【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
[111:紅い風車(1/4)(2008/11/10(月) 00:53:44 ID:b.h4u8pw)]
調べものをするために久々にギルドハウスに行った。いつぶりだろうか。
このギルドはBOSS狩りギルドということもあり、資金と人脈と設備は揃っている。誰も俺の行動に干渉しない。居心地は良い。
「よぉ、朱羽!久々だな、何かあったか?」
名前が思い出せないハイウィズが声を掛けてくる。妙に静かなギルドハウスでその声はよく響く。五月蝿い。
「書庫を借りる。」
「ふーん…今は皆MVPセイレンやってるぜ。オレは留守番たんとーなの」
ハイウィズがひらひらと手を振る。なるほど、セイレンならある意味直ぐだろうか。
ギルドハウスがあまりざわついていないのも納得した。
地下の書庫へ降りる。何故か蔵書が多い。前マスター、ユリナスリアというアサクロの遺産らしい。
毒薬に関する物が多いのは今は助かる。前マスター直筆のものも多々あったが、前マスターが考案した毒薬の組成式たるや前マスターがAXではなく同業かと疑いたくなるほど完璧だ。
組成式、作成法、効果、原理、使用法、解毒法まで記すそれのページを繰る。複合毒について…探し物と近いものを幾つかメモをして研究室に持ち帰る。
後はそれを元に彼女に合わせる。…劇薬には違いない。下手したら彼女を殺すかもしれない。
生きていてほしい。だから意地になる。例え難解な毒であろうと解いてやる。
一先ず仮の物を完成させ、小瓶に詰めて鞄にしまう。
また、症状を見なければならないだろう。薬が毒になっては意味が無い。
調べ物も一段落し、一階へ戻れば人のざわめきが戻っていた。
「あ、朱羽。今日も地下室籠もり?ここにいたなら狩りに呼んだのにぃ。大変だったんだからぁー」
俺を見てソファにだれた鳶色の目の女教授がぼやく。
会話を聞くと横沸きが泣けたらしい。あのハイウィズを連れて行けばよかっただろうに。
「そもそもハメているのに何をぼやくんだ。次にADS効く奴の時間と合ったら行く。今は駄目だ。帰る」
踵を返し後にしようとし…マスターに捕まった。突き刺すような視線が向けられる。
「そんなに俺をここに引き留めたいのか」
「ユリアの毒を調べてるんでしょ。何がしたいの?ユリアの墓荒らし?」
マスターであるクラウンが静かに詰問する。そんなに前マスターのことが大事か。
「墓荒らし?まさか。俺は前マスターのことは何も知らない。俺は救いたい人がいるだけだ」
「…そうなんだ。あの白猫を?」
ぞわりと、冷気が背を駆け上がる感覚。マスターはもはや笑っていない。白猫…リオのことを知られている。
「僕は別に干渉はしないよ。しないけど、そのこにユリアの毒を使ってどうするつもりなのかは聞かなきゃいけないよね?」
ユリナスリアの毒──門外不出のモノらしい。それほどまでに彼女は天才だった。
現マスターはそれを全て彼女から託されたらしい。一体どんな関係だったのだか。
「…複合毒を、調べていた。解毒剤を作成するのには彼女のファイルが最適だった。」
「ふぅん…」
しばらく思案したような表情…そしてマスターは小さな紙袋を差し出した。
「これは?」
「多分ヒントになると思うよ?ユリアの結論がこれなんだってさ」
中を覗けば小さめの植物の種が入っていた。薬草か?
「調べる。」
「朱羽もたまには狩りに来てね?製薬してくれるだけで助かるのも確かだけどね」
そんなマスターの言葉を背に受けながらギルドハウスの扉を閉める。
「…この種に、何かあるのか?」
俺は空に紙袋を透かした。だが何か特殊なものがあるようには見えなかった。
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