【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】
[27:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2008/02/14(木) 03:22:22 ID:iJvXoDBk)]
思いついたので投下致します。
乱文お目汚し失礼。
・季節モノ
前兆はグラストヘイム騎士団にて。
「っくしゅん」
前を進んでいた彼女が突然くしゃみをした。
「風邪か?」
「大丈夫、ちょっと鼻がむずむずするだけ」
グスッ、と鼻を啜り答えた。
「ここ最近特に寒いから気をつけてな。
まー、今日は大事を取って早めに切り上げようか」
同意するように彼女の騎乗したペコペコがクェーと鳴く。
それを見た彼女は少し笑って答えた。
「そうね〜。今日は早く帰るとしましょうか!」
「あいよー」
ワープポータルを開き、彼女が先、俺が後で乗り街に戻る。
二人で簡単に清算を済ませ今日はお別れ。
「「また明日」」
帰り道に吹く風は冷たく、今日の夜も寒くなる事を伝えていた。
帰り道、空気が痺れるように冷たくてペコの背にもたれながら暖を取る。
彼に言われたからと言う訳では無いけれど、少し前からぞわぞわと寒気が身体を舐めていた。
「風邪かなぁ」
ペコに聞いてもクェーと泣き声が帰ってくるだけ。
「早めに帰って休みましょうか」
またクェーと鳴いてペコは少しだけ歩調を速めた。
暫く前から取っている宿の厩舎にペコを繋ぐ。
「お疲れ様。また明日ね」
ペコの頭を撫で私は宿の中へと足を向けた。
厩舎は旅人が使う馬や驢馬、同業者が使うペコなどで賑わっている。
私のペコもさっそくのおしゃべりを始めたようでクェクェと鳴き声が聞こえてきた。
部屋に入ると狩りの緊張が解けたのかどっと疲れが押し寄せる。
いつもはきちんと装備品などを片付けるのだけどだるさが先に立ち、
(明日片付けよう)
まるで子供がするように装備品を放り投げ、服と鎧を脱ぎながらベッドに向かう。
のそのそと寝巻きに着替えて私はベッドに入った。
「おやすみなさい」
誰に言うとでもなく呟いて、目を瞑る。
少し冷たい布団が体温と同じ温度になる頃には私は眠りに落ちていた。
『ごめんなさい。体調が悪くて今日は狩りに行けそうにないの』
朝、狩りの準備をしていると彼女から念話が入った。
『どうした?やっぱり風邪?』
念話では相手の体調までは分からず、昨日の事も気にかかっていた。
『多分ね。すぐ直ると思うから、それまでは臨時パーティーにでも行きながら待ってて』
『了解。悪化しないように気をつけてな』
『はいはい。あなたも風邪引かないようにね。じゃあ』
念話が終わって手持ち無沙汰になった俺は準備の途中だった荷物を取り出して鞄の中身を軽くする。
たまには狩り以外の過ごし方もいいだろう。
あれこれと買うものを頭に思い浮かべながら部屋を出た。
朝起きるとまず身体のだるさと熱っぽさを感じ、
それでもなんとか身体を起こすと喉の痛みと出てくる鼻水に風邪を引いたんだと思い知らされた。
狩りの中止を念話で告げたまではよかったものの、食料を調達するのもこのままではままならない。
(寝てれば直る!)
と意味のない自信を持ってベッドに潜り込み、目を閉じて熱っぽい眠りに落ちる。
風邪には何が効くだろうとギルドのメンバーと話しながらプロンテラの首都を歩く。
【天津にはいい料理があるぞ】
みんなの知恵袋的な我がギルドマスター(天津人)の提案にメンバーみんなが
それがいいと言い出し、俺も作るぜ!なんて声も聞こえて来る。
【まずは土鍋を用意してだな・・・】
マスターのナビゲートに従って必要な物を揃えた上で+αを用意した時点で既に時刻は正午に差し掛かろうかとしていた。
【んじゃ、いってくる】
食材と土鍋で一杯になった紙袋を抱えて彼女の部屋へ向かった。
【グッドラック】(親指を立てる的な意味で)
【がんばれー】(・・・的な意味で)
【うるせぇよ。んじゃ切るぞ】
メンバーたちの笑い声が響くギルド会話に捨て台詞を吐いて会話を切る。
何がガンバレだ馬鹿馬鹿しい。
狩りの相棒の見舞いをして何が悪かと!
てくてくと歩くうちに彼女の泊る宿に着く。
ノックをしていることを確認する。
1回。
・・・出ない。
2回。
・・・出ない。
3回。
さすがに帰ろうかと思った所で中から物音が聞こえてくる。
びたんという音と何か硬いものが転がる音。
少し間を置いて、ドアが開いた。
風邪のぼんやりした頭でドアを開けると何かが詰まった紙袋を抱えた見慣れた彼の顔が。「やぁ、どうにも暇だから見舞いに来たよ」
成る程、道理で紙袋を抱えている訳だ。
買い物にもろくに出かける事の出来ないこの状態にはとても有り難かった。
「入ってもいいかな?」
何も言わないのを肯定と捕らえたのかそのままするりと廊下に入り込んでくる。
何だ、その聖職者とは思えない身のこなしは。
と、そこで部屋の惨状を思い出して引き止める。
「あ、待って!」
時既に遅く、彼はキッチンを兼ねた廊下を通り過ぎ部屋の中に入っていた。
「あらまー」
まるでおばちゃんのような調子で呟いた俺の言葉に彼女はバツの悪そうな顔をした。
部屋の中は入り口からベッドまで防具や衣類が点々と続き、その両側には盾や槍が放り投げられて、とても年頃の女性の部屋とは思えない惨状になっている。
「・・・今、片付ける」
のろのろと衣類を拾い始める彼女を手伝う為、まずは槍を拾い上げる。
「槍と盾はいつもの場所でいいか?」
こくり、と頷くと彼女は衣類と鎧をクローゼットに押し込み始めた。
俺はその間に槍と盾を定位置に置く。
「散らかっててごめんね」
熱のせいか、羞恥心か顔を真っ赤に染めて謝られる。
「っくしゅん!」
くしゃみを一つ、鼻水も追加で出たようでティッシュティッシュと鼻を拭く。
「それはいいから寝てろって。何か暖かいものでも作る」
食材を入れた紙袋を抱えてキッチンへ
「ありがとー」
そう呟いた彼女はベッドに横たわった。
キッチンに向かった彼にお礼を言ってベッドに寝転ぶ。
熱に浮かされてぼーっとした頭は何も考える事が出来ず、料理の音を聞きながらまた眠りに落ちた。
布団の上から揺すられて起きるといい匂いがした。
「たーんとおあがり」
ベッドの脇に置かれたサイドテーブルには湯気を立てる土鍋が置かれていて、朝から何も口にしていない私の食欲を刺激した。
サイドテーブルの前に移動するためベッドの端に腰掛けると箸を渡される。
「これは?」
見たことのない料理だ。
箸を使うのは天津の料理に多い。
「うちのマスターオススメの天津料理だ。冬になると天津の人はこれを食うらしい。頂きます、と言って食おうな」
手を合わせるジェスチャーの彼に習って手を合わせ
「いただきます」
と、料理に箸を付ける。
前に龍の城で食べた麺料理に似ているけど、麺が太い。
慣れない箸に苦労しながら一本口に入れた。
美味しい。
龍の城の麺料理とは違った味付けで言うなれば天津風?
空腹も手伝って、私はそれを夢中で平らげた。
お腹が一杯になるとまた眠気が襲ってきて、また眠りに落ちる。
今度は彼もいる安心感と満腹感から幸せな眠りが訪れた。
真夜中に目が覚めた時には幾分か身体が軽く、頭もすっきりしていた。
周りを見ると椅子に座ったまま器用に寝る彼の姿が。
部屋の何処からか引っ張り出したらしい来客用の毛布を被っている。
外に出ている顔が寒いのか時折顔まで毛布を被り、息苦しくなったのかまた顔を出すという事を繰り返していてまるで亀のようだった。
寒そうな彼にホットミルクでも振舞おうかと考え、ミルクを暖めにキッチンに向かう。
そこで今日の日付を思い出し、一つ閃いた。
ミルクを少し小鍋にかけて温まるのを待つ。
運良く買い置きしてあった板チョコを入れて完全に溶けたのを確認してまたミルクを入れてまた温まるのを待つ。
二人分のカップにそれを注いで私は部屋の中に戻った。
相変わらず彼は亀のようにしながら眠っている。
サイドテーブルにカップを置いて起こそうと近寄ると唐突に彼が目を覚ました。
「ん、起きて大丈夫なのか」
目を擦りながら欠伸をする姿が微笑ましい。
「朝よりは大分楽になったよ。それよりもあなたのその状態のほうが心配なんだけど」
椅子で寝たせいで凝ったのか首をゴキゴキ鳴らして再度欠伸。
「はい、これ。暖まるから飲んで」
まだ湯気が立ち昇るカップを彼に手渡して、私は自分のカップに口をつけた。
少し冷えて来た身体に暖かい甘みが心地よい。
彼も口を付けて何を渡されたのか気がついたみたい。
「ホットチョコか」
美味しそうに更に口を付ける彼。
ふーふー、と中身を冷ましながら美味しそうにカップの中身を空ける様子に少し嬉しくなる。
「一応手作りだからね。味わって飲むように」
「あいあい。久々に飲んだけど美味いなー」
ニコニコとチョコドリンクを飲む彼は分かっていないようで・・・
「さて、今日は何の日でしょう?」
彼はきょとんとした顔で私を見る。
「今日?」
そこでやっと壁かけのカレンダーを見て
「あぁ、あー!そうか、バレンタインか!」
やっと気が付いたか。
呆、とカレンダーを見つめる彼とにんまりと笑う私。
「ハッピーバレンタイン」
以上。
季節にちなんだ流行りモノのお話でした。
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