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【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】
1 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:10:09 ID:CeFs57/Q
ここはどんなスレ?
各職男女と無作為に選ばれたROのキャラクターが
生き残る為にバトルロワイヤルする様子を描いた
リレー小説を扱っているスレッドです。
・まとめサイト
ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/
・前スレ
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1148962367/
・萌え板全体のルールは此方
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/
書き手のルール
先ず一番最初に。
このリレー小説内では、各登場人物は生きている人間であり、
いきなり投げ込まれた現実に各人様々複雑な感情を抱いている事を肝に銘じてください。
完全に現実的に書く必要は皆無ですが、バトロワの死の気配というものを忘れないで欲しいです。
次に、書く前に纏めサイトで作品の流れを把握してください。
流れの中では先に発表された作品が優先します。
競り負けても泣かない。
但し、荒し煽りはこの中に含まない。
(前触れの無い突然の心臓停止や全員即死等)
もし、執筆を続けていく内で、致命的な矛盾を過去の自分の作品に発見した場合、
スレにて申告の上、速やかに修正作品を仕上げて下さい。
どうしても音沙汰が無い場合は他の書き手が修正せざるを得なくなりますが、
原則として本人がその作品を修正しなければいけません。
それから、一人の書き手が連投を続けるのはイクナイ!!
最低でも三日程待って見ましょう。
止むを得ず連投する場合は、スレで意見を聞いてみると尚goodです。
本文の内容についてですが、RO内の設定と言うよりも、文章での説得力が重視されます。
但し、リレー小説という形式上、何よりもまず、キャラクタ間でのバランスを崩し過ぎないように気をつけてください。
作品の一番最後にはそれに登場した人物の
<氏名、所持品、死亡等の状態>及びに死亡者が出た場合<残り○○人>という表記をお忘れなく。
任意規定ですが、登場した人物については1)これまで描かれたプロフィール、2)これまで描かれたスキルを
下記の書式で記入していただけると更にgood.
<例:♂アコ>
1…描かれたプロフィールをその都度追加
・髪:呪いのカツラで逆毛に変更<023話>
・口調:wWw<023話>
・性格:少々潔癖、説教癖、不幸<071話>
2…描かれたスキルをその都度追加
・ヒール<065話>
・殴りアコ<071話>
最後に書き手の方は、現段階ではコテハンを名乗る事はご遠慮ください。
2 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:10:29 ID:CeFs57/Q
読み手のルール
叩き荒しはスルー推奨。反応は彼等の栄養源です。放置して枯死した後で削除依頼を。
又、過剰な擁護やNG議論も荒しの同類です。出来る限り自重していただけると幸いです。
もし、読み進めていく内に、作品内に矛盾を発見した場合、遠慮なく速やかに申し出てもらえると幸いです。
面白い、と思ったときには積極的に感想を。
首を捻った時には積極的に批評を。
又、暇だなーと思った時なんかは遠慮なく雑談を。
勿論、イラスト、まとめテンプレ、まとめサイト編集さん。
それぞれ大歓迎です。
感想は書き手の活力に、批評は書き手の技術向上に、
雑談は常にネタに飢えている書き手にとって格好の息抜き(兼、ネタ探し)になります。
勿論、読み手から書き手への転進も歓迎です。
その際の留意点は書き手のルールを参照してください。
3 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:10:51 ID:CeFs57/Q
◆◆バトルROワイアル2 ルール◆◆
登場人物
ノービス+一次職+二次職(スパノビ含む)の男女四十名+特別枠十名
以上の五十名。
但し、以下の規定があります。
一次職、二次職、ノビ、スパノビは固有の名前をつけないこと。
特別枠は良識の範囲において、
ゲーム内部、萌え掲示板、LiveROのどんなスレ、場面からでも出演者を選出してよい。
余りにチョイ役の名無しや知名度の低すぎるキャラクタ、盗蟲、ポリンなど知能を明白に持たない者、荒し目的の出演者は含まない。
但し、出来うる限り前回のバトROワに未出演の人物である事が好ましい。
NPCもこの範囲に含む。
出典はNPC、mob、小説、スレを問わないが
スレ、小説の場合は同じ出展元からは原則二人までの出演とする。
また、特別枠十名の内訳はNPC枠、その他枠(mob、他小説・スレキャラ)にそれぞれ三名分の最低人数確保枠を設ける。
残りの四名分はどちらのものとして消費しても構わない。
それぞれの出演者で通常の冒険者については、髪形、外見などについては最初に執筆した人物の選択による。
但し、ピクミン、おにぎりetrなどと言った叩き目的が客観的に明白である場合、
執筆した者はその事に対しての異議へ正当な反論をする事を要す。
それをしない場合は、その話で語られたキャラクタの外見はNGであるとして無効であるものとする。
但し、作品を通じてその反論とする事も可能だが、その場合は相当程度の説得力が必要であるとする。
追加事項として、同じ髪型は原則として大量に氾濫してはならない。目安としては最大で三名まで。
イメージが被る為に同系統の職、例えば騎士-クルセなどでは別の髪型が望ましい。
更に、ドットの髪型は基本的に参考程度であり、執筆による説得力とスレ内部の同意が得られれば、
モヒカン、スキンヘッド等も可である。但し、その取り扱いには注意を要す。
また、ストーリー上の髪型の変更も可である。但しこちらも、その取り扱いは慎重に行うこと。
キャラクターの性格については、話の流れ、及び個々の執筆者に一任する事。
但し、執筆側は、それまでのキャラクタの性格について熟知するべし。
出演者は、前回同様その能力について制限を受けているものとする。
例えば、ヒールは止血や実際の治療の助け程度の効力しか無く、リザレクションは無効であり、
ファイアーボルトやあらゆる大魔法、モンクのスキルについても、それのみで殺害できる程の威力は失われている。
Mobやその他特別枠出演者についても同じであり、更に彼等は超人的能力を有する場合、普通の冒険者と同等程にそれは低下している。
また、カプラさんは、アンソロなどで見られる様な超人的能力を有するのではなく、
一般人、或いは一次職と同等(生涯一次は除く)くらいの能力であるとする。
精錬工の面々については良識に任せるけれども、彼らは直接的に武具を破壊する能力は持っていない。
又、二次職を超える様な戦闘力も持ってはいない。
ポタ、テレポについては参加者は使用は原則不可能。
インティミデイトについても、仕様変更に伴い、テレポート機能は無いものとする。
スキルに関する規定は以上に書かれたものであるとする。
舞台
マップがまとめサイトに上がっている事から、亀島に似ているが違う島である。
上がっているマップ自体にはまだ何も地形や設備が書き込みされてはいないが、
これは、執筆が進むにつれて順次設備などが記載されるものとする。
(例えば、家屋や市街地、灯台、教会、百貨店や廃墟など。但し、進行の都合上自由に出入り出来る地下洞穴は存在しない)
その広さについては、50人の人間が動き回るのに狭く無い程度である。
尚、全力で移動すれば、数時間程度で中央から島の端まで移動が可能である。
魔法発動時の音響については、至近〜やや中距離程度までならば響くが、
島の端など、余りに離れている場所であれば聞こえない。
気候については、書き手の便宜上、元祖バトロワに準じ日本の初夏程度とする。
そして、舞台に伴い放送に付いては、午前十時を基準として朝夜一回づつ放送されるものとする。
又、転職については、そもそも転職の舞台は島の中に存在せず、各職業ギルドの認証も得られない為、不能である。
但し、これはゲームのRO内部で一般的な『ノビ=>一次、及び一次=>二次』といった転職を示す意味での言葉であり、
例えば、各キャラクタの成長を示す演出的な効果における『転職』は含まないものとする。
原則Wis、ギルドチャット等については、これはゲーム内部での便宜的な機能であり、バトROワ内では存在しないものとする。
支給品
開始時手渡される鞄の中身には主に
支給品(武装or防具orハズレetcが入った青箱を模したケース)が二つ。弓の場合は通常の矢も付いている。
水、食料、大まかな地形だけが記された地図(前述まとめサイトの地図参照)、コンパスが入っている。
また、ランダムで5名に特別支給として古いカード帖が配られる。
ただし、当たりアイテムとはいえカード帖の中身も全て有用なカードとは限らない。
各出演者が元々所持していた武器防具や道具等に付いては取り上げられてしまっている。
又、この劇中においては登場人物はどんな武器防具であろうと使用する事はできるが
本職が用いるのに比べれば、扱いなれていない為に、普段使用する武器と異なった種類であるほど威力や命中率は落ちる。
(例:騎士はカタールならば多少は使えるが、弓に関しては鈍器として使わざるを得ない、など)
但し器用さが高い人間については、ある程度まではどんな武器でも使用する事が出来る。
長柄や斧に付いては器用さ以外にも筋力が必要となる。
更に宗教上の理由から殺人者でない、狂っていない、特別な事情の無いアコライト系に限っては刃物で戦闘は出来ない。
防具の効能は現実的に考えて頂けると幸いです。
また、完全にキャラクタ間のバランスを崩壊させる装備については、入手を禁止とする。
(神器全般や有効すぎる廃装備)
カードについては、特別支給のカード帖から得る他に、既にカードが刺さった武器防具か、
特別枠のmobの死亡、殺害によって出現、入手する事が可能である。
但し、後者については作者は進行と流れの都合上、執筆の前に十分な熟考をする義務を負うものとする。
主催
ミッドガッツ王国主体の非人道的イベントであり、国法のもと運営されている。
また、開催に関しては国家の他各職業ギルドも秘密裏に協力している。
詳しくはまとめサイトのプロローグ参照。
彼等が使用しているのは、前回と同じく外せば即死の呪いの首輪であるが
爆発力については、本人のみが死亡する程度である。前回ほどの威力は無い。
開始時には、彼等からルール、目的、勝利条件等が告げられる。
その辺りの細かい規定は第一話の作者とその後の流れによる。
4 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:11:02 ID:CeFs57/Q
<連投について>
【連投規制A】 投下は1日1本(1採用)まで
【連投規制B】 書いたことのある人物が含まれる話を書く場合は、該当する前回投下日から中2日開けてから
※規制B発動中も、規制Aに触れなければ関係ないパートを投下可能
※NG話、アナザー・番外編については連投規制はA・Bともに適用しない。
<議論について>
422 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2005/11/15(火) 19:13:13 ID:bK71eV2.
議論は薬だ。多すぎると投薬された相手を殺すことになる
だからほどほどにな
<サブタイトル横の時間表記と最下部の状態欄について>
296 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2005/11/25(金) 19:07:19 ID:FmGMqShU
>>293
任意だから義務じゃないんですが、まとめ時や続き書く時に便利なので
次から他の人のようにタイトル横の時間と最下部の状態欄付けてもらえたらやりやすいなと思います。
逆にF6惨劇部隊のように大人数の場合はその時だけ簡潔に書いてもいいかと。
5 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:11:16 ID:CeFs57/Q
<特定グループの時間が進みすぎることの弊害>
あるキャラ(およびグループ)の話のみが進むことで問題になるのは、
・そのキャラに対する他のキャラからのリアクションが制限される
ex)夜の時点で無傷なキャラに、昼の話として戦闘で負傷させることはできない
・同様にそのキャラの行動を通じて他のキャラの状態が制限される
ex)あるキャラが夜に♂Wizと出会ったとしたら、♂Wizは夜まで生存しなくてはならず
しかも夜にはその場所にいなくてはならない
・特に定時放送をはさむ場合は死亡者および禁止区域の問題で整合性が取りにくい
上は極端な例を挙げたが、時間軸の整合性が絡むと大抵問題が発生する。
しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。
明確に制限事項とするのではなく、自粛事項程度にしておくのがいいのではなかろうか。
・物語全体の時間軸の整合性に配慮して、特定のキャラの時間を進めすぎないこと。
・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。
・この物語に明確な「主人公」は存在しない。えこひいきとならないよう配慮すること。
6 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:12:30 ID:CeFs57/Q
その他注意事項はこちらを参照
参加の注意(Wiki) ttp://www6.atwiki.jp/battleroyale/pages/415.html
7 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 09:52:26 ID:BTiYLnpM
>>1
乙〜
7ゲット
8 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 23:13:30 ID:iP5kswAA
スレ立乙です
それにしてもついに十冊めですね…
9 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/06(火) 23:21:59 ID:qukJoIF2
9Getかな?
スレ立て乙です
10 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/12(月) 06:55:11 ID:0nW3wO0Y
10げt
11 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/26(月) 18:47:34 ID:cPCbeqis
263.集いし混沌(三日目・午前)
「おねえちゃん・・・?」
木陰で目が覚めたとき、♀ハンターはひとりだった。正確にはひとりと一羽、側には彼女の愛鳥であるふぁるが寝転がっていた。
♀ハンターは♀スーパーノービスの死を直接確認したわけではない。しかしそれでも脳裏に鮮明に刻み込まれた映像は、胸を刺し貫かれて苦しそうに、それでも己の為に笑ってくれた血濡れの♀スーパーノービスで、目を覚ましたばかりの♀ハンターの頬の乾いた涙の跡がそれをしっかりと教えてくれていた。
「ふぁる・・・・・・」
傍らでうずくまって眠る愛鳥の羽根を柔らかくなぞる。先のミストレスの電撃により、黒く焦げ付いた跡が生々しい。ぴくりとも動かないが、ふぁるの体はまだ暖かかった。生命の脈動を確かに感じることに、少しだけほっとする。
♀ハンター自身も全身がひどく痛むのだが、思考回路は怪我の痛みなど届かないところでぐるぐると回っていた。
あのあと、どうなったのか。ミストレスは、他の人たちは、おねえちゃんは。なぜ自分だけがこんな場所にいるのか。
わかるはずもなかったが、それでもある種の予感めいたもので、彼女は♀スーパーノービスがもう無事ではないのだろうと悟る。
「ふぁる・・・・・・あたし、あたし・・・・・・ひとりになっちゃった・・・・・・」
* * *
気絶した♀ハンターを抱えて、仲間のもとに帰ろうとしていたはずの♂プリーストは、♀ハンターの目を覚ました木陰より少しだけ離れた広場のような場所で、パピヨンと対峙していた。走る♂プリーストの前に突然現れ、強襲してきたのである。
「っくしょオ、あと少しであいつ等のいた辺りだってぇのに・・・」
♀ハンターとふぁるを一人にしておくことは危険だったが、気絶中の彼女達を背負ったまま逃げ切ることはおそらく不可能だったし、庇いながら戦ってどうにかなるとも到底思えなかった。最も、ひとりで戦ったところで眼前の相手に敵う保証もないのだが。
どうにか♀ハンターとの距離を離すことには成功したものの、既に♂プリーストの全身はパピヨンが楽しそうに振るう触覚に幾度も切り刻まれ、先に負っていたダメージと合わせて全身ぼろぼろである。既にヒールを使えるだけの魔力も底をつき、荒い息で♂プリーストは愚痴を吐き棄てた。
「ったく、この島はバトルロワイヤルの会場じゃなかったのかよ。なんでこんなうじゃうじゃ魔物がいるってんだ」
「あっはは、アンタの血全っ然おいしそーじゃないけど、折角だから飲んであげようってんじゃん。さ、じっとしてる!」
「っくそ、喋るパピヨンなんざ聞いた事ねぇってんだ、よッ!」
ふらつきながらマイトスタッフを振り下ろすが、その一撃は空しく大地を叩き、逆にその背中をパピヨンの触覚が薙いだ。
「が・・・!!」
ぶっ飛びそうになる意識を、根性で据わらせる。
(畜生・・・・・・こんなとこで、終わっちまってたまるかよ・・・・・・・・・・!! 近くにあいつ等がいる筈なんだ、どうにかしてあいつ等に知らせられりゃ・・・・・・!!)
「あっははははは、ホラホラそんな飛び散らせちゃったら勿体ないじゃーん!! アタシが飲めるくらいの血はちゃんと残しといてよねっ!!」
二撃、三撃。パピヨンの真紅の触覚が♂プリの返り血で益々鮮やかに、さらに。
その時、♂プリが四股を踏むように己が作った血溜りを、大地を、ずしん、と踏みしめ、
「うお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
迸る、全身全霊の絶叫。
そして、♂プリは力なくだらりと両手を下げた。からんからん、と手から離れたマイトスタッフが転がる。
パピヨンも一瞬目を丸くしたが、
「何さっ、もう! びっくりしたじゃん!!」
触覚の一撃が♂プリの左脇腹を抉る。
そして、♂プリはついに地に膝を着いた。
* * *
「うお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
♀ハンターの耳に飛び込んできたその叫びが♂プリのものであると、彼女にはわからなかった。いや、仮にそれがわかったとしても、彼女に♂プリが危険な人物であるか否かの判断はできなかった。
それはただ、♀ハンターには恐怖が音として具現化しただけの存在として映った。
今はもう、頼りになる♀スーパーノービスはどこにもいない。ふぁるも翼を傷めて目を覚まさない。近くになにか、恐ろしいものがいる。
「・・・・・・やだ・・・・・・!!」
♀ハンターの全身を恐怖が駆け巡る。恐怖だけが体を支配する。
「やだ・・・・・・やだ・・・・・・!!」
目に涙を浮かべ、♀ハンターはパニックになりながらもふぁるを抱え上げると、先程の叫びが聴こえてきた方向とは逆の方へ、ふらつきながらも駆け出した。
12 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/26(月) 18:47:53 ID:cPCbeqis
* * *
「・・・なぜ、こんなところにパピヨンがいるのかはわからないが」
そう言いながら、止めを刺そうとしていたパピヨンと血溜りの中にうつ伏せに倒れる♂プリの間に立ち塞がったのは、グラサンモンクの姿だった。
「助・・・・・・かったぜ・・・・・・」
うつ伏せのまま♂プリは力なくグラサンモンクを見上げ、安堵の表情を浮かべた。
「あんな・・・もんで・・・・・・気づいて、くれる・・・奴がいるたぁ・・・まだまだ、この島も・・・捨てたもんじゃ、ねぇ、って・・・か・・・?」
「あー。人間が増えたぁ」
パピヨンがひらりひらりと舞いながら、不快そうに頬を膨らませる。
さらにそこに♂プリの絶叫を聞きつけ、遅れて走ってきた悪ケミ達が♂プリに駆け寄った。
「うわ、ひどい傷・・・ちょ、早く回復しないとヤバいわよこれ!」
「だ、誰かヒールヒール!」
「バカっ、ヒール使えるのはキミでしょ!」
「わ、私のヒールじゃこんなの、ムリムリムリ! ・・・ってこの人プリーストじゃん! ヒールできるじゃん!」
「それができないほどひどい状態だってことでしょ!」
こんな状況を前にしながらも騒がしい悪ケミ達に、♂プリは少し気力を分けてもらえたかのような錯覚を覚える。
「仲間・・・結構、居んだな。すまねえ・・・頼みが、ある。・・・・・・っ、ごふ」
血を吐きながら、息も絶え絶えで喋る♂プリを♀アコが怒鳴りつけた。
「手当てでしょ、見りゃわかるわよ! いいから、喋んないで!」
「・・・・・・近くに、女のハンターが・・・倒れてる筈だ。保護して、やってくれ」
その言葉に、悪ケミ達の動きが一瞬、ぴたりと揃って止まった。
まずい。
♀アルケミストはひとり、♂プリーストの傷を心配する表情を作りつつ、状況を判断してこの先どうすればいいのかと必死で頭をフル回転させていた。
何なのよ、この状況は。
この♂プリーストは、どこかに逃げていったんじゃなかったの!? なんでまだこんなところをウロウロしてるのよ。
♀ハンターとこんなに早く鉢合わせちゃうなんて計算外だわ。
それだけじゃない、さっきの大声、こいつの仲間も集まってきちゃうかもしれないじゃない。
やり難くなるったらない・・・・・・、
そう思った瞬間、♀アルケミストの杞憂どおりに、♂プリーストの仲間が絶叫を聞きつけて姿を現した。
「この状況は・・・何が起こっているんです?」
しかしそれは♀アルケミストのよく知る女(本当は男)を連れた、♂プリーストの本来の仲間達の姿だったが。
<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♀ハンターを抱え交戦地点へとUターン
状態:瀕死(HPSP共に真っ赤)
<♀ハンター>
現在地:E-6→?(♂プリ達のいる辺りより反対方向)
所持品:スパナ、古い紫色の箱、設置用トーキーボックス、フォーチュンソード、オリデオコンの矢筒、+2バイタルシュールドボウ[3]
スキル:ファルコンマスタリー、ブリッツビート、スチールクロウ、集中力向上、ダブルストレーピング
備 考:対人恐怖症、鳥と会話が出来る、純鷹師、弓の扱いはそれなり
状 態:気絶から回復、でもHP赤い ♀スパノビと離れ、再び誰も信用できない状態 ただただ恐怖
<ふぁる>
現在地:E-6(E-7寄り)
所持品:リボンのヘアバンド
スキル:ブリッツビート スチールクロウ
備 考:なんだかんだいいながら♀ハンターが心配で堪らない、ツンデレ? GM側の拠点を発見するも重要視せず無視、♀ハンターと遭遇
状 態:JTによる負傷で気絶中
<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 やっぱり悪 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中 淫徒プリと再会(げっ)
状 態:各軽傷や矢傷は治療済
<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけた?
状 態:HPレッドゾーン、ヒールを受けてやや回復?意識は朦朧?or気絶?
<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
思 考:脱出する。
備 考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目
<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
状 態:デビルチとの戦闘で多少の傷
<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し
<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 ♀ケミに疑念
状 態:悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチ・♀ハンターを警戒 パピヨンと対峙中
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
<♂セージ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーウォール ファイアーボルト ソウルストライク ファイアーボール
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
♀商人・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・
<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
♂セージ・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・
<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
♀商人・♂セージと同行 ♀ケミとの再会だが・・・
<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部受け継ぐ ノーマルより強い
状 態:全快 食事(♂プリ)の邪魔をされてえー何これー
13 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/27(火) 17:21:13 ID:FthaQscI
>>11
そんなに速く仲間が合流できるのかという疑問が残りますがGJ
むしろパピヨンつえーよつえー。
というわけで俺もNGっぽいですが置いていきますね
264.ハプニング(三日目・午前)
「♀Wizさん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」
来た道を戻る形で北に向かう途中、♂シーフが♀Wizに問いかける。
勿論、これは♀Wizの指示であり『立ち止まる口実を作ってください』という事である。
イグドラシルの実の半分をもらい、かなり体力が回復しているが、それでも本調子には程遠いらしく、♂シーフの判断はごく自然なものであろう。
ただ、♂シーフは♀Wizがしんどそうにしているのを察し、少し体力を回復させた方が良いかもしれない、という判断もあったであろう。
さて、何故♀Wizがそんな指示を出したか、であるが。
至極、単純な事である。気になる廃屋を見つけただけである。
移動中であれば、気にも留めなかっただろうが、少しでも手掛かりが欲しい現状では、すがる思いであった。
――何か重要な情報が手にはいるかもしれない
確率的には低いとしても、その可能性を試したかったのだ。
そして、二人は『休憩』を取るためにその廃屋に入っていった。
(うわ……何だこの変な臭い……)
廃屋に立ちこめる酷い臭いは、二人の嗅覚を刺激した。
が、面目上は『休憩』であるから、変な声を上げるわけにはいかない。
♀Wizが地面を指して、口紅で文字を書く。
『これは腐敗臭です。死体があるかもしれません』
それを見て、♂シーフは体を震わした。
まさか、マーダラーの手が?
だが、その考えはすぐにかき消えた。
もし、このゲームでの死体であれば、ここまで酷い臭いになるはずがないからである。
じゃあ誰が?
♂シーフは近くにあったナイフ――それがグラディウスだと分かる――を手に取り、床に文字を掘り始めた。
「少し臭いですね……外で休みますか?」
『以前にここでゲームが行われ、その時のもの?』
♂シーフはカモフラージュとして喋りながら、本題を床に掘った。
「大丈夫ですよ。この程度なら、あまり気になりませんから。それより、シーフ君も休んだ方がいいのではないかしら?」
『かもしれません。調べてみる必要があります』
♂シーフの問いに答えつつ、本題に答えを出す。
『会話を途切らせない程度にお願いしますね』
(どうやら、ここは長い間使われていないらしいわね……)
♀Wizはそう思いつつ、寝室と思われる部屋を調べていた。
と言うのも、所々埃を被っていて、布団を調べた時なんかはあまりに埃が立ちこめてその場から離れたぐらいである。
家具なんかも使われてないのか、埃を被っているし、金属部品は錆びてる箇所も見受けられた。
(この腐敗臭はもう一つ向こうの部屋かしら……)
寝室には見るべきところはなく、もう一つ向こうの部屋に移動する。
ドアを開け、その瞬間酷い臭いに思わず咽せそうになった。
(酷い臭い……恐らく、死体はここにあるわね)
衣類を鼻にあて、廊下の窓を開けて息を吸い込んだ後、その部屋に入った。
書斎、だろうか。本棚がたくさんある。
案の場、そこに死体があった。
だが、♀Wizはその死体を見て思わず声を上げそうになった。
白を基調とした、威厳のある衣装――ぼろぼろになって威厳こそ失われているが――それは、あのGMジョーカーと同じ衣装であった。
細かい箇所は違うが、同じに違いない。
ならば、これは誰?
「♀Wizさん、大丈夫ですか?」
♂シーフの問いかけにはっとなり、先ほどの♂シーフが床に書いた問いを思い出した。
それと同時に、「大丈夫ですよ」と♀Wizが答える。
♀Wizは死体に近づき、調べてみることにした。
とは言っても、かなり日が経っているらしく、近づく事すら苦痛であった。
(恐らく、この死体はGMで間違いないでしょうね……)
ならば何故死体が?
(反乱があった?或いは、他のGM処分された?)
可能性としては、前者の方が高い。
GM同士で争うメリットは無いだろうし、何より死体を残す意味が分からない。
となれば――
そこで、♀Wizはある物に目を留めた。
金色に光る、大きい杖――
(これは……ウィザードスタッフ!?)
――ウィザードスタッフ――書物でしか見たことは無いが、吸血鬼や古の大魔導師が持っていたと言われる、とてつもない能力を秘めた秘宝、魔術師の神器とも呼ばれる物である。
恐らく、このGMは魔術師型。死体が腐っているので傷跡までは分からないが、衣服の状態からして、刃物による切傷、その大きさと床の黒ずんだ血からして出血多量、或いはショック死であろう。
♀Wizはウィザードスタッフを持ち、辺りを見渡し――♂シーフが手招きで呼んでいるのが見えた。
「♀Wizさん、これでも食べてください」
と、しかし本題は書棚の方を指していた。
何やら、空きスペースがあり、そこに小さいレバーがある。
『引いてみますか?』
適当な本に掘られた文章は、それである。
♀Wizはとっさに近くの本を手に取り、それに口紅でこう書いた。
「ありがとう。シーフ君も食べたらどう?」
『調べてから考えます』
と。
だが、ここで誤算が生じる。
偶然、レバーの隣にあった本が倒れ――不運にもレバーが入ってしまったのだ。
がちゃん。
「……!!」
二人はレバーの方を振り向いた。
これから、何かが起こるであろう事態に備えるために、準備している。
だが、やってきたのは敵ではない。
突然、床が抜けたのだ。
「え……!?」
「うわっ!?」
同時に声を上げ、逃げるように体を捻ったが、もう遅い。
二人の姿は床に吸い込まれるように消え、絶叫とともに、次第にその絶叫も消えていく。
14 名前:
13
投稿日:2007/03/27(火) 17:22:56 ID:FthaQscI
「ぁ……ぁぁ……ぁぁぁぁぁああああああ!?」
どすんっ!
男女の悲壮な絶叫がし、痛そうな着地音と同時に♀Wizと♂シーフがそこに現れた。
どうやら、やや急な滑り台のようになっていたらしく、それが幸いして二人に怪我は無
い。
「っー……いたたた……」
♂シーフは左腕をさすりながら、辺りを見渡した。
無機質な、灰色の壁ばかりである。
真正面に道があるようであり、その先はT字路になっているらしかった。
「♀Wiz……さん?……大丈夫ですか?」
♀Wizは腰を痛そうに押さえながら、痛みに耐えてるようであった。
「……年のせいじゃないわよ?」
半ば脅すような低いトーンで♂シーフに言った。
いや、まだ何も……、と言おうとしたが飲み込んだ。
言ったら魔法が飛んでくるような気がしたからである。
「それはおいといて……どうやら、ここは地下室らしいわね」
先ほどの雰囲気を完全に消して、冷静に状況判断をする。
滑り落ちてきたのだから、地下だというのは容易に予測できる。
「どの辺なんですかね……地図で確認をし……てえええええええええ!?」
地図をみて位置を確認しようとした♂シーフは、突然叫んだ。
それにつられ、♀Wizは急いで地図を取り出し、確認しようとして――
「嘘っ!?」
♀Wizも相当驚いたらしく、声が裏返った。
地図には、自分たちの現在位置が無かったのだ。
それどころか、地図に書いてある島の図がまるまる消えていたのだ。
「どどど……じゃなくてどうなってるんですかこれ!?」
♂シーフは驚きでパニックになってるのか、やや呂律が回っていない。
「わ、私に聞かれても……って、シーフ君落ち着いて!」
♀Wizにしては珍しく、少々パニックになっているらしい。が、すぐに落ち着きを取り戻す。
『多分、ここは地下です。あと、筆談はもう意味がないかもしれません。』
♂シーフは、♀Wizの落ち着きに感化されたのか、次第に落ち着きを取り戻す。
同時に、♀Wizが口紅で書いた文章を見て、自分のミスでおかれた状況がとても深刻であることを理解した。
深呼吸を数回繰り返し、
「とにかく、進んでみましょう」
♂シーフは、このゲームで初めて得た得物を手に、言った。
「……それは?」
♀Wizは、♂シーフの右手に収まっている短剣を見やり、聞いた。
「さっきの所で拾ったんです。トリプルハリケーングラディウスですよ。七回精錬してあるみたいです」
そんな物が。恐らく、あそこであったであろう戦闘の名残、と言った所だろうか。
そんな事を考えながら、♀Wizは♂シーフの後ろにいる謎の物体に見つけ――
あれは……リムーバ!?
「シーフ君、隠れて!」
考える前に、言葉が出た。
その言葉に呼応するように、♂シーフはハイディングですぐに隠れる。
♀Wizはユピテルサンダーの呪文を詠唱し、魔力を込める。
そこで、♀Wizは一つの驚愕。
魔力を込める速さが、かなり速くなっているという点である。
自分が対峙した♂Wizには全く及ばないが、少なくとも自分で驚くほど効率的に魔力を込めることが出来ているのだ。
そして、ユピテルサンダーを放ったあとに二つめの驚愕。
威力が、地上の時と比べて格段に上がっているのだ。
事実、ユピテルサンダーの直撃を受けたリムーバは、感電のせいか動きがかなり鈍くなっている。痙攣しているようにも見えた。
一応、先ほど手に入れたウィザードスタッフを使っているが、それだけでここまではならないだろう。
ともなれば、答えは一つ。
(スキル制限が外れた!?)
それ以外に考えようがなかった。
それと同時にファイアーウォールを唱え、そこにリムーバが突っ込んだ。
一瞬の炎の乱舞。
だが、それでリムーバは崩れた。
これで、♀Wizは確信する。
間違いなく、スキル制限が外れている。
そして、ここから二つの推測が生まれた。
一つは、この空間では装置の影響を受けない可能性。
一つは、ウィザードスタッフが装置の影響を無効化させる物である可能性。
今の所、後者の可能性が高いと♀Wizは判断する。
が、ここがもしGM達の懐であるならば、前者である可能性も否定は出来なかった。
どちらにしろ希望が大きくなってきたのを♀Wizは感じていた。
(私の実力を存分の発揮できるのなら……ジョーカーを殺せる)
もちろん、ジョーカーの実力は未知数なのだが、♀Wizは自らを鼓舞する為に、また誓いを確認する意味でもそう確信させた。
そして、リムーバの惨状を目の当たりにし、呆然としている♂シーフ――ユピテルサンダーが放たれた時点で出てきたらしい―に近づき、
「大丈夫?」
と声をかけた。
♂シーフは、借りてきた猫のように、首を縦に振ることしか出来なかった。
<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行
<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに。
<リムーバ>
所在地:謎の地下室?
状態:JT→FWに突っ込んで即死
15 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/27(火) 18:44:19 ID:FGrpByiU
いくらなんでも、謎の地下室とリムーバは脈絡がなさすぎやしないか?
まあ、投稿した本人がNGっぽいって言ってるから分かってるのかもしれないが。
16 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/27(火) 18:45:41 ID:FGrpByiU
そしてごめん。dameちまった……OTL
お詫びにageときます。
17 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/27(火) 19:08:34 ID:7h4kZ7NE
GM橘がアナベルツじゃなく、シュバルツバルド関連の間者なら、
リムーバーが出てきても話に繋がりが出てきそうなんだがな
『あの会社』なら敵対国にでも普通に提供しそうだが・・・
NGっぽいがうまく使えば面白くなりそうな気がする
18 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/28(水) 08:43:35 ID:sasWv34c
GM橘辺りが、独断でリムーバを密輸して使ってる気もするw
きっと、殺されてたGMは本来のGM橘なんだよ!!
そして偽者がGM橘として、現在の位置にいるとか(アリエナイ
19 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/29(木) 03:06:25 ID:Q7divT4Q
264.プリズナー(三日目・午前) (NG?)
(すごい・・・)
♂シーフは♀WIZに見とれていた
詠唱の早さ、そしてその威力は勿論の事だが
薄暗い地下室をリムーバの残骸が火の粉を上げて舞い踊る
その中心に、彼女が居た
闇に映える銀髪がサラリと流れ、微笑を浮かべて僕を見ている
神聖で妖絶で、その姿は今まで見てきた絵本のどんな女神よりも・・・
「・・・♂シーフ君?」
「…あっひゃい!?」
思いっきり裏返った声が出た
「どうしたんですか?ぼーっとして…落ちた時どこか痛めました?」
「いっいえ、大丈夫です」
見とれてました、とは流石に言えない
「でも、何か変ですよ?熱でもあるのかしら・・・」
無防備に顔を覗き込んでくる♀WIZ
(えっちょっまっうぇwwwwテラヤバスwww)
♂シーフ、思考回路ショート寸前
「ほっ本当に大丈夫ですからっ!」
バックステップを辛うじて抑えながら♀WIZを牽制
逆毛語で支配されつつある思考回路に鞭打って対策をはじき出す
(自我が崩壊する前に何とか話題をそらさねば…!)
手を振り回しながらあとずさるという格好悪い体勢ながら、目と頭でネタを必死に探す
と、
「あ、あれなんでしょうか」
床に光るものを発見、考える間も無く「それ」に飛びつく
「さっきの奴のドロップですかねぇ」
♂シーフの妙なテンションに首を傾げていた♀WIZだが、気を取り直して「ソレ」に目を向ける
「それは…確か囚人の腕輪です」
シュバルツバルドの生体工学研究所に忍び込んだという知人に何度か見せて貰った事がある
「へぇ、コレがそうなんですかぁ」
職業柄か性格か、腕輪を手にとって色々な角度でそれを眺める
まるで子供のような♂シーフを微笑ましいと思いながらも、ふと疑問が頭を掠める
(…囚人の腕輪…?リムーバが落とすなんて話は聞いたことがないけれど…)
「うぐっ!」
「♂シーフ君!?」
突然♂シーフが呻き、膝を地に着けた
♀WIZは慌てて♂シーフの元へ駆け寄る
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
圧倒的な殺意が♂シーフの頭に響く
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
(何・・・だよ、これ・・・)
むき出しの意識が呪詛の刃で切刻まれる
コロセコロセコロセコロセ殺セ殺セ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!
(あぁ…「自分」が壊れていく…)
♂シーフの右腕に、囚人の腕輪が鈍く光る
<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス 囚人の腕輪?
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行 呪詛に体を蝕まれる
<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに
20 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/29(木) 03:38:13 ID:Q7divT4Q
初めての投稿〜
orz 自分で書いてみて書き手さんのLVの高さを思い知りました
orz ぁぁぁ、良くみりゃナンバリングも間違えてる
21 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/29(木) 08:17:00 ID:53u8BAto
<特定グループの時間が進みすぎることの弊害>
あるキャラ(およびグループ)の話のみが進むことで問題になるのは、
・そのキャラに対する他のキャラからのリアクションが制限される
ex)夜の時点で無傷なキャラに、昼の話として戦闘で負傷させることはできない
・同様にそのキャラの行動を通じて他のキャラの状態が制限される
ex)あるキャラが夜に♂Wizと出会ったとしたら、♂Wizは夜まで生存しなくてはならず
しかも夜にはその場所にいなくてはならない
・特に定時放送をはさむ場合は死亡者および禁止区域の問題で整合性が取りにくい
上は極端な例を挙げたが、時間軸の整合性が絡むと大抵問題が発生する。
しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。
明確に制限事項とするのではなく、自粛事項程度にしておくのがいいのではなかろうか。
・物語全体の時間軸の整合性に配慮して、特定のキャラの時間を進めすぎないこと。
・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。
・この物語に明確な「主人公」は存在しない。えこひいきとならないよう配慮すること。
22 名前:
名無したん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/30(金) 11:21:54 ID:qncmi.zw
>>5
で済むものを何コピペしてるのかと
23 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/03/31(土) 10:57:58 ID:0XocTEPQ
書こうと思ったんだが文章が浮かばず・・・
とりあえず、前スレから出てきてない方を・・・
<♀騎士>
現在地:E-6
所持品:S1シールド、錐
外見:csf:4j0i8092 赤みを帯びた黒色の瞳
備考:殺人に強い忌避感とPTSDを持つが、やや心を強く持てるようになる。刀剣類に抵抗感 笑えるように
状態:JT2発被弾 背に切傷
<♂モンク>
現在地:E-6
所持品:なし(黙示録・四つ葉のクローバー焼失)
外見:アフロ(アサデフォから落雷により変更)
スキル:金剛不壊 阿修羅覇凰拳 発勁
備考:ラッパー 諸行無常思考 楽観的 刃物で殺傷
状態:腕に裂傷、JTを複数被弾、意識不明、通電によるショック症状
<♂騎士>
現在地:E-6
所持品:ツルギ、S1少女の日記、青箱1個、カード帖(♀スパノビ遺品)
外見:深い赤の瞳
備考:GMの暗示に抵抗しようとするも影響中、混乱して♂ケミを殺害 心身の異常を自覚
できれば♂ケミを弔いたい、誤解から♀Wiz達と小競り合いの末逃走
状態:痛覚喪失、体力は半分ほど 精神は安定してきているが、アンバランスな部分を残す
個体認識異常を脱するが、体に変調?
快方の傾向にあるが、未だ人間を殺すことに恐怖心は残る
<寄生虫(寄生磯巾着?)>
現在位置:F-6
外見:大きい紫色のヒドラっぽいもの(ペノメナ?)
備考:♂ローグから孵り、捕食 両生類? 西へ移動中
状態:全快
24 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/01(日) 17:55:35 ID:kzh9vEWs
265.崩壊していく理性の中で。(三日目・午前)(NGかも)
「あああああああああああああ!!」
右腕が、熱い。腕輪が恐ろしいほどの熱を発しているように感じられる。
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
自分のものとは思えない殺意が♂シーフの思考を蹂躙し、破壊していく。
(このまま、僕は壊れていくんだろうか・・・?)
♂シーフは崩壊しつつある理性の中で考えた。
(このままじゃ、♀WIZさんに攻撃を仕掛けてしまうかも・・・)
なにか解決策はないかと、必死に考えを生み出そうとするがそれもままならない。
殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
彼の思考を殺意が攻撃し続ける。
「やめろ、やめてくれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
堪らず♂シーフは叫ぶ。誰かタスケテ。
彼の叫びに♀WIZは驚き、体をビクッと振るわせる。
しかし、彼女は♂シーフから離れようとせずに彼の体をしっかりと抱きしめる。
そして、♂シーフの耳元で、優しく囁いた。
「♂シーフ君しっかりして、大丈夫。私がついているから。」
(母さん・・・?)
♂シーフの体を優しい温もりが包み込む。それは、亡くなった母のものとどこか似ていて、♂シーフの思考を少しだけ落ち着かせた。
(母さんも父さんも僕は失った。)
♂シーフはゆっくりと深呼吸をする。思考がさらにクリアになっていく。
(もう、誰も失いたくない。この温もりを失いたくはない!)
(その為には、今のこの状況は駄目だ。腕輪をどうにかしないと・・・)
しかし、彼が考えをめぐらせていると再びあの殺意が彼を襲った。
殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!その女を殺せ!
♂シーフの意思とは関係なく、右手がグラディウスを握る。
(やばい!!)
「♀WIZさん逃げて!!」
彼はそう叫ぶとバックステップを繰り返し♀WIZと距離をとる。
そのままの勢いで部屋の壁に自らの体を激突させる。
衝突の勢いで右手からグラディウスが抜け落ちる。
「♂シーフ君!!」
♀WIZが壁に突っ込んでいった♂シーフに向かって叫んだ。
「来ないでください!!」
♂シーフはなんとか自分の意思で動かせた左手でグラディウスを拾いながら答えた。
「この腕輪は危険だ。このままじゃ僕の意思など関係なく♀WIZさんを襲ってしまうかもしれない。
だから、破壊します。」
「もし、破壊できなくて♀WIZさんを襲うようなことがあったら・・・」
息をしっかりと吸う。恐怖で足ががくがくと震えた。
「そのときは、僕を殺してください。」
自分に出来る最高の笑みを浮かべながら♂シーフは♀WIZに伝えた。
それは、まるで自分ならできると自己暗示をかけているようで。
なるべく、♀WIZを心配させないように彼が気を使っているようで。
そして、自分が死ぬのを覚悟して別れを告げているようでもあった。
<♂シーフ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:多めの食料 +7トリプルハリケーングラディウス 囚人の腕輪?
容 姿:栗毛
備 考:ハイディング所持 盗作ローグ志望でちょっと頭が良い ♀Wizと同行 呪詛に体を蝕まれる
♀WIZの姿に亡き母が重なる 死を覚悟?
<♀WIZ>
現在地:D-6→北か西の半島を目指す→謎の地下室?へ
所持品:クローキングマフラー ロザリオ(カードは刺さっていない) 案内要員の鞄(DCカタール入) ウィザードスタッフ
容 姿:WIZデフォの銀色
備 考:LV99のAGIWIZ GMに復讐 ♂シーフと同行 年の事は聞かないでね?
状 態:容態安定。ただし全身に傷跡が残る。HPは半分ぐらい?希望が見えてきて気持ちが前向きに
25 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/01(日) 18:00:29 ID:kzh9vEWs
>>24
ナンバリングは266ですね申し訳ない
NGになるかもしれないけど投稿してみたー
♀WIZに♂シーフの母を重ねてしまった
間接的に年増と言ってるようなものだから♀WIZさんのファンの方々には謝罪したいです
前スレから出てない方々の話を書いたほうがよかったかも?
26 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/02(月) 01:57:28 ID:9oGNLfrk
心から済まないと思っているが口にさせてくれ
>>24
を読んで、何故か♂シーフの脳内でDMCが流れていると脳内変換されてシマタ
「SATUGAIせよ!SATUGAIせよ!」
27 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/02(月) 08:12:36 ID:NtEUyHpE
何のために>5のコピペを書き込みしたと……。
時間が進みすぎるから、他のPTが進んでから書いて欲しかったです。
ルール読まない人多すぎ
28 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/02(月) 10:39:07 ID:8D8VfD0E
時間のルールに拘ってられるほど多くの書き手が残ってるといいんだけどね
29 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/02(月) 16:04:03 ID:WW4uVc9.
他のPTが進んでないのは気になるけど、物語自体は少しずつ進行してるから
と喜んでいる僕は異端なのでしょうか(*´・ω・`)
これからの展開に期待
30 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/02(月) 20:59:21 ID:/4ma.sjw
ちょっと気になったのでカキコ。
>>5
は第一回ROワで問題になった、「特定PTの時間軸を進めすぎること」についての注意喚起ですよね?
264〜266話は連続したひとつの場面なので時間は数分しか進んでおらず、他PTの行動を制限しません。
抵触するとすれば
『・同じキャラに関しての話が連続することについては、連投規制に抵触しないならば
制限はしないが、物語上の扱いで不公平感が出ない程度に配慮・自粛すること。』
という一文ですが、その前段に
『しかし、実際問題として書きにくい、動かしにくいキャラと言うのもいると思う。
そうしたキャラが残った場合に誰がそれを書くかのお見合い状態になって
全体の進行が止まるというのもそれはそれで問題だし、だからといって
「書きたくないけど/ネタ思いつかないけど、話が進まないから書いてみた」
なんてので進んでしまうようになるとリレー小説として有益とは思えない。』
とも書かれてます。
同場面の話が続くのが3回程度ならすでに同様の箇所がいくつかありますし、
現実問題として集団がGM含め4つに絞られた現状では話を交互に進めることは難しくなっています。
そこまで目くじらを立てることではないと思うのですがどうでしょうか?
31 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/07(土) 10:53:40 ID:ps7gprM.
もう2週間ほどで開始から2周年か…早いもんだ
32 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/07(土) 10:54:11 ID:ps7gprM.
sage忘れるとかもうね
33 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/25(水) 11:07:11 ID:muNb5lCw
ほっしゅ
34 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/04/28(土) 06:36:40 ID:rYlIza6A
進んでませんなあ・・・。
続きを書きたいものの、流石に動かせるパーティがふた組にもなるとどうも
自分で続きを書くよりも他の人がどう繋げてくれるかを期待してしまう・・・。
そろそろ物語も収束させてく時期ですなー。
35 名前:
名無したん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/03(木) 17:33:45 ID:EJ5bSd/Y
「battleROyale'Swiki」のトップページがSPAMに改変されて
元々あったメニューが消えています。
36 名前:
R-0109 ◆
eVB8arcato
投稿日:2007/05/04(金) 00:12:36 ID:Kmwk8ajM
どうも、初めまして。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所(以下交流所)」の方でラジオをしているR-0109と申します。
現在、交流所のほうで「パロロワ企画巡回ラジオツアー」というのをやっていまして。
そこで来る5/6の21:00から、このロワを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?
ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。
交流所を知らない人のために交流所のアドレスも張っておきます。
ttp://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1178101118/
37 名前:
名無したん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/04(金) 00:25:46 ID:AS/7rGsA
このところ停滞してて今までの書き手さんも潜伏してるんで……
いいとか悪いとか意見は出にくいかも
でも、どういう感じの話題の出方になるんでしょうかね
38 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/04(金) 11:36:26 ID:IoCGGiwE
>>36
現在どーよって話より、以前どーだったかーって話になりそーだね
とりあえず、書き手や常駐してる(た?)人間全員からのレスは不可能だし
まとめるコテが居るスレでもない。全員名無しがデフォなもんでね
スレの雰囲気は馴れ合いに近いマッタリなので、ラジオで流す事自体は、問題無いと思いますよ
39 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/04(金) 22:26:08 ID:RrSjGJIc
ここは、2周目が始まって、登場人物の紹介が終わって殺し合いが始まった去年の今頃辺りまでが一番熱かったな。
特に大きな問題は無いと思ったけど、その辺りかペースが下がっていってラジオに…と言われてもスレが殆ど進まないほど人が少ない。
今はGW中だから、書き手さんらが旅行中とかという事もありえるけど…
まとめサイトは
>>1
で、過去ログ倉庫は ttp://moeita.net/oldlogs/RO/ ここの企画カテゴリにあります。
他のロワがどうなのかも気になるな。
40 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/04(金) 22:28:49 ID:8ErRc.4g
1部だけとはいえ完結してるロワは珍しいみたいだしな
1部の時の話をメインにしていけばいいんじゃないか?
41 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/05(土) 04:03:19 ID:vvDnuVPw
>>40
何となく第一回完結の前後思い出した
色々と頭ひねりつつ、他の書き手はどーやるつもりなのかなーとかそれの邪魔しちゃ悪いなーとか考えつつやっぱりやりたい事やって
そっちは任せたぜ兄弟! ってな感じで手出さなかったルートも綺麗にまとまって
全部終わった時ぁ、心底満足したよな〜。座談会も楽しかったーよヽ(´ー`)ノ
42 名前:
名無したん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/05(土) 11:49:59 ID:hBIMAKfA
だがちょっと待って欲しい
2部が終わる前に思い出話を始めるとますます停滞しはしないか
とROM専がほざいてみる
43 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/06(日) 00:44:53 ID:P3ZxIXBc
まぁ、ある意味バトROワは、本来無個性なはずのROのキャラをオリキャラ化していく作業でもあるわけで。
その辺りに潜在的な難点を含んでたのかも、と分析してみるテスト。
44 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/06(日) 01:14:31 ID:PAs9gCgA
特に第二回は前回のキャライメージ引っ張らないように苦労したな…
と、殴りアコと殴りWIZを放り込もうとした元書き手が言ってみるw
45 名前:
R-0109 ◆
eVB8arcato
投稿日:2007/05/06(日) 21:06:50 ID:9cz4nDAc
ttp://121.112.181.25:8000/
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1173139809/
上がラジオアドレスで、下が実況スレ(したらば)のアドレスです。
ラジオの聞き方はttp://spill.jp/play.htmlを参考にどうぞ
46 名前:
R-0109 ◆
eVB8arcato
投稿日:2007/05/06(日) 21:07:26 ID:9cz4nDAc
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1178453083/
うわあああああ、実況スレミスりました……
47 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/06(日) 21:55:27 ID:Jvi/jVmQ
住民さん住民さん
ラジオ実況住民がお待ちしております
聞きに来てくださいな
48 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/07(月) 00:34:09 ID:eGHMub8g
ok完結に……参加しそこねた_| ̄|○
49 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/07(月) 00:39:49 ID:m0WWm19Q
ふぅ。
WIKIの画像保管庫、全て、垢ハックリンクになっていた。
とりあえず、本来の直し方(?)がわからんので、
バックアップからコピペで直したけど。
他にもあるかもしれん。
50 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/07(月) 00:40:48 ID:m0WWm19Q
「バトROワギャラリー」ね。
51 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/07(月) 13:10:42 ID:lDjMrTDw
7日だと思ってた…orz
52 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/09(水) 00:04:32 ID:Hs5YQ7QY
ラジオで、俺の書いた話が話題に取り上げられたたらしい
おおおおぉぉぉぉぉ嬉しくて首吊りそうな勢いだ
なーぜーおーれーはー参加できなかったんだー_| ̄|○
でも、直で聞いてたら嬉しすぎて俺泣いてたかもしらん。涙もろいのですよぼかぁ
53 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/09(水) 09:11:37 ID:Iqw6mo6U
久々に覗いてみたら面白そうなことしていてぎゃああああああ
聞き逃した。・゚・(ノД`)・゚・。
54 名前:
R-0109 ◆
eVB8arcato
投稿日:2007/05/09(水) 20:08:23 ID:7Lz8PsOE
うーん、住人さんの大半が聞き逃してしまったようなので現在のツアー後にもう一度ここに回ってこようと思います。
そのときはもっと前もって予告をしようと思うのでよろしく御願いします。
55 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/09(水) 23:09:50 ID:Hs5YQ7QY
>>54
気を遣わせるねえ、ありがとう
次こそは何とか参加出来るよう頑張ってみるさーね
56 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/11(金) 20:45:24 ID:caVZgJ8k
それも良いが、皆で第二回のコレまでを一度読み返して纏める作業を
や ら な い か。
なんというか、キャラ把握も兼ねてダイジェスト版を作ってみる、と言うか。
いや、久々に第二回目の一話読み返してみたら思いの他面白く感じちゃって。
凄く苦労のある作業になりそうだけれども。(苦笑い)
57 名前:
名無したん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/13(日) 14:21:23 ID:9a/sL6MM
ttp://wiki.spc.gr.jp/battleROyale/
Wikiのフロントページが広告(?)に書き換えられていたので
ページ一覧に修正したんですが、この先はどう整えたらいいですか。
(元のフロントページがどんなふうになっていたのか分かりません)
58 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/13(日) 20:19:51 ID:c240/bME
個人的には、
そこ、全て白紙にして、廃棄してもいいんじゃないかなっと思う自分。
所々、垢ハックが仕掛けられてる。
(修正はまだしてない)
59 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/14(月) 01:03:48 ID:j270NHLc
現在機能は、第二回があるほうに全部おいてあるし、廃棄しても問題ないと俺も思う。
そこをもう一回整える意味がさほどあるとも思えないし。
60 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/14(月) 06:36:39 ID:dJEOE2r6
267.頭上の敵[3日目午前]
まずいことになった、と♀ケミは全力で脳を回転させる。
死にぞこないの逆毛が余計なことを言ってくれたせいで疑われるのは時間の問題になってしまった。
しかも顔見知りの淫徒プリまで出てきた。
考えてた中でも最悪に近い状況だ。
でも、事態はまだ混乱している。
「ん〜。ちょっと増えすぎ?できれば順番に並んで欲しいなあ」
「ふざけんなー!あんたちょっと降りてきなさいっ」
「やーだよー。そっちが昇ってきたらー?」
パピヨンは急に数の増えた『ごちそう』を警戒して少し高度を上げていた。
その高さから地上の♀アコと口げんかしている。
こうしてみると知能のあるパピヨンというのは実に厄介だ。
人の手の届かない高さから中〜遠距離の攻撃ができるのだから。
弓使いがいない今、有効な反撃をできるのは魔法使いだけだろう。
彼女は♂セージと♀マジに視線を向ける。
「魔法使いさんたち、あのパピヨンを撃ってください!」
「あ。ちょっとムカ。そこのおばさんからに決〜めた」
「誰がおばさ――」
ヒュヒュヒュヒュンッ
♀ケミの言葉をさえぎって血色の魔力球が殺到した。
「きゃっ」
「ソウルストライク!あんた、挑発してるんじゃないわよっ」
「ソウルストライク。まあやることは一緒のようですが」
パパパンッ
左右から飛来した半透明の魔力球が血色のそれと空中で交錯する。
ほとんどは相殺しあったが、弾幕をすり抜けた赤光が一発♀ケミの眼前へ迫る。
「ちっ」
命中直前、グラサンモンクの掌が割り込んで受け止めた。
彼も♀ケミに対する疑念を増してはいたが、目前の敵に攻撃を受けてる最中にそんなことは言ってられない。
薄く煙を上げる手のひらを握り締め、彼は毒づいた。
「思ったより痛いぞ」
「あったりまえでしょ!むちゃするんじゃないわよっ」
悪ケミに叱られるグラサンモンクを横目に♀ケミは考えを素早くまとめる。
どうやら『仲間』達はまだ彼女を見捨てていないらしい。
♂プリの言葉を聴いて全然疑わないはずもないだろうが、これなら挽回の余地はある。
「プリーストさんが危ないです。あの人から引き離さないと」
彼女はそう言って飛び出した。
「ちょっとあんた、まだそんなこと」
「戦えないのに前出るなーっ」
叫ぶ♀マジと♀アコの間を抜ける。
前へ。一気に♂プリの元へ。
「ちょっとー。無視すーるーなー」
木々の間を縫ってパピヨンが襲い掛かった。
中空から再び真紅の光弾を放とうとする。
だが今度はそれが撃ちだされる前に消滅した。
「スペルブレイカー」
「あ、あれっ?ちょっと、邪魔しないでよっ」
「そう言われましてもねえ」
「む。次やっつけるのあんたに決定ー。いーもん別のコトだってできるし」
つかみどころのない笑みを浮かべる♂セージに頬を膨らませ、パピヨンは羽を大きく羽ばたかせる。
「寝ちゃえー!」
その蝶の羽からキラキラ輝くものが広がった。
「きれい…」
「のんきですね。息を止めて」
「鱗粉?…げ、やば」
「何が?」
♂セージや♀マジらはその意味に気付いて息を止めたが、♀アコや♀商人、グラサンモンク達は舞い散るそれを吸い込んでしまった。
「ちょっとしたぼく!ねるなー!」
「…ぐ」
足元をふらつかせたグラサンモンクを悪ケミが叩き起こす。
♀商人も♂セージが肩を揺さぶって意識を取り戻させた。
睡眠毒も体へ直接打ち込まれた場合と違って広範囲に散布したのでは効き目は薄いようだ。しかもこの人数なら眠らなかった者が起こせる。
「もういっかーい」
「同じことやったって無駄よっ」
再び輝くものが宙に広がるのを見て全員が息を止めた。
だが、その様子にパピヨンは笑う。
「なーんちゃって」
瞬刻の後、触角の間に真紅の光弾が生まれ♀ケミへ向かって殺到した。
息を止めていた♂セージはスペルブレイカーに間に合わない。
「――しまった!」
「きゃあっ!?」
どぱぱぱんっ
鈍い着弾音が連鎖する。
その衝撃に突き飛ばされるように♀ケミの体が転がった。
「ああもうっ」
♀マジは♂セージとアイコンタクトを取り詠唱の態勢に入る。
「ソウルストライク!」
「邪魔っ」
ほとんど同時にパピヨンは魔力球を生み出し、自分がやられたのと同じように相殺しようとする。
その出鼻を♂セージが押さえた。
「スペルブレイカー」
「ええっ!?うわわわわっ」
撃ち出される前に赤い光球だけが消滅する。
当然のように♀マジの魔法はパピヨンに命中しようとした。
彼女はとっさに羽を閉じて落下しながら身をよじり、直撃を回避する。
それでも避けきることはできず、魔力に弾かれた羽から鱗粉が散った。
「んもうあぶなっ!って、きゃーっ!?」
「とうっ」「逝け」
地上すれすれで羽を広げ、地面への激突を回避したパピヨンへ2つの影が殺到する。
鋭い拳の連打が左右から襲った。
スピードを殺した直後で飛び立つには間に合わない。避けようにも挟み撃ちで逃げ道が封じられている。
とっさにパピヨンは地面を蹴り、同時に触角を上へ放った。
鞭のように枝に巻きつかせ、一気に体を引き上げる。
「まだだ」
拳が空を切ったグラサンモンクは体を急停止させ、パピヨンへ右の人差し指を向けた。
その動きに合わせて青白く光る気の塊が飛ぶ。
急いで枝から触角をほどいて羽ばたくが、逃げ切るには間に合わない。
かすった肩口から薄黄色の体液がしぶき、羽にピンポン玉大の穴が開いた。
「いったーい!なにすんのよ寄ってたかってー!いじめかっこわるいっ!」
「…どこでそんな言葉覚えたのよ」
「あれで落とせないとはな」
魔法も届かない高度へ離れたパピヨンを睨みつつ、グラサンモンクは気を練り直す。
その間に淫徒プリは♀ケミの元へ向かっていた。
見たところあのパピヨンの能力は通常よりかなり高い。
魔法の直撃を受けたとすればかなりひどい傷を負っているかもしれない。
「あんたも無視すーるーなー」
その動きを見とがめたパピヨンは急降下し、魔法の射程に淫徒プリを捉える。
だがそれは地上にいる者たちにとっても同じことだった。
「今度こそっ」
♀マジがソウルストライクを詠唱し、♂セージはパピヨンの動きを待つ。
しかしパピヨンは闇SSで相殺しようとはしなかった。
「おんなじ技はきかないよーだ」
手近な巨木の幹を巻くように降下し、魔法の射線を切る。
半透明の魔力球は木の表面でむなしくはじけた。
「それではそちらも撃てないでしょうに」
♂セージは即座にスペルブレイカーの準備をやめて素早く別の呪文を詠唱する。
「ナパームビート」
その術はパピヨンではなく、彼女が回り込んでいる木の枝で炸裂した。
軽い破裂音が上がり、衝撃波が四方に放たれる。
衝撃は幹の陰へも回り込み、狙いどおりに蝶の羽を打った。が、パピヨンは軽く顔をしかめただけで爆圧に乗ったかのように加速する。
目標は彼女のほぼ真下で待ち構えるグラサンモンクと♀アコ。
「いっくぞー」
「来い」
すでに気を集め終わったグラサンモンクはその流れを指先へ集める。
飛び込んでくるのが剣を握った人間なら指弾を撃つほうが早かっただろう。
しかしパピヨンの一撃は鞭の間合いを持っていた。
バチッ
鈍い音が上がり、彼の肩から背中にかけて服がはじける。
もちろんその程度の打撃で気を乱すような甘い修行は積んでいない。
指先へ集められた気は霧散することなく撃ち出された。
なのにその気弾はパピヨンをかすめもせず、あらぬ方へ飛ぶ。
(睡眠…攻撃かっ)
急激な眠気でグラサンモンクの腕が下がり、膝が落ちていた。これでは当たるものも当たらない。
暗くなる意識の隅で彼は歯ぎしりした。
だが、パピヨンも自身の突撃速度が速すぎて止まるにも次の一撃を入れるにも間に合わない。
衝突を避けてグラサンモンクの脇をすり抜けようとしたその時
「せぇいっ!」
止まりようのないパピヨンに♀アコの拳が振るわれた。
狙い打ちに突き出したジャブは正確に相手のボディを捉える。確かな手ごたえが拳に残った。
ところが本命の右ストレートは空を切る。
「ちょ、逃げるの!?」
「ばーかばーか暴力女ー」
ワン・ツーの間をすり抜けられた♀アコは飛び去る後ろ姿に叫ぶが、パピヨンは子供じみた悪口を返しただけだった。
落下のスピードをほとんどそのまま飛翔速度に変えた彼女は地面すれすれを滑るように飛ぶ。
逃げ出したわけではない。次の標的は別にあった。
61 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/14(月) 06:37:58 ID:dJEOE2r6
「来るよっ」
「あー、困りましたね」
自分達へまっしぐらに突進してくるパピヨンを目にして♂セージはぼやいた。
どうやら多少のダメージは覚悟の上でこちらの遠距離戦力を1人ずつ削いで行くつもりらしい。
自分でもそうするだろう。となれば狙いは体力と防御力に劣る♀マジへの直接攻撃。
ソウルストライクでは止めきれまい。
彼と同じ判断をしたわけではないが、♀マジは突っ込んでくる敵に対しほとんど反射的に防御の術を唱えた。
「ファイアウォール!」
正しい選択だ。だが。
♂セージは詠唱しながら♀マジへ向かって走る。
「ソウルストライク!」
パパパパンッ
炎の壁の中で魔力球同士が相殺しあう音が連鎖した。
パピヨンも赤いソウルストライクを撃っていたのだ。
さらに♂セージはそのまま駆け寄り、驚き顔の♀マジを突き飛ばす。
「え!?」
ガキンッ
一瞬後。何かが猛スピードでファイアウォールを突き破り、♂セージの胸元で激しい金属音を上げた。
「ちょっとキミ、大丈夫!?」
「♂セージさん!」
♀マジと♀商人が悲鳴じみた声を上げる。
よろめく♂セージの体から、のたうつ赤いものが炎の向こうへ引き戻された。
触角の長いリーチを利して壁越しに攻撃されたのだ。
ファイアウォールを出す位置が近すぎた。♂セージがかばってくれなければ♀マジは心臓を貫かれていただろう。
「ファイア…ウォールっ!」
♀マジは自責の念を押し殺し新たな呪文を唱えた。
ファイアウォールの厚みが倍に膨れ上がる。
パピヨンは素早く飛び上がってそれを避けた。そして不満そうに口を尖らせる。
「ちぇー。やったと思ったのになー」
「え?」
パピヨンの言葉の意味を測りかねて♀マジは眉根を寄せる。
その背後で♂セージが身じろぎした。
「大丈夫?」
「ごほっ…まあなんとか大丈夫のようです」
心配する♀商人に彼は右手のソードブレイカーを上げて見せる。どうやらそれでぎりぎり防いだらしい。
「無事だったんだ。って、わ!?」
「よそ見はいけませんよ」
♂セージは思わず振り返った♀マジの襟首を立ち上がりざまにつかむ。
そして体の位置を入れ替えるのとほとんど同時に頭上へ忍び寄っていたパピヨンの触角が襲い掛かった。
だが不意打ちを狙った一撃にさっきほどの勢いは乗っていない。
彼は刃で受け止めながら素早く詠唱した。
「フロストダイバ…ごほごほっ」
「うわ」
地面から伸びてきた氷の帯に足を取られかけ、パピヨンは慌てて距離をとる。
もし♂セージが咳き込まず、呪文が完全だったら凍結していたかもしれない。
彼女のアドバンテージは飛行能力にある。捕まったら最後だ。
不利を悟った彼女は高く飛び上がる。
ただ、1人も殺せずにただ逃げるのでは腹の虫がおさまらなかった。
「べーっだ。いーもん、おばさんやっちゃうからー」
パピヨンは♂セージらに舌を出し、ついでに尻まで叩いて見せてから♀ケミ達を目指す。
「いやもうまったく。私も翼が欲しいですね」
♂セージはぼやきながらパピヨンを追って駆け出した。
一方、地面に伏す2人の容態を確かめていた淫徒プリは一息ついていた。
パピヨンの放った魔力球のうち♀ケミに直撃したのは1つか2つだけらしい。
いっそ死んでてくれれば面倒がなかったのに。
ちらりと黒い考えが頭をよぎったが、ひとまず彼女のことは置いといて一刻を争いそうな♂プリの治療に専念することにする。
その時
「逃げてっ」
背後から♀商人の声が届いた。
振り返るとすぐ近くまでパピヨンが迫っている。♂セージと♀マジが追っているがどう見ても間に合わない。
淫徒プリは舌打ちし、瞬時に『正しい』選択をした。
「速度増加」
自分の足を速くし、パピヨンが直線的には追って来れないよう立ち木をはさむ位置へ移動する。
そしてその離れた位置から倒れている二人にヒール。
少々利己的に見えるが、淫徒プリでは2人をかばい切れない以上もっとも合理的な判断だった。
ただし、もちろん他の者まで同じ意見とは限らない。
「ちょっと、何やってんのよ!」
「逃げるなー!」
♀アコと♀マジの熱血コンビが怒鳴った。
淫徒プリは少しむっとする。
合理的に考えて、これ以上治癒魔法の使い手を減らす危険は冒せないだろう。
それも素性の怪しい♀ケミや助けられるかどうか怪しい♂プリのために。
言い返そうとしたとき♀ケミがゆっくり身を動かすのが目に入った。
「プリーストさん…」
♀ケミは小さくつぶやき、♂プリを守ろうとするかのように覆いかぶさる。
これは賭けだった。
彼女の嘘を論破されないためには最低限♂プリの口を封じないといけない。
それも♀ケミ自身が手を下すことなく。
だから♂プリもろとも攻撃を受け、それが瀕死の彼へのとどめになるよう仕組んだ。危うい賭けだが今はこれしかない。
そして、彼女の上に蝶の羽を持つ娘がたどり着いた。
「バイバーイ」
ドドンッ
高速で飛び過ぎるパピヨンの頭部から真紅の鞭が連続して振り下ろされ、ぱっと血しぶきが上がった。
<♂プリースト>
現在地:E-6
所持品:修道女のヴェール(マヤパープルc挿し) でっかいゼロピ 多めの食料 マイトスタッフ
外見:逆毛(修道女のヴェール装備のため見えない) 怖い顔
備考:殴りプリ ♀ハンターを抱え交戦地点へとUターン
状態:瀕死(HPSP共に真っ赤) →不明
<♀アルケミスト>
現在地:E-6
所持品:S2グラディウス ガーディアンフォーマルスーツ(ただしカードスロット部のみ) クロスボウ 矢筒 毒矢数本 望遠鏡 寄生虫の卵入り保存食×2
外 見:絶世の美女
性 格:策略家
備 考:製薬型 悪女 ♂スパノビ・悪ケミらと同行 首輪や地図の秘密を知り悪だくみ中 淫徒プリと再会
状 態:闇SS被弾 →不明
<♂スパノビ>
現在地:E-6
所持品:スティレット ガード ほお紅 装飾用ひまわり 古いカード帖
スキル:速度増加 ヒール ニューマ ルアフ 解毒
外 見:巨漢 超強面だが頭が悪い
備 考:BOT症状発現? ♀BSの最期の命令に従っている ♀ケミ・悪ケミらと同行 仲間を見つけた?
状 態:HPレッドゾーン、ヒールを受けてやや回復?意識は朦朧?or気絶?
<悪ケミ>
現在地:E-6
所持品:グラディウス バフォ帽 サングラス 黄ハーブティ 支給品一式 馬牌×1
容 姿:ケミデフォ、目の色は赤
思 考:脱出する。
備 考:サバイバル、危険物に特化した頭脳、スティールを使えるシーフを探す、子バフォに脱出を誓う、首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
したぼく:グラサンモンク
参考スレッド:悪ケミハウスで4箱目
<♀アコライト&子犬>
現在地:E-6
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミを信用?
状 態:デビルチとの戦闘で多少の傷
<♀マジ>
現在位置:E-6
所持品:真理の目隠し とんがり帽子
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに疑念 レズ疑惑
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し
<グラサンモンク>
現在地:E-6
所持品:緑ポーション5個 インソムニアックサングラス[1] 種別不明鞭
容 姿:csm:4r0l6010i2
スキル:ヒール 気功 白刃取り 気奪 指弾 発勁 金剛 阿修羅覇王拳
備 考:特別枠 右心臓 したぼく二号 ♀ケミに疑念
状 態:悪ケミを護る、♂WIZ殺害後♀マジを治療、デビルチ・♀ハンターを警戒 パピヨンと対峙中、睡眠状態
参考スレ:【18歳未満進入禁止】リアル・グRO妄想スレッド【閲覧注意】
作品「雨の日」「青空に響く鎮魂歌」よりモンク(♂モンクと区別するため便宜的にグラサンモンクと表記)
<♂セージ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:ソードブレイカー 島の秘密を書いた聖書 口紅
容 姿:マジデフォ黒髪
スキル:ファイアーボルト ファイアーボール ファイアーウォール ナパームビート ソウルストライク フロストダイバー
備 考:FCAS―サマルトリア型 ちょっと風変わり? GMジョーカーの弟疑惑
♀商人・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・
状 態:胸部打撲でちょっと咳き込んでいる
<♀商人>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:店売りサーベル、乳鉢いっぱい、カート、100万はくだらないゼニー
容 姿:金髪ツインテール(カプラWと同じ)
備 考:割と戦闘型 メマーナイトあり? ♂セージに少し特別な感情が?
♂セージ・淫徒プリと同行 ♂プリとの再会だが・・・
<淫徒プリ>
現在地:E-6(東の半島を目指す)
所持品:女装用変身セット一式 未開封青箱
容 姿:女性プリーストの姿(csf:4h0l0b2) 美人
備 考:策略家。Int>Dexの支援型 ♀WIZに話したことで少し楽になる
♀商人・♂セージと同行 ♀ケミを警戒?
<パピヨン>
現在地:E-6
備 考:ミストレスの魔力を一部受け継ぐ ノーマルより強い
状 態:あちこちに軽症 撃退されてご立腹中?
<残り16名>
62 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/14(月) 09:31:18 ID:cqyo8V0k
新作ktkr。後で読ませてもらいます
63 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/14(月) 23:28:41 ID:j5Avdy6I
GJ・・・と言いたいが、グラサンモンクはインソムニアックサングラス装備だ。
睡眠耐性があるので寝ることはないと思うんだ。
64 名前:
60
投稿日:2007/05/15(火) 00:01:42 ID:50kXBVHE
…しまったああああああああああ!?
65 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/15(火) 00:37:06 ID:0MPcZNjg
うーむ。修正を試みてみますが、昨日ほぼ貫徹でしたので今日はもう_。orz
いつになるか不明ですので
>>60-61
は一旦取り下げさせていただきます。
その間にどなたか別の展開思いついたらそちら優先で。
でもってお詫びといっては何ですがこんなもの投下。
66 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/15(火) 00:39:03 ID:0MPcZNjg
267. 2つの地下で(三日目午前)
その異常は即座にGM森へ報告された。
ジョーカーでも橘でもなかったのは単に当番の問題である。
「あ?誰が消えたって?」
森は監視など退屈極まりないという様子を隠しもせず、椅子にだらしなく腰掛け大あくびをしながら聞き返す。
「♀Wiz、♂シーフの両名です」
「あー。だったら死亡報告書いとけ」
つまらないことで呼ぶな。森はそう言わんばかりの口ぶりで言って目を閉じた。
そのまま寝てしまいそうな様子に兵士は急いで報告を続ける。
「いえ、死亡してはいません。首輪とのリンクは正常に機能しています」
「そのどこが消えてんだ」
「地図盤上から位置表示が失われたんです」
「なんだと?」
ようやく事態の異常さを理解したように森は椅子から身を起こした。
壁面に設置された巨大な地図へ歩み寄り、しかめ面で眺め回す。
「つまりあれか?脱走されたってことか?」
「そんなはずは…。島外へ出たのであればリンクが切れているはずです」
「じゃあどうしたってんだ」
「さあ…」
「分かんねえのかよ。ちっ、使えねえな」
森は自分にも推測できていないことを棚に上げて舌打ちする。
兵士はさすがにむっとしたようだが、そこは組織人の悲しさ。文句は口に出さない。
代わりにその憤懣は問題を起こした2人へ向かう。
「では違反とみなして爆破しますか」
「ん?んー…。そうだ、ちょっとまて」
森は何か思いついたのか、口の端に笑みを乗せて押し止めた。
「まだそいつらがルール違反したって決まったわけじゃねえだろ?」
「は?…それはまあ地図から消えてはいけないというルールはありませんが…」
「で、具体的にどうなってるか分かんねえ、と。だったら俺が見てくらあ」
「……は!?」
兵士は口をあんぐりとあけて数秒間硬直した。
その間に宣言どおり出てゆこうとした上司を我に返って呼び止める。
「ここはどうするんですか!」
「知るか。俺がいなくても別に困らねえだろ」
「それはそうですが。じゃなくて、本部をカラにする気ですか?」
「不安なら橘のヤツでも呼べよ」
必死に引きとめようとする部下達をあっさりかき分け、森は監視室を出て行った。
*****
「ふむふむ。それは困りましたねえ」
私室へ大慌てで飛んできた兵士の報告を聞いても、ジョーカーの声はのんびりしたままだった。
「たった今、陛下には異常無しとご報告申し上げたところですのに」
「そ、そういう問題ですか?」
「大事なことですよ」
大真面目な顔でジョーカーは言う。
冗談か本気か判断しかねて兵士が返答に困っていると、彼はかすかに不満そうな顔をして話を切り替えた。
「まあそれはともかく。GM森が調査へ向かったのならその結果を待ちましょう」
「いいのですか?」
てっきり森を止めてくれるものと思っていた兵士は意外そうな顔を見せる。
それに対してジョーカーの方も不思議そうな顔を返した。
「原因不明の理由で地図から反応が消えたのでしょう?システムに問題点があるなら解明しないとろくなことになりませんよ」
「ですがもしGM森が2人を殺してしまったら?」
調査というのはただの口実で、森が喜々として出て行ったのは『運動』したくなっただけだと思うのですが。兵士の顔にはあからさまにそう書いてある。
だがジョーカーは眉ひとつ動かさず机の引き出しを開けた。
「その場合正当な理由があればよし、さもなければ彼が代わりにゲームの参加者となるだけです」
こともなげに言って取り出した真新しい首輪を机の上に置く。
兵士はうそ寒そうな表情で首筋をなでた。
*****
「正直なところ、どうお考えですか?」
兵士と入れ替わるように入ってきたGM橘が尋ねた。
彼も別口から報告を受けたらしい。
「どうとは?」
「なぜ♀Wizと♂シーフの位置が分からなくなったかです」
「そうですねえ」
ジョーカーはのんびり相槌を打ちながら部屋の隅へ行く。
どうするかと思えばコーナーテーブルに用意されたポットから紅茶を注ぎ始めた。
そしてゆっくりひと口、じれる橘がせかそうとするのを手で制して言う。
「位置表示が消える可能性として考えていたことはあるのですけどねえ」
「なんでしょう」
「地図が壊れた場合ですよ」
「…なるほど」
参加者の現在地は各自に渡された地図の機能によって追跡される。したがって地図が失われれば持ち主の居場所も分からなくなる。
もちろん地図はそう簡単に破れたりしない素材を使ってあるし、少々切り裂かれたぐらいではかけられた魔法も消えない。
だが炎の中に投げ込まれたりすればさすがにひとたまりもないだろう。
「では2人とも大きな事故に巻き込まれたということでしょうか」
「いえ。地図が両方とも壊れるほどの目にあって持ち主達が生き残るなどあり得ませんよ」
「ならば意図的に地図を破壊した可能性は?」
「そんなことをするべき理由がどこにあります?」
ジョーカーはカップを手に席に戻った。
地図を失えば以降の行動に不自由を生じる。
意味もなく自分で地図を焼く馬鹿がいるとは思えない。
「たとえば♀Wizが例の工務大臣から秘密を聞き出した女だとすれば、こちらに位置を知られることを嫌って壊したとは考えられないでしょうか」
「そこまでして居場所を隠す理由は?」
「それはもちろん反乱を起こすためでしょう」
自説を開陳する橘に対し、ジョーカーは組んだ両手の上にあごを乗せてつまらなそうに言った。
「反乱するつもりならギリギリまで隠さなくっちゃ意味ありませんよ。わざわざ地図を壊してこちらに警戒させるはずがありません。捨てれば充分ですね」
「では時間切れまで禁止区域に潜むつもりでいるとか。それなら捨てただけでは次の禁止区域設定で爆死する可能性があります」
「馬鹿言っちゃいけません。生き残れるのは1人なのですよ」
「それは…うーん」
一言の下に切って捨てられ、橘は言葉に詰まった。
地図の秘密に気付いたのならそれを逆手にとって禁止区域に潜み、他の参加者が減るのを待つという選択肢はありうる。
だがそれは最後の1人になろうという明確な意思と戦略があっての話だ。
そんな人間が2人連れで隠れるはずがない。
やがてジョーカーは首を振って続けた。
「やはり地図が破損したという考えは捨てるべきでしょうね」
「と言いますと?」
「地図の反応しない場所に行ったのでしょう」
「そんな場所があるんですか?」
「島内で一箇所だけ地図が働かない場所があるのは知ってますね?」
ジョーカーは橘の問いには直接答えず、別の質問で返した。
橘は即答する。
「ええ。ここですよね?」
ジョーカー達の居る管理本部内では地図は反応しない。
参加者達が島内各所に飛ばされる前に集められるのがここだからである。
もし飛ばされる前に地図を確認した者が居ても、本部の場所がばれてしまわないようにという用心だった。
「まさか、すでに侵入を許したとお考えですか?」
「それこそまさかですねえ。私が言いたいのはここと同様の仕組みで地図の反応しない場所があるのではないかということですよ」
「そんな場所が?設計か施工段階でのミスでしょうか」
「いえいえ。工務大臣は確かにお馬鹿さんでしたが、こと仕事に関しては手抜きのない方でした。そんな初歩的ミスを見逃すとは思えません。誰かが完成後に手を加えたと考えるのが自然でしょう」
「はあ。すると前回反抗した者の誰かでしょうか」
「難しいですね。時間・手段・資材、全てに欠けます」
「それは…程度問題ではありませんか?我々でも難しいと思いますが」
「1つだけ思いついた方法があります」
ジョーカーは思わせぶりに言葉を切り、橘を見据えながらゆっくり一言だけ告げた。
「ガンバンテイン」
この魔法は先に設置された魔法を部分的に中和する。
とは言ってもギルド砦の各種制限や屋内のテレポート禁止など、建物等へ半永久的に付与された術までは除去できない。
本来は。
だがこの島の場合通常の施設とは違い、短期間に広範囲へ施術する必要があった。
当然あらゆる場所へ直接術を掛けるような余裕はなく、島内四箇所の装置の力で強引かつ一時的に付与しているに過ぎない。
ならばガンバンテインで除去できる可能性もある。
「なるほど。♀Wizが使ったのでしょうか」
「無理です。ガンバンテインはハイウィザードスキルで、しかもジェムストーンが必要です」
「あ、そうでしたか。では誰が」
「過去、この島にハイウィザードの能力を持った者は数人しか来ていません」
ジョーカーはその瞳に心の奥底まで見透かすような光をたたえて橘を見た。
「その方々を思い返してみたのですが、施設整備に来ていた林という技術者を最近見ないのですよねえ。彼がどうしているか知りませんか?」
「……あなたではあるまいし、兵や技術者の動向をいちいち把握してませんよ」
「それは残念。では自分で調べてみましょうかねえ」
にこやかに笑いながらもジョーカーの視線は橘から動かない。
これは明らかな恫喝だ。
ジョーカーは彼が何かやったと確信している。
まだ物的証拠がないから彼が暴発するか口を割るのを待っているに過ぎない。
橘は腰に下げた剣を意識した。
67 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/15(火) 00:39:20 ID:0MPcZNjg
*****
林はハイウィザードだった。
そして魔法技術者として島へ来ていた。
彼はその職務によってシステムに関する充分な知識を得、その知識とガンバンテインを用いて問題の廃屋からシステムの影響を除去することに成功した。
以来彼は職務の合間を見つけては、何の制限も受けないその場所で『囚人の腕輪』を研究。残留思念を利用した殺人衝動の刷り込みを先月までにほぼ完成させた。
折りよくほぼ同時期に反乱でGM数名が失われ、代理が新たに派遣されることになった。
林はそのGMの顔写真とプロフィールを入手。変装の下準備を整えた上で上陸する彼を出迎え、本部に案内すると偽って廃屋へ誘い込んだ。
少々不自然な状況へ誘い出されたのはGMにも油断があったからだろう。
魔法には詠唱が必要であり、さらに島内では兵士も技術者も等しく能力を制限されている。林に限らず誰が相手でも敵ではないはずだった。
だが林はいわゆる「殴り」で、しかも廃屋に能力制限の影響はなかった。
囚人の腕輪と共に密輸したリムーバーをおとりに、隙を見せたGMを背後から一突き。
手馴れた一撃はそのまま致命傷となった。
その後彼はGMの装備を奪い取り、用意しておいた白衣と道具で殺したGMに変装。
殴りであることのカモフラージュのために持ち歩いていたウィザードスタッフと殺人の証拠である短剣はそこに捨てた。
幸いゲームとゲームの間の準備期間だったためジョーカーは島におらず、さらに眼鏡とオールバックという特徴的なスタイルが変装を見破りにくくした。
だからこそ今日この時まで、少なくとも表立って彼を疑ったものは居なかった。
――殺されたGMは名を橘といった。
*****
ジョーカーと真っ向勝負した場合、果たして勝ち目はどれぐらいあるだろう。
橘がそんな計算を始めたとき、部屋の扉を誰かがノックした。
そして返事をするより早く扉が開く。
「お話中失礼します、GMジョーカー。島内に予定外の人物がいるようです」
先刻森のことを報告に来たのと同じ兵士だった。
GM同士の会話に割り込んだだけあってその内容はジョーカーにも意外なものだったらしい。
橘へ向けていた強烈な視線がそれる。
「GM森ではないのですか?」
「いえ。それとは別方面です。♂プリーストと戦ったことで存在が判明したのですが、彼はその相手と会話しパピヨンと呼んでいました」
「会話した?それは寄生虫にしても妙ですね」
ジョーカーは首をひねり、席を立った。
そして部屋を去る間際に振り返り、橘へ意味ありげな笑顔を送る。
「いささか急を要する要件ができましたので、あなたとのお話はまた後で」
その後ろ姿を見送る橘の背を、今になって冷や汗が伝う。
いよいよ姿を消すか何らかの決着をつけるかしないといけなくなった。
計画の結末を見届けてゆくことはできそうもない。
散々苦労して段取りを組んだ仕事だったのに。
彼はひとり歯軋りした。
<GMジョーカー>
位置:不明(管理本部)
所持品:ピエロ帽、他不明(バルムン?)
外見:ピエロ
備考:女王イゾルデの意向を最優先
<GM橘>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:銀縁眼鏡、インテリ顔
<GM森>
位置:不明 (管理本部)
所持品:不明 (バルムン?)
外見:逆毛、筋肉質
68 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/15(火) 00:40:59 ID:0MPcZNjg
って読み直してる30分の間にID変わってる!?
65=64=60です。
69 名前:
名無したん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/15(火) 12:30:11 ID:nA7J7Pog
GJと言いたいけれど、♀WIZと♂シーフの地下話はNG前提で投稿されてた気が
70 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/15(火) 20:13:53 ID:qKshG2tg
>>65
幾つか修正は必要だけど、おおむねGJだね。
個人的には、外部での皆さん使って何かやりたいって思ってただけに良い感じ。
時間が相変わらず足らないのが口惜しい……
71 名前:
65
投稿日:2007/05/16(水) 00:57:58 ID:hB3WIy0w
>>69
264〜266話は投稿者が「NGっぽいけど」と言ってるだけで、ナンバリングは進んでますしNGと確定はしてないのでは?
展開に多少無理があるのが問題なのであれば、その辺に理由付けをすればいいと思って書いてみたのが
>>66-67
です。
もっとも投下するかどうかはだいぶ迷って、後から書いた
>>60
を優先したのですが……。
>>70
ありがとうございます。
私も時間がなくて一話書くのにいったい何日掛かってるんだか。。。
72 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/16(水) 18:19:24 ID:Y3/5ewXs
65さんGJ!
修正さえすれば地下での数話はNG扱いしなくても良さそうな感じになってきたね。
何はともあれこれからの展開にwktk
73 名前:
60
投稿日:2007/05/18(金) 02:17:09 ID:9OmP2TJM
とりあえず60-61修正完了したので再投下します。
って言っても話の筋はほとんどそのままですが。
もうミスはない…といいなあ…
74 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/18(金) 02:19:57 ID:9OmP2TJM
268.頭上の敵[3日目午前]
まずいことになった、と♀ケミは脳をフル回転させる。
死にぞこないの逆毛が余計なことを言ってくれたせいで疑われるのは時間の問題になってしまった。
しかも顔見知りの淫徒プリまで出てきた。
考えてた中でも最悪に近い状況だ。
でも、事態はまだ混乱している。
「ん〜。ちょっと増えすぎ?できれば順番に並んで欲しいなあ」
「ふざけんなー!あんたちょっと降りてきなさいっ」
「やーだよー。そっちが昇ってきたらー?」
パピヨンは急に数の増えた『ごちそう』を警戒して少し高度を上げていた。
その高さから地上の♀アコと口げんかしている。
こうしてみると知能のあるパピヨンというのは実に厄介だ。
人の手の届かない高さから中〜遠距離の攻撃ができるのだから。
弓使いがいない今、有効な反撃をできるのは魔法使いだけだろう。
彼女は♂セージと♀マジに視線を向ける。
「魔法使いさんたち、あのパピヨンを撃ってください!」
「あ。ちょっとムカ。そこのおばさんからに決〜めた」
「誰がおばさ――」
ヒュヒュヒュヒュンッ
♀ケミの言葉をさえぎって血色の魔力球が殺到した。
「きゃっ」
「ソウルストライク!あんた、挑発してるんじゃないわよっ」
「ソウルストライク。まあやることは一緒のようですが」
パパパンッ
左右から飛来した半透明の魔力球が血色のそれと空中で交錯する。
ほとんどは相殺し合ったが、弾幕をすり抜けた赤光が一発♀ケミの眼前へ迫る。
「ちっ」
命中直前、グラサンモンクの掌が割り込んで受け止めた。
彼も♀ケミに対する疑念を増してはいたが、目前の敵に攻撃を受けてる最中にそんなことは言ってられない。
薄く煙を上げる手のひらを握り締め、彼は毒づいた。
「思ったより痛いぞ」
「あったりまえでしょ!むちゃするんじゃないわよっ」
悪ケミに叱られるグラサンモンクを横目に♀ケミは考えを素早くまとめる。
どうやら『仲間』達はまだ彼女を見捨てていないらしい。
♂プリの言葉を聴いて全然疑わないはずもないだろうが、これなら挽回の余地はある。
「プリーストさんが危ないです。あの人から引き離さないと」
彼女はそう言って飛び出した。
「ちょっとあんた、まだそんなこと」
「戦えないのに前出るなーっ」
叫ぶ♀マジと♀アコの間を抜ける。
前へ。一気に♂プリの元へ。
「ちょっとー。無視すーるーなー」
木々の間を縫ってパピヨンが襲い掛かった。
中空から再び真紅の光弾を放とうとする。
だが今度はそれが撃ちだされる前に消滅した。
「スペルブレイカー」
「あ、あれっ?ちょっと、邪魔しないでよっ」
「そう言われましてもねえ」
「む。次やっつけるのあんたに決定ー。いーもん別のコトだってできるし」
つかみどころのない笑みを浮かべる♂セージに頬を膨らませ、パピヨンは羽を大きく羽ばたかせる。
「寝ちゃえー!」
その蝶の羽からキラキラ輝くものが広がった。
「きれい…」
「のんきですね。息を止めて」
「鱗粉?…げ、やば」
「何が?」
♂セージや♀マジらはその意味に気付いて息を止めたが、♀アコや♀商人、グラサンモンク達は舞い散るそれを吸い込んでしまった。
「ちょっとキミ!寝てるんじゃないわよ!」
「…あ、あれ?」
足元をふらつかせた♀アコを♀マジが叩き起こす。
♀商人も♂セージが肩を揺さぶって意識を取り戻させた。
睡眠毒も体へ直接打ち込まれた場合と違って広範囲に散布したのでは効き目は薄いようだ。しかもこの人数なら眠らなかった者が起こせる。
「もういっかーい」
「同じことやったって無駄よっ」
再び輝くものが宙に広がるのを見て全員が息を止めた。
だが、その様子にパピヨンは笑う。
「なーんちゃって」
瞬刻の後、触角の間に真紅の光弾が生まれ♀ケミへ向かって殺到した。
息を止めていた♂セージはスペルブレイカーに間に合わない。
「――しまった!」
「きゃあっ!?」
どぱぱぱんっ
鈍い着弾音が連鎖する。
その衝撃に突き飛ばされるように♀ケミの体が転がった。
「ああもうっ」
♀マジは♂セージとアイコンタクトを取り詠唱の態勢に入る。
「ソウルストライク!」
「邪魔っ」
ほとんど同時にパピヨンは魔力球を生み出し、自分がやられたのと同じように相殺しようとする。
その出鼻を♂セージが押さえた。
「はいスペルブレイカー」
「ええっ!?うわわわわっ」
撃ち出される前に赤い光球だけが消滅する。
当然のように♀マジの魔法はパピヨンに命中しようとした。
彼女はとっさに羽を閉じて落下しながら身をよじり、直撃を回避する。
それでも避けきることはできず、魔力に弾かれた羽から鱗粉が散った。
「んもうあぶなっ!って、きゃーっ!?」
「とうっ」「逝け」
地上すれすれで羽を広げ、地面への激突を回避したパピヨンへ2つの影が殺到する。
鋭い拳の連打が左右から襲った。
スピードを殺した直後で飛び立つには間に合わない。避けようにも挟み撃ちで逃げ道が封じられている。
とっさにパピヨンは地面を蹴り、同時に触角を上へ放った。
鞭のように枝に巻きつかせ、一気に体を引き上げる。
「まだだ」
拳が空を切ったグラサンモンクは体を急停止させ、パピヨンへ右の人差し指を向けた。
その動きに合わせて青白く光る気の塊が飛ぶ。
パピヨンは急いで触角をほどいて羽ばたいたが逃げ切るには間に合わない。
かすった肩口から薄黄色の体液がしぶき、背後の羽にピンポン玉大の穴が開いた。
「いったーい!なにすんのよ寄ってたかってー!いじめかっこわるいっ!」
「…やはり単発では無理か」
空中で器用に地団太を踏むパピヨンをグラサンモンクは無表情に見上げた。
指弾は複数同時に撃とうとするとそれだけ余分に「ため」が必要になる。
だから隙を狙うために素早く撃てる単発を使ったのだが、それで倒せるほど甘くはなかったらしい。
彼はゆっくりと気を練り直す。
そのとき期せずして戦いの中に静寂が生じた。
パピヨンと魔法使い達がお互いに出方を窺うことで生じた間。
戦闘に気を取られていた淫徒プリはその空白によって自分のなすべき事を思い出した。
見たところあのパピヨンの能力は通常よりかなり高い。
彼女の攻撃を受けたのであればひどい傷を負っているかもしれない。
淫徒プリは♂プリと♀ケミのところへ駆け出した。
「あんたも無視すーるーなー」
その動きを見とがめたパピヨンは急降下し、魔法の射程に淫徒プリを捉える。
だがそれは地上にいる者たちにとっても同じことだった。
「今度こそっ」
♀マジがソウルストライクを詠唱し、♂セージはパピヨンの魔法を待つ。
しかしパピヨンは闇SSで相殺しようとはしなかった。
「おんなじ技はきかないよーだ」
手近な巨木の幹を巻くように降下し、魔法の射線を切る。
半透明の魔力球は木の表面でむなしくはじけた。
「それではそちらも撃てないでしょうに」
♂セージは即座にスペルブレイカーの準備をやめて素早く別の呪文を詠唱する。
「ナパームビート」
その術はパピヨンではなく、彼女が盾にしている木の枝を目標に炸裂した。
軽い破裂音が上がり、衝撃波が四方に放たれる。
衝撃は幹の陰へも回り込み、狙いどおりに蝶の羽を打った。が、パピヨンは軽く顔をしかめただけで爆圧に乗ったかのように加速する。
目標は彼女のほぼ真下で待ち構えるグラサンモンクと♀アコ。
「いっくぞー」
「来い」
グラサンモンクは気の流れを指先へ集中させた。
飛び込んでくるのが剣を握った人間なら、あるいはさっきと同じ単発なら指弾を放つほうが早かっただろう。
しかしパピヨンの一撃は鞭の間合いと飛燕の速度を持ち、しかも彼は今度こそ仕留めるべく5つすべての気球を操っていた。
バチッ
鈍い音が上がり、打たれた肩から背中にかけて服がはじける。
もちろんその程度の打撃で気を乱すような甘い修行は積んでいない。
だが、攻撃が命中した瞬間にめまいが襲う。
(睡眠…攻撃かっ)
膝から崩れようとする彼の脳裏にどこからか近付く馬蹄の響きがこだました。
75 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/18(金) 02:21:09 ID:9OmP2TJM
グラサンモンクの動きが鈍ったのを見てパピヨンはにんまりした。
しかし自身の突撃速度が速すぎて止まるにも別の攻撃を加えるにも間に合わない。
衝突を避けてグラサンモンクの脇をすり抜けようとしたその時
「せぇいっ!」
♂モンクの体の陰から♀アコの拳が飛び出した。
狙い打ちに突き出したジャブは正確にボディを捉える。確かな手ごたえが拳に残った。
ところが本命の右ストレートは空を切る。
「速い!?」
「やーいやーいへなちょこぱんちー」
落下のスピードをほとんどそのまま飛翔速度に変えて、ワン・ツーの間をすり抜けたパピヨンは♀アコをからかおうと振り返る。
だがその目が驚愕に見開かれた。
動きを止めたかに見えたグラサンモンクの指先が正確に彼女をさしている。
「破っ」
「うっきゃああああああ!?」
気合と共に5つの気弾がパピヨンに迫った。
とっさに生み出した魔力球で2つを打ち落とし、スピードにまかせて1つを振り切る。
だが残りの1個が羽を貫通し1個が足を直撃した。
「どーして寝ないのっ!?あんたヘン!」
足の傷から体液をしたたらせながらパピヨンは叫ぶ。
「さあ。どうしてだろうな」
グラサンモンクはぼそりとつぶやき、サングラスの位置をなおした。
そこにはナイトメアの力が宿っている。悪夢の名を持つその馬は取り憑いた者に安眠を許さない。
それこそがインソムニアック――すなわち不眠の呪い。
「もーっ。おぼえてろーっ」
パピヨンはスピードに乗ったまま一気に間合いを取った。
攻撃が効かないのならこれ以上あのモンクにこだわるのはまずい。
本能的にそう察して標的を切り替える。
「来るよっ」
「まだやるつもりですか。私だったら逃げますが」
まっしぐらに突進してくるパピヨンを目にして♂セージはつぶやいた。
サングラスのモンクが睡眠毒に屈しなかった時点で勝負はほぼ決している。
いかに素早くても遠距離攻撃の持ち主がこれだけ居る以上パピヨンはジリ貧だ。
だからこそパピヨンもモンクを封じようとしたのだろう。
それに失敗した以上、次の一手で彼か♀マジのどちらかを倒さなければいけない。
となれば狙いは体力と防御力に劣る♀マジへの直接攻撃。
それなりの覚悟で来るだろう。ソウルストライクでは止めきれまい。
彼と同じ判断をしたわけではないが、♀マジは突っ込んでくる敵に対しほとんど反射的に防御の術を唱えた。
「ファイアウォール!」
正しい選択だ。だが。
♂セージは詠唱しながら♀マジへ向かって走る。
「ソウルストライク!」
パパパパンッ
炎の壁の中で魔力球同士が相殺しあう音が連鎖した。
パピヨンも赤いソウルストライクを撃っていたのだ。
さらに♂セージはそのまま駆け寄り、驚き顔の♀マジを突き飛ばす。
「え!?」
ガキンッ
一瞬後。何かが猛スピードでファイアウォールを突き破り、♂セージの胸元で激しい金属音を上げた。
「ちょっとキミ、大丈夫!?」
「♂セージさん!」
♀マジと♀商人が悲鳴じみた声を上げる。
よろめく♂セージの体から、のたうつ赤いものが炎の向こうへ引き戻された。
触角の長いリーチを利して壁越しに攻撃されたのだ。
ファイアウォールを出す位置が近すぎた。♂セージがかばってくれなければ♀マジは心臓を貫かれていただろう。
「ファイア…ウォールっ!」
♀マジは自責の念を押し殺し新たな呪文を唱えた。
ファイアウォールの厚みが倍に膨れ上がる。
パピヨンは素早く飛び上がってそれを避けた。そして不満そうに口を尖らせる。
「ちぇー。やったと思ったのになー」
「え?」
パピヨンの言葉の意味を測りかねた♀マジは眉根を寄せる。
その背後で♂セージが身じろぎした。
「大丈夫?」
「ごほっ…まあなんとか大丈夫のようです」
心配する♀商人に彼は右手のソードブレイカーを上げて見せる。どうやらそれでぎりぎり防いだらしい。
「無事だったんだ。って、わ!?」
「よそ見はいけませんよ」
思わず振り返った♀マジのケープをつかんで♂セージは立ち上がる。
その勢いで2人の位置が入れ替えるのとほとんど同時に頭上へ忍び寄っていたパピヨンの触角が襲い掛かった。
だが不意打ちを狙った一撃にさっきほどの勢いは乗っていない。
彼は刃で受け止めながら素早く詠唱した。
「フロストダイバ…ごほごほっ」
「うわ」
地面から伸びてきた氷の帯に足を取られかけ、パピヨンは慌てて距離をとる。
もし♂セージが咳き込まず、呪文が完全だったら凍結させられていたかもしれない。
捕まったら最後だ。
彼女は高く舞い上がった。
もうすぐグラサンモンクも射程距離に入る。さすがに潮時だろう。
ただ、1人も殺せずに逃げるのは腹の虫がおさまらなかった。
「べーっだ。いーもん、おばさんやっちゃうからー」
パピヨンは♂セージらに舌を出し、ついでに尻まで叩いて見せてから♀ケミ達向けて飛び出す。
「いやもうまったく。私も翼が欲しいですね」
ため息混じりにぼやきながら♂セージはパピヨンを追って駆け出した。
一方、地面に伏す2人の容態を確かめていた淫徒プリは一息ついていた。
パピヨンの放った魔力球のうち♀ケミに直撃したのは1つか2つだけらしい。
いっそ死んでてくれれば面倒がなかったのに。
ちらりと黒い考えが頭をよぎったが、ひとまず彼女のことは置いといて一刻を争いそうな♂プリの治療に専念することにする。
その時
「逃げてっ」
背後から♀商人の声が届いた。
振り返るとすぐ近くまでパピヨンが迫っている。♂セージ達が追っているがどう見ても間に合わない。
淫徒プリは舌打ちし、瞬時に『正しい』選択をした。
「速度増加」
自分の足を速くし、パピヨンが直線的には追って来れないよう立ち木をはさむ位置へ移動する。
そしてその離れた位置から倒れている二人にヒール。
少々利己的に見えるが、淫徒プリでは2人をかばい切れない以上もっとも合理的な判断だった。
ただし、もちろん他の者まで同じ意見とは限らない。
「ちょっと、何やってんのよ!」
「逃げるなー!」
♀アコと♀マジの熱血コンビが怒鳴った。
淫徒プリは少しむっとする。
合理的に考えて、これ以上治癒魔法の使い手を減らす危険は冒せないだろう。
それも素性の怪しい♀ケミや助けられるかどうか怪しい♂プリのために。
言い返そうとしたとき♀ケミがゆっくり身を動かすのが目に入った。
「プリーストさん…」
♀ケミは小さくつぶやき、♂プリを守ろうとするかのように覆いかぶさる。
これは賭けだった。
彼女の嘘を論破されないためには最低限♂プリの口を封じないといけない。
それも♀ケミ自身が手を下すことなく。
だから♂プリもろとも攻撃を受け、それが瀕死の彼へのとどめになるよう仕組んだ。危うい賭けだが今はこれしかない。
そして、彼女の頭上へ蝶の羽ばたきがたどり着いた。
「バイバーイ」
ドドンッ
高速で飛び過ぎるパピヨンの頭部から真紅の鞭が連続して振り下ろされ、ぱっと血しぶきが上がった。
76 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/18(金) 02:27:03 ID:9OmP2TJM
状態欄は1レスの許容量に収まらなかった&無駄に長くなるので省略します
必要であれば
>>61
と同じ(グラサンモンクの睡眠のみ削除)なのでそちらを参照ください
77 名前:
名無しさん(*´Д`)ハァハァ
投稿日:2007/05/18(金) 08:11:41 ID:r.UdAniY
確か一人の人が続けて書くのはNGだよね。たとえ違う話でも。
だからどちらかはNG扱いになるよ、60さん。
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