【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】
[48:RO迷作劇場:逆毛のアン(2010/12/15(水) 21:52:44 ID:dijy0B96)]
「……やっぱり、私には剣士は向いてなかったかも……」
一筋の汗を垂らし、自らが成した結果を見つめるアン。その視線の先には崩壊した剣士ギルドの建物がありました。
「……まっ、いいか。次はシーフギルドに行こう!」
すぐに気を取り直し、彼女は剣士ギルドを後にしました。
それから彼女はいくつものギルドを回りました。シーフギルドではメテオアサルトで建物を破壊し、魔術師ギルドではメテオストームで建物を粉砕し、大聖堂では阿修羅覇王拳で建物を崩壊させ……まあ、そんな感じです。
「やっぱり、私には無理なのかな……」
マリンスフィアーを呼び出して吹き飛ばした商人ギルドを後にしたアン。もう全ての一次職ギルドを回ったにもかかわらず、彼女は未だに転職できずにいました。
しばらく鬱になりながら日々を過ごしていたアンでしたが、スーパーノービスという職業の存在を耳にします。
「ええっと……Baseが45以上か……私LV99だからこれは大丈夫よね……必要アイテムは……これなら全部倉庫にあるわ!」
さらっとすごいことを口にしながらガッツポーズを取るアン。さっそく倉庫に向かい、必要なアイテムを取り出しました。しかし、ここで根本的な問題に気付きます。
「これで失敗したらもう後がないんだ……何て言われても大丈夫なようにしないと……」
やがて、彼女は対策として耳当てを購入しました。
「これで大丈夫ね!」
そう言うと、アンは自信満々にアルデバランにあるという転職場所に向かいました。
アンの作戦が功を奏したのか、彼女は無事スーパーノービスになることが出来ました。
「やっと転職できた……今夜はお祝いね!」
嬉しそうにはしゃぐアン。
と、そこにアンが今まで見たことのない白い服を着た男が現れました。男はアンに向かって何か話し始めましたが、彼女にはその内容がよく聞こえませんでした。
(何て言ってるんだろう……そうだ、耳当てを取らないと!)
聞こえない原因が耳当てにあるとわかり、アンは耳当てを外しました。
「……聞いているのか、この逆毛女! 各ギルドの建物を破壊した罪でお前を逮捕すると言ってるんだ!」
耳当てを外して男の声がはっきりと聞こえた瞬間、彼女の中で何かが音を立てて切れました。
「……みんなみんな……そんなに私のことが嫌いなのね……」
瞬間、彼女の体が凄まじい光に包まれ、轟音と共にグランドクロスが発動しました。しかし男は咄嗟にバックステップし、破滅の光からかろうじて逃れました。そして、光が収まったときに男が見たものは……
「……っ!?」
男に向けてルドラの弓を構えるアンの姿でした。
「そんなに私のことが嫌いなら……死んじゃいなさいよ!」
血走った目で叫び、アローシャワーを放つアン。男に向けていくつもの矢が飛来します。男は咄嗟にニューマを唱えて風の結界を生み出し、どうにか矢の嵐をそらすことに成功しました。
「貴様っ! ゲームマスターであるこの私に逆らうつもりか!」
ゲームマスターとはこの世界における支配者のようなもので、その強さはほとんどの者が知っています。ですがその姿を直接見たことのあるものは意外と少ないのです。男の言葉は自分がゲームマスターであることを知ってなお逆らうつもりかという意味でした。
「だから何? ゲームマスターだろうがなんだろうが……逆毛と言った者は消すだけよ」
しかしアンはそれを聞いても態度を変えませんでした。説得は不可能と見た男は腰の剣――バルムンと呼ばれる、この世界最強の剣――を引き抜いて構えました。
「仕方あるまい! 今ここでお前を処刑す……」
「ストリップウェポン! スティール!」
男が口上を言い終わる前にアンは男の剣を一瞬にして奪い取りました。
「私をどうするって? ふざけんじゃないわよ!」
「まっ、まて! 話し合おうじゃないか!」
奪った剣を構えるアンを前に、男は後ずさりながら説得を試みようとしました。
だが当然アンがそんな話に耳を傾けるはずがありません。アンはバックパックの中から小瓶――バーサークポーションと呼ばれるアイテムを取り出し、中身を一気に飲み干しました。
「ツーハンドクイッケン! コンセントレーション! オーラブレード! バーサーク!」
「ちょっ、ちょっと待て! お前本当にスパノビ……」
「問答無用! 喰らいなさーいッ!!」
神速で放たれる連撃でずたずたに切り刻まれる男。
――男の仲間が到着したときには、既にアンの姿はありませんでした。
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