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【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】

[139:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2007/09/12(水) 03:03:21 ID:E4swxibU)]
眠い目こすって、書き込んでみます。誤字脱字あったらごめんなさい。

273 狂気の代償


彼は普段使われていない通路の奥から聞こえた物音を頼りに、ここに来た。
薄暗い通路を進んでいくと、以前のBRにより使えなくなった家具の物陰から、
なにやら打音が聞こえてくる。彼は持ち前の豪胆さでズンズンと進んでいく。

10歩くらいで、音の主を確認できた。一人はまだ幼さが残っている少年、
もう一人は色香漂う女性だった。弟を気遣う歳の離れた姉に見えなくも無い。

(あれが地図からいなくなった♂シーフと♀WIZだな。)

「お前ら、こんな所でナニしてた?」

彼は無警戒に近寄りながら声を掛けた。足場の悪さに顔をしかめながら二人を観察する。
と、少年がくるりとこちらに顔を向けた。女性の方は視線をこちらに向け、顔を強張らせている。
女性の視線を受け、彼はそりゃそうだよなぁ、と思う。BRに参加している以上、
GMは恐怖の対象だ。直接は関与しないものの、反逆すれば開幕時の♀モンクのように、
圧倒的な力でねじ伏せられる。彼はジョーカーほどではないものの、それくらいの実力はある。

一方の少年の方を見て彼は、あ〜あ、なんて思った。おそらく顔にもその表情が出ていただろう。
なにしろ少年は彼の方を見て、とびっきりの笑顔を浮かべたのだ。少年が精神的に壊れてしまった、
と思っても仕方ないことだ。正常な反応を示した♀WIZのみに意識が向いた。

「もう一度聞くぜ?お前ら、こんな所でナニしてた?」

彼、GM森は言い終わった後、一歩踏み込んだ。♀WIZは杖を両手で構え、一歩後退する。
驚愕に見開いていた瞳は、今では敵意と殺意に満ちている。

「やれやれ、こんな美人にそんな睨まれるとはねぇ、因果な商売だな。」

GM森は♀WIZをじっくりと舐める様に観察した。♀WIZはその好奇な視線を避けるように、
杖を構えなおす。だからなのかGM森と♀WIZは視界に入っているはずの♂シーフの行動に、
付いていけなかった。♂シーフはただ狂気に満ちた笑顔でGM森を見ていたのではない。
GM森が現れる前に♀WIZに対して考えていたように、戦闘方法を考えていたのだ。
狂気に犯されながら、肝心なところは異常なまでに冷静である。囚人の腕輪に秘められた力だった。

♂シーフは幽鬼のようにゆらりとGM森に近づいた。が、GM森は意識しなかった。
いや、意識できなかった。元々精神が壊れたと思って意識していなかったうえに、
♀WIZに警戒していた。いくらGM森とはいえ、オーラWIZには注意ははらう。
だからこそ、一次職の壊れたシーフには例え攻撃されても問題ないと判断していた。


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