WIZ娘萌え交換スレ〜WIZ娘に関する萌え交換〜#1
[125:118(2006/07/09(日) 16:29:27 ID:OnjK6Clw)]
憂いを帯びた藍色の目は、哀しく空の色を映していた。
瞳と同じ、藍色の長い髪の隙間から、金のイヤリングが太陽の光を反射する。
ルーンミッドガルド王国の主要都市、プロンテラやゲフェニアの人間たちより、幾分か濃い肌の色は、
『彼女』が砂漠の民の出身であることによるものだろう…彫りの深い、激しい気性を思わせる凛々しい顔立ちをしている。
外套の下から、ローブに包まれたすらりとした体躯が見て取れた。
「まあまあみなさん気を取り直してっ! 今日はお師匠さまを元の姿に
戻すにはどうしたら良いか、そのための大切な大切な会議なんです。
サージさまの身を案じて、こうして、わざわざ弟のトビーさまもやって
来てくれたんですよ?」
リンドの言う通り、各地を旅する冒険者たちは様々な情報に通じている。
見た目は少年のようでも、古顔の商人であるトビーの協力が得られるのは、確かに心強いことだと思う…だが。
マジシャンの少女がふと背を向けた瞬間、トビーは兄に耳打ちしてきた。
(くっくっくっ……初めて聞いた時には何の冗談かと思ったが……
ずいぶん面白いサマになってるじゃねーか、え?兄弟)
(フン…貴様の本音は所詮そんなところか)
(転生の秘法に失敗したんだって? とうとうヤキが回ったか)
(失敗かどうかはまだ分からんだろう! 安直に答えを求めるものではない)
(大体、アンタいつの間に弟子なんか取ったんだよ? 孤高の大魔導師サマも、寄る年波には勝てなかったってコト?)
(…勘違いするな。私は弟子なぞ取った覚えはないし、これからも取るつもりはない。
あれはあの小娘が私の事を勝手にそう呼んでいるだけだ)
(ふーん…ま、何でも良いけどね、俺は)
「あ、トビーさま、お砂糖はいくつでしょう?」
「んー俺は2つがいいな。リンドちゃんありがとん♪」
「お師匠さまは、お砂糖なしですよね?」
「当たり前だ。女子供じゃあるまいし」
「…………」
砂糖の数でムキになる兄の姿は、どこからどう見ても『女子供』そのものに思えたが、
トビーは黙ってケーキを頬張ることにした。
ルティエの菓子はやはり美味しい。
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