掲示板に戻る 最初- 前5 次5 前1 次1 最新5

【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】

[355:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2009/02/13(金) 04:59:43 ID:C6vcXtho)]
アナザー.真紅[3日目]

「そのまま押さえといて!」
蟲にしがみついた♂プリへ一声叫んで♀マジは呪文を唱え始めた。
ファイアボルト。10本まとめて飛ばしてやる。
ほとんど同時に♀Wizも同じ呪文を唱え始めた。
仲間を巻き込む大魔法や、♂スパノビの傷を広げかねないJTは使えないってことだろう。
でもパピヨンが黙ってはいなかった。
「させないよーっ」
赤い光の球を生み出しながら急降下。
魔法を♀Wizへ撃って――本体はこっちくる!?
「くうっ…クァグマイア!アイスウォール!」
闇SSの直撃で詠唱をとめられた♀Wizが足止めの魔法を使ってくれた。
間に合え。
「んもー!また邪魔ー!?」
行く手をさえぎられたパピヨンは文句を言いながら飛び上がって、また赤い光を生み出した。
そしてもう少しで魔法の完成するボクに向けて発射。
「ソウルストライク!」
♀WizがSSで器用に相殺する。でも
パパンッ…ドンッ
「わっ痛っ」
SS同士で相殺なんてどうしたって無理がある。セージの魔法じゃないんだから。
一発当たっちゃって衝撃で詠唱が途切れた。
やっぱりこのパピヨンムカつく。
魔法の射程は一緒だからほとんどの呪文は闇SSで妨害されるし、頭の悪い普通のモンスターと違ってファイアウォールに引っ掛かってる間に詠唱するって方法も効かない。
やっぱりFDでなんとか凍らせるしかないか。
動きを止めるだけならアイスウォールもあるけど、スキルまでは封じれないから追い打ちが掛けられないはず。
♀Wizをちらっと見る。
そしたら♀Wizと目があって頷き返された。
何か考えがあるみたいだ。なら
「ファイアウォール!」
「おっとー」
目の前に立てた炎の壁からパピヨンが飛び下がる。
かすりもしなかったけどそれでぴったり♀Wizの射程圏。
「アイスウォール!アイスウォール!アイスウォール!」
地面からそそり立った氷の壁がパピヨンの前後左右をぎっしりと固めた。
「つめたっ!何すんのよおばさんっ」
パピヨンは文句を言ってじたばたするけどもちろん動けない。
疑似ピラーって奴…じゃない。ファイアウォールを立てる隙間がない。
「どうする気さ?」
「まあ見てて」
尋ねるボクに軽くほほえむと、♀WizはSSの射程圏外へ下がってストームガストを詠唱し始めた。
そうか。射程距離は同じでも、大魔法なら範囲分だけ遠くまで届くんだ。
アイスウォールが溶けるタイミングも当然熟知してるんだろう。
だけど追い込まれたはずのパピヨンが氷の中で笑った。
「なーんちゃって。引っ掛かったー」
「え!?」
引っ掛かったって何が?
氷を割って逃げる気かな?でもそれならもう氷を叩き始めてないとおかしい。
不思議に思ってるとどっかからキーキー声が聞こえた。
ボクの習った魔術とは体系が違うけど、間違いなく呪文の詠唱。
「デビルチ?…どこ!?」
確かちょっと前に♀アコがぶちのめしたはず。
あのバカ、とどめ刺してなかったのか。
焦って見回すと♀Wizの横、♀マジから見るとパピヨンの向こう側に黒い影を見つけた。
遠い。
でもSSの一発も当てれば止まる。迷ってる暇はない。
一直線に駆け出すと、♀Wizのびっくりしたような焦ったような顔が見えた。
…考えてみたらSGの範囲に駆け込んだんだ。そりゃ驚くよね。
まあ何とかなるっ。
と思った瞬間、視界の隅に赤い光が灯った。
「あまーい」
パピヨンの闇SS。防御は間に合わない。歯を食いしばって耐える!
ドドドドンッ
「く…はっ」
ダメージより衝撃がきつかった。足が止まり、呼吸が乱れる。
そしてその分一歩届かない。
「ユぴテルサンダー」
「あうっ」
バリバリという放電音とともに♀Wizの体が大きく跳ね飛ばされた。
それでも空中で器用に身をひねり受け身を取った。
衝突。
「ぐぉっ」
♂プリに。
「あら、ごめんなさい」
「立ったらダメ!」
慌てて♂プリの上からどこうとする♀Wizに怒鳴る。
その意味に気付いたのは♂プリの方だった。
「あぶねえっ」
ガチンッ
♀Wizを引きずり倒した♂プリの頭上すれすれで、火花さえ散らして硬い顎が閉じる。
「ヌう、おしイ…」
悔しげに呟いたデビルチが茂みへ姿を隠す。
「ざーんねーん」
「じゃないだろっ」
デビルチは諦めてパピヨンに仕返しのSSを叩きつける。
でも♀Wiz達へ気を取られてる間に向こうも次の闇SSを準備していた。あっさり相殺したパピヨンが得意そうに笑う。
ムカついた。けど無視して♀Wiz達を助けに走る。
2人は蟲の前で倒れたまま。その頭上へ一度は避けた牙が振り下ろされる。
「やべ」
♂プリの妙に冷静なつぶやきが聞こえた。
間に合わない。そう判断したらしく♀Wizだけを突き飛ばす。
そして何かの砕ける鈍い音。
「♂プリさん!?」
♀Wizが悲鳴に近い声をあげて振り返る。
だけど体液を飛び散らせて身をのけぞらせたのは蟲の方だった。
「っっっったあぁ〜〜〜〜〜いっ!」
悲鳴を上げて♀アコが飛び離れる。
押さえた右拳からは蟲の体液と自分の血をしたたらせてる。
力加減も考えないで硬い殻を思い切り殴ったらしい。でもそのおかげで♂プリは助かったんだから
「バカなのもたまには役に立つんだね」
思わずつぶやいた。
「いや、いい気合だっ」
♂プリは獰猛な笑みを浮かべて蟲の下から転がり出し、行きがけの駄賃にマイトスタッフで蟲の複眼を一撃した。
視界を狭められた蟲が耳障りな声を上げる。
気を取り直した♀Wizも追い打ちのSSをたたき込む。
一瞬で攻守が逆転した。
チャンスだ。ここで一気に押し切らなくちゃ。
ボクもSSを唱え
「ダメ、後ろ!」
1人戦闘から離れてる悪ケミの警告が聞こえた。
氷の崩れる音。そして羽音。

ドクン、と心臓が脈打って
時間の進みがとても遅くなって
背中から胸へと
灼熱の感覚が貫いた。


掲示板に戻る 最初- 前5 次5 前1 次1 最新5
NAME:MAIL:

read.cgi ver4.20 by GlobalNoteScript (2006/03/17)