WIZ娘萌え交換スレ〜WIZ娘に関する萌え交換〜#1
[124:118(2006/07/09(日) 16:24:33 ID:OnjK6Clw)]
―全く…いつまで転職しない気なんだ……
サージのこれまでの人生は、力と真理を追い求めることにあった。
より強い魔力を、より強力な呪文を!
遥かなる至高へ向けて、一歩一歩着実な階段を昇って行く事こそ、
己に与えられた命題だと信じていた…あの日までは。
「ごめんごめん、遅くなっちまった。リンドちゃんてばあっちこっち見て回るもんだからさー!」
「だってプロンテラは久しぶりなんですもん。えへへ、いっぱい買い物しちゃったぁ♪」
「お、良い匂いさせてるねえ…俺にも一杯くれよ『姉ちゃん』」
「『ヘヴンズドライブ』」
ぼごぉおんっ!!
サージの詠唱に呼応して、魔方陣が発動した。トビー・タンキアンの周辺地面が陥没し、鋭い岩が串刺しするかの様に隆起する。
地の呪文、ヘヴンズドライブ。
「おわあああっ!!! な、なにすんだよあぶねーじゃんか!」
間一髪、少年はその場から飛びのいた。
「アンタねーっ! プロ南でいきなり呪文なんか使うなよ! ただでさえ人が多い場所だってのに…!……!!!」
トビーはサージに食ってかかった。
―ちなみに逆上した商人、及びブラックスミス、アルケミストの声は、ラウドヴォイスで叫ぶので大変にやかましい。
少年の激しい罵倒に、サージはぴくりと眉間に皺を寄せると、軽く手を振りかざした。
「『アイスウォール』」
きぃん!
きぃん!
巨大な氷の結晶がたちまちトビーの目の前に出現する。
「うぎゃああああああっっ!!!」
水の呪文、アイスウォール。
出現した氷は、一定時間が経過するか、武器で壊さない限り融けないという、なかなか面倒くさい呪文である。
ウィザードは立ち上がり、商人に顔を近づける。
「ごめんなさい、冗談です…サージ『お兄様』、許してください……」
「分かれば良い」
「お師匠さま…目が怖い……」
お兄様と呼ばれたウィザード…いや、『女』ウィザードは、氷に阻まれて身動き出来なくなった少年の頭を、
ハイヒールの先でぐりぐりと踏みつけにしながら、ひきつった笑みを浮かべていた。
その恐ろしい様子を、リンドはなるべく見ないようにしながら、敷布の上にカップと皿を並べていった。
とりあえず、今日一番楽しみにしていた会議…リンドに取ってはお茶会なのだから――。
サージは、嘆息して天を仰いだ。
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