【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】
[417:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2009/04/09(木) 21:27:53 ID:YbXTFBEY)]
− 297話 へいき、へっちゃらッ! − 3日目昼頃
あの場から逃げ出して、どのくらいになるだろう。
走って、走って、走って。
草原のど真ん中を、全力疾走で駆け抜ける。
生きなきゃ。
あの♂プリさんの為にも、生き延びなきゃ。
♂プリさんは、間違いなく死ぬだろう。
悲しいし、悔しい。
でも、受け入れなきゃ。
そして、生き延びなきゃ。
ピ……ピ……
あれ、何の音だろう。
走りすぎて疲れてるんだろうか。
ピピ……ピピ……
ああもう!
うっとうしい!
♀マジは背負われてるクセになんか暴れてるし!
もっと静かにしなさいよ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ちょっと!キミ!止まって!と言うか方向転換!」
ああもう!
このint1の馬鹿アコはどこ向いて走ってるんだよ!
「うるさいわねっ!怪我人のクセに暴れないで!」
そうじゃなくて!
首輪、首輪鳴ってるから!
ピピピ……ピピピ……
やばいやばいやばい、これホントににやばいって!
言うだけじゃ分からないなら、力尽くでも止めないとだめだ!
「いいから止まって!鳴ってる!首輪!音!鳴ってるから!早く!」
焦ってるせいで、文脈がおかしい。
けど、今はそんなことに構っていられない。
♀アコの身体の至る所を叩きながら、叫ぶ。
叩く度に、蹴られた背中が酷く痛むけど、そんなこと言ってる場合じゃない。
「だーかーらーーー!!怪我人は静かに……え?」
♀アコが疑問の声を投げると同時に、急停止する。
その反動で、ボクの身体が大きく揺れ、強烈な痛みが全身に駆け巡る。
おまけに、いきなりの急制動に♀アコ自身も対応できなかったらしい。
そのまま前のめりに倒れ、ボクはその背中から投げ出された。
そして、ボクの身体は草原の上をごろごろと転がる。
その度に、凄まじい痛みが全身を流れ、意識が飛びそうになる。
いや、何回か飛んだかもしれない。
「今、何て言ったの?」
いきなりの暴挙に悪びれることもなく、そう聞いてきた。
飛びそうな意識を無理矢理繋ぎ止め、氷雷コンボを決めたい衝動を抑えてボクは続ける。
「だか……ら……!首輪……鳴ってる……って……何度……言えば……!」
痛みが強烈すぎて、上手く喋られない。
「だったら、もっと早く言ってよね!無駄に走っちゃったじゃない!」
あまりの馬鹿っぷりに、草原もろとも焼き払いたい衝動に襲われたけど、何とか我慢した。
「だか……ら!何度も……言ったじゃ……ないか……!」
痛みのせいで起き上がることも出来ない。
「あらそうなの?ごめんなさい」
こいつ……!
思わず飛びかかりそうになっけど、痛みが酷くてそんな気力は無い。
ああもう、どうにでもなれ……。
「背骨が折れなかったのは、不幸中の幸いだったわね」
「うう……まだ痛むよ……」
不幸中の幸いか、背骨の損傷はないみたいだった。
ただ、パピヨンに蹴られたと同時に触覚が左の肩甲骨を直撃したらしく、骨折していた。
痛みがあまりにも強烈だったのはこのせいだったらしい。
本来なら三角巾を使って固定しないといけないけど、手元に無いから♀アコのショールと左袖を破って、それで固定してる。
心許ないけど、今はこれで我慢するしかない。
当然、左手は使えないけど盾なんか無いし、直接殴るわけでもないからあんまり影響はない、と思う。
痛みが残るのは仕方ないかな。
まあ、背骨の代わりに折れたと考えればマシかもね。
「ま、ここを脱出するまでの間は我慢することね」
そうだ。
こんな怪我、ここを脱出してからどうにかすればいい。
……先生、見守っててください。
「さて、どうしよっか」
「今の場所はF-6だね。みんなと合流するにはE-6を通るしかないけど……まだパピヨンいるだろうし」
「そうねえ……悔しいけど、あたし達だけじゃかなわないし……」
とは言え、合流するにはさっきの道しかないし、戻るのはあまりに危険すぎる。
おまけに、戦力を考えるとこっちに来る可能性の方が高い。
多分、パピヨンは♀Wizさんのいる方向には行かないと思うから。
その時、ある事が脳裏に浮かんだ。
灯台だ。
悪ケミさんが、「気になる『灯台』があった」って教えてくれたの忘れてた。
確か、砦で使われてる装置と同じものって言ってたような。
その灯台は、ずっとこの先のJ-6にある。
言ってみる価値は、あると思う。
有言実行。早速、行動に移さないと。
ボクはしゃがんで、地面に文字を書き始めた。
『J-6に悪ケミさんの言ってた灯台があるから、そこに行こう』
「とりあえず、向こうの方へ行ってみよう。何か手掛かりがあるかもしれない」
もちろん、会話でのカモフラージュも忘れない。
「ちょ、ちょっと休ませてよ……」
せっかく目的が見つかったのに、その出鼻を挫かれてむっとする。
でも、よく考えたらさっきまであんなきつい戦闘して、ボクを担いでここまで全力疾走して、しかも治療したんだ。
疲れてるのも無理はないか。
でも、ボクはここにいる方がずっと危険だとも思った。
『灯台に着いたら休んでていいから。そこまで頑張って』
「ボクより体力あるんじゃなかったの?それとも、太ってるせい?」
単純な性格だし、簡単に乗ってくるだろう。
案の定、♀アコはすっと立ち上がった。
「どっかのまな板娘と違って、あたしは胸が出てる分身体が重いの。」
『じゃ、任せた』
聞き捨てならない事を言われたけど、地面に書かれた言葉は肯定の言葉。
「お腹の間違いじゃなくて?キミは、この無駄のないボディの素晴らしさを見習った方がいいかもね」
嫌味に嫌味で返して、立ち上がる。
「あら、こういうのはないすばでぃって言うのよ?ま、皮と骨しかない貧弱ボディのあなたには分からないでしょうけど」
♀アコも、嫌味に嫌味で返して同じく立ち上がった。
「「うふふふふふふふふ……」」
不適に笑い、そして地面の文字を足で消す。
小デザが岩陰に隠れた気がしたけど、気のせい気のせい。
「まあ、とりあえず行くよ」
腹立つけど、貴重な時間を無駄に浪費したくはない。
心の中で水に流し、目的地の灯台へ向かって歩き出す。
何か、手掛かりが見つかると良いけど……。
<♀アコライト&子犬>
現在地:F-6(F-5寄り)
容 姿:らぐ何コードcsf:4j0n8042 ショールと左袖を破く
所持品:集中ポーション2個 子デザ&ペットフードいっぱい 食料二食
スキル:ヒール・速度増加・ブレッシング
備 考:殴りアコ(Int1)・方向オンチ 首輪と地図と禁止区域の関係を知る
状 態:多少の傷 SP少量 疲労気味 灯台(J-6)を目指す
<♀マジ>
現在位置:F-6(F-5寄り)
所持品:真理の目隠し とんがり帽子 食料二食
容 姿:褐色の髪(ボブっぽいショート)
備 考:ボクっ子。スタイルにコンプレックス有り。氷雷マジ。異端学派。
首輪と地図と禁止区域の関係を知る ♀ケミに敵意
状 態:足に軽い捻挫、普通に歩くのは問題無し。背中を思い切り蹴られるが意識あり。
左肩を負傷→♀アコのショールと袖で固定 痛みは若干残る 灯台(J-6)を目指す
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