ID:n3hVPoL6
- ちょっと、電波が降って来たのでカキカキ。
文章書くのは慣れて無いのでお目汚しご容赦。
アサ×バードでございます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
異国の祭りに招かれたぼくは、その興奮が覚めやらぬまま、天津郊外の桜の森を彷徨っていた。
枯れることの無い永遠の桜の美しさは話には聞いていたものの、実際に見ると筆舌に尽くしがたいものであった。
いかにして詩にするか思案しつつ歩き回っているうちに、かなり郊外に来てしまったようだ。
祭りの喧噪が、遠い。
引き返そうと思った時、かすかに鋭いものが空を切る音が聞こえた。
街の外にはカッパという、かなり手ごわい敵がいた。めったに街の方には来ないと聞いていたが、祭りに紛れて入り込んだものがいたのかもしれない。
ぼくは、なるべく足音を殺しながら音の聞こえる方へ向かった。
桜の森の中、少しひらけた場所で、その人はただ一人舞っていた。
濃紫の衣装に映える銀髪と両手に握られた短剣が、月明かりの中で輝く軌跡を描く。
はらはらと舞い散る花片が、銀光に裂かれて、更に軽やかに宙を舞う。
ぼくが今までに見たきた踊り手に勝るとも劣らない優雅な舞踏。
でもその独特の衣装と両手に握られた短剣・・・その人は暗殺者だった。
ふと、強い風が吹いて視界を桜吹雪が遮った。思わず瞬きをした、その瞬間、忽然と彼は消えていた。
夢でも見たのだろうか?
ふらり、と足を踏み出しかけた時、
「覗きとは感心しないな?ぼうや」
耳元で低い声がした。
首筋にひんやりとした刃の感覚。
「あ・・・ごめんなさい。その、あまりにも綺麗だったからつい」
ぼくは、あわあわと意味もなく手をばたつかせた。不思議と殺されるかもしれないというのに、恐怖感は湧いてこなかった。
あまりにも幻想的な光景だったからだろうか。なんだか、現実感が薄い。
「綺麗・・・ね」
くくっと、どこか自嘲するような笑い声が耳をくすぐる。
「ふふ、吟遊詩人に誉められるとは、な。」
ゆっくりと刃の背が喉を撫で上げていく。くすぐったいような、微妙な感覚が広がっていく。
「さて、私の舞いは気に入っていただけたようだが・・・」
かり、と耳たぶを噛まれ、ぼくはびくりと体を震わせた。
「お代をいただくとしようか。」
暗殺者は、笑いながら素早く短剣をはしらせた。
- 20 名前:アサ×バード 2 投稿日:2005/07/30(土) 00:20:54 ID:ePcYqt2I
- 大きく切り裂かれた上着の裂け目から、ひんやりとした手が入り込んでくる。
「え、あの、ちょっと待・・・っあ」
ぼくはかつてない感覚に戸惑いながら、身をよじった。触れられたところが熱い・・・。
「あぁ・・・やめ、やめてください、こんな」胸の突起をいじられて、身悶える。下肢に熱が集まっていくのがわかる。
未知の感覚に体ががくがくと震えてしまう。
「ふふ、初めてか?他人にこうされるのは。」
心地よい響きの声が、甘い毒のように流れ込んでくる。
「ひぁっ」
不意に股間を掴まれて悲鳴をあげた。
カタチを確かめるようになぞりあげ、揉み立てる。
自分で慰めたことは・・・ある。でも、服越しでさえこんなになるなんて。
払いのけようと彼の腕に延ばした手は、いつのまにかねだるようにすがりついていた。
背後で笑う気配。
ふ、と股間をいじっていた手が離れた。
「あ・・・」
思わず漏れた声は、明らかに媚を含んでいて
「やめてほしかったんだろう?」
わかっているくせに、意地悪く囁いてくる暗殺者。
「・・・ない・・・で」
すっかりあがってしまった息の下、必死に言葉を紡ぐ。
「聞こえないな?」
胸をいじっていた手も、離れようとする。
その腕をきゅっと両手で抱き締めて
「やめないで・・・」
羞恥に狂いそうになりながら、ぼくは続きをねだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちと長くなりそうだったので、いったん切り。
アサ好きなので、最近の流れに便乗してみましたが、なかなか難しいものですね。
続きは近いうちに・・・ノシノシ
- 21 名前:Kni×Wiz-1 投稿日:2005/08/20(土) 17:58:42 ID:mLusgup2
- いつもなら風呂に入る順番は一番風呂の好きな騎士を気遣ってウィザードの方が後になる。
しかし、騎士が武器の手入れに集中している時等はウィザードが先に入ることもある。
今夜はそういう日だった。
昔は風呂があまり好きではなかった。出来るなら今でも好き好んで入ることはしたくない。
が、今では入らざるを得ない場合が多いので仕方なくという事が多い。
既にバスタオル一枚姿のウィザードは溜息をつきながら洗面台の端に片手で眼鏡を置いた。
すぐにバスタブには入らずにシャワーの蛇口を捻り湯加減を確認する。
まだ冒険者として駆け出しの頃に初めて宿に泊まった時に
浴室でシャワーの下にいる状態で蛇口を捻ったら
冷水をもろに被ってしまった失態が身についているので
あれから同じ間違いはしないようにと心掛けている事の一つである。
安い宿にはよくあることだが、シャワーから水が出なかったりすることは
結構頻繁に起こるのでその確認も兼ねている。
手にあたる水がぬるま湯に変わっていく。
丁度良い加減になるには少し時間がかかりそうだ。
するとウィザードは意味無く低い天井を見上げ、今日あった事を振り返ってみることにした。
ゲフェニアダンジョン3階に行って狩りを楽しんでいた。
2人だけなので無茶なことはしないし、
騎士はというと自分に合わせてペコから降りて両手剣を奮うし、
といったどことなくアンバランスなものだったが、
ウィスパーからリンゴが出たり、グールカードがポロリと落ちたり、な
お約束の場面も見られてウィザードは思わず失笑してしまった。
今こうやって思い出しても吹き出しそうである。
「お前はいつから風呂に入る時に笑うようになったんだ?」
「!!?」
ビクッっと大げさに肩が跳ねた。いきなり声を掛けられるとは夢にも思わず、
それに加えて声の主は今しがた頭に思い浮かべていて一番出てきた人物その人だったからだ。
冷や汗と焦燥で早まる鼓動を鎮めようとしながらも、
ウィザードは何とか誤魔化そうと思考をフル回転させる。
しかし、それとは裏腹に自分の顔面が赤くなっている。
風呂場で噴き出すように笑うなんてどう考えても変態の類に見られてもおかしくはない。
「あの…私がまだ入ってるんですが。」
「どー見ても入ってるようには見えんな。まだ湯加減見てるだけじゃねーか。」
騎士はそう言いつつもまだ風呂に入るような素振りではなかった。
ウィザードがどこと無く感じた騎士の違和感の先を見ると、
右手にはすらっと赤い線が浮かんでいた。
どうやら武器の手入れをしていて指を切ったらしい。
「私がとやかく言う立場じゃありませんが、素手で武器の手入れはどうかと。」
やれやれと首を軽く振りながら、ウィザードはシャワーを止めつつ眼鏡をはめて騎士に近づいた。
そして、いつもやってるように騎士の右手の傷の手当てをしようと
ヒールクリップを取り出し―――
「……。」
- 22 名前:Kni×Wiz-2 投稿日:2005/08/20(土) 18:01:39 ID:mLusgup2
- ウィザードはここが浴室ということを今更に思い出す。
ここには衣類こそあるものの、装備品は全てベッドの傍らに置いてある。
これでは手当ては出来ない。困惑してる姿を騎士に見せるのは何だか癪に障るので、
指先を掠める程度に舐めることにした。
文字通り、舐めてりゃ治る程度の傷に見えたので
そうしたまでだと言わんばかりに少し屈んで軽く舐めた。
すぐに元の体勢に戻ると舌に新鮮な鉄の味が広がっていく。
「これで大丈夫ですよきっと。」
そう言って騎士をここからつっ返そうとしたが、そうはいかなかった。
「なぁ、…もう一つケガしたとこあんだけどさ。」
「…どこですか。」
ウィザードはうんざりしながら答える。
早く風呂を済ませてしまいたい気持ちもあるが、
何より布一枚の格好のまま騎士の前にいるのは非常に気が引けるのである。
「夕飯食ってる時に思いっきり舌噛んじまってなぁ。
…こっちもさっきやってくれたみたいにしてくれるか?」
「は?」
ウィザードは騎士との距離を作るように一歩後ずさった。
勿論後ろは袋小路だと解っているが入り口には騎士がいる為にそうするしかないのだ。
「そんな夕方の傷なんてもう塞がってるでしょうっ!!」
「でも、お前に治してもらったほうが早く治りそうだしな。」
自分勝手な意見を述べながら騎士がとうとう浴室に乗り込んできた。
ウィザードは迫ってくる騎士のほうを見たまま、まだ栓もしてないバスタブの中まで逃げるが、
構わず騎士はバスタブの外からウィザードを抱き上げる。
そしてウィザードから眼鏡を奪い取るように外してシャワーの下にある受け台に置く。
これが合図だ。
「ちょ……んんっ!」
それ以上は唇が重ねられて反論出来ずに終わってしまった。
騎士が巧く舌を動かすとウィザードが反射的に応える。
しかしウィザードは場所が場所なだけに引け目を感じてしまってるので抵抗を試みるが、
騎士に翻弄されてしまいそれどころではない。
「ホントお前は誘うのが上手いよな。」
「馬鹿な事…言わないで下さいよ…。」
「はぁ?俺はお前と違ってINT低いからなぁ。馬鹿な事しか言わねーよ。」
とぼける口調でウィザードの首筋に口付けを落とす。ウィザードの肩が震えた。
- 23 名前:Kni×Wiz-3 投稿日:2005/08/20(土) 18:04:43 ID:mLusgup2
- 「くっ…。」
「ん…。ここ…意外に響くんだな…。」
声を抑えようと必死なウィザードと、
悪戯好きの子供が新しい玩具を発見したワクワク感が積もる騎士は対照的であった。
もとよりウィザードの声が好きな騎士はそれをもっと聞きたい為に辺りを見回しながら
いきなりウィザードの中心の愛撫を始める。
ウィザードがバスタオル一枚だったのは好都合だった。
「…うぁっ。…やめて下さ…ッ!!」
簡単に留めてあったバスタオルは容易くバスタブに落ちていく。
ウィザードは次第に騎士にしがみつくことで身体のバランスを保っていた。
しかし、片手は零れる喘ぎ声に蓋をする為に使われているので非常に不安定だった。
塞がれまいとして騎士はすかさずウィザードの手を壁に取り押さえつける。
「あぁ…っ!」
「くぐもった声もいーけど、勿体無ぇじゃねーか、ん?」
「…何…がっ、…ふっ…んぁ…!」
騎士を細目で睨むが、この浴室での主導権はこの騎士が握っているのは誰の目にも明白である。
騎士はウィザードが抵抗する力が無くなったのを確認すると自分もバスタブに入り、
ウィザードを少し担いでバスタブに寝かせた。
バスタブは狭くは無いが大の男二人が入るにはやや窮屈感が否めない。
しかし、その分ウィザードと密着することが出来る。
それを良いことに騎士はウィザードの身体を触り放題だった。
勿論、先ほどまで丁寧に撫でて健気に硬くなるウィザードの中心にも。
浴室での処理は何度かあるが、それは一人でいる時に限定される。
だからここで達してしまうのは、
何となく一人でしている所を見られているような錯覚に陥ってしまう。
それは堪らなくウィザードに恥辱を覚えさせるものだ。
だから今でも理性がブレーキを掛けている。
しかしそれ以上に身体がアクセルを力いっぱい踏んでいる。抑えるな、と。
- 24 名前:Kni×Wiz-4 投稿日:2005/08/20(土) 18:08:46 ID:mLusgup2
- 「駄目、…はっ……んんぅ!」
「イイな今のお前の声…グッと来るぜ?」
ウィザードの声が堪えきれずに荒っぽくなる。
その響く声はウィザード自身の耳にも届く。
いつも聞こえるのと一味違う声は更に自分を追い詰めている。
こんなあられもない声を他人に聞かれてるだなんて考えるだけで屈辱だ。
それを否定するように首を振って俯く。
それなのに騎士はわざと屈めてこちらを伺うように顔を覗いてくる。
そんな風味に自分を見るな。こんなに必死にしがみ付いて縋っている姿なんて見られたくない。
ウィザードは目で語るしかなかった。
しかし、騎士が絶妙なタイミングでウィザードの瞼にキスをする。
それは肉体的というより精神的に追い詰めたことを示している余裕たっぷりの騎士の態度。
身体以外にも追い詰められたらもうどうしようもない。
ウィザードは予告する間も無くして身体を震わせて勢い良く精を放った。
余りに強かったのか、騎士の顔にも数滴飛び散っている。
流石に騎士もここまでくるとは思わなかったので
数テンポ空きながらも手で拭い取りついでに舐め取る。
「はぁ…はぁ……、はぁ…。」
ウィザードがその仕草を一部始終見届けるには刺激的過ぎた。
余りに蟲惑的で萎えたものがまたすぐに意思を持ち始めようとするぐらいにだ。
鎮まれ、と自分に言い聞かせながらウィザードは片腕を伸ばして眼鏡を探す。
何とか見つけると自制の意味も混めて眼鏡をはめ、呼吸を整える。
すると騎士はうやうやしくウィザードの手を取り、手の甲に軽く口付けた。
「お前が風呂からでたらベッドで待ってるからな。」
「え…?だって、まだじゃ…。」
自分もまだなのに…と返そうとするが、そこに被さるように更に加えてきた。
「俺ももうバスタブに『入った』しな。それにベッドの上でお前に綺麗にしてもらうさ。」
「なっ…何言って……!!」
まだ白濁液に塗れたウィザードを後に残し、
騎士は片手で手を振りながら浴室から出て行った。
ポカンとするウィザードは一部腰の下敷きになったバスタオルを軽く握りながら、
ここから出るか出まいか深く悩むのだった。
end
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眼鏡Wiz受けが書きたかった。反省はしてない。
ということでお目汚し失礼しました。
- 25 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 18:00:11 ID:vzm3Wxfg
- 一つの扉の前で、鎧姿の騎士の青年はもう五分近くも立ち尽くしていた。
剣士時代から良く言えば勇敢、悪く言えば無謀なことで知られていた彼だったが、
その一つの扉を開けるには、どうしても勇気が足りなかった。
どうしようかと腕を組み考え込んでいると、騎士はふと、自分が手ぶらであることに気付いた。
見舞いに――それもとても大切な相手の見舞いに来たというのに、彼は花の一つも持っていなかった。
迂闊だったと顔をしかめつつ、騎士は内心で安堵していた。
引き返す理由が見つかったのだ。
手ぶらでの見舞いでは、あまりにも気が効かないではないか。
見舞いにくるのは、何か土産を調達してからにしよう。
頭の中だけの言い訳に頷きながら、騎士は扉の前から離れようとした。
が、その途端、扉が内側から勢い良く開かれた。
「わっ!」
「きゃ、ごめんなさーい!」
中から飛び出してきたアコライトの少女が、驚いた騎士に向かってぺこりと謝った。
「もー、何やってんの」
「うっかりしてるんだから」
次々に聞こえる少女の声に騎士が目を向ければ、
五、六人の様々な髪型、髪色をしたアコライトの娘達が、謝ってきた少女の後ろに続いていた。
「ごめんなさーい」
「失礼しましたー」
少女達に口々に謝られ、騎士が何て返すべきかと悩んでいるうちに、
彼女達は華やかな雰囲気を引き連れて遠くへ去っていった。
ぽかんとして見送っていた騎士だったが、
その耳に、彼女達の華やかさとは程遠い、聞きなれた男の声が届いた。
「おーう、いらっしゃい」
慌てて騎士が部屋に目を向ければ、焦げ茶の髪を長めに伸ばした、黒いプリーストの法衣をまとった男が、
胸に沢山の花束を抱えて寝台の上に起き上がっていた。
- 26 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 18:00:41 ID:vzm3Wxfg
- 未だぼんやりとした顔のままの騎士が部屋に入ると、プリーストはいきなりで悪いんだけど、と口を開いた。
「これ、どっか置いてくんない?」
そう言いながら、プリーストは目で胸に抱えた花束の山を示した。
騎士が受け取ると、花束の下から、白い三角巾で首から吊るされたプリーストの左腕が露わになった。
今は布団の中にあるので見えないが、プリーストの右足首にも包帯が巻かれている事を、騎士は知っていた。
ほんの少し騎士の表情が歪んだのだが、プリーストは気付かなかったようだ。
「誰か一人のだけ受け取るとさ、喧嘩になりそうだったんだよね」
「さっきの女の子達?」
「そそ」
騎士が花束を机の上に置いたところで、プリーストは無事な右腕を大きく伸ばした。
「あー肩凝った。動かないってのも疲れるわ」
言いながら、プリーストは長い髪の毛をかき上げた。
「両腕塞がってると髪の毛邪魔でもよけらんないし」
「結べばいいだろ。つか、何で結ばないの?」
いつも結んでるのに、と騎士が指摘すると、プリーストは無理無理と首を横に振った。
「片手で結ぶの難しいんだわこれが」
切っときゃ良かった、というプリーストのぼやきに、騎士は知らずのうちに口を開いていた。
「結ぼうか?」
言ってから、はっとした様子で、騎士は俯いた。
違う。
自分はそんな事を言える立場じゃない。
けれど、プリーストは軽く瞬きした後、唇に笑みを浮かべた。
「じゃあ頼む」
本当に嬉しそうに、彼はそう言ったのだ。
- 27 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 18:01:03 ID:vzm3Wxfg
- さらさらと、焦げ茶色の髪が小さな音を立てる。
無言のまま、騎士は手に持ったブラシでプリーストの髪を梳いていた。
その目元はどこか苦しげに細められているが、勿論、背中を向けているプリーストには見えない。
「あー良かった、マジ助かるわ」
寝台に座り込んだままのプリーストは明るい声でそう言うと、けどさ、と付け加えた。
「実は初めからお前に結んでもらう気マンマンだったんだけどね。
そっちから言い出してくれるとは思わなかったわ」
髪を梳いていた騎士はブラシを机に置くと、髪紐を手に持って問い掛けた。
「さっきの子達にしてもらえば良かったんじゃない?」
すると、あーとプリーストは困ったような声を上げた。
「誰がやるかで喧嘩になるんだよ」
「……女の子って複雑」
「うん、だから中の一人が結びましょうかって言ってくれた時も、
『可愛い彼氏クンが結んでくれることになってるから』って丁重にお断りしたさ」
プリーストの言葉に、騎士はぶっとふきだした。
「なんでそんな断り方すんの……」
げんなりした声の騎士に、だってさ、とプリーストが答える。
「恋人っていうと色々しつこく聞かれるんだもん。けど彼氏ならば大うけしてお終い」
「はー……」
そういうものなのか、と首を傾げる騎士に、それに、とプリーストが付け加える。
「別に嘘吐いてる訳じゃないし?」
それを聞いた途端、騎士の手が止まった。
「……少なくとも可愛くはないって」
「うっそー、超可愛いって。特に服脱がされてる時」
「そういう限定すんなよ!」
真っ赤になって騎士が叫ぶが、プリーストは一向に気にしない。
「ほら、体動かさない分頭に栄養行くから、想像力豊かになってるつーか?
もうあんなことやこんなことまで、はっきりくっきり鮮明に妄想済みって感じ?」
「おいおい……」
勘弁してくれ、と泣きつきたくなった騎士だが、怪我の事を考えると、どうしても口が重くなった。
何せ、プリーストの怪我の原因は、騎士自身なのだから。
- 28 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 18:01:28 ID:vzm3Wxfg
- 止まっていた手をまた動かし、プリーストの髪をまとめながら、
ようやく気持ちの落ち着いた騎士が訊ねた。
「怪我、どんな具合?」
「んー、足はもうちょっとで治るってさ。腕は骨折だからまだ時間掛かるって」
「そっか……」
呟いて、騎士は手に持った髪紐で、プリーストの髪を頭の高い位置で結わえた。
「サンキュ、やっぱまとまってると楽だな」
プリーストが礼を言ったが、騎士は俯き、搾り出すような声を上げた。
「……何礼なんか言ってんの?」
酷く沈痛な風情の声に、プリーストは軽い調子で答えた。
「そりゃ、髪結わえてもらったんだし」
「そうじゃなくてさ!」
騎士は声を荒げた。
「腕の怪我も足の怪我も、俺が魔物の群れに突っ込まなければ避けられたんだよ!」
プリーストの怪我は、騎士と狩りに行った時に負ったものだった。
魔物が大勢潜んでいる場所に、騎士が突っ込んでいき、それを止めようとしたプリーストも結局は騎士に従った。
その結果二人ともカプラサービスのお世話になったのだが、勿論それは死なずに済むという程度でしかない。
傷が癒えるという事ではないのだ。
突っ込んでいった騎士自身は、あちこちにあざやら擦り傷やらを作る程度で済んだのだが、
従ったプリーストのほうは、右足首を挫き、左腕を骨折するという、かなり重い怪我を負っていたのだ。
「何で怒んないんだよ? 見舞いなんてふざけてるって怒鳴らないんだよ?」
叫びに近くなった声をあげる騎士に、プリーストは背を向けたままうーんと首を傾げた。
「あれよ、付き従った俺の責任ってのもあるわけだし。やばいとは思ったけどさ」
のんびりした様子でプリーストが答えると、騎士も幾分落ち着きを取り戻したのか、
やや躊躇いがちに訊ねた。
「……じゃあ、何で付いてきたんだよ。やばいと思った時点で逃げて良かったのに」
言った後、これじゃあ八つ当たりだ、と騎士は思った。
けれどプリーストは気を悪くした様子もなく、さも当然といった様子で答えた。
「だって俺だけ逃げてお前死んだら嫌じゃん」
その言葉があまりにも自然で、騎士は一瞬言葉を失った。
充分過ぎるほど間を置いてから、騎士はようやく口を開いた。
「……お前が逃げたら、俺だって逃げるっての」
「そうかー?」
じゃあさ、とプリーストが訊ねる。
「お前、俺がピンチになってたら自分だけ逃げる?」
「んな訳ないだろ!」
騎士の答えに、プリーストはうんうんと頷いた。
「だから、俺も逃げないよ」
あっさりと答えるプリーストに、騎士はなお言い募る。
「でも、俺は騎士だから……」
「それ以前に、俺の可愛い彼氏クンなわけ」
騎士が言い終える前に、プリーストの言葉がそれを遮った。
「だから、俺はお前を見捨てないよ」
そう言いきると、プリーストは騎士を振り返った。
とても、穏やかな表情だった。
- 29 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/09/23(金) 18:02:30 ID:vzm3Wxfg
- 優しい笑みを浮かべるプリーストに見つめられていた騎士は、不意に我に返ると、唇を噛み締めて俯いた。
「……お前って、何でそうなの」
掠れた声で、騎士が呟く。
肩が小さく震えていた。
「俺は、もう、顔も見たくないとか、二度と来るなとか、そういう事言われたって仕方ないって思ってたのに。
怖くて、見舞いにも来れなかったのに」
俯いたままの騎士の頬に、プリーストが触れた。
濡れた感触が、頬を伝っていた。
「俺なんか見たら、頭、くるだろうし、むかつくだろうって、思って……」
「ばーか、見舞いに来てもらえないほうが頭にくるっつーの」
頬を撫でていた手で、騎士の頭を撫でながらプリーストが言った。
引き寄せられるようにして、騎士はプリーストの傍に屈みこんだ。
「髪の毛結んでもらおうって計画立ててんのに来ないんだもん。
お陰でずーっとそのまんま。邪魔で仕方なかったんだから」
「……ごめん」
「あー分かったから泣くな、泣くなって」
そう言うと、プリーストは騎士の頬に口付けた。
「俺はちゃんと、お前の事が好きだよ」
すすり泣く騎士の耳元で、プリーストはそう囁いた。
騎士は躍起になって涙を袖口で拭うと、
分かっているといった様子で何度も頷き、まだ濡れたままの目でプリーストを見やった。
「なあ、俺に何か出来る事ない? 何かして欲しい事ない?」
「髪まとめてもらっただけで充分よ」
優しく返すプリーストに、そうじゃない、と騎士は首を横に振る。
「そんなんじゃ足りない。もっと、ちゃんと役立てることがしたいんだ」
掠れた、涙混じりの騎士の声に、けれど真摯な様子を見つけ出すと、
プリーストは僅かに目を細めて、そうだなあと考え込んだ。
「……あ、じゃああれだ」
プリーストはそう言うと、布団に覆われたままの下半身を示した。
「お前の泣き顔見てたらさ、しばらく溜まってたのが妙に疼いてきて」
「溜まって……てはいっ!?」
何の話をしているのか気付いた騎士が、驚いた声を上げた。
「てことでー、抜いてくんない?」
相変わらず平然とした顔で言うプリーストに、騎士は硬直した。
確かに、出来る事なら何でもやろうとは思った。
ほんの少しでも、プリーストの愛情に報いたいと思った。
が、いきなりそれってどうなんだ。
「本当はあんなことやこんなことまで、はっきりくっきり鮮明に再現したいんだけど、
流石に真っ昼間からってのは厳しいよなーって」
「怪我人が何ぬかす!」
「怪我人だからこそ健康的に抜いとかないと」
「アホ!」
騎士はプリーストの手を振り払って立ち上がると、出入り口の扉に向かって歩き出した。
「チクショ、泣き損だ」
「えー、もう帰っちゃうの?」
つまらなそうなプリーストの言葉を背中に受けながら、騎士は扉に手をかけた。
しかし、その扉が開かれることは無かった。
代わりに、騎士は扉につけられた小さな鍵をしっかりと閉めた。
カチャリ、という音を残して騎士が振り返れば、プリーストが驚いた顔で見つめていた。
「……泣き腫らした目じゃ、帰れないから」
言い訳を口に乗せながら、酷く顔が熱くなっていくのを騎士は感じていた。
「もっと泣き腫らすハメになるかもしんないけど?」
「言ってろ」
呟いて、騎士はまとっていた鎧を外しにかかった。
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