【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
[106:掠れた鏡(2008/10/16(木) 00:08:58 ID:bvsXcryQ)]
そんな彼女が変わったのはいつだっただろうか。寂しげな顔で毎日臨時広場に通いつめ、ある時ぱったりとそこからも姿を消した。
念話をすれば「スキルリセットして退魔師になったからソロしてるの」とのこと。
俺も転生の追い込みにギルメンに引きずり回されていたし、彼女もそういや転生を目指していたな、と思って黙っていた。
次に俺の前に姿を現した彼女はハイプリーストになっていて、そして壊れた指輪を握り締めていた。
事情を聞けば、相方と別れた、とだけ彼女は告げた。
失恋の傷に触れないよう取り留めのない話だけをして、その場を後にした。
それが彼女の髪が青かったときの最後の思い出だった。
いつからかあまり一緒に狩りをしなくなった。まぁ俺が意中の相手に振られたショックで狩りに行く回数が減ったのもあるのだけどな。
それでもギルメンに引きずり出されて名も無き島に狩りに出たとき、そこに彼女はいた、たった1人で。
出会ったときとは違う幾つもの高価すぎる装備に身を固め、何体もの不死者に殴られながらもその詠唱は止まらず、退魔の術を完成させる。
傷つくのも厭わない、セイフティウォールすら使わない、サンクチュアリのみに頼る狩り方。
ニブルならいざ知らず、アスムプティオがあれどここでは危険な狩り方だった。
しかもPTも組まずに3階層でただ一人で…。
ふとこちらに気づき、「道を塞いでしまって申し訳ありません」と振り返ってPTメンバーに笑って謝った。
彼女は銀色に変わった髪と相まって、幽鬼のようだった。見た瞬間に戦慄が走った。
その笑みは出会ったときの彼女の笑みとは違う、真っ青な凄惨な笑みだったからだ。
どちらが不死者なのか判らないほどにやつれ果てた、そんな笑み。
PTメンバーが「うは、廃狩り…」と罵ったが、俺はそいつに槍を向けて制した。
あまりにも辛そうな顔だったので、こっそりと念話を送った。
「狩りが終わったら知らせるから、プロの俺の宿で話をしようか」
暫くして承諾の返事が返ってきた。かすれた声で…。
彼女は律儀に待っていた。ボロボロの姿で。
以前は街に戻るとすぐに着けていた頭装備も着けておらず、狩り装備のままだ。
「なぁ、何があった」
「力が、技術が欲しい。ねぇ、至高の支援になれば、誰も私の側から去らないのかな。」
絶句した。彼女の変わりように。
…いや、彼女は最初から変わっていない。寂しがり屋の小さな子ども。
ふと気付けば彼女を抱き締めていた。華奢で、前よりも痩せて折れそうな体。
放っておけば危なっかしい小さな子ども。今にも壊れそうな子ども。
この身が支えになるならば、と。半ば自棄になっていた俺が言うのも可笑しかったけどな。
そうして俺は彼女を抱いた。彼女も抵抗しなかった。
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