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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】

[38:Witch hezel(2008/04/17(木) 16:49:12 ID:sP0bDo8s)]
 宿に帰り、今日の収集品や稼ぎをベッド脇のボードに置く。
 早速シャワーでも浴びよう。 そう思い立ち重い甲冑をはずし、着衣を脱ぎ始める。
 ブーツの中に、白い砂がたまっていた。
 ああ…これはあの時の…。


 思い返せば枯葉が落ち、次第に冬支度を始める季節。
 その日俺はソロに狩りに励んでいた。
 あと少しでレベルが上がるな…。
 その時。

『はじめまして、今日からこのギルドに入りましたアヤです』
 と、ギルドメンバーにしか聞こえない声で挨拶をする人が居た。
『あ、君がマスターの言ってた新人さんかな?』
『そうです、あと少しでハンターだなあって思ってた時に狩場で声をかけられて。
 支援さんとか多いんですね、このギルド』
『うん、組めるようになったら誘うといいよ』

 俺は献身型クルセイダーなので、時々誘われることがある。
 誘われたら行くけれども、それ以外の時はほとんどをソロ狩りをしていた。
 自分が頼りにされた時はうれしい。
 けれど、それに慣れすぎてはいけないと思うからだ。


 アヤはアマツ出身らしい。
 ミッドガルド周辺では見ない、サラサラで漆黒の髪。
『私の国では春になるとサクラって木の下で宴会をするんですよ』
『そうなんだ?』
『ええ、なんでも宴会をしていると神様が集まってくるから、願い事をするというのが由来らしいです』
 お互いソロをしながら、他愛のないおしゃべりをした。
『いつか行きたいですね』
『ああ、みんなで行こう』
 そう返事しながらも、サクラには興味があった。
 それ以上にアヤの気さくな性格に惹かれつつあったせいもあり、その日が楽しみだった。


 ギルドには規則がある。
 お互い大人だから性交渉するのはいい。
 しかし痴情のもつれでギルドの空気を悪くするような恋愛沙汰を起こしてはいけない。

 さすがに俺でもいくつかの恋があり、別れていった経験がある。
 その度に寂しさは残るものの、仕方がないと諦めることが上手になっていった。
 彼女らに言わせると俺は、与えることは出来ても求めない性格からか、物足りなくなるらしい。
 甘えるのは正直苦手だ。 失うのが怖い、そう思うからかもしれない。


「ミケ!」
 溜まり場でボケーっとしていたらしい。
「…アヤ、いい加減人をネコみたいな呼び方するのやめてくれないか?」
「いいじゃん、ミゲールだからミケで。
 ミケ可愛い顔立ちしているんだし」
「……」

 俺の名前は出身地の読み方で『ミゲール』という。
 国によっては『ミカエル』とか『ミハエル』、面白いのだと『ミシェール』なんていうのもある。
 顔立ちの事は散々言われていた。
 黒髪に優しげな顔――― 一見、女性に見えるほどの―――に童顔なので、
「その筋」の趣味を持つ奴らに声を何度かけられたか。
 一生懸命年相応に見えるように、ミニグラスをかけてみたりした。

「あんまりボーっとしていると…ミカいっちゃえ!」
 そういうとアヤの頭上を飛んでいる鷹―――ミカという名前をつけたらしい―――が俺の頭を攻撃する。
 あまりの事に俺はグランペコの上から落ちてしまった。
「あははっ、ミケ落っこちてるー!」
 ケラケラと笑うアヤ。


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