WIZ娘萌え交換スレ〜WIZ娘に関する萌え交換〜#1
[123:118(2006/07/09(日) 16:20:34 ID:OnjK6Clw)]
― One Fine Day...―
プロンテラの南門を出ると、そこには見渡すかぎりの、美しい緑の野が広がっていた。
点在する林や丘は、冒険者たちの格好の憩いの場となっている。
戦いの合間のひととき、思い思いの場所に腰掛けて、噂話に興じる者、歌い踊る者、
そして自分の力を試す為、新たなパーティやギルドの存在を求める者。
熱心な商人たちはそれぞれ工夫を凝らした看板を掲げ、ある者は護衛を求め、ある者は露店を開き、
様々な珍しい品を並べて、人々の目を楽しませる。
その一角。
木陰に柔らかなコーヒーの香りが立つ。
ヘーゼルナッツとバニラをブレンドしたフレーバーは、『彼』の心を幾分かは落ち着かせてくれそうだった。
爽やかな午後の日差し。
こんな日には、ふと故郷の、砂漠の都市モロクの喧騒を思い出す…が。
「お師匠さまっ! 見てみて〜っ!!! お菓子いっぱい買っちゃったぁ〜〜っっ!!」
弾けるような少女の明るい声に、静寂は破られる。
ひとりのマジシャンの少女が、首都の南門から現れた。
栗色のおかっぱの髪は弾み、無邪気な茶色の瞳はきらきらと子犬のように輝いている。
華奢な両腕に抱えた紙袋いっぱいに戦利品を詰め込んで、マジシャンの少女は『彼』の元へと走りよる。
「リンドちゃーん、あんまり走ると危ないからねー! コケたらケーキがつぶれちゃうよー!」
少女の後ろから、のんびりとした声がかけられる。
「もぉっ! トビーさまっ!! そんなに毎日コケでばっかりいませんよーっだ!」
いがぐりのような藍色の髪をゴーグルの隙間から覗かせて、カートを引いてやって来るのは、
少女と同じ年くらいの商人の若者だった。
色とりどりの花で飾られた可愛らしいカートに、通り掛かる人々が、時折足を止めて振り返る―…見た目は子供のようだが、
それに似合わない妙な落ち着きというか、生意気さを感じさせる少年だ。
しなやかな長い指で、カップを優雅に口元に運びながら、心の中で、
『彼』―ウィザードのサージ・タンキアン―は呟いた。
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