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◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第2巻◆

[66:エレメス.1(2006/07/10(月) 19:36:08 ID:r0iYz0jI)]
いつものようにハワードに抱かれ、うとうとと浅い眠りの中を漂う。
傍らでハワードが俺のカタールを研いでいる音がする。
本来ならその手は武器を鍛つ為にあるというのに、「ここ」ではただただ殺戮する為に武器を握る

だけ。
情事の後、俺が微睡んでいる間に、奴がカタールの手入れをしてくれるようになったのはいつから

だったろうか。
真剣に丁寧に刃を研ぎ上げ、握りの革を締め直す。
そんな時の奴の顔はひどく悲しげで。
時にはその無骨な顔を涙が伝っていたりして。
俺はハワードが声をかけてくるまで、背を向けて浅い眠りに身を任せることにしている。
「鍛治屋」の邪魔をせぬように。

今日は静かだな。
このところ毎日のように冒険者が侵入してきていたのだが。
けだるい体でふらふらしていると、風を裂く音が聞こえた。
ひょいと小部屋を覗くと、セイレンが剣を振り回している。
いつもの素振りではない。
型もなにもなく、ただ体を疲弊させるためだけのようにがむしゃらな動き。
それでも美しいといえる動きは、鍛練のなせる業か。
その手に握られているのは奴の愛剣ではなかった。
昨日殺した騎士の持ち物。
仲間の撤退時間を稼ぐ為にただ一人俺とセイレンの前に立ちはだかり、倒れた男。
どこか満足げな騎士の死に顔を見て、拳を握り締めていたセイレン。
自らの意思で仲間の為に戦い、死んでいった騎士。
殺戮を強いられ、死ぬことすらできないセイレン。
まぁ、荒れるのも無理はない、か。
「エレメス?」
ようやく俺に気づいたセイレンが、決まり悪げに剣を置いた。
「荒れてんなぁ、セイレン」
わざと挑発してみた。
普段なら眉を吊り上げながらも理路整然と反撃してくるのだが
「そうだな」
力無くつぶやいて自分の手のひらを見つめている。
こりゃ、重症だ。
「しんどいならマガレかカトリのやーらかい胸に顔埋めて泣いてこいや。
セシルは却下な。奴には埋めるほどの乳無いし」
そこはかとなく背後から殺気が飛んで来たような気がしたがキニシナイ。
「身体的特徴をあげつらうのはどうかと思うが」
こんな状況でも説教を忘れないあたり、つくづく真面目な奴だ。
「それに・・・男が女性の前で泣ける訳がなかろう」
やれやれ。
騎士様はプライドが高くて大変だ。
「んじゃ、泣かせてやるよ」
俺はにやりと笑ってぼろい簡易寝台にセイレンを押し倒した。


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