◆【18歳未満進入禁止】みんなで創る小説Ragnarok ♂萌エロ 第2巻◆
[86:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/11/14(火) 17:18:41 ID:OAoPRaH6)]
「ちゃおー」
溜まり場での恒例の挨拶をするわたし。
「……」
返事が無い。 きっと狩りで疲れているんだろう。
そっと隣に座る。 それだけで幸せだと思った。
彼のお姉さんとわたしは同じギルドで、彼自身は最近この世界に降り立ったという。
お姉さんにこの世界のことを教えてもらっていた彼は、あっという間にノービスから剣士になり、
あっという間にわたしと公平が組めるレベルになっていた。
わたしが支援プリと言うこともあり、何度か一緒に狩りに行った。
ペコにまたがり、颯爽と走る彼。
いつしかわたしは彼のことが好きになった。
じっーと彼の寝顔を見る。 長い睫毛。 銀色の髪。
彼はこの木陰が好きならしく、いつもここに居た。
きょろきょろ。 あたりを見回す。
狩りのとき以外はアイアンケインをはずしている。
ペコも騎士ギルドに返して、樹に寄りかかっている。
誰も見てないよね? 確認すると、彼が起きないようにそっとキスをした。
そっと唇を離す。
何度、彼が昼寝している時を狙ってキスしただろう。
告白する勇気は無い癖に。
「あ、ユン。ちゃお」
目覚めたらしい彼がわたしに挨拶する。
「だいぶ疲れてたみたいだね、シルク君」
「うん…あーよく寝た」
伸びをすると、彼はこっちを見た。
「どうしたの? ユン?」
「ん?」
「なんか顔が赤いなあって」
「…頬紅つけてるからだよ。 ほら」
頬紅を落とす。 …彼に指摘されるぐらい赤かったのかなぁ?
「ほんとだ」
「でしょ?」
彼への思いを悟られないように、注意しなくちゃ。
気づかれて気まずい関係になるより、ただ隣に居られる関係で居たい。
「のど渇いたでしょ? はい」
そう言うとかばんからリンゴジュースを差し出し、彼に手渡した。
「ありがと。 …またユンの握力でぎゅーっと握りつぶしてきたの?」
くすっと、彼が笑う。
「失礼なっ、STR1のわたしがそんな事できるわけないでしょうっ」
「いや、いつも持ち歩いてるから。 ポリン飼ってる訳でもないのに」
「ん〜、なんとなく、かな。 実際ジュース美味しいし」
こうやって、なんとなく隣に居られる関係で良い。
そう願っていた。
ある日。
「ユンちゃん」
「はい?」
同じ溜まり場のブラックスミスさんに話しかけられた。
「製造支援お願いしたいんだけどいいかしら?」
「いいですよー」
彼女のパーティーに入り、ブレッシングとグロリアをかける。
カンカンカン…。
「よしっ、成功っ」
「おめでとうー」
なんとなくアンジェラスをかけた。
「あはは、なんかめでたい感じだよね」
「うん…何作ったんですか?」
「強いアイスランス。 シルク君に頼まれたの。
『貴女の作った武器が欲しいんです』って」
ちくり。 胸が痛んだ。
「そうなんですか?」
「うん、まあお姉さんが監獄に行って、鋼鉄とか貰ってる関係上、親しくなったし、
属性武器って買うと高いしねぇ」
「そうですね」
…名前が刻み込まれた武器。 いいな。
わたしもプリーストじゃなくブラックスミスかアルケミストの道を選べばよかったかな。
そうすれば、わたしの名前が入った物を彼にプレゼントできるのに。
「あっ、そうだ。 しばらく炭鉱に篭る事にしたから、この武器シルク君に渡しておいてくれる?」
「はい」
そう言うと、ずっしりとしたそれを受け取った。
「また材料持ち込んでくれればいくらでも作るよって言っておいてね。 じゃ」
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